追放者系列と発言を用いた人狼ゲームの類型化に関する基礎検討
A cluster analysis of Werewolf games
using sequences of utterances and exiled players
芳野勝矢
尾崎知伸
∗Katsuya Yoshino
Tomonobu Ozaki
日本大学 文理学部
College of Humanities and Sciences, Nihon University
Abstract: Recently, the Werewolf game is intensively studied as a promising research target for intellitent agents. In this research, we attempt to extract representative or exceptional games by using cluster analysis. We prepare three dissimilarity measures among games based on sequences of exiled players, votes, and utterances. The effectiveness of the proposed similarity measures is evaluated qualitatively by using three hundred games in Werewolf BBS.
1
はじめに
多人数コミュニケーションゲームの一つである人狼 ゲームは,近年人工知能研究の新たなターゲットとし て着目を集め,人狼知能 [1] として集中的に研究が行わ れている [2, 3, 4, 5, 6, 7].例えば [2] では,人狼ゲーム 用のオンライン BBS である人狼 BBS のゲームログを 対象に統計分析を行い,村人・人狼の両陣営で勝率が 平等になるための条件を提案している.また [3] では, 特殊能力を持つ村人がいない状況における両陣営の勝 率について議論している.さらに [4] では,対話のない 人狼ゲームを対象とした最適戦略について議論してい る.一方 [5] では各プレイヤの発言傾向や特徴を分析し ている.同様に [6] では,各プレイヤの発言からその分 散表現を獲得し,役職を推定する手法を提案している. また [7] では,プレイヤの発言から占い先と投票先に関 連する同調性や反駁性を抽出することで,議論の構造 を分析している. 人狼知能の研究において,実際の人間のプレイログ を分析し,その傾向を把握したり特徴的な行動を抽出 することは,必要不可欠なアプローチである.現在入 手可能な人間によるプレイログとして,オンライン型 の人狼ゲームである人狼 BBS1のログデータがあげら れる.しかしその分析には,特有の用語の扱い等を含 む高度な自然言語処理が要求されるため,必ずしも機 械処理に適しているわけではなく,より詳細かつ精密 な情報を得るためには,少なからず人手に頼る必要が ある.またその際,すべてのゲームを対象とすること ∗連絡先:日本大学 文理学部 情報科学科 〒 156-8550 東京都世田谷区桜上水 3-25-40 [email protected] 1http://www.wolfg.x0.com/ は容易ではなく,典型的なゲームや特徴的なゲーム,例 外的なゲームなど,優先的に分析すべきゲームの特定 が重要であると考えられる.さらに,ゲームログ全体 を俯瞰することは,様々な戦略等を検討する上でも必 要不可欠であると考えられる.これらのことを背景に 本研究では,クラスタ分析や例外発見等の基礎として, 粒度の異なる視点から 3 種ゲーム間の非類似度を提案 する.これらの非類似度に基づきクラスタ分析や例外 発見を行うことで,代表的なゲームと例外的なゲーム の特定を試みる.さらに複数の非類似度を併用するこ とで,特徴的なゲームの特定を行う.2
ゲーム間の非類似度
2.1
追放者系列に着目した非類似度
人狼ゲームにおける役職の集合を R = { 村人 (v), 占 い師 (s), 霊媒師 (m), 狩人 (b), 人狼 (w), 狂人 (p)} とす る.また襲撃が失敗したことを表す特別な記号 n を考 え,R′ = R∪ {n} とする.ゲーム G に対し,処刑ま たは襲撃により追放されたプレイヤの役職を時系列順 に並べた系列を「追放者系列」とよび, ES(G) = [ eG1, aG1, eG2, aG2, . . . , eGdG, aGdG ] と表記する.ここで dGはゲーム G において勝敗が決 した日を表す.また eG i , aGi ∈ R′はそれぞれ,ゲーム G の i 日目に処刑・襲撃されたプレイヤの役職を表す. 本研究では,2 つのゲームの非類似度の一つとして, 役職毎の重みを考慮した追放者系列間の編集距離を採 用する.処刑・襲撃に関わらず,ES(G) の i 番目の要表 1: 編集距離における各役職の重み 役職 記号 重み 村人 v 1.0 占い師 s 2.67 霊媒師 m 8.0 狩人 b 8.0 人狼 w 8.0 狂人 p 8.0 襲撃失敗 n 0.0 素(役職)を rG i と表記する.また,役職 r の重みを w(r) と表記する.なお本研究では,重みとして役職の 人数比の逆数を採用する(表 1).以上の準備の下,2 つのゲーム G1, G2に対し,「追放者系列間非類似度」 L(G1, G2) = Lw(2dG1, 2dG2) を以下のように定義する.
Lw(i, j) = w(i, j) + min
Lw(i− 1, j) Lw(i− 1, j − 1) Lw(i, j− 1) where w(i, j) = log(w(rG1
i ) + 1) − log(w(r G2 j ) + 1)
2.2
得票率系列に着目した非類似度
追放者系列は,処刑・襲撃の結果という大域的な情 報から構成される.一方で,より詳細な状況を表す系 列として,役職を次元とする得票率ベクトルの系列で ある「得票率系列」を考える. プレイヤ p の役職を r(p),ゲーム G の i 日目の投 票における p の得票率を vG i (p) とそれぞれ表記する. このとき,ある役職 r ∈ R に関する得票率の最大値 を vG i (r) = maxr(p)=r{viG(p)} と表記する.これによ り,ゲーム G の i 日目における投票行動を,各役職 (v, s, m, b, w, p)を次元とするベクトル −→ ViG = (viG(v), vGi (s), viG(m), viG(b), viG(w), vGi (p)) として表現することができる.ゲーム G に対し,各日 毎の得票率ベクトルを時系列順に並べた系列を「得票 率系列」とよび, V S(G) = [ −→V1G, −→ V2G . . . , −−→ VdGG ] と表記する. 本研究では,2 つのゲーム G1, G2に対する非類似度 の一つとして,得票率系列 V S(G1), V S(G2) を対象と した動的時間伸縮法に基づく非類似度を考える.より 形式的には,ゲーム G1, G2に対し,「得票率系列間非類 似度」 V (G1, G2) = Vw(dG1, dG2) を以下のように定義する. Vw(i, j) = cos (−−→ VG1 i , −−→ VG2 j ) + min Vw(i− 1, j) Vw(i− 1, j − 1) Vw(i, j− 1) ここで,cos(−−→VG1 i , −−→ VG2 j ) はベクトル−−→VG1 i と −−→ VG2 j の コサイン距離である.2.3
発言内容系列に着目した非類似度
処刑や襲撃,投票行動などのゲームの表面的な側面 だけでなく,より詳細な情報を利用した非類似度とし て,プレイヤーの発言内容による非類似度を考える. 準備として,自然言語で行われる各プレイヤの発言 を,人狼 BBS まとめサイト2に掲載されている人狼 BBS 関連用語辞書と形態素解析器 Mecab3 [8] を用い て分かち書きし,議論に関係のない単語を除いた出現 数上位 250 語を特定した.特定した 250 語を次元とし, 各ゲームの各 1 日の発言全体を 1 つの文書と見做し, TF-IDF 法 [9] を用いてベクトル化を行った.この様 にして得られるベクトルを,発言内容ベクトルとよぶ. また,ゲーム G の i 日目に対する発言内容ベクトルを −−→ WiGと表記する. ゲーム G に対し,各日毎の発言内容ベクトルを時系 列順に並べた系列を「発言内容系列」とよび, W S(G) = [ −−→W1G,−−→W2G . . . ,−−→WdGG ] と表記する.本研究では,得票率系列間非類似度と同様 に,2 つのゲーム G1, G2に対する非類似度の一つとし て発言内容率系列 W S(G1), W S(G2) を対象とした動 的時間伸縮法に基づく非類似度 W (G1, G2) を考える. この類似度を「発言内容系列間非類似度」とよぶ.ま た発言内容系列間非類似度は,発言内容ベクトル間の コサイン距離を利用することで,得票率系列間非類似 度と同様の方法で求めることができる.3
実験と考察
実験は,オンライン掲示板形式での人狼ゲームであ る人狼 BBS のゲームログを対象に行った.具体的に 2http://wolfbbs.jp/ 3http://taku910.github.io/mecab/表 2: 追放者系列の組み合わせ数 陣営別 役職別 day 実測値 理論値 実測値 理論値 3 3 4 5 32 4 10 24 18 1.4k 5 28 102 63 63k 6 64 385 112 810k 7 94 1,406 133 6,900k 8 9 4,616 9 38,460k 9 0 9,674 0 102,030k 10 0 10,670 0 124,940k 11 0 5,963 0 73,690k 12 0 1,596 0 2,360k 13 0 162 0 2,110k 合計 208 34,602 340 369,380k は,初心者村から参加者が 15 名(村人 8 名,占い師1 名,霊媒師1名,狩人1名,人狼 3 名,狂人 1 名)か つ突然死の無いゲーム 344 ゲーム(平均日数 7.04 日, 人狼勝率 48.5%)を抽出し,実験対象とした.
3.1
追放者系列の出現数
データセット中のゲームに対し,その大域的な展開に どの程度の偏りや多様性があるのかを確認するため,理 論的な追放者系列の種類数と,実際の追放者系列の出現 数とを比較した.結果を表 2 に示す.表において,“day” は勝敗までに要した日数を表す.例えば “day = 3” の 場合,処刑と襲撃をそれぞれ 3 回ずつ行った時点で決 着がついたことを表す.列 “陣営別” は,人狼以外の役 職をすべて村人に集約した場合の追放者系列数を表す. 本来狂人は人狼陣営の役職であるが,人狼ではないと いう意味で,今回は村人へと集約を行っている.一方, 列 “役職別” は,集約を行わなかった場合の追放者系列 数を表す.なおこの場合の理論値は,他に比べて大き いため近似値を記載している. データセットには 344 のゲームログが含まれている が,結果として 340 通りの追放者系列が得られており, 人狼 BBS におけるゲーム展開が非常に多様であること が分かる.また,実際の追放者系列は,理論値と比べ て短い日数に偏って存在している.この要因の 1 つと して,襲撃の失敗数の違いがあげられる.実際のゲー ムにおいては,平均襲撃失敗回数は 1.375 回であった が,理論値では複数回の襲撃失敗が発生したケースも カウントしており,このずれが影響しているものと考 えられる.3.2
視覚化を通じた非類似度による検証
ゲーム間の非類似度と勝利陣営との関連性を視覚的 に捉えるため,追放者系列間,得票率系列間及び発言 内容系列間の各非類似度を基に,多次元尺度法を用い てゲームの分布状況の視覚化を行った(図 1). 図 1 より,追放者系列間非類似度と得票率系列間非 類似度を用いた場合,ゲーム分布が勝利陣営毎に明確 に分かれており,勝利する陣営によって系列に偏りが あることがわかる.また,人狼陣営勝利のデータから 最も遠い村人陣営勝利のデータは,一方的に村人陣営 が勝利したゲームであり,境界付近のゲームは両陣営 が拮抗したゲームとなっていた.追放者系列と得票率 系列は集約された結果のみを用いている為,ゲーム間 の展開の差が明確に現れたと考えられる.一方で,発 言内容系列間非類似度を用いた場合,勝利陣営毎の偏 りは確認できなかった.この理由として,ゲーム内の 1 日の発言を 1 つのデータに変換しているため,発言 の前後関係等が適切に反映できていないことが考えら れる.3.3
分割型クラスタリングを用いた代表的
ゲームの抽出
各非類似度を用いてクラスタ分析を行い,クラスタ 中心(medoid)となるゲームを代表的なゲームとして 抽出・考察する.今回は予備実験よりクラスタ数を 5 とし,K-medoid 法を用いてクラスタ中心となるゲーム を特定した.抽出された代表的ゲームと,各クラスタ の要素数,人狼の勝率を表 3 にまとめる. 表からわかる通り,勝利陣営の分布という意味で,追 放者系列間非類似度を用いた場合に,最も精度の高い クラスタが生成された.また,得票率系列間非類似度 と発言内容系列間非類似度において,最も精度の高い クラスタ間に,クラスタ中心は人狼が勝利したゲーム である,1 日目に村人が処刑されている,占い師が襲 撃されている点という共通点が認められた. 各非類似度により抽出された代表的ゲームの集合に 着目すると,追放者系列間非類似度を用いた場合は,村 人以外の役職の並びが類似しているゲームが多数見ら れた.これに対し得票率系列間非類似度では,村人に 対する得票率が類似しているゲームが多数見られた.3.4
局所異常因子を用いた例外的ゲームの
抽出
各非類似度を基に,局所異常因子法(Local Outlier Factor; LOF)[10] を用いて,例外的ゲームの抽出を 行った.LOF 法は,K をパラメタとし,あるデータの−4 −2 0 2 4 −4 −2 0 2 4 loc[,1] loc[,2] werewolf villager −2 −1 0 1 2 3 −2 −1 0 1 2 3 loc[,1] loc[,2] werewolf villager −2 −1 0 1 −2 −1 0 1 2 loc[,1] loc[,2] werewolf villager (a) 追放者系列間非類似度 (b) 得票率系列間非類似度 (c) 発言内容系列間非類似度 図 1: 多次元尺度法を用いたゲーム間非類似度の視覚化 表 3: 代表的ゲーム(K=5-Medoids 法によるクラスタ中心) id 勝利陣営 要素数 人狼勝率 追放者系列 796 werewolf 50 1.00 [ v, s, v, v, p, b, m, v, v, v ] 632 werewolf 24 1.00 [ v, s, p, v, w, v, m, v, v, v, v, b ] 925 werewolf 98 0.85 [ v, s, w, v, p, b, v, v, v, m, v, v ] 1438 villager 80 0.09 [ v, m, w, v, w, v, w, n ] 1349 villager 92 0.03 [ v, b, p, v, w, s, w, v, w, n ] id 勝利陣営 要素数 人狼勝率 追放者系列 1312 werewolf 82 1.00 [ v, s, v, n, w, m, v, b, v, v, v, v ] 1204 werewolf 74 0.70 [ v, s, p, b, w, m, v, v, v, v, v, n ] 705 villager 57 0.26 [ w, s, w, v, v, n, w, n ] 666 villager 69 0.22 [ v, v, w, n, v, v, w, b, w, n ] 178 villager 62 0.05 [ v, v, w, b, w, m, w, n ] id 勝利陣営 要素数 人狼勝率 追放者系列 642 villager 60 0.68 [ v, p, w, n, v, v, w, m, w, n ] 269 villager 44 0.48 [ v, v, w, v, w, n, w, n ] 528 villager 65 0.42 [ w, b, w, v, w, n ] 946 werewolf 45 0.49 [ p, n, v, s, v, v, v, v, v, v ] 1348 villager 130 0.43 [ w, n, p, v, w, b, w, n ] (a) 追放者系列間非類似度 (b) 得票率系列間非類似度 (c) 発言内容系列間非類似度 周辺の密度が,K 近傍の周辺密度の平均よりも極端に 低い場合に,当該データを外れ値と判断する. 表 4 に,各非類似度に対し,勝利陣営ごとの LOF 値 (K=6)上位 2 件を示す.追放者系列間非類似度を用い た場合,例外的ゲームとして抽出されたゲームはすべ て 7 日以上の長く続いたゲームであった.各ゲームの 内容を確認すると,村人陣営が勝利した 2 ゲームでは, 狩人が終盤まで人狼に見つかることなく,霊媒師,占 い師を守護し襲撃失敗を複数回発生させるなど,能力 者が活躍をしていた.また人狼陣営が勝利した 2 ゲー ムは,どちらも終盤まで村人陣営が有利に進めていた が,最後には人狼陣営が逆転勝利したゲームであった. 具体的には,ゲーム id361 では占い師と狩人を騙った 人狼は処刑されてしまったが,最後の人狼が一部の村 人の信用を獲得し,勝利した.またゲーム id162 では 狂人が最後まで誰にも疑われることなく生存し,人狼 の勝利に貢献していた.以上のように,いずれのゲー ムも凡庸ではなく,例外としてふさわしいゲームの抽 出が達成できていると考えられる. 一方,得票率系列間非類似度を用いた場合,村人陣 営が勝利したゲームでは,前半は人狼陣営が有利で進 行していたが,後半に 3 人の人狼が連続で明らかにな り,村人陣営が勝利していた.また人狼陣営が勝利し たゲームでは共通の特徴はなかったが,ゲーム id968 は 全体を通して霊媒師が疑われ続けた珍しいゲームであ り,その霊媒師が最終日に処刑されたため,人狼陣営 が勝利している.またゲーム id336 では,序盤に占い 師の候補が全員追放されたため人狼が有利に進め,勝 利しているという内容であった. 他の非類似度を用いた場合と比較し,発言内容系列 間類似度を用いた場合,高い LOF 値を持つゲームが 得られなかった.しかし内容としては,村人陣営が勝 利したゲームでは,ゲーム id741 は生存していた狩人 の守護が成功し,またゲーム id730 では人狼の意図的 な襲撃失敗を行うなど,どちらも後半に襲撃失敗して おり一定の例外性が認められる.また,人狼陣営が勝
表 4: 例外的ゲーム(各勝利陣営の K=6-LOF 値上位 2 ゲーム) id 勝利陣営 LOF 1300 villager 1.88 [ v, n, v, p, w, n, v, s, w, v, v, n, w, n ] 932 villager 1.74 [ p, v, m, n, v, v, w, v, v, n, w, b, w, n ] 361 werewolf 2.79 [ p, n, v, s, w, v, v, v, w, b, v, m, v, v ] 162 werewolf 2.51 [ v, s, w, n, v, n, b, m, w, v, v, v, v, n, p, v ] id 勝利陣営 LOF 252 villager 28.20 [ v, v, v, p, s, n, w, b, w, v, w, n ] 950 villager 14.08 [ v, p, m, v, v, v, w, v, w, n, w, n ] 968 werewolf 9.22 [ v, v, v, s, p, b, w, v, w, v, v, v, m, v ] 336 werewolf 8.91 [ v, s, p, v, w, v, b, m, v, v, v, v ] id 勝利陣営 LOF 741 villager 1.74 [ v, v, v, s, w, m, p, v, v, v, w, n, v, n, w, n ] 730 villager 1.73 [ v, v, v, b, w, v, m, v, p, v, w, n, w, n ] 474 werewolf 1.47 [ v, n, v, n, p, b, w, s, w, m, v, v, v, n, v, v ] 806 werewolf 1.39 [ w, b, w, s, m, v, v, v, v, v, v, v, p, v ] (a) 追放者系列間非類似度 (b) 得票率系列間非類似度 (c) 発言内容系列間非類似度 表 5: 非類似度間の違いが大きいゲームの組 id 追放者系列 追放者系列のみ類似している組 511 [ v, s, p, v, w, v, w, v, w, n ] 791 [ b, s, p, v, w, v, w, v, w, n ] 751 [ v, n, v, v, w, n, w, v, w, n ] 1229 [ v, n, p, v, w, n, w, v, w, n ] 846 [ p, v, m, v, w, b, w, v, w, n ] 1354 [ v, v, m, v, w, b, w, v, w, n ] 得票率系列のみ類似している組 474 [ v, n, v, n, p, b, w, s, w, m, v, v, v, n, v, v ] 563 [ v, s, p, v, w, v, v, n, v, v, v, b ] 261 [ v, v, w, v, w, p, w, n ] 391 [ v, p, v, n, v, b, v, m, w, s, w, v, w, n ] 391 [ v, p, v, n, v, b, v, m, w, s, w, v, w, n ] 458 [ v, m, w, v, w, n, w, n ] 利したゲームではどちらも前半のうちに人狼が 1 人に なってしまうが,同じく前半のうちに能力を持つ役職 が全て追放されており,十分に例外的であると判断で きる.
3.5
非類似度の違いに着目した特徴的ゲー
ムの抽出
特徴的なゲームの一種として,追放者系列間非類似 度と得票率系列間非類似度において,一方の値が小さ い(似ている)が他方の値が大きい(似ていない)ゲー ムの組(対)を考え,その内容を考察する.表 5 に,両 非類似度において一方の値が小さく,他方の値が平均 を超えるゲーム対の例を示す. 追放者系列のみ類似しているゲームでは,出現した すべてのゲームが後半の 3 日間で人狼が 3 回連続で処 刑されている.ゲームの内容を確認するとすべてのゲー ムにおいて,3 日目の段階で確実に人狼であるプレイ ヤが 1 人以上明らかになっていた.また得票率ベクト ルを確認すると,3 日目の投票は 6 ゲーム中 4 ゲーム において人狼のプレイヤーの得票率が 8 割を超えてい た.3 日目の人狼に対する得票率が低かったゲームで も,生存している霊媒師が 3 日目に処刑されたプレイ ヤーが人狼であることを発言しており,4 日目の人狼 の得票率が 8 割を超えていた.得票率系列が類似して いない理由として,1,2 日目と最終日に得票率ベクトル の類似度が低いことがあげられる.最終日の類似度が 低くなる理由は最後の 1 人の人狼が明らかになってい ない場合や,人数が少ない為に票が割れた時の得票率 の変化が大きいことが考えられる. 一方,得票率系列のみ類似しているゲームでは,ゲー ムの続いた日数は異なっているが,どの組においても 処刑されているプレイヤーの役職の順序が一部類似し ている.また,得票率ベクトルの類似度が高くなった 理由として,これらの組は票が割れ方が近い割合であ ることが多かった点が考えられる.ゲーム内容を確認 したところ,特に後半の得票率ベクトルが類似してい る部分は実際のゲームでも展開が類似していた.例え ば,id474 と id563 のゲームでは後半の 3 日間は人狼が 誰も疑われておらず,人狼が有利に進めることができ ていた.3.6
重要分岐点の抽出
勝利陣営をクラスとし,ある時点までの追放者系列 のエントロピーと,次の処刑されるプレイヤの役職を 追加した追放者系列のエントロピーの差から情報利得 [11] を計算することで,ある状況において重要な分岐 点となるプレイヤの役職を導出する. データセットから,前半部分が同じ追放者系列を持 つゲームが 4 ゲーム以上存在し,情報利得が高かった 追放者系列と追加した役職を表 6 に示す.この結果よ り,人狼陣営は,2 日目に占い師の襲撃が成功した場合 に 3 日目に狂人の処刑できれば,ゲームを有利に進め られることが分かる.一方で,村人陣営は,1 日目に村人と狂人が追放された場合,次の日に人狼を処刑でき れば有利にゲームを進めることができることが分かる. ところで,前半が同じ追放者系列を持つゲームを 4 ゲーム以上持つ組は 41 通りあり,そのうち 2 日目が同 じ組は 22 通り,3 日目以降は 4 通りであることから, 2 日目までに追放されるプレイヤーの役職はその後の ゲーム展開に影響を与えると考えられる.情報利得が 高くなった追放者系列の特徴として人狼陣営の勝率が 高いデータでは,占い師が襲撃により追放されている ことから,狩人が本物の占い師を守護することは村人 陣営の勝利において重要であると考えられる. 表 6: 高い情報利得を持つ追放者系列と追加役職の例 追放者系列 追加の役職 データ数 人狼勝率 [ v, v, v, s ] p 4 1.00 [ v, p ] w 11 0.18 [ v, v, w, v ] w 4 0.00 [ v, s, w, v ] v 5 1.00 [ w, m ] v 5 0.20
4
まとめと今後の課題
本研究では,人狼 BBS のゲームログに含まれている データを効率的に理解する為に,3 種の非類似度を提 案するとともに,それらを用いて代表的なゲームや例 外的なゲームの抽出を行った.また非類似度に関して 言えば,追放者系列間非類似度を用いることで適切な ゲームの類型化が実現できた一方で,より粒度の細か い発言内容系列間非類似度による類型化の精度は必ず しも高くない結果となった.この理由の一つとして,発 言内容系列では,1 日の発言内容をまとめて 1 つのベ クトルとして集約しており,発言の前後関係等が失わ れていることが考えられる. 今後の課題として,発言内容をより精密に捉えるこ とのできる非類似度の開発があげられる.具体的には, (一日単位ではなく)より細かい粒度の採用や,単語の 意味情報を考慮した発言内容のベクトル化,発言の前 後関係や誰に向けての発言であるかといった情報を加 味することなどを検討している. 謝辞 人狼 BBS 管理者 ninjin 氏及びデータを提供し てくださった東京大学 鳥海不二夫准教授に深く感謝致 します.参考文献
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