• 検索結果がありません。

ビデオカンファレンスにおける海外日本語学習者のコミュニケーション : 遠隔接触場面の課題と可能性

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ビデオカンファレンスにおける海外日本語学習者のコミュニケーション : 遠隔接触場面の課題と可能性"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unioation  Assooiation  of  Japan

Speech Communication Educati Dn Vol,26,20132544

◎2013 日本コ ミュ ニ ケーショ ン学 会

 

 

 

お け

海外

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ュ ニ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠 隔

接 触

場 面

課 題

能 性

語 学習者

1) 吉 田     睦   (筑 波大 学)

 

 

AStudy

 on  

Communication

 via  

Videoconference

 

for

 

Japanese

 

Language

Learners

 

Overseas

Problems

 and  

Possibilities

 

in

 

Distance

 

Contact

 

Situatiorls

YOSHIDA

 

Mutsumi

University

 of 

Tsukuba

Abstract

. 

As

 the nurnber  of 

Japanese

 language students  overseas  

increases

, 

learning

environments  are  

becoming

 mQre  diversified. 

The

 recent  

increase

 

in

 web  based

videoconfereneing  systems  has enabled “

face

−to−

face

”communication  

between

 the

Japanese

 Ilative speaker  and  the Qverseas  

learner

. Although  web  

based

 video

conferencing  

has

 

becorne

 an 

indispensable

 tool for developing Participants’

language

skills 

this

 

technological

 resource 血troduces 

interactive

 and  multiple  

linguistic

 

issues

To

 effectively ut皿ze this technology 

in

 an  educational  situation, these 

issues

 need  to 

be

analyzed  

from

 a theoretical perspective and  

in

 

light

 of empirical  evidence . 

This

 study

aims  to use 

discQurse

 analysis  to 

decipher

 characteristic  strategies  

for

 creating  f[uid

co  unication  in distance contact  situations .

Focusing on  a socio −cultural  approach  co  unication 輔

deoconference

 creates

an opportunity  whereby  students  can 

learn

 autonomously  while  

benefiting

 from

co且aboration  with  

Japanese

 

participants

. 

ThrQugh

 qualitative 

investigations

 of collected protocol analysis  this study  ident丗es strategic  

behaviors

 of conversation  

based

 on Visual, enViron   ental  and  

phonetic

 factors, 

Frorn

 these observations , 

the

 authQr  argues that effecti e 

distance

 eommunication  

has

 considerable  

linguistic

 

features

 including

multimodal  strategies  and  that ultimately  extensive  

future

 research  is needed  to clarify

the

 varied  discourse enVironments ,

1

. は じ め に

 

現在、 海外日本語学習者 数は

365

万 人を超え、日 本 語学習者の

95

%以 上 が海外 学 習機関 で学んで い 際 交流 基 金、

2010

)。近年の 日本 語 学 習者の学 習動 機は、ア ニ ド ラ

25

一 N工 工一Eleotronio  Library  

(2)

マ 等の文 化 的関心 に起 因して い る と さ れ、日本 語学 習者 増加の背 景には、 彼 らの 情 報収 集 を支える ネッ トワーク設 備の 普 及

ICT

技 術の 上 が指摘 される。 特に 現在で は、 若年 層を中心に学 習者 自身の メデ ィ ア ・リテ ラ シーが高ま り、 日本か ら地理 的 ・情報 的距離が ある国の 日本 語学 習 者で も、 音声や映像 を含む動 的な 日本語 資料に 自らア ク セス るこ と が 可能に なっ た。 その ため この 様な近年の学習 環境 を背 景に、 学 習者 を取 り囲 む 「日本 語 談話 環境列 を改め て捉 えな お し、学 習者が遭遇 する 日本語 使 用機 会の一場面 と して認識 してゆ く必要がある。  日本語 母語 話者と学 習者の コ ミュ ニ ケーシ ョ ン場 面で あ る 「接触 場面 」(ネウ ス トプニ ー、

1995

)の 会は、教室 内の文 法学 習や会話練習 と は異なり、母語 話者 との直 接 的 なや り取 りを通 して、 話題の選 択や情 報要求 ・提示の コ ン トロ ール、 意 味交渉 などの相互 的 な 日本 語学習を促進 させ る。 特に 日本語 ・日本文化に関する情報が少 ない 海 外 日本 語教 育環 境に おい て は、 接 触 場 面は社 会言 語学的能力やコ ミュ ニ ケーシ ョ ン能力の 向上 だけで は な く、 学習者 自身の学 習 意欲や文 法使 用場 面の 理解に繋が り、言 語 学習 観を形成 する もの ともな る。

 

こ うした現在の 日本 語学 習環境に対 し、本研究は ビ デ オ カ ン フ ァ レンス を 用い た遠隔接 触場 面 を海外日本語 学 習者 と母 語話 者の音声 的接 触の一つ と して検討 し、 音声 ・映像 資料 をもと に特徴 的な 言語表出 を明ら かにする こ とを目的 とす る。 ま たこれにより日本語 教 育 における遠隔会 話の 課 題点を指摘 し、日本語 学習 者の コ ミュ ニ ョ ン の 一場 面と して の可 能性 を検 討 するこ と を 目指 す。

2

. 日本 語 学習 者の

場 面 と して の遠 隔コ ミュ ニ ケ ー ショ ン

2

1

  学 習 環境の変 化と海外日本 語学 習者の談 話場 面

 

海外 日本語 学 習者の学 習環境は、地 理的 ・経済 的理 由によ り多様で ある。 日本語 母 語話 者 と頻繁に接 する機会を持つ れ ば 、 大 学で 日本語 を学 び な が ら も、 母語 話者 と直接 会話をし た経 験がない 者 も

Imura

2004

、 教 室外で の母 語話者との接触の メ リッ トを、言 語 的側面 ・社 会 文化 的側 面 ・情緒的 側面に分類 し、 海外 日本語学習環 境における 日本語母 語話 者との接 点の教 育 的意義 を主張 する。 し か しなが ら、実 際に各々 の学 習 者が 教 室外で 日本 語母 語話 者との接 点 を得ることは容易で はな く、 談話環境が多様化する一方 で、 受動 的な学習を継 続 する場 合 も多い 。

 

他 方で 、若年層の海 外日本 語学 習者は、情報収集の手段として コ ンピュ ータを頻 繁に使 用 し、 学習の領 域 を超えて動 的 な日本語資料に 触 れてい る。

2011

年度に実施し た

CEFR3

)・

B1

レベ 中級 前 期 本語 運 用 を把握 する た め の言 語 活動 調 査4) で は、欧州

25

の機 関の協 力を得て、海外 学習環境で遭遇 可能 な

16

の 日常生活場 面に対 し、実 際に 日本人 と会っ て経験 し たコ ミュ ニ ーシ ョ ン と イ ンターネッ トを介して経験 したコ ミュ ニ ョ ンの

2

場 面の 日本語使用経 験を集計し た (櫻井 ・東 編、

2012

)。 その結 果、 「食事」 「医療 」 「教 育 的サ ービス」 「集会」に関する

4

項 目を除い た

12

場 面で は、全て イン ターネッ ト を介 し た経 験の ほうが多 く報告さ れ た。 これ らの 研 究か ら、 海外日本 語学習者の 日本 語使用場面

(3)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unloatlon  Assoolatlon  of  Japan

はメディ ア をたコ ミュ ニ ケーシ ョ ンへ と広がっ てお り、遠 隔 手法に よる コ ミュ ニ ケー シ ョ ンを学習 者の言 語 的な イン プッ ト ・ア ウ トプッ トの 場と し て位 置付 けて い く必 要性 ある こ と が指 摘で き る。   ま た イン ター ネッ ト を介 し て 日本の ドラマ を見本の音 楽 を聴 く、 情 報 交換をする とい う行 動 学習動機が学者の 主体性とびつ い て い る こ とで、 継 続 的な言語 学習を 促 す と考え ら れる。 近年で は仕事と 両立させ た生涯 教 育と して 日本 語 を学ぶ 学 習者 も増加 し (生田、

1999

)、 海外での使用場 面が少 ない 日本語 も、 IGT 技術を利 用 する こ とで ら ア ク セス 可 能 な身近 な 言 語 と し て も認識さ れつ つ る。 こ うし た背 景を踏ま え、学 習者が 参加可能な接触場 面は、 直接 母 語話 者と接する 「対 面場 面」に加え 「遠隔場面」へ と拡大 して い る。

現 在まで も外 国語糖 を対象と した様々

CMC

computer  mediated  communication )

研 究 (

Warschauer

1997

)や e −

learning

教 材 等実 践 的 な導 入 が 進ん でい るが、 これ か ら の 海外日本語 談 話環境と して具体 的資料 を提 示 し、 日本 語教 育における より汎 用 的 な 教育 利 用を目指して有効性と利点を検証する必要がある と考え ら れ る。

2

2

  遠 隔 コ ュ ニ ケーシ ョ ンの言語 的特 性

 

遠 隔接 触場 面 を、掲示板や

IP

電話等の 他の

CMC

と比 較 する と、次の ような言語的特 性 が記述で き る。 掲示板は 一 に多数 話者に向 けて発 信さ れるこ と か ら公共性が高 く、主に 非 同期の テキス トで構成さ れて い る。 また コ ミュ ニ ケ ー ン ッ と し して

SNS

は、 閲覧者の グル ーピン グを行 うこ と がで き、 テ キス トに加えて写真や映像など 様なフ ァ イル を通 して情 報 を発信 する こ とがで きる。 一方 、チ ャ ッ トや

IP

電 話 (インタ ー ネッ ト電 話)は 同期 性が高 く、 対 面 会話と 同様に話 者 交替 (

turn

taking

)が可能と な り、 より相互的 なコ ミュ ニ ケーシ ョ ンを実現 するこ とが で きる。 これ ら と比 較 し、 ビ デ オ カ ン フ ァ レン ス に よ る遠隔接 触場 面は、 参加者、 言語モ ー 、公共性 、 同期 性ともに対 面会 話 に近 く5〕、 音声に加 え、 よ りマ ルチモ ー ョ ンが達 成で きる と考 えら れ る。 日本語談 話分 析の 分野で は電 話会 話を対象と し た 研究 も蓄積さ れてい る が 、 遠 隔接 触場 面で は、視 覚情 報や音声と映像の ずれ な ど技術 的制約に付 随する要 因が見 ら れ、 会 話 中の 話者 識 別や非言 語行 動 も新た な分析の対象と なる。

 

ビ デ オカ ン フ ァ レ ン ス に関する コ ミュ ニ ーシ ョ ン の 研 究は、 技 術面で既に多くの研究 が蓄積 さ れて い る。 例 え ば、空聞の非 共有に 関す る基礎 研 究 と して 、

Fish

 et a1.(

1990

) は会 話参 加者の間に擬 似 的 な 窓 を 設 置 し、 画面 を介 すと対 面会話 より会 話量 が少な く な り、 アイコ ンタ ク トが欠如 し やすい とい 問題 点 を指 摘 した (図

1

)。 ま た 近年で は、より対 面に近い 会話を実現 するた め、複数地点の 話 者

1

画面に同 時に映し、相手のに触れ た り手 を挙 げる こ とで空間の共有化を試み る (図

2

) 等、 実施 環境 を改善する試みもみ ら れ る (

Cullinan

Agamanolis

2003

。 し か しい ずれも映像や音 質 などシ ス テ ムを対象とした 技 術 的 な知見に留まり、外国語 教育 、特に 日本 語教 育の枠組みで の言語的 な 利点や課題 点 を検証した もの は少ない 。 日本 語教 育にお ける遠 隔会 話を分析し た 尹 (

2004a

, 

b

)は、 国 一

27

一 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(4)

F噂uro 2.覇o V濯θo陥 d醐 obco 門forgn引  騨   .   図

1

 

Fish

 et al.(

1990

の 調風 景 懲 肌 

 

隆 警

欝 駄

 

算罵 ’m

 

鮒二

 

Fls凵K l SereentfU司喜「  邑L ・Fmn 旧Rc−Lnmu;■m 図

2

 

Cullinan

Agamanolis

   (

2003

)に よ る空間 共有化 内で接 続 し た事例 を 用い るこ とで話者 交替 (turn−taking) や調 整 行動に関する詳細 な分析 を行っ た が、時 差やネッ トワーク 環 境 の保 障 が 問 題 と さ れ る海 外環境に接 続 し た 例 は未だ 少なく、海 外学習者 自身が 遠 隔接触場面の言 語 的特徴を認識 する には 至 っ て はい ない こと が課 題となる。

3

.新た な 日本 語 教育の 場 と しての 遠 隔 コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン

3

1

  学 習理論か ら み た遠隔接触場 面

 

近年 、日本語 教 育の 分野におい て 「状況 的 学 習論 」 (

Lave

& Wenger

1999

)、 「社 会 文化 的ア プロ ー」 (Wertsch ,

1991

「活動論 」 (Engestrom ,

1987

)な ど、杜会的な 文脈の 中に学 習 を位 置づ け る 理発 に 展 開 さ れ新 た な 学 習 論 が 構 築 さ れ い る (ヒ野 ・ ソ ーヤ ー、

2006

;杉 原、

2010

;西 口、

2004

)。 これ らの学習 理 論に共 通 して い るのは、学 習 は個々の学 習者が学ぶ過 程で はな く、周囲 との インタ ラ クシ ョ ン を通 し た協働に よっ て知 識が創造 さ れ、 主体 的に学ば れる もの と捉 える点で ある。  社 会 的文脈を 重視 し た学 習理 論を踏 まえる と、遠隔接 触場 面に 関 し、新た な 日本語教育 のと して 次の

2

を提 案する こ と がで きる。 第 一 、 学習者 を取 り巻 く談話 環境の うち、 ビデ オカ ンフ ァ レ ン ス に よる遠 隔接 触 場 面が、 教 室 内の 日本語コ ミュ ニ ケ ー ョ ン、 教室 外の コ ュ ニ ョ ンの ほ か に、「第.三の 場所 」と して新 しい 言語 的接 点設 ける こ と がで き る 点で あ る。

Kramsch

1993

236

) は、 「第三 の場 所 」を 「学 習 者がこれまで 育っ て きた文イピ と、 学 習者が これ か ら経験 してい くこ と に な る文化の 問で育ま れてい く もの (著 者訳 )」 「学 習者 自身が 白分な りの意 味を創造で きる場 所 (著 者訳 )」と説 明して い る。 言 語 教育の 文脈の 中で 、こ の 「場 所」は学 習 者の視点や 能力 、環境 と して拡張 的に捉 えら れ、第二 言語 学 習や母文化の言語 使 用規範と は異なる新たなコ ミュ ニ テ ィ ーや文 脈と して 、 学習者 自身が 目標 言 語の意味 付け を自由に行 うこ と がで きる場 所を指 して い る。 海外日本

(5)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service

語 学 習者の場 合、 目標 言 語を学ぶ教室内環境 と、母語 ・母文 化に相 当する教 室外 環境の ほ かに、より学 習 者主体の形で創造 的 な 経験 を積 むこ と がで きる場 として、 遠 隔接 触場 面を 位 置づ る こ と がで きる の で は ない だろ うか。

 

第二 に、 遠 隔接触 場 面は 「他者との協働の場」とし て も機 能 する可 能性 が ある。 協働 7} と は、学 習者の 主体 的 な学びに着目 し た学習理論の一つ で あ り、 他 者との交 流に より学 習 が進むこ と を指 す。 遠隔 場面で は 「双 方向」 かつ 「参加 型」の コ ミュ ニ ーシ ョ ンが可 能 で あ り、 異 なる背景を持つ 相手と対 話するこ とで学びの協働が達成で き る と考 えら れ る。 近年で は、 遠 隔協働学習 (

Computer

 Supported  Collaborative 

Learning

CSCL

);上 野 ・ソ

ー ヤー、

2006

)と して 、 「目標 言語 話 者 と言 語 を練 習 する機 会」と して だけで は な く、学 習 者が 母文 化に関する情報 提供 を し た り、 日本語 母語 話者が 日本 語を訂正する経験 をする等、 協 働 行動に よる学びの場 と して認識さ れつ つ る。

 

また遠隔接 触 場面における イ ン タラ クシ ョ ンで は、 同じ 目標を持つ 学習者間の学びであ る協 同学 習 (

Cooperative

 

Learning

に焦点 を 当て る こ と がで きる。 協同学習が達 成さ れ る過 程で重要 と さ れ る概念 は、

1

)互恵的 な相互依 存性 (positive 

interdependence

)、

2

) 対面 的 な相互交 渉 (

face

−to−

face

 

promotive

 interaction)、

3

)個人 と して の責任 (

indiVidual

accountabihty  personal responsibility )、

4

) 社 会 的ス キル や 運 営ス キル

interpersonal

and  small−

group

 sk 皿)、

5

)集団の改善手続 き (

group

 processing)と さ れて い る (表

1

Johnson

Johnson

1989

SlaVin

1990

)。 遠隔接 触 場面 をこの概念に当て は め る と、

1

)相

互依 存性や

2

)相互交渉は会 話 内の ト ピッ ク や意 味交 渉と して、

3

)個人 と して の責任は 発話 権の交替や会話の主導権 と して 、

4

)社会的 ・ ル は談話展 開適 切性会 話 の開始 ・終結の手続きと して、言語 的に表 出する と考えら れ る。 また

5

)の集 団改 善の手 続 きは、 遠 隔接 触場面 の前 後の 問 題発 見や課 題の解決に該 当する と考えら れる。 そのた め、 従 来教 室 内の ア ク テ ィ ビ テ ィーと して議論 されて きた協同学 習 も、 今後ビ デ オカ ン フ ァ レ ン ス を通 して達成 さ れ るこ と が期待で きる。 表

1

  協同学 習の 基本 要素 1)互恵的な相互依存性 positive interdependence)

2対面的 な 相 互 交 渉 face−to−

face

 

promotive

 

interaction

3)個人 とし て の責任 (individual accountability  personal responsibility )

4

)社会 的ス キル や 運営ス キル

interpersonal

 and  small −

group

 skill)

5集団の改善手続き group processing

(Johnson&

Johnson

1989

;Slavin,1990)

32

 

学習者 主体の学習と自律的なコ ミュ ニ ケーシ ョ ンの育成

 

近年、学ぶ主 体で ある学 習者を中心 と した内容重 視の 日本語教育が進め られて い る。 学 一

29

(6)

習者が積 極 的に学 習に関わ り合い な学習 リソ ース を活 用 して学ん でい こ 姿 勢が注 目 さ れ、 遠隔に よる コ ミュ ニ ケーシ ョ ン は教 室外 環境に お け る イン プッ トを 補 完 し、 場 所を問わずに自律的 な 日 本 語学 習を継 続 するた めの 手 段とな り得る。 「自律性 」と は、 学 習者が 自ら学 習に任 を持ち自身のを管理 する能 力 を指 し、 青 木 (

2009

)は、「自 分の学習に関する意志 決定 を 自分で行 うた めの能力で あっ て、 また その能力 を使う権利で ある」と述べ 、 学 習の 目的、 目標 、 内容、順序 、リ ソース と その利 用法 、ペ ース、 場所 、 評価 方法を選ぶ こ とを指す と してい る。 本稿で取 り上げる遠 隔接 触 場面の 機 会は、 設備や

理 面で教 師の介在が必要で ある もの の 、多様 化する学 習環 境の 中で、 将来 的に学習者が 自らの学 習意 欲に応 じて選 択するこ とがで きる主体 的学 習方 法の一つ と して提 案すこ と がで る。

 

ま た 近年コ ミュ ニ 重視機 能シ ラバ ス概 念シ ラ が導 入さ れ る に な り、言 語評 価基準におい て 口頭 能力が重 視さ れてい る、 欧州の

くの大学機関で言語教育 の 評価基準 と さ れて い る

GEFR

は、学習者を 「社 会 的存 在 」と捉 え、 各 自の 言語能力を 駆使して課 題遂 行のた めの言 語活動を行い 、その際の能動 的 な産 出や受容 を判定の対象と す る。 現 在 、多 くの大 学 機関で CEFR によ る 語学ク ラス 編成が行われ て お り、日本語 の レベ ル判定 も、他 言 語 と 並 び海外 環境で の 社会 的な文脈の中で行わ れ る 必要 性が問わ れて い る。 その た め遠隔接触場 面の使 用に より言語 的なア ウ ト プッ ト場 面を自己管理 し、 受 身 的 な学習サイクルであっ た 日本語 学 習に 自発 的 な発話産出の 機会を組込む 、 よ り 有効 な言 語学習が可能になる と考 える。

4

.方 法

4

1

  資料 概 要

 

本研究が対 象とする会 話資料は、海外大学機 関 (フラン ス 、 ロ ーヌ ・アル プ 地方 )に お ける 日本 語 学 習 者グル ープ (

Non

 

Native

 

Speaker

NNS

)と 日本に住む 母 語話 者グル ープ

Native

 

Speaker

:NS ) をビ デ オカ ンフ レ ンス で接 続 し た多者間遠隔会話 (

6

名 同士、計

40

分)、及び同条件の 学 習者

1

名と母 語 話者

1

名を接 続 した二 者間遠隔会 話 (計

210

分)の

2

場 面の遠 隔 会 話で ある。 調査は、

2011

3

月か ら

5

月に現 地 教 員と連携 して実 施 した (接続先 との時差は

7

時 間)。 日本語学 習者は、 英語 ・経 済及 び 日本語 を専攻 する外 国語 学 部東洋言 語学科日本語 科の大 学生で あり、フ ラ ンス語を母語 と してい る が複数 言 語 話者 と して 家庭 内で はスペ ア ラ ビ ア語、 ベ トナム 語等を用い て い る。 学習 者の 日本 語 レ ベ ル は

CEFR

A2

(初級 後 期 )から B1 (中級前期)相 当で あっ た。 日本語母 語話者 は言語 学 ・教 育分 野の大学 ・大 学 院に所 属る学生で あ り、 母語 話者 ・学習者と もに

20

代 男女でっ た。 学習者 と母 語話 者は 互い に初 対面の間柄で あ り、 事前 情 報の共有は な く遠 隔会話 画 面 を通 して の み話 者関係 を構築し た。

4

 

2

 分 析 方法と 記 述形 式 多者 問遠隔会話で は、広範 囲を映 し人数の 参加に対 応 し てい 議 用 ビ デ会 議

(7)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unloa ヒlon  Assoola ヒlon  of  Japan

テム

P

co ”z) を用い て交流を実施 し た. 調査は現地授 業 時間内に実 施 し、 特定テ ー を設 けずに 自然 なコ ミュ ニ ケーシ ョ ン を行 うよ う指示を して 開始し た。 教 室に は複 数のマ イクを設置し、参加 者の 発話 を均等に記 録 した ,自分が どの 様に画面に映るか を確 認 する 自己モ ニ ター画 面表示は、日本側 も海外側 も相手参加者と同等の大 きさで 、 自己画面と並 列 して ス ク リーン ヒに表示 し だ,  ま た二 遠 隔会話で は、個人間の ビ デ オ会話システ ム と して汎 用性の 高い 公開ソ フ ト ウェ ア (Skype )を 用い、 内蔵ま た は外付けの ウ ェ ブ カ メラ を使用 し実 施 し た。 ネッ トワー ク は両大 学 内の 無線 LAN を使用 し、初 対面の 自由会話 と して 各約

30

分の 会話 を記録 した。   資料は、コ ミュ ニ ーシ ョ ン の 両端 〔日本側の 母語話 者 (図

3

)・海外 側の 学習 者 (図

4

)) をビ デ オカ メ ラ で記 録 し、交流終了直 後に調査につ い の印象を

LI

述 して もらう形 でフ ォ ロ ーア ッ プア ン ケー トを行 っ た。 ア ンケー トは会話 実施 時の 意識 調企 (相 手の情 報 を得る た め に積極的 に質問 し た、 相手に応 じ自分の 話 し方 を調整 し た等 、全

16

H

)、及 び遠 隔会話に対 する印象を問 う内省調査を口頭で行っ た。 音声の トラ ン ス ク リ プ トに は、 会 話 分 析 分 野で 広 く使 用 され る 記 述 形 式で ある

Jeffferson

の 転 写シ ス テ ム (西 阪 他、

2008

)を用い 、本稿で は「[:複 数の話 者の重複」「=1記 号前 後

2

つ の発 話が密接 」「〔 ): 聞き取 り不可 能」 「(m ,n):音 声 が 途え た 秒 数」 「(.):短い 間 合い 」「言 葉 : : :直前の 音が長い 」「

h1

h

:呼気音

1

気音」「

hh

、 

huh

、 

heh

等 :笑い 」「¥ ¥ :笑い 声話 す 」 「 葉 :強 く発 す話」「↑↓;音調極端な 上 が り下 が り」「〉 〈 /〈 〉 :速 く な る な る」「°°:声が 小 さい 発話」を用い た,

4

3

 分析 観 点  遠 隔場 面の コ ミュ ニ ケーシ ョ ンに 見ら れる特徴は、その くが 「離れて い る場所を繋 ぐ」 際の技 術 的 要 因に起因 す る 場 合 が多い . しか し な が ら言 語 教の立 場 か ら 日本語 学 習 者の 遠隔接 触場 面 を議論 する際には、これ らの 技術 的要因 が どの よ うな言 語 的特徴を産 出 し てい るの か、 詳細に言及する必 要がある、、 日本 語に おける遠 隔会 話を分析 し た福 永 他 (

1993

)は 、ビ デ オ会 議シ ステ ム を介 したコ ミュ ニ ケーシ ョ ンの 円滑な 意 思疎通 を阻害す る要 因として、 画面の 画 質や 大 きさの 問題 、画 面の閉塞性 、空間の 非共 有 、視線の不一 致 、 図

3

  多者間遠隔接触場面 (日本側) 図

4

 二 遠隔接触場面 (海外側) 一

31

(8)

距離 感と物理 的接 触の欠如 を指摘 してい る。 本 研究では、言語 学習におい て重要 と なる音 声に お け る 課 題 を加 え、視覚要 因、環 境 要 因、音声 要 因の

3

要 因を示 し、対 面性 構 築の た め の コ ミュ ニ ーシ ョ ンと して特 徴 的に表れ た会話構 造 を記 述する。  また本 研究で は、多くの例に基づ く数量的分析で はなく、実際の会話資料を詳細に記 述 する、 内容重 視の 的ア プロ ー

Hearnshaw

2000

話調 査加 者 へ の イン タビュ ーを中心 と し た内省 的研 究におい て 、設備 条件が良 くなる と学 習者が満 足 する とい う結果 を得な が らも、客観的テス トで は明確な因果 関係に結びつ か な かっ たこ と を指 摘 し、具 体 的 な発話データを観 察する内容 ・文脈中心の ア プロ ーチの 必 要性につ い て 触れてい る。 その ため本 研究に おい て は、言語教 育に お け る更な る 利 用 可能性を視 野にい れ、 実 際の会 話 資料 を詳 細に 記 述する。 これ に よ り技術的 な 制 限 が言 語表出に与え る影響 を明ら かに し、 遠 隔コ ミュ ニ ケ ー ョ ン に み ら れ る談話形 式 と教 育利 用 の 可能性につ い て 考 察する。

5

.結果 と考察  記 録 した資料よ り、 遠隔接 触場面の 阻害要 因であ る 視覚要 因、環 境要因、音 声 要 因の そ れ ぞ れに特徴 的な言 語表 現が示 され た。 以 下 に、各 要 因を顕 著に示す会 話 資料 を提 示 し、 結 果と考察を示 す。 な お分析 対 象とする資料 冒頭には、会 話 形式 、会 話 内容 、時間数 、対 象資料の記録 場 所を記す 。

5

1

  視 覚 要 因  遠 隔接触場 面の特 徴で あ り課 題点で もある のが、 視 覚情 報へ の依 存で ある。 遠隔会 話は、 音声の みの電 話会話 やテ キス トのみの チャ ッ ト と は異な り、 視覚情報を伴 う伝 達が 可能に なる点で 、より対面会話に近づ 。 その一方で 、 画 質や映像のずれ等の技術 的 な制約の た め、非 言 語 に よ る 反 応 や情報の送受 信が困難で あ り、特徴 的 な会 話構 築が現れる と考 えら れ る。 こ こ で は、画質や画面 の大き さ、画面の 閉塞 感、 視 線の不一致 など が原 因となっ て 生 じたコ ミュ ニ ケーシ ョ ンを 視覚要 因と して分類 する。

5

1

1

  識 別性 ・自己呈示 表 現  遠 隔コ ミュ ニ ケーシ ョ ンは その 視覚的制約に よ り、画 面内の複 数の参加 者か ら特 定の話 者を識 別 し にくい とい う課題 を持つ 以 下資料

1

多者隔 会話ら れ た会話 例 ある。 日本 語母 語話 者

6

名 、海 外日本語学習者

6

名で行わ れ た多者 間遠 隔会話の 開始 部に おい て、 海外日本語 学 習者

6

名全員が自己紹介を終えたあと、母 語話 者の 自己紹 介 が開 始 さ れ、 日本語 母 語 話者

NS

 

1

2

番目の話 者と して発 話 する場 面で ある。  ビ デオ会 議シ ス テ ムの 多 くは、 相 手の顔をモ ニ ター上部の カメ ラか ら撮 像 するため、 画 面 に は や や 俯 い た顔が表 示さ れる。 その結果 、互 い にア イコ ン タ ク ト を得るこ と が 出来 ず、 不 自然な印象を残すこ とがある。 また複 数の 話者が 同時に参加 する場合 、各々の顔が小 さ く映るこ とで顔の きや表情を詳細に伝 達するこ と がで きず、 非 言語情 報による会 話相 手

(9)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unioation  Assooiation  of  Japan

資料

1

  多者間遠隔会話:自己紹介 (

08

18

09

09

日本側記録 ) Ol         (周り を見 回 した後,NS2 がNSI に 手を 向 け順番を示す。 NSI は手 を挙げ な が らは じめ NSI       まし て::2回会 釈をする)(0.4えっ と松岡さきとい い ます 02 NNSl [e はじめ まして゜ 03 NS1 っ と::い ま21 歳です. 04 NS1 (0.4)えっ と::A 大 学で,日本語教 育の 勉 強を し ています 05 NSl 〔0.4)趣 味昼::書道です 06 NS お:: 07 NS1 (会 釈 を し な が ら)よ ろ し く お 願い し ま す 08 NNS (4.0)書 道?(フラン ス語 で相 談を は じ め る) 09 NS huh 10 NSl 書 道 わ か り ま す か. 11 NNS2 ん::い い え

T

12 NS huh 且3      NSl う::ん習 字 ↑ 14 NNS huh IS      NS1 乎 を動か し て筆で な ぞる動作をするな ん だ ろ,(隣の NS2 を 見 る 16 NS2 カリグ ラフ ィーだ よ ね 17 NSI うん カリグラフ ィー,ジ土捕三= ズカコ.グユ

Z

イ.= 18      NNS あ:::huh 19 NSI 2度 大き くうなづ きなが ら)huh 発 話内下 線 部(坊農 ・片 桐,2005よ り:    聞 き 手であ る母 語 話者NS を 見て いる部 分    あ らぬ方 向 を 見てい る 部分 ジェ ス チー空間を見て い る部 分 伏せ 目が ちに 下 を 見てい る部分 の識 別が困難で ある。 その た め

Ol

行 目では相 手話 者に見え る よう挙手を行 うこ と で、話者 認 識 を促 して い る。 これ は母 語 話 者 と学 習 者の協同の 場 と して、

Johnson

Jo

  son (

1989

)が述べ

2

対 面 的な相互 交 渉や

3

)個 人と しての責任が言語活動に現れ た一例 であ り、 挙 手に より自らの発話 順を明確に示 すこ とで、同 じ遠 隔会 話参 加 者と しての確 実 なコ ミュ ニ ケーシ ョ ン を達 成 してい る。 他に も、林 他 (

1994

)は、 複 数の話者が 同 一 面に表示さ れる際 、識 別性の問題 を解決する た め に参加 者が 「方 向性 言語 (「私 」 「俺 」 な どの 自称 方向性 言語、 「○○君」「右上の 人」な ど特定の 相手話 者を示 す他称 方 向性 言語〉」 を用い る こ と を指摘してお り、遠隔会 話の 回数を重ね るご と に方 向性言 語の使 用 が増加 し たこ と を報 告 してい る。  こ の様な話者を特定する手段は、複 数の次話 者候 補 者が存 在 する多 人 数の対 面会 話に も 表れ る と考えら れ る。 対 面 会話に おい て は、話 題や知 識の所属、 応 答順、 視線や表情を 通 一

33

一 N工 工一Eleotronio  Library  

(10)

して 加者問の複雑な相互作用 が行わ れてい る が 場 、

2012

)、視情報が 明.で は な い 遠で は、 不 鮮 明 な画 面で も捉えやすい より顕著な非言 語行動や言語 現象が観察さ れ た と考え ら れる。 こ の点に関 し、二者 間遠 隔会 話で は視 線や頷 きで次話 者が特 定 される 場合が多く、複 数の 中か ら次の 話者を選 択する とい う課題は改善 される。

5

1

2

  視線とジ ェ スチ ー  接 触場 面 に おい て は、言 語表現 だ けに限定さ れず 、ジェ ス チ ャーや身体配置、視 線な ど 多様な非言語行 動が情報伝達 の重要な役 割を担っ てい る。 前節において 、次話 者を選択 す る た めの言語行動を指摘し た が、 資料

2

にみ ら れ る ような一方の話 者か らの情報 提供 場 面に おい て も、会話 内容を補足する た めの非 言語 行 動が用い ら れ る。これに関し、坊 農 ・ 片桐 (

2005

)は、語 りの途 中の ジェ ス チャーと視 線につ い て 「視 点の二 重性 」 を指摘 して おり、エ ピー ド伝達際す視 線は 、 伝 達 内容を描 写 する叙 述 的視 点か ら、 聞 き手に働 きか け る相互行為的 視点に移行するこ と を 述べ てい 。 ジェ スチャー開始 前に ジェ ス チ ャー空 間に向 けて視 線配布 を開始 し (叙述 的視 点)、ジェ ス チ ーが終 了する直 前に聞 き手に視 線 を配布 する 相互行為的視 点)こ とで 、語 りの応答を相手話者に促 してい る と さ れ る  前 述の 資料

1

15

行 目)及び資料

2

で は、日本語の語 彙を探索 する た め、 ジェ ス チャ ー の使 用が観 察さ れ た。 資料

1

で は、

15

行 目 か ら 開始 し た ジェ ス チャ ーが

17

行 目で終 了し た が、 相 手の応 答 表現が期 待 さ れ る発 話位 置 (

18

行 目)に 十分な 応答が得 ら れず、

19

行 目で 母語 話者が自ら頷 くこ とで学習 者の 了承を代行してい る。 対面会話で は視線に よる話者選 択が可 能で ある の に対 し、 遠 隔接触 場 面で は明確な応答 者の指定が な く、次話者の 自己認 識 が 困難で あっ た と考え ら れる。 こ こ で は

11

行 目で 母 語話 者の 質問 に答 えた

NNS

 

2

が 再 度 応答 するこ と が期待さ れ た が、

6

名の学習 者グ ル ー 発話 譲 り合 が生 じてい た。 これ に関し、フ ォロ ーア ッ プ イ ン タ ビュ ーで は 「初め に リーダー (司会者)を決め ればよ かっ た (仏)」「自分がい つ せ ばい い の か迷っ た (日)」 とい う回答があ り、

Johnson

Johnsoll

1989

)の

5

) 集 団の改 善手 続 きにみ られる よ うに、 多人数で の 協同 的 な学び 得る た めの改 善の プロセ ス が 必要であっ たこ と が指摘で きる。 また資料

1

15

16

行 目 で は、 隣の参 加者に視 線 を配布するこ とで母語 話者グル ープ内におい て協 同の場 が生 じ、 学 習 者へ の語 彙 説 明 を達 成 してい る。  一方、 資料

2

は、二者間の会話で相互的な会話構築が見ら れ る場面で ある。 日本語 学習 者 NNS が 母語話 者

NS

に、 日本 滞在時に買っ た お 土産につ い て述べ てい る。 学 習 者 NNS

3

は、 不 確かな日本 語語 彙に 関 し、画 面の 前で両手を動かすこ とで 、 意 味の補 足を しなが ら内容を伝 達 してい る。 以下 の資料

2

で は、発話 時の学 習者の視線の方向を下線で表示 し てい る。

 

坊農 ・片桐 (

2005

)は、 ジェ ス チャ ー終了の直 前に聞 き手に視線 を配布 することで相互 行為 的視 点を達 成する と してい る が、遠隔 コ ミュ ニ ンの場 合 、

14

15

行目 に見ら れ る ように、母 語話 者

NS

の 応 答が 遅 延 し て聞こえ

NNS

の 発 話と 重複 して しま うこ と が

(11)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unioation  Assooiation  of  Japan

資 料

2

 二 者 間遠 隔会 話 :日本の お土産 (

10

53

11

41

フ ラン ス録) 01 NS3 日本のお土産 を(.)買いま した か, 02 NNS3  

b

血.塵2 鳳 03 NS3 何 を買い ましたか ↑ 04 NNS3    三三 _

Q

4

).食で} ’ 一物

1

 

Lhb

05 NS3 [hhh. 06 NNS3   蜘 買歯上

L

02 D7 NS3 ; 08      NNS3 09    NS3     あ↑:; カ.ヒニ Io N]NS3     

f

コ:二=

Z

11 NS3 ク 12 NNS3    う. 13 NS3 あ::カレーの箱,うん. 14 NNS3 [うど:ん↑[.)_どん.とそぜ臙 15 NS3 [うど ん うん,うん 16        え1 :と,う::ん と 2 孟漁 .こ.ま』 な,あ2 ゑち堕一じゃな亙こ,一.かぜ(扇 ぐ動 作 ) ° う ち NNS3       童器あ2 .

hb

、 ° 17 NS3 あ,扇 子 18      NNS3 覈 王は い扇王 買吐 ま

L

19 NS3 扇 子,あ:::↑ ある。 こ こ で は、

14

行 目の 「うど :ん ↑」の直後、学 習者の 発話が終わ る と想 定さ れ る箇 所 で

NS

が 発 話 を 開 始 し た が、学 習者側 に は その応 答 が 遅 れて聞こ え、結 果 的 に

14

行 目「う どん と そ ば : : と、 う: :ん」と

15

行 目 「うどん  うん、 うん」が重 複 した。 その た め学 習 者 NNS は ジェ ス チ ャ ー終 了 後 、視 線を外 てお り母 語話 者に発 話順 を促すこ とを止め て い る。 二 者間会 話に おい て は、多者間 と 比較 して視 線や頷 きな ど細か な非 言語行 動に よっ て意 味の 補足 が試み ら れ て お り、視 覚情 報を伴 うとい う遠隔接 触場 面の特 性を有 効に 活用 して い る とい える。  こ の よ な対 面 的 な相互交渉は、教 室にお ける受動 的 な学習や音声教 材に よ る会 話 練習 で は 習得 し にく く、 接 触場 面に お ける動 的 なコ ミュ ニ ケーシ ョ ン を通 して経験で きる もの で ある と考 え られる。 日本人との接触 場 面の機 会が得 ら れない 学 習者 も、 遠 隔接触 場 面の 特徴 を理解 した 上で 、 「第三の場 所」 と して効果 的に利 用で きるこ と が 望 ま れ る。

52

  環 境要 因 遠隔接 触場 面の特 徴 的 な点の一つ 会話加者の場所 を移動せ ずにイン タラ ク 一

35

一 N工 工一Eleotronio  Library  

(12)

シ ョ ンが実 現で きる こ と が挙 げら れ る。

Engestrom

1987

)の活 動 理論で は、 異 なる環 境 が接 するこ とで 新た な活動のが生 まれ学習が促進する と され 、日本 ・海外 それ ぞ れの 母 環境 にい な が ら 実さ れ る会 話は 、よ り効果的な場の 共有となる と考 えら れる。 しか し な が ら、 参加 者同 士 が直接 顔 を合わせ る対 面会 話と比べ 、 遠 隔会 話は、 空 間の非 共有、 距 離感と物 理 的接 触の 欠如等の環 境要 因に伴 う言 語現 象が指摘で きる。 前述の ように、こ の問題を克服するた めの技術研 究 も多 くみ ら れるが、本節で は場所 を異とするこ と か ら生 じ るコ ミュ ニ ーシ ョ ン の ち言語 面の 表 出に焦 点を当て 、 特 徴 的な談話を指摘 する。

5

2

1

  学習者 側話題内容の 導入

 

多地 点 を接続 する遠隔会 話は、話 者同 士 が空 間を共有 する対 面 会話 と比べ 、 ト ピッ ク の 選 択や使用 する言 語表 現に、環境 要 因の 特徴が現れる場 合がある。 特に会 話 参加 者が自ら の 母環 境 を移動せずに イン タラクシ ョ ン が実現 さ れ ること によ り、 話 題情 報の 帰 属 がより 明確と な る。 以下の 会 話 資料

3

は、 多者間遠隔会 話に おい て 、 学 習 者

NNS

 

4

か ら母語 話 者に質問 を投 げか ける場 面で ある。   NNS  

4

01

行 目に お い て 自分の 国の料理に関する話 題を導 入する こ とで 、自 らの環 境に 属 し た話題を自発 的に入 し、積 極 的なや り取 りを行っ て い る。 会話参加者間 に存 在 する 知識 量 (Epistemic )の 差につ い て言 及し た

Heritage

2012

)は、 質問 者 一答 者 在 する知識 差か ら、 話 し手 と聞 き手の 知識の勾 配が示 さ れ るこ と を指摘 してい る。 こ の と き

01

行 目で 、

NNS

は 

NS

の食事 経験  につ い て知 識を持っ て い ない状況か ら質問を行っ て い る。 し か しNS 側は、質 問の前 提 と な る  ‘ フ ラ ン ス料 理  につ い て特定識 は保持 して お らず、 学 習 者がフ ラ ンス料理に関する知識 を持っ て い る こ とを表示する形で 「フ ラ 資 料

3

  多者間遠隔会話 :フ ランス 料理 (

14

11

14

47

日本側 記録 ) 01 NNS4    あ;;フランス;;フランスの::料理 は0.2好 き ↑が:::好きですか ?日本 人の うなづ きフ         ラン ス の::料 理 ↑ 02 NS4 ゜フラン ス 料 理,↑ ° 03 NS4 フ ラン ス 料 理 は 何があ りま 04 NNS4 [食べた こ と:: 05 NNS4       huh 06 NS4 何があり ますか ↑フラン ス料理 は, 07 NNS4       う:;ん 08       NNS4     Comment  dire:::あ::カエ ル ?=   09

「 δ

NNS4     一た(,)た く さ ん あ り ま す。 NS4 カエ ル ↑huh ll NNS4    えっ と はい カエ 12 NS4 カエ ル,へ :::

(13)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unloatlon  Assoolatlon  of  Japan

ン ス 何 が あ ります発 話 し た (

03

行 目)。 遠 隔コ ミュ ニ ケーシ ョ ン で は、 相 手話 者の言 語環境 に移 動する こ とな く自らの 環境に おい て発 話するこ と か ら、 言 語的に優位で は ない 学習 者 情 報 量十 分である学 習者 側の話題を導入しやすい 場合 が ある。 特に、 日本 語学習 初 期 段 階 や 日本語 母語 話者との接触 経験が ない 学 習者に とっ て、 言語 学習の機 会だけで はな く日本語 母語 話 者との情 報 交換とい う実践 的経験 が価 値 を持つ こ と に より、 遠 隔コ ミュ ニ ンの教 育 的位置づ が期 待で きる。 また学 習者 側 か らの話題 を提 供 する こ とに よ り、 協 同 学 習の概 念で ある

1

)互恵 的 な 相互依 存 (

Johllson

& Johnson ,

1989

)を達 成するこ と がで き、 日本の母 語話 者に フ ラ ン ス の情 報を提 供する こ とで 、学 習 者で あっ て も情 報提 供 者と して の役 割を担い 、 会 話を拡張してい くこと がで きる と考え ら れる。

5

2

2

 母 語の使 用 と調 整 回 避意識  接触 場面におい て、会話を維持してい こ と は容で は なく、母語 話者側 ・学習者側 の 両者におい て工夫が行われて い る。 資料

3

で は、

08

行目の 日本 語の語彙使用に迷っ 場 面におい て、 学 習 都

1

の母 語 使 用が見 ら れる (

Comment

 

dire

一何 と言 えば良い だろ う)。 遠 隔コ ミュ ニ ケーシ ョ ンで は、相 手に対 する 空間の臨場 性 、現 実性が 欠如 し、国内 ・ 海外の両環境におい て母文 化の影響を受けや すい と考え ら れ る。  ま た 母 語話者側 か らの調整に 関 して は、

01

行 目の 学習者の 問 に対 し、

02

03

06

行 目 で語話者側が意味の 緻化を行っ てい る。 二 者間の 遠 隔接 触 場 面で は、 少 しの 言 語 的 な 逸 脱 で あ れ ば 母 語 話者側 は 訂 正 を 回避す る、ま た は一方 的に話 を進め て しま うとい 調 回 避意識 が働 くこ と が報告さ れてい る (尹、

2004b

)。 し か し な が ら、 資料

3

の多者間で の コ ュ ニ ーシ ョ ンで は、 進行 を妨 げずによ り明確な や り取 りを優 先 する た め に、 母語 話 者側 か らの意味確認が見ら れた とえら れる。  母 語 使 用 や 調整回避は、 協同 学 習の

4

) 社 会 的ス キル や 運営ス キル の概 念 (

Jo

  son &

Johnson

1989

)に該 当し、 遠隔 コ ミュ ニ ケ ー ン で の り取 り 、 語 彙や 内容 の意 味交 渉 、 また ミ ス コ ミュ ニ ケーシ ョ ンが 生 じ た際に どの ような言語 行動を取るこ と が 適 切で あるか等 、経験 的に習得 する こ と が可 能と な る。 対 面会話におい て も 出現可能な プ ロ セス である と考え ら れるが、 学 習 者の な かに は 「対 面よりもビデ オ カ ンフ ァ レ ン ス を用 い た会 話の ほ うが緊 張 しない や すい 」ともお り、学習 ・習得を目的と し たコ ミュ ニ ョ ンで は、こ の ような 心 理 的影響 も勘案する 必要が あ る だ ろう。

5

3

  音声 要 因  近 年で は、 高速ネッ トワ ー 、 パ ソ コ ン の 処理 能力の 高さ、マ イク ・ 品質の 向上等に より、遠隔コ ミュ ニ ケー ョ ン に おける音声的 な障 害は、 日々改 善さ れ て い 。 しか し な が ら、世界各地の海 外 日 本 語 学 習 を 視 野 に 入 れ た場合、 実施 環境は必ずし も技 術 的に恵 ま れ た場所で は ない。 遠隔会話は、対 面会話 と異な り、接続 状 況や相 手話 者 の環境に よ り、 映像 と音 声の ずれ やハ ウ リング、 接続 不 良等の音 声 的 な問題を伴 う。 これ

37

一 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(14)

ら は 発話 内容やコ ュ ニ ョ ンの方 法に直接 影響 するだけ で は な く、 一定 以上の音 質 で提供さ れ る音声で なけれ ば効果的 な 言 語学習 に結びつ か ない場合がある。 その ため、 以 下に音 声要 因 か ら生じ る特徴的 な談 話 を抽 出し、遠隔コ ュ ニ ーシ ョ ン で観 察さ れ得る 会話構築を指摘する。

5

3

1

 

沈黙 と 話者 交替 (turn−taki  )   会話におい て長い 沈 黙は、会 話 進行に伴 う何ら かの ト ラブ ル を示 すと 同時に、次に どち らの話 者 も発 話する こ とがで きる位 置とし て認 識 される。 遠 隔コ ミュ ニ ケ ー ン に み れる沈黙は、 画面の 停 止や音声の ハ ウ リング等 を伴い 、対面 会話よりも長 く生 じる場 合 が ある。 李 (

1995

)は、 日本語談話に お け る話者交替 (turn−

taki

  )の前に は 一言 語 識が観 察で き、 こ の標識を相手 話者が確認するこ とに よっ て、 話者交替の調節を行っ てい る と述べ い る。 また

Sacks

Schegloff

Jefferson

1974

)は、発話の順 番 交 替は相 手 の 発 話の完 了可能箇所 を予 測するこ とで わ れ るこ とを指摘 してい る。 沈黙の 発生と処理 過程 をこの 見解か ら捉 えると、 ハ ウ リン グ等の音声的 な問題 が生 じ る遠隔会 話で は、標識 認識や順 番交 替箇 所の 予測が 困難で ある と考 えられる。 その た め話 者 交替に 関連するイン タラ ク シ ョ ンの 問題が発生 し、 両 話者が発 話順 番を取らない 沈 黙の時 間が 生 じる可 能性が ある。  以 下の資料

4

は、休 日の過ご し方につ い て の母語 話 者か らの 問に対 し、 学 習者が回答 を し終え た とこ ろ で

14

秒の長い 沈 黙生 した場面で ある。   こ こで は

02

行 目の

14

秒の沈 黙の あと、

03

行 目で母語 話 者

NS

が新 しい話 題を切 り出 して い る。 さ らに

07

行目で は、

06

行 目 「うん」の直 後に発せ ら れ た音声が遅延 して聞こえた た め発話が重複 し、

06

行目の学習者の発話が 途 中で遮 ら れてい 。初 対 面の 話者 関係におい て 、 長い 黙 や発 話の 遮 りは回 避 さ れ るべ き行 動

Sacks

Schegloff

Jefferson

1974

)、

14

秒の沈黙の 間、 

NS

 

3

NNS

 

5

は画 面をみ な が ら何も発 話を試み な かっ た 。 次に誰が話 し出すの か とい う課題 につ い て、佐 藤 他 (

2011

)は参加 者の 画面が異なる 多者 間遠隔会話で話 者の視 線の向 きや動 きに よっ て相手話者の映像が切 り替わ る よう実験 資料

4

 二 者間遠隔会 話 ;授 業開始時期 (

18

27

19

17

フランス側 記録 ) 01 NNS5      Eh.ん 02 (14秒の 沈 黙 ) 03      NS3 いま(.)学校は(.)授 業は (.)終 わ り ま し た (,)か ↑ 04    NNS5     あ::はい,あ::い::一週 間 か ら..終 わ りま し た 05      NS3

1

::ん 06    NNS5    う ん (0.2で も:1 07      NS3 じ ゃ あ::テス ト:終わりましたか. 08      NNSS あ::はい,

(15)

The Communication Association of Japan

NII-Electronic Library Service The  Co  unloatlon  Assoolatlon  of  Japan

的に設定し た ところ、発話の ア ドレッ シング (誰に向けて発話して い る か次話の選 択が 明 示 的 に行な わ れ、発 話 開 始 時の重複 も抑制 さ れ たこ と を 報 告 し た。し か し な が ら資 料

4

で は、沈 黙の 問 両話者ともに画 面 を直視してお り、ど ち らが話 し出すか を窺っ てい る ように は見 えな かっ た。  資料

4

に見 ら れ る や り取 りで は、沈黙の後母 語話 者側 が発話を切 り出 し、

03

07

行目 と 質問 を重ね てい る。 質問 に よっ て応答を 要 求 す るこ と で、話 題の方 向性や 応答者 が 話 し 出 すタ イ ミングを明確に 示 す こ とに繋が り、沈黙後の 会話構 築と して効果 的 で あ る 可能性が 考えら れる。 フ ォ ロ ーア ッ プ インタ ビュ ーにおい て 、「遠 隔会話の ほうが緊張しない 」と い 回答が あっ た が、こ の ような沈黙の発生 や沈黙 回避のた めの現象をふ まえ、対面会話 の代替案と して の教育利 用 に は留意する 必要が あ る とい える。

5

3

2

  相槌表現 と発話重複  遠隔コ ミュ ニ ケー ョ ン におい て は、映像 と音声がずれ、音声が 遅 延 して聞 こえる場合 が あ る。 こ の ような や り取 りで は、相 槌 な ど に よ り短 く頻 繁 に音声が行 き来する箇所に、 発話 重複が起こる 可能性がある。   資料

5

は 母 語話者が 日本 語学習を始め た きっ かけ を学 習者に問 う場面で ある。 学 習者 が 日本 語 学習を開始し た時の エ ピー ド を語 り始め る が、母語話者相槌が自然な位置 学 習者の発 話に重複 してい る。  発 話 と 相 槌の重 複につ い て、 永田 (

2004

)は、 相手の発 話の 途中 に重複して打た れる相 槌は全 体の

20

%前 後である と し、 「はい 、は い」の ような反 復型の相槌は、 理解や 同意を 積極 的に表明する ことか ら話 者交 替の た めの意思 表示 として機 能する こ と を述べ て い 遠隔会 話の場 合、 接 続 状況 に よ り適切な個 所で打た れた相槌が遅れて 聞こ える場合があ り、 資料

5

の 母語話 者の相槌 も、 フ ラン ス 側の音声の 受信 が 映像よ りも遅れ たこ とで、 本 来の ポーズの箇 所か ら外れ て相 手の発話に重複して 聞こえる形 となっ た。 エ ピソ ー ド をる た め に長い発 話位 置 を確 保 する必要 が ある学 習 者に とっ ては、発話 途 中の不 自然な位 置に相 槌が重 なる と、 話 を継 続 する こ と が難 しくなる とい える。  遠隔接触 場 面で は、 音声の 遅れ に よっ て発 話重 複や同時発 話 、不 自然な ポ ーズ が 、 資料

5

 二 者 間遠 隔 :日本語学習を始め た 理由 (

07

47

08

04

フ ラン ス側 記録 ) 01 NNS5    に(.)二年 前日本 語の勉 強 を始め た んです杢::あ;:その, 02 NNS5    あ[::日本の こと::,   03 …

ifE

NS3 はい. は い. NNS5    あ::全然 (.あ ま り知 ら なか っ た::です. 05 NS3 #うん# 06     NNS5      う一〜y.(.)一.で 【も三こ 07 NS3 はい. 一

39

一 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(16)

母語 話 者 ・学習 者の両者に適切な対応が 望 ま れ る。 しか し な が ら言語運 用の 習得に関して は、 間が 生 じる とい う遠 隔コ ミュ ニ ケ ー な ら 状 況か し 、 学 習者が考え な が ら話そ うとする機 会を尊重 し な が ら効 果的 な学 習に結び付け ら れ る 可能性がある とい え る。

6

. お わ りに

6

1

  対面性構 築と学 習効 果  本研究は、 実際の 海外日本語教育機関との遠隔接触場面 を 通 し、遠隔コ ミュ ニ ケーショ ン の 々 な制約が どのな言語 的特徴と して現れる のか を記述 し た。 結 果で は、技術 的な 制 約 を視覚、 環境 、音 声要 因に分 類し、各要 因に伴 う会 話構 築を具体 的な資料を も とに記 述した。 近 年言 語教 育に お け る

CMC

の利 用 は広 く普 及 して い る が、 活 動の 実 施に焦 点が 当て ら れ るこ と が多く、コ ミュ ニ ケーシ ョ ン の詳細 を記述 し た もの はまだ少ない 。 技 術 的 な制約を伴 う遠 隔接触場面も、学習者 自身が その言 語 的特徴を理解するこ とで 、日本語 母 語話 者との対 面接触の機会が限ら れる環境におい て も、 コ ミュ ニ ョ ン能 力を高めて い くこ とがで き る。 ま た 目 標 言 語の使用機会 が確立 さ れる こ とで 、日本語学 習者の学習 動 機や学習 意欲の継 続に も繋が る と考 えら れ る。  ま た質 的 な分 析 を通 して指摘 し た 現象は、「対 面で は ない 状 況 」 を補 う対 面 性構 築の言 語現 象と して指摘 する こと がで き、

様化 する コ ミュ ニ ケーシ ョ ン の中での会 話構 築の手 段と して、 更なる可 能性を提示で きる の ではない だろ うか。 調査 参加 者の フ ォロ ー アッ プ ・ ア ンケー トで は、 「情 報量の多い 対 面会 話よりも遠 隔会 話の 方が 自分の 日本 語に集 中で き た」とい う指摘 もあっ た。 技 術 的 な制約に起 因する言語現象も、 時に学習を効果的に支 え る もの と なり得るだろ う。 ま た近年で は 日常 的に ビデ オ カ ン フ ァ レ ン ス を用い て い る生 が多い 反面で 、「日本 語 学 習を役立て る機 会や ネッ トワークがない とい 答 もあ り 教 室内の利 用 だけで は なく学 習 者が 主体 的に取 り組める ような基 盤作 りも必 要となる。

 

また海外での授業実践例 と して、

Higashi

Koishi

2009

)は、 日本の 大学と定期 的に ビ デ オ会 議シス テム を利 用 し た共同授業の施を報告 してい る。 自由会話における調 整行 動の 問題 点 をふ まえ、遠 隔で はプレ ゼ ンテーシ ョ ン と質疑 応答の み を進行 し、多者 間授 業 に適 し た形式で進め ら れて い る。 遠 隔教室の予約や既存カ リ キュ ラム との調整に より頻繁 に交流 できない 場合交換の ア ク テ ィ ビ テ ィ、継 続 的コ ミュ ニ ー シ ョ ンに努め てい る。 この よ うに教 育現場での実 用化に関して は、時 差 や設備等、各 学 習 環境に応 じて未だ様々 な課題が散在 し て お り、ニ ーズ に合わ せ た活用方法の検討が 必要と なる。

6

2

  新たな談 話場 面と しての 可能性  近年の

ICT

環 境の 充 実の反 面で 、遠隔コ ミュ ニ ケーシ ョ ン の 技 術 を 教育 活 動へ 積 極 的 に応用 するには時 間を要 する。 特に語学 教育の場 合 、 一時的 な 利便性だけで は なく、 安 定 し た学 習効果が見込 ま れる こ と が重 要 な条件となる。

参照

関連したドキュメント

ンプットを理解するだけでなくアウトプットも習得を助けるのではないかという研究(白

日本語教育に携わる中で、日本語学習者(以下、学習者)から「 A と B

当学科のカリキュラムの特徴について、もう少し確認する。表 1 の科目名における黒い 丸印(●)は、必須科目を示している。

日本語接触場面における参加者母語話者と非母語話者のインターアクション行動お

続いて第 3

本稿は、拙稿「海外における待遇表現教育の問題点―台湾での研修会におけ る「事前課題」分析 ―」(

Keywords: Online, Japanese language teacher training, Overseas Japanese language education institutions, In-service teachers, Analysis of

日本の生活習慣・伝統文化に触れ,日本語の理解を深める