225 木や森に関わる生物被害としては,昆虫や微生物とと もに鳥獣によるものが大きな割合を占めている.これま で樹木医学の主な対象となっていたのは前者 2 つではあ るものの,樹木の衰弱や枯死が起こっている現場では鳥 獣による被害も含めた原因の判定を行うことも多く,そ の被害形態を知っていることが大切である. また,近年様々な生物被害が広域で発生・拡大する事 例が報告されており,広域的な管理の視点の重要性が増 していると考えられる.鳥獣被害への対応はその行動域 の広さのために,問題が発生している場所の対応だけで はなく,広域的に個体数や分布を管理する取り組みも広 がってきており,このような考え方は,昆虫や微生物の 被害抑制にも役に立つ視点を提供できるのではないか. そこで,このシリーズでは,木や森について問題となっ ているシカやカモシカの大型獣類,ノウサギやネズミ類 といった中・小型獣類,カワウのような鳥類などを種類 ごとに取り上げ,長年研究や対策に携わってきた研究者 に,形態や生態の特徴,樹木や森林に及ぼす被害,被害 への対応について,様々な視点から解説をお願いする. 日本の各地で人口減少が進み,各方面の社会活動で人手 不足が深刻化している.そのような状況の中,読者の方 が現代社会において生物被害とうまく付き合っていく方 法を考えるきっかけになることを期待したい. (2019 年 9 月 10 日受付)
シリーズ:木や森に関わる鳥獣害を考える
「シリーズ:木や森に関わる鳥獣害を考える」をはじめるにあたって*
石 田 朗1, * * 1 1Akira Ishida1, *(2019)Introduction to the consideration for treatment of tree and forest damage by birds and beasts. Tree and Forest Health 23 : 225
責任著者(Corresponding author)E-mail:[email protected] 愛知県森林・林業技術センター