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非集計ロジットモデルの期待最大効用に着目した2 次元平面上の施設の一般化メディアン立地原理と分散・凝集原理

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(1)公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 非集計ロジットモデルの期待最大効用に着目した 2 次元平面上の施設の一般化メディアン立地原理と分散・凝集原理. Generalized median location and dispersion-aggregation principles for facilities on a two dimensional plane based on the expected maximum utility of the disaggregate logit model. 栗田 治. Osamu Kurita Assuming that there are multiple facilities of the same type on a two dimensional plane where demand is continuously distributed, we give the facility choice probability of residents by the disaggregate logit model. The utility function is supposed to be the weighted sum of the recti-linear travel distance and attractiveness of facility. Measuring the benefit of residents by the average value of the expected maximum utility, we consider its maximization problem. It is proved that dispersion and aggregation phases exist in the optimal facility location. The critical point of the phase transition depends on the regional mobility level and demand density. Keywords : facility location model, expected maximum utility, dispersion-aggregation principle 施設配置モデル,期待最大効用,分散・凝集原理 1.緒言 これは前出の都市のモビリティ水準を表す正値パラメタ a(小 平面上に同一種類の (必ずしも規模が一律ではない) 施設 さいほどモビリティに優れる) に正の臨界値 a∗ が存在し, が複数存在するときに,人々がそのいずれかを選択して利 a∗ < a ならば施設の分散配置 (各施設が別々の点に配置さ 用する.こうした営みは都市・地域に遍く見られる.各種 れること) が適切であり,0 < a ≤ a∗ ならば全ての施設を の小売店舗や病院・医院,図書館等々の利用を想起せられ 需要分布のメディアンに凝集させるのが適切である,とい たい.ここではこうした施設群の配置がどうあるべきかを問 う原理である.この分散相から凝集相に臨界点 a = a∗ で相 題にする.今回は 2 次元平面上に連続な需要密度を想定し, 転移するという原理も栗田 12) が 1 次元空間を対象として 住民の施設選択確率を非集計ロジットモデルで与え,その 発見した.本研究では直交距離の下で,2 次元平面でも施設 効用関数は −a × (住民から施設への直交距離) + b × (施設 数 n = 2, 3 の場合に分散・凝集原理が成立することを示し, の魅力度) とする (a と b は正定数).そして住民が享受す 施設数が 2 と 3 で共通の臨界値の理論式を導出した.そし る期待最大効用の都市全体での平均値を最大化する施設配置 て施設数 n が 4 以上の場合にもこの原理が成立し,共通の 問題 (3 章で定式化) を考察の対象とする.考察の結果,と 臨界値をもつであろうという“ 相転移予想 ”を提示した. ても興味深い 2 つの立地原理を観察することになる.この 続いて具体的状況として一辺 L の正方形都市内で一様な 論文はそのプロセスを詳述し,都市計画上の意義に言及す 需要と直交距離による移動を与え,施設数 n = 2, 3 のとき ることを目的とした都市解析の理論研究の成果である. に前述の 2 つの原理の成立を確認する (6 章).このとき相 ここで本稿のモデルとは異なる施設配置モデルの典型で 転移の臨界点は a∗ = 2/L であり,興味深いことに栗田 12) ある minisum 型施設配置問題に目を転ずると,それは住民 が求めた長さ L の線分都市に対する一様な需要の下での臨 から最寄り施設への平均距離を最小化するものである.最 界点に等しい.実は 1 次元空間での臨界点は,2 次元空間 小化と最大化の違いこそあれ,周知の minisum 型施設配置 での臨界点の特殊例として導出できるのである【附録 4】. も,本研究のモデルも,平均値を通じた“ システム最適化 ” 6 章ではさらに,施設数 n が 2 以上 5 以下の場合の最 を追求するという同工異曲に他ならない. 適解の数値計算を行い,a∗ = 2/L での相転移を実証する. 本研究の第一の理論的帰結は,任意の施設数 n について そこではパラメタ a の逓減に連れて,最適配置の特徴的な 成立する“ 一般化メディアン立地原理 ”という最適性原理で 変化が観察される.特に,突出した魅力を持つ施設とそれ 12) ある (4 章).これは栗田 が 1 次元空間を対象として発 以外の施設が混在する場合には,a が臨界点 a∗ よりも大き 見したものであり,非集計ロジットモデルによる確率的施 い範囲で,魅力度が大きい施設が地域全体の効用に寄与し, 設選択の下で (施設の左側にいるその施設の利用者数)=(施 それ以外の小さい魅力を持つ施設が,周辺部の不便な領域 設の右側にいるその施設の利用者数) という等式が全施設で を下支えする,という興味深い構造が読み取れる.この特 成立することが最適性の 1 階の条件である,という原理であ 性は,現実に数少ない大規模小売店舗とそれ以外の小規模 る.今回はこれが 2 次元平面でも成り立つことが示された. 店舗が混在する地域で,人々の利便を確保するための配置 第二の理論的帰結は“ 分散・凝集原理 ”である (5 章). 計画を立案するためのヒントを与えてくれるかもしれない. ————————————————————————————————————————————————– 正会員 慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 (Keio University). - 162 -.

(2) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 期待最大効用の平均値最大化問題をいち早く定式化し,平 面上の離散的需要に基づき詳述した興味深い研究に本間 4, 5) がある.また,本店と出店 (でみせ) を勘案した非集計ロジッ トモデルに基づく経営者間の立地競争をモデル化し,さら には同一種の魅力度の異なる店舗が混在するときに期待最 大効用の平均値を最大化する最適配置を考察した研究に千 葉&栗田 1) がある.これらの先行研究において,一般化メ ディアン立地原理と分散・凝集原理には言及されていない. ここで施設配置モデルの解析学的な研究の系譜を概観する と,(1) システム最適化原理に基づくものとして (a)minisum 型施設配置モデル1, 9, 10, 14, 18, 21, 22) ,(b)minimax型施設 配置モデル9, 22) ,(c) 介在機会モデル3) があり,(2) 利益追 求主体による競争ゲームのナッシュ均衡原理に基づくもの として (d) ホテリングの立地競争 1, 8, 24, 27) ,(e) ハフモ デルに基づく立地競争 1, 7, 8, 15, 20, 25) ,ならびに (f) バラ ンスメカニズム 6, 23) がある.これらの先行研究では需要 分布や都市のモビリティが最適施設配置に与える影響が多 岐に亘って分析されているが,栗田 11, 12) や本研究が解明 した“ モビリティの閾値において最適配置が分散相から凝 集相に転移する現象 ”は取り扱われていない.. 2.非集計ロジットモデルと期待最大効用の紹介 3 章で住民の施設選択行動を記述するための準備として非 集計ロジットモデルを導入し,期待最大効用の概念を紹介 する.まず個人の 選択肢集合を Cn = {1, 2, · · · , n} とし Ui = [個人が選択肢 i を選ぶときの効用] (i ∈ Cn ). −λ(xi −α). 上式に式 (6) を適用・整理すると次を得る: Y −λ(y−Vi ) −λ(y−s′ ) G(y) = e−e = e−e .. (−∞ < xi < +∞), −λ(xi −α). ただし s′ の定義は次式の通りである: X 1 eλVi . s′ = ln λ. ,. (2) (3). (γ ∼ 0.577 は Euler 定数). (4). eλVi   (i ∈ Cn ). pi = P λVk k∈Cn e. 式 (9) は位置母数が s′ で尺度母数が λ の Gumbel 分布に 他ならないから,Y の期待値 ⟨Y ⟩ は式 (4) から次の通り: γ 期待最大効用:⟨Y ⟩ = s′ + . (11) λ 上式の第 2 項 γ/λ は定数だから無視し,期待最大効用の指 標として s′ を採用する.ここで s′ の式 (10) 中の効用関数 Vi の各項に係数が存在すれば,λ は各係数に吸収されるか ら,これを独立に設ける意味はない (3 章の線形効用関数は これを満たす).さらに,式 (10) 右辺先頭の 1/λ は比例定 数に過ぎず,期待最大効用の大小のみを議論するときには任 意の正値でよいから,一般性を失うことなく λ = 1 とする. 式 (10) の s′ を上記のように想定したものをログサム変 数 s と呼び,住民が受ける便益の重要な代表値と見做す. X ログサム変数:s = ln eVi . (12). 3.期待最大効用の平均値最大化問題の定式化 同一種の n 個の都市施設の集合を Cn = {1, 2, · · · , n} と し,その位置を直交座標で (x1 , y1 ), (x2 , y2 ), · · · , (xn , yn ) とする (図 1).単位時間当りに発生する客の位置 (u, v) の 確率密度関数 (需要密度) を次式で与える: ((u, v) ∈ (−∞, +∞)2 ).. ρ = ρ(u, v). (13). 任意の (u, v) ∈ (−∞, +∞) で 0 ≤ ρ(u, v) であり, Z +∞ Z +∞ ρ(u, v) du dv = 1 (14) −∞. (−∞ < xi < +∞).. v y3. (5). y4. 客 (u, v) 施設 4 施設 2 施設 1. (6). 個人は効用最大の選択肢を選ぶから,手にする効用値は i∈Cn. 施設 3. y2 y1 O. Y = max Ui. −∞. が成立する (ρ(u, v) は確率密度だから).u ならびに v の. 以上が非集計ロジットモデルの概略である 2, 19) . 次に Ben-Akiva and Lerman17) を参考に期待最大効用 の概念を紹介し,ログサム変数を導入する.まず式 (2) の 累積分布関数を簡単に位置母数 α をゼロとして与える: −λxi. (10). i∈Cn. このとき選択肢 i が選ばれる確率 pi は次式に帰着する:. F (xi ) = e−e. (9). i∈Cn. 2. f (xi ) = λe−λ(xi −α) e−e ⟨Xi ⟩ = α + γ/λ. i∈Cn. i∈Cn. (1). と定義した上で,個人は効用が最も大きい選択肢を選ぶ,と 約束する.ただし,この効用は確定項 Vi と変動項 Xi の和 Ui = Vi +Xi で表されるものとする.そして {Xi } が互いに 独立に同一の Gumbel 分布に従うものとする.Gumbel 分 布の累積分布 F (xi ),確率密度 f (xi ) ならびに期待値 ⟨Xi ⟩ は次の通りである (α は位置母数,λ > 0 は尺度母数):. F (xi ) = e−e. である.Y の累積分布関数を G(y) として計算する: Y G(y) = F (y − Vi ). (8). (7). x4. x1. x3 x2. u. 図 1   2 次元平面上の同一種の複数施設 {(xi , yi )} と位置 (u, v) の客 (施設数 n = 4 の例).. - 163 -.

(3) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 周辺分布を次のように定義する: Z +∞ ρu (u) = ρ(u, v) dv (u ∈ (−∞, +∞)), (15) −∞ +∞. Z ρv (v) =. (v ∈ (−∞, +∞)). (16). ρ(u, v) du −∞. さらに,この需要分布の u 軸と v 軸方向の周辺分布のメ ディアン (中央値) を,それぞれ uM ならびに vM と表す: Z uM Z ∞ ρu (u) du = ρu (u) du, (17) −∞ vM. uM ∞. Z. −∞. 客の位置 (u, v) から施設 i の位置 (xi , yi ) への距離とし ては様々な種類が考えられるが,今回は本邦と海外諸国の 別を問わず多くの市街化が進んだ都市・地域や,本邦の土 地区画整理事業が完遂した地域によく見られる格子状道路 ネットワークを想定し,直交距離で与えることにする:. ri (u, v) = |xi − u| + |yi − v| (i ∈ Cn ).. 施設選択確率は 2 章の非集計ロジットモデルで与える. 施設 i の規模 (店舗の売り場面積や図書館の蔵書数) を Qi とし,位置 (u, v) の客が施設 i を選ぶときの効用の確定項を. Z ρv (v) dv =. ρv (v) dv.. Vi (u, v) = −ari (u, v) + bf (Qi ) (i ∈ Cn ).. (18). vM. この論文では,位置 (uM , vM ) のことを簡単に“ 需要分布 ρ(u, v) のメディアン (中央値) ”と呼ぶことにする. ここで α1 = (領域 [−∞, uM ) × [−∞, vM ) の需要量), (19). α2 = (領域 [uM , +∞] × [vM , +∞] の需要量), (20) β1 = (領域 [−∞, uM ) × [vM , +∞] の需要量), (21). qi = ebf (Qi ). αM =. uMZ. (23). α1 + β2 = α2 + β1 .. (24). Z. vM. −∞ −∞ uMZ +∞. ρ(u, v) du dv, (25) uM vM Z vM +∞. Z. ρ(u, v) du dv = −∞ vM. ρ(u, v) du dv. (26) uM. eVi (u,v) = qi e−ari (u,v) .. −∞. 定義により. αM + βM = 1/2. (27). であり,かつ 0 < αM ,0 < βM だから. γM = αM − βM. 位置 (u, v) の住民が施設 i を選択する確率は式 (5) により. qi e−ari (u,v) . −ark (u,v) k∈Cn qk e. pi (u, v) = P. −1/2 < γM < 1/2.. (28). i∈Cn. ログサム変数の平均値 ⟨s⟩ が最大化すべき便益指標である: Z +∞ Z +∞ ⟨s⟩ = s(u, v)ρ(u, v) du dv. (36) −∞. (29). 不等式 (29) は後ほど,目的関数 ⟨s⟩ のヘッセ行列を吟味す る上で活躍することになる. 式 (14) より総人口は 1 だから. vM βM. αM. αM. βM. O. αM + βM = 1/2 よって. uM. γM = α M − β M. u. (34). と表される.そして,式 (12) によるログサム変数を s(u, v) と表すと,次式の通りである: X s(u, v) = ln qi e−ari (u,v) . (35). と定義すると,次が成立する:. v. (33). +∞. ρ(u, v) du dv = Z. βM =. Z +∞. (32). と定義すると,次の表現を得る:. α1 + β1 = α2 + β2 ,. 式 (23) と式 (24) の辺々を加算ならびに減算することによ り直ちに α1 = α2 と β1 = β2 を得る.そこで αM = α1 = α2 ,βM = β1 = β2 と定義する (図 2): Z. (31). で与える.上式の関数 f (·) は単調な非減少関数であり,施 設規模の魅力が人により感得される様を表す.a と b は正 定数である.f の候補には定数値,線形,冪乗,対数など がある.f が定数値関数の場合以外は,距離が小さいほど, そして施設の魅力度が大きいほど,効用 Vi (u, v) が大きい. そこで施設 i の魅力度を表す正値定数 qi を. β2 = (領域 [uM , +∞] × [−∞, vM ) の需要量) (22) と定義すると,式 (17) と (18) より次が成立する:. (30). と定義すると. −1/2 < γM < 1/2. −∞. 4.一般化メディアン立地原理 本章では目的関数 ⟨s⟩ 最大化のための 1 階の条件に焦点を 当てる.結果として,1 施設の場合には単一施設の (周知の) メディアン立地原理が導かれる.そして,n 施設 (n ≥ 2) の場合には一般化メディアン立地原理の成立が確認される. 4.1   1 施設の場合 1 施設の場合は確率モデルとしての意味はない.施設の 魅力度を q(規模は Q),立地点を (x, y) としてログサム変 数 s(u, v) を形式的に計算すると,効用関数に帰着する: s(u, v) = ln(qe−ar(u,v) ) = ln q − ar(u, v).. 図 2  周辺需要密度の中央値 u = uM と v = vM で区切ら れてできる 4 つの領域の需要量 αM ならびに βM .. (37). ただし r(u, v) は次の通りである:. - 164 -. r(u, v) = |x − u| + |y − v|.. (38).

(4) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 数値例 (L, a, q) = (10, 0.5, 1) かつ (x, y) = (5, 5) を与え, よって ⟨s⟩ 最大化のための 2 階の条件が成立する:  2 2 s(u, v) の概形を描く (図 3). ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ ⟨s⟩ < 0 かつ · − > 0. (47) ∂x2 ∂x2 ∂y 2 ∂x∂y. s(u, v). つまり ⟨s⟩ は (x, y) の狭義の凹関数であって,式 (43) は 大域的最大解であることが保証される.. 4.2   n 施設 (n ≥ 2) の場合 式 (36) の目的関数 ⟨s⟩ を xi (i ∈ Cn ) によって偏微分す る.そのために 2 重定積分を微分する公式を【附録 1】の 通りに準備して適用すると,次を得る: Z +∞ Z +∞ ∂⟨s⟩ ∂s(u, v) = ρ(u, v) du dv. (48) ∂xi ∂xi −∞ −∞. v u 図 3  単一施設の期待最大効用指標 s(u, v) の概形 (a = 0.5,q = 1,x = y = 5 の例).. ここで,式 (35) により,s(u, v) の xi による偏微係数は次 の様に計算される:. 期待最大効用の平均値 ⟨s⟩ は次の様に定式化される: Z +∞ Z +∞ ⟨s⟩ = {ln q − ar(u, v)}ρ(u, v) du dv −∞. −∞ Z +∞. = ln q − a. Z. ∂s(u, v) ∂ri (u, v) qi e−ari (u,v) = −a ·P −ark (u,v) ∂xi ∂xi k∈Cn qk e. +∞. r(u, v)ρ(u, v) du dv.(39) −∞. 式 (39) の重積分の被積分関数に含まれる r(u, v) は式 (38) の通りだから,絶対値記号の外れ方は次式の通り:   u − x + v − y  x−u+v−y r(u, v) = x−u+y−v    u−x+y−v. (x ≤ u, y (u < x, y (u < x, v (x ≤ u, v. ≤ v) ≤ v) . < y) < y). (40). つまり式 (39) を評価するためには,(u, v) の 4 つの領域 (−∞, x) × (−∞, y),(−∞, x) × [y, +∞),[x, +∞) × (−∞, y),[x, +∞) × [y, +∞) で項別積分を記述すればよ い.そして,【附録 1】の 2 重定積分を微分するための公 式を用いて x ならびに y で偏微分すると,次式を得る: ∂⟨s⟩ = −a ∂x ∂⟨s⟩ = −a ∂y. Z. x. Z. Z. y. Z ρ(u, v) dv du −. +∞. −∞ −∞. = −a. −∞.  ρ(u, v) dv du ,. Z +∞ +∞. x. y.  −1    ∂ri (u, v) +1 = +1  ∂xi   −1  −1    ∂ri (u, v) −1 = +1  ∂yi   +1. −∞. −∞. (42). 目的関数 ⟨s⟩ 最大化のための 1 階の条件 ∂⟨s⟩/∂x = 0 か つ ∂⟨s⟩/∂y = 0 を満たす解 (x, y) = (x∗ , y ∗ ) が メディアン立地. (x∗ , y ∗ ) = (uM , vM ). (43). であることは,式 (17),(18) の uM と vM の定義によって 明らかである. さらに ⟨s⟩ の 2 階の偏微係数を求めると,次式を得る:. ∂ 2 ⟨s⟩ = −2a ∂x2. Z. +∞. ρ(x, v) dv,. (44). (x ≤ u, y (u < x, y (u < x, v (x ≤ u, v. ≤ v) ≤ v) , < y) < y). (52). (x ≤ u, y (u < x, y (u < x, v (x ≤ u, v. ≤ v) ≤ v) . < y) < y). (53). これらを式 (50) ならびに式 (51) に代入して,(u, v) に関 する項別積分を整理すれば,次の結果に帰着する: Z +∞ Z +∞ ∂⟨s⟩ pi (u, v)ρ(u, v) du dv = a ∂xi v=−∞ u=xi  Z +∞ Z xi pi (u, v)ρ(u, v) du dv , (54) −. −∞. ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ = = 0, ∂x∂y ∂y∂x Z +∞ ∂ 2 ⟨s⟩ = −2a ρ(u, y) du. ∂y 2 −∞. (∵ 式 (34))(49). これを式 (48) に代入すると,次の結果を得る: Z +∞ Z +∞ ∂⟨s⟩ ∂ri (u, v) = −a pi (u, v)ρ(u, v) du dv. ∂xi ∂xi −∞ −∞ (50) 全く同様の方法で,⟨s⟩ の yi による偏微係数も得られる: Z +∞ Z +∞ ∂⟨s⟩ ∂ri (u, v) = −a pi (u, v)ρ(u, v) du dv. ∂yi ∂yi −∞ −∞ (51) ここで,式 (30) の直交距離の絶対値記号は式 (40) のよ うに外すことができる (同式の (x, y) を (xi , yi ) で置換え ればよい).このとき,ri (u, v) の xi ならびに yi による偏 微係数は次の通りに求めることができる:. (41)  Z +∞ Z +∞Z +∞ ρ(u, v) du dv − ρ(u, v) du dv .. −∞ −∞. ∂ri (u, v) pi (u, v). ∂xi. (45) (46). - 165 -. v=−∞ u=−∞ +∞ Z +∞. Z. ∂⟨s⟩ = a ∂yi Z −. pi (u, v)ρ(u, v) dv du u=−∞ v=yi +∞ Z yi. u=−∞ v=−∞.  pi (u, v)ρ(u, v) dv du . (55).

(5) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. これにより,⟨s⟩ 最大化のための 1 階の条件 (∂⟨s⟩/∂xi = 0 かつ ∂⟨s⟩/∂yi = 0) を次の通りに記述できる: 【n 施設の一般化メディアン立地原理】 n 施設 (xi , yi ) (i ∈ Cn ) の期待最大効用の平均値最大化 問題に関して,次の 2 つの条件. ここで全施設がメディアン (uM , vM ) に配置されている から,全ての施設について,その左右,上下の利用者数が 一致することは自明である.全施設のメディアンへの凝集 立地は,いわば自明な停留点なのである.. 5.分散・凝集原理 前章では目的関数 ⟨s⟩ 最大化のための 1 階の条件を吟味す (範囲 (−∞, xi ) × (−∞, +∞) の施設 i の利用者数) ることによって,一般化メディアン立地原理が導かれた.そ こでは,凝集立地 (全ての施設を需要分布の中央値 (uM , vM ) = (範囲 [xi , +∞) × (−∞, +∞) の施設 i の利用者数), に立地させること) も一般化メディアン立地原理を満たすこ (範囲 (−∞, +∞) × (−∞, yi ) の施設 i の利用者数) とが確認された.ただし,凝集立地の最適性を明らかにす = (範囲 (−∞, +∞) × [yi , +∞) の施設 i の利用者数) るには 2 階の条件の吟味が必要である.以下ではそれを行 が i ∈ Cn について成り立つことが 1 階の最適条件である. い,地域のモビリティ指標 a がある臨界値 a∗ 以下になると (つまり地域内の移動の利便性がある閾値を超えて向上する と),全施設をメディアンに凝集させる立地が目的関数 ⟨s⟩ 一般化メディアン立地原理が意味するところを,図 4 に の極大点を与えることを,n = 2 と n = 3 の場合に証明す 示しておく.非集計ロジットモデルに基づいて施設が選択 る (分散相から凝集相への相転移).施設数 n が 4 以上の場 されるという状況の下で,その施設を利用する人数が施設 合にも,同様の臨界値で相転移が生ずることが推察できる. の左右ならびに上下で等しい.この条件が全ての施設に関 具体的には,まず一般的な n 施設 (n ≥ 2) の場合に目 して同時に成立することが要請されるのである. 的関数 ⟨s⟩ の 2 階の偏微係数を網羅的に導く.そしてそ 従来のメディアン立地の原理は,住民が最寄りの施設に れに基づき,2 施設の場合は ⟨s⟩ の 4 変数 (x1 , y1 , x2 , y2 ) 割り当てられる場合の 1 階の最適条件であるが,それが非 によるヘッセ行列を,3 施設の場合は ⟨s⟩ の 6 変数 集計ロジットモデルを用いた確率的選択の下での最適条件 (x1 , y1 , x2 , y2 , x3 , y3 ) によるヘッセ行列を求め,その主対 へと一般化できることが示されたことに意味がある. 角行列の行列式の正負を吟味する 【附録 ( 2】 と 【附録 3】 ). 5.1   ⟨s⟩ の 2 階の偏微係数の計算と施設の凝集状態にお けるヘッセ行列の要素 式 (50) と (51) をさらに偏微分することによって,2 階 の偏微係数を求めたい.そのための準備として,これらの 式に含まれるロジットモデルの選択確率 pi (u, v) の偏微係 数を求めておく. まず式 (34) の pi (u, v) の xi による微係数を求めると次 の通りである:. yi xi 施設 i の利用者数が左右・上下で等しい 図 4  一般化メディアン立地原理の図解 •. •. •. •. • • •. •. •. •. •. •. •. •. •. •. •. •. (このことが  非  集  計  ロ  ジ     ッ  ト  モ  デ  ル  の  選  択  確  率  の  下    で,全て の施設について成り立つことが最適性の必要条件).. ∂pi (u, v) ∂ri (u, v) qi e−ari (u,v) = −a ·P −ark (u,v) ∂xi ∂xi k∈Cn qk e. 上述のように,目的関数 ⟨s⟩ の停留条件が一般化メディ アン立地原理として与えられた.実は,これに加えて,全 ての施設が需要分布の中央値 (uM , vM ) に立地する状況. (xi , yi ) = (uM , vM ) (i ∈ Cn ). (56). も ⟨s⟩ の停留点となることを確認しておく.このときの客 (u, v) による施設選択確率は,r1 (u, v) = r2 (u, v) = · · · = rn (u, v) により距離の関係する部分が通分され. qi e−ari (u,v) qi =P −ark (u,v) q e k k∈Cn qk k∈Cn. pi (u, v) = P. (57). ∂ri (u, v) +a ∂xi = −a. q e−ari (u,v) P i −ark (u,v) k∈Cn qk e. !2.  ∂ri (u, v)  pi (u, v) − {pi (u, v)}2 . (59) ∂xi. 続いて,j ̸= i のときの xj による偏微係数を求めると次式 に帰着する:. ∂pi (u, v) ∂ri (u, v) =a pi (u, v)pj (u, v) (j ̸= i). (60) ∂xj ∂xj さらに,yi ならびに yj (j ̸= i) による偏微係数も次の様に 導ける:. となる (i ∈ Cn ).つまり,選択確率が施設の魅力度のみに 依存する.そこでこれを改めて次式の通りに定義しておく: qi pˆi = P (i ∈ Cn ). (58) k∈Cn qk. - 166 -.  ∂pi (u, v) ∂ri (u, v)  = −a pi (u, v) − {pi (u, v)}2 ,(61)   ∂yi ∂yi ∂ri (u, v) ∂pi (u, v) = a pi (u, v)pj (u, v) (j ̸= i). (62) ∂yj ∂yj.

(6) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. このように pi (u, v) の偏微係数は距離 ri (u, v) の微係数と 住民の選択確率 pi (u, v),pj (u, v) によって組み立てられ るという特徴をもっている. 続いて,式 (50) と (51) の xi ,xj (j ̸= i),yi ,yj (j ̸= i) による偏微分を【附録 1】の微分公式によって求め,式 (59)∼(62) を適用して整理する.この計算は (xi , yi ) と (xj , yj ) の相対的な位置関係に留意しつつ,直交距離の絶 対値記号を外して項別積分を定義してから微分する,という 手続きを踏まねばならないので,少し手間がかかる.その 過程は割愛するが,結果として 2 階の偏微係数は次の様に 網羅的に導出される (ただし i, j ∈ Cn かつ i ̸= j である):. ここでは記号を. ⟨s⟩∗xy.

(7) ∂ 2 ⟨s⟩

(8)

(9) = ∂y∂x

(10) (xi ,yi )=(uM ,vM ). のように定義して,結果を網羅的に記す (ただし i, j かつ i ̸= j である):  ⟨s⟩∗xi xi = a2 pˆi − pˆ2i − 2aˆ pi ρu (uM ),  ∗ 2 2 ⟨s⟩yi yi = a pˆi − pˆi − 2aˆ pi ρv (vM ),  ⟨s⟩∗yi xi = ⟨s⟩∗xi yi = 2a2 pˆi − pˆ2i γM ,. ⟨s⟩∗yj xi. =. ⟨s⟩∗xj xi. = =. −∞. pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) u=xj v=−∞. du dv, (64). Z ∞Z ∞   ∂ 2 ⟨s⟩ 2 = a pi (u, v) − {pi (u, v)}2 ρ(u, v) du dv ∂yi2 −∞ −∞ Z ∞ −2a pi (u, yi )ρ(u, yi ) du, (65). ⟨s⟩∗xi xj = −a2 pˆi pˆj .. ⟨s⟩∗yj yi. =. ⟨s⟩∗yi yj. (71) (72) (73) (74). s(u, v) = ln(q1 e−ar1 (u,v) + q2 e−ar2 (u,v) ).. −∞ −∞ Z yi ∞. pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) u=−∞ v=yj. =. ⟨s⟩∗xj yi. (70). 5.2   2 施設の問題と凝集立地の 2 階の条件 2 つの施設 (x1 , y1 ),(x2 , y2 ) の最適配置を議論する.こ のとき位置 (u, v) の利用者の期待最大効用指標は次式の通 りに表される:. −∞. ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ = ∂yj ∂yi ∂yi ∂yj Z ∞Z ∞ = −a2 pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) du dv Z +2a2. =. ⟨s⟩∗yi xj. ∈ Cn. ただし,pˆi は式 (58) で定義した,全施設を中央値に立地さ せるときの施設 i の選択確率である.また,式 (72) と (73) 右辺の γM は式 (25),(26),(28) で定義した通りである.. −∞ −∞ xi Z ∞. Z +2a2. ⟨s⟩∗xi yj 2. = −2a pˆi pˆj γM ,. Z ∞Z ∞   ∂ 2 ⟨s⟩ 2 pi (u, v) − {pi (u, v)}2 ρ(u, v) du dv = a ∂x2i −∞ −∞ Z ∞ −2a pi (xi , v)ρ(xi , v) dv, (63) ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ = ∂xj ∂xi ∂xi ∂xj Z ∞Z ∞ = −a2 pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) du dv. (69) (i=1,2,··· ,n). du dv, (66). (75). s(u, v) の概形を図 5 に例示する.施設の近傍で期待最大効 用指標が大きい値をとることがわかる.そして,u = x1 , x2 ならびに v = y1 , y2 という 4 本の直線に沿って s の曲面に 稜線がある.. Z +. u=xi v=−∞ ∞ Z ∞ . pi (u, v) u=xi v=yi Z xi Z yi . +. s(u, v). ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ = ∂yi ∂xi ∂xi ∂yi  Z ∞ Z y i  = a2 − pi (u, v) − {pi (u, v)}2 ρ(u, v) du dv  − {pi (u, v)}2 ρ(u, v) du dv. pi (u, v) u=−∞ v=−∞ Z xi Z ∞ .  − {pi (u, v)}2 ρ(u, v) du dv. v.   pi (u, v) − {pi (u, v)}2 ρ(u, v) du dv , (67). −. u. u=−∞ v=yi. ∂ 2 ⟨s⟩ ∂ 2 ⟨s⟩ = ∂yj ∂xi ∂xi ∂yj Z ∞ Z = a2. (q1 , q2 ) = (1, 3),(x1 , y1 , x2 , y2 ) = (2.5, 1.5, 7.5, 8.5). 図 5   2 施設の期待最大効用指標 s(u, v) (a = 0.5).. yi. pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) u=xi v=−∞ Z ∞ Z ∞. du dv. 2 施設の期待最大効用の平均値最大化問題とは,式 (75) の下で,式 (36) の ⟨s⟩ の最大化を図るものである. u=xi v=yi Z xi Z yi 凝集立地の最適性を明らかにするには,2 階の条件の吟 − pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) du dv u=−∞ v=−∞ 味が必要である.以下ではヘッセ行列を調べることにより,  Z xi Z ∞ モビリティ指標 a がある臨界値 a∗ 以下になると (つまり地 pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) du dv . (68) + u=−∞ v=yi 域内の移動の利便性がある閾値を超えて向上すると),2 つ 全施設を中央値に凝集させるときの 2 階の偏微係数を求 の施設をメディアンに凝集させる立地が目的関数 ⟨s⟩ の極 めるためには,式 (63)∼(68) に含まれる確率 pi (u, v) と 大点を与えることを示す (分散相から凝集相への相転移). pj (u, v) を一律に式 (58) の内容で置換えて計算すればよい. 全施設を凝集立地させるときの ⟨s⟩ の 2 階の偏微係数は −. pi (u, v)pj (u, v)ρ(u, v) du dv. - 167 -.

(11) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 前節の式 (70)∼(74) で導かれている.そこで,施設数を n = 2 として,⟨s⟩ の変数 (x1 , y1 , x2 , y2 ) によるヘッセ ˆ ij ] (i, j = ˆ = [h 行列をこれらに基づいて求めたものを H 1, 2, 3, 4) として,その全成分を記す:. ˆ 11 = aˆ h p1 {aˆ p2 − 2ρu (uM )} , ˆ 12 = h ˆ 21 = h ˆ 34 = h ˆ 43 = 2a2 pˆ1 pˆ2 γM , h ˆ 13 = h ˆ 31 = h ˆ 24 = h ˆ 42 = −a2 pˆ1 pˆ2 , h. (76) (77) (78). ˆ 14 = h ˆ 41 = h ˆ 23 = h ˆ 32 = −2a2 pˆ1 pˆ2 γM , h ˆ 22 = aˆ h p1 {aˆ p2 − 2ρv (vM )} , ˆ h33 = aˆ p2 {aˆ p1 − 2ρu (uM )} ,. (79). ˆ 44 = aˆ h p2 {aˆ p1 − 2ρv (vM )} .. (82). (80). ˆ の主対角行列の行列式を吟味することにより, H  1 ∗ 【臨界点】 a = 2 ρu (uM ) + ρv (vM ) 1 − 4γM  q 2 2 − {ρu (uM )−ρv (vM )} + 16γM ρu (uM )ρv (vM ) (84). (92). ˆ 16 = h ˆ 61 = h ˆ 25 = h ˆ 52 = −2a2 pˆ1 pˆ3 γM , h ˆ 34 = h ˆ 43 = 2a2 (ˆ h p2 − pˆ22 )γM , ˆ 35 = h ˆ 53 = h ˆ 46 = h ˆ 64 = −a2 pˆ2 pˆ3 , h ˆ 36 = h ˆ 63 = h ˆ 45 = h ˆ 54 = −2a2 pˆ2 pˆ3 γM , h. (96). ˆ 56 = h ˆ 65 = 2a (ˆ h p3 − 2. (81). ˆ 14 は H ˆ の 1 行 4 列の成分であり,次を意味して 例えば h いる (1 番目の変数 x1 と 4 番目の変数 y2 による 2 階の偏 微係数に中央値を代入したもの):

(12) 2

(13) ˆ 14 = ∂ ⟨s⟩

(14) h . (83) ∂y2 ∂x1

(15) (x1 ,y1 ,x2 ,y2 )=(uM ,vM ,uM ,vM ). ˆ 12 = h ˆ 21 = 2a2 (ˆ h p1 − pˆ21 )γM , ˆ 13 = h ˆ 31 = h ˆ 24 = h ˆ 42 = −a2 pˆ1 pˆ2 , h ˆ 14 = h ˆ 41 = h ˆ 23 = h ˆ 32 = −2a2 pˆ1 pˆ2 γM , h ˆ 15 = h ˆ 51 = h ˆ 26 = h ˆ 62 = −a2 pˆ1 pˆ3 , h. pˆ23 )γM .. (93) (94) (95) (97) (98) (99) (100). ˆ 25 は H ˆ の 2 行 5 列の成分であり,次を意味して 例えば h いる (2 番目の変数 y1 と 5 番目の変数 x3 による 2 階の偏 微係数に中央値を代入したもの):

(16) 2

(17) ˆ 25 = ∂ ⟨s⟩

(18) h . ∂x3 ∂y1

(19) (x1 ,y1 ,x2 ,y2 ,x3 ,y3 )=(uM ,vM ,uM ,vM ,uM ,vM ) (101) ˆ ここでも H の主対角行列式を吟味して,2 施設の場合と ˆが 全く同様に式 (84) の a∗ により,a ∈ (0, a∗ ) ならば H 負値定符号行列となることが示される【附録 3】. 5.4  凝集・分散原理と相転移予想 以上を要するに,相転移の臨界点を式 (84) の a∗ で与え るとき,次が成立する.. ˆ が負値定符号行列とな とするとき,a ∈ (0, a∗ ) ならば H ることが証明できる【附録 2】.ただし,式 (84) に含まれ 【2 次元平面における 2 施設と 3 施設の凝集・分散原理】 る ρu (·),ρv (·) は式 (15),(16) の需要の周辺密度であり, [相 I] a∗ < a のとき分散配置が最適である γM は 3 章の式 (25),(26),(28) で定義した通りである. [相 II]0 < a < a∗ のとき施設の凝集状態 (全施 設が需要分布の中央値 (uM , vM ) にあること) が 5.3   3 施設の問題と凝集立地の 2 階の条件 最適である 3 つの施設 (x , y ),(x , y ),(x , y ) の最適配置を議 1. 1. 2. 2. 3. 3. 論する.このとき位置 (u, v) の利用者の期待最大効用指標 は次式の通りに表される:. s(u, v) = ln. 3 X. qi e−ari (u,v) .. (85). i=1. 3 施設の期待最大効用の平均値最大化問題とは,式 (85) の 下で,式 (36) の ⟨s⟩ の最大化を図るものである. 3 施設が中央値に凝集するときの (x1 , y1 , x2 , y2 , x3 , y3 ) による ⟨s⟩ の 2 階の偏微係数は,式 (70)∼(74) で n = ˆ ij ] (i, j = ˆ = [h 3 とすれば求められる.ヘッセ行列を H 1, 2, 3, 4, 5, 6) として,その全成分を記す: ˆ 11 = a2 (ˆ h p1 − pˆ21 ) − 2aˆ p1 ρu (uM ), 2 2 ˆ h22 = a (ˆ p1 − pˆ1 ) − 2aˆ p1 ρv (vM ), 2 2 ˆ h33 = a (ˆ p2 − pˆ ) − 2aˆ p2 ρu (uM ), 2. ˆ 44 = a2 (ˆ h p2 − pˆ22 ) − 2aˆ p2 ρv (vM ), 2 2 ˆ 55 = a (ˆ h p3 − pˆ3 ) − 2aˆ p3 ρu (uM ), 2 2 ˆ 66 = a (ˆ h p3 − pˆ ) − 2aˆ p3 ρv (vM ), 3. (86) (87) (88) (89) (90) (91). モビリティ指標 a が減少してゆく (つまり都市内の移動 が便利になってゆく) とき,住民の期待最大効用の平均値を 最大化する最適施設配置は,臨界点 a = a∗ で分散相から 凝集相に転移するのである. 1 次元都市で定式化される同様のモデルにおける,施設数 が 2 と 3 のときの分散・凝集原理の成立は栗田 12) によっ て示され,それが任意の施設数について成り立つであろう, という予想も述べられた.本論文は,同様のことが 2 次元 都市で成り立つことを,直交距離を前提とする 2 施設と 3 施設の場合に示したことになる. ここで式 (84) が 1 次元の結果を特殊例として包含する かどうか,というのは当然気になるところである.実は思 惑通り,式 (84) に基づいて栗田 12) の 1 次元の相転移の臨 界点を導出できる,という興味深い結果を示すことができ る (【付録 4】に記す). 次章では需要分布の例として一辺 L の正方形領域におけ る一様分布を取り上げ,分散・凝集原理が厳密に成立する ことを 5 以下の自然数 n について数値的に確認した結果を. - 168 -.

(20) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 述べる (目的関数 ⟨s⟩ の複雑さゆえに最適解 {(x∗i , yi∗ )} を 陽には求められない). このことから,次の予想を述べておきたい:. v E02. E12. y2 【相転移予想】. y1. O. 1 L2. ((u, v) ∈ [0, L]2 ).. (102). このとき最大化すべき s(u, v) の平均値は次式で表される: Z LZ L 1 ⟨s⟩ = 2 s(u, v) du dv. (103) L 0 0. ρu (uM ) = ρv (vM ) = 1/L.. (105). 領域の人口に関する式 (28) の指標 γM も簡単に求められる:. γM = αM − βM = 1/4 − 1/4 = 0.. (106). これらを臨界点の理論式 (84) に代入・整理して次を得る: 【一様分布下の臨界点】 a∗ = 2/L.. E20. x1. u. x2. a [−L3 + (x1 − y1 )(x2 + y1 )L + 2x2 y2 L L2 +(y1 − y2 ){x1 (x1 + y1 ) + x2 (x2 + y2 )}] 1 − 2 [(x1 y1 − x2 y2 ) ln q1 − {x2 y1 + x1 y2 − 2x2 y2 L −(x1 − x2 + y1 − y2 )L} ln q2 ] 1 + 2 [x1 (L − y2 ) ln{q1 e−a(x1 +y2 ) + q2 e−a(x2 +y1 ) } L +(L − x2 )y1 ln{q1 ea(x1 +y2 ) + q2 ea(x2 +y1 ) }. ⟨s⟩ =. に基づき式 (103) の ⟨s⟩ の最大化問題を考える. 式 (102) の需要密度に対して,周辺分布の中央値ならび に中央値における周辺密度の値を求めると次の通りである:. (104). E10. 9 つの領域毎に絶対値記号を外して項別積分を行い,目 的関数 ⟨s⟩ を具体的に算出した (導出過程は極度に煩雑なの で割愛する):. (75再). uM = vM = L/2,. E21. 図 6  平面上の 2 つの施設と 9 つの積分領域.. 6.1   2 施設の数理解析と数値計算 2 施設の位置を (x1 , y1 ),(x2 , y2 ) としたログサム変数 s(u, v) = ln(q1 e−ar1 (u,v) + q2 e−ar2 (u,v) ). E11. 施設 1. E00. 6.需要が正方形領域の一様分布に従うときの解析 都市域を 1 辺が長さ L(> 0) の正方形とし,需要を一様 とする: ρ(u, v) =. 施設 2. E01. 式 (84) の臨界点 a∗ での [I] 分散相から [II] 凝 集相への相転移は 4 以上の任意の自然数 n でも 成立する. E22. (107). +x1 y1 ln{q1 e−a(x1 +y1 ) + q2 e−a(x2 +y2 ) } +(L − x2 )(L − y2 ) × ln{q1 ea(x1 +y1 ) + q2 ea(x2 +y2 ) }] 1 q1 + [(2L − x2 − y2 )Li2 (− ea(x1 −x2 +y1 −y2 ) ) 2 2aL q2 q1 a(−x1 +x2 +y1 −y2 ) −(L − y2 )Li2 (− e ) q2 q1 −(L − x2 )Li2 (− ea(x1 −x2 −y1 +y2 ) ) q2 q2 +(x1 + y1 )Li2 (− ea(x1 −x2 +y1 −y2 ) ) q1 q2 −y1 Li2 (− ea(−x1 +x2 +y1 −y2 ) ) q1 q2 −x1 Li2 (− ea(x1 −x2 −y1 +y2 ) )] q1 1 q2 − 2 2 [Li3 (− ea(x1 −x2 +y1 −y2 ) ) 4a L q1 q2 −Li3 (− ea(−x1 +x2 +y1 −y2 ) ) q1 q2 −Li3 (− ea(x1 −x2 −y1 +y2 ) ) q1 q2 a(−x1 +x2 −y1 +y2 ) )]. (110) +Li3 (− e q1. つまり,a が上方から減少してゆくとき,a∗ = 2/L 以下で は需要分布の中央値 (L/2, L/2) に凝集した状態が最適配置 になることがわかる.そして実に興味深いことに,この臨 界点 a∗ = 2/L は,長さ L の 1 次元都市で需要が一様なと きの臨界点に一致している 12) . 以下では目的関数を具体的に導出した上で,a の推移に 応じた最適解の挙動を観察することにしよう. 式 (103) の ⟨s⟩ を計算するには,定義式 (75) 中の ri (u, v)(すなわち式 (30)) の絶対値記号を外す必要がある. 外れ方は需要点の位置 (u, v) が図 6 の E00 ∼E22 のどの領 域に含まれるかで異なる.一例として (u, v) ∈ E11 の場合 ただし,Lit (z) は多重対数関数である 13, 26) : の結果を示すと,次の通りである:. r1 (u, v) = u − x1 + v − y1 , r2 (u, v) = x2 − u + y2 − v.. (108) (109). - 169 -. Lit (z) =. ∞ X zk k=1. kt. .. (111).

(21) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. 5 章で述べた分散・凝集原理によって,都市のモビリティ 指標 a が小さくなってゆくときに (つまり便利になってい くときに) 臨界点 a∗ = 2/L において最適施設配置の凝集 が生ずることは明らかである.しかし,最適施設配置が具 体的にどのような空間的推移を辿るのかに興味がある.そ こで,式 (110) の ⟨s⟩ を最大化する次の問題を数値的に解 くことにする: maximize ⟨s⟩ subject to. 0 ≤ x1 ≤ x2 ≤ L,. (112) (113). 0 ≤ y1 ≤ y2 ≤ L.. (114). 10. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡 a=0.6. 8. 6. a=2. v. a≤0.2 a=2 4. a=0.6 (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. 2. 0. 数値例として L = 10 とし,(q1 , q2 ) 値の様々なケースに 応じて,a を上方より小刻みに 0 に近づけてゆく場合に,上 記の制約付き最大化問題を数式処理システム Mathematica Ver. 12.0.0 の NMaximize 命令を用いて解き,数値解を 求めた.ただし,有効目標精度を 10 桁とするオプション設 定で計算を行った.相転移の臨界点は a∗ = 2/L = 0.2 で ある. a の変化に応じた最適解の挙動を図 7 に示す.2 つの施設 の最適配置を水色の小さなドットで表現した.a の減少に応 じて 2 つの施設の最適配置が動いていく向きを矢印で示し ている.いずれの場合も,a → +∞ での最適配置はすべて の利用者を最近隣施設に割り当てるときの minisum 型施設 配置問題の解に一致することが分かっている:(x∗1 , y1∗ ) → (2.5, 5) かつ (x∗2 , y2∗ ) → (7.5, 5). 図 7(i) は (q1 , q2 ) = (1, 1) の場合である.a が十分に 大きいときは (この例では a = 2),2 つの施設が最近隣 割当ての下での最適配置の近傍に位置している (青色の点). a が減少してゆくと,2 つの施設は回転対称性を保ったま ま,弧を描くように直交座標の斜め 45◦ 線に近づいてゆき, a = 0.6 のときに両施設が 45◦ 線に乗ることになる (マゼン タ色の点).それ以降は,a の減少に連れて対称性を保った まま 45◦ 線上で互いに近づいてゆき,a = 0.2(臨界点) で 中央値 (uM , vM ) = (5, 5) に凝集する (赤い点).それ以降, すなわち a ∈ (0, 0.2) ではもちろん凝集したままである (凝 集相). 図 7(ii) は (q1 , q2 ) = (1.5, 1) の場合である.基本的に図 7(i) の場合と似通った挙動,すなわち最近隣施設への割当 ての下での minisum 型施設配置問題の解の近傍 (青い点) をスタートして,a の減少に連れて直交座標の斜め 45◦ 線 に移動し (マゼンタ色の点),そこから両施設ともに単調に 中央値 (uM , vM ) = (5, 5) に向かい a = 0.2 で凝集する (赤 い点).ただし,魅力度が一律でないので立地の対称性には 欠けていることがわかる. 図 7(iii) では (q1 , q2 ) = (10, 1) と,施設 1 の魅力度が 施設 2 の 10 倍という極端な例を与えた.この場合も最近隣 施設への割当ての下での minisum 型施設配置問題の解の近 傍 (青色の点) からスタートし,a の減少に連れて直交座標 の斜め 45◦ 線に近づき,a = 1.41 で両施設が 45◦ 線に乗 る (マゼンタ色の点).しかし,その後の挙動が全く特徴的. 0. 2. 4. 6. 8. 10. u (i) (q1 , q2 ) = (1, 1) 10. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡 a=0.6. 8. 6. a=2. v. a≤0.2 a=2 4. a=0.6 (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. 2. 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. u (ii) (q1 , q2 ) = (1.5, 1) 10. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡 a=0.54 8. a=1.41 6. a=6 a≤0.2. v. a=0.54. 4. a=6. a=1.41 (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. 2. 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. u (iii) (q1 , q2 ) = (10, 1). 図 7  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変化 に応じた 2 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ) の挙動 (L = 10). である.a = 0.54(オレンジ色の点) までは,両施設が 45◦ 線上を同じ向きに移動するのである (魅力度が大きい施設 1 は中央値に近づき,魅力度が小さい施設 2 は逆に中央値か ら遠ざかる).そしてそれ以降は施設 2 が 45◦ 線上で動く向 きを反転させて中央値に向かう.最終的には臨界点 a = 0.2 で両施設が凝集する (赤色の点) という次第である. 2 つの施設の魅力度に大きな開きがあるときは,分散相 において魅力度の大きな施設が中央値付近で正方形都市全体 のサービス水準を高める役割を果たし,手薄になる領域 (こ. - 170 -.

(22) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. の例の場合は直交座標の右上端の近傍領域) を魅力度の小さ い施設が微力ながら支える,という構造が読み取れる.魅 力度が大きい施設を大規模スーパー,魅力度が小さい施設 を小規模店舗と見做してみるとよい.住民の期待最大効用 の平均値を最大化するためには,2 つの商業施設の相対的位 置関係を慎重に設計する必要があることが理解できる.. 最適配置は a = 0.96 の状態 (オレンジ色の点) をスタート し,需要分布の中央値 (uM , uM ) = (5, 5) に漸近する.そ の際,施設 2 と施設 3 の斜め 45◦ 線に関する対称性は保た れたままである.そして臨界点 a = 0.2 で中央値 (赤色の 点) に凝集し,その後は凝集したままとなる (凝集相). 10. (x3∗ , y3∗ ) の軌跡. 6.2  施設数が 3 以上のときの数値計算 施設数が n のときのログサム変数 s(u, v) は次の通り: s(u, v) = ln. n X. qi e−ari (u,v) .. 8. (115). 6. a=2. v. i=1. 需要が一辺 L の正方形上で一様なのだから,式 (103) を算 出し,それを最大化すればよい.ただし,施設数 n が 3 以 上の場合は,2 施設の場合の図 6 のような積分領域のシス テマティックな分割が困難であるため,項別積分によって 目的関数を陽に導出するための見通しがよくない.そこで ri (u, v) すなわち式 (30) の絶対値記号を外すことなく,⟨s⟩ の式 (103) を数値積分によって評価し,偏微係数を用いるこ となく (つまり降下法によらずに),⟨s⟩ の最大解を求める. ここでは数式処理システム Mathematica Ver. 12.0.0.0 の NMaximize 命令を用い,Method を“ SimulatedAnnealing ”(やきなまし法) に設定し,有効目標精度を 5 桁 とするオプション設定で最適化計算を行った. 以下に,施設数を 3,4,5 としたときの数値例を紹介す る.それ以上の施設数の場合も最適化問題自体は解けるが, 今回は a を小刻みに動かして,その都度最適化問題を解く 必要がある.やきなまし法にはどうしても降下法系のアル ゴリズムよりも過大な計算時間が必要とされるので,今回 は施設数が最大 5 の場合にとどめて記述している.. a=1.16 a=1.12. 4. a=0.96 (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. 2. (x2∗ , y2∗ ) の軌跡. 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. u (i) a = 2 から a = 0.96 までの 0.04 刻みの挙動. ⇓ 10. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡 8. 6. a≤0.2. v 4. (x2∗ , y2∗ ) の軌跡 a=0.96 2 (x∗1 , y1∗ ) の軌跡 0. 6.2.1  施設数が 3 のとき まずは 3 つの施設の魅力度を (q1 , q2 , q3 ) = (1, 1, 1) と 一律においたときの結果を示す.モビリティ指標 a は (0, 2] の範囲で変化させた.3 つの施設の最適解を破線で結んで図 8 に表示する. 図 8(i) には a = 2 から a = 0.96 まで 0.04 刻みで変 化させるときの挙動を示す.まず a = 2 のときの最適配置 は,需要点を最近隣施設に割り当てるときの minisum 型施 設配置問題の解の近傍で実現する (青い点).a が逓減する と a = 1.16(マゼンタ色の点) までは最適配置に微小なる反 時計回りの回転が生じる.さらなる a の減少により最適配 置は一気に反時計回りに回転し,a = 1.12 で施設 1 の最適 解 (x∗1 , y1∗ ) が (u, v) 直交座標系の斜め 45◦ 線の近傍にジャ ンプする (紫色の点).それに続く a の逓減により,最適配 置は微小なる反時計回りの回転をなし,a = 0.96 のときに 施設 1 の最適解 (x∗1 , y1∗ ) が斜め 45◦ 線上に到達する.(オ レンジ色の点).施設 2 と施設 3 の最適配置点は斜め 45◦ 線に関して対称な関係となる. 図 8(ii) には a = 0.96 から a = 0.04 まで 0.04 刻みで 変化させるときの挙動を示す.図中の矢印のように,3 つの. 0. 2. 4. 6. 8. 10. u (ii) a = 0.96 から a = 0.04 までの 0.04 刻みの挙動. 図 8  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変化 に応じた 3 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ), (x∗3 , y3∗ ) の挙動 (L = 10,(q1 , q2 , q3 ) = (1, 1, 1) の数 値例). 次に施設の魅力度が一律でない極端な例として, (q1 , q2 , q3 ) = (10, 1, 1) を取り上げる.非常に大規模な図書 館 1 つと小規模の図書館 2 つ,あるいはとても大きなスー パーマーケットと小規模のコンビニ 2 つ,といった現実例 につながるものである.ここでもモビリティ指標 a は (0, 2] の範囲で変化させ,3 つの施設の最適解を破線で結んで図 9 に表示する. 図 9(i) には a = 2 から a = 0.56 まで 0.16 刻みで変化さ せるときの挙動を示す.例によって a = 2 のときの最適配置 は,需要点を最近隣施設に割り当てるときの minisum 型施 設配置問題の解の近傍で実現する (青い点).このスタート点 の状況は {qi } に依存しない.a が逓減すると a = 0.56(マ. - 171 -.

(23) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. ゼンタ色の点) までは施設 1 は需要分布の中央値に漸近し, 施設 2 と 3 は需要分布の中央値から遠ざかる向きに移動す る.施設 1 が領域の中央付近で全体のサービス水準に寄与 する一方,サービスが手薄になる領域 (つまり大規模施設で ある施設 1 から離れた領域,この場合は正方形の右上と右 下の付近) に小規模の施設 2 と 3 が微力ながら助け舟を出 す,という構図が読み取れる.このように 3 つの施設のな す三角形が右にシフトしてゆき,a = 0.56 のときに最も右 に到達する (マゼンタ色の点). 10. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡 8. 6. a=2. v 4. a=0.56. リエーションが存在することが見出された.. 6.2.2  施設数が 4 のとき まずは 4 つの施設の魅力度を (q1 , q2 , q3 , q4 ) = (1, 1, 1, 1) と一律においたときの結果を示す.モビリティ 指標 a は (0, 2] の範囲で変化させた.4 つの施設の最適解 を破線で結んで図 10 に表示する. 図 10 には a = 2 から a = 0.02 まで 0.02 刻みで変化 させるときの挙動を示す.まず a = 2 のときの最適配置は, 需要点を最近隣施設に割り当てるときの minisum 型施設配 置問題の解の近傍で実現する (青い点).a が逓減すると 4 つの施設は回転対称性を保ったまま僅かずつ回転するとと もに,中央値 (5, 5) に単調に近づいている.そして臨界点 a = 0.2 で中央値 (赤い点) に凝集し,それ以降は凝集した ままである (凝集相). 10. (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. (x∗4 , y4∗ ) の軌跡. 2. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡. 8. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡 0. 6 0. 2. 4. 6. 8. 10. v. u (i) a = 2 から a = 0.56 までの 0.16 刻みの挙動. a≤0.2 4. ⇓. a=2. 2. (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. 10. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡. 0 0. 8. 2. 4. 6. 8. 10. u a = 2 から a = 0.02 までの 0.02 刻みの挙動. 6. v. a=0.56. 図 10  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変 化に応じた 4 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ), (x∗3 , y3∗ ),(x∗4 , y4∗ ) の挙動 (L = 10, (q1 , q2 , q3 , q4 ) = (1, 1, 1, 1) の数値例).. a≤0.2. 4 (x∗ , y ∗ ) の軌跡 1 1 2. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡. 次に施設の魅力度が一律でない極端な例として, (q 1 , q2 , q3 , q4 ) = (10, 1, 1, 1) を取り上げる.これも,3 施 u (ii) a = 0.96 から a = 0.004 までの 0.16 刻みの挙動 設の場合と同様に,非常に大規模な図書館 1 つと小規模の 図書館 3 つ,あるいはとても大きなスーパーマーケットと 図 9  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変化 小規模のコンビニ 3 つ,といった現実例につながるもので に応じた 3 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ), ある.ここでもモビリティ指標 a は (0, 2] の範囲で変化さ ∗ ∗ (x3 , y3 ) の挙動 (L = 10,(q1 , q2 , q3 ) = (10, 1, 1) の数 せ,4 つの施設の最適解を破線で結んで図 11 に表示する. 値例). 図 11(i) には a = 2 から a = 0.56 まで 0.02 刻みで 変化させて最適解の挙動を示す.一般化メディアン立地原 図 9(ii) には a = 0.56 から a = 0.004 まで 0.16 刻みで 理により,a → +∞ での最適解は (x∗1 , y1∗ ) = (2, 5, 2.5), 変化させるときの挙動を示す.魅力度が大きい施設 1 は図 ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ 9(i) と同様に需要分布の中央値への漸近を一貫して続ける. (x2 , y2 ) = (7, 5, 2.5),(x3 , y3 ) = (7, 5, 7.5),(x4 , y4 ) = (2, 5, 7.5) である.魅力度 q1 が他を圧して大きいことが影 しかし魅力度が小さい施設 2 と 3 は a = 0.56(マゼンタ色 響して,a = 2 において,既に a → +∞ の最適解から大 の点) で打って変わって向きを変え,需要分布の中央値に めに乖離した配置となっている (青い点).そこからスター 向かう移動を始める.そして臨界点 a = 0.2 で中央値 (赤 色の点) に凝集し,その後は凝集したままとなる (凝集相). トして a が逓減するのに応じて,魅力度が大きい施設 1 は 2 施設の場合もそうであったが,臨界点での凝集に至る最 中央値 (5, 5) に漸近し,魅力度が小さい施設 2,3,4 は中 適配置の空間的推移には,魅力度 {qi } に応じた複数のヴァ 央値から離れる向きに移動している.そして a = 0.70 にお 0. 0. 2. 4. 6. 8. 10. - 172 -.

(24) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. いて,施設 2 ならびに 3 が中央値 (5, 5) から最も遠ざかる (マゼンタ色の点).続いて a = 0.56 のときに,施設 3 が 中央値から最も遠ざかる (オレンジ色の点). 10. (x∗4 , y4∗ ) a=0.70. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡 a=0.56. の軌跡. 8. でそれ以外の 4 つの施設の最適解を破線で結んで表示した. 当然のことであるが,a = 2 の最適配置は,一般化メディ アン立地原理により,需要点を最近隣施設に割り当てるとき の minisum 型施設配置問題の解の近傍で実現している (青 い点).a が逓減するにしたがって,外側の 4 つの施設は対 称性を保ったまま需要分布の中央値 (5, 5) に一貫して近づ き,臨界点 a = 0.2 で (5,5) に凝集する (赤い点).それ以 降は 5 つの施設が中央値に凝集したままである (凝集相).. 6. v. 10. (x∗5 , y5∗ ) の軌跡. 4. a=2. (x∗4 , y4∗ ) の軌跡. 8. ∗ ∗ 2 (x1 , y1 ) の軌跡. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡. 6. (x∗1 , y1∗ ) は不動. v. 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. a≤0.2. 4. u (i) a = 2 から a = 0.56 までの 0.02 刻みの挙動. a=2. 2. ⇓. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡. 0. 10. (x∗4 , y4∗ ) の軌跡. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡 a=0.56. 0. 2. 4. 6. 8. 10. u a = 2 から a = 0.02 までの 0.02 刻みの挙動. 8. 図 12  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変 化に応じた 5 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ), (x∗3 , y3∗ ),(x∗4 , y4∗ ),(x∗5 , y5∗ ) の挙動 (L = 10, (q1 , q2 , q3 , q4 , q5 ) = (1, 1, 1, 1, 1) の数値例).. 6. v. a≤0.2 4. (x∗1 , y1∗ ) の軌跡. 2. (x∗2 , y2∗ ) の軌跡 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. u (ii) a = 0.56 から a = 0.02 までの 0.02 刻みの挙動. 図 11  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変 化に応じた 4 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ), (x∗3 , y3∗ ),(x∗4 , y4∗ ) の挙動 (L = 10, (q1 , q2 , q3 , q4 ) = (10, 1, 1, 1) の数値例). 続く図 11(ii) には,a = 0.56(オレンジ色の点) から a = 0.02 まで 0.02 刻みで動かしたときの最適配置が描画されて いる.この範囲では,全ての施設が需要分布の中央値 (5,5) に向かって単調に近づいてゆくのがわかる.そして臨界点 a = 0.2 で 4 施設は中央値に凝集し (赤い点),それ以降は そのままである (凝集相).. 6.2.3  施設数が 5 のとき ここでもこれまでと同様に,まずは 5 つの施設の魅力度 を (q1 , q2 , q3 , q4 , q5 ) = (1, 1, 1, 1, 1) と一律にした結果を 示す.モビリティ指標 a は (0, 2] の範囲で変化させた. 図 12 には a = 2 から a = 0.02 まで 0.02 刻みで変化さ せて最適解の挙動を示す.いずれの a 値に対しても,1つ の施設は正方形の中央 (5, 5) に配置され不動である.そこ. 次に施設の魅力度が一律でない極端な例として, (q1 , q2 , q3 , q4 , q5 ) = (10, 1, 1, 1, 1) を取り上げる.これも, 2 施設,3 施設ならびに 4 施設の場合と同様に,非常に大規 模な図書館 1 つと小規模の図書館 4 つ,あるいはとても大 きなスーパーマーケットと小規模のコンビニ 4 つ,といっ た現実例につながるものである.ここでもモビリティ指標 a は (0, 2] の範囲で変化させた.ただし 1 つだけ規模が大 きな施設 1 の最適位置は都市中央 (5,5) で不動だから,そ れ以外の 4 施設の位置を破線で結んで図 13 に表示した. 図 13(i) には a = 2 から a = 0.72 まで 0.02 刻みで変化 させて挙動を示す.a = 2 のときは minisum 型施設配置問 題の最適解の近傍に位置している (青い点,ただし中心部の 青い点 (施設 1 の最適位置) はマゼンタ色の点の下に隠れて いる).そして a の逓減に連れて施設 2,3,4,5 の最適解 は都市中央部から離れる向きに少しずつ移動し,a = 0.72 のときに最も都市中央から離れる (マゼンタ色の点). 図 13(ii) には a = 0.72 から a = 0.02 までの最適解の 挙動が描かれている.魅力度が大きい施設 1 の最適位置は 一貫して都市中央で不動である.一方,魅力度が小さい施 設 2,3,4,5 は a = 0.72(青い点) で移動の向きを転換 し,都市中央に向かって動き始める.そして臨界点 a = 0.2 で (5,5) に凝集し (赤い点),それ以降は凝集したままとな る (凝集相).. - 173 -.

(25) 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.56 No.1, 2021 年 4 月 Journal of the City Planning Institute of Japan, Vol.56 No.1, April, 2021. ら導かれる都市計画上の示唆にも言及しておこう.. 10. (x∗5 , y5∗ ) の軌跡. (x∗4 , y4∗ ) の軌跡. まずは計算機実験から読み取れる事実をまとめる:. 8. 6. 【施設の魅力度が一律の場合】. (x∗1 , y1∗ ) は不動. v. (1) a の逓減に連れて,全ての施設が単調に需要分布の中 央値 (5,5) に近づいてゆく (図 7(i),図 8,図 10,図 12).ただし,5 施設の場合は (5,5) に 1 つの施設が 立地し不動となる (図 12).. 4. a=2. 2. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡. a=0.72 (x∗2 , y2∗ ) の軌跡. 0 0. 2. 4. 6. 8. (2) 施設数が 2 と 4 と 5 の場合,a の変化に応じて最適 施設配置は回転対称性を保ったまま推移する (図 7(i), 図 10,図 12).. 10. u (i) a = 2 から a = 0.72 までの 0.2 刻みの挙動. (3) 施設数が 2 と 3 と 4 の場合は,最適配置のパターンが 都市中央 (5,5) を中心点とする回転をともなって,都 市中央 (5,5) に収斂してゆく様が観察された (図 7(i), 図 8,図 10).. ⇓ 10. (x∗5 , y5∗ ) の軌跡. (x∗4 , y4∗ ) の軌跡. 8. (4) 3 施設の場合,最適配置のなす二等辺三角形の対称軸 が直交座標の軸にほぼ平行な状態の配置から,45◦ 線 に一致する配置に,不連続的にジャンプする様子が読 み取れた (図 8(i)).. 6. v. a≤0.2. (x∗1 , y1∗ ) は不動 4. 2. 0 0. 2. 【1 つの施設の魅力度が非常に大きい場合】. (x∗3 , y3∗ ) の軌跡. a=0.72 (x∗2 , y2∗ ) の軌跡 4. 6. 8. (5) 施設数が 2,3,4 のとき,大きな魅力度をもつ施設 1 は a 値の逓減に連れて単調に中央値 (5,5) に近づく (図 7(iii),図 9,図 11).. 10. u (ii) a = 0.72 から a = 0.02 までの 0.02 刻みの挙動. 図 13  一様な需要分布の下でのモビリティ指標 a 値の変 化に応じた 5 施設モデルの最適解 (x∗1 , y1∗ ),(x∗2 , y2∗ ), (x∗3 , y3∗ ),(x∗4 , y4∗ ),(x∗5 , y5∗ ) の挙動 (L = 10, (q1 , q2 , q3 , q4 , q5 ) = (10, 1, 1, 1, 1) の数値例).. 7.最適配置がもつ共通の性質と都市施設計画への示唆 期待最大効用の平均値を最大化するシステム最適化モデ ルは,未だ人口に膾炙しているとは言い難い.そして平均 距離の最小化 (ヴェーバー問題や p-メディアン問題) とい う (即物的であり都市計画や応用数理の専門家でなくても) 理解し易いシステム最適化に比して,ややとっつき難いも のである.しかし,本間 5) がいみじくも指摘する通り, 「住 民が施設を確率的に選ぶときは,距離の総和ではなく何を 目的関数にすべきであろうかという問いかけに対する一つ の明確な解答」であり,都市施設配置計画の本質に関わる 重要な存在足り得るものと考えられる. 本章では,ここまで正方形都市空間における一様な需要分 布という限定された状況下ではあるものの,施設数を 2 から 5 まで変化させて,最適解の様子を観察してきた.そして,い ずれのケースでも理論通りに,a が臨界値 (a∗ = 2/L = 0.2) 以下で凝集状態になることを確認できた.以下では,一連 の計算機実験から読み取れる個別の事実を,やや定性的な 表現になることを恐れずにまとめておく.さらに,そこか. (6) 施設数が 5 のとき,大きな魅力度をもつ施設 1 は a 値 に依存せず,常に中央値 (5,5) にある (図 13). (7) 施設数が 2,3,4,5 いずれの場合も,魅力度に劣る 施設は a 値の逓減に連れて一度は中央値 (5,5) から遠 ざかり,ある a 値を境に向きを変えて中央値 (5,5) に 漸近する動きを示す (図 7(iii),図 9,図 11,図 13). 以上の数値実験は正方形という仮想空間における一様な 需要を想定しており,現実の都市空間にそのまま直ちに適 用可能という訳ではない.しかし,非集計ロジットモデル の期待効用の平均値を最大化するという社会的最適化を現 実世界で目指す場合の示唆を引き出すことは可能である: 【都市施設計画への示唆】. (a) 複数個設ける施設が同様の魅力度を持っている場合で も,都市のモビリティの度合いによって施設を分散化 させるべき場合と集中化させるべき場合が存在する.地 域のモビリティ水準と施設の最適配置をつなぐ論理が 存在するのである.なお,なお,この示唆は本間 4, 5) によっても与えられている. (b) 魅力度の大きい施設 (大きなショッピングセンタや大 規模な図書館に対応する) を 1 つ設けたいときは,需 要分布の中央値の近傍に実現すべきであり,それを取. - 174 -.

参照

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