函館校におけるFDの実践2011 : 平成23年度FD報告書
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(2) 函館校における FD の実践 2011 平成 23 年度 FD 活動報告書. 平成 24年 3月 北海道教育大学函館校 FD 委員会.
(3) 目次. 第1章 自主 FD 活動報告 発達障害が疑われる学生の理解と支援 Part2・・・・・・・・・・・・・・・2 ワークショップ『相談活動のためのコミュニケーションスキル』 ・・・・・・5 学生指導のためのFD/SDのあり方に関するFD・・・・・・・・・・・29 科研費調書作成のためのワークショップ・・・・・・・・・・・・・・・31 人間発達専攻心理学分野自主的 FD 活動 自己分析課題を用いた FD 活動・33 科研費 FD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35. 第2章 授業なんでも目安箱報告 平成 23 年度 授業なんでも目安箱 活動報告書・・・・・・・・・・・・・37. 1.
(4) 発達障害が疑われる学生の理解と支援 Part2 報告書作成者:五十嵐 靖夫(函館校人間発達専攻) 参加者:岩田 昌子(発達障害支援センターあおいそら) 、 池田 正(函館校情報科学専攻) 今在 慶一郎(函館校人間発達専攻) 大江 洋(函館校地域創生専攻) 北村 博幸(函館校人間発達専攻) 坂本 紀子(函館校人間発達専攻) 裵 珉卿(函館校人間発達専攻) 細谷 一博(函館校人間発達専攻) 本田 真大(函館校人間発達専攻). 1.活動の概要 人間発達専攻障害児臨床分野の北村氏が発達障害の疑似体験プログラムの紹介を行った。 このプログラムは,日本 LD 学会の作成による LD・ADHD 等の心理的疑似体験プログラ ムであり,①注意・集中,②聞く,③話す,④読む,⑤書く,⑥算数,⑦対人関係,⑧不 器用さといった項目で構成されている。この中の①注意・集中,③話す,④読む,⑤書く, ⑥算数,⑧不器用さについての疑似体験プログラムを参加者が実際に体験し,発達障害の 困難について理解を深めた。 次に発達障害支援センターあおいそら指導員の岩田氏が,大学生からの主な相談事例に ついて紹介した。履修登録,授業,試験,学内での日常生活,就職活動について,発達障 害が疑われる学生が抱えている困難と,岩田氏が困難を軽減するために本人に提案してい る内容についての具体例,発達障害センターから大学にお願いしたことの例について紹介 された。 また,昨年に引き続きアスペルガー症候群と診断されている本学のAさんが,上級生の サポートにより安定した学生生活を送っている様子について,アカデミックアドバイザー から紹介があった。その後も発達障害が疑われる学生に対して,自分の得意なことや苦手 なことにどう気づかせるか,職業についての適性等をどのように理解させるかなど活発な 意見交流が行われた。. 2.得られた成果と評価,および評価の根拠資料 企画者の1名を除く参加者9名にアンケート用紙を配布して回収した。回収率は 100% であった。以下にアンケートの結果を示す。. 2.
(5) (1) 今回の座談会(FD)の満足度について(N=9) 項 目. 回答数. 大変満足. 7. 満足. 2. どちらでもない. 0. 不満足. 0. 大変不満足. 0. (2) 今回の座談会(FD)に参加した理由について(複数回答,N=9) 項 目. 回答数. 今まで対応に難しい学生(院生を含)に出会ったことがある. 4. 現在,困っている学生を抱えている. 3. 将来,対応に難しい学生(院生を含)への理解が必要と思った. 1. 何となく興味があったから. 0. 誘われたから. 2. 前年度の座談会(FD)に参加して有意義だったから. 2. その他. 1. (3) 今回の座談会(FD)の内容について(N=9) 項 目. 回答数. 大変よく理解できた. 9. おおよそ理解できた. 0. あまり理解できなかった. 0. まったく理解できなかった. 0. (4) 今回の座談会(FD)全体を通して(複数回答,N=9) 項 目. 回答数. 有意義な内容であり満足している. 9. 事例に関する内容について理解することができた. 1. 支援の基本的な内容を理解することができた. 1. 障害の専門的な知識や用語が出てきたので難しかった. 0. 事例紹介についてもっと詳しく取り上げてほしい. 0. 参加者の質疑の時間をもっと長く欲しかった. 0. (5) その他,今回の座談会(FD)に対する希望や要望など(自由記述). 3.
(6) ・ 「座談会」という趣旨のように,教員同士で発達障害のある学生への支援や指導につ いて意見交換することで,お互いの考え方を知ることができ,とても有意義である と思いました。. 3.今後期待される改善の効果 今後もこのような FD 活動を継続することにより,学内の教員の発達障害のある学生や 発達障害が疑われる学生への理解がさらに深まると考えられる。. 4.活動の成果の公開方法および状況 本 FD 活動の概要と成果については,北海道教育大学函館校 人間発達専攻 障害児臨床 分野の HP において公開する。. 5.根拠資料の入手方法 日本 LD 学会(2007) :新版 LD・ADHD 等の心理的疑似体験プログラム. 4.
(7) ワークショップ『相談活動のためのコミュニケーションスキル』 報告書作成者:今在慶一朗(函館校人間発達専攻) 参加者:菅沼聡(函館校人間発達専攻)林美都子(函館校人間発達専攻) 本田真大(函館校人間発達専攻) 木村育恵(函館校人間発達専攻) 小林真二(函館校国際文化・協力専攻)外崎紅馬(函館校地域創生専攻) 松浦俊彦(函館校環境科学専攻) 1.活動の概要 カウンセリング技術の基本を解説し、学生からの相談に対応するスキルについてロール プレイによる演習を行った。. 2.得られた成果と評価および評価の根拠資料 理解、学生指導に対する有益性などについて、参加者にアンケートを行ったところ、お おむね良好な評価が下された(別紙を参照)。. 3.今後期待される改善の効果 学生からの相談に必要なコミュニケーションスキルを生かすことが期待できる。. 4.活動の成果の公開方法および状況 感想と評価については別紙を参照のこと。また、ワークショップで使用したテキストを 併せて提出。. 5.根拠資料の入手方法 感想と評価に関するまとめと使用したテキストを本報告書とともに提出。. 5.
(8) (別紙) 1.ワークショップに関する感想(以下原文のまま) 面白かったです。カウンセリングだけでなくワークショップ自体が情報伝達の手法の勉 強になりました。毎月開催するぐらいのいきおいで今後もお願いいたします。 これまでで一番実践的で有効性の期待できる FD であった。もっと多くの教職員を交え て毎年実施していただきたい。 コミュニケーションの大切な部分を具体的な演習を交えて学ぶことができてよかった。 学生―大学教員の関係の中での難しさ、配慮点などもきけてよかったが、もう少しくわ しくまたききたいところだった。 基本がわかりました。学生相談のケース(問題、質)によって異なると思うので、すぐに 使えるかはわからない。でも、役立てられるように参考にすればよいと思う。できるか な? とても面白かったです。私はともすればコンテントリフレーミングをしすぎる傾向にあ るので、今後「こじつけ」と思われないように気をつけます。ありがとうございました。 楽しくわかりやすく話してもらえたので理解しやすかった。時下の機会があればまた参 加したいと思います。 自分がこのたびのワークショップで知りえた事柄をどこまで実用(?)できるかはわか りませんが、知り得たことについてはよく理解できました。ありがとうございました。 2.ワークショップに対する評価(平均点) (ア) 理解できた(1「全然できなかった」∼5「非常に理解できた」):4.43 (イ) 今後の学生指導に有益(1「全然有益でない」∼5「非常に有益」 ) :4.57 (ウ) 同様の、もしくは発展的な内容のワークショップに参加してみたい(1「全是然 したくない」∼5「非常にしたい」 ) :4.57. 6.
(9) (別紙). カウンセリングにおけるコミュニケーションス キル ―. 非サイコロジストのための手引き. ―. 北海道教育大学函館校人間発達専攻心理学分野(文責:今在). 7.
(10) はじめに これは、カウンセリングを行う際に必要なコミュニケーションスキルを習得するための 手引きです。読者には、心理学の専門家ではなく児童・生徒に接する教員、部下と関わる 組織の管理職、子どもとかかわる保護者などを想定していますので、心理学に関する特別 な知識は必要ありません。 カウンセリングは心理学を勉強した専門家にしかできないと思っている人がいますが、 それは誤解です。カウンセリングの創始者の 1 人であるロジャーズも、カウンセリングに は心理学についての特別な知識は必要ないと言っています。 集団の中で指導的な立場にある人にとっては、メンバーが明るく、元気に、前向きに生 活してくれることが課題になると思います。この手引きは指導的な立場にある方々が、メ ンバーの不安や不満を解消し、より良い集団生活を実現していくために、カウンセリング の技術を利用できるようになることを目的としています。 効果の範囲 ここで紹介する方法は、ロジャーズによる来談者中心療法に基づいて、無 理のない範囲で他の技法や理論の一部を取り入れたものです。来談者中心療法は最もベー シックなカウンセリング技法ですから、さまざまな技法の基礎として取り入れられていま すが、 とくに以下のような生き方に関する迷いや悩みにとくに有効であると考えられます。 . 対人関係. . 家族問題. . 進路選択 など. しかし、ここで紹介するカウンセリングの技法は言語を介して理性的に自己を見つめる 作業であるため、クライエントについては以下のような限界もあります。 . 知的水準が低い者(精神遅滞のある者、幼い子どもなど). . 深刻な精神疾患を持つ者. . ある種の人格障害のような、内省(自分の良いところ、悪いところを冷静に 考える)を回避して、自己弁護ばかりするような者. . そもそも心理的ではない問題を抱える者(例.暴力の被害、経済的トラブル). はじめの 3 つについては、難しいケースですので、専門家がより高度な他の技法(認知行 動療法、システムズアプローチなど)を使用して対処することになります。 また、とくに最後の点は見落とされがちなので注意が必要です。例えば、現在、DV(ド メスティックバイオレンス)を受け続けいている被害者にカウンセリングをすることは、 問題の解決にならないばかりか、被害の継続に加担してしまうことにもなりかねません。 カウンセリングは、過去にネガティヴな経験をした人をケアすることには有効ですが、現. 8.
(11) に客観的に問題があると考えられるケースについては具体的な対応を取ることが先決です。 また、 同僚や友人など対等な関係の者同士が行うカウンセリングをピア・カウンセリング といいますが、よくない影響を与え合うおそれがある場合(例.非行少年)もあるので、 注意しましょう。 インテークという考え方. カウンセリングを実施する施設では、カウンセラーの他に. インテーカーという担当者をおいていることがあります。 インテーカーとは、 インテーク、 すなわちカウンセリングの依頼を受理するべきかどうかの判断をする人のことです。イン テーカーは、本格的なカウンセリングを開始する前に、クライエントが抱える問題の概要 を把握し、受理するのが適切であると判断した場合には、契約を結び、日程調整などを行 って、カウンセラーにクライエントを引き継ぎます。 専門家ではない人がカウンセリングを実施する場合には、このインテークという考え方 が役立ちます。つまり、自分では手に負えないケースだと思った場合には、心理学的な問 題であれ、そうでない問題であれ、相談に来た人を専門家(医師、福祉事務所、児童相談 所、弁護士、警察など)に紹介することが必要です。たらいまわしはいけませんが、日ご ろから相談を引き継いでもらえそうな機関について調べ、いざというときには適切な相談 先を選択できるようにしておきましょう。 その際には、相談に来た相手に、ただ「∼に行きなさい」というのではなく、具体的な 連絡先を記したメモを渡す、その場で一緒に連絡をしてみる、当該施設まで付き添ってあ げるといった対応をするのが良いでしょう。 カウンセリングに自信を持ち始めると、できないこともできるように勘違いすることが あるので注意し、無理をして自分だけで問題を抱え込まないように心がけましょう。 矛盾. 専門のカウンセラーでない限り、相談を受ける人には、相談の受け手(カウンセ. ラー)としての立場だけでなく、もともと担っている役割があると思います。学校であれ ば教師、職場であれば上司、家庭であれば親・祖父母といった具合です。本来の役割とカ ウンセラーとしての役割は、しばしば矛盾します。 例えば、 「教師はカウンセリングマインドを持って、生徒の話を傾聴しよう」といったこ とが言われますが、これを、教師はいつもカウンセラーのように受容的でいなければなら ないと捉えることはあまり勧められません。 教師には生徒に寄り添う姿勢ばかりではなく、 時には厳しく指導的な姿勢を示すことも必要でしょう。 問題はどのような時にカウンセラーらしい態度をとればよいのか、もしくは、本来の役 割とカウンセラーとしての役割をどのように組みあわせたらよいのかということです。残 念ながら、これについては明確な解答はありません。教師の例でいえば、教師であっても. 9.
(12) 普段ほとんど接することがない児童の場合にはカウンセラー役に徹することは容易でしょ うし、問題の性質上、どうしても冷静にカウンセラーらしい対応をすることが無理なこと もあるでしょう。そこで、暫定的に、次に役割との矛盾を解決するためのポイントや工夫 を示しておきます。 . 話を聞くと決めた時には、話の間だけは、本来の役割を離れて話を聞くことにする。. . カウンセラーとしての自分と本来の役割を担っている自分の間で矛盾を感じたら、 素直にその矛盾を相手に伝える(例.「いま話を聞いていて、あなたの気持はもっ ともだと感じているんだけれど、普段の自分の立場ではそうもいかない。そのこと は分かってほしい」 ) 。. . じっくり話を聞こうと思った時には、いつもとは違った「話を聞く場」を設定して みる。. . 矛盾が大きく、冷静に話を聞くことができない場合には、他の人に代わってもらう (無理にカウンセリングしようとすると、 カウンセリングの効力がなくなってしまい ます)。. 10.
(13) カウンセリングの概要 効果を生じさせるしくみ. カウンセリングにはいくつかの技法があり、その目的も. 様々ですが、ここで練習する基本的な技法では、クライエントの自己決定を促すことが目 的とされます。人間には自ら成長しようとする習性がありますが、ここではそうした習性 を利用して、クライエントの迷いや不安を緩和し、人間的成長を促すことを試みます。す なわち、対話を通して、クライエントが自分の現状を冷静に捉え、現状よりもさらに生き がいを感じられるようにするためにはどのようなことをすればよいのか、クライエント自 身に検討させることになります。 従って、ここではクライエントに自分の問題を考えさせることがカウンセラーの役割で すから、カウンセラーにとっては、気のきいたアドバイスをするよりも、クライエントに 話をさせ、クライエント自身で整理していくことをサポートすることがおもな作業となり ます。そのために必要なことは以下のような姿勢です。 1.. 「心の鏡」:語ることを通じて、クライエントが自分自身で、自分の考えや感 情を見つめることができるようにする。 「語ることを通じて」という点がポイントです。言葉は人とコミュニケーションをとる. ためのツールであると同時に、思考するためのツールでもあります。誰でも、難しいこと を理解しようとしたり、何かを忘れないようにしたりする時には、考えようとする事柄を 心の中でつぶやくことがあると思います。これを「内言」と言います。このように、物事 を考えることと言葉は切り離せない関係にあるのですが、まさに思考のツールとして言葉 を意図的に使うのがカウンセリングです。 クライエントが自分自身のことを考えるために、 話をさせるのです。 それでは、 カウンセラーはなぜ必要であるのか?クライエント自身が独り言を言ったり、 頭のなかでつぶやいたりすれば、それだけでよいようにも思えます。カウンセラーの存在 が必要とされる理由は、外に向かって表現した方が、言葉が持つ機能が十分に発揮される からです。 親しい人とささいな喧嘩をして、非常に腹を立てているような時、頭の中で相手の悪口 を言いつのっているうちは、自分が怒っていることを当然だと思っているでしょう。しか し、他人から「なんでそんなに怒ってるんだよ?」とたずねられて、その理由を話してみ ると自分でもばからしく感じたり、口に出そうとした時点でばかばかしさに気づいて理由 を話したくなくなったりしたような経験はだれしもあると思います。 言葉はそれだけでも有益な思考ツールですが、言葉を声に出して人に話したり、文章と. 11.
(14) して記述してみたりした時には、内容の客観性や重要性がどれほどのものであるのかをそ の人自身に気付かせる、より強力なツールとなります。カウンセラーはこうした言葉がも つ気づきの作用を促すために対話の相手をするといってよいでしょう。 比喩的な表現として、 しばしばカウンセラーは鏡にたとえられます。 鏡は見る人を映し、 その人の身なりの適切さを確認させるためのツールです。カウンセラーは、クライエント にとって目には見えない自分の考え方や感情の適切さをチェックするためのツールなので す。鏡が見ている人を正確に映し出すだけであるのと同じように、カウンセラーはクライ エントの発言をなぞり、整理し、そこに現れた内面をクライエント自身に返し続けること がその役割です。コメントやお説教をするのではなく、カウンセラーがクライエントの内 面を返し続けさえすれば、クライエントは自分の内面の身だしなみを整えようとするので す。ここで、下手にカウンセラーが自分の意見を言ってしまったりすると、せっかく自分 の内面を見つめているクライエントの気が散ってしまうことにもなりかねません。カウン セラーは発言を控えて、話を引き出すことや聴くことに努力しましょう。 2.. 防衛の回避:クライエントが見栄を張ったり意地を張ったりしないで素直な気 持ちで自分を見つめることができるようにする。 鏡の比喩を続けます。鏡を見ながら試着した洋服を吟味したり、歯に付いた青のりを取. ろうとしている様子を他人からじろじろ見られたりしたら恥ずかしいですよね。しかし、 洋服屋さんや床屋さんでは、店員さんが一緒に鏡の中を見ても恥ずかしいとは思わないで しょう。この違いは何でしょうか?それは、店員さんがお客さんのことを少しでもよくし てあげようと思っているからではないでしょうか。また、厳しい評価をしないからではな いでしょうか。仮に、洋服を吟味している時に、笑いながら「お腹出すぎですね、もう少 しやせた方が格好いいし、健康にもいいですよ」なんて言われたらどうでしょうか。 「うる さい、自分はこれでいいんだ」と自己弁護するかもしれません。あわてておなかを引っ込 めてそのまま我慢するでしょうか。いずれにせよ、その人はそれ以上鏡を見たくはなくな るでしょう。 同様に、カウンセラーは、クライエントに対して「良い・悪い」といった評価を下すよ うな態度を控えなければいけません。なぜなら、クライエントは自分が評価されると思う と、特にネガティヴな評価をされると思うと、素直に自分を見ることができなくなってし まうからです。他人から非難されることを恐れている状態では、仮に自分によくないとこ ろがあると薄々気が付いていても、それを素直に認めることができず、自分の良くないと ころを否定したり、弁護したりしやすくなります。また、よくないところを考えたくない ために、現実の自分から目をそむけるようになることもしばしば起こります(これを心理. 12.
(15) 的防衛といいます)。ですから、安心して、落ち着いて、素直に自分を見つめることがで きるよう、評価者としてではなく、協力者、付き添い、味方といった態度でいることが大 切です。 また、基礎的なカウンセリング技法では、評価的な発言だけでなく、アドバイスのよう なことも差し控えるのがよいとされます。自分の人生経験が豊富であると、つい相手にア ドバイスをしたくなるでしょう。時には、自分の経験や知識からすれば、どうすればよい かが非常に明白であり、 「正解」を教えたくなるかもしれません。しかし、どんなに「正解」 が目に見えていても、それをいきなり相手に話すと、余計な抵抗を招いてしまうことがよ くあります。人は自分で気がつけば自発的にやることでも、他人から言われることによっ て、押しつけがましさを感じたり、言われたことを果たそうとする義務感が重荷になって しまったりすることがあります。 ですから、 仮に気がついてほしいことがあったとしても、 先回りしてはじめから自分の「正解」をクライエントに話すのではなく、クライエントが そのことに気がつくまで(もしくは別の正解を思いつくまで) 、辛抱強くクライエントの話 を聞きましょう。 発達課題 人には年齢に応じて生じやすい悩みがあります。非常に大まかに言うと、児 童期は自分の能力について、青年期はアイデンティティ(自己像)について、成人期は親密 な人とのかかわり方や、自分の子どもを含めた若者との関わり方について悩むことが多い ようです。先入観を持ってカウンセリングをしてはいけませんが、話を聞いているうちに 話の背後にそうした課題があることに気づくことができれば、話の着地点がおぼろげなが ら見えてきますので、余裕を持って話を聞くことができます。 また、同じような話をされたとしても、年齢ごとに悩みのポイントは異なります。 「児童 とうまく関われない」という話を切り出しても、青年期の教育実習生の場合にはうまく関 われない自分に自信が持てないと悩んでいるのかもしれませんが、成人期の現職教員の場 合には子どもの発達に効果的な関わり方を知りたがっているのかもしれません。発達課題 を少し意識することができれば、勘どころをつかんだ対応がしやすくなると思います。 終結. カウンセリングを始める際には、あらかじめ時間を区切っておくようにしましょ. う。だいたい 30 分から 1 時間弱が目安です。時間を区切らないと、漫然と話をするだけ で中身が深まらなかったり、あれもこれも話を持ち出されたりして収集がつかなくなりま す。途中で切り上げるのが苦手だという人は、はじめに、 「今日は○○時までね」と言って おくとよいと思います。 そしてできるだけ目に見えるところに時計があるとよいでしょう。 また、中途半端な感じで終わることについては心配しなくて構わないでしょう。なんと なく煮え切らないまま打ち切らなければいけないこともあるでしょうが、それが失敗とは. 13.
(16) 限りません。クライエントがカウンセリングの内容を理解するためには、少し時間が必要 なこともあります。カウンセリングを終えて、考え続けることによって、自ら答えを引き 出すことがよくありますから、クライエントを信頼してみましょう。どうしても心配であ れば、次回の約束をして別れるようにするとよいでしょう。 それから、成果を期待しないようにしましょう。カウンセリングをすると、その効果を 確認したくなりますが、それは期待しないでください。カウンセリングはクライエントが 自分自身で考え、答えを出していくことをサポートする行為ですから、それはクライエン ト自身のお手柄です。むしろカウンセラーのことが後でクライエントの意識に上らないく らい自然にサポートできていたとしたら、それこそが成功です。さらに、カウンセラーが うまくサポートをしたことによって、クライエントが悩みを解決したとしても、それをカ ウンセラーのおかげだったとは認識しないこともあります。心配であれば、折を見て「そ の後どう?なにかあればまたいらっしゃい」くらい声をかけてもよいでしょうが、もしう まくいっているようであれば、それで良しとしましょう。. 14.
(17) 練習方法 練習の進め方. 練習課題のメニューは、ステップ0からステップ8までの段階を踏ん. で行うように組まれています。前のステップが十分にできるようになったら、次のステッ プにすすんでください。 ロールプレイは時間を区切った1回のフェーズの間に、話し手(クライエント役の人) に向かって聴き手(カウンセラー役の人)が応答するようになっています。基本的に2人 一組で行い、1回のフェーズが終わるごとに、話し手と聴き手を交代します。 1回のフェーズが終わるごとに、話し手をやった人は、聴き手について、十分に課題が できていたか、どんなところが良くできていて、どんなところが不十分であったかコメン トしてください。不十分なところを指摘するのは気が引けるかもしれませんが、教えてあ げた方が、相手は早く上達するのでその人のためだと思ってコメントしてください。 3 人で行う時には、1人は観察者になってください。観察者は、話し手ではなく、聴き 手の人に注目して観察し、セッションが終わったら、話し手だった人と同じように聴き手 にコメントをしてあげてください。 ビデオカメラを用意し、カウンセラー役の様子を録画できると、表情、声の調子、視線、 間のとり方などがよくわかるので、さらに効果的です。ビデオの様子を見ながらカウンセ ラー役、クライエント役、観察役で話し合いましょう。 進め方のコツ. 練習ですから、聴き手の人は、はじめのうちは不自然な応答になって. かまいません。むしろ、自然にふるまおうとして、課題で意図されている内容がおろそか になるくらいであれば、よく考えて、つまずきながら話をする方が早く上達します。 何度もセッションをくりかえして、課題を自然にこなせるようになってきたら、次のス テップにすすみましょう。 なお、 ここに示された練習は通常の会話の中でも出来ます。 練習相手がいない場合には、 友人と無駄話をするようなときに、こっそり練習してみてください。よく話をしてくれる 人の方がやりやすいはずですから、初心者はそうした人を相手にやってみるとよいでしょ う。. 15.
(18) 練習課題 ステップ0:準備 1.. 着席位置 机を挟んで、正面に向かい合うのが基本。ただし、面と向かうと気恥ずかしい場合、机. の幅が狭い場合などには、L 字型に座ってもよい。 2.. 姿勢 クライエントと同じような姿勢をとるのが基本。クライエントがリラックスしてソファ. にもたれ気味に座っている時に、こちらが身を乗り出すと鬱陶しい。反対に、クライエン トが前傾姿勢で熱弁をふるっている時に、こちらがのけぞっていると聴いてもらえていな いように見られる。 3.. 時間の確認 実際のカウンセリングでは時計を見て、終了時刻を確認してから話を始める。 ステップ 1:ノンバーバルコミュニケーション 言葉によらないコミュニケーションをノンバーバルコミュニケーションと言います。. 表情、視線、声の調子、話し方のテンポ、話の間の取り方、姿勢、服装、装飾品、香り、 、あらゆるものが何らかのサインになる、もしくはサインになってしまうので注意しま しょう。例えば、早く話を終わらせたいと、身体のどこかを小刻みに揺らしたり、受け答 えのうなずきが早くなったりすることがありますが、クライエントがそうした様子を見る と、 「話を切り上げたいのかな?」と意識したり、意識しないまでもなんとなく話しにくさ を感じたりすることになります。 反対に、クライエントに話しをさせやすくするノンバーバルコミュニケーションもあり ます。そうした類のノンバーバルコミュニケーションが欠落すると、やはり話しにくくな ります。こうしたノンバーバルコミュニケーションの働きを実感するために、はじめに、 ノンバーバルコミュニケーションがない状況を体験してみましょう。 練習1:ノンバーバルコミュニケーションがない状況の体験. 16.
(19) 話し手は朝から現在までのことを 1 分間話し続ける。聴き手は視線をそらし(話し手のの ど元のあたりを見つめる)、表情を変えず、無視する。話し手に変化を感じられてはいけな い。 ※ 話し手にノンバーバルコミュニケーションがないと話をしにくいことを体験させてあ げることが目的です。少々不自然で気まずい思いをすることになりますが、聴き手は 話し手の勉強のためだと思って無視し続けてましょう。 「いい人」ほど耐えられなくな るので要注意。 練習2:うなずき ノンバーバルコミュニケーションの重要性を理解したら、最低限のノンバーバルコミュ ニケーションだけでどれくらい話しやすくなるのか体験してみましょう。 話し手は生まれ育った場所の紹介を 1 分間話し続ける。聴き手は下を向いて(表情を見せ ないため)、うなずくのみ。 ※ やはり「いい人」ほど耐えられないでしょうが、相手のために心を鬼にして、ひたす らうなずきだけに徹しましょう。肩を揺らして笑いをこらえている様子を演出しても いけません。 練習3:ノンバーバルコミュニケーション 印象に残っている学校の先生を 1 分間で紹介。 聴き手は、 発言する以外はうなずいたり、 表情を変化させたりしてよい。 このステップの目標 ・ノンバーバルコミュニケーションの重要性を認識する。 ・ 話し手が話しやすいノンバーバルコミュニケーションを意識できるようにする。 ステップ2:話を引き出す 話をしてもらわないことにはカウンセリングになりません。しかし、だからといって、 問い詰めるような聴き方では、話し手は萎縮してしまったり、あせってよく考えずにその 場しのぎの話をしてしまったりするかもしれません。そのためには、話し手に意識される. 17.
(20) ことなく、自然に話をしやすいような雰囲気を作り出す工夫が必要です。 練習4:はげましとくりかえし カウンセリングではうなずいたり、 「ふむふむ」 「ほほう」といった相槌をうったりする ような、話し手が話すことを促す行為をはげましと言います( 「がんばれ」というように、 激励する意味ではないことに注意) 。 また、話し手が話したことをなぞって確認していくような反応をくりかえしといいます。 繰り返されると、話し手は自分の話が伝わっていることを確認できるので、安心して次々 と話題を持ち出すことができます。話の区切りのところで使用すると効果的です。 この二つはカウンセリングの過程のかなりの部分を占めるので、自然にできるようにな るまで練習しましょう。 話しやすいテーマについて、話し手は3分間話し、その間聴き手は相槌を打ち、比較的 重要であると思われた発言の際にくりかえしを行います(練習なので、相手が知っている 話題でもかまわない) 。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例.テーマ「函館の街について」 話し手:えーと・・・、函館は北海道の南の端にある街です。 聴き手:---〔うなずく〕 (はげまし) 話し手:北海道では珍しく江戸時代から和人が住んでいたそうです。 聴き手:へぇ. 。 (はげまし). 話し手:昔はとても栄えていた街で、50 年くらい前までは、札幌よりも人口が多か ったそうですよ。 聴き手:北海道の南端にある函館には昔からたくさんの日本人が住んでいて、少し 前までは札幌よりもにぎわっていたんですね。 (くりかえし) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― このステップの目標 ・ 発言の内容の軽重に応じて、はげましとくりかえしを使い分け、会話のテンポを自然 にする。 ・ くりかえしは簡潔にする。話のテンポを乱すような長いくりかえしは避ける。. 18.
(21) ステップ3:感情の言語化 話し手は「聴き手が自分の立場に立ってくれている」という印象を持つと、話をしやす くなり、また、心理的防衛をすることなく、素直に自分を見つめることができるようにな ります。聞き手の側も、話し手と同じ立場に立っていると、わざとそうしようとしなくて も、自然に話し手に共感するようになりますが、そうした気持ちが話し手に伝わりにくい こともあるので、練習では共感する気持ちをやや意識的に伝えるようにしてみましょう。 なお、ここで言う共感とは過剰に感情的になることではありません。話し手が泣き出し たりしても、一緒になってわんわん泣いてしまうようではカウンセリングになりません。 話し手は、冷静に、しかし、話し手の気持ちを共有できるようにします。話し手の立場に 自分が立った場合を頭の中でシミュレーションして、 「それはそういう気持ちになっても当 然だ」と理性的に気持ちを理解するようにすることを目指しましょう。 練習5:感情の反射 共感を示す具体的な方法として、 話し手が感じている感情を言語化する行為があります。 これを感情の反射といいます。感情の反射は、聴き手が共感していることを示すだけでな く、話し手に自分の気持ちを確認させる効果もあります。 話しやすいテーマで、できるだけ感情表現が生じそうな話題(ex.「自分の好きなもの」 ) について、話し手は3分間話し、感情に関する発言があった際に感情の反射を行ってみま しょう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例.テーマ「好きな映画・ドラマについて」 話し手: 「ちびまるこちゃん」が好きで、よく見ます。 聴き手: 「ちびまるこちゃん」 (くりかえし) 話し手:ええ、日曜日の夕方にテレビでやっているマンガなんです。 聴き手:うんうん。 (はげまし) 話し手:とくにハマジっていう男の子がすきなんです。 聴き手:へぇー。 (はげまし) 話し手:お調子者なんですけど、いつもみんなを笑わせようとするんですが、なん だか昔の自分を見ているようで・・・ははは! 聴き手:見ていると気恥ずかしいんですね。 (感情の反射) 話し手:でも、ハマジが変なギャグをとばしたりすると、ガンガンやれって感じで. 19.
(22) す。 聴き手:応援したい気持ちになるんですね。 (感情の反射) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― このステップの目標 ・ 感情を表す言葉はできるだけ適切なものを選び、かつ端的に表現する。 <悪い例> . 面白いんですね(焦点が絞れていない). . ガンガンやれって感じですね(あいまいな表現。擬態語も多用しないように). . そのハマジっていう男の子を見ていると自分の子供時代のことを思い出し、ハマ ジと自分を重ね合わせて見てしまい、面白くていつも楽しくなっちゃって応援し てしまうんですね。 (長すぎる、感情が整理できていない). ・ 実際のカウンセリングでは、強がって自分の気持ちを認めないような話し手もいる。 話し手の様子を見ながら、心理的防衛が弱そうに見える時には「なんとも思っていな いといっていたけれど、少し怒っているように見えるけど・・・」と確かめたりしても良 い。反対に、心理的防衛が強そうなときには「自分としてはなんとも思っていない・・・」 とただくりかえしてみても良い。その時点では強がっていても、後で本心を認めやす くなるかもしれない。心理的防衛の程度を見極めて対応できるとよい。 ステップ4:質問 質問をする理由はいくつかあります。第一に、話し手が話したことがよくわからないこ とをたずねる。これについては説明の余地はないと思います。第二に、聴き手の理解が正 しいかどうかを話し手に確認する。これについても説明は不要だと思います。第三に、肯 定文をつかって話をするよりもやわらかい印象で話ができる。例えば、くりかえしをする 場合でも、 「これといった理由があるわけではないけれど 、なんとなく 、学校に行くの がいやなんだよなぁ 」という話し手に向かって、 「とくに理由はないが学校に行きたくな い」と返すよりも、 「とくに理由はないが学校に行きたくないの?」と疑問形でたずねる方 がソフトな感じがします。第四に、話し手が積極的に話したがらない場合に、話の材料を 引き出す。話の材料を引き出そうとするときには、 「はい/いいえ」で答えられる質問では なく、 「∼についてはどう?」 「どんな風に∼?」のように”How”を使った質問が効果的で す。話し手が、はいかいいえで答えることが出来ないので、話をするしかなくなるからで す。 「はい/いいえ」で回答できる質問を閉じた質問といい、どのようであるのか話さな いと答えることが出来ない質問を開いた質問といいます。なお、閉じた質問を多用すると、. 20.
(23) 問い詰められているような威圧感が生じやすいので注意しましょう。 練習8:質問 全体的な目標としては、話を掘り下げる、あるいは、複雑に絡まった紐のような感情を 丁寧にほどいていくような質問ができるようにしたいものです。 ここでは、話し手は自分の内面に触れるような話題について 5 分間話し、聴き手は話に 含まれる話し手自身の感情を明らかにしたり、現在の話し手にとっての意味を掘り下げた りするような質問をしましょう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例.テーマ「印象的なもめごと」 話し手:高校の担任の先生と進路のことでちょっともめたんです。 聴き手:うん、それで?(はげまし) 話し手:自分は英語の勉強がしたいから国際系のコースがある A 大学に行きたいと いったんですけど、そうしたら、無理だから B 大学にしろって言うんです。 聴き手:A 大学よりも入学しやすい B 大学に行けと、 (くりかえし) 話し手:はい、それでも A 大学がいいって言ったら、今までろくに勉強してこなか ったのに何言ってんだ!って怒鳴られてすごくムカついた。 聴き手:頭ごなしに怒鳴られて腹が立った。 (くりかえし) 話し手:はい、・・・。 聴き手:腹が立ったときの気持ちがどんな風だったか、もう少し詳しく説明できま すか?(開いた質問) 話し手:うーん、あまり勉強してはいなかったから、先生にそんなことを言われて も仕方ないかなぁ・・・とは思ったんです。でも・・・、 聴き手:でも?(くりかえし・はげまし・開いた質問) 話し手:怒鳴るのはひどいと思った。 聴き手:怒鳴られたから腹が立った?(閉じた質問) 話し手:うーん、そういうわけではないかも・・・。 聴き手:怒鳴られて、それだけで腹が立ったわけではない?(閉じた質問) 話し手:うん、むしろ、英語が勉強したいって言ってるのに、B 大学はそういうコ ースがなかったんです。 聴き手:英語が勉強できるコースがない B 大学を勧められたから腹が立ったんです か?(閉じた質問). 21.
(24) 話し手:うん、あ、いや、なんていうか、大学に受かることばかり言われて、こっ ちが何を勉強したいと思っているのかは無視されたように感じたんです。 聴き手:自分の関心を無視されたように感じて腹が立ったんですね(感情の反射) 話し手:はい、相談にのるって言っておきながら、あたしのことは全然考えてくれ てないって思ったんです。 ※ 話し手は、腹が立った「本当の」理由に気づきました。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― このステップの目標 ・ 話し手自身の感情に焦点をあてるような質問をする。 ・ 話し手に関する話題から話がそれないように質問をする。話し手が心理的防衛をしよ うとして、話をそらそうとすることがあるが、そんな時にも話し手から話題がそれな いように質問をしていく。 ・ ノリや「なんとなく」で済ませず、ていねいに感情、認知、行動の因果関係をなぞれ るまで、不明確な点は確認していきましょう。 ・ 最終的に、話し手に新たな「気づき」をもたらすようにしてください(難しいでしょう が、出来なくてもそのように心がけてください) 。 ※ 戸惑うこともあるでしょうから、よく使う表現を記しておきます。 ○困った時のワイルドカード 「そのことについて、もう少し詳しく話せますか?」 ○話が一段落したときの表現 「そのことについて、あなた自身はどのように感じていますか?」 「そのことは、あなたに とってどのような意味があると思いますか?」 ステップ5:まとめる 1回のセッションで、 どこまで話しを深めることが出来るのかはわかりません。 とくに、 聴き手が初心者であるほど話を深めることは難しいかもしれません。しかしながら、話し 手が自らを振り返ることによって、自分の経験が自分にとってどのようなものであるのか よく理解し、その理解の上に立って、生活の次のステージを展望できるようになれば成功 ですので、はじめのうちは難しくても、そうしたことを意識しながら練習してください。. 22.
(25) 練習9:要約 実際のカウンセリングでは、ただ漫然と話を聞くのではなく、最終的には話し手が話し た内容が完結したストーリーのようになること、それを話し手自身が改めてよく理解でき るようにすることを目指しましょう。そのためには、話し手は十分話を聞いた後、区切り がよいと思ったところで、それまでの話を要約することが効果的です。 ここでは、話し手の過去の思い出について5分間話し、聴き手は話がひと段落した時を 見計らい、それまでの会話を要約してみましょう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例.テーマ「子ども時代の思い出」 話し手:初めて遅刻をした時のことなんですが、学校に着くとみんなががやがやし ていて、そのまま教室に入っても、遅刻したことがばれないような感じだっ たんです。 聴き手:遅刻がばれない状況だった。 (くりかえし) 話し手:はい、だからこのまま黙っていても先生にはばれないと思ったんですけど、 でも正直に言った方がいいか考えちゃって。 聴き手:正直に先生に言おうか少し悩んだわけですね。 (感情の反射) 話し手:ええ、でも、結局先生に報告したんです。そうしたら、 「こらっ!」てゲン コツをもらってしまいました。なんかせっかく正直に言ったのに・・・ 聴き手:ちょっと損をした気分になったのでしょう。 (感情の反射) 話し手:はい、そんな感じでした。 聴き手:小学校で遅刻をして、言わなければわからなかったのに、ちゃんと自分か ら先生に申し出たところ、先生にゲンコツをもらった。そこで損をした気分 になったというわけですね。 (要約) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― このステップの目標 ・ 話の切れ目を見計らい、要約した内容が完結したものになるようにする。 ・ 実際のカウンセリングでは、あまりあせって要約をしないようにする。ある程度時間 をかけて話をなぞった後でないと、要約の内容をすんなり受け入れる気持ちにならな いかもしれない。 「助さん、格さん、もういいでしょう」となってから、印籠を出す! ・ 話し手が話好きだとどんどん話すが、そうした場合には、 「ちょっと待ってください。 整理しますね」などといって、要約をはさみながら話を進めるようにする。. 23.
(26) ステップ6:多面性の指摘 ある商社が、新たに海外でトースターを売りだそうと計画しています。ところが、売り 込もうと考えた先の国ではパンを食べる習慣がなかったので、誰もトースターなんか使っ ていません。これを知ったある社員は「この国ではトースターは売れない」とガッカリし ました。しかし別の社員は「トースターだけでなくパンも売れる!」と大喜びしました。 事実は多面的です。事実がそのまま感情を生じさせるのではなく、事実の受け止め方が 感情に影響します。不安や悩みを抱いている話し手は、しばしば、視野が狭くなっていた り、事実を思い込みで解釈してしまっていることがあります。 練習7:リフレーミング 事実を見直し、別の角度から見てみるように促す行為をリフレーミングといいます。リ フレーミングには 3 種類あります。①ノーマライゼーション:不安や悩みを抱いている話 し手は、 「こんな風に思うなんて自分はおかしいのではないか」 「男のクセに自分でも情け ない」 「しっかりしなければいけないのに、なんて弱い人間だろう」という具合に、弱って いる自分をネガティヴに捉えることがあります。しかし、人間であれば不安を感じたり悩 んだりすることは自然なことですから、話し手がそうしたことを感じることは当然だとい うことを指摘します。②コンテントリフレーミング:良いことやなんでもないことまで悪 く解釈してしまっているときに使用します。 「卒論の提出まであと 1 月しかない、もうだ めだ」という学生に、 「まだ1月はあるんだね」と言ったりします。③プロセスリフレーミ ング:事実は変えようがないかもしれませんが、つらい状況を経験している話し手に対し て、そのような状況に耐えたり、立ち向かっている姿勢を好意的に評価してあげることで す。なお、プロセスリフレーミングは他の方法よりも比較的容易にできます。 辛いながらもがんばっていることや対処したこと(もしくはそうした過去の経験)につ いて、話し手は3分間話し、聴き手は 3 種類のリフレーミングを行ってみましょう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例.テーマ「風邪」 話し手:昨日から風邪をひいていて、だるくてやる気が出ない。 聴き手:風邪をひいて体が辛いと、気持ちも萎えるよね(ノーマライゼーション) 話し手:風邪薬買ったからお金かかったし 。 聴き手:今まで常備していなかったなら、今度、風邪をひいたときには早めにのめ るね(コンテントリフレーミング). 24.
(27) 話し手:晩御飯作るのが面倒だ。 聴き手:風邪ひいているのにご飯作るとは偉いね(プロセスリフレーミング) 。風邪 を引いたときこそ、コンビニメシなんかじゃなくて、消化に良くて栄養のあ るものを食べないといけないもんな(コンテントリフレーミング) 。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― このステップの目標 ・ コンテントリフレーミングでは、こじつけでポジティブなことを言っていると思われ ないように、できるだけ自然な見方を思いつくようにする。 ・ コンテントリフレーミングを使用する際には、より状況の悪い人を例に出して、その 人よりましだといった表現は使用しない方がよい。 ステップ7:適切な表現の使用 自信を無くした時など、人は自分に対してしばしば「レッテル」を貼ります。 「どうせ 負け犬だ」 「わたしは価値がない人間だ」 。しかし、こうした言葉を冷静に捉えてみると、 いい加減な表現であることに気づかないでしょうか。受験に失敗して「負け犬」と言った 受験生がいたとします。 「負け犬」という言葉は何を意味しているのでしょうか?彼は犬で しょうか?負けるとは何に負けたのでしょうか?そもそも、 犬は負けるのでしょうか? 「負 け犬」 は比喩だから、 文字通りに意味をとるなんて屁理屈だと思われるかもしれませんが、 果たしてそうでしょうか?それでは、犬のようになんだというのでしょうか?よく考えて みると、 「負け犬」 という表現が実は空疎な、 中身のない表現であることに気づくでしょう。 ここでいう「負け犬」をもう少し正確にいうとどういうことなのか、本人に確かめたと ころ、 「A 大学の受験に失敗して自信を失っている」状態のことだったとしましょう。 1.. 「おれはどうせ負け犬だ」. 2.. 「自分は A 大学の受験に失敗して自信を失っている」. この二つは、彼にとって、一見、同じことのように思えるかもしれません。しかし本当 にそうでしょうか?1.の方は、詳細な表現でないために、範囲や程度を限定していません から、過去においても、未来においても、何をやってもうまくいかず、また、 「犬」である 以上人並みにはなりえないことを連想させます。しかし、2.の方は、確かに辛いことでは あるものの、嫌な事柄は A 大学の受験に関する失敗であり、現在、自分のことを良く思え ないのはそのせいだということが明確に分かります。. 25.
(28) 人がネガティヴな表現を使うときには、いい加減な表現を使うことによって、必要以上 に不愉快な感情を自分で作り出してしまっていることがあるのです。ですから、話し手が ネガティヴな表現を使用した時には、それがいい加減な表現でないかチェックし、正確な 表現に改めてもらうと良いでしょう。 このことは、他者に対する発言についてもあてはまります。 「あいつはダメな奴だ」 「あ の人には何を言っても通じない」 「あいつはいつもそうだ」 。他人を嫌ったり、他人のこ とで悩みが生じたりしているときには、 やはり、 いい加減な表現を使用することによって、 その人物やその人物に関連する事態を必要以上に恐ろしく感じるものです。 練習6:表現の正確化 不正確な表現をとくに問題視するのは、認知療法(論理療法)です。認知療法によると、 不安や抑うつが強い人には、 物事を不正確に悪く悪く捉えるクセがあるといわれています。 認知療法では、そうしたクセを修正するために、かなり徹底して話し手に論駁しますが、 積極的に不正確な表現を指摘するのではなく、質問を重ねることによって使用すると、穏 やかな印象になるでしょう。 練習で不愉快な表現を使うのは難しいので、ここでは、反対に好きな人や尊敬する人の ことをテーマにして練習してみましょう。話し手は、あまり考えずに、思い浮かんだ人の ことをほめ、聴き手は、それを正確な表現に改めていきましょう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 例.テーマ「 『いい人』を挙げていく」 話し手:うちのお父さん。 聴き手:お父さん。 (くりかえし) 話し手:うちのお父さんはやさしい。 聴き手:どんな風に?(開かれた質問) 話し手:愛妻家! 聴き手:例えば?(開かれた質問) 話し手:スーパーにお使いに行ったりする。 聴き手:それから?(開かれた質問) 話し手:お皿洗ったり、洗濯物干したりする。 聴き手:お父さんは家事をよく手伝うんだね。 (要約) 話し手:そうそう。 聴き手:他には何かある? (開かれた質問). 26.
(29) 話し手:うーん、わからない。 聴き手:お父さんが愛妻家だというのは、家事を手伝うからなんだね。 (明確化) ※ とりあえず家事を手伝うことが明らかになったと同時に、それ以外の点については、 とくに「愛妻家」といえるような根拠があるわけではないことが明らかになった。こ れにより、話し手にとっての「愛妻家」の範囲が限定された。 (話すネタがきれたら、次の人について話す) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― このステップの目標 ・ 事細かに問い詰める必要はないが、話し手が話した内容が、具体的にどういうことで あるのか、事例や根拠を明らかにし、話し手が述べた内容の範囲を特定・限定してい けるようにする。 ステップ8:打ち切り方 すでに述べたように、カウンセリングはあらかじめ時間を区切って行います。時間を区 切った方が、話し手は集中して、より生産的に話をしようとします。カウンセリングを始 めてしまうと打ち切りにくくなるので、必ずあらかじめ時間を区切っておきましょう。だ いたい 30 分から1時間弱くらいが目安です。始める前に、何分行うのか話し手に伝えて からはじめましょう。 また、実際の面接では、複数の話題を一度に取り上げるのではなく、取り上げる話題を 絞ることをお勧めします。手早く問題を処理するというよりも、ひとつひとつじっくり考 え、着実に前進するようなイメージでいきましょう。 話が中途半端な感じがしても、必ず、はじめに決めた時間になったら、一旦打ち切りま しょう。話し手も聴き手も話を続けたいと思うでしょうが、とにかく時間通りに打ち切り ましょう。セッションの後も、きっと話し手は自分が話したことを考えます。そうした末 に、 悩みや不安に対して、 自分がとるべきスタンスが後から分かってくることもあります。 もし、話が中途半端で、どうしても気になるようでしたら、話し手の方から、 「時間が来 たから、今日はこれでひとまず終わりにするけれど、また、続きを聞かせて下さい」と言 って、次のセッションの約束を持ちかけるとよいでしょう。 なお、反対に、話が続かないからといって、面接を切り上げることは勧められません。 沈黙にも重要な意味があるので、一旦決めた時間の間は面接を続けましょう。. 27.
(30) おしまいに 練習に集中すると、何のために練習をしているのか忘れてしまいがちになるかもしれま せん。鏡になることが目的であることを思い出してください。もし、よく思い出せないよ うでしたら、カウンセリングの概要を読み返してください。カウンセリングの効果が生じ るしくみを意識しながら練習してください。. 28.
(31) 学生指導のためのFD/SDのあり方に関するFD 報告書作成者:宇田川拓雄(函館校情報科学専攻) 参加者:吉井 明(函館校情報科学専攻) 福田 薫(函館校国際文化・協力専攻) アンドレ・パーソンズ(函館校国際文化・協力専攻) 松浦俊彦(函館校環境科学専攻) 平間勇樹(函館校学務課) 大澤秀介(愛知教育大学大学教育・教員養成開発センター長) 満田清恵(愛知教育大学教育創造開発機構運営課). 1.活動の概要 大学教員の教育研究能力の向上を支援する目的でFDが多くの大学で実施されるように なり、今年度からは大学としてFD実施が文部科学省によって義務化された。FDは大学 教授の職務遂行能力の向上支援を行うものであるが、本学ではもっぱら教員の教授能力を 高める活動、授業方法の改善、新しい教授法の導入、シラバスの書き方などティーチング 支援に重点がある。 大学教員にとって個々の科目における教授能力の向上は重要な課題であるが、同時に研 究支援、学生の生活指導、進路指導、広汎な勉学指導、管理運営業務、社会貢献も同じよ うに重要である。これらの職務をバランスよくこなし、社会、学生、保護者、同僚などか らの高い評価を得るように努力しなければならない。これらの業務はお互い複雑に関連し 合っており、また教員の時間は限られていることから、個人で対応するのが難しい。 特に学生指導は、個々の部局のカリキュラムや各キャンパスの社会環境の特殊性を考慮 した上で行わねばならないため、全学的なFDや課程全体を対象としたFDではカバーし 切れない部分が多い。そこで今回のFDを企画し、学生指導に関して類似した指導方針と 実績を持つ専攻、分野、あるいは指導グループを対象にFDを実施することにした。 学生指導は教員の側だけでなく、職員の理解と指導力に負う所が大きいため、学生指導 のためのFDに関する全国的な傾向だけでなく、他大学でFDと一緒に行なわれているS Dの傾向に関する調査研究の結果をFDでの議論に役立てたい。. 2.得られた成果と評価および評価の根拠資料 「進路指導」 、 「就活と IT リテラシー指導」 、 「国内外インターンシップ指導」 、 「学生進路 と英語教育」 、 「学生指導における教職員連携」 、 「進路指導と TOEIC」について実践例の紹. 29.
(32) 介が行なわれ、その後、問題点についての議論、改善策の提案などについて話し合った。 成果とその評価に関しては論文を作成したので、これを公表する。. 3.今後期待される改善の効果 FD成果を報告書が論文の形にとりまとめ、学内外に公表し、各方面からの意見を参考 に今後の研究教育、学生指導の改善に役立てたい。. 4.活動の成果の公開方法および状況 昨年度も同じ企画でFDを行ったので、今年度の成果と合わせ、書籍の形で出版予定で ある。. 5.根拠資料の入手方法 書籍として出版する。. 30.
(33) 科研費調書作成のためのワークショップ 報告書作成者:後藤泰宏(函館校情報科学専攻) 参加者:加藤晃(函館校地域創生専攻) 井上真二(研究支援コーディネータ) 神山浩司(函館校総務・附属学校グループ) 1.活動の概要 本FDは,平成 23 年 9 月 8 日(木)15:00∼16:30 に函館校大会議室で開催された。 来年度の科研費を新規に申請する研究者やそれをサポートする事務職員を中心に,グルー プワーク形式の勉強会を行った。参加者は函館校内で公募し,研究支援コーディネータの 井上真二氏と合わせて,4 人の参加となった。参加者の構成は,科研費申請予定者が 2 人, サポートスタッフが 2 人である。 活動の具体的内容は次のとおりである。 ・本FDの趣旨説明(10 分) ・グループワーク(60 分) ・総括(20 分) 上記グループワークでは,各自が持ち寄った研究計画調書について,悩んでいることを 相談したり,記述内容について互いに気づいた点などを意見し合ったりして,計画調書の 改訂作業を進めた。. 2.得られた成果と評価および評価の根拠資料 今回のFDでは,科研費申請予定者が 2 人しかいなかったものの,計画調書を作成して いく上で気になっていたことを皆で相談し合い,調書作成を進展させることが出来た点が 大きな成果である。それによって,申請予定者 2 人は滞りなく計画調書を完成し,科研費 の新規申請を行うことができた。 FDの活動評価の目安とした科研費申請率アップについては,活動への参加人数が少な かったので正確に判断することができないが,少なくとも 2 人は申請率アップ(維持)に 貢献できた。例えば,北海道教育大学「学報」523 号によると,函館校の 24 年度の科研費 申請率は,新規が 46.1%(前年度 46.2%)で,継続分を含むと 63.2%(前年度 59.0%)と なり,僅かながら前年度よりアップした。24 年度の科研費採択率については,24 年 4 月以 降の評価となる。これは,総務部企画課企画・研究グループで作成される教育研究評議会 資料「科研費の採択状況」を用いて評価することができる。. 31.
(34) 3.今後期待される改善の効果 24 年度以降に期待される改善の効果は,次の 2 つがあげられる。 ・科研費申請に対する意識の向上 ・研究調書作成技術向上による外部資金獲得の増加 また,24 年度も本FD活動を継続することによって,さらなる科研費申請率アップを目 指すことができる。. 4.活動の成果の公開方法および状況 ワークショップで得られた知見は,科研費申請関連の資料としてまとめ,函館校内で共 有する計画である。その概要は,本FD活動の翌日(23 年 9 月 9 日)に開かれた「科研費 説明会」において口頭で発表した。今回のFD活動では参加者が少なく,グループワーク で話し合った内容も個人的なものが多かったため,一般に公開できる資料はない。ワーク ショップで得られた知見をまとめた資料は,次回の科研費関係のFD活動において提供す る予定である。. 5.根拠資料の入手方法 24 年度の科研費申請率が記載された北海道教育大学「学報」523 号は,本学ホームペー ジ内の http://www.hokkyodai.ac.jp/gakuhou/201112_523/index.html で閲覧することができ,昨年度の申請率が記載された北海道教育大学「学報」517 号は http://www.hokkyodai.ac.jp/gakuhou/201012_517/index.html で閲覧することができる。24 年度の「科研費の採択状況」については,24 年の夏ごろ,本 学ホームページから入手できる見込みである。. 32.
(35) 人間発達専攻心理学分野自主的 FD 活動 自己分析課題を用いた FD 活動 報告書作成者:林美都子(函館校人間発達専攻) 参加者:今在慶一朗(函館校人間発達専攻) 菅沼聡(函館校人間発達専攻) 本田真大(函館校人間発達専攻) 山崎正吉(函館校人間発達専攻). 1.活動の概要 本活動は昨年度・一昨年度に引き続き「自己分析課題」を用いて北海道教育大学函館校 人間発達専攻心理学分野教員有志によって行われた。 その主な目的は、 次の 3 点であった。 1. 心理学分野におけるカリキュラム充実のため、基礎資料を収集する これまでのカリキュラムを振り返り、効率的に見直しを行うため、本分野での学習を志 望する学生たちの実態、すなわち現状の能力や資質、希望などの基礎資料を収集すること を、本活動の目的の1つとした。 2.学生たちの自主的・意欲的な学習活動を促進する 学びの主体となっているのは、教員ではなく学生たちである。さまざまな FD 活動を行 い、どれほど素晴らしい講義や教育体制を準備しようとも、学生たちに学ぶ意欲がなけれ ば役に立たない。そこで、学生たちに、自分たちの学びの実態、現状を自覚してもらい、 これから心理学分野でどのような学びを行うかの将来像を示し、学ぶ意欲を促進すること を、本活動の目的の 2 つめとした。 3.本 FD 活動や教育活動の効果、新入生の学力や意欲の推移を検討する 本活動は、一昨年度新入学生より試みたものである。そこで今年度新入生となった彼ら にも引き続き「自己分析課題」を実施し、客観的な学力ならびに学生たちの自主性や意欲 を測定し、本 FD 活動の効果やこの 3 年間における新入生の学力や意欲の推移を検討する ことを 3 つめの目的とした。 以上、3 点の目的を達成するため、数回にわたる打ち合わせとメールによる会議を行い、 2011 年 7 月に新入生と2年生を対象に「自己分析課題」を実施した。自己分析課題は、2 種類のアンケートと自己把握課題からなっており、4年次に作成する卒業論文と同様の形 式で自分自身のアンケートを分析する作業を行わせることで卒業論文作成活動を擬似的に 体験させ、心理学分野で学習を重ねた結果、最終的にはどのような学力が身についている のか実践的に学生たちに示せるよう工夫を凝らしたものである。また、用いる 2 種類のア. 33.
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