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日本における「台湾野菜」の食べられ方を通して見えてくる日本の食文化

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Academic year: 2021

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(1)日本における「 台湾野菜」の食べられ方を通して 見えてくる日本の食文化. 生 活 • 健 康 • 総合内容系コース 学 籍 番 号 M10242F 氏名. 坂ロ文馨.

(2) 目次 第一章研究の背景と目的. 1. 第一節日本の野菜と台湾の野菜. 1. 第二節研究の目的. 3. 第二章日本における野菜の特徴. 4. 第一節日本における「 野 菜 」 の位置づけ. 4. 第二節山菜の利用と外来野菜の渡来. 5. 第三節近年日本野菜の消費特徴. 7. 第四節日本における野菜の調理法. 8. 第 三 章 台 湾 で よ く 食 べ ら れ 、 日 本 で は 食 べ ら れ て い な い 野 菜 (「 台 湾 野 菜 」). 11. 第一節台湾でよく食べられている野菜のアンケート調査. 11. 第 二 節 台 湾 で よ く 食 べ ら れ 、 日本では知られていない、 または食べられて. 12. いな い 野 菜 に つ い て の ア ン ケート調查 第三節. 「 台 湾 野 菜 」 の定義. 16. 第四章「 台 湾 野 菜 」 の植物学的な特徴と台湾での利用状況. 18. 第一節. 「 台 湾 野 菜 」 の学 名 、分 類 、原 産 地 、 日本への渡来などについて. 18. 第二節. 「 台 湾 野 菜 」 の台湾における利用状況. 29. 第五章歴史的に見た「 台湾野菜」 の日本における利用状況とその変遷. 37. 第 一 節 昭 和 初 期 、 日本各地での「 台湾野菜」の利用状況. 37. 第二節. 「 台 湾 野 菜 」 の日本における利用状況の変遷. 52. 「 台 湾 野 菜 」 から特徴づけられる日本の食文化. 72. 第六章 第一節. 「 台 湾 野 菜 」 を受け入れなかった理由と日本の食文化. 72. 第二節独立した食文化を持つ沖縄. 考察. 75. 76. 参 考 •引 用 文 献 資 料 (1 ) 「 台 湾 野 菜 」 のレシピ ( 2 ) アンケート調査の結果についてのグラフ ( 3 ) 「 台 湾 野 菜 」 の写真. 78 81 89 101.

(3) 第一章研究の背景と目的 第一節日本の野菜と台湾の野菜 ( 1 ) 食 事 に お け る 野 菜 の役割と日本人の野菜摂取量 世 界 各 地 の 民 族 の 中 で 、野 菜 を 全 く 食 べ な い 民 族 は 一 つ も な い と い う 。 ほとんどの民族 は わ ず か な 量 で あ っ て も 、野 菜 を 毎 日 食 べ る の が 普 通 で あ る ( 中 尾 2005) 。野菜にはビタミ ン や ミ ネ ラ ル な ど の 栄 養 素 が 豊 富 に 含 ま れ 、 ま た 食 物 繊 維 の 主 な 供 給 源 で も あ る の で 、野 菜は人間にとっては必須な食物の一つになっている。 栄養のバランスをよくし健康を保つ た め に 、 野 菜 の 摂 取 は 必 要 不 可 欠 で あ る 。 色 . 味 . 香 を 楽 し め る 野 菜 も 、 また食卓を豊か にする重要な役割も果たしている( 青 葉 1981) 。 野菜の摂取量はいろいろな条件で一様ではなレヽ。 日 本 人 は 穀 物 と 野 菜という食習慣のせ い も あ っ て 、歴 史 的 に 見 て も 国 際 的 に 見 て も 野 菜 の 摂 取 量 が 外 国 人 に 比 べ て 多 か っ た 。 ( 青 葉 198 1 )。 か つ て 日 本 の 食 生 活 は 野 菜 食 を 特 徴 と し て い る と 言 っ て も 過 言 で な い (中尾 2 0 0 5 )。 しかし、 日 本 の 野 菜 生 産 • 消 費 は 食 の 西 洋 化 や 生 産 者 の 高 齢 化 、 さらにグローバル 化 し た 世 界 経 済 の 中 に あ っ て 大 き く そ の 姿 を 変 え て き て い る 。 二十数年前までほぼ自給さ れ て い た 日 本 の 野 菜 は 、近 年 の 輸 入 野 菜 の 急 増 に よ り 自 給 率 は お よ そ 8 0 % まで低下し、今 後の先行きが懸念されているという( 矢 澤 2003)。 日 本 人 の 野 菜 摂 取 量 は 「 Food Balance SheetsJ (httpV /faostat3.fao.org/hom e/index.htm l) に よ れ ば 1998 年 〜 2002 年 の 平 均 は 3 0 2 .1 2 g で あ っ た 。その量はさらに年 々減 り続 いている。同 じ 統 計 で 2 0 0 7 年 は 2 9 0 .9 6 g に なった。 ま た 、厚 生 労 働 省 の 「 平 成 2 2 年 度 国 民 健 康 • 栄養調査報告」 に よ る と 201 0 年 1 人 1 日 の 平 均 摂 取 量 は 268.1 g で、世 代 別 で は 6 0 歳 以 上 が 最 高 で 平 均 3 1 8 .8 g であった。厚 生労働省が推進してきた「 2 1 世 紀 にお け る 国 民 健 康 づ く り 運動 」 ( 健 康 日 本 21) に規定さ れ て い る 1 日 摂 取 量 の 標 準 値 は 3 5 0 g で、す べ て の 年代 でこ れよりも下 回っている状況にあ る。 ( 2 ) 台 湾の自然 環 境 と野 菜 の 摂 取 台 湾 の 正 式 名 称 は 中 華 民 国 (Repubulic o f C h in a)で ある。 沖縄 県の 与那国島 の西へ約 1 2 0 k m にある 島 で あ る 。 フォルモサ(Form osa、麗 し の 島 )という美称がある。 台 湾 の 面 積 は 約 3 万 5560 k m 2 である。 日本の九州(約 3 万 6730 k m 2) よりわずかに小さ い で あ り 、人 口 は 約 2 2 0 0 万人である。 . 台 湾 の ほ ぼ 中 央 部 に あ る 嘉 義 市 に は 北 回 帰 線 が 通 っ て お り 、 北 部 が 亜 熱 帯 、南部が熱帯 に 属 し て い る 。 そ の た め 、北 部 は 夏 季 を 除 け ば 比 較 的 気 温 が 低 い の に 対 し 、南部は冬季を 除 け ば 気 温 が 摂 氏 30°Cを超えることが多くなっている。 台 湾 の 夏 は お お よ そ 5 月 か ら 9 月 ま で で 、通 常 は 蒸 し 暑 く 、 日中の 気 温 は 27°Cか ら 35°Cま で 上 り 、7 月 の 平 均 気 温 は 28°Cで ある。 冬 は 1 2 月 か ら 2 月 までと期間が 短く 、気 温 は 総 じ て 温 暖 で あ り 、 1 月の平均気温は 14°Cで あ る 。 た だ し 、 山 岳 部 の 高 標 高 地 帯 で は 積 雪 が 観 測 さ れ る こ と も あ る 。 平均降雨量 は 年 間 お よ そ 2 5 1 5 m m で あ る が 、降雨量 は季 節、位 置 、標 高 に よ っ て 大 き く 異 な っ て い る 。 台 湾 は 台 風 の 襲 来 が 多 く 、毎 年 平 均 3〜4 個 の 台 風 に 襲 わ れ て い る 。台湾は台風で給水の大. 1.

(4) き な 部 分 を 賄 っ て い る が 、 同時に損壊、洪 水 、 土 砂 流 な ど の 災 害 も 発 生 し て い る 。 台 湾 は 気 候 的 に 一 年 中 温 暖 で あ る た め 、多 く の 作 物 は よ く 育 つ 。 農業 の技 術 も 日 増 し に 高 く な っ て き て い る た め 、品 種 改 良 に よ り 多 く の 美 味 し い 野 菜 や 果 物 を 作 り 出 し 、 高い評 価 を 得 て い る 。 台 湾 の 農 業 は 、零 細 で 兼 業 農 家 が 農 業 の 主 体 と な っ て い る 。 野 菜 は 、主に 中 部 と南 部地 域に おいて生産されている。 野 菜 の 栽 培 . 収 穫 期 間 は 、水 田 裏 作 の 1 1 月 〜 1 月 、一 期 の 2 月〜 6 月 、二 期 の 7 月 〜 1 0 月 の 3 期 に 大 別 さ れ 、生 産 量 は 1 1 月 〜 1 月が多レヽ。 7 月 〜 1 0 月は 台風 等の 災害 も多 く 輸 入 が 増 加 し て い る 。 台 湾 の 主 な 輸 出 野 菜 は 、枝豆であ り、日本が最大の輸出先国である。野菜の主な輸出期間は野菜生産が多レ、3 月 〜 7 月 で あ り 、 主 な 輸 入 期 間 は 作 柄 の 変 動 が 大 き い 7 月 〜 1 0 月である。 一 方 、食 生 活 に つ い て は 日 本 と 同 じ よ う に 外 食 の 増 加 や 食 の 多 様 化 に よ り 、2 0 0 3 年度の お 米 の 消 費 量 (49.lk g ) は 1 0 年 前 よ り 1 1 .6 k g も減った。 日本の同お米の消費量(61.9kg) は同 よ り 7 .2 k g 減 っ た の で 、 日本よりも大幅に減少した。 麵 類 の 原 料 小 麦 は 1 0 年 前 よ り 8.0kg 増えた。 その理由は 麵食の簡便性 にあるからという( 台 農 委 2003) 。 野 菜 供 給 量 に つ い て は 、近 年 野 菜 の 栽 培 面 積 は 1 5 万 へ ク タ ー ル に 維 持 さ れ て い る が 、単 位 面 積 の 生 産 量 が 高 く な っ て い る た め 、供 給 量 が 年 々 増 加 傾 向 に あ る 。 時に天 災に 見舞 わ れ る が 、生 育 期 間 が 短 い た め 、す ぐ に 栽 培 を 再 開 す れ ば 、ま た 市 場へ の 供 給 が で き る た め 、 野 菜 消 費 量 の 需 給 は 安 定 的 か つ 成 長す る傾 向に あ る 。 2 0 0 3 年 は 1 人 当 た り 年 間 112.3kg(l 日 平 均 摂 取 量 は 307.7 g ) であった。 十 年 前 の 年 間 98.1 kg ( 1 日 2 6 8 . 8 g ) よ り 14.2kg (38.9 g ) 増 え た こ と に な る 。 2 0 0 4 年 は さ らに増えて、 1 人 当 た り 1 1 3 .2 kg になり( 1 日の平均摂 取 量 は 3 1 0 .1 4 g ) と な っ た ( 台 農 委 2004) 。 現 在 、 台 湾 は す で に 日 本 よ り も 野 菜 を 多 く 摂 取 し て い る 。 さらに野菜摂取量は年年増 加 の 傾 向 に あ り 、 こ れ は 日 本 が 年 々 減 少 傾 向 にあるこ とと ちようど 逆になっている。 ( 3 ) 食 べら れ る 野 菜 の 種 類 と 食 文 化 ど の よ う な 野 菜 を 食 べ る か は 、元 来 、季 節 と 場 所 の 強 い 制 約 を 受 け る 。 夏 野 菜 、春 • 秋 野 菜 と 呼 ば れ る よ う に 季 節 に よ っ て 異 な る 野 菜 が 生 産 さ れ 、 ま た 、緯度 や高 度によっても 野菜の種類や品質が違ってくる。季節や生活する場所の気候条件によって食べることの可 能 な 野 菜 は 異 な っ て く る た め に 、 消 費 さ れ る 野 菜 は 強 い 地 域 性 を 持 っ て い る 。 さらに、地 域 特 有 の 習 慣 • 文化によって調理法も異なるので、 どの野菜をどのように消費されるかは 地域の食事の特徴の一つになっている( 戸 田 1998)。そ の た め 、もともと台湾で食べられて いた野菜と日本で食べられていた野菜は大きく異なることになる。 し か し 、 科 学 技 術 の 進 歩 に よ り 野 菜 の 品 種 改 良 が す す み 、新 た な 栽 培 法 も 開 発 さ れ た た. め、年 間 を 通 し て 同 じ 種 類 の 野 菜 が 生 産 さ れ る よ う に な っ た 。 ま た 、従 来 は 人 力 で 運 ば れ て い た 範 囲 の 地 場 野 菜 か g 給 野 菜 を 消 費 し て い た の に 対 し て 、交 通 網 の 発 達 と 保 存 技 術 の 進 歩 に よ り 広 範 囲 へ の 輸 送 が 可 能 に な っ た た め 、産 地 の 遠 隔 化 が 可 能 と な っ た 。 このよう な 変 化 に よ り 、地 域 の 特 色 を 持 つ 野 菜 が 減 少 し 、ま た 野 菜 の 「 旬 」 という季 節感も弱まり、 ど の 地 域 も ほ ぼ 同 じ よ う な 野 菜 を 、年 間 を 通 し て 食 べ て い る 傾 向 が 強 ま っ て い る 。さらに、 各 地 域 の 食 文 化 は 、もともと、互 い に 伝 播 し 合 い 混 ざ り 合 う 特 性 を 持 っ て い る 。そ の た め 、. 2.

(5) 地 域 に あ る 野 菜 の 種 類 も 時 代 と と も に 変 化 し 、 ま た そ の 時 代の 食 生 活 や 食 嗜 好 に よ っ て も 変化するものと考えられる( 矢 澤 1997)。近 年 の 日 本 で は 地 域 特 有 の 食 文 化 が 急 速 に 失 わ れ 、 全国で同じような野菜を食べる傾向が強まっており、 また、世界中から新たな野菜を食卓 に 取 り 入 れ て い る 。 但 し 、新 た な 野 菜 を 取 り 入 れ る と き 、 取 捨 選 択 が 行 わ れ 、 そこには伝 統的 な 食 文 化 の 影 響 が あ る と 考 え ら れ る 。 台 湾 と 日 本 の 食 文 化 は 大 き く 異 な る が 、料 理 に 用 い ら れ る 多 く の 野 菜 は 共 通 し て い る 。 ま た 、食 文 化 は 伝 播 し あ う こ と か ら 、 も と も と 台 湾 料 理 で の み 用 い ら れ て い た 野 菜 が 日 本 で も 食 べ ら れ る よ う に な っ て い る 。 しかし、 台 湾 と 日 本 は 隣 接 し て い る に も か か わ ら ず 、 台 湾 で 食 べ ら れ て い る 野 菜 全 て を 日 本 人 は 必 ず し も 受 け 入 れ て い な い 。 チンゲン菜のよう に 急 速 に 日 本 全 国 に 普 及 し た も の が あ る も の の 、 台 湾 で 多 く 食 さ れ て い る が 、少なくとも 京 阪 神 地 域 で は ほ と ん ど 見 か け な い も の が 多 い 。 こ れ ら の 野 菜 は 、今 ま で 日 本 で は 食 さ れ て い な か っ た も の で あ ろ う か 、そ れ と も か つ て 食 さ れ て い た が 、何 ら か の 理 由 で 消 え て し まったのだろうか。 ま た 、へ チ マ の よ う に 現 在 で も 日 本 で 広 く 栽 培 さ れ て い る の に 、全く食されていないと み え る も の も あ る 。 日 本 に お け る 野 菜 の 消 費 傾 向を 歴 史 的 に 、 ま た より 広い 地域 について 調 べ 、台湾でよく食べられている野菜を日本人が受け入れたり受け入れなかったりする理 由 を 探 る こ と で 、 日本の食文化の一端を明らかにできる可能性がある。. 第二節研究の目的 本 研 究 の 目 的 は 、現 在 台 湾 で 食 べ ら れ て い て 日 本 人 が 知 ら な い 、 ま た は 、 あまり食べて いない野菜を「 台 湾 野 菜 J と位置づけ、 ど の よ う な 種 類 が あ る か 、 ま た 、 これを日本人が 受 け 入 れ な い 理 由 を 探 る こ と で 、日本の食文化の一 端 を明らかにすることである。さらに、 「 台湾野菜」 を日本人がより広く受け入れるための方法にっいても提案できたらよいと考 えている。 以 上 の 目 的 の た め に 、以下 のような研究を計画した。 1.. 日本における野菜の特徴を知る。. 2 . 「 台 湾 野 菜 」 にどの よ う な も の が あ る か を 知 る た め の ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 す る 。 3 . 「 台 湾 野 菜 」 の植物学的な特徴、代 表 的な 調 理 法 、地域や時代に 関 わらず日本で食べら れ な か っ た の か ど う か 、等を比 較検討する。 4 . 上 記 1 〜 3 を も と に 、 日 本 人 に よ る 外 国 の 食 文 化 の 受 け 入 れ の 様 式 、 さらにはこれを 含 め た 日 本 の 食 文 化 の あ り 方 に ついて考察を 加 える 。. 3.

(6) 第二章日本における野菜の特徴 第一節日本における「 野菜」 の位置づけ ( 1 ) 「 野 菜 」 の表記 野菜を含め食料とされる作物はすべて「 採 集 植 物 」 の 利 用 か ら 始 ま っ た 。 日本でも古く か ら 、 いろんな種類の山菜を採取して食用にしていた。稲作農業が行われるようになって か ら 、野 菜 の 栽 培 が は じ め て 次 第 に 盛 ん に な っ た と 考 え ら れ る 。 広辞苑には野菜とは「 生 食 ま た は 調 理 し て 、 主 に 副 食 用 と す る 草 本 作 物 の 総 称 。 食べる 部 位 に よ り 、葉 菜 あ る い は 葉 茎 菜 • 果 菜 • 根 菜 • 花 菜 に 大 別 。 芋 類 •豆 類 は ふ つ う 含 め な い。 青 物 ァオモノ、 蔬菜ソサ イ。」 と書いてある。 しかし、 「 野 菜 」 という字 の持つ意 味は時代とともに変わり用いられている。 日本におい て は 、古 く は 「 野 菜 」は 山 野 に 自 生 す る 「 菜 サ イ • な」 を総 称 す る 言 葉 と し て 用 い ら れ 、栽 培される菜は「 蔬 菜 」 と 呼 ばれ 区別 されていたが、現 在 で は 野 菜 は 「 蔬 菜 」 と同じ意味で 使われ( 矢 澤 1 99 7 )、蔬菜という言葉は使 われていない。 有 岡 ( 2 0 0 5 ) によれば、蔬菜と い う 用 語 が 一 般 に 使 わ れ る よ う に な っ た の は 、 明 治 に 入 っ て か ら で あ り 、栽培植物に限っ て 用 い ら れ 、 野菜や山菜とは区 別さ れていた。 しかし、昭 和 2 1 年 1 1 月の国語審議会に基 づ い て 、 内 閣 の 訓 示 告 示 を も っ て 当 用 漢 字 表 、現 代 か な づ か い が 公 布 さ れ た た め 、 当用漢 字表にない「 蔬 」 の文字の使用をさけ、 「 蔬菜」 を 「 野菜」 に代えて用いるようになった。 現在日本語でいう「 野 菜 」のことを、中国語では蔬菜(s h Q d i)という。そ し て 日 本 語 の 「 山 菜 」 の こ と を 野 菜 ( y 6 d i) という。 山 菜 と い う 言 い 方 が 中 国 語 に は な い 。 蔬 菜 の “ 蔬 ” とい う 字に ついては、 中 国 の 明 朝 時 代 の 『群芳 譜 』 ( 1 6 0 3 年 )の 蔬 譜 小 序 に 次 の よ う な こ と が書 かれている。 「 穀 は も っ て 民 を 養 い 、菜 は 名 づ け て 蔬 と い う 。 臓 腑 を 調 え 、気 血 を 通 じ 、壅 滞 (ふ さ が っ て 動 か な い こ と )を疏する(通ずる)をもってなり」 とある。 “ 蔬 ” が “ 疏 ” と同義 的 な も の で あ る こ と が 分 か る 。 さらに、野 菜 の 主 食 の 代 用 と し て の 役 割 に 加 え て 、副食と し て の 栄 養 学 的 な 位 置 づ け が な さ れ て い る 。 す な わ ち 、野 菜 は ミ ネ ラ ル や ビ タ ミ ン の 供 給 源 で あ る と と も に 、今 日 盛 ん に 言 わ れ て い る 機 能 食 品 と し て の 効 用 に つ い て も 、 当時すで に認められているのである( 矢 澤 1997) 。 現 在 の 野 菜 に つ い て の 用 語 は 、古 い 書 物 に は よ く 園 菜 と か 圃 菜 と い う 用 語 で 登 場 さ れ て いる。 平 安 時 代 の 『和名類聚抄』 ( 9 3 8 年 、通 称 『和名抄 』)には、作 物 は 「 窳 類 、芋 類 、葷 菜 類 、 水 菜 類 、 園 菜 類 、野 菜 類 」 の よ う に 分 類 さ れ て い る 。 現 在 で い う 野 菜 の こ と を 当 時 で は 園 菜 類 と し て 分 類 し 、 ま た 当 時 の 野 菜 類 は 、現 在 の 山 菜 の こ と を 指 し て い た 。 平安時 代 の 日 本 に は 、 山 野 に 自 生 す る 山 菜 が 、作 物 の 野 菜 と 同 じ よ う に 一 つ の 項 目 と し て 分 類 さ れ 、 ま た こ の こ と か ら 、そ の 当 時 に 山 菜 は 分 類 す る ほ ど 多 く の 種 類 が あ り 利 用 さ れ て い た と 考えられる。 ま た 、 江 戸 時 代 の 貝 原 益 軒 が 書 い た 『菜 譜 』 で は 、食 べ ら れ る 植 物 を 総 括 し て 菜 蔬 と 呼 んでいた。 そ し て 菜 蔬 を 「 圃 菜 、蔵 菜 、用 根 菜 類 、穀 類 、 野 菜 、水 菜 類 、海 草 、菌 類 、木 類 」 の 九 種 類 に 分 類 し て い た 。 『和 名 類聚 抄 』 と同様に、 「 圃 菜 」 す な わち 畑 で 栽培されて.

(7) いるものと、 「 野 菜 」 現在の山菜が併記されている。 山菜は、江戸時代には依然として多く 利 用 さ れ 、 日本人にとっては重要な食料であったと考えられる。 ( 2 ) 食 事における野菜の位置づけ 野菜は食生活においては脇役である。栄養としては、エネルギーやタンパク質を摂取す る た め の も の で は な く 、 ビ タ ミ ン や 繊 維 質 等 の 摂 取 に 関 係 す る も の で あ る 。 したがって、 主 役 の い か ん に よ っ て は 、野 菜 の 種 類 や 調 理 法 も 異 な っ て く る 。 しかし、野菜 は 食 事 と 栄 養 の バ ラ ン ス や 食 生 活 の 豊 か さ を 確 保 す るうえ で は 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る ( 戸 田 1998) 。 日本の食生活は仏教から大変大きな影響を受けた。 仏教が日本に伝来したのは六世紀中 頃で あ る 。 そ の 後 天 武 4 年 (6 7 5 年) の肉 食禁 止令 が あ っ た た め 、 日本での肉食が忌避される ようになった。 仏教の殺生戒だけでなく、 中世以降肉食をけがれとする意識が次第に広が り、江 戸 時 代 に 定 着 し た ( 江 原 2009)。そ れ ゆ え 、野 菜 は 大 変 多 く 利 用 さ れ 、 日本人の伝統 食 を 見 て も 分 か る よ う に 、 日本人の 食事において重要な位置を占めるようになった。 日本の伝統食と言えば、 ほとんど主食はお米を含めた穀類であり、副食は魚や野菜の煮 物 の 他 に 、 野 菜 入 り の 汁 物 と 漬 物 で あ る よ う な も の で あ っ た 。 しかし、 日本人がお米を完 全 に 主 食 と し て 食 べ ら れ る よ う に な っ た の は 戦 後 で あ っ た 。 ま た 、魚 は ご 馳 走 で あ り 、 い つ も 食 べ ら れ る も の で は な か っ た 。地 域 に よ っ て お 米 の 生 産 量 が 少 な け れば 、ム ギ やヒ エ、 キ ビ ま た は サ ツ マ イ モ の 入 つた糧飯(かてめし) を 食 べ た り す る こ と も よ く あ っ た の で 、毎日 一 番 よ く 食 べ て い た の は 野 菜 、漬 物 と 野 菜 入 り の 汁 物 で あ っ た 。 この ように昔の日本人に とっては、野菜は副食 だ け で な く 主 食 を補 う 糧 で も あ っ た 。 日 本 人 に と っ て 野 菜 は 大 変 重 要 な 食 料 で あ っ た た め 、一 年 中 食 べ ら れ る よ う に 工 夫 し て 利 用 し て い た 。 量 を 確 保 す る た め に 、野 菜 は 余 分 に 作 り 、 旬 の あ る 山 菜 な ら 、 その季節に な る と で き る だ け 多 く 採 取 す る よ う に し て い た 。 新 鮮 な も の を た く さ ん 食 べ る ほ か に 、余 っ た も の を 乾 燥 し た り 塩 漬 け し た り し て 、 次 に ま た 手 に 入 れ る こ と が で き る ま で 、大事に 利 用 し 、 ま た貯蔵 しながら食するようにしていた。. 第二節山菜の利用と外来野菜の渡来 現 在 日 本 で 店 頭 に 並 ぶ 野 菜 は 約 1 4 0 種 前 後 あ る と い わ れ て い る 。 しかし、 日本原産の野 菜 は ミ ツ バ 、 ウド、セ リ 、フキ、 ワ サ ビ な ど の 数 種 類 し か な い ( 青 葉 1989) 。 これら日本原 産 の 野 菜 は 、 い わ ば 「山菜」 である。 前 述 し た よ う に 山 菜 は 昔 か ら 日 本 人 に と っ て は 野 菜 として重要な食料であった。 それは平安時代から、 また江戸時代に至っても変わらず重要 であった。 野 菜 全 て は 自 生 の も の を 栽 培 に 移 し た 作 物 で あ る 。 しかし、 日本原産の山菜は変異性が 低 く 、品種の分化や改良があまり進まなかったため、現在日本で栽培されている野菜の大 部分は中国や欧米で作物化されたものである。 い わ ば 外 来 野 菜 と い う こ と に な る ( 青葉 1981) 。 日 本 は 気 候 的 に 多 く の 山 菜 に 恵 ま れ て い る 国 で あ る 。 特 に 北 の 雪 国 で は 春 、 雪解けにな る と 、温 暖 多 湿 の た め 、多 種 多 様 な 山 菜 が 芽 生 え て 来 る 。 み な 喜 ん で 知 っ て い る 場 所 へ 山. 5.

(8) 菜 摘 みに 行く。 採って来た新鮮な山菜をお浸しにして食べたり、 またはゴマやクルミや酢 味 噌 な ど 異 な っ た 衣 (ころも) の 和 え 物 に し た り し て 食 べ て い た ( 青 葉 1981) 。 日本原産の山菜は多くあり、 これらの山菜は日本人にとっては重要な副食物となってい た の で 、利 用 量 は 大 変 多 か っ た 。 北 海 道 と 東 北 、北 陸 の 山 菜 の 消 費 量 は 特 に 多 か っ た 。 山 菜 は 生 存 の た め の 必 需 品 で あ る の で 、どの種類が食べられるか、何 が う ま い か 、料 理 法 は 、 旬 は い つ か 、貯 蔵 す る に は ど う し た ら よ い か 、 そ れ ら の 知 識 は 何 百 年 か 何 千 年 か長い歳月 の 間 に 得 た も の で あ ろ う 。 そ れ ら の 知 識 は 言 い 伝 え ら れ 、 あるい は 書 き 残 さ れ て い る も の が あ る 。 上 杉 藩 で 天 明 三 年 ( 1 7 8 3 年) に 『かてもの』 として山菜の種類や利用法をまとめた ものはその例である( 青 葉 1981) 。 一 方 、前 述 し た よ う に 日 本 で 現 在 栽 培 さ れ て い る 野 菜 は ほ と ん ど 外 国 か ら 渡 来 し た も の で あ る 。 こ れら の 野 菜 の 日 本 へ の 渡 来 時 期 に つ い て は 、野 菜 生 産 流 通 問 題 研 究 会 の 〖日本 の 野 菜 〗 に よ れ ば 、 次 の四期に大きく分けて考えるこ とができる。 第一期太古• 中 古 ( 奈 良 、平 安 時 代 〜 1184年 頃 まで ) 農 作 物 の 栽 培 は 石 器 時 代 に 始 ま っ た と い わ れ る が 、 日本でも縄文時代後 期(B.C.1, 000年 〜 5 0 0 年) に、稲 作農 耕 文化 が 大 陸 より 伝 来し て お り 、 そ れ に 前 後 し て 、根菜農耕文化や焼 畑 雑 穀 農 耕 文 化 な ど が 次 々 に 渡 来 し て 、多 様 な 複 合 農 耕 文 化 が 形 成 さ れ 、 これら文化の成 熟 に 伴 っ て 、各 種 の 穀 類 •マ メ 類 •イ モ 類 を 初 め と し て 、 各 種 野 菜 類 も 渡 来 し て い る 。 奈 良 、平 安 時 代 に 日 本 原 産 の 野 菜 と 認 め ら れ て い る も の は 、フキ、ゴボウアザ ミ、せ り 、 ミツバ、 ウド、ハ マ ボ ウ フ ウ 、たで、 ツルナ、 ジ ュンサイ、 ア サ ツ キ 、 ミョウガ、サンシ ヨウ、 キ ノ コ 、 ワサビ、ヤ マ イ モ 、 ユ リ 、 ヒシ、 マ コ モ 、 ク ロ ク ワ イ 、 ヒ ユ 、 カ ン ゾ ウ 、. クコ、オニバ ス な ど ( 同名 であっても、現 存 の も の と 同 型 と は 限 ら な い が ) がある。 中 国 • 熱 帯 ア ジ ア • 中 央 ア ジ ア • シ ベリア原産種 としては、 シソ 、 チ シ ヤ 、ネ ギ 、 ワ ケ ギ 、 ゴボ ウ 、サ ト イ モ 、 ニ ン ニ ク 、 ショウガ 、 クワイ、ハ ス 、 ダ イズ 、サ サ ゲ 、 フジ マ メ 、 シ ロ ウ リ 、 キュウリ、 トウガン 、ユ ウ ガ オ 、ナ ス な ど が 記 録 さ れ て い る 。 ヨーロッパ. .. ア フ リ カ . 西 南 ア ジ ア 原 産 と し て は 、 ア ブ ラ ナ 、 タ カ ナ 、 カ ラ シ ナ 、 ウイ. キ ョ ウ 、 カ ブ 、 エ ン ドウマ メ 、 マ ク ワ ウ リ などの記 載も ある。 第 二 期 近 古 ( 鎌 食 、室 町 、桃 山 、 1185年 〜 1 6 0 2 年 頃 ) こ の 時 代 は 、 大 化 の 改 新 に よ り 確 立 さ れ た 律 令 国 家 に 続 き 、武 家 政 治 の 時 代 を 経 て 、 江 戸 時 代 に 至 る 期 間 で あ っ て 、室 町 時 代 に は 料 理 に 関 す る 流 派 が 生 ま れ 、桃 山 時 代に は茶 懐 石 が 確 立 さ れ る な ど の こ と が あ っ た 。 野 菜 栽 培 も 、大 都 会 周 辺 に 発 達 し た 。 こ の 期 間 に 新 た に 加 わ っ た 野 菜 と し て は 、 中 国 . ア ジ ア 原 産 の ツ ル ム ラ サ キ 、 ナタマメ が あ り 、 ヨ ー ロ ッ パ . ア フ リ カ .西 南 ア ジ ア 原 産 の ホ ウ レンソウ、 セ ル リ ー 、 ニ ン ジ ン 、 ソ ラ マ メ 、 ス イ 力 が あ る 。 そ し て 、新 大 陸 原 産 の も の は カ ボ チ ヤ 、 トウガラシ、 トウモロ コシ、 ジヤガイ モ 、サ ツ マ イ モ などが記 録されている。 第三期江 戸時代( 1603年 〜 1 86 6 年頃) 2 5 0 年 を 超 え る 封 建 治 世 の も と 、江 戸 時 代 が 栄 え 、諸 大 名 に よ り 地 方 産 業 が 開 発 さ れ て 、 日 本 文 化 は 一 応 完 成 の 域 に 達 し た 。 平 戸 • 長 崎 の み と い う 制 約 は あ っ た が 、 西欧文物との. 6.

(9) 接 触 も み ら れ る よ う に な っ た 。 太 平 文 化 の 下 で 、武 家 文 化 . 庶 民 文 化 に 培 わ れ て 、 日本料 理 も 多 彩 に な り 、野菜も近 郊野菜として多様化した。 こ の 時 代 に 新 た に 加 わった野菜類としては、日本原産のミツバ、ツルナ、ゴボウアザミ、 中 国 • 熱 帯 ア ジ ア . 中 央 ア ジ ア • シ ベ リ ア 原 産のモオソウチ ク、ハ ク サ イ 、スイゼン ジナ 、 チ ョ ロ ギ 、へ チ マ 、 ニ ガ ウ リ 、 ヨ ー ロ ッ パ • ア フ リ カ . 西 南 ア ジ ア 原 産 と し て は 、ルバ一 ブ 、 エ ン ダ イ ブ 、 ア ス パ ラ ガ ス 、 フ ダンソウ、 キ ャ ベ ツ 、パ ー セ リ 、 チ コ リ ー 、 ア ー チ チ ョーク、 シ ュ ン ギ ク 、 タマネギ、 リーキ、 ビート、パ ー ス ニ ップ、 サ ル シフアイ、 イチゴ な ど が あ り 、新大 陸 原産 種 とし て は キ ク イモ 、ラッカセイ、イ ン ゲ ン 、 トマトなどである。 第 四 期 明 治 時 代 (1867年 以 降 ) 明 治 維 新 に よ り 、 土 地 そ の 他 農 業 に 関 す る 拘 束 は 一 応 取 り 除 か れ 、諸 国 間 の 交 通 • 交易 も 自 由 に な っ た 。 江 戸 時 代 は 、参 勤 交 代 あ る い は 宮 中 へ の 参 賀 な ど が 、数 少 な い 各 国 物 産 の 大 規 模 交 易 (た と え ば 、野菜品種なども) の機 会であった。 さらに、明 治 政 府 は 、武士の帰 農 授 産 や 北 海 道 開 拓 へ の 必 要 な ど か ら 、農 業 に 対 し て 進 歩 的 な 施 策 を 行 う よ う に な り 、園 芸 (農 業 ) も奨励されるに至った。 明 治 1 4 年 の 三 田 育 種 場 舶 来 穀 菜 目 録 な ど に よ る と 、 こ の 期間に導入 された野菜類は、合 計 2 8 5 品 種 に 達 し て い る 。 しかし、 これらの品種導入は、必 ず し も 日 本 の 立 地 .気 象 条 件 を考慮して行われたものでなかったので、 不適地に配布されて消滅したものも数多くあっ た。 一 般 に 普 及 し た も の は 、 マ ッ シ ュ ル ー ム 、 タマネ ギ 、 ア ス パ ラ ガ ス 、西洋ホウレンソ ウ、ハ ク サ イ 、 タ カ ナ 、 キ ャ ベ ツ 、ハ ナ ヤ サ イ 、イ チ ゴ 、エ ン ドウ、イ ン ゲ ン マ メ 、 ラッ 力セ イ 、 ニ ン ジ ン (洋 種 )、セ ル リー、 ジャガイモ、 トマト、 キュウリ( 中国系)、 クリカポチ ャ、 スイ 力 (洋 種 ) 、 中国系マクワウリ、 レタス、 中 国 系 ハ ス な ど が 挙 げ ら れ 、わが国の近代 的野菜生産の進歩に著しい貢献を果たした。. 第三節近年日本野菜の消費特徴 戸 田 (1 9 9 8 ) に よ る と 、 日本戦後の野菜消費は 周年 化、 多 様 化 、 平 準 化 さ れ て い る 。 さ ら に 詳 し く い う と 、 下記の通りである。 ( 1 ) 地域 性の 消 失 例 と し て 、 ダイコンは非常に種類が多く地域独特のダイコンが地域の食事の特徴の一つ を 構 成 し て い た が 、現 在 わ れ わ れ の 前 に 供 給 さ れ る ダ イ コ ン は 青 首 ダ イ コ ン 一 色 で あ り 、 多くの特徴あるダイコンは市場から姿を消した。 ( 2 ) 産 地 の 遠 隔 化 、輸送園芸の発達 大 正 の 終 わ り か ら 昭 和 に か け て 、鉄 道 の 発 達 や 大 都 市 の 拡 大 を 背 景 に 「 輸 送 園 芸 」 の主 産 地 が 形 成 さ れ 、 専 業 的 な 野 菜 農 家 も 生 ま れ 、大 都 市 向 け を 中 心 に 遠 距 離 輸 送 が 徐 々 に 拡 大 し て い っ た 。 ま た 、昭 和 3 0 年 代 に 始 ま っ た 経済の高度成長は 野菜の需 給に大きな影 響を 与えた。 政 府 は 生 産 性 の 高 い 集 団 産 地 を 育 成 す る た め に 「 指 定 産 地 制 度 」 が 設 け ら れ 、産 地 と 大 都 市 の 卸 売 市 場 と の 結 び つ き が 強 化 さ れ 、 同 時 に 広 域 流 通 が 拡 大 し た 。 それまで地 域色の強かった野菜の消費が画一化された。. 7.

(10) ( 3 ) 周 年 供 給 •消 費 の 進 展 戦後 の野菜の消費の最大の特徴は、いつでもどこにおいてもすべての野菜を食べられる よ う に な っ た こ と で あ る 。 このため、す べ て の 主 要 野 菜 に つ い て 、時期別の産地が形成さ れ 、各 産 地 が リ レ ー 方 式 で 全 国 に 供 給 し て い る 。 経 済 的 に 国 内 で は 供 給 が 困 難 な 場 合 は 、 海外 で 生 産 し て 周 年 供 給 体 制 を 完 成 し た も の も あ る 。 ( 4 ) 多 様化と 平準 化 野菜の消費は品目の多様化が進む一方で平準化が進んだ。食べている野菜の種類につい て は 、か つては か な り の 地 域 的 特 徴 が あ っ た が 、現 在 で は 地 域 差 は き わ め て 少 な く な っ た 。 均 一 的 な 情 報 が 全 国 に 同 時 的 に 伝 達 さ れ 、 野 菜 選 択 に つ い て の 差 が な く な っ て き た 。 野菜 の 主 産 地 化 が 進 み 、全 国 的 な 流 通 が 支 配 的 に な っ た こ と も 野 菜 消 費 の 平 準 化 を 進 め た 一 つ の要因として作用した。 ( 5 ) 単一品種化 平準化の一つの形態として注目されるのが主要野菜の品種が単一化していることである。 市場に出回るものの品種が特定化する傾向がある。 時として交替は起きることもあるが、 一定期間は特定品種が高いシュアを占める。伝統的な食生活を楽しむためには特殊な入手 経 路 (流 通 経 路 ) を経て入手しなければならない。 ( 6 ) 輪入 野 菜 の 増 加 農 業 労 働 力 の 減 少 と 高 齢 化 が 進 み 、農 地 も 宅 地 や 工 業 用 地 等 に 転 用 さ れ て 減 少 し た た め 、 わが国の食料供給力は減退を続けている。 品目的には重量の重い野菜や多くの労働力を必 要とする野菜が減少している。 国内の野菜生産の減少を背景に加工野菜の輸入が始まり、 年 々 増 加 し て い っ た 。 野 菜 も 輸 入 品 を 食べる時 代に なってきた。 ( 7 ) 安全で良質な野菜を食べる 野菜を購入する時に重視する「 鮮度」に 続 く も の は 「 安 全 性 」 である。 人 び と は 現 在 健 康 の 確 保 と 維 持 に 強 い 関 心 を 示 し て お り 、 緑 黄 色 野 菜 の 消 費 が 増 加 し て い る 。 有機農産物 に 対 す る 関 心 も 強 い 。 国 産 と 輸 入 野 菜 、全 国 の 各 産 地 の 野 菜 、有 機 野 菜 、減 農 薬 と 減 化 学 肥 料 野 菜 等 さ ま ざ ま な 野 菜 が 入 り 乱 れ て 販 売 さ れ て い る 。 さらに、 ア メ リ カ で は 遺 伝 子 組 み換えトマトが出回っている。 われわれはいかなる価値観のもとでどのような野菜を食べ る か の 選 択 を 迫 ら れ て い る 。 安 全 に つ い て の 正 確 な 情 報 は 特 に 不 可 欠 で あ る 。 それととも に、表 示 が 適 正 に な さ れ な け れ ば な ら な い 。. 第四節日本における野菜の調理法 ( 1 ) 仏 教の 影響 で 油 不 足 の 料 理 前 述 し た よ う に 、 日本の食生活は仏教から大変大きな影響を受けた。 毎日摂取する必要 の あ る 野 菜 は 、 ど の よ う に 調 理 し て 食 さ れ た か は 、や は り 仏 教 か ら の 影 響 を 受 け て い た に 違いないと考えられる。 六 世 紀 中 頃 に 仏 教 が 日 本 に 伝 来 し た 。 そ の 後 、仏 教 は 国 の 保 護 を 受 け る よ う に な る と 、 殺 生 禁 断 、 肉 食 禁 忌 の 戒 律 か ら 肉 食 が 禁 ぜ ら れ た 。 奈 良 時 代 に 入 っ て 、僧 侶 た ち の 間 で 盛. 8.

(11) ん に 精 進 の 食 生 活 が 行 わ れ る よ う に な り 、 そ の 結 果 、脂 肪 の 摂 取 が 不 十 分 と な り 、 それを 補 う た め に 寺 院 で は 自 然 発 生 的 に 油 を 使 っ た 料 理 が 発 達 す る よ う に な っ た (松 尾 1984)。 動 物 性 の 油 脂 を 使 用 す る こ と が で き な か っ た の で 、作 物 の 種 子 か ら 油 を 絞 る し か な か っ た 。 しかし、昔 は 油を 絞る 技術 が発 達し なかった。搾 油 は 油 を 多 く 含 ん だ ゴ マ 、エ ゴ マ 、カヤ、 ツバキなどのようないくつかの作物に限られていた。 その中になんといってもゴマ油が上 等 の も の と さ れ て い た 。 しかし、奈 良 時 代 は ゴ マ 油 が 大 変 な 貴 重 品 で あ り 、 とても庶民の ロ に 入 っ て こ な か っ た 。 そ れ に 、 こ れ ら の 植 物 油 は 食 用 ば か り で は な く 、 灯 油 、髪油とし て も 用 い ら れ た 。 庶 民 は 灯 油 用 の 油 さ え も 節 約 し て い た の で 、多 量 に 油 を 消 費 す る 料 理 用 にはなかなか回せなかった。 これは日本料理が油気の少ないものとなったゆえんである。 江 戸 時 代 に な っ て 、安 価 な ナ タ ネ 油 の 問 屋 や 株 仲 間 が 結 成 さ れ 、 ナ タ ネ 油 が 出 回 る こ と に よ っ て 、 ゴ マ 油 が 食 用 専 用 の 油 に よ う や く な っ た の で ある。 天 ぶ ら 、 油 揚 げ な ど 油 を 多 量 に 使 用 す る 料 理 が 出 現 す る の も 、江 戸 時 代 に な っ て か ら で あ る 。 明治時 代 に 石 油 ラ ン プ に 切 り 替 わ る ま で は 、植 物油 と い っ て も そ の 主 な 用 途 は 灯 火 用 で あ る (石 毛 1976)。. ( 2 ) 江戸 時代 の 野 菜 料 理 江 戸 時 代 の 野 菜 料 理 に つ い て は 、江 戸 後 期 の 「日 々 徳 用 儉 約 料 理 角 力 取 組 」 というおか ずを集めた「 見 立 番 付 」 がある。 これによって、 江 戸 の 野 菜 や 料 理 を 垣 間 見 る こ と が で き る ( 野 村 2 0 0 5 )。 こ の 「日々徳用儉約料理角力取組」 と い う 「 見 立 番 付 」に出ている野菜料 理 ( p p.5 1〜 5 2 参 照 ) をまとめてみれば、 次の よ う な 一 覧 表 に な る 。 煮物. 汁物. 和え物. 茹で物. お浸し. 焼き物. 炒め物. 漬物. 酢の物. 揚げ物. 28品. 15品. 15品. 9品. 7品. 6 品. 2 品. 6 品. 1品. 2 品. 29%. 16%. 16%. 9%. 7%. 6%. 2%. 6%. 1%. 2%. こ の 一 覧 表 を 見 る と 、油 を使 う 料 理 、炒 め 物 や 揚 げ 物 は 合 わ せ て も 4 % に過ぎなかった。 わ ず か し か な か っ た 。 ところが、 油 の 使 わ な い 料 理 、煮 物 だ け で 全 体 の 2 9 % を占める。 汁 物 、 和 え 物 、茹 で 物 、お 浸 し な ど も 多 か っ た 。 これ ら 油 の 使 わ な い 料 理 は油 を 使 う 料 理 よ り断然に多かった。. ( 3 ) 明 治時 代の 野菜料理 野 菜 料 理 の 明 治 時 代 に お け る 状 況 つ い て は 、藤 野 淑 子 氏 が 明 治 6 年 ( 1873) に上梓され た飛 ,弾 地 方 の 地 誌 『斐 太 後 風 土 記 』 の デ ー タ に 基 づ き 、 明 治 時 代 の 食 生 活 を 分 析 し 、次の ように述べた。 「 油 は 不 足 し て い た よ う で あ る 。 当時はエ (エ ゴ マ ) 、 ナ タ ネ が主な原料であ った。 しかし、その多くが燈 油用 として使 わ れ て い た 可能 性 が 強 い 。油 の 不 足 に よ っ て 「 揚 げ る 」、 「 炒 め る 」 という料理法が普及せず、 「 煮 る 」• 「 炊 く 」• 「 焼 く 」• 「 生 」 という日本的 な 料 理 法 が 固 定 す る こ と に な っ た 。」 ( 小 山 1998) 。. ( 4 ) 昭 和初期の野菜料理 本研究の調査によれば、「 台湾野菜」 ( p . 1 6 参 照 ) は煮 物 、和 え 物 、佃 煮 、炒 め 物 、 あ. 9.

(12) ん か け 、煮 し め 、天 ぶ ら 、炊 き 込 み ご 飯 、酢 の 物 、 お 浸 し 、焼 き 物 、汁 物 、漬物などの調 理 法 で 食 さ れ て い た 。 また、 こ れ ら の 調 理 法 で 作 っ た 料 理 を み れ ば 、や は り 炒 め 物 や 天 ぷ ら な ど 油 の 使 う 料 理 が 少 な く 、煮 物 や 和 え 物 、 お 浸 し な ど 油 の 使 わ な い 料 理 が 圧 倒 的 に 多 かった( p p .51〜 5 2 参 照 )。. (5 ). 日本における野菜調理法についての変遷. このように、 日本の江戸時代から明治時代を経てさらに昭和初期の日本における野菜の 調 理 法 は 、油 の 使 わ な い 「 煮 る 」、 「 炊 く 」、 「 焼く」 と 「 生 」 を主流にし、油 の 使 う 「 炒め る」 と 「 揚 げ る 」 は 少 な い 傾 向 に あ る こ と が 分 か っ た 。 しかし、 こういう油の使わない日 本 の 典 型 的 な 野 菜 の 調 理 法 は 、近 年 に な っ て 日 本 の 食 生 活 が ま す ま す 洋 風 化 に な る につれ て 、大きく変化しつつある。今までのほとんど油の使わない典型的な調理法で食されてい た野菜は、 「 炒 め る 」 な ど多くの油 を使 う調理法に変わり、多 く 利 用 す る よ う に な っ た 。 ま た、野菜をサラダにして食べるのも甚だしく多くなった。 ( p .1 6 参 照 )。. 10.

(13) 第 三 章 台 湾 で よ く 食 べ ら れ 、 日本では食べられていない野菜「 台 湾野菜」 第一節台湾でよく食べられている野菜のアンケート調査 (1)調 査 方 法 ①調査票について 台 湾 側 用 の ア ン ケ ー ト 調 査 票 を 作 る た め に 、事前調査を 行 っ た 。 それは本研究者の 1 0 人 ほ ど の 台 湾 人 の 友 人 に よ く 食 べ て い る 野 菜 を 書 い て も ら い 、台湾でよく食べられ て い る 野 菜 を 集 め 、整 理 し た も の か ら 、6 6 種 類 の 野菜を選 んで本調査に 使う こと にし た。 本 調 査 の 対 象 者 は 本 研 究 者 の 友 人 と そ の 友 人 の 家 族 や 親 戚 、 または友人の同僚た ちと そ の 家 族で あ っ た 。 ② 対 象 者 の 人 数 、性別 と年齢の 構 成は 次の通りである。 年齢 全年齢. 10-19. 20-29. 30-39. 40-49. 50-59. 60-69. 7 0 以上. 総人数. 119. 15. 16. 27. 30. 17. 12. 2. 男性. 44. 5. 7. 7. 8. 8. 7. 2. 女性. 75. 10. 9. 20. 22. 9. 5. 0. (2)調 査 結 果 ① 台 湾 で よ く 食 べ る 、 ま た は 好 き な 野 菜 の 上 位 4 0 個 は 下表 の 通 り で あ る 。 よく食べる野菜. キャベツ. トマト. ヨウサ イ へ チ マ き ゆ う り. サツマイモ. の つ る チ ン ゲ ン サ イ チ シ ャ え の き だ け ブロッコリ一 た け の こ た ま ね ぎ ダ イ コ ン に ん じ ん 三 度 豆 レ タ ス カ リ フ ラ ワ ー モヤ シ し ろ 菜. トウモ ロ コ シ シュンギク. 太いきゆうりハクサイトウガンハヤトウリの新芽と若葉 ジ ャ ガ イ モ ヒ ユ ナ マ コ モ た け カ イ ラ ン 長 芋 サ ツ マイ モ ふ く ろ だ け ホ ウ レ ン ソ ウ ピ ー マ ン 葉 付 き ニ ン ニク サイシン生キクラゲユウガオセロリ豆苗 好きな野菜. キャベツへチマ. ヨウサイ. ダ イ コン. トマト. カリフラワーえのきだけサツマイモのつる. きゆうり たけのこ. ブ ロ ッ コ リ 一 チ ン ゲ ン サ イ マ コ モ た け し ろ 菜 チ シ ャ. レタス. モヤシ. ハ ク サイ. にんじん. ト ウ モ ロ コシ. 三度豆トウガン太いきゆうりたまねぎジャガイモシ ュン ギ ク ヒ ユ ナ 長 芋 ハ ヤ ト ウ リ の 新 芽 と 若 葉 サ イ シ ン カイランふくろだけサツマイモセロリ. 生ピーナッツ. 干しノカンゾウ大豆モヤシ生キクラゲ生落花生 ュウガオ. 11.

(14) ②調理法の結果について 台湾でよく使われている野菜の調理法は次の通りである。 調理法. 炒める. 煮物. 汁物. 蒸す. 和え物. 煮込み. 点数*. 3712. 1258. 2245. 175. 586. 157. 調理法. 漬物. あんかけ. お浸し. サラダ. 焼く. 点数*. 93. 43. 591. 468. 107. * 点 数 は 6 6 種類の野菜に使われた調理法毎に一点を加算した。. 現在台湾でよく使われる野菜の調理法( アンケート調査の結果から). 第 二 節 台 湾 で よ く 食 べ ら れ 、 日本では知られていない、または食べられていない野菜につ いてのアンケート調查 (1)調査方法 ①調査票について a . 台 湾 で の 調 査 結 果 か ら 上 位 4 0 個 の 野 菜 を 選 ん で 、日本側用のアンケート調査票を作 った。 b . 調 査 票 に 列 記 さ れ た 上 位 4 0 個の野菜は次の通りである。 キ ャ ベ ツ ヨウ サ イ ダ イ コ ン へ チ マ ト マ ト き ゆ う り カ リ フ ラ ワ ー えのきだ け サ ツ マ イ モ の つ る た け の こ ブ ロ ッ コ リ 一. チ ン ゲ ン サイ. しろ菜マコモたけチシャレタスモヤシハクサイにんじん トウモロ コ シ 三 度 豆 トウガ ン 太 い き ゆ う り た ま ね ぎ ジ ャ ガ イ モ シュンギクヒユナ長芋サイシンハヤトウリの新芽.若葉カイラン ふくろだ け サ ツ マ イ モ セ ロ リ 干 し ノ カ ン ゾ ウ ユ ウ ガ オ ニ ガ ウ リ アスパラガスピーマンキクラゲ. 12.

(15) ② 対 象 者 の 人 数 、性 別 と年齢の 構成 は次 の通りである。 ( 調査の対象者は本研究者の知り 合 い 、 同 僚 、 または 職場の学生さんた ちであった。) 年齢 全年齢. 10.19. 20-29. 30-39. 40.49. 50-59. 60-69. 7 0 以上. 総人数. 286. 112. 57. 18. 17. 23. 43. 16. 男性. 67. 27. 6. 4. 2. 4. 19. 5. 女性. 219. 85. 51. 14. 15. 19. 24. 11. (2)調 査 結 果 ① 知 っ ているかどうかについて a .人 数 の 半 分 以 下 知 ら な い 野 菜 を 、全 く 知 ら な い 方 か ら 順 に 書 く と 次 の 通 り で あ る 。 ハヤトウリの新芽と若葉ヒユナカイランサイシン. ノカンゾウチシャ. ユウガ オ マ コ モ た け ふ く ろ だ け ヨ ウ サ イ し ろ 菜 (p .8 9 以 下のグラフを参照 ) b .知 っ て い る 野 菜 は 、若干 女 性 の 方 が 男 性 よ り 多 か っ た 。 (P .8 9 以 下のグラフを参照 ) c•知 っ て い る 野 菜 の 年 齢 差 に つ い て は 、女 性 は 6 0 歳 代 以 上 の 方 が よ り 多 く 知 っ て い る 。 男 性 の 方 は年 齢 差 が 認 めな い 。 (P .8 9 以 下のグラフを参照 ) d • ヨ ウ サ イ を 知 っ て い る 人 は 男 女 と も 6 0 歳代 以 上 の 方 が 多 い 。またサツマイモのつる を知っている人も男女とも6 0 歳代以上の人なら、そ の 約 8 割が知っている。 (p .8 9 以 下のグラフを参照 ) e . しろ菜、 シ ュ ン ギ ク は ご く 普 通 な 野 菜 と 思 う が 、知 ら な い 人 が い る 。 特 に 10〜 19 歳代の人が多い。 (p .8 9 以 下のグラフを参 照). ② 食べ たこ とがあるかないかについて a.人 数 の 半 分 以 下 、食 べ た こ と の な い 野 菜 を 、全く食べたことのない方から順に書く と、_次の 通 り で あ る 。___________________________________________________________ ヒユナハヤトウリの新芽と若葉. カイラン. ユウガオチシャマコモたけふくろだけ. サイシン. ノカンゾウ. サ ツ マイモのつる. へチマ. ヨウサイしろ菜 (p .8 9 以下のグラフを参照) b .知っているが食 べたこ とのな い野 菜 は、へ チ マ 、サツマ イモ のつる など があ る。 (① の a • と ② の a•から) c.食べたことがあるかなレ、 かにつレ、 ての性差と年齢差はほとんど見られなレ、 。. 13.

(16) (p.89以下のグラフを参照). ③ 好 き か ど うかについて a.女 性 の 好 き な 野 菜 の ベ ス ト 2 0 は次の通りである。 ジャガイモサツマイモ. き ゆ う り た ま ね ぎ キ ャ ベ ツ ダ イ コ ン トマト. トウモ ロ コ シ ハ ク サ イ レ タ ス モ ヤ シ た け の こ ブ ロ ッ コ リ 一 長 芋 アスパラガスえのきだけピーマンにんじんチンゲンサイキクラゲ シュンギク (p .8 9 以下のグラフを参 照) b.男 性 の 好 き な 野 菜 の ベ ス ト 2 0 は次の通りである。 レタスたまねぎジャガイモトマトダイコンサツマイモキャベツ モ ヤ シ ハクサ イ た け の こ 長 芋 き ゆ う り. トウモ ロ コ シ えのきだけ. ピ ー マ ン チ ン ゲ ン サ イ に ん じ ん ア ス パ ラ ガ ス ブ ロ ッ コ リ 一 シュンギク キクラゲカリフラワー (P .8 9 以 下のグラフを参照 ) c.好 き な 野 菜 の 種 類 は 、男女 は全く 同じ である。 た だ 順 番 は 多 少異 なっ て い る 。 (p .8 9 以下のグ ラ フ を 参 照 ) d.女 性 の 嫌 い な 野 菜 の ベ ス ト 1 0 は次の通り。 ニガウリセロリカリフラワートマトシュンギクピーマンにんじん アスパラガス. ト ウ ガ ン ブロッコリ一. (P .8 9 以 下のグラフを参 照) e.男 性 の 嫌 い な 野 菜 の ベ ス ト 1 0 は次の通り。 セロリ. ニ ガウリ. ト ウ ガ ン ブ ロ ッ コ リ 一 キクラゲカリフラワー. シュンギクにんじんトマトえのきだけ (p .8 9 以 下のグラ フ を 参 照 ) f.嫌 い な 野 菜 は 、男 女 が 1 0 個 中 に 8 個 は 同 じ で あ る 。どれも苦味のある(ニガウリ)やち よ っ と き つ い匂 い が す る (セ ロ リ 、シ ュ ン ギ ク、 に ん じ ん )、 またはほとんど味のしな い (トウガン) のような野菜である。異 な っ た 嫌 い な 2 個 の 野 菜 は 、男性はキクラゲと え の き だ け で あ っ て 、女 性は トマ ト と ア ス パ ラ ガ ス で あ る 。 ピーマンが嫌いのをよく 聞 く が 、 トマトが嫌いな人もいるとのことをこの調査で初めて知った。 (p .8 9 以 下のグ ラ フ を 参 照 ). ④アンケート調査票の記述部分から整理した結果 アンケート調査票の記述部分には次のような項目を設けた。 ( 1)野 菜 名 :へ チ マ 、マ コ モ た け 、 ヨウサイ、サ ツ マ イ モ の つ る 、 ノ カ ン ゾ ウ と ハ ヤ ト ウ リ の 新 芽 と 若 葉 が 列 記されている。 ( 2 )ど こ で 食 べ た :日 本 国 内 の ど こ と 外国のど こに 分けられている。⑶. 14.

(17) い つ 食 べ た 。 という三つの記入欄が用意されていた。 a.食 べ ら れ て い な い 野 菜 の 中 で 、一 番 よ く 知 ら れ 、か つ 食 べ ら れ て いるのは ヨウサイ で ある。 年 齡 は さ ま ざ ま で あ る が 、み ん な 近 年 に な っ て か ら 食 べ る よ う に な っ た 。 食 ベ た と こ ろ と い う と 、 国 内 の お 店 や 外 国 な ら 、 台 湾 、 中 国 、ベ ト ナ ム や タ イ な ど 東 南 ア ジ ア で あ る 。 ス ー パ ー か ら 買 っ て 来 て 自 宅 で 食 べ る 神 戸 の 人 も い る 。 また和歌 山 で は 自 分 で 作 っ て食べる人もいるようである。 (注 :こ の ア ン ケ ー ト 調 査 が 行 わ れ て か ら も う ニ 年 間 も 経 っ た 。 ヨウサイの様子につ い て は 大 分 変 っ た 。 昨 年 よ り も こ の 夏 は 、 ヨ ウ サイ はご く普通にお店 に並 べら れ 販 売 さ れ る よ う に な っ た 。 野 菜 名 は ヨ ウ サ イ 、エ ン サ イ 、 空 心 菜 、 またはク ウシン菜などさまざまである。) b .へ チ マ を 食 べ た こ と が あ る 人 に つ い て は 、 こ れ も 近 年 に な っ て 食 べ る よ う に な っ た 。 場 所 は 鹿 児 島 、 沖 縄 、佐 賀 な ど で あ っ て 、外 国 な ら 台 湾 と 中 国 で あ っ た 。 そ し て 、 和 歌 山 と か 兵 庫 、新 潟 で は 自 宅 で 食 べ た 人 も い る 。 兵 庫 や 大 阪 の 小 学 校 で 給 食 の 時 に 食 べたと答 えた人もいる。 c•サ ツ マ イ モ の つ る を 食 べ た こ と が あ る 人 は 両 極 端 だ 。お 年 寄 り か 若 者かのど ちら かで ある。お 年 寄 り は 戦 時 中 か 終 戦 後 か ら 1 9 6 0 年 ぐ ら い ま で に 食 べ て い た 。 または、今 な ら 兵 庫 の 播 磨 、網 干 、加 古 川 と か 和 歌 山 、福 岡 、新 潟 、鹿 児 島 、 高 知などの実 家 で作って食べている。最近なら香港や韓国で食べた人もいる。 兵庫の幼稚園や小学 校で食べたと答えた若者もいる。 d •マコモたけを食べたことがある人はず っ と 少 な く な る 。食 べ た の は 四 、五年前であっ. た。 場 所 は 外 国 な ら 台 湾 や 中 国 の 上 海 、 青 島 で あ っ て 、 国 内 な ら 群 馬 、 三重などで ある。 和歌 山や 兵庫 の人 は 家 で 食 べ た と 答 え た 。 e .ノ カ ン ゾ ウ は ほ と ん ど 知 ら れ て い な い が 、食 べ た こ と が あ る 人 の 食 べ た 場 所 は 中 国 、 台 湾 と 日 本 の 中 華 料 理 店 だ と い う が 、長 野 と 書 い た 人 も い た 。 料 理 教 室 で と 書 い た 人もレ、 た。 ま た 乾 燥 し たものや 缶詰を買 って食べた人もいた。. ⑤調 理 法 の 結 果 に つ い て 今 回 2 8 6 人 の 日 本 人 に 対 し 、行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 か ら 、 日本人がよく使って い る 野 菜 の 調 理 法は次の 通りである。 調理法. 炒め物. 煮物. スープ. 蒸す. 和え物. 煮込み. 点数*. 1607. 973. 602. 406. 289. 472. 漬け物. あんかけ. お浸し. サラダ. 焼く. そ の 他 (天ぷら等). 214. 140. 177. 1431. 333. 327. 調理法 点数*. * 点 数 は 4 0 種類の野菜に使われた調理法毎に一点を加算した。. 15.

(18) 現在日本でよく使われる野菜の調理法( アンケート調査の結果から). 钞 め 鄉 参鄉 卞- う. 第三節. 赛. す. 赛 - 妒 嚷鄉衝んセ、 \ャが 仁 し. ^. ^. 「 台湾野菜」 の定義. (1 )「 台 湾 野 菜 」 の定義 ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 か ら 、 日 本 人 が 知 ら な い ま たは食べた こ とのない野菜は次表 に 示 さ れ て い る デ ー タ を 得 る こ と が で き た 。 こ の 結 果 か ら 、へ チ マ と サ ツ マ イ モ の つ る、 特 に へ チ マ は よ く 知 ら れ て い る が 、食 べ ら れ て い な い 。 ヨウサイは少しずつ知ら れ る よ う に な り 食 べ ら れ る よ う に な っ た 。 他 の 野 菜 は ほ と ん ど 知 ら れ て い な い し 、食 ベ ら れていな い 状 況 で あ る 。 野菜名. 知っている( %). 食べたことがある( %). へチマ. 96. 28. カイラン. 2. 2. ョウサイ. 35. 28. サツマイモのつる. 70. 23. ハヤトウリの新芽と若葉. 0. 0. ヒュナ. 0. 0. ュウガオ. 14. 6. ノカンゾウ. 9. 5. マコモたけ. 16. 8. 同 じ 調 査 の 結 果 か ら 、 下 記 に 示 さ れ て い る デ ー タ を 見 る と 、 トウガンは知られてい るほど食べられていないのが分かった。 また、ニ ガ ウ リ は よ く 知 ら れ 、また食べられる よ う になった ことも分かった。 野菜名 トウガン. 知っている( %) 81. 16. 食べたことがある( %) 69.

(19) 一二ガウリ_________________ __________96__________. 90. 上 記 の ア ン ケ ー ト 調 査 の デ ー タ と 、既 述 し た ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 で 、 トウガンと ニ ガ ウ リ は と も に 嫌 な 野 菜 で あ る こ と を 合 わ せ て 、本 研 究 に お け る 「 台 湾 野 菜 」の定義 は 日 本 人 に 知 ら れ て い な い 、ま た は 食 べ た こ と の な い 9 種 類 の 野 菜 と 、ここ数年食べる よ う に な っ た ニ ガ ウ リ (ゴーヤ)や 近 年 あ ま り 食 べ な く な っ た ト ウ ガ ン を 加 え 、 1 1 種 類の野菜を「 台 湾 野 菜 」 とした。 1 1 種 類 の 「 台 湾 野 菜 」 は 下 欄 に 示 されている通りで ある。 11種頮の野菜、「 台湾野菜」 へチマ. カイラン. ヨウサイ. ハ ヤ ト ウ リの 若 葉 と新 芽 ノカンゾウ. ヒュナ. サツマイモのつる ユウガオ. トウガン. ニ ガ ウ リ (ゴ ー ヤ). マコモたけ. ( 2 ) ア ンケー ト の 調 査 結 果 か ら 次 の よ う に ま と め る 。 1 .日本人が食べていない野菜の中には、 ヨウサイは少 しずつ食べられるようになった。 2.へ チ マ は 沖 縄 や 南 九 州 か ら 範 囲 が 広 が り 、近畿の和歌山や兵庫も 食べられているよ うである。 但 し 、 そ れ は 市 販 の も の よ り も 学 校 か 自 宅 で 作 ら れ た も の を 食 べ て い るようである。 3.サ ツ マ イ モ の つ る は お 年 寄 り が 戦 時 中 か 終 戦 後 か ら 1 9 6 0 年 ぐら いまでに食べてい た。 そ し て 、今なら兵 庫の 播磨 、網 干 、加 古 川 と か 和 歌 山 、福 岡 、新 潟 、鹿 児 島 、 高知などの実家でも作って食べている。 市販のものよりも自宅で作られたものを 食べているようである。 4. ノ カ ン ゾ ウ は お 店 で 、 ま た は 輸 入 の 乾 燥 品 や 缶 詰 を 買 っ て 食 べ て い た よ う で あ る 。. 17.

(20) 第四章 第一節. 「 台 湾 野 菜 」 の植物学的な特徴と台湾における利用状況 「 台 湾 野 菜 」 の学名、分類、原 産 地 、 日本への渡来などについて. 11種 類 の 「 台 湾 野 菜 」 は調べによると、 カ イランを除 いて全て 広 辞苑 に記載されてい る。 ま た 、原 色 牧 野 植 物 大 図 鑑 に は ヨ ウ サ イ (エ イ サ イ ま た は 空 心 菜 と も い う ) 、 とカイ ラ ン は 記載 され て い な い だ け で 、他 の 野 菜 は す べ て 記 載 さ れ て い る 。 即 ち 、 こ の 1 1 種類 の 「 台 湾 野 菜」 は今回のアンケート調査が行われた阪神地域ではそれほど知られていな くとも、珍 し い 野 菜 で は な いというこ とである。 「 台 湾 野 菜 」は、それ ぞ れ植 物 学 的 に は ど う い う 植 物 で あ り 、どうのように分類され、 またどのように利用されているかなど、その野菜にまつわることについて調べるために、 次の諸書物を利用していた。 広 辞 苑 、原 色 牧 野 植 物 大 図 鑑 、牧 野 新 日 本 植 物 図 鑑 、青 葉 高 氏 の 『野 菜 の 博 物 学 』、『日 本 の 野 菜 』、『野 菜 の 日 本 史 』、『野菜の博物誌』、そ し て 吉 田 よ し 子 • 菊 池 裕 子 著 の 『東南 ア ジ ア 図 鑑 (植 物 篇 )』、草 川 俊 氏 の 『野 菜 • 山菜博物事典』、湯 浅 浩 史 氏 の 『花 お り お り 』、 『和 漢 三 才 図 会 』、『本 朝 食 鑑 』、農 文 協 の 『地 域 食 材 大 百 科 』 と 『特 産 野 菜 7 0 種 』、高嶋 四 郎 氏 の 『原 色 日 本 野 菜 図 鑑 』、有 岡 利 幸 氏 の 『日本植物文化誌』、 野 菜 生 産 流 通 問 題 研 究 会 編 『日本の野菜』 な ど 日 本 で 集 め た も の 以 外 に 、 台 湾 の 資 料 に つ い て は 『台湾農業 要 覧 』 と 『台 湾 蔬 果 生 活 暦 』 も利用していた。. ( 1 ) 各論 ① へ チ マ ( 台 湾 名 :絲 瓜 sig u a 、 ま た は 菜 瓜 c iig u a ) 和名 学名. 倍 知 麻 、 閉 知 末 、辺知麻 L u ffa c v lin d ric a lR o e m L .a cu ta n g u la. ( 円筒 状へ チ マ ) (棱 角 あ り へ チ マ ). ウリ科へチマ属. luffa 、 loofah 、 looia、 3;7こSi vegetable sponge、sponge gourd 絲瓜 日 本 :糸 瓜 (イトウリ)、唐 瓜 (トウリ) ( 沖 縄でナベラといい、奄 美 大 島 で は ナ ブ ラ と い う ) 台 湾 :菜 瓜 、布瓜 名前の 由来. 日 本 :別 名イ ト ウ リ ( 糸瓜)といわれ、 これは中国の絲瓜に基づくものであ る。果 実 か ら 繊 維 が 取 れ る か ら で $5る。また、糸 瓜 (イトウリ) から、 トウリに転就し、ま た は 長 野 県 で 「トウリ」 と言い、 トはイロハの 歌ではへとチの間にあるので、 「 へ チ 間 、へ チ マ 」 という名が生ま れた。 中 国 :蛮 瓜 と い う 呼 び 名 は 南 蛮 の 地 か ら 渡 来 し た か ら で あ る 。. 原産地. 熱帯 ア ジ ア 原 産 。 東 南 ア ジ ア 一 帯 に 多 く 栽 培 さ れ て い る 。. 18.

(21) 栽培の発祥地は西部アジアのアラビア地方だとレ、 われている。 渡来. 日本 :江戸時代 初期中国から渡来した。当 時 は 本 州 中 部 以 南 で 栽 培 さ れ 、 静岡 県 の浜 松や 袋井 が 産 地 と し て 知 ら れ て い た 。 台 湾 :中国の栽培品種 は イン ドから導 入され、 明 朝 李 時 珍 の 「 本草綱目」 に は 唐 の 時 代 に す で に 記 録 が あ る と の 記 載 が あ る 。 台 湾 は 約 300 年前に初めてへチ マ の 栽 培 記 録 が あ る 。. 形態. 一年生つる植物。 茎 は緑 色で 角 があ る 。 花 は 夏 か ら 秋 、果実は緑色で 長 さ 30〜60cm。若 い 時 は 軟 ら か く 食 用 と な る が 、成熟すると 強 い繊維が 発 達 し 、乾燥して海綿のように利用する。茎 か ら 出 る 液 を へ チ マ 水 と 言 い 、 化粧 水 に す る 。. 食用部 位. 未 熟 の 若 い 実 は野菜として食用する。吉 田 氏 に よ る と 、インドネシアやタ. (果 実 ). イ で は 果 実 以 外 に 、若 い つ る 先 や 花 も 油 通 し し て タ レ を つ け た り 、かけた りして食べる。. 栄養 成分. きゅうりに比べて炭水化物、特 に 糖 質 が 多 い 。. 薬効. 九 月 下 旬 頃 、茎 の 根 元 を 切 れ ば へ チマ 水 が 採 れる 。へ チ マ 水 に は 1 1 種類 のサポニンが含まれて いる。 このサポニンは痰 を 切 り 、咳を鎮める効果 がある。 へ チ マ 水 が 腐 り に く い の は サ ポ ニ ン が 雑 菌 を 抑 え る た め で あ る 。 またへチ マ 水 は 化 粧 水 と し て も 使 わ れ て いる。. 栽培. 霜 の 恐 れ が な く な る 4 月 中 旬 に 苗 を う ね 幅 5 m 、株 間 3 m 程度に植え付け る。植 え 付 け 後 、直 ち に 柵 を 作 る か 、パイプ ハウスの骨組を利用してこ れにつる を は わ せ る 。青 果 用 は 開 花 後 1 0 日 前 後 の 長 さ 25〜50cm 、直径 5 c m ぐらいの大きさの幼果を収穫する。. その他. 完 熟 し た も の は 垢 す り と し て 用 い た り 、靴 に 敷 い た り 、 または釜や器を 洗 う ス ポ ン ジ と し て 用 い た り す る の で 、洗 鍋 羅 瓜 と い う 呼 び 名 も あ る 。. ② カイラン. 台 湾 名 :芥 藍 .袖 M n ). 和名. 芥 藍 ( カイラン). 学名. B ra ssica oleracea L . ( alboglabra group ノ. 分類. アブラナ科アブラナ属. 英名. Chinese k a le 、k a ria n. 漢名. 芥藍 日 本 :カランチョウ. 別名. 台 湾 :芥 蘭 菜 、格蘭菜. 名前の. 学 名 の “ alboglabra” は 白 花 を 意 味 す る 。カイランの多くは普通のキャべ. 由来. ツ 類と 違 っ て 黄 花 で な く 白 花 で あ る た め 、付 け ら れ た 名 称 で あ る 。 また、 野 生 に 近 い キ ャ ベ ツ と い わ れ る ケ ー ル に 近 い こ と と 、原産地は中国であ ることから、英 語 で は チ ヤ イ ニ ー ズ . ケール(Chinese k a le )と呼ぶ。. 19.

(22) 原産地. 中国 南部 から 東 南 ア ジ ア 一 帯 原 産 。 キ ャ ベ ツ の 仲 間は す べ て ヨ 一ロ ッ パ で野菜として成立したが、 カ イ ラ ン だ けは 中 国 南部 で 成 立し た 。. 渡来. 日 本 :古くから沖縄ではわずかに 栽培さ れていた。 1 9 8 0 年前後の中国野 菜 ブ ー ム の頃 に再 び 導入 さ れ た が 、 あ ま り 普 及 していない。 台 湾 :中国か東南ア ジアから 伝わったが、年 代不 明。 8 世紀頃にすでに 広州 で栽培されていた。 中 国 で は歴史の古 '/ 、 野菜である。. 形態. キ ャ ベ ツ の 仲 間 で 、 ブ ロ ッ コ リ 一 に も 似 て お り 、蕾 の つ い た と う と 若 葉 を食べる。葉に は や や 苦 味が あ る が 、茎 には 独 特 の 香 り と 甘 味 が あ る 。草 丈 は 5 0 c m ぐらい、葉 面 は 滑 ら か で 白 粉 が あ る 。. 食用部位. 茎 は 鉛 筆 よ りずっと 太 く、 下 部の 方の 膨 ら み が大 き い 。 カイランは花を. (茎 と 花 ). つけるために 伸び た太 い茎 を賞 味する。つ ま り 、肥大した花茎 と花 蕾を食 用とする。. 栄養 成 分. ビタミンA 、 B 、 C を多く含み、 カルシウムと鉄などのミネラルも多く 含んでいる。. 栽培. 暑 さ に 強 く 、真 夏 で も と う 立 ち す る 。 早 生 、 中生、晩 生 と あ る が 、 日本 に入っているのはほとんど早生。播 種 は 通 常 4 月中旬〜8 月 下 旬 、作りや す い が 、乾 燥 • 肥 料 不 足 で は 、 肉質 が硬くなる。 生 育 期 間 は 約 2 ヶ月。 花 蕾 が で き て 、 と う が 20〜3 0 c m になった 頃 、基 部 の 2 〜3 芽 を 残 し 、折 って収穫する。 主 茎 収 穫 後 に 追 肥 すれ ば 、腋 芽 が 伸 び て 再 収 穫 で き る 。. ③ ョウサイ. ( 台 湾 名 : 甕 菜 w engcai、一般に空パ、 ,、 菜 k o n g x ln c a i). 和名. ェ ン サ イ 、蕹 菜 、甕菜. 学名. Ipom oea a q u a tica F o rsk. \ Ipom oea re p ta n s P o ir.). 分類. ヒルガオ科サツマイモ属. 英名. w a te r convolvulus. 漢名. 蕹菜. 別名. 日 本 :クウシンサイ( 空心菜) 、 ア サ ガ オ ナ 、 ウムサイ( 蜜菜) 、エ ン サ イ 、. w a te r spinach. swamp caobage. kangkong. ツウサイ( 通菜)、 カン コン サイ 。 沖 縄 で は ウ ン チ ェ 一 と い う 。 台 湾 :空 心 菜 、壅 菜 、應 菜 、甕 菜 、葛 菜 、無 心 菜 、竹葉菜 名前の. 学名の「 aquatica」は 「 水 生 、淡 水 生 の 」の 意 であ り 、ま た 学 名 の 「 re p ta n s」. 由来. は 「 匍 匐 」 の意である。 蕹 菜 の 字 を あ て る の は 、水 生植 物であるからで ある。 つるが繁 ると ころから 葛菜という。 葉の幅 の狭 い系 統を 作ってい る地方では竹葉菜という。 茎が空洞であると こ ろから空心菜という 異 名 がある。 花 は ア サ ガ オ 型 を す る た め 、 ア サ ガ オ ナ と も い う 。. 原産地. 熱帯アジア. 渡来. 日 本 :古 く 琉球 を経 て 九州 に 伝 わり 好 湿 性 であ る が 、陸 生 に も な り 得 る 。 明治 初年に再 導入したが、普 及 し な か っ た 。. 20.

(23) 台 湾 :不詳 形態. サ ツ マ イ モ と 同 じ 科 で 、葉 の 形 状 も 似 て い る 。 つ る 性 で 、 つるが空洞に なっている。 暑 さに強く湿地を好む。. 食用部位. つ る 先 20〜3 0 c m の若い茎葉を食べる。. (塞 と 葉 ) 栄養成分. た ん ぱ く 質 や い ろんなビタミンを多く含まれている。 カルシウムや鉄分 が 豊 富 で 、抗 酸 化 作 用 を 持 つ ポ リ フ エ ノ ー ル を 含 む 。 杭 が ん 作 用 や 脂 肪 分 解 、血 行 促 進 な どの 効果 が期 待さ れる。. 栽培. 5 月 か ら 8 月初旬には種 を蒔く。草 丈 20 c m 以 上 に な っ た 時 、地 際 か ら 5 か ら 6 c m 残して刈り取る。 残 っ た 節 か ら 芽 が 出 て 、6 月 下 旬 頃 か ら 11 月 頃 まで の 間 に 、何 回 も 収穫できる。. ④サツマイモ. (台湾名. 蕃 薯 fenshU、 ま た は 地 瓜 digua ). サ ツ マ イ モ の つ る (台 湾 名 . 蕃 薯 葉 fa n s h fly e , ま た は 地 瓜 葉 diguaye ) 和名. 薩 摩 芋 、 甘藷 、琉球芋、赤 芋 、長 崎 芋 、蕃 薯 、唐芋. 学名. Ipom oea b a ta ta s P o ir. 分類. ヒルガオ科サツマイモ属. 英名. sweet potato. 漢名. 甘 藷 (かんしょ). 別名. 1)サツマイモには 次 のよ う に 多 く の 異 称 が あ る 。. leafy sweet potato. 日 本 :朱 薯 、紅山薬、蕃 薯 、 ア カ バ チ リ 、サツマバチリ 台 湾 :蕃 薯 、地 瓜 、山 芋 、甜 薯 、紅 山 芋 、黃 薯 、 白薯 2 )サツ マ イ モ のつ る の別 名は 次の通りである。 日 本 :いもの手、 い も の じ く 、いものつる 台 湾 :地瓜葉 名前の. 沖 縄 の 儀 間 親 雲 上 が 慶 長 1 1 年 (1 6 0 6 年 )中 国 福 建 から 持 ち帰 った の が 最. 由来. 初 で 、琉 球 の 中 山 王 は 1 6 9 8 年 に 種 子 島 に 送 り 同 島 で 栽 培 し 、宝永ニ年 (1 7 05 年) に薩摩に伝わった。ま た 別 に 1600年頃ルソン島から薩摩の唐(力 ラ)港に入り 力ラ イモ と呼ばれた。. 原産地. 熱帯アメリカ. 渡来. 日 本 :日 本 に は 1 7 世 紀 前 半 に 中 国 • 琉 球 を 経 て 九 州 に 伝 わ り 普 及 。 台 湾 :1 7 世 紀 始 め 福 建 省 から 台 湾 に 伝 わり 栽培 。. 形態. 古 くから 畑で 栽培 される多年草 。茎 は 細 長 く 地 上 に は い 、長 さ 2 m 位。花 は夏 、 アサガオに似ている。 つ る 先 を 植 え る だ け で 繁 殖 で き る 。 東南ア ジ アでは、つ る 先 や 若 い葉 も 大 切 な野 菜 で あ る 。. 食用部位. 塊 根 は 食 用 の ほ か 、酒 類 、 ア ル コ ー ル 、澱 粉 の 原 料 、 またつるとともに. (葉 茎 根 ). 飼 料と す る 。用途が広い。葉 と 茎 、つ ま り つ る は 栄 養 価 値 が 見 直 さ れ 、人. 21.

(24) 気野菜として食用されている。 栄 養 成分. ビタミンA 、 B 2、 C お よ び ミ ネ ラ ル と タ ン パ ク 質 が 多 く 含 ま れ て い る 。 また、茎 と 葉 に 含 ま れ て い る 食 物 繊 維 は 特 に 胃 の 蠕 動 を 促 進 し 、消化の助 けになる。. 栽培. つ る を 食 用 と す る サ ツ マ イ モ の 栽 培 は 6〜8 節 で 、長 さ 20〜 3 0 c m のもの を挿し芽の方法で繁殖 するのが主とする。植 え 付 け は 一 年 中 で き る が 、3 〜4 月 に 揷 し 芽 をす る と成長が 速く 品質 ももっともよい。 上 か ら 約 15cm の柔らかい部分を収穫する。 春 と 夏 は 約 7〜 1 5 日ごとに一回収穫できる が 、冬 な ら 約 20〜3 0 日ごとに一 回収穫 できる。植物 体 は上 に向 いて 成長 しているから、機 械 で 収 穫 す る も で き る 。. ⑤. トウガン. ( 台 湾 名 :冬 瓜 dOnggua ). 和名. 冬 瓜 (トウガ)、加 毛 宇 利 (力モウリ)、 トウガン. 学名. Bem ncasa h isp id a Cogn.. 分類. ウ y 科トウガン属. 英名. w ax erourd. 漢名. 冬瓜. 別名. 日 本 :次 のように地域 によ り い く つ か の 呼 び 名 が あ る 。. ash gourd. w h ite goura. Chinese p re serving m elon. ト ウ ガ ン :関東地方など。 ト ウ ガ :沖縄、 九 州 、 四 国 、 中 国 地方 と東 北地 方の 広い 範囲 。 力 モ ウ リ :関 西 を 中 心 に 北 陸 地 方 、 九 州 の 一 部 。 北陸 地 方 の 一 部 で は 力 モ ウ y が 訛 っ て カ ン モ リ と か 、 力モ リ と 呼 ん で ぃる。 台 湾 :白瓜。 トウガンの若い果実に生えている毛は完熟期にはなくなり 果実は真っ白なろう物質で被われるようになるからの命名。 名前の. I 物類 称呼J によると、 トウガンの名はトウガ(冬瓜) か ら 訛 っ た も の で 、. 由来. 関東 地 方な ど で ト ウ ガ ン と 呼 ん だ た め 、いつの間にかトウガンが正式の 名 称 の よ う に な っ て し ま っ た 。 ま た 、 力 モ ウ リ の カ モ は 羶 で 、すなわち 毛 皮 の こ と で あ る 。 そ れ は ト ウ ガ ン の 果 実 に 毛 が あ る た め に 、名付けら れ た 。 ま た は 京 都 の 地 名 か ら 出 た 鴨 瓜 、加 茂 瓜 で あ る と か 、 トウガンは 果 実 の 若 い 間 は 毛 が 多 い の で 、 ケ モ ウ リ と 言 い 、 これが力モウリに変っ た と か い わ れ る 。 そ し て 、 トウガンは、普 通 は 夏 季 に 収 穫 さ れ る が 、無 傷または病虫の害がなければ、冬まで貯蔵 できるため、冬瓜または寒瓜 というわけである。. 原産地. 東 部 ア ジ ア 、南洋諸島、東部オーストラリア. 渡来. 日 本 :5 世紀頃朝鮮羊島から渡来 台 湾 :不詳。 中 国 へ は 古 く か ら 伝 わ り 、 I 斉 民 用 術 】 ( 502〜 556) にはす. 22.

参照

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