微小生態系の主要構成要素の持続可能な変動量の推定
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(2) 目. 次. はじめに 持続可能な開発と環境教育. コウノトリを食物連鎖の頂点とする生態系の復元 環境教育とコウノトリ. 材料と方法’ 生態系の中での種の持続可能性 個体数変動 調査方法. 除去個体数の算出方法. 11. 結果 維管束植物と動植物プランクトンの発生 各実験期の個体数変動と水質の動態 除去割合による個体数変動. 1世代あたりの持続可能な変動量. 授業実践を行う上での課題. 18 18 19 21. 謝辞. 23. 引用文献およびURL. 24. 考察 自然再生としての持続可能性. 個体数変動からの持続可能性.
(3) 本論文では、2005年1月からスタートした「国連持続可能な開発 のための教育の10年」に基づき、「持続可能」と「環境教育」を結び つけた教材の開発を行った。観察実践例として自然再生推進法に基づい て、兵庫県豊岡市において行われている「コウノトリ野生復帰推進計画」. を鑑み、母数の何%まで個体数を取り除いても、その種は持続可能な個. 体数を維持できるかという推定値を、水槽を用いた微小生態系の主要構 成要素の中の1種に着目し、その種の個体数動態を追跡することによっ て明らかにした。観察実践例からは自然再生による持続可能性を考察し、. 微笑生態系では異なる6パターンの除去割合(0%除去、20%除去、. 40%除去、75%除去、100%除去、200%除去)を用いた水槽 実験から、種が持続可能な個体数を維持できる最大の除去割合を明らか にした。自然再生や個体数変動から持続可能性という概念を体験的に児 童生徒に理解させることができうると考えられる。. はじめに 持続可能な開発と環境教育. 「20世紀は使い捨ての世紀であった」(松田、1995a)と言われるよう に、20世紀は物を買うことは美徳とされ、資源が無尽蔵であるかのよう. に消費経済が発展し、大量生産と大量消費を続けた。しかし、1960年. 代には局地的に起こっていた公害問題が、1970年代になって、広範的 な環境問題となって広がって行き、無尽蔵にあると思われていた地上の熱. 帯雨林、地下の石油・石炭・天然ガスは急激に枯渇していった。永久に変 わらないと思われていた地球環境は人間の産業活動によって変化し始めた。. 大都市をはじめとし、地球上の平均気温は年々高くなり、大気中の二酸化 炭素濃度は上昇し続け、南極上空のオゾン層に大きな穴が開くようになっ た。. このような中、21世紀に入り、2002年の南アフリカ共和国のヨハ ネスブルグにおいておこなわれた国連総会で「国連持続可能な開発のため. の教育の10年」に関する決議が採択された。もともと、この「持続可能 な開発」という言葉は、1987年のブルントラント・ノルウェー首相(当 一1一.
(4) 時)委員長とするr環境と開発に関する世界委員会jの最終報告書「Our CommonFuturejの中ではじめて定義された言葉である(参照 大来、1987)。. 当委員会は、この言葉を「将来の世代の欲求を充たしつつ、現在の世代の 欲求も満足させるような開発」と定義し、またそれを「天然資源の開発、 投資の方向、技術開発の方向付け、制度の改革のすべてが一つにまとまり、. 現在および将来の人間の欲求と願望を満たす能力を高めるように、変化し. ていく過程」であるとしている(大来、1987)。そして、1997年に開催 されたギリシャのテサロニキ会議において、環境教育を「持続可能性のた. めの教育」と表現し、初めて「持続可能な開発」と「教育」との結合がな. され、国際社会に意識されるようになった。そして、2002年のヨハネ. スブルグ・サミットにおいて、1992年の地球サミットにおいて採択さ れたアジェンダ21の実施状況を検証し、新たな行動計画と数値目標を定 めることが目指され、先述した「国連持続可能な開発のための教育の10 年」が実施計画文書に盛り込まれた。これは日本の提案によるものであっ. た。さらにこの会議で採択されたヨハネスブルグ宣言において、グローバ リゼーションのもと地球規模で拡大する開発と貧困の問題を環境問題とし. て取り組む決意が語られた。もはや、環境問題は自然を保全し、自然に親 しむという段階から、環境の破壊を引き起こす開発や貧困、社会的な格差. の拡大をもたらすすべての要因と深く結びついたものに向き合う段階に至 った(朝岡、2005)。. 国内においても、2006年3月30日に内閣で「国連持続可能な開発の ための教育の10年」関係省庁連絡会議が設置され、「あらゆる人々が質の高い. 教育の恩恵を享受し、また、持続可能な将来と社会の変革のために求めら. れる価値観、行動、及びライフスタイルを学び、各主体が持続可能な社会 づくりに参加する世界を実現することを期する」という取りまとめがなさ れた(内閣官房インターネットHP、2006)。. このように次々と国際的な政府間レベルでの環境教育への方向性が打ち. 出されていく中で、市民レベル、そして学校レベルで見た場合、その意識 レベルは向上しているのであろうか。市民レベルで見た場合では、独立行. 政法人の数が、環境に携わる団体だけで1999年から2006年の7年 一2一.
(5) 間に174団体から8175団体の50倍近く増加している(内閣府イン ターネットHP、2006)。学校レベルで見た場合も、高等教育機関、いわゆる大. 学では、「環境」と名前のつく学部・学科の創設が増加し、そこで学ぶ学生. の数も1983年から2003年の20年間で約50倍に増加しており (環境省、2004)、関心の高さが伺える。しかし、義務教育機関ではそれほ. ど関心が高いようにはみられない。義務教育機関では、主に総合的な学習. の時間に行われているが、平成15年度の総合的な学習の時間における環. 境に関する学習活動の実践率は、小学校で49.6%、中学校では35. 0%となっている(環境省、2005)。国際理解教育に関しての内容は、9割. 以上の小中学校で取り扱われている現状を考えると、数宇的にみても環境 分野の割合は決して高いとは言えない。. しかし、持続可能な社会を構築していくためには、これからを担う子ど もたちへの環境教育がきわめて重要である。環境省(2005)が述べるよう. に、人間と環境との関わりについての正しい認識に立ち、自らの責任ある. 行動を持って社会づくりに主体的に参画できる「環境の人作り」を進める 上で、学校が果たす役割は大きいと考えられる。. では、持続可能をどのように子どもに伝えていけばよいのか。この命題 に応えるにあたって、「持続可能」と「環境教育」というキーワードを結び. つけた授業実践がなされていないところに問題の所在があるように感じら れる。まず、r持続可能な開発」という概念をどのように子どもに伝え、実. 際にどのような現象なのか、そしてそれがなぜ持続可能な社会の構築につ ながるのか、これを系統立てた研究は少ない。. 本研究では、2005年1月からスタートした「国連持続可能な開発の ための教育の10年」に注目し、この「持続可能な社会の開発」を学校現 場の環境教育にどのように生かしていくかにっいて一考察を述べる。この 「持続可能な開発」を学校教育に生かすための具体的実践例の観察や実習. をふまえての環境教育教材の開発を目的とした。観察実践例としては、兵 庫県が主体的に進めている兵庫県豊岡市の「コウノトリ野生復帰推進計画」. を取り上げた。生態系の頂点に立つ大型動物が持続して生息できる環境の 再生である。 一3一.
(6) コウノトリを食物連鎖の頂点とする生態系の復元 兵庫県豊岡市を中心として生息しているコウノトリ(6700ηiaわの・of3n3). は翼を広げると2m近くになる白色の大型鳥類で、形態はツルに似るが、 分類上はサギに近く、ドジョウ、フナなどの魚類やカエル、ミミズ、バッ タなどの小動物を餌とし、里地里山生態系の食物連鎖の頂点に位置してい. る。湿地帯を主な生息地とし、中国や内蒙古など合わせても、その個体数. は世界で約2500羽と推定されている(内藤・大迫・池田、2005)。国際 自然保護連合(I UCN)のレッドリストではr絶滅危惧I B種」となっ ている。. コウノトリはかつて日本に留、烏として生息しており、江戸時代には、東. 北から九州にかけて全国どこでも見られた鳥である。マツの大木などの樹. 上に直径1∼1.5mほどの巣をかけ、繁殖する日本で数少ない大型鳥類 であった。しかし、明治期の乱獲がきっかけとなり、国内でも兵庫県但馬 地域でしか見られなくなった(内藤・大迫・池田、2005)。. 但馬地域でも、戦後コウノトリの保護活動が行われたが、一時的な救済. 措置的なものであったため、個体数減少に歯止めがかからず、1971年 を最後に目本に生息していた野生のコウノトリは絶滅した。その原因とし. て本田(2004)は以下の5点をあげている。①明治期に広く人々が鉄砲を 持つようになり、標的として多くが狩猟されてしまった、②戦時中に営巣 に適した松の木が燃料用として伐採されてしまった、③戦後、農薬や除草. 剤の使用が始まり、水田にいるえさの減少、そして、コウノトリ自身の身 体を蝕んだこと、④圃場整備による乾田化で、えさとなるカエルやドジョ. ウが減少したこと、⑤電線による事故や感電。このように、生息生態系の. 生産者及び、食物連鎖上の下位の動物の減少が、コウノトリを絶滅に至ら しめる結果となった。. しかし、1985年ハバロフスクから6羽の幼鳥が兵庫県に贈られ、こ れらを創設ペアとして1989年最初のヒナが誕生した。これ以降現在ま で飼育下での繁殖は順調に進んでおり、その数は108羽(平成18年1 2月2目現在)までその個体数を増加させている(豊岡市立コウノトリ文化館 インターネットHP、2006)。 一4一.
(7) 「コウノトリ野生復帰推進計画」のいう「野生復帰」とは、I UCNの ガイドラインで言う再導入(Reintroduction)で、かつてその種が分布し、. 今は絶滅している地域内に飼育繁殖させた個体を放して、生存力があり自 立した個体群を復元することである(池田・菊池、2002)。そのために飼育. 下繁殖、自然環境の整備、社会環境の整備が不可欠であった。特に、自然. 環境の整備では、コウノトリが生息していた1950年代の環境を復元す る試みがなされた。コウノトリの営巣地となるマツの植林や、多くの生物 が住めるように水田の年間を通した常時湛水化や湿地のビオトープ化、そ して稲作に関しても減農薬、無農薬農法を奨励して分解者の生息する土壌. へ改良し、アイガモ農法による水田作物はrコウノトリ米」としてのブラ ンドを付与されるなど、行政と地域住民が一体となった生息地生態系の復 元への取り組みが、9年前より今日まで広がりを見せている。. そうして、これまでに2005年と2006年の3回(2006年は2 回)に分けて、試験放鳥としてオス7羽、メス9羽が野生に放たれた。現 在は街ぐるみでその個体の推移、生活範囲、生活行動パターンを見守って いる状況である。. この野生復帰事業の特徴は、一度は絶滅してしまった野生生物をもう一 度野生に戻すという、生態系全体を復元し、豊かな生態系の下で循環する 自然再生がおこなわれているところにある。そして、同じ過ちを繰り返さ. ぬようコウノトリを象徴として扱い、持続可能な個体数を確保していくた めに、人間と共生していく施策を街ぐるみで考え、地域住民が一定の理解 を示し、行動に移しているところにあると思われる。まだ野生のコウノト リが見られた時代を知る人は、コウノトリは田畑を荒らす害鳥というイメ. ージがあり、野生復帰事業が立ち上げられた当初は、決して好意的には捉 えられなかった。しかし、それを乗り越え、コウノトリを象徴として、そ. の地域の環境を改善し、コウノトリと共に生きていこうと地域住民が一つ の方向性を見出したところに、他では類を見ない事業だといえる。コウノ トリのような大型鳥類が安定して生息できる環境の下では、ヒトも安定し て生活できるという住民の環境感が存在している。. 環境教育とコウノトリ 一5一.
(8) 豊岡市のある、但馬地域の小学校(全83校)のうち、環境教育とコウ ノトリの野生復帰にかかわる学習をこころみた学校は49%と半数にのぼ っている(コウノトリ野生復帰推進連絡協議会、2004)。特に、豊岡市教育. 委員会より「平成15・16年度環境教育推進モデル校」の指定を受けた、. コウノトリの郷公園のある豊岡市三江地区の小学校では、第1学年と第2. 学年では生活科の時間を中心に、第3学年から第6学年までは総合的な学 習の時間を中心に、コウノトリを学習材とした系統的な環境教育が行われ た。. コウノトリを教育の素材として位置づけた目的は、大きく分けて以下の3. 点であった(コウノトリ野生復帰推進連絡協議会、2004)。まず、環境学習. の入り口としてのコウノトリである。これは生き物の観察会や稲作などを 通じて生き物について知り、親しむことを意味する。もちろんコウノトリ や人間を含めてである。この周辺の生物は、コウノトリの餌になったり、. コウノトリと競合したりするなど、コウノトリを中心とした食物連鎖上で. のつながりの中で生息している。コウノトリだけでなく、各々の生物につ いても、生態系の中の役割や位置づけを学ぶことができると考えられる。. 次に、福祉学習の入り口である。家族や地域の人など年配の人にコウノト リのことをインタビューすることで、年配の人を「労わる対象」だけでな く、「自分の知らないことを知っている先輩」という異なる捉え方ができる. という、これまでと違った視点で触れ合えたこと。このような経験を積む ことで、自ずと年配の人を敬う気持ちが育まれると考えられる。最後は、. 地域学習の入り口である。これは、地域について考える過程で、コウノト リも「地域のもの」としての役割を果たし、自分たちの住む地域への愛着 を持たせることを意味する。また、稲作体験やコウノトリに関するインタ ビューを通して、普段の生活で話す機会のなかった地域の人とも交流でき. るという意味でも、コウノトリは、地域学習の入り口としての役割を果た したといえよう。. ・6一.
(9) 材料と方法 生態系の中での種の持続可能性. コウノトリのような、象徴となる生物が身近な地域に存在していなけれ ば、自然再生や持続可能な開発という概念を、観察や体験を通して児童生 徒に理解させることは、難しいのであろうか。教室にいながらにして、こ の概念を理解させることはできないのであろうか。この問いに対して、r持. 続可能な開発」をどのように解釈すれば、児童の理解へとつながるであろ うか。特にこの「持続可能」という言葉は、児童生徒にとって馴染みの薄. いものであり、また概念的に理解できたとしても、コウノトリのような象 徴が存在しない地域では、身近な問題であると捉えることは難しいと考え られる。そこで「持続可能な開発」を「持続可能な社会を構築するため」. ととらえ、持続可能な社会の構築とはどのようなことであるのかを、生態. 系の中で考えてみることにする。つまり、生態系は生産者、消費者、分解. 者の微妙なバランスの上に成り立っている。それらを構成する1個体1個 体には寿命があり、滅んでも循環できる環境が整ってさえいれば、生態系 は結果として持続可能となる。地球環境問題の一つ、野生生物種の減少の. 原因は人間の乱獲と、その生息生態系のバランスを崩してしまったことに. よるものである。しかし、ここでその構成要素の1種にのみ注目し、その 種の持続性の崩壊は、生態系の中でその種全体の何割がいなくなれば起こ るのか明確にされていない。逆に言えば、全体の母数のうち、何割が生き. 残っていれば、その種は個体数を維持し、子孫を代々残していけるのか明. 確にされていない。生態系の中のある特定の一種にしぼって、その個体数 変動を追うことで、持続可能な変動量を推定することは可能ではないだろ うか。さらにこのことを、学校現場でも観察可能な生態系を用いた実験を 行えれば、児童生徒の体験的な理解につなげられると思われる。. 本研究では、学校教育現場で児童生徒が容易に扱え、室内で常時観察可 能な水槽を用いた教材を開発した。水槽内の微小生態系の中で、特定種の. 持続可能な変動量を追い、その種が、増殖による増加と、死亡ないしは取 り除きによる減少という個体数変動を繰り返しながら、一定の個体群を維. 持していくことが持続可能であるという概念を理解させるためのものであ 一7一.
(10) る。また、その全体数のうち、何%が生き残っていれば、その種は子孫を. 残し、生き残っていけるのかを調べることで、さらに持続可能という概念 を深めていくことができると思われる。. 個体数変動. 生物個体はその置かれている空間や被食者、捕食者の存在など、様々な. 条件によって異なる個体数変動パターンをみせる(Fujii、19771Matsuda θ6a1、19921斉藤、2002)。Multhus(1798)は著書「Anessay・ntheprinciple. ofpopulation」の中で「人口は制限されなければ、幾何級数的(指数関数 的)に増加する」という指摘をしている。これは、人間のみならず、他の. 生物種にもあてはまる。つまり、何も制限されなければ、ある個体群の個. 体数は指数関数的に増加することを意味している。目本では、ねずみ算式 という言い方でよく理解されているが、今目では、個体数が指数関数的に. 増加することをMulthus係数と呼んでいる(Odum、1971)。 だが、これは理論上の話で、自然界において空間が無限に広がっている ことはありえない。自然界では空間それ自体が個体数増加の制限要因にな っている。これはLogistic式と呼ばれている曲線にあらわすことができる。. つまり、個体数が永遠に増加し続けることはありえず、指数関数的な個体 群の成長を基本に、個体数が増えると、増加にブレーキがかかり、やがて. 一定の個体数で安定する。これはショウジョウバエやシジュウカラを用い た室内実験で検証が試みられている(Pearl、19271Lack、1966)。. しかし、これらのモデル式は、単一の種に焦点をあてたにすぎず、現実 的ではない。現実の世界では、ある特定の一種のみで生活する生態系はみ られず、多種多様な種が複合的に相互に影響を及ぼしあって、一つの生態. 系を形成している。その相互に影響しあう関係として、最たるものに種間 どうしの被食一捕食の関係がある。特に動物は捕食者として機能する一方. で、植物と同様、被食者となる場合も往々にある。この被食者と捕食者の. 関係は生物界で広く見られ、生物の個体数変動の相互作用の中で重要な関. 係である。自然界に生息するほとんどの生物は、被食と捕食の関係で個体 数を左右されている。被食者が子孫を残し増えると、捕食者はそれを餌と して食べ子孫を増やし、食べられた被食者の個体数が減少すると、餌が減 一8・.
(11) って捕食者の個体数も減る。生物が誕生して以来、この繰り返しが幾度と. なく行われてきた。このように、捕食者の個体数は、被食者の個体数の変. 動の後を追う形で個体数変動の曲線を描く。これをモデル化したものが Lotka−Volterraの捕食式である(参照Odum、1971)。この式は、被食一捕食. の関係にある中で、被食者1種、捕食者1種の個体群動態を調査した、も っとも単純なモデルである。被食者増で捕食者増、捕食者増で被食者減、被食 者減で捕食者減、捕食者減で被食者増… という変化を繰り返すことを示している。 野外実験として、カンジキウサギとそれを捕食するカナダオオヤマネコの観察(Elton. and Nicholson、19421MacLulich、1937)、室内実験としてアズキゾウムシとコマ ユバチの観察(Utid&、1957)によって、捕食者の数が最大になるのは、被食者の 数が最大になってから、およそ4分の1周期遅れることも確かめられている。. 本研究では、水槽内の微小生態系の中で、生産者としての植物プランクトン、第. 1次消費者としての動物プランクトン、第2次消費者としての魚類の3者の共存する 生態系を整え、Lotka−Volterr&の捕食式を基に、中心となる第一次消費者を対 象に個体数変動を探ることによって、1次消費者としての大型甲殻類に焦点をあて、. その持続可能な変動量を推定した。. 調査方法. 実験対象として、水田の微小生態系を用いた水槽実験により検証を試み. た。微小生態系を用いた理由として、微小生態系の独立栄養的遷移は約1. 00目で安定する(Odum、1971)ことから比較的早い段階で生態系の遷 移が安定すること、一般的に水田は水を張ってから中干し期まで約100 目と前述の微小生態系の遷移が安定するまでの期間とほぽ一致することが あげられる。実験材料は、観察事例としてあげた豊岡市にあるコウノトリ. の郷公園周辺の水田土を使用した。この公園周辺の水田は、コウノトリの. 野生復帰に向けて、1997年より有機農法であるアイガモ農法をおこな っている水田であり、慣行農法を行っている他の一般的な水田に比べ、多. 様な生態系を営んでいると考えられる。また、この地域の水田は環境省 (2004)の「平成16年版環境白書」にも記載があるため、信愚性も高いと 判断される。. 実験水槽(30cm×60cm×36cm)は3基用いた。それぞれの 一9一.
(12) 水槽に同定量の2ヶ月間完全に乾燥させた水田の土を入れ、脱塩素の汲み. 置き水18L入れ、土壌表面から10cmの高さまで浸した水田条件にし. た。水温は25℃で一定とし、6400Lxの照明を当て、12L12D、 つまり、12時間ごとに点灯・消灯を繰り返した。なお、水槽を用いた微 小生態系実験では、花里(1998;2004al2004b)およびYamazakiθ6∂1(2004) を参考にした。. このようにして条件を設定した微小生態系内において、遷移が安定した 後、この生態系内で発生が確認されたマエスジカイミジンコ(の1:ρ■碗頽 θθα頽孟f)を選定し、この種の個体数変動を追跡した。この種はこの生態系. 内で最も多数かつ安定的に確認され、また、肉眼で観察可能であること、 そして淡水の生態系内では最後まで生き残ることが多い(水野・高橋、1991) ことによる。. 個体数の測定は2週間ごとにおこなった。水中層と土壌表面層の2層に 分けて個体数を測定した。水中層は水槽中心部と水槽端部において、それ. ぞれ500mLずつ採水し、あわせて水槽1Lあたりの個体数として算出した。. 土壌表面層は70mLビーカー3個を土中に埋め込み、一目置いた後採水し、. 得られた個体数を5倍したものを、土壌表面層1Lあたりの個体数として 算出した。. 同時に水質の測定も行った。水質測定項目は、水素イオン濃度(pH)、. 電気伝導度(EC)、化学的酸素要求量(COD)の3項目を測定した。p. HはpHメーターTwinpHl(Horiba社)、ECはECメーターTwin Cond(Horiba社)、CODはCOD−50S(東亜電波株式会社)を用いて測定し た。なお、これらの測定方法は実験期E∼Vでおこなった。. 実験期は5期に分けておこなった。各実験期の期間及び実験の達成状況 は以下の通りである。. ・実験期1(3ヶ月間)では、豊岡市祥雲寺地区で採取した後に2ヶ月 間完全に乾燥させた水田土を用いた。マエスジカイミジンコの選定をは. じめとして、この微小生態系内でこの土壌から発生が確認された動物プ ランクトン及び植物遷移の過程にともなう種の同定を行った。. ・実験期H(5ヶ月間)では、5ヶ月間完全に乾燥させた水田土を用い 一10一.
(13) てマエスジカイミジンコの個体数及び、水質を測定した。マエスジカイ. ミジンコの個体数の推移と水質の安定をこの水槽内の中で追跡調査し た。. ・実験期皿(7ヶ月問)では、マエスジカイミジンコを捕食するメダカ (01アz招θ盈珈θθ)を雌雄1匹ずつ各水槽内に放ち、水槽内にマエス ジカイミジンコを中心として、捕食者の植物プランクトン、被食者のメ. ダカという3者が存在する環境を整えた。一定の捕食圧をかけた状態で マエスジカイミジンコの個体数変動をモニタリングし、個体数変動の平 均値と分散を調査した。. ・実験期W(3ヶ月間)では、3基の水槽のうち、実験期皿で算出した. マエスジカイミジンコの平衡個体数の平均値の20%の個体数を実験 期間内に除去した水槽、0%の個体数(コントロール)を実験期間内に. 除去した水槽、および40%の個体数を実験期間内に除去した水槽にわ け、2週間ごとにその比例配分の個体数を除去した。以下では実験期問. 内の20%の個体数を除去した水槽を20%除去水槽、40%の個体数 を除去した水槽を40%除去水槽、0%の個体数を除去した水槽をコン トロール水槽と呼ぶ。. ・実験期V(100日問)では、実験期IVと同様に、3基の水槽のうち、. 実験期皿で算出したマエスジカイミジンコの平衡個体数の平均値の7. 5%の個体数を実験期間内で除去した水槽、100%の個体数を実験期 間内で除去した水槽、200%の個体数を実験期間内で除去した水槽に わけ、2週間ごとにその比例配分の個体数を除去した。以下では実験期. 間内の75%の個体数を除去した水槽を75%除去水槽、100%の個 体数を除去した水槽を100%除去水槽、200%の個体数を除去した 水槽を200%除去水槽と呼ぶ。 除去個体数の算出方法. 実験期IV、実験期Vにおいて用いた除去個体数は、実験期皿において用 いた水槽内の平衡個体数の平均値を基に、以下の式により算出した。水槽. 内の平衡個体数の平均値(N)から、全期間除去割合(α)を水槽ごとに 定め、2週問あたりの除去割合(αi)と2週間あたりの除去個体数(Ni) 一11・.
(14) を以下の式で算出するl Ni=N×α×αi. 平均値は4891個体であった。よって、上記の式より、実験期IVにお. いて、20%除去水槽では152個体、40%除去水槽では304個体を 2週間ごとに各水槽内より除去した。また、実験期Vにおいては、75%. 除去水槽では513個体、100%除去水槽では684個体、200%除 去水槽では1369個体を2週問ごとに各水槽内より除去した。. 一12一.
(15) 結果 維管束植物と動植物プランクトンの発生. 実験期1∼Vの全期間を通して、この水田の土から発生が確認された維 管束植物は、コナギ(痂ηo必oヱ拍y8躍力∂万5)、チョウジタデ(.加ゴ吻卵物 θp〃0わioldlθ3)、キクモ(Li皿ηgρ.hπ23θθθf五五〇■θ)、シャジクモ. (Ch&rophyceae)、ミズワラビ(0θr3幻ρ6θガ5飴21ioかo躍θ5)、ミズハコベ (Oa〃f孟が〇五θ.ρ81α訂ri5)、キカシグサ(丑o頽1ai刀φoa)、ミゾハコベ(盈躍iηθ. 孟ガ8丑血3)、ウキクサ(助∫roゴθ盈、ρo.ヶヱh彪∂)、イチョウウキゴケ (丑iooゴooa塑05η認a〃θ)の10種類であった。また、動植物プランクトンは、. マエスジカイミジンコ(6ン1ρ■θ琵a5θ〃遡6i)、タマミジンコ(〃∂iη£ 皿ao■oogρ∂)、カイミジンコ(36θ迎o卿1ゴ5sp.)、ケンミジンコ(Copepoda)、. ウサギワムシ(Lθpa4θ刀3sp.)、ヒルガタワムシ(Phガoφ刀段sp.)、イタチム シ(Ohθθ60ηo加θsp.)、ヒル(Hirudinea)、貧毛類(Oligochaet&)、コナヒゲ. ムシ(Oh1θ加y40翅oηθθsp.)、ミカヅキモ(α056θria皿sp.)、ボルボックス (砺1γoxsp.)、ミドリムシ(刃Hg1θη∂sp.)、アオミドロ(枷i■081アr3sp.)、ツ. リガネムシ(%拡ioθ〃8sp.)、ナベカムリ(!牡oθぬsp.)、太陽虫 (!40孟iηoερ加θ■i冴塑sp.)、センモウチュウ類(測θp加ガθ皿8sp.)、センチュ. ウ(Caenorh段bditis)、ハネケイソウ(乃力丑認∂が∂sp.)、ハリケイソウ (6ン丑θゐ8sp.)、オビケイソウ(乃・a望%rfθsp.)、モノアラガイ(丑ad娠. 灘ガoα1∂が∂)、オシラトリア(050fπ∂加が3sp.)、ミクロキスティス (舶℃■o¢』v5孟i5sp.)、アナベナ(。勉a加θη2sp.)の26種であった。これらの. 維管束植物及び動植物プランクトンを図1と図2に示す。またそれぞれの. 発生が確認された経時変化は表1と表2のとおりである。完全に乾燥した 土壌中から、これだけ多数の生命が復元されることが確認された。水槽内 の生態系が極相に限りなく近い状態、つまり平衡状態になったと判断した. 実験期皿の20週目(土を水に浸して42週目)の水槽Aの様子と土を水 に浸す前の水槽の様子を図3に示した。. 各実験期の個体数変動と水質の動態. 実験期1の結果は、本質的に実験期Hの結果と同一となったため、結果 の記載は省略した。 一13一.
(16) 実験期Hの5ヶ月間におけるマエスジカイミジンコの個体数変動と水質. の動態を表3、及び図4、図5、および図6に示した。2ヶ月間、完全に 乾燥させた水田土に水を入れてから、6週間後に初めてマエスジカイミジ ンコの発生が確認された。それぞれの水槽において、個体数が増加、減少. を繰り返していることがわかる。水質に関しては、pHはいずれの水槽に. おいても7点台と安定しており、EC値、COD値は減少傾向を示してい る。特にEC値の減少傾向は著しく、いずれの水槽においても実験期nの 最終測定値は、実験開始時のほぼ半分の値を示している。この実験期の後. 半部分では、p H、E C、CODの各項目がほぼ横ばい状態であることか ら、この水槽内は水質的には、ほぼ平衡状態を保っており、極相状態に近. いと言える。特に滞水の環境指数はCODに代表されるが、この値はほぼ 横ばいで一定値50mg!Lを示している。. 実験期皿の7ヶ月間におけるマエスジカイミジンコの個体数と水質の動. 態を表4、及び図7、図8および図9に示す。この期問は、実験期nで使 用した水槽をそのまま使用したことから、極相に近い状態からスタートし. た。水槽に雌雄1匹ずっのメダカが入り、一定の捕食圧がかかった状態で マエスジカイミジンコの個体数と水質項目を測定した。実験期皿の水槽A において、マエスジカイミジンコの個体数が確認されなくなった。水槽B、. Cでは、捕食者であるメダカを入れた直後で個体数の減少が見られたが、. 6週目には個体数の増加傾向がみられ、それ以降は実験期Hと同様の個体 数増加、減少の振動を繰り返した。水質の各項目については、個体数の確. 認されなくなった水槽Aにおいて、COD値のみ顕著な減少がみられたが、. 水槽B、水槽Cの水質項目は、ほぼ横ばい状態であった。CODは焼く 40mg/L付近で推移している。このことは、メダカの移入により、浮遊有機 物が生物群集に取り入れられていることが判明した。. 実験期IVでは、実験期皿で使った水槽をそのまま使用した。実験期IVの. 3ヶ月間におけるマエスジカイミジンコの個体数と水質の動態を表5、及. び図10、図11および図12に示す。なお、前実験期において個体数が 確認されなくなった水槽に関しては、実験期皿の水槽Bおよび水槽Cの平. 均個体4891匹を人為的に加えた状態からスタートした。この実験期で ・14一.
(17) は0%除去水槽のコントロール水槽の他に、20%除去水槽、40%除去 水槽を扱ったが、マエスジカイミジンコの個体数は、これまでの実験期と. 同様の増加、減少の繰り返しがみられた。水質に関してはEC値で上昇が. みられたが、COD値に大きな変動はなかった。水槽AではCODは約 20mg/Lに減少しており、実験生態系において遊離有機物が、より有効に生 物群集に取り込まれていることが推察される。. 実験期Vでは、実験期IVで使用した水槽を約2ヶ月間そのままに放置し、. 個体数の回復に努めたのちに再スタートした。実験期Vの100日間にお けるマエスジカイミジンコの個体数と水質の動態を表6、及び図13、図. 14および図15に示す。この実験期では、75%除去水槽、100%除 去水槽および200%除去水槽での個体数変動を調査した。200%除去 水槽においてもマエスジカイミジンコは絶滅することなく、個体数の増加 減少を繰り返した。水質に関しては、ほぼ横ばい状態であった。個体数を 多く取り除いても、土壌表面層での変動は比較的小さく、個体群維持のた めの避難所(re釦ge)的な役割を果たしていることが伺える。. 実験過程を通して、CODはわずかながらコンスタントに減少する傾向 を共通に示しており、微小生態系では実験期間内でも遊離有機物がより有 効に利用されていた。. 除去割合による個体数変動. 実験期IVおよびVにおいて、異なる除去割合の下でのマエスジカイミジ. ンコの個体数変動を追跡した。20%除去水槽、40%除去水槽、75%. 除去水槽、100%除去水槽、200%除去水槽、そしてコントロールの 0%除去水槽の個体数変動の回帰直線から、その勾配に着目し、それらの. 勾配の散布図をとった(図16)。この結果、水槽実験を行った6パターン. の水槽の中では75%除去水槽がもっとも高い勾配を示す2次曲線的な散 布をしていることがわかった。. 次に、持続可能な変動量の推定を一般化すべく、20%除去水槽、40%. 除去水槽、75%除去水槽、100%除去水槽および200%除去水槽の、 それぞれマエスジカイミジンコを1世代あたりに換算し、世代あたり何% 除去に相当するのか求めた。卵が艀ってから、その個体が抱卵するまでの ・15一.
(18) 期間を1世代とすると、室内飼育実験において、それがおよそ5.5日で. あることがわかった。全期問において除去した割合が20%、40%、7. 5%、100%および200%であるので、全期間の総除去個体数は、そ. れぞれ978個体、1956個体、3668個体、4891個体、978 2個体となる。20%および40%の除去水槽は90日間であるので16 世代交代に相当し、75%、100%および200%の除去水槽は100 日間であるので18世代交代に相当することになる。よって、各実験期終. 了後の個体数は、実験開始前の水槽での平衡個体数の4891個体からそ. れぞれの個体数を差し引いたものであるから、20%除去水槽は3913. 個体、40%除去水槽は2935個体、75%除去水槽は1223個体と なる。以下の式のxの値が1世代あたりに換算した除去割合になる;. 実験期IV 実験終了後の個体数=4891×(1−x)16 実験期V 実験終了後の個体数二4891×(1−x)18 これらの式よりそれぞれの水槽における1世代あたりの除去割合xを算出. した。20%除去水槽においては1.38%、40%除去水槽においては. 3.14%、75%除去水槽においては7.41%除去したことになる。 この3点から近似線を描いた式より、残りの100%除去水槽と200% 除去水槽の1世代あたりの除去割合を求めた。それぞれ10.08%およ. び21.18%であった。 そして、マエスジカイミジンコが除去されても、どれだけ個体数を回復. させるかという増加個体数を水槽ごとに求めた。2週間ごとに個体数を除 去したので、マエスジカイミジンコの世代に換算すると2.5世代である。. 1世代あたりの除去割合が上記のとおりであるので、2週間ごとの減少個. 体数は168個体(20%除去水槽)、384個体(40%除去水槽)、9 06個体(75%除去水槽)、1232個体(100%除去水槽)および2 589個体(200%除去水槽)であった。そして、平衡状態の個体数4 891個体から、それぞれの水槽の減少個体数を差し引いたものであるの で、理論上の個体数と実際の水槽の個体数の差がマエスジカイミジンコの 増加個体数になる。その増加個体数の分布図から回帰直線をえた(図17)。. この図から、除去割合が高くなれば高くなるほど、増加個体数の増加割合 一16一.
(19) も増えていることがわかる。除去率が高くなればなるほど、個体数を平衡. 値に早く引き上げようとする密度効果的な力が働いていることが予想され る。個々の値より、近似直線上にフィットする傾向を示している。. 1世代あたりの持続可能な変動量. 各水槽の一次回帰式の勾配の分散から二次回帰式をえた(図16)。この. 式よりx軸との交点を求めると48.3%と196.95%であった。こ れより、除去割合xが0.483<x<1.97の範囲で勾配は正を示す。 つまり、この範囲において除去個体数を補充するかのような急速な増加率 が認められる。いわば持続可能な個体数を維持できる範囲といえよう。こ. の数値を一般化すべく、マエスジカイミジンコ1世代単位に換算すると、. 1世代4.3%∼20.8%ということになる。1世代あたり最大20. 8%が除去されたとしても、生物個体はその個体数を回復し、一定の個体 数を維持できることを示している。. 一17一.
(20) 考察 自然再生としての持続可能性 本研究は、一度は絶滅をしてしまった生物が、環境を復元し整えることに. よって、再びその地で繁栄できることを、教材として用いる有効性につい て検証をこころみた。より一般的にみるならば、渡り鳥がその主な生活場・. 餌場を変更している場合にも該当する。これは観察事例としてあげたコウ ノトリの野生復帰推進計画がその例だといえる。乱獲や農薬散布、あるい はその生態系撹乱によって一度は野生から姿を消してしまったコウノトリ. は、いま再び野生にその姿を取り戻そうとしている。そして再び生態系の 頂点にたち、自ら個体数を増やし、繁栄しようとしている。. これは大きなスパンで見た結果だが、もっと身近に“見かけ上”の絶滅 と自然再生が繰り返されている場所がある。それが水田である。これは目. 本中至るところで観察可能な、自然界における自然再生の代表的なものだ といえよう。毎年春から夏にかけて水田に水がはられると、そこから様々 な動植物が繁栄、繁茂する。植物ではコナギ、ミゾハコベおよびウキクサ、. 動物プランクトンでは、カブトエビ、ミジンコおよびモノアラガイなどが ある。これらは一般的な水田で見られる代表的なものである。これらのプ ランクトンや植物は水田に水がはられている期問のみ発生・成長し、一生. を過ごすが、水田から水がなくなると、プランクトンは生き絶え、植物は. 枯死してしまう。しかし、だからといって絶滅したとは言えない。次の年 にまた水田に水がはいると、発生し成長し、夏になると、動植物が繁栄・. 繁茂している同じような光景が毎年見られる。つまり、一度その場から消 えてしまったことが、即絶滅につながらないということを意味している。. これは先にあげたコウノトリでも同じことである。過去にその地域で繁 栄していたということは、ある生物個体がその地域に適した何らかの素地 があるということである。それは、餌であったり気侯であったり様々なこ とに起因すると考えられるが、残念なことに、その素地が何らかの原因で. 変化してしまったり、なくなってしまったことで、個体が絶滅、もしくは 絶滅に瀕した状態におかれている。注目すべきは素地である。コウノトリ. 野生復帰推進計画においても、コウノトリの繁栄していた1950年代頃 一18一.
(21) の自然環境を復元することが、真っ先に事業としてなされた。つまり、そ. のもとの生態系の復元であり、特にその土壌への配慮である。水田におい ても、水田の肥沃な土と水があれば、かつてそこに生息していた個体は自. 然再生できうる。この水槽実験においても、完全に乾燥させた状態の水田. 土から、先述した30種余りの動植物プランクトンや植物が発生した。乾 燥状態にあった水田土のなかでも、卵や種など形を変えた状態で生きてい たことを意味する。植物を育て、また動物を生息させるには、その生態系 の土壌に鍵があることを示している。. 完全に乾燥した水田土に水を浸すことによって、様々な生物が発生する. 状況を、経時的に体験的に理解できる教材として、持続可能性を含めた環 境教育として扱う有効性は大きいといえる。. 個体数変動からの持続可能性 水槽実験では、ほぼ極相に近い平衡状態から、第一次消費者の母数の何%. の個体数を除去しても、その個体は個体数を維持していくかについて推定 することを目的としたものである。. 先行研究によって、およその値は推測されていたが、実証されてはいな. かった。水産庁は海産魚類について、個体数の3分の1を漁獲する適正漁 獲量を推奨しているが、この根拠は特に明確にはなっていない。また、日. 本最大の閉鎖性淡水域をもつ琵琶湖では、毎年ニゴロブナやホンモロコな どの琵琶湖固有魚が漁獲されているが、漁業組合の報告する漁獲量はわか. っていても、それが全体のいくらの割合であるのかはわかっていない。前. 年の漁獲量を基に、次年の漁獲制限量を定めているのが現状である(滋賀 県水産課および琵琶湖博物館より筆者聞き取り)。ここでもおよそ30%∼. 40%までなら大丈夫であろうという回答であったが、これも水産庁の適. 正漁獲量を受けての数値と解釈できる。特に、魚類の1世代の時間は必ず しも判明していない。自然界は複合的な要因が重なり合っているので、い. っなんどき、どんなアクシデントが起こるかわからない。おそらく水産庁. が算出した3分の1という数値は、多少の予期せぬアクシデントがあった としても、持続可能な個体数を維持できる、いわばセーフティーラインで. あると思われる。実際の持続可能な個体数を維持できる漁獲割合(除去可 一19一.
(22) 能割合)は、これより高くなることが予想される。漁獲制限量を現存量の. 30%という見積もりは、1世代が一年としての仮定の下に成り立ってい. る。サケのような大型魚では、平均寿命が3∼4年であるので、現存量の 10%程度が制限量と推定される。これを上まわれば、かつてのクジラの 例になってしまう。. マサバの漁獲量による個体数変動を調査した松田(1995b)は、14年問 の調査の中で、漁獲しなかった場合の個体数と、漁獲前の3分の1を漁獲 した個体数では、漁獲前の3分の1を漁獲したほうが、漁獲量は多くなっ たと述べている。彼はその原因として、個体数密度に依存する密度依存性 についての仮説を提唱している。個体数が除去されれば、そこのスペース. が空くので、他の個体がそのスペースに移動し、入り込むことで、長期的 にみて個体数は除去前よりも増加するという説である。. 今回の水槽実験においても、先述したが、図17に見られるとおり、除 去割合が高くなれば高くなるほど、増加個体の割合は大きくなっているこ とがわかる。平衡にある極相に近い状態は、密度が高く、移動することが. 制限されたり、餌生物の住み分け競争が起こり、自由に生活できる範囲の 限られた状態にあると考えられる。それをいくらか取り除くことによって、. スペースが空き、餌の競争相手も少なくなるので、自分にとって都合のよ. い、住みよい空間を作っているように思われる。そうして、常に平衡状態 の個体数に戻ろうとするカが働いているように考えられる。. 個体数変動の平均値を求めたことによって、理論上の減少割合と現存個 体数を算出することは可能で、実際の減少割合と現存個体数から、個体数. 復元能力を算出することも可能であろう。それを求めたものが、図17の 増加個体数に相当するものであり、除去割合の高い水槽ほど、個体数復元. 能力は高いことが伺える。これは、水槽内から除去された個体数分が2週 間の間に復元されているということを意味している。言い換えると、常に. 一定の個体数密度を保とうとしている“振り子”の原理による平衡値があ るように考えられる。混み過ぎず、空き過ぎない一定の密度を目指して個. 体数は増減を繰り返していることを伺わせる。現に、今回対象としたマエ. スジカイミジンコの1個体あたりの抱卵数は1個から最大27個とまばら 一20一.
(23) であった。密度が低い状態では多数の卵を抱卵し、密度が高い状態では少 数の卵を抱卵している可能性が示唆される。. 今回の水槽実験では1被食者一1捕食者関係という、もっとも単純なモ. デルの下で行った。この条件の下で、20%除去個体数、40%除去個体. 数、75%除去個体数、100%除去個体数、200%除去個体数、そし てコントロールの0%除去個体数の6パターンの異なる除去割合による実 験から、持続可能な個体数を維持するための最大除去割合を算出した。し. かし、今回はわずか6パターンからその値を推定したため、厳密性という 面で欠けることは否めない。より精度の高い値を求めるためには、数多く の除去割合を用いたパターンで実験を繰り返すことが求められる。また、. 先述したように、生物界では予期せぬ出来事が潜んでいる。突然変異はい つ起こるか予測できないし、平均寿命は算出されるが、だからといって一 人一人の寿命を予測することは不可能である。今回の水槽実験においても、. 途中マエスジカイミジンコの個体数が絶滅してしまったこともあった。し かし、同じ水槽に新たに加えたマエスジカイミジンコは生き続け、平衡に 達している。同じ条件の下でスタートした実験水槽であるにもかかわらず、. 水槽によって発生した動植物プランクトンが異なったり、水質の各項目も. 異なる値を示した。生物群集は個体数を変動させながらも、避難場所 (refuge)を持ち、ある時には小集団になっても潜在的に爆発的な増殖能 力をもっている。. しかし、持続可能と環境教育を結びっけた教材として、微小な生態系で の導入は、短時間での個体群の減少・増大を知る上では有効だし、また他 の生物では、人ではどうだろうか、と興味の対象がどんどん展開し、生物. から人にまで移れば、環境教育の第一段階である「我々も生態系の一員で ある」という認識にもつながる(山口・井上・今村、2003)。. 授業実践を行う上での課題. 今回の研究では、児童生徒に持続可能性という概念を、机上の理論では なく、体験的に理解させることを目的とした。そういった意味で教材の中. 身に触れたものであるが、今回行った実験において、児童生徒が自然再生 や持続可能性について、その興味や理解を示すかといえば、一概にそうは 一21一.
(24) 言えない。筆者が、某博物館において定期的に行われる環境教育実践校の. 研究発表会に参加した時に印象的だったのは、地域の象徴となる植物や動 物を取り扱った授業実践を行っている学校が圧倒的に多かったことである。. それぞれが、地元にしか見られない象徴性のある生物個体を取り扱い、そ. れを通した教育実践活動を行っている。まさにコウノトリの野生復帰がい い例である。これは地域の象徴的なものを教材として扱うことで、児童生. 徒は意識を高く持つことができたり、児童生徒がその希少性を認識した上 での授業効果が大きかったことが示唆される。しかし、今回のように水田. の土壌生物を扱う場合は、ごく一般的にありふれたものであるので、希少. 性という面で欠けることは否めない。よって、子どもの興味関心をひくた めには、導入段階での工夫が必要になるように思われる。今後とも導入か ら結論までの一連のつながりをもたせた教材研究に励みたい。. 一22一.
(25) 謝辞. 本研究は、2004年4月より3年間、兵庫教育大学大学院第5部山口 研究室で行ったものです。終始ご指導いただいた山口修教授には心から御 礼申し上げます。先生には野外調査や実験の方法、得られたデータの解析 方法など、懇切丁寧に教えていただきました。研究に対して、いつも明確 な方向性を示していただき、大変感謝しております。. また、野外調査や、水質分析、個体同定などにご協力いただいた山口研 究室の山口修教授、上野元嗣氏、村上浩一氏をはじめとする研究室の皆様 に深く感謝いたします。. ・23一.
(26) 引用文献およびURL 朝岡幸彦(2005)、グローバリゼーションのもとでの環境教育・持続可能な. 開発のための教育(ESD)、教育学研究 第72巻(4):53. 0−543 Elton,C.and Nicholson M.(1942)、The ten−year cycle in numbers ofthe. lynx in Can&d&、Joumal ofAnim&1Ecology11:215・244. Fujii K. (1977) 、 Complexity−stability relationship of two・prey−one・pred.ator species system mo(le1:Local and glob&1. stεしbility,Journal ofTheoretical Biology69:613・623. 本田裕子(2004)、野生復帰による野生生物の新たな価値創出に関する研究、. 国際環境協力、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻. 国際環境協力コース 第4巻:48−61 花里孝幸(1998)、ミジンコーその生態と湖沼環境問題一、名古屋大学出版. 会 花里孝幸(2004a)、ミジンコ先生の水環境ゼミ(29):水槽を用いた生態. 系実験一環境教育に貢献するプランクトンたち、リバーフロント. 整備センター、F r o n t 第16巻(11):59−61 花里孝幸(2004b)、ミジンコ先生の水環境ゼミ(33):川から湖へそして. また川へ一水がつなぐ川と湖の相互関係、リバーフロント整備セ. ンター、Front 第17巻(3):59−61 池田啓・菊池直樹(2002)、コウノトリの野生復帰とその課題、環境と公害. 第31巻(4):10−16 環境省(2004)、平成16年版環境白書、ぎょうせい 環境省(2005)、平成17年版環境白書、ぎょうせい コウノトリ野生復帰推進協議会(2004)、コウノトリ野生復帰推進事業・活. 動一覧∼コウノトリと共生する地域づくりをめざして∼、豊岡市 Multhus,T.R。(1798)、An essa.y on the principle of population、as it 段ffects the fut皿e improvement of society with rem&rks on the. speculations of Mr.Godwin,M.Condorcet and other writers.. London.、(高野岩三郎・大内兵衛訳(1962)、人口の原理、岩波 一24一.
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(32)
(33) 乾燥土壌より発生した維管束植物の経時変化. 表1. 女‘の週 実 一 週 コナギ. 盟㏄加吻旧’冴加 チョウジタデ. ゴ’凌脚伽頗. キクモ 皿〃o血183θ醐醐o畑 シャジクモ. haarohceae. ミズワラビ θ搬如飴蜘6加加伽o弼8θ ミズハコベ 臼苗堀oカθ81ロθ孟謝. キカシグサ o蝕盈加φ’囎. ミゾハコベ 伽8加加血ヨ ウキクサ. 酬θ勉oノ血勿8 イチョウウキゴケ bdα盟 ひ5朋顔刀θ. 2weeks. ロー2. 4weeks. 肛一4. 6weqks. 8weeks. 皿一6. X. ×. X. O. 0 O. X. X. X. X. X. ×. X. X. ×. ×. X. ×. 置∼8. o O. 10wedks. 12w6eks. 14weeks. 16wees. 江一10. 皿一12. 皿一14. E−16. O O. O O. 皿一で8. O O. 0 O. 20weeks 紅一20. O O. 22weekg 一一22. ×. x. X. X. X. X. X. O O. O O O O O O. O o O O O o. O o. o ○. O O O O O O o. X. X. ×. X. X. X. o O. O O. ○. O. O. O. O O O O O O. ×. X. ×. ×. X. ∩け拳仕溶碑…捉潔勃ナ踊 》ぐ‘十駆仕弄“磁;麹云面ナ哨 弄緬 Oは発生が確認された種、 xは発生が確認されなかった種. O O. 18weeks. X. 24weeks. 皿一2. O. o ○. 26woeks. 32weeks. 34weeks. 36weeks. 38weeks. 40weeks. 42wedks. 44week8. 46wgeks. 48weeks. 50weeks. 52woeks. 皿一4 皿一10. 皿一12. 皿一14. 皿一16. 皿一18. 皿一20. m−22. 皿∼24. 皿一26. 皿一28. 膵一〇. O O o. 0 O. ○. O Q O o O o O. ○. O o O o. o O O O O O. O O o O O O. O O O o. o 0 O O O. X. ○. o O o o. O Q. ○. O. o O O o O. X. X. X. X. ○. ○ ○ ○. X. o o O. o o. o O O O. O. 0. O O O. O. X. ×. ×. X. X. X. ×. X. ○. ×. X. ×. X. X. X. X. X. X. X. ×. ×. X. X. X. X. X. ×. X. ×. X. X. X. X. X. ×. ×. X. X. ×. X. X. X. ×. X. X. X. X. ○. O. O. O. O. O. O. O. O. O. O. O. ○. Q. O 0. ○. o. ○. ○. ○. O.
(34) 乾燥土壌より発生した動植物プランクトンの経時変化. 表2 開鵬のi 『. マエスジカイミジンコ. ”吻3θ㎜々 タマミジンコ. 8’塑α切08 カイミジンコ stracoda ケンミジンコ. oeoda. ウサギワムシ. eθ4誠83 ヒルガタワムシ. 04加a5 イタチムシ 旧θ孟o皿o甜5θ ヒノレ. 重皿d血ea 貧毛類. 1i㏄haeta. コナヒゲムシ. 鼠卿do吻o塑38. ミカ“キモ. α訪θ蝦物皿3. ボルボックス 1函o曜8. ミドリムシ 冴ノ㎝a5 アオミドロ. 吻 a5 ツリガネムシ. 臨oθ吻5 ナベカムリ. e幽5. 2woeks. 皿一2. 4weeks. π一4. 6weeks. 皿一6. X. X. o. O O. O 0 O ×. X X. X. X. 一. ×. 』. X. 一. X. 一. ×. 一. O O X. O. 『. 『. 『. 一. ×. ○. X. 贈. 一. O O O O. a加θ盟θ5. Oは発生が確認された. X. ×. x ×. O. O 0. ×. ×. X. O O. X. ×. X. X. X. X. ×. ×. ×. X. X. X. X. X. ○. ×. x. X. X. 『. X. X. ○. O ○. 0. 0. 一. O O O. O. ○. O O O. 一. X. ×. ○. 皿一2. O 0. 32weeks. 34weeks. 36week5. 38鵬eks. 40Weeks. 42week8. 44week3. 46woeks. 48woek3. 50we8ks. 52week3. 皿一4 皿一10. 皿一12. 皿一14. 皿一16. 皿一20. 皿一22. 皿一24. 皿一26. 皿一28. 膵一〇. ○. ○. O. 皿一18. 26weeks. O O. X. X. X. X. x. X. X. X. X. x. X. ×. X. X. ×. X. O. ○. ○. X. X. X. O o 0. X. X. X. X. X. X. ○. x. X. X. X. X. O. O. O. O. O. O. O. O. O O. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. ×. X. x. X. X. X. X. X. O O. O. X. X. X. X. X. x. X. X. X. X. X. X. ×. X. X. x. ×. X. X. X. ×. O O O O O. Q. O O O O. 0 O 0. O O O O O. O o O O. O O O o o. O o O O O. O O O O O. X. X. X. X. X. X. X. 一. X. X. X. O o. 門. ×. X. O. O. O 0. O. O. O. 0. X. X. X. 圃. ×. ×. ×. X. 0. O. O. O O. 『. X. X. X. ×. 胃. ×. X. x. ×. x. X. 一. ×. ○. X. 一. X. ×. ×. X. ×. X. 一. ×. x. ×. ○. O. ○. ○. O O O. o O O. O 0 O. X. X. ×. X. O O. O O Q. O O. 一. O. O. 門. O. x. X. X. 一. X. O. 『. o. O. 0. ○. ○. O. ○. ×. 一. X. X. ×. ×. X. X. 囎. X. 一. X. X. ×. X. X. X. O. x. 一. X. X. X. x. ×. X. 臼. ○. 、×は発生が確認 れなかった種. X. X. O ○. ×. ○. ×. O 0 0. X. X. ×. 一. X. X. ×. O O O O. ×. ×. X. ×. ×. X. X. ○. X. 0. X. X. X. O. X. X. X. ○. O O O O O O. O. o. x. X. ×. X. O. X. O. X. X. O. ×. 曹. ○. X. O O. ×. ×. 謄. X. X. O O O. X. X. ×. x ○. O. O. O. X ○. ○. X. ○. X. O O. O. O. o O. ×. O. ×. ○. ○. X. X. ×. O. ×. O 0. ○. O. O. X. ○. o. X. 0. 一. O. O. 0. O O O. O. x. ×. 一. O. O. O. ○. ○. X. O O O. 『. 五』雌3誌8. O. O. 24weeks. O O O O O. X. アナベナ. O O. 0. 22weeks 皿一22. ○. O. 剛8‘o虹旨8. 20weeks ∬一20. X. ハネケイソウ. ミクロキスティス. 18weeks 豆一18. X. ○. a曲朋亘c配aゴa. 16weeks ∬一16. X. 一. オシラトリァ. 14weeks 皿一14. ×. ○. 加∼ε. 12weeks ∬一12. X. ×. a’. 肛一τO. X. 一. モノアラガイ. O 0. 10weeks. o 0. X. ”盈認an密5. ロー8. Q o O. 太陽虫 4α加囎加ε姐初切5 センモウチュゥ e五鋤皿段θ センチュウ aenorhabditi8. ハリケイソウ θ血鯛 オビケイソウ. 8weeks. O. ○. ○. o O O o. ×. ○. X. O O 0 O o. ×. X. x. X. X. X. ×. O O O O. X ○ ○. ×. x. X. X. X. X. X. X. X. X. X. X. O O. X. ×. X. ×. x. x. X. X. X. ○. O. O. ○. 0. O. O. 0. ○. X. X. X. x. X. X. X. X. X. O. O. O O O. o. X. O. O. 0. ○. X. X. X. O O. O. X. O o. ○. X. X. X. X. X.
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