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安岡章太郎『海辺の光景』論(二〇一三年度卒業論文要旨集)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 安岡章太郎『海辺の光景』論(二〇一三年度卒業論文要旨集). Author(s). 佐々木, 梨乃. Citation. 札幌国語研究, 19: 69-69. Issue Date. 2014. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7620. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 安岡章太郎『海辺の光景』論. 大江健三郎『芽むしり仔撃ち』論. いうよりも、自分が考えていた母の死を実感していたというこ. を手の中に捉えているが、これは、母そのものの死を捉えたと. た。海に関する描写では、 信太郎は海を眺めながら 「一つの 〝死〟 」. の習慣によって二人の結びつきが強くなっていたことが判明し. からの母は父に頼って生活をすることが習慣となっており、そ. 感じていたことが分かった。母と父の関係では、病気になって. えていた母と実際の母には差異があることに気付き、空虚感を. 信太郎は、 母が父を呼んだ出来事によって、 分析を進めると、 母とは習慣以上の結びつきがなかったこと、そして、自分が考. そのため、本研究では、母と信太郎の関係、母と父の関係、 海に関する描写という三つの観点から作品分析を行った。. れてこなかった。. り、母と父の関係や海に関する描写については詳しい分析がさ. た、従来の研究では、母と信太郎の関係を中心に分析されてお. いる記述もあり、全体を通して描かれているとはいえない。ま. 従来、本作品には信太郎のエディプスコンプレックスが描か れているとされてきた。しかし、信太郎が母を疎ましく感じて. 作品における監禁状態は、物理的な壁だけでなく、精神的な壁. まで抵抗を続けるという選択をさせたと考えられる。また、本. つの違いが、 「僕」と仲間たちの間に違いを生み、「僕」に最後. との決別という、自分だけの経験をしたことである。これら二. 村の中で、「僕」が、 「少女」との出会いと別れ、そして「弟」. ら脱出したと考えていたことである。二つ目は、村人が去った. その結果、「僕」と仲間たちの間には、二つの大きな違いが あることが判明した。一つ目は、 「僕」だけが一度監禁状態か. ているかを考察した。. 作品を分析するにあたって、本作品における、「監禁されて いる状態、閉ざされた壁の中に生きる状態」がどの様に描かれ. かを明らかにし、 作品の主題について考えることを目的とする。. 功している。本研究では、村長が提示する取引に、仲間たちが. は、 「僕」 が監禁状態に最後まで抵抗を続け、脱出することに成. したりする者は誰もいなかった。しかし、『芽むしり仔撃ち』 で. 短編の中で、監禁状態に最後まで抵抗を続けたり、脱出に成功. 「監禁されている状態、閉ざされた壁の中に生きる 大江は、 状態」を、自身の初期作品の主題として位置付けている。初期. 近代文学研究室 〇四六二 高橋 遼. とが分かった。また、この死を実感したことで、信太郎は最終. 近代文学研究室 〇四四九 佐々木梨乃. 的に母から自立せざるを得なくなったと考えられる。. 描かれている監禁状態の要素が含まれていることも判明した。. にも閉ざされているというものであり、大江の初期短編の中で. 次々と応じていく中、なぜ 「僕」だけが最後まで抵抗を続けたの. 以上のように、三つの観点から分析を行った結果、本作品に は信太郎の母からの自立が描かれているということが分かった。. - 69 -.

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