シンガポールの改訂美術シラバスについて 2018年実施の小学校用美術シラバスの事例
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第70巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 70, No.2. 令 和 2 年 2 月 February, 2020. シンガポールの改訂美術シラバスについて 2018年実施の小学校用美術シラバスの事例. 佐々木 宰 北海道教育大学教育学部釧路校美術教育研究室. On the Revised Art Syllabus in Singapore : A Case of the Art Syllabus for Primary Schools Implemented in 2018. SASAKI Tsukasa Department of Art Education, Hokkaido University of Education, Kushiro Campus. 概 要 シンガポールの小学校及び下等中学校の美術シラバスが改訂され,2018年から実施されてい る。これまで,多民族・多文化社会を内包するシンガポールにおいて,ナショナル・カリキュ ラムとして示される美術シラバスは,民族的なアイデンティティとともに,国民的なアイデン ティティの形成に関わってきた。21世紀コンピテンシー育成を目指した今世紀の美術シラバス では,視覚リテラシー育成に主眼が置かれ,視覚的な事象を意味づけつつ国民的な文化意識を 形成する方針に変化した。そこで求められている美術教育の機能は,かつての美術教育に見ら れた多民族・多文化社会における「エスニシティの可視化」という段階を超えて,多民族社会 の文化的な紐帯となる国民的な美術文化の創出に向けたナショナル・アイデンティティの育成 へと変わりつつあった。. はじめに シンガポールの学校教育における各教科の教育課程の基準は,教育省が発行する「シラバス」と呼ばれる 文書によって示されている。シラバスには各教科の性格,目標,内容,指導計画の作成や評価などの留意点 が記述されており,学校や教師はこれをもとに教科の教育課程を編成する。教育課程の編成基準としてのシ ラバスの性格や内容及び構成は日本の学習指導要領によく似ており,10年程度の間隔で改訂される点もまた 同様である。ただし,学習指導要領が小学校,中学校などの学校種ごとに全教科一斉に改訂されるのに対し て, シンガポールのシラバスは教科ごとに異なるタイミングで改訂される。つまり,学校種や教科によって,. . 297.
(3) 佐々木 宰. 改訂年や実施年が異なるのである。 近年,美術シラバスが改訂され,小学校(Primary School)や下等中学校(Lower Secondary School) では2018年から実施されている。従前のシラバスは2009年実施であったので,今次の改訂は9年ぶりである。 また,新たに上等中学校(Upper Secondary School)の普通(技術)コースのシラバスが示され,2019年 から実施されている。従前のシラバスは,小学校と下等中学校を一本化し,初等及び中等教育を見通した美 術教育のカリキュラムを提示したものであったが,今次の改訂ではこれとは逆に学校種ごとに分冊化されて いる。さらに,上等中学校のシラバスが初めて示されたことも,これまでの改訂と大きく異なる点である。 したがって,一見すると今次の改訂は統合的な美術教育から分化へ,という志向性をもっているかのように 映る。 シンガポールの美術シラバスは,佐々木によって継続的にその詳細が報告されてきた1)。本稿では,改訂 美術シラバスの中でも小学校の美術シラバスを事例として,まず,シンガポールにおけるシラバス改訂の歴 史を概観した上で,今次の改訂シラバスの特徴を押さえ,従前のシラバスからの大きな変更点を抽出するこ とを第一の目的とする。さらに,今次の改訂の背景にある教育改革や社会状況を踏まえて美術教育に求めら れている教育機能を明らかにすることを第二の目的とする。 考察の対象とする改訂シラバスは,小学校美術シラバス2)であるが,内容の比較のために下等中学校美術 シラバス3),上等中学校・普通(技術)コース用美術シラバス4)及び従前のシラバスにも言及する。. 1.シンガポールの美術シラバス変遷と今次の改訂 ⑴ ナショナル・カリキュラムとしてのシラバスの意義 シンガポールのシラバスはナショナル・カリキュラムであり,国内の学校に対して統一的・標準的な基準 として作用する。日本の学習指導要領も同様にナショナル・カリキュラムであるが,シンガポールの歴史や 社会的な背景を考えるとき,カリキュラム(教育課程)の統一性や標準性は日本とは異なった文脈で解釈さ れる。 というのも,シンガポールはイギリスの植民地統治によって開発され,それに伴う移民を祖先にもつ華人 系,マレー系,インド系及びその他の住民で構成される多民族・多文化国家だからである。それぞれの民族 は独自の言語,宗教,伝統文化や生活習慣をもち,さらに旧宗主国のイギリスの文化が社会基盤の形成に大 きく作用している。つまり,シンガポールのカリキュラムの「統一性」や「標準性」は,このような多民族・ 多文化社会を貫き,文化的な背景が異なる人々が共有できる価値観の属性として解釈されるのである。 シンガポールは,19世紀初頭からイギリスの植民地政策によって港湾都市として開発された歴史をもつ。 当時の住民の多くは中国南部,インド南部,マレー半島からの移民であり,学校教育は民族や地縁等による コミュニティごとに,それぞれの祖国や故郷の制度や内容を踏襲して行われた。第二次世界大戦中は日本軍 の占領を受けて,日本語をはじめとした同化教育が行われた。戦後にイギリス統治が復活し,段階的な自治 権が認められる1950年代の半ばころから,それまで各民族がばらばらで行っていた学校教育を統一化しよう とする動きが現れる。つまり, 「ナショナル・カリキュラム」の発想が生まれ,統一シラバスの必要性が認 識されるのである。 この後,シンガポールはマラヤ連邦が提唱したマレーシア連邦構想に参加し,1963年にマレーシア連邦の 属州として,イギリスからの独立を果たす。ところが,民族構成比の違いから中央政府との対立が先鋭化し て,1965年にマレーシア連邦から追放され,シンガポール共和国として独立する。これに呼応して,人々の アイデンティティは,植民地の住民から自治州の住民,マレーシア連邦の国民,シンガポール共和国の国民. 298.
(4) シンガポールの改訂美術シラバスについて. へと移り変わっていく。このような建国に至る歴史的な経緯を踏まえると,ナショナル・カリキュラムの存 在は,教育を通して「ネイション」としてのアイデンティティをどのように解釈するか,ということに深く 関わっているといえる。 多民族社会を内包するシンガポールの人々は,それぞれの民族的なアイデンティティと同時に,シンガポー ル国民としてのアイデンティティが求められている。前者は慣習に従った日常生活を通して自然に意識され 得るものだが,後者はそのようなわけにはいかず,それを必要とする当事者が新たに創出するしかない。シ ンガポールの教育では,このアイデンティティの二重性をどう取り扱うか,すなわち民族的アイデンティティ の形成と同時に,国民統合を果たすカリキュラムの在り方が課題であった。 ⑵ 美術シラバスの変遷 シンガポールの最初の統一的な美術シラバスは,1959年に示された小学校・下等中学校用のもので,当時 の教科名はArt and Crafts(華語表記では「美術輿工芸」)とされていた。この当時のシンガポールはイギ リス連邦内自治州であったから,正式には「国家」ではないものの,このシラバスは初めて国家的な美術教 育の標準を示したものといえる。その2年後の1961年には,早くも改訂版シラバスが示された。 1965年に共和国として独立してからの教育は,自治州時代の方針を踏襲して進められていくが,美術シラ バスの改訂にはなかなか至らず,ようやく1971年から1973年にかけて小学校用のみが改訂されている。1970 年代のシンガポールの教育は総じて失敗であったと評価され,その反省に立って大規模な教育改革が断行さ れた。その結果,1980年代からは能力主義に基づいた複線型の学校制度が実施され,複線化に対応して美術 シラバスもコース別に示されることになった。例えば,小学1~3年普通コース用(1983年),小学4~6 年普通,拡張,単言語コース(1983年),中学1~2年快速,特別コース(1983年),小学7~8年拡張コー ス(1986年)という具合である。 これらは,1990年代のコースの整理に伴って,小学用(1992年)と中学用(1992年)のふたつにまとめら れる。その後,中学用は「視覚芸術(Visual Arts) 」という教科名での改訂シラバス(2001年),小学用は 従来の教科名での改訂シラバス(2002年)が示された。2008年には,小学・中学ともに「美術(Art) 」と いう教科名になって,一つにまとめられた小中合冊のシラバスが示され,2009年から実施された。 このように,シンガポールの美術シラバスの改訂の過程は非常に複雑であるが,美術シラバスが抜本的に 改訂されたのは,1980年代である。教育省に新たに組織されたカリキュラム開発研究所(Curriculum Development Institute, Singapore)が中心となって,美術シラバスと同時に,これに準拠した美術教科書 を編纂し,さらに教師用の指導書まで発行した。シンガポールで美術教科書が刊行されたのはこのときが初 めてであり,その後小学校教科書は1990年代に若干の改訂をするが,小学校・中学校ともに1990年代末まで 使われ続けるのである。 中国,マレー,インドの美術・造形文化のバランスに配慮しながら民族的な造形を教材として採用し,西 洋美術とともに「シンガポールの美術」を教育内容として盛り込んだこの教科書の意義は極めて大きい。 1980年代から1990年代の美術教育は,シラバスと教科書による「エスニシティの可視化」と「国民美術の創 出」が図られていたといえる5)。 ところが,今世紀になってからは,民族的な造形は比較的抑制気味になり,その代わりにシンガポーリア ンとしての文化的な価値観,美術を通したナショナル・アイデンティティ―が強調されるにようになる。さ らに,従来の表現活動や制作主体の美術教育から,視覚リテラシーの育成を主体にした教育へと切り替えら れた。この背景には,1990年代末からの多くの国々で進められた21世紀へ向けた教育改革の流れがあり, 2018年実施の最新の美術シラバスは,こうした路線の延長上にある。. . 299.
(5) 佐々木 宰. 2.2018年実施シラバスの背景と基本的な特徴 ⑴ 21世紀コンピテンシーと期待される教育成果 前述の通り, シンガポールでは21世紀社会に対応した教育改革が1990年代末から進められた。 「考える学校, 学ぶ国家」 (Thinking Schools, Learning Nation)というスローガンのもとで,教育の情報化,考える技術 の重視,国民教育の推進を柱とした施策が実施された。2001年及び2002年のシラバスはこの教育改革の方針 を反映したものとなった。さらに,2005年からは, 「少なく教え,多くを学べ」(Teach Less, Learn More) というスローガンが掲げられ,シラバスの合理化やより柔軟な教育機会の提供が行われた6)。2009年実施の 美術シラバスは,この方針を受けている。 さて,今次のシラバス改訂の背景には,従来からの「少なく教え,多くを学べ」を維持しつつ,いわゆる 21世紀型スキル(21世紀コンピテンシー)の獲得を目指していこうとする基本方針がある。グローバリゼー ション,人口の変化,技術革新などが予想される未来社会に対応するために,教育省は21世紀コンピテンシー と生徒の達成目標の構造図を示した(図1参照)。この図は三つの同心円で示されており,中央の核となる 層には「中心的価値」(コア・バリュー)が置かれている。その外側の中間層には,「社会的・情緒的コンピ テンシー」として「自己意識」 「自己マネジメント」 「社会的意識」 「関係マネジメント」 「責任ある意思決定」 が示されている。さらにその外側には,グローバル化された世界で生きていくためのコンピテンシーとして, 「市民リテラシー,グローバル意識と異文化スキル」「批判的・革新的思考」「コミュニケーション,コラボ レーションと情報スキル」が示されている。 この21世紀コンピテンシーの外縁には,教育を通して育成が望まれる具体的な人間像が「期待される教育 の成果」 (Desired Outcomes of Education,略称DOE)として示されている。それは, 「自信をもった個人」 「自主的な学習者」「積極的な参与者」「思いやりのある市民」の4つである。 このような21世紀型のスキルの獲得と,期待される人間像の達成が,現在のシンガポールの教育の基本的. ション,コラ ケー ボレ ュニ ー ミ シ コ. 自己意識. 責任ある 意思決定. 自 主. 市民リ テラ シ ―. グ ,. ル スキ 情報 と ン ョ. 自己 マネジメント. 中心的 価値. 社会的 意識. 与. や. り. 批判. 市. 民. 参. い. の あ る. 的・革新的思考. な. 思. 関係性 マネジメント. 者. 人 個 た っ. 者 習 学 と ル意識 異文化スキ な ーバ 的 ル ロ. 自信 を も. 姿勢であり,これに基づいて美術はもとよりすべての教科や領域におけるシラバスが策定されている。. 積. 極. 的. 図1 21世紀コンピテンシーと生徒の達成目標7). 300.
(6) シンガポールの改訂美術シラバスについて. ⑵ 美術シラバスの基本構成と美術教育の目標 従前の2009年実施の美術シラバスは小学校と下等中学校の合冊であったが,2018年実施のシラバスではこ れが別々になり,さらに上等中学校の技術コース向けの2019年実施シラバスが示された8)。それぞれの学校 種のシラバスは,記載内容について若干の違いはあるものの,基本的な構成はほぼ共通している(表1参照)。 表1 各学校種における美術シラバスの構成 小学校. 下等中学校. 上等中学校・普通(技術)コース. 1.シンガポールにおける美術教育 ・21世紀の美術教育の哲学と価値 ・学校における美術教育の目標 ・小学校における美術. 1.総論 ・21世紀の美術教育の哲学と価値 ・学校における美術教育の目標 ・中等カリキュラムにおける下級中 学美術の位置. 1.シンガポールにおける美術教育 ・21世紀の美術教育の哲学と価値 ・学校における美術教育の目標 ・普通(技術)美術カリキュラム. 2.小学美術シラバス ・小学美術シラバスの概観 ・シラバスの目的 ・シラバスの枠組み ・美術におけるねらい ・学習領域,キー・コンピテンシー と学習成果. 2.内容 ・美術学習の枠組みと達成目標 ・ねらい ・学習領域,コンピテンシーと学習 成果 ・学習の要素. 2.普通(技術)美術シラバス ・普通(技術)美術シラバスの概要 ・シラバスの目的 ・シラバスの枠組み ・ねらい ・学習領域,キー・コンピテンシー と学習成果. 3.内容 ・文脈 ・美術的なプロセス ・視覚的な質 ・媒体(メディア) ・コア及びアクティブな学習経験. 3.指導法 ・教授学的実践 ・ポジティブな教室の文化 ・指導の準備 ・指導の実演 ・評価とフィードバック. 3.内容 ・美術実践:文脈,美術的なプロセ ス,視覚的な質,媒体(メディア) ・スコープとシーケンス. 4.指導法 ・教授学的実践 ・ポジティブな教室の文化 ・指導の準備 ・授業の実演 ・評価とフィードバック. 4.評価 ・評価の役割 ・美術における学習のための評価 ・美術における学習の評価 ・バランスの取れた評価システム ・評価のモード. 4.指導法 ・教授学的実践 ・ポジティブな教室の文化 ・指導の準備 ・指導の実演 ・評価とフィードバック. 5.評価 5.参考文献 ・学習をサポートする全体的な評価 ・美術における評価の目的 ・美術における評価の本質 ・美術における評価へのアプローチ. 5.評価 ・評価の枠割 ・美術のためのバランスの取れた評 価計画 ・普通(技術)の美術における評価 のアプローチ. 6.参考文献. 6.参考文献. 7.謝辞. 6.謝辞. 7.謝辞. 特に,冒頭には「シンガポールにおける美術教育」という章が設けられ(下級中学用は「総論」),その中 の「21世紀における美術教育の哲学と価値」,「学校における美術教育の目標」については完全に共通してお り,初等中等教育を貫くシンガポールの美術教育の基本的な姿勢をよみとることができる。 その「21世紀における美術の哲学と価値」では,美術をどのように捉えるかが述べられている。シンガポー ルの美術教育における美術観ともとれるこの文章を,多少長くなるが以下に引用する。 「美術は,歴史上,極めて重要な人間の表現のモードである。私たちの生活のなかで,美術は多くの重要. . 301.
(7) 佐々木 宰. な役割を果たしている。美術は記憶を取り込み,考えをコミュニケートし,価値を形成し,感情を呼び起こ す。自然の中の色彩,形態,模様から,雑誌や製品,メディアに見られる日常的な映像やデザインに至るま で,いろいろな形で美術は私たちのまわりに存在する。学校のカリキュラムにおけるアカデミックな教科と 9) 」 して,美術はすべての生徒の全人的な発達のために不可欠なのである。. この記述からは,美術を絵画や彫刻といった特定の表現形式に結び付けるのでなく,「人間の表現のモー ド(在り方) 」とあるように,日常生活における視覚的な媒体を通した表現として幅広く捉えていることが わかる。 その上で,カリキュラムにおける美術の三つの価値が次のように示される。 ①美術は,社会における生徒のアイデンティティ,文化,場所の意識を育成する。 ②美術は,21世紀において,生徒が批判的に識別したり,視覚的な情報を処理したり,効果的にコミュニ ケーションをするための力を構築する。 ③美術は想像力と創造性を拡張する。 これらは,美術教育の機能や役割についてのいわば教育省の公式見解と解釈されよう。絵画や彫刻といっ た伝統的な美術のイメージから距離をとり,さらに美術を子どもの個人的な表現や情緒の問題にとどめるこ となく,社会との関わりの中で多様な価値意識の形成に関与する美術の機能や役割が意識されている。こう した傾向は, 今世紀になってからのシラバスの基本路線だが,今次の改訂ではより明確に示されたといえる。 これらの美術の機能や役割が,教育全体に求められている21世紀コンピテンシーに対応していることは明 らかである。特に興味深い点は, 「社会における生徒のアイデンティティ,文化,場所の意識を育成する」 とあるように,美術とアイデンティティ形成の関係が強調されたことである。ここでのアイデンティティと は,生徒の個人的なアイデンティティはもとより,国家的な価値観,さらに国を超えた文化や伝統に対する 意識と読み取ることができる。 さて,このような美術の位置づけを踏まえ,初等中等教育における美術教育の目標は,「シンガポールの 学校における美術教育の目標は,全ての子どもたちに次のことをできるようにすることである」とした上で, 次のように非常に簡素に示される。それは,「美術を楽しむ」「視覚的にコミュニケーションをとる」「社会 や文化を関わることを通して意味をつくる」という3点である。. 3.小学校美術シラバスにおける美術教育の目標と内容 ⑴ 小学校における美術教育の目標と枠組み 小学校のカリキュラムは, 「言語」 「人文と芸術」「理数」の3領域から構成され,美術は音楽や社会科と ともに「人文と芸術」に属する必修教科として位置づけられている。美術は小学校修了試験の科目ではない が,週あたり連続2単位時間(1単位時間は30分)以上の実施が求められている。 前述した初等・中等教育における美術教育の目標を受けて,小学校美術シラバスの目標もまた,「すべて の生徒を,次のことを通して活動的なアーティスト,知識をもったオーディエンスへと発達させることであ る」とし,次の4項目が示される。 ①身のまわりのものを発見したり追求したりする視覚的な探究のスキル ②美術の制作とディスカッションにおける好奇心,想像力,喜び ③個人やグループにおいて,アイデアをもったり,作品を創作したりする自信 ④シンガポールや世界における主要な美術作品や作家の歴史や文化への意識と敬意 つまり,これら4つの属性を備えた表現者(アーティスト)や鑑賞者(オーディエンス)へと生徒を育成. 302.
(8) シンガポールの改訂美術シラバスについて. することが,小学校の美術教育の目標であると理解できる。そして,この目標を達成するために,美術の学 習指導に関する様々な要素とその構造が,「小学校シラバスの枠組み」として図示されている(図2参照)。 この構造図は,ヨハネス・イッテンの色相環の形式を援用して示されている。図中の美術教育の要素と色彩 との関係に特別な意味はないのだが,美術の指導のための諸要素を類別して階層化し,同心円状に配置され ている。 まず,中心におかれた三角形は,美術の指導において焦点をあてるべき「3つのねらい」を三方に置いて 表したものである。その3つのねらいとは,「新しい方法で見ることを助長すること」,「私たちの世界につ いての物語を伝えること」,「いかに生きるかに影響を与えること」である。 三角形の外周には,美術の「3つの学習領域」を置き,それぞれに「見る」「表す」「鑑賞する」を置いて いる。学習領域「見る」は,観察・調査に関わるコンピテンシーを,学習領域「表す」は,創造・革新に関 わるコンピテンシーを,そして学習領域「鑑賞する」は,関連・反応に関わるコンピテンシーを育成するも のとされている。その外周に,学習内容が「文脈」「美術的なプロセス」「メディア」「視覚的なクオリティ」 として示されている。そしてこれらを包摂する最も外側には,アーティストとオーディエンス,すなわち育 成を目指す生徒の在り方が示されているのである。. アーティスト. 新. 査. る. 調. ・. 見. 察. 観. ス セ 革. ・. す. 造. 私たちの 世界についての 物語を語る. 鑑賞する. メディア. 美術. いかに 生きるかに 影響を与える. 表. 新しい 方法で見る ことを助長する. 創. なクオリテ ィ 覚的 視. 美術的な プ ロ. 関連・反応. 文 脈. オー. ディエンス. 図2 小学校美術シラバスの枠組み10). ⑵ 小学校美術シラバスの学習内容 さて, 上記のような目標や学習領域に対応した美術の学習内容は,前述の通り「文脈」 「美術的なプロセス」 「メディア」 「視覚的なクオリティ」の4つが主たる構成要素として示されているのだが,これだけでは極 めて抽象的で,何が学習内容に相当するのか理解しがたい。 例えば,日本の学習指導要領では絵や立体,工作といった具体的な美術の表現活動が内容として例示され るが,こうした内容の分野は,構造図(図2)上の構成要素の階層では見あたらない。実は,絵や立体といっ た具体的な表現活動は, 「メディア」の中の美術形式の一つとして例示されているのである。日本では「内容」 として直ちにイメージされる絵を描いたり,彫刻を作ったりなどの表現活動は,シンガポールでは学習内容 の多様なとらえ方のうち,素材と表現形式からなる「メディア」という視点から解釈したものの一つに過ぎ ない,と理解されよう。 つまり,絵や立体,工作に表すなどの特定の美術の表現形式に基づく活動は,生徒が学ぶ内容の一つの形 式であって,この他にも生徒が学ぶ内容はさまざまに設定できる,ということなのであろう。小学校6年間 の美術の学習を通して「生徒が学びとる内容」は何か,という問いへの答えを探そうとするとき,「それは. . 303.
(9) 佐々木 宰. 絵(絵画)である」あるいは「立体(彫刻)である」という回答がいかに断片的であるかがわかる。 このような前提にたって,あらためてシラバスに示された「学習内容」の4つの構成要素である「文脈」 「美術的なプロセス」「メディア」「視覚的なクオリティ」の内実を捉えると,次のようにまとめることがで きる。 ①文 脈 作品の主題(人々,場所,もの,出来事)や美術の形式,作家の思想やインスピレーションの背景,彼ら の創造的な制作過程など,美術の表現を理解するための文脈を学ぶ。生徒作品はもとより,シンガポールや 国際的な作家までの幅広い美術を事例に,「自分自身と今現在の環境」「シンガポールの過去,現在,未来」 「私たちが暮らしている世界と地域」に焦点を当てながら,制作やディスカッションを通して学ぶ。 ②美術的なプロセス 生徒の制作活動は,作家と同じように多様な美術的な過程を経る。思考やイメージ,創造力や新しい表現 に取り組むなど,作品の完成に至るプロセスには様々な要素とかかわりながら,表現物としての色や形に反 映されていく。シラバスでは,「発想」「想像力」「実験」「素材性」「感情」「プレゼンテーション」の6つの キーとなる要素が示されている。 ③視覚的なクオリティ 視覚的なクオリティとは,美術(視覚芸術)の要素とデザインの原理を指す。美術は視覚的な形象を用い たコミュニケーションの一形態であるから,そこで用いられる視覚的な形象はいわば言語として機能し,デ ザインの原理は視覚言語のいわば文法である。生徒は,多様な美術の中でこうした美術の要素やデザインの 原理がどのように使われているかを学び,さらに自分の表現活動に応用することを学ぶ。具体的には次表の ように例示されている(表2参照)。 表2 美術の要素とデザインの原理 美術の要素. デザインの原理. 点,線,面,形,色,テクスチュア,空間, 大きさ,多様さ,均衡,対比,リズム,調和,支配Dominance,比 トーン 率Propotion,パターン・繰り返し. ④メディア ここでのメディアとは,表現の媒体となる具体的な材料や,表現の技法を指しており,それらに応じた表 現形式との対応が示されている。すなわち,自分の意図に応じた技法や材料,用具,方法としての学習内容 である。次表のような美術の形式とメディアの対応が例示されている(表3参照)。 表3 美術の形式とメディア 美術の形式 ドローイング ペインティング. メディア(媒体) 鉛筆,色鉛筆,インク,マーカー,クレヨン,オイルパステル,チョーク 水彩,アクリル,テンペラ. 写真・動画・技術 デジタル,グラフィックデザイン,ビデオアート,アニメ,粘土アニメ,コマ撮り ミクストメディア コラージュ,アッサンブラージュ,多様なメディアのミックス 版画. エッチング,モノプリント,スプレーペインティング,ブロックペインティング. 彫刻. 人形,陶芸,アッサンブラージュ,モザイク,紙,プラスティック,樹脂粘土,身近なもの,針金. テキスタイル. 304. バティック,マーブリング,スタンプ,ファッションデザイン.
(10) シンガポールの改訂美術シラバスについて. ⑶ 小学校美術シラバスに見られる美術教育観 これまで見てきたように,2018年実施の小学校美術シラバスにおける目標と内容は,シンガポールの教育 全体の方針,すなわち図1の「21世紀コンピテンシーと生徒の達成目標」に示されたコンピテンシーの育成 とDOE(期待される教育の成果)に基づいていることが理解できる(図1参照)。この図の中央に位置する「中 心的価値」を生徒一人ひとりのアイデンティティに例えるならば,同心円の外縁にあるDOEは社会的な存 在として望まれる個人の属性であると解釈できる。つまり,円の中心から外側に向かって,個人的な価値観 から,より拡張された社会的な属性を獲得していく過程として,この図を理解することができるのである。 同じ構造は,図2の「小学校美術シラバスの枠組み」に重ねて見ることができる(図2参照)。色相環の 中央に「美術のねらい」が置かれ,このねらいを達成した生徒像としての「アーティスト」と「オーディエ ンス」が外縁に置かれている。図の中心から外側へ向かって, 「見る」「表す」「鑑賞する」という学習領域, 「文脈」 「美術的プロセス」 「メディア」 「視覚的クオリティ」という学習内容が示され,美術教育を通して 目指す生徒の姿が具体化されていく格好になっており,図1と同じ構造であることがわかる。 このことからも明らかなように,このシラバスの目標は,望まれる人間像やコンピテンシーを起点にして 導かれたものである。いわゆるコンピテンシー・ベースに立脚して,「何を教えるか」ではなく「どのよう な資質・能力を形成するか」という点に力点が置かれている。その資質や能力育成のために,もっとも適切 な内容が準備される,という考え方である。そのために,美術教育の学習領域や学習内容は,具体的な表現 形式に特定されていないのである。. 4.シンガポールの美術教育の方向性 ⑴ 視覚リテラシーの育成とナショナル・アイデンティティ 本稿では,シンガポールの教育における美術シラバスの位置づけを踏まえたうえで,シラバスの変遷の概 略を概観し,2018年実施の美術シラバスの全体的な傾向と小学校美術シラバスの目標や内容について,その 特徴を明らかにしてきた。 かつての美術シラバスは,西洋美術と並行して民族の文化的な造形文化や美術を取り上げることで,多民 族社会における民族的なアイデンティティと,統一的なナショナル・アイデンティティ形成を意識したもの であった。すなわち,シンガポールの美術教育には「エスニシティの可視化」と「国民的な美術の創出」と いう多民族・多文化国家特有の機能が認められていた。 しかし,今世紀に入ってからは,民族を超えたシンガポール国民としてのナショナル・アイデンティティ が強調され,民族的な造形文化の学習は相対的に抑制された。その背景には,1990年代後半から進められた 21世紀に向けた教育改革がある。中でも国民教育(National Education)の教育施策が影響していると考え られる。同時に,美術シラバスにおいて「視覚リテラシー」の育成が重視されてきたことも,ナショナル・ アイデンティティの強調に影響していると考えられる。 当時,OECDが提唱した21世紀のキー・コンピテンシーの考え方は世界的なトレンドとなり,美術教育に おいては「視覚リテラシー」がこれに相当するものとして解釈された。社会生活における視覚的な事象を取 り上げ,表現の意図や方法を解釈したり,表現を意味づけたりする視覚リテラシーは,多様な文脈で活用で きる汎用性に主眼が置かれている。そのため,特定の民族文化の固有性に焦点をあてる教育内容は抑制的に なっていったと考えられる。 むしろ,現代的な文脈における新しい国民的な文化的価値を創造しようとする志向性が高まり,国民教育 の施策と歩調を合わせる形で,視覚リテラシー重視の美術教育が展開された。例えば,従前の2009年実施シ. . 305.
(11) 佐々木 宰. ラバスにおける美術教育の目的は, 「すべての生徒に,視覚的に読みかきができるようにすること,美術を 「見えるものを観察, 鑑賞できるようにすることである」とされている11)。「視覚的に読み書きをする」とは, 理解, 意味づけすること」や「視覚的なものを使ったり作ったりして他者とコミュニケーションをとること」 と説明されている。また,「美術の鑑賞」とは,「美術の価値を理解したり,生活との関わりを認識したりす ること」と説明されている。したがって,今次の2018年実施シラバスがこの路線を踏襲していることは明ら かである。 2018年実施シラバスでは,よりコンピテンシー・ベースの美術教育が志向され,目標,学習領域や学習内 容にかかわる要素が構造化されていることが大きな特徴である。シラバスの巻末にある参考文献をみると, 教育の理論的な根拠は1990年代後半以降の欧米の研究によっていることがわかる。特に,21世紀における美 術教育の価値を想定するにあたっては,アイスナー,グリーン,ヘトランドとウィナーらの研究が参照され ている12)。シンガポールの新しい美術シラバスは,いわば世界的な趨勢を受けて21世紀型スキルの育成を 構想したカリキュラムであるといえる。そこで求められている美術教育の機能は,かつての美術教育に見ら れた多民族・多文化社会における「エスニシティの可視化」という段階を超えて,多民族社会の文化的な紐 帯となる国民的な美術文化の創出に向けたナショナル・アイデンティティの育成へと変わりつつあると考え られる。 今世紀になって,新しいタイプの芸術中等学校の開校,国際的な現代美術展「シンガポール・ビエンナー レ」の開催,アジアで最大規模となる国立ギャラリーの開館など,シンガポールは芸術文化振興政策を打ち 出すことによって,知識基盤経済に対応した創造都市への脱皮を図ろうとしている13)。このような文脈で シンガポールの新しい美術シラバスの目標や内容を解釈すると,エスニシティを超えた「シンガポーリアン」 としてのアイデンティティに支えられた文化創造に寄与する能力育成が,美術教育の機能として期待されて いることがわかる。以上を,本稿の結論として示す。 ⑵ コンピテンシー・ベースの美術教育と美術文化の行方 ところで,内容ベースからコンピテンシー・ベースへ,という流れは日本の学習指導要領にも反映されて いる。平成29年度告示の小学校及び中学校学習指導要領では,すべての教科の目標が,①知識及び技能,② 思考力,判断力,表現力等,③学びに向かう力,人間性等,という3つの「資質・能力」の観点で再編され た。小学校図画工作や中学校美術の教科目標についても,3つの「資質・能力」に対応するように設定され ている。 学校教育の機能や役割を,21世紀社会に対応できる資質や能力形成という視点で捉え,カリキュラムを編 成することは,現代の世界的な教育のトレンドである。教育による人的資源の開発・確保が国家の存亡を左 右するシンガポールにおいては,この方向性は強固に堅持されるであろう。 他方,こうしたコンピテンシー・ベースのカリキュラムにおいて,教育内容やその母体となる文化の固有 の価値はどのように扱われるのか,という疑問が残される。前述の通り,1990年代までのシンガポールの美 術教育には, 「エスニシティの可視化」の機能によって民族的な造形文化を意図的に教育内容に取り込んで いた。例えばマレーの造形文化の教材は,マレー系の生徒にとっては伝統文化の伝承という意味をもち,華 人系やインド系の生徒にとっては異文化理解という意味をもった。このような教育実践には,文化そのもの に価値をおき,その伝承と教育を通して資質形成を図る,という教育観が背景としてある。 美術教育において教育内容の母体となる美術文化や造形文化は,それ自体に存在の価値があるのであって, 教育内容のために存在するものでないことは明らかである。つまり,美術作品や表現活動はそれ自体に価値 をもつものであり,それは子どもの表現活動であっても基本的に変わらない。. 306.
(12) シンガポールの改訂美術シラバスについて. コンピテンシー・ベースの美術教育は,開発するべき資質・能力がまず設定され,これに適した美術の内 容が選択される。この過程では,美術文化の価値は教育内容としての妥当性に照らして判断される。能力獲 得という目的のもとで美術の価値が相対化されるなかで,美術文化の多様な価値がいわば「取りこぼされる」 事態が生じないかが危惧される。 しかしながら,多様な民族的な文化とともに多民族社会における新しい統合的な文化創造やアイデンティ ティ形成の教育として機能するか,シンガポールの美術教育はアジア地域における大胆な試みである。その 成果が,多民族・多文化社会を抱える国や地域の美術教育に示唆するものは大きい。今後の展開を注視した い。. 注 1)佐々木宰,「シンガポールの教育改革と初等学校図画工作新シラバス」 , 『美術教育学』 ,第26号,美術科教育学会,2005, pp.195-207.佐々木宰,「シンガポールの初等学校美術教育における新シラバスと教科書:2009年実施のシラバスと教科書 に基づいて」,『大学美術教育学会誌』,第34号,2013,pp.205-216.佐々木宰,「自治政府成立期のシンガポールにおける美 術教育課程:1959年及び1961年美術工芸シラバスに基づいて」 , 『美術教育学研究(大学美術教育学会誌) 』 ,第47号,2015, pp.127-134. 2)Student Development Curriculum Division, Art Syllabus: Primary One to Six, Implementation starting with 2018 Primary One Cohort, Ministry of Education Singapore, 2018. 3)Student Development Curriculum Division, Art Syllabus: Lower Secondary, Implementation starting with 2018 Secondary One Cohort, Ministry of Education Singapore, 2018. 4)Student Development Curriculum Division, Art Syllabus: Upper Secondary, Normal (Technical) Course, Implementation starting with 2019 Secondary Three Cohort, Ministry of Education Singapore, 2018. 5)佐々木宰, 「多民族・多文化社会における美術教育の機能:アジアの美術教育に見るエスニシティの可視化」 『美術教育学』, , 第40号,美術科教育学会,2019,pp.203-205. 6)佐々木宰・中西紗織・福田隆眞,「シンガポールの芸術振興政策と芸術教育:School of the Arts Singaporeの事例」,『北 海道教育大学紀要(教育科学編)』,第65巻第1号,2014,pp.73-88. 7)前掲2),p. 4に掲載されている図を佐々木が和訳して再構成した。 8)シンガポールの中学校は,前期2年間の下等中学(Lower Secondary)と後期2年間の上等中学(Upper Secondary)か らなる。また,小学校修了試験の成績に基づいて,中学校は「快速コース」 「普通(学術)コース」 「普通(技術)コース」 に複線化する。 9)前掲2),p. 3,原文は英語,和訳は佐々木による。 10)前掲2),p. 9に掲載されている図を佐々木が和訳して再構成した。 11)Ministry of Education, Singapore, Art Syllabus, Primary & Lower Secondary, Ministry of Education, Singapore, 2008. 12)Eisner, E. W., The arts and the creation of the mind, 2002, Yale University Press. Greene, M., Releasing the imagination: Essays on education, the arts, and social change, 1995, Jossey-Bass Publishers. Hetland, L., Winner, E., Veenema, S. & Sheridan, K.,. Studio Thinking 2: The real benefits of visual arts education, 2013, Teachers College Press. 13)前掲6). 参考文献 ・OECD教育研究革新センター,篠原康正・篠原真子・袰岩晶(訳),『アートの教育学:革新型社会を拓く学びの技』 ,明石 書店,2016. ・Constable, Martin., Chen, Yanyun. and the Ministry of Education, Singapore., 50 Drawing Exercises, Singapore Teachers’ Academy for the aRts (STAR) for Art Teachers in MOE Schools, 2016. ・Hetland, Lois., Winner, Ellen., Veenema, Shirley. and Sheridan, Kimberly M., Studio Thnking 2: Second Edition, Teachers College Press, 2013.. . 307.
(13) 佐々木 宰. ・Lum, Chee-Hoo. (ed.), Contextualized Practices in Arts Education: An International Dialogue on Singapore, Springer, 2013.. 付 記 本稿は,JSPS科研費JP15K04391「多民族・多文化国家シンガポールの美術教育における教育課程と国民 統合に関する研究」の助成を受けた研究成果を含んでいます。 本研究の調査にあたっては,南洋理工大学シンガポール国立教育学院のケック・ビリアン講師,ラム・チー フー准教授,元教育省カリキュラム開発研究所のヌイ・ジミー・キムチュー氏,ユー・ホックバン氏,チョ ン・フォンリン氏の多大な協力を得ていいます。ここにあらためて感謝の意を表します。. Acknowledgement I wish to express my gratitude to Ms. Kehk Bee Lian, Lum Chee Hoo (National Institute of Education, Singapore), Mr, Jimmy Ngui Kim Choo, Mr. Yew Hock Ban and Ms. Chong Fong Lin (Curriculum Development Institute, Singapore). This research was supported by a grant from JSPS KAKENHI Grant Number JP15K04391. . 308. (釧路校教授).
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