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校内外における特別支援教育の推進状況の実態把握 : 特別支援教育コーディネーターへの質問紙調査を通して

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【問題と目的】 1994年,国際連合教育科学文化機関(UNESCO) とスペイン政府ではスペインのサラマンカで開催 された「特別なニーズ教育に関する世界会議」に おいて,障害3のある子どもを含めた万人のため の学校を提唱した「サラマンカ宣言」を採択した. この宣言では,インクルージョンの原則(すべて の人を含み,個人主義を尊重し,学習を支援し, 個別のニーズに対応する施設に向けた活動の必要 性の認識)が示された.この流れを受け,世界保

1 医療法人 真愛会 高宮病院 Medical corporation, Shinai-kai, Takamiya hospital

2 徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部 Institute of Socio-Arts and Sciences, Tokushima University 3「障害」という表記については他に「障がい」「障碍」という表記があり,「障害の表記に関する作業チー ム」(内閣府,2010.11.20)などで検討中であるため,本論文では「障害」と表記する。

校内外における特別支援教育の推進状況の実態把握

-特別支援教育コーディネーターへの質問紙調査を通して- 髙橋 広平1 山本 真由美2

Understanding the progress situation of Special Needs

Education inside the school and outside

-Through the questionnaire survey for special needs education coordinators- Kohei TAKAHASHI1 Mayumi YAMAMOTO2

Abstract

In April 2007, because of some changes in School Education Law, special needs education has officially started and required to designate special needs education coordinators in all the kinder gardens, primary schools, junior high schools, and high schools for children who need special support in their education.

The role as a coordinator in school plays an important part and can be called a key person. However, the reality is that according to school division of duties, one teacher takes several posts along with a coordinator job.

In this research, we put this situation in mind and study how the special needs education is coped in each school by coordinators who are placed in the center for the program.

キーワード:特別支援教育,特別支援教育コーディネーター,校務分掌

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健機関(WHO)は,2001 年に生活機能と障害の 分類の見直しを行った.それまでの「障害の結果 として社会的不利が生じるから,障害のマイナス 部分を補っていく」(1980:ICIDH)という障害 観から,「障害の有無にかかわらず種々の活動参加 が可能になるような環境的条件整備が必要であ る」という考え方へ転換し,障害者の活動や社会 参加を制限する因子を,障害者個人の課題ではな く,社会全体の課題として捉え,今後の障害児教 育に欠くことのできない基本的な考え方が示され た. また,2002 年には,国連アジア太平洋経済社会 委員会(ESCAP)が滋賀県で開催された「アジア 太平洋障害者の10 年(1993-2002)」最終年ハイ レベル政府間会合において,アジア太平洋障害者 のための,インクルーシブで,バリアフリーな, かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわ こミレニアム・フレームワークが検討・採択され た.その中で教育分野も優先領域の一つとされ, 早期発見・早期対応および教育として,インクルー シブ教育への取り組みの推進がなされた. これら国際的な障害観の変容の流れも受け,国 内においても,それまでの特殊教育から特別支援 教育への転換が図られた.この転換とは,「場の教 育」から「ニーズの教育」への転換であり,「学校 に子どもを合わせる」ことから「学校が子どもに 合わせる」ことへの転換であった(花熊,2012). これまでの特殊教育は,障害の種類や程度に対応 して教育の場を整備し,小・中学校の特殊学級や 盲・聾・養護学校で支援を行うという体制を取っ てきた.しかし,通常の学級にいて特別な教育的 ニーズを示す学習障害(以下,LD と表記),注意 欠陥多動性障害(以下,ADHD と表記),高機能 自閉症等の発達障害4を抱える子どもへの支援を 考えた際に,従来の特殊教育では十分な対応がで きなかった. そこで,特別支援教育では,幼稚園・小学校・ 中学校・高等学校等それぞれの教育機関における 通常の学級を含むあらゆる教育の場で,子ども一 人一人の教育ニーズに応じた教育的支援・配慮が 求められ,教育形式の転換がなされた. 国内では,2002(平成 14)年 12 月に「障害者 基本計画」が閣議決定され,その中で教育に関し て,「障害のある子ども一人一人のニーズに応じた きめ細かな支援を行うため,乳幼児から学校卒業 まで一貫して計画的に教育や療育を行う」という 基本方針が盛り込まれた.また,2005(平成 17) 年4 月に施行された「発達障害者支援法」により, 発達障害の定義と法的な位置づけが確立され,こ れまで支援の対象から外れていた広汎性発達障害 (以下,PDD と表記),LD,ADHD5等が公的に 認定された.このように近年ではノーマライゼー ションの進展や障害の重度・重複化及び多様化を 背景に,国内外において障害のある子どものため の学校教育システムは,大きな転換期に差しか かっている(吉利・吉海,2006).文部科学省は 2003(平成 15)年 3 月の「今後の特別支援教育 の在り方について(最終報告)」の中で「通常の学 級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童 生徒に関する実態調査」の結果を示し,小学校・ 中学校の通常学級で,知的発達に遅れはないもの の,学習面や行動面で著しい困難を持っていると 担任教師が回答した児童生徒の割合は,6.3%であ ることを明らかにした.これは通常の学級に児童 生徒が40 名在籍しているならば,どの学級にも 2 ~3 人は対象の児童生徒がいることになる.学習 面では「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」 「推論する」等の困難から授業について行けず, 行動面では不注意や多動性―衝動性,対人関係や こだわり,あらゆる事柄に対する不器用さから, 学校生活の不適応につながっている児童生徒が通 常の学級に在籍している.最終報告においては, 4 障害名については DSMⅣ-TR の表記に準じる。 5 同上

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柔軟で弾力的な制度の再構築,教員の専門性の向 上と関係者・機関の連携による質の高い教育のた めのシステム作りをめざして次の5 つの提言がな された.①障害のある幼児児童生徒一人一人につ いて個別の教育支援計画を作成すること,②盲・ 聾・養護学校はもとより小・中学校に特別支援教 育コーディネーターを置くこと,③行政部局間の 連携のための広域特別支援連携協議会を都道府県 に設置すること,④地域における障害のある子ど もの教育のセンター的な役割を果たす学校として の盲・聾・養護学校を特別支援学校に転換するこ と,⑤小・中学校における特殊学級や通級の指導 の制度を通常の学級に在籍した上で必要な時間の み特別支援教室で指導を受けることを可能とする 制度に一本化することとされている.2007(平成 19)年 4 月に学校教育法等の一部の改正が行われ, 特別支援教育が正式に開始された. 各学校に配置されている特別支援教育コーディ ネーター(以下:コーディネーター)の主な役割 として笹森(2012)は,①校内における役割(校 内委員会のための情報収集・準備,学級担任への 支援,校内研修の企画・運営等),②校外の関係機 関との連絡調整等の役割(関係機関の情報収集・ 整理,専門機関等への相談をする際の情報収集と 連絡調整,専門家チーム・巡回相談員との連携等), ③保護者に対する相談窓口とまとめている.これ らの役割を担うコーディネーターは特別支援教育 を各学校で進めていく上でのキーパーソンと言え る.現在,法的な整備の下,特別支援教育がスター トして 7 年目を迎え,文部科学省が 2003(平成 15)年度から実施している「特別支援教育体制推 進事業」の成果により,2011(平成 23)年には, 公立小・中学校におけるコーディネーターの指名 率及び校内委員会の設置率がいずれもほぼ 100% となる等,特別支援教育の体制は着実に整備され つつある.しかし,現状としてコーディネーター に資格制度はなく,学校長が指名するコーディ ネーターは特別支援学校教諭免許を有している者 や大学院等で専門的な研修を受けている者はほと んどいない(柘植ら,2007).つまり,特別支援 教育に対する専門的な経験や知識が十分にないま ま,支援に携わっているコーディネーターは少な くないと考えられる.また,コーディネーターは 現在学校にいる教諭の中から指名されるため,た だでさえ多忙化が指摘される今日の学校に,さら なる負担を押しつけることになり,在籍する子ど もの教育に直接携わる教諭の削減に連なるとし て,積極的に受けとめにくい状況も生み出されて いる(越野,2004).よって,今後のコーディネー ターの専門性(質的側面)の向上(三宅・横川・ 吉利,2008)を始め,学校内のすべての教諭の特 別支援教育に対する理解,校内体制の再検討等が 課題となる. 以上を踏まえた上で,現在各教育機関でなされ ている特別支援教育は,一人一人の教育的ニーズ のある子どもに対してどのような指導・支援・配 慮がされているのかということをコーディネー ターを調査対象として調べることを通して特別支 援教育推進の現状を把握することを目的とする. 本研究では特別支援教育の中核的役割を担うとさ れるコーディネーターの特別支援教育での業務や 役割についての質問紙調査を行うことによって実 態を調べる.また,その調査結果から見えてくる 課題を検討し,今後のより良い特別支援教育につ なげることは,心理臨床的に意義のあることだと 考える. 【方法】 1.調査協力者 A 県内の幼稚園(保育園・保育所),小学校,中 学校,高等学校,特別支援学校のコーディネーター を担う教諭 2.調査時期 2011 年 12 月 26 日に A 県の総合教育センター で開催された,≪特別支援教育コーディネーター

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研修会(1 年目)≫において,第一回目の質問紙 調査を実施し,176 部を配布した. 第二回目の質問紙調査は,2012 年 7 月 25~8 月23 日(全 7 日間)に A 県総合教育センターで 開催された≪特別支援教育コーディネーター研修 会(2 年目以上)≫において実施し,330 部を配 布した. 3.調査内容 (1)質問紙作成 三宅・横川・吉利(2008)を参照して作成した ものを,A 県総合教育センター特別支援・相談課 長と心理系大学院の指導教員とで内容を検討し, 質問項目の削除と追加を行った. (2)フェイスシート ①性別(女性・男性),②年代(20 代・30 代・ 40 代・50 代),③勤務校種(幼稚園・小学校・中 学校・高等学校),④教員歴(1 年目・2~5 年目・ 6~10 年目・11~20 年目・21~30 年目・31 年目 以上),コーディネーター歴(1 年目・2~3 年目・ 4~7 年目・8 年目以上). (3)調査項目 ①コーディネーターの職務に関する現状,②校 内委員会6の推進状況,③校内の関係者や関係機 関との連絡調整,④保護者に対する相談窓口,⑤ 学級担任への支援の 5 つの観点から構成した全 15 問(SQ 含めると 28 問)であった. 【結果と考察】 1.回答者の属性と回答傾向の違いについて 全 2 回の質問紙調査において,506 部のアン ケート用紙を配布し,330 部が回収された(回収 率:65.2%). (1)性別 男性 36 名(9.2%),女性 352 名(90.7%) であり,コーディネーターのほとんどが女性で あった. (2)年代別 20 代-34 名(8.7%),30 代-68 名 (17.5%),40 代-158 名(40.7%),50 代-128 名 (32.9%)であった.全国の教員年齢比と同様の 傾向であった. (3)校種別 幼稚園-117 名(30.1%),小学校-153 名(39.4%),中学校-69 名(17.7%),高等学校-41 名(10.5%),特別支援学校-8 名(2.0%)であっ た.校種別による回答傾向の差を調べるためにχ2 検定を行った.特別支援学校の母数が足りず,正 確な検定が行えなかったため,特別支援学校以外 の幼稚園,小学校,中学校,高等学校の4 つの群 として以下の検定を行った. (4)教員歴 1 年目-4 名(1.0%),2~5 年目-63 名 (16.4%),6~10 年目-24 名(6.2%),11~20 年目 -89 名(23.2%),21~30 年目-176 名(45.9%), 31 年目-27 名(7.0%)であり,21~30 年の教員歴 経験者比率が高かった。 (5)コーディネーター歴 1 年目-117 名(30.2%), 2~3年目-168 名(43.4%),4~7年目-94 名(24.4%), 8 年目以上-8 名(2.0%)であり,1 年から 3 年と いう比率が高かった. 2.アンケート内容とコーディネーターの属性に よる比較検討 質問紙の調査項目に基づき,特別支援教育の取 り組みにおけるコーディネーターの実態と意識に ついて,以下に結果を示し,考察を行う.その際, 本報告では,校種別による傾向の違いについて, 6 特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対して,全校的に適切な対応ができるようにするために, 校内に設置される,校内支援体制を支える委員会(日本LD 学会,2004,日本 LD 学会 LD・ADHD 等 関連用語集)

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主に検討を行う. (1) コーディネーターの職務に関する現状 1) 校内(園内)におけるコーディネーターの専任 率 各学校において,コーディネーターの役割だけ を担う,いわゆる専任のコーディネーターという のは,稀なケースであることが分かる(Figure1-1). 2) コーディネーター以外の役職・校務分掌 コーディネーターの職務と並行して,他の役職 を担う教員の多くは,「特別支援学級担任」(全校 種平均41.5%)や「(通常)学級担任」(28.5%)を 兼務する傾向がある.校種別に見ると,幼稚園で は特別支援学級担任がコーディネーターを担う割 合が小・中学校と比べて低い(高等学校において は,普通高校自体に特別支援学級が存在しないた め,このような結果となった)(Figure1-2).特別 支援学級担任は,日頃から支援の必要な子どもと 直接関わっているため,義務教育で比較的特別支 援教育が進められている小・中学校においては コーディネーターに指名されやすいと考えられ る.一方,義務教育ではない幼稚園や高等学校で 2% 2% 4% 10% 98% 98% 96% 90% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 Figure1-1 コーディネーター専任率 専任 専任ではない n=116 n=153 n=67 n=36 17% 4% 4% 16% 28% 3% 64% 84% 54% 93% 33% 0% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 0~10時間 11~20時間 21時間以上 n=109 n=148 n=66 n=38 Figure 1-3 一週間の担当授業時間 35% 41% 19% 69% 18% 8% 62% 19% 11% 0% 36% 47% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 特別支援学級担任 (通常)学級担任 その他 養護教諭 学年主任 保健主事 TT 教務主任 通級指導教室担当 教頭(副園長) 生徒指導主事・主任 Figure1-2 コーディネーター以外の役職・校務分掌 幼稚園 小学校 中学校 高等学校

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は,役職の名称やシステムが多少異なるため,「そ の他」に回答が集まったと思われる.その他の回 答として,幼稚園では,「加配」,「預かり保育担当」, 「特別支援員」,「主任教諭」等を兼務し,高等学 校では,「人権教育主事」,「教育相談課長」,「生徒 指導課員」,「特別支援課長」等を兼務するコーディ ネーターが目立った. 3) 一週間の担当授業時間数 コーディネーターの職務とは別に,一週間で担 当教科等の授業を受け持っている状況を校種別に 見ると学校による担当授業時間には,ばらつきが あった.小学校では9 割が「21 時間以上」と回答 しており,コーディネーターの多忙ぶりが伺える. 小学校では,基本的に受け持ちクラスの授業を担 任がほぼすべて行うため,このような結果になっ たと考えられる.また 他校種においても,「0~ 10 時間」という回答はごく僅かであり,小学校と 同様に多忙な様子が伺える(Figure1-3).Figure 1-2 の結果からも,(通常)学級担任や特別支援学 級担任がコーディネーターを担う傾向があるた め,受け持ちクラスの学級経営や担当教科の授業 及び授業準備等の本務があり,それに加えてコー ディネーターの職務がある.そのため,特別支援 教育に費やせる時間的余裕がないことが推察され る. 4) 一週間のコーディネーターとしての職務時間 コーディネーター業務にあてる週の平均時間 は,校種にかかわらず「1 時間以内」が 6~7 割を 占める結果となった(Figure1-4).これは,Figure 1-3 の結果と反比例していることがわかる.つま り,学級経営や担当教科の授業及び授業準備等の 時間が多い分,校内(園内)でのコーディネーター 業務にかけられる時間が少なくなっていることが わかる.校務分掌により複数の役職を兼務しなが らコーディネーターを担っているため,どうして も学級経営などの業務が本務となってしまい, コーディネーター業務が後回しにされやすい現状 があるように思われる.教職員が抱える役割の範 囲と負担の現状について高森(2007)は,問題なの は教員の役割があまりに広すぎること,仕事の質 が低下することは避けられないと述べている. コーディネーター業務だけにかかわらず,きめ細 かな質の高い教育を目指すのであれば,まずは教 職員の健康面を考慮し,現実可能な校務分掌シス テムが見直される必要がある.分掌業務が遂行さ れるために,管理職が教職員一人一人のことをよ く把握して,担当者の配置を行う必要があると考 えられる.小沼(1976)は,校長・教頭は分掌業 務が学校をそして担当者を変容せしめるに,極め て重要な意味をもつものであることを自覚し,担 当者の個性を最大限生かすべきであると述べてい る. 5) 校務分掌のメリット・デメリット 校 務 分 掌 の メ リ ッ ト ・ デ メ リ ッ ト に つ い て 76% 75% 63% 61% 19% 21% 26% 25% 5% 4% 11% 11% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 0~1時間 2~4時間 5時間以上 n=91 n=132 n=52 n=36 メリット 28% デメリット 9% 両方 63% n=375 Figure1-5 校務分掌のメリット・デメリットの 有無(全体) Figure1-4 一週間のコーディネーターとしての職務時間

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Figure1-5,6,7 から検討すると,校務分掌によっ て,校内(園内)の職員が各部署に振り分けられ, それぞれが組織的に機能するため,部署内での連 携や各部署間での横の繋がりを持ちやすい.その ため,教職員間の連携ができ,あらゆる視点で子 どもの実態把握ができるのだと考えられ,それが Figure1-6 で高い比率を示した項目内容につな がってくるのだと考えられる. しかし一方で,Figure1-3,4 の結果からは,他 の校務分掌がどうしても優先されてしまい,コー ディネーター業務が後回しにされやすい状況にあ ると考えられた.時間的余裕の無さが,Figure1-7 で高い比率を示した項目内容に繋がってくると思 われる.コーディネーター業務に費やす時間が長 いことは必ずしもその質の高さには直結しない が,特別支援教育の専門的な訓練や経験を積んで いない教職員であるならば,可能な限りコーディ ネーターに求められる役割を果たすことに積極的 になって,そのための時間を設ける必要があるの ではないだろうか.その時間を設ける余裕がない ことの要因として,校内体制や校務分掌上に課 題・改善点があるためではないかと考える. 校務分掌のメリット・デメリットは上記のよう に,視点の違いによって共存するのだと考えられ た.現にFigure1-5 において,最も高かったのは 「両方」という答えであった.コーディネーター が自校の校務分掌におけるメリット・デメリット を把握して,特別支援教育に取り組むことが重要 であるのではないかと考えられる. 6) コーディネーターとして重要と思う職務 校種別の結果はFigure1-8 に示す通りである. 校種に関わらず,「関係機関との連絡調整」が最も 高い比率を示し,外部の専門的視点からの支援を 求めている様子が窺えた.さらに,「校内関係者と の連絡調整」も全体的に高く,普段直接子どもの 様子を見て,関わっている校内の教職員同士での 情報交換による共通理解の重要性が窺える.この 結果は,コーディネーターが単独で動くのではな く,連携を図ることで多面的な支援を行っていく ことが必要だと感じているのだと考えられる.幼 稚園の「保護者に対する相談」が他の校種と比べ て,高い傾向にあった.この結果は,保護者と職 員との距離が比較的近いという幼稚園の特徴のた めだと考えられる.子どもの教育的ニーズに応じ た指導を進めるために下司ら(2005)は,日頃か ら保護者と学校が子どもに関する情報を提供し合 65% 58% 48% 49% 45% 21% 0% 68% 54% 49% 60% 43% 19% 1% 66% 57% 34% 57% 34% 13% 0% 70% 57% 70% 33% 37% 27% 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 子どもの実態を把握し易い 校内の職員と連携を図れる 学校全体のことを把握できる 特別支援教育の知識や経験を活かせる 障害についての理解が深まる 研修に参加し易い その他 Figure1-6 校務分掌のメリット(複数回答) 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=107 n=142 n=61 n=30

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い,協力し合う体制を作っておくことが重要であ ると述べている.校内関係者や関係機関との連携 も重要であるが,子どもの家庭での様子を知るこ とも子どもの支援を行っていく上で大切なことで あり,また,同時に保護者に対して学校(園)での 様子を伝えることも重要で,双方が子どもに関す る共通の理解をしておくことが一貫性のある支援 に繋がっていくのではないかと考えられる. 7) コーディネーターとして実際に取り組んでい る職務 校種別の結果は Figure1-9 に示す通りである. 「校内関係者との連絡調整」で,いずれの校種に おいてもFigure1-8 とは一致しなかった.これは, 時間的余裕の無いコーディネーターにとって外部 72% 27% 48% 8% 68% 21% 63% 6% 75% 40% 48% 4% 93% 22% 30% 0% 0% 50% 100% 時間に余裕がなく, 十分な支援ができない 他の校務分掌の遂行に 支障がでる 支援の必要な時に 対応できない その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 Figure1-7 校務分掌のデメリット(複数回答) n=83 n=115 n=48 n=27 77% 67% 45% 51% 37% 18% 4% 2% 80% 55% 51% 37% 50% 26% 1% 1% 80% 80% 53% 38% 37% 10% 2% 0% 78% 78% 88% 35% 20% 0% 0% 3% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 関係機関との連絡調整 校内関係者との連絡調整 学級担任への支援 保護者に対する相談 校内委員会の推進 巡回相談員への連絡を行う 巡回相談を行う その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=108 n=146 n=60 n=40 Figure1-8 コーディネーターとして重要と考えられる職務(3項目選択) 77% 55% 57% 50% 53% 44% 10% 2% 84% 72% 73% 56% 51% 69% 9% 4% 88% 64% 67% 58% 43% 46% 1% 6% 90% 63% 54% 83% 44% 32% 0% 2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 校内関係者との連絡調整 関係機関との連絡調整 校内委員会の推進 学級担任への支援 保護者に対する相談 巡回相談員への連絡を行う 巡回相談を行う その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=113 n=152 n=67 n=41 Figure1-9 コーディネーターとして実際に取り組んでいる職務(複数回答)

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の関係機関へわざわざ赴くことが現実的に容易で はないということが考えられる.そのため,同じ 校内(園内)で,子どものことを日頃から見ている 他の教職員との連携の方が行われやすいのだと思 われる.とはいえ,全体的に見ても,幅広くコー ディネーター業務がなされていることがわかる. Figure1-9 の幼稚園では「関係機関との連絡調 整」が3 番目に高かった.佐久間ら(2011)は,近 年では『小1プロブレム』の対応に合わせて,幼 稚園から小学校への円滑な移行のための幼小連携 が取り組まれ始めていると述べている.A 県の幼 稚園において,関係機関との連携は意識的に行な われていると思われる.近隣の小学校をはじめと した外部関係機関との連携は今後さらに進めてい くべき事業であると考えられる. 8) 職務を果たすために必要と思われる環境整備 校種別の結果はFigure1-10 に示す通りである. 必要な環境整備として,いずれの校種においても 最も高かったのは「特別支援教育への教職員の共 通理解」であった.これは,特別支援教育は学校 全体で行っていくべきことであるというコーディ ネーターの意識の表われであると捉えることがで きるのではないだろうか.学校全体で行っていく には,校内委員会や事例検討会にできるだけ多く の教職員が参加し,個に合わせた統一的な支援・ 配慮を行うために,教職員間の共通理解は最も重 要な環境整備の一つとなると考えられる.次に「子 どもに関わる時間の確保」や「関係機関との連携 を密にしておく」等が高い比率を示していた.ま た,小・中学校においては,「管理職の理解」が他 校種に比べて高かった.下司ら(2005)は,管理職 は特別支援教育の意義を正しくとらえ,教職員に 対してリーダーシップを発揮していくことが大切 と述べている.管理職はコーディネーターの指名 や校内の支援体制を構築する役割がある.しかし, スタートして間もない特別支援教育に対し,まだ まだ管理職の理解が十分でないために,リーダー シップが取れずに支援体制が整わない現状もある と考えられる. (2) 校内委員会について 1) 校内委員会の開催 校種別の結果はFigure2-1 に示す通りである. 校内委員会はいずれの校種においても約 90%で 開催されているという結果だった.2011 年の文部 科学省の調査(国公私立別・幼小中高別・項目別実 施率-全国集計表 2011)によれば,全国的にみ ても幼稚園・小学校・中学校・高等学校における 校内委員会の設置率は84.8%と高く,そのうち開 催 回 数 が 年 間 を 通 し て 一 回 以 上 と い う の は , 96.0%である.全国調査との比較をすれば,A 県 での校内委員会の開催率はやや低いものであっ た. 65% 41% 32% 31% 21% 28% 23% 16% 14% 16% 9% 4% 0% 60% 49% 37% 28% 41% 26% 12% 17% 8% 11% 6% 3% 1% 70% 38% 33% 36% 36% 14% 29% 8% 18% 14% 3% 2% 0% 70% 51% 43% 24% 19% 24% 5% 22% 16% 16% 3% 5% 0% 0% 20% 40% 60% 80% 特別支援教育への教職 員の共通理解 子どもに関わる時間の 確保 関係機関との連携を密 にしておく コーディネーターが力量 をつける 管理職の理解 教職員,支援員の増員 研修の実施 学級担任以外の教職員 が行うべき コーディネーターを専任 とする 特別支援教育の経験者 が行うべき 個別の支援室の設置 教育相談室の設置 その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=113 n=139 n=66 n=37 Figure1-10 職務を果たすために必要と思われる 環境整備(複数回答)

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2) 校内委員会の構成メンバー 校種別の結果はFigure2-2 に示す通りである. 校内委員会の構成メンバーは,幼稚園では「学級 担任」,「校長(園長)」,「コーディネーター」の比 率が高かった.また,幼稚園においては保護者の 参加も見られるところは特徴的である.幼稚園は その他の回答として,「職員全員参加」や「教育委 員会」が見られた.幼稚園は他校種とは職員構成 が異なるため,校内委員会の構成メンバーに差が 出る結果になったと考えられる. 高等学校では,「校長」の比率が他と比べて低く なっている.高等学校での支援体制構築という意 味では,小・中学校に比べてまだまだ十分に整っ ておらず,義務教育ではないが故の難しさや課題 があると考えられる.高等学校での特別支援教育 の正式な位置づけや管理職の理解というのは,今 後の課題の一つであると考えられる. 小・中学校においては「校長」,「教頭」,「教務 88% 96% 95% 83% 12% 4% 5% 17% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 Figure2-1 校内委員会開催率 開催してる 開催してない n=113 n=152 n=65 n=41 68% 81% 90% 19% 24% 20% 8% 19% 20% 22% 10% 1% 4% 93% 98% 80% 97% 88% 58% 82% 73% 83% 7% 12% 1% 0% 92% 95% 58% 97% 84% 92% 81% 66% 85% 6% 11% 6% 0% 91% 54% 89% 97% 71% 94% 91% 69% 3% 20% 0% 3% 3% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 120% コーディネーター 校長(園長) (通常)学級担任 教頭(副園長) 教務主任 学年主任 養護教諭 生徒指導主事・主任 特別支援学級担任 その他 通級指導教室担当 スクールカウンセラー 保護者 Figure2-2 校内委員会の構成メンバー(複数回答) 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=102 n=146 n=62 n=35

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主任」,「生徒指導主事・主任」という管理職の校 内委員会への参加が目立っている.管理職の特別 支援教育への関与が求められる中で,このような 結果であったことは,A 県の特別支援教育への意 識の高さであると考えられる. さらにここで注目したいのは,スクールカウン セラーの参加の低さである.スクールカウンセ ラーは基本的に非常勤で,週の決められた時間で の業務となるため,校内委員会参加のタイミング を図るのが難しいということが挙げられる.さら に,学校での業務時間の多くを相談室で過ごして いるため,学校側との連絡調整も少ない可能性が ある.そのため,教職員はスクールカウンセラー がどのような業務をしているのか知らないままで あるという状態も少なくないと考えられる.ス クールカウンセラーの仕事は不登校の子どもへの カウンセリングや保健室登校の子どもに対する支 援だけではない.それらの背景には,発達障害の 二次障害として引き起こされている不登校や,多 動衝動性優位型の ADHD からくる行為障害で, 問題行動を起こしてしまう等,発達的な視点が必 要になってくる.そのため,今後の課題の一つと して,スクールカウンセラーの特別支援教育への 積極的な参加が大変必要であると考えられる. 74% 1% 3% 1%3%5% 11% 2%

幼稚園

他の職務が忙しく時間の確保 が困難 校内での理解が得られない CDの知識不足 メンバーが集まりにくく各担当と の時間調整が困難 開催しても議論が深まらない ケース会議を充ててる 特に問題はない その他 n=96 50% 1% 7% 11% 8% 5% 16% 2%

小学校

他の職務が忙しく時間の確保 が困難 校内での理解が得られない CDの知識不足 メンバーが集まりにくく各担当と の時間調整が困難 開催しても議論が深まらない ケース会議を充ててる 特に問題はない その他 n=128 48% 8% 5% 17% 3%3% 14% 2%

中学校

他の職務が忙しく時間の確保 が困難 校内での理解が得られない CDの知識不足 メンバーが集まりにくく各担当 との時間調整が困難 開催しても議論が深まらない ケース会議を充ててる 特に問題はない その他 n=64 51% 0% 6% 6% 6% 17% 14% 0%

高等学校

他の職務が忙しく時間の確保 が困難 校内での理解が得られない CDの知識不足 メンバーが集まりにくく各担当 との時間調整が困難 開催しても議論が深まらない ケース会議を充ててる 特に問題はない その他 n=35 Figure2-3 校内委員会を開催する上での問題点

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3) 校内委員会を開催する上での問題点 校種別問題点をFigure2-3 に示した.校内委員 会を開催する上での問題点として,全体的に見て 「他の職務が忙しく時間の確保が困難」という意 見が半数以上を占める結果となった.これまでを 見てきても,時間的余裕の無さが,校内委員会を 含む学校(園)全体の特別支援教育を行う上での 妨げとなっていると思われる. 校種別では,幼稚園で「他の職務が忙しく時間 の確保が困難」という回答が74%を占める結果と なった.幼稚園の教職員は小学校等の学校と比較 しても,休憩が取りにくいという実態がある.子 どもが幼稚園にいる間は安全面や指導面の関係 上,常に子どもと一緒にいることが求められる. さらに子どもの降園後は,打ち合わせや事務連絡, 連絡帳・個人録・日誌等の事務作業,保護者への 電話,クラスの片づけ,翌日の準備等の業務が山 積している.Figure2-3 は,このような幼稚園教 職員の業務における現状があるためであるように 思われる.加えて,幼稚園は教職員数が少ないた め,忙しさもより際立ってくる. 教職員数が幼稚園より多い小・中学校では,「メ ンバーが集まりにくく各担当との時間調整が困 難」という回答が特徴的である.人数が多い分, それぞれの教職員の時間の都合を合わせることが 難しく,校内委員会開催上の課題となっているの ではないだろうか.また,高等学校では,「ケース 会議を充てている」という意見が他校種よりも多 かった.これは,従来から校内委員会としてでは なく,ケース会議として行っていたものをそのま まの形で行っており,ケース会議と校内委員会の 区別がされないまま行われている可能性が考えら れる.しかし,詳細はわからないため,今後検討 が必要であるのではないかと思われる. (3) 校内関係者や外部関係機関との連絡調整に ついて 1) 相談相手の有無 校種別の結果はFigure3-1 に示す通りである. コーディネーターが特別支援教育業務に従事する 際に相談相手がいるということは,他の人の意見 や助言を得ることができること,そして,一人で 抱え込まずに関係者間で悩みや問題を分散し,共 有することでチームとして支援にあたることがで きるという意味でも重要なことだと考えられる. 相談相手の有無についての結果は,多くのコー ディネーターが相談できる相手がいるという結果 であった. 2) 相談相手の内訳 校種別の結果は Figure3-2 に示す通りである. 「校長(園長)」,「教頭(副園長)」や「教務主任」 という,いわゆる管理職への相談が多いという結 果であった.この結果は,一つにコーディネーター と管理職との関係性に要因があると考えられる. 40 代 50 代がコーディネーターを担う傾向が高 かったため,管理職との年代の近さが予想され, 比較的相談をしやすいのではないかと考えられ た.また他の要因としては,管理職の特別支援教 育への理解が考えられた.管理職への相談以外に は,直接子どもと関わる場面が多い学級担任への 相談が多かった.子どもの学級内での授業時の様 子,子ども同士の関わりの様子や給食・掃除・休 み時間での様子等をよく観察している学級担任か らの情報収集や必要な支援要請を受ける等コー ディネーターと学級担任との間での繋がりが密に 96% 98% 91% 90% 4% 2% 9% 10% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 Figure3-1 相談相手の有無 いる いない n=112 n=151 n=67 n=41

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行われている様子が窺える結果であった.管理職 への相談はどの校種においても高い傾向にあっ た.しかし,高等学校においては,校長への相談 が他と比較して大幅に低い結果であった.ここで は,高等学校校長の校内での特別支援教育への意 識が未だ十分に向けられていない可能性がある. すべての校種において言えることだが,特別支援 教育における校内(園内)のキーパーソンである コーディネーターを各学校の管理職が支えてこそ 充実した支援につながると考えられる. 中学校・高等学校において,「養護教諭」への相 談が高くなっている.柘植(2008)は,発達障害 のある生徒の内,不登校,いじめ,非行やリスト カット等の状態を併せ持つ子どもへの対応を検討 する際に,養護教諭の果たす役割は大きいと述べ ている.中学校以上になると,上記のような状態 が原因で教室に入れずに保健室登校をする生徒が 出てくる.そのような子どもへの対応に重要な役 割を担う養護教諭とコーディネーターとの連絡調 整は必要なものとなってくる.このような要因か ら養護教諭への相談比率が高くなっているのだと 考えられる. 3) 外部で連携が必要と思われる関係機関 校種別の結果はFigure3-3 に示す通りである. 全校種を通して,「巡回相談員」と「医療機関」が 比較的高い比率を示した.巡回相談員は,学校(園) からの派遣依頼に応じて訪問し,指導内容や方法 等について指導・助言を行い,必要に応じて子ど もや保護者に直接指導・助言を行うという機能を 91% 69% 49% 47% 36% 25% 23% 19% 0% 0% 97% 71% 64% 40% 40% 35% 34% 28% 1% 1% 86% 77% 76% 56% 53% 27% 29% 26% 2% 3% 60% 80% 45% 38% 30% 53% 40% 30% 8% 3% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 巡回相談員 医療機関 特別支援学校 行政 福祉施設 総合教育センター 専門家チーム 他校のコーディネーター 地元企業 その他 Figure3-3 外部で連携が必要と思われる 関係機関(複数回答) 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=116 n=149 n=66 n=40 77% 9% 3% 36% 14% 11% 7% 19% 12% 5% 16% 3% 6% 0% 69% 71% 26% 37% 14% 40% 49% 22% 20% 13% 16% 7% 1% 6% 74% 62% 39% 26% 39% 38% 38% 23% 18% 39% 11% 15% 11% 0% 22% 57% 62% 35% 51% 19% 0% 27% 27% 19% 19% 22% 5% 0% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 校長(園長) 教頭(副園長) 養護教諭 (通常)学級担任 学年主任 教務主任 特別支援学級担任 他校のコーディネーター 生徒指導主事・主任 スクールカウンセラー その他 総合教育センター 保護者 通級指導教室担当 Figure3-2 相談相手(複数回答) 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=111 n=148 n=61 n=37

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持っている.そのため,時間的余裕のない学校(園) 側としては,わざわざ外部に赴かずとも,直接訪 問してくれる巡回相談の活用が顕著に高い結果に なったと考えられる.医療機関との連携について は,医療から教育に提供できるものとして,小野 (2012)は,診断,投薬,保護者への専門的説明, 本人への告知等があると述べている.医療との連 携によって,子どもが学校や園での生活のしやす さにつながることは多い.そのような意味でも医 療と教育との密な連携の必要性が示された結果で あると考えられる.「巡回相談員」,「医療機関」に 続き,小学校・中学校において「特別支援学校」 という回答が多かった.特別支援学校は特別支援 教育を進める上で地域のセンター機能を持つとさ れ,特別支援学校の教職員は地域の巡回相談も 行っている.これら上位3 つの回答結果を見ると, 経験や知識を持った同じ教育的立場からの支援と 発達障害に関する医学的立場からの支援を教育現 場では求めていることがわかる. 4) 外部関係機関との連携状況 校種別の結果はFigure3-4 に示す通りである. 中学校の連携率が幼稚園を下回っていることが印 象的である.僅かな差ではあるが,特別支援教育 の体制が整いつつある中学校において,幼稚園よ りも低い結果であったことは,A 県の幼稚園が積 極的に連携を図っていることも考えられる.しか し,各教科学習の本格的な深まり,多様な人間関 係の進展,そして社会との関わりの質的・量的増 大(柘植,2008)がある中学校の時期に,外部の専 門的な機関との連携なしには,教育的ニーズのあ る子ども一人一人の個に応じた支援には繋がりに くいと考えられる. 5) 連携を図っている外部関係機関 校種別の結果はFigure3-5 に示す通りであり, Figure3-3 と概ね類似した結果であった.前述の 通り,連携のしやすさという点で「巡回相談員」 という回答が多数得られたと考えられる.Figure 3-3 と比較して,コーディネーターが思う必要十 89% 94% 82% 71% 11% 6% 18% 29% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 Figure3-4 外部関係機関との連携状況 連携を図っている 連携を図っていない n=114 n=151 n=68 n=41 84% 28% 43% 47% 19% 3% 2% 0% 88% 48% 46% 31% 20% 11% 6% 0% 77% 57% 41% 45% 20% 11% 5% 4% 66% 38% 28% 31% 17% 28% 7% 3% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 巡回相談員 特別支援学校 医療機関 行政 福祉施設 専門家チーム その他 地元企業 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=100 n=143 n=56 n=29 Figure3-5 連携を図っている外部関係機関先(複数回答) 48% 56% 37% 52% 52% 44% 63% 48% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 ある ない n=100 n=142 n=54 n=29 Figure3-6 外部関係機関との連携時の問題の有無

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分な連携には現状として至っていないことがわか る.しかし,連携先に偏りはあるものの,限られ た時間の中で外部との連携を図っていることが窺 える. 6) 外部関係機関との連携時の問題の有無 校種の結果はFigure3-6 に示す通りである.外 部関係機関との連携の問題について,およそ半数 のコーディネーターが「ある」と答えており,中 学校を除く他校種は約半数で問題があると感じて いる. 7) 外部関係機関との連携上の問題 校種別の結果はFigure3-7 に示す通りである. 関係機関との連携を図る際には,学校(園)側の 要因として,時間的余裕の無さがあげられる.そ の上,連携先の関係機関も,支援要請の依頼一つ 一つに対応しきれず,時間的にも人的資源の面で も不足していることが考えられる.さらにタイム リーな対応が求められるとなると,専門家の増員 等も今後関係機関の課題として考えていかなけれ ばならなくなる.しかし,文部科学省によって定 められた予算の中で,専門家を各地に増員させる ことは現実的ではない.そのため,各学校(園) のコーディネーター育成のための研修等を通し て,コーディネーターの専門性を高め,校内での 対応可能な範囲を押し広げることが重要になって くると考えられる. 学校側,関係機関側の要因の他,連携を図る際 に必要な保護者の同意を得る難しさという保護者 側の要因もある.下司ら(2005)が指摘するよう に,保護者の理解を得るためには,学校で行って いることを保護者に伝え,連携を持つことで,保 護者が不安に思っていることを気軽に学級担任や 38% 35% 29% 31% 17% 8% 12% 4% 2% 58% 23% 28% 32% 22% 9% 6% 4% 3% 50% 20% 25% 50% 20% 15% 0% 5% 0% 27% 67% 47% 13% 33% 7% 13% 7% 7% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 関係機関での予約が 多く,タイムリーな相談, 連携ができない どの機関でどんな支援が 受けられるかわからない 保護者の理解が 得られない 多忙のため連携する 時間がない 個人情報をどこまで 話してよいかわからない 関係機関が遠方にある その他 費用の問題 関係機関が少ない 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=52 n=79 n=20 n=15 Figure3-7 外部関係機関との連携上の問題(複数回答) 63% 63% 37% 7% 12% 0% 10% 2% 2% 0% 66% 42% 29% 11% 3% 4% 4% 4% 5% 1% 32% 59% 14% 23% 5% 18% 9% 5% 5% 0% 56% 50% 13% 44% 25% 6% 0% 13% 6% 0% 順番待ちが多く タイムリーな連携が できない 回数が少なく 単発になり易い 連続して同じ先生に 来てほしい 手続きが煩雑で 日数もかかる 気軽に相談できない その他 事前に子どもの 記録を取ること 参考になるアドバイス をもらえない 情報を伝えてほしい 必要を感じない 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=59 n=99 n=22 n=16 Figure3-8 巡回相談や専門家チームとの連携上の問題点 (複数回答)

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学校に相談できる関係を日頃から作っておくこと が大切である.また,加藤(2005)は,保護者の理 解と同意を得ることについて,関係機関との連携 を図る目的や,その連携が支援に大変役に立つこ とを説明すると記しているように,事前説明やこ れからの見通し等を伝えることで保護者の中の不 安感や猜疑心を和らげることができる.このよう に一見保護者側に要因があるようでも,学校側の 適切な対応によって,保護者の理解を得やすくな ると考えられる. 8) 巡回相談や専門家チームとの連携上の問題点 校種別の結果はFigure3-8 に示す通りである. 巡回相談や専門家チームとの連携上の問題として は,Figure3-7 の結果でも高い比率を示していた 「順番待ちが多くタイムリーな連携ができない」 や「回数が少なく単発になりやすい」が全体的に 高かった. 幼稚園では「連続して同じ先生に来てほしい」 や「回数が少なく単発になり易い」という項目で 他校種よりも高かった.専門家によってもアセス メントに若干の違いがあり,対応法や手段も異 なってくる.さらにその頻度が少ないのであれば 尚更同一の専門家や巡回相談員からの支援・指導 を受けて,一貫した支援につなげることは大切な ことであるし,連携先の関係機関もそのことにつ いての配慮が必要となるのではないかと考えられ る. 「その他」の回答として,小学校では「専門家 チームのメンバーがよくわからない」,中学校では 「受けることに対して構えてしまう」,「保護者や 生徒の了解を得ること」等があげられた.専門家 チームや巡回相談等の関係機関先がそれぞれどの ような機能を持ち,どのような対応を期待できる のか等を学校(園)側が十分に把握できていない 可能性がある.関係機関ができることとして,学 校(園)に対してそれぞれがどういう機関である のかを今後さらに周知させる活動を促進していく ことも他機関同士の連携を行う際に重要になると 思われる. (4) 保護者に対する相談窓口 1) 保護者からの相談の有無 校種別の結果はFigure4-1 に示す通りである. 幼稚園は「ある」が 92%で他校種と比べて最も高 い比率だった.幼稚園と保護者の距離は他校種に 比べて近いため,子どものことについて,保護者 も相談しやすいのではないかと考えられる. 2) 保護者からの主な相談内容 校種別の結果はFigure4-2 に示す通りである. 保護者からの主な相談内容として,どの校種にお いても全体的に高かったのが「学校生活全般につ いて」,「進路/就労について」,「子どもの家庭で の行動について」等であった.学校にいる間の子 どもの様子を窺い知れない保護者にとって,子ど もの学習面・行動面・友人関係等の全般的な事柄 について知りたいという気持ちが多いのではない かと考えられる.「進路/就労について」は,中学 校・高等学校の段階で高くなっており,特に中学 校は群を抜いている.「学習について」という項目 では,小学校の比率が他校種と比べ高くなってい る.小学校における学習面について,柘植(2008) は,国語や算数などの学習面では学期・学年を追 うごとに急速に抽象的,理論的,総合的になって いき,その結果,学習の習得に大きな個人差が出 てくると述べている.その個人差が出始めた小学 校において,保護者からの相談が多くなっている 92% 78% 70% 54% 8% 22% 30% 46% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 ある ない n=112 n=152 n=66 n=41 Figure4-1 保護者からの相談の有無

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のではないかと考えられる. 3) 保護者からの相談対応に苦慮していること 校種別の結果は Figure4-3 に示す通りである. 「進路/就労について」の項目では,教科学習が 始まることを意識し始める就学前の幼稚園,普通 高校への進学か特別支援学校への進学かの選択を する中学校,社会参加や自立という意味での就労 を考える高等学校において高い比率を示したので はないかと考えられる.「所属する学級について」 の項目では,小学校が他校種と比べ,高い比率を 示した.この結果は,就学前とは一学級の人数も 増え,友達関係の在り様が明確に見え始める時期 であることが影響しているのではないかと考えら れた. (5) 学級担任への支援 1) 学級担任が求めていると思う支援 校種別の結果は Figure5-1 に示す通りである. 「子どもの特性理解と対応についての助言」の項 目で,すべての校種において比率が高かった.発 達障害の障害特性やその対応について専門的知識 や支援経験がある学級担任ばかりではないため, 特別な教育的ニーズのある通常学級内の子どもへ の対応に奮闘している学級担任は少なくないと思 われる.そのため,学級担任へ適切な助言ができ るコーディネーターが求められることになる.ま た,ADHD のように行動面で特徴のある子どもで あれば,わかりやすいが,LD のように学習面で 支援を必要としている子どもは,学級担任に見過 ごされやすいため,そうした子どもを見落とさな 43% 29% 27% 11% 27% 10% 7% 7% 5% 0% 2% 35% 28% 27% 32% 16% 23% 10% 14% 7% 6% 2% 54% 41% 36% 33% 10% 13% 0% 8% 3% 3% 5% 45% 50% 30% 40% 10% 15% 20% 5% 5% 5% 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 進路/就労について 学校生活全般について 子どもの家庭での行動につ いて 学習について 家庭との連携について 所属する学級について 医療機関について 担任の対応について その他 福祉関係について 管理職の対応について 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=92 n=109 n=39 n=20 Figure4-3 保護者からの相談対応で苦慮していること (複数回答) 64% 17% 39% 58% 19% 10% 7% 0% 14% 5% 0% 66% 77% 37% 52% 24% 18% 16% 5% 4% 3% 1% 63% 57% 63% 33% 28% 9% 9% 7% 2% 0% 2% 73% 32% 45% 32% 27% 27% 0% 18% 5% 9% 0% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学校生活全般について 学習について 進路/就労について 子どもの家庭での行動 について 所属する学級について 医療機関について 担任の対応について 福祉関係について 家庭との連携について その他 管理職の対応について 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=103 n=119 n=46 n=22 Figure4-2 保護者からの主な相談内容(複数回答)

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いためにも,コーディネーターを中心として校内 委員会を開き,研修に参加するなど教職員全体で 特別支援教育への意識と専門性を高めていく必要 があると思われる.「子どもに対する学習の支援」 の項目では,小学校が他校種と比べ比率が高かっ た.小学校の段階では子どもの学習面でのつまず きがどこにあるのかを適切に見極めて,そのつま ずきに応じた学習方法が求められる.そのため, 小学校での学習支援の要請が高くなるのではない かと考えられる.「子どもの生活面に対する支援」, 「子どもの行動面に対する支援」の項目では幼稚 園と小学校で高い比率を示した.普段の学校(園) での子どもの様子から,支援の必要な子どもは行 動面でのトラブルが重なる等して,学級担任は子 どもからのサインと受け取るもどのように対応す ることが子どもにとって良いのかわからないこと が考えられる.早期発見・早期対応が適切になさ れれば,子どもが抑うつ的になったり,非行に走っ たり,ひきこもり・不登校になるなどの二次障害 を防ぐことも十分可能であると思われる.そのた めにも,学級担任からの支援要請に対応できるス キルと知識を持ったコーディネーターが求められ るのではないだろうか. 2) 学級担任からの支援要請の有無 校種別の結果はFigure5-2 に示す通りである. 教職員の多忙な職務状況を考慮すると,学級担任 からコーディネーターへの支援要請をした背景に は,学級内で比較的わかりやすい子どもに対する もので,学級担任が対応に困惑し,緊急性をもっ て要請を出しているとも可能性として考えられ る.そのため,困り感の見えにくい子どものニー ズにまで学級担任が気づけていないとすれば,現 状の支援要請以上にコーディネーターが対応すべ き子どもはいるのではないかと考えられる. 3) 実際に行っている学級担任への支援 校種別の結果はFigure5-3 に示す通りである. 学 級 担 任 へ の 実 際 に 行 っ て い る 支 援 と し て , Figure5-1 の結果とほぼ一致する結果となった. つまり,コーディネーターは学級担任が求めてい ると思う支援を実際に行っているということにな る. 4) 学級担任を支援していく上での問題点 校種別の結果は Figure5-4 に示す通りである. 「時間や人員が不足しており,支援が中途半端に 終わる」という項目においては,すべての校種で 高い比率が示された.これまでに渡り,見えてき た特別支援教育を進めていく上での最大の課題と 68% 75% 67% 59% 44% 12% 35% 0% 68% 76% 43% 57% 50% 74% 48% 1% 76% 51% 58% 45% 43% 42% 42% 0% 83% 59% 59% 44% 61% 46% 24% 5% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 子どもの特性理解と 対応についての助言 子どもの行動面に対する支援 子どもの特性理解に関する 家庭との共通理解 子どもの生活面に対する支援 子どもへの対応法 子どもに対する学習の支援 学級の周りの子どもへの説明 その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=111 n=152 n=67 n=41 Figure5-1 学級担任が求めていると思う支援(複数回答) 56% 81% 66% 71% 44% 19% 34% 29% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 ある ない n=108 n=152 n=67 n=41 Figure5-2 学級担任からの支援要請の有無

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言える,支援に充てる時間の無さというのが,こ こでも結果として如実に表れている.また,時間 だけでなく人的資源も学校(園)において不足し ていると現場のコーディネーターは実感している ことがわかる.下司ら(2005)は,少人数学級の 実現,TT(チームティーチング)加配の教員配置 等,忙しすぎる学校現場への人的な支援が実施さ れることによって,一人一人の子どもに対する教 育の質が向上すると指摘しており,実際にA 県に おいても大学生ボランティアによる学習支援とし て小学校・中学校の通常学級や特別支援学級にT2 として入り,支援を行う取り組みがなされている. 「コーディネーターの力量不足」という項目で も,どの校種においても比較的高い比率を示した. コーディネーターの多くが,校内(園内)の特別 支援教育がうまく機能しない場合に自身の経験や 知識の不足にその原因を求めている傾向がある. 確かにコーディネーター業務には,まだまだ課題 や改善の余地があると言える.しかし,コーディ ネーターの力量向上には学校単位での特別支援教 育への意識と理解,そして,コーディネーターを サポートする他の教職員の協力が絶対的に必要で あると考えられる. 以上,A 県内のコーディネーターを対象にコー ディネーター機能に関する質問紙調査を実施し た。その結果,コーディネーターは幼稚園,小学 校,中学校,高等学校に配置されているが,ほと んどが兼任であり,コーディネーターとして十分 に機能していないとコーディネーター自身が評価 していた。コーディネーターへの研修を今後も行 い,質的向上を図ると共にコーディネーターの業 務に割ける時間が確保できるような校内体制を整 えることが必要であると言える。 53% 34% 27% 21% 17% 14% 5% 7% 57% 42% 43% 37% 23% 18% 7% 4% 52% 53% 29% 24% 26% 19% 21% 10% 46% 51% 31% 33% 31% 36% 13% 3% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 時間や人員が不足しており, 支援が中途半端に終わる コーディネーターの 力量不足 学級経営に入っての 支援は難しい 学級の実態に合った支援 を考えるのが難しい 学級担任とCDで子どもの 実態に関する認識に 差がある 該当の子どもの実態が よくわからない 情報が伝わりにくい その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=95 n=141 n=62 n=39 Figure5-4 学級担任を支援していく上での問題点(複数回答) 50% 67% 42% 42% 42% 8% 17% 0% 58% 56% 35% 39% 38% 52% 30% 2% 64% 41% 25% 36% 27% 41% 9% 5% 72% 45% 45% 28% 34% 34% 7% 7% 0% 20% 40% 60% 80% 子どもの特性理解と 対応についての助言 子どもの行動面に 対する支援 子どもの特性理解に 関する家庭との 共通理解 子どもへの対応法 子どもの生活面に 対する支援 子どもに対する 学習の支援 学級の周りの 子どもへの説明 その他 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 n=60 n=122 n=44 n=29 Figure5-3 実際に行っている学級担任への支援(複数回答)

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【引用参考文献】 下司昌一・石隈利紀・緒方明子・柘植雅義・服部 美佳子・宮本信也 2005 現場で役立つ特別支 援教育ハンドブック 壮光舎印刷 p200-216 花熊曉 2012 総論:個に応じた支援 竹田契 一・花熊曉・熊谷恵子(編) S.E.N.S 養成セ ミナー 特別支援教育の理論と実践 [第 2 版] Ⅱ指導 金剛出版 p19-33 堀口寿広・宇野彰 2006 特別支援教育と医療の 連携 保護者と教育側の子ども理解の「ズレ」 国立オリンピック記念青年総合センター研究紀 要 第6 号 p71-82 加藤哲文 2005 第五章 地域及び専門機関と の連携 5 医療機関との連携のポイント 下 司昌一・砥柄敬三(編)小・中学校の課題整理 特 別 支 援 教 育 を ど う 進 め , ど う 取 り 組 む か ぎょうせい p129-130 小林倫世 2009 特別支援教育の実際 学校に おける福祉との連携 宮本信也・石塚謙二・西 牧謙吾・柘植雅義・青木建(監) 特別支援教 育の基礎 確かな支援のできる教師・保育士に なるために 東京書籍 p45-118 高森明 2007 アスペルガー当事者が語る特別 支援教育 スローランナーのすすめ 金子書房 越野和之 2004 第 10 章 特別支援教育コー デ ィネーターをめぐって 越野和之・青木道 忠(編)「特別支援教育」で学校はどうなる か もがわ出版 p150-164 三宅康勝・横川真二・吉利宗久 2003 岡山大学 教育実践総合センター紀要,第 8 巻(2008), p117-126 宮本信也(編) 2011 LD・ADHD 等関連用語 集 第3 版 日本文化科学社 文部科学省(2011)国公私立別・幼小中高別・項 目別実施率-全国集計表 <http://www.mext.go.jp/component/a_menu/ education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/ 2012/05/18/1321222_6_1.pdf> (2012 年 1 月 13 日) 文部科学省 2003 特別支援教育の在り方に関 する調査研究協力者会議 今後の特別支援教育 の在り方について(最終報告) 小野次郎 2012 特別支援教育概論Ⅱ:特別支援 教育のシステム 上野一彦・宮本信也・柘植雅 義(編)S.E.N.S 養成セミナー 特別支援教育 の理論と実践 [第 2 版] Ⅰ概論・アセスメン ト 金剛出版 p67-77 小沼和 1976 校務分掌決定のしくみについて 日本教育学会大會発表要項 35 号(1976-09-02) 156 佐久間庸子・田部絢子・高橋智 2011 幼稚園に おける特別支援教育の現状 全国公立幼稚園調 査からみた特別な配慮を要する幼児の実態と支 援の課題 東京学芸大学紀要 総合教育科学系, 62(2)p153-173 笹森洋樹 2012 特別支援教育概論Ⅱ:特別支援 教育のシステム 上野一彦・宮本信也・柘植雅 義(編)S.E.N.S 養成セミナー 特別支援教育 の理論と実践 [第 2 版] Ⅰ概論・アセスメン ト 金剛出版 p35-49 とくしま発達障害総合サイト http://www.pref.tokushima.jp/hattatsu/ kiduku_shien/you_shou.html(2013/01/19) 柘植雅義・宇野宏幸・石橋由紀子 2007 特別支 援教育コーディネーターに関する全国悉皆調査 国内の全公立幼稚園,小学校,中学校,高等学 校,盲・聾・養護学校の校長及び特別支援教育 コーディネーターを対象に 兵庫教育大学 教 育・社会調査研究センタープロジェクト研究 柘 植雅義 2008 特別支援教育の新たな展開 続・学習者の多様なニーズと教育政策 勁草書 房 吉利宗久・吉海真澄 2006 小学校校長における 特別支援教育の理解と学校経営に関する調査研 究 京都教育大学教育実践研究紀要,第6 号 (受付日年月1日) (受理日年月日)

参照

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