• 検索結果がありません。

幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び. Author(s). 板谷, 厚. Citation. 北海道教育大学紀要. 自然科学編, 66(2): 21-27. Issue Date. 2016-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7896. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(自然科学編)第66巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Natural Sciences)Vol. 66, No.2. 平 成 28 年 2 月 February, 2016. 幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び 板 谷 厚 北海道教育大学旭川校保健体育教室. A Vigorous Activity for Preschoolers to Improve Sprint Speed Instantaneously ITAYA Atsushi Department of Physical Education, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. ABSTRACT This study examined whether a vigorous activity improves sprint speed immediately in preschoolers. Modified “Shippo-Tori”, a kind of game of tag, was adopted as the activity. Forty-three kindergarteners belonging to two five-year-old-child classes (A- and B-class) participated in this study. These classes were tested separately. First, the children’s 25-m sprint times were measured (pre-test). Then, the children played the activity for seven minutes, and the 25-m sprint times were measured again (post-test). In a modified “ShippoTori”, the children attached a tail on their hip and they ran after them each other to take the tails. When a child’s tail was taken that child came back to an experimenter. The child did the rebound jump at 10 repetitions to get another tail and went back to the game. Sprint speeds[m/s]were calculated and averaged in each class. In the A-class, average sprint speed was significantly higher in post-test than in pre-test. By contrast, average sprint speed in the B-class was significantly lower in post-test than pre-test. According to the number of times of the rebound jump, the children in B-class played more vigorously than those in A-class. It is suggested that, though overloading should be avoided, modified “Shippo-Tori” is effective to improve sprint speed instantaneously in preschoolers.. 体育を専門としない多くの保育者は,幼児の疾走. 1.はじめに. 能力向上のための有効な手立てを持っているだろ. 走運動は幼児期に身につけるべき基本的な運動 1). うか。. のひとつである 。速く走れることで,子どもた. 歩行から走運動へ発達する過程では,リーピン. ちの運動遊びや就学後の体育・スポーツに対する. グ(跳躍運動)が発生し,利き足側のストライド. 取り組みが積極的になると推測できる。しかし,. が大きくなるにつれて速度も増加する2)。ところ. 21.

(3) 板 谷 厚. で,跳躍や疾走中の蹴りなどでの大きなパワー発. m走のタイムを測定し,「改良しっぽ取り」が幼. 揮 に は, 筋 腱 複 合 体 の 伸 張 - 短 縮 サ イ ク ル. 児の疾走速度向上に有効かどうか検討することを. (Stretch- Shortening-Cycle: SSC)が重要な役. 目的とした。. 3). 割を果たしている 。2才から6才の幼児では, 代表的なSSC運動であるリバウンドジャンプの遂 行能力と疾走能力に有意な正の相関が認められて いる4)。さらに,リバウンドジャンプから推定さ れるSSC運動遂行能力は,4才頃からばらつきが 生じる5)。したがって,4才以降にSSC運動遂行 能力を高めるトレーニングを行うことで,走運動 のパフォーマンスを高めることができると考えら れる。 板谷(2014)は,4才児にリバウンドジャンプ を含むエクササイズを行わせ,その前後で疾走速 度が変化するかどうかを検討した。その結果,幼 児全体の平均速度に変化は認められなかったもの の,疾走能力別に検討したところ,能力が高い幼 6). 児と低い幼児では対照的な変化を示した 。すな. 図1 改良しっぽ取り 6). 板谷(2014) の図3を改変。イラストはHoiClue♪ (http://hoiclue.jp/)内のものを改変。. わち,疾走速度が比較的速い幼児はエクササイズ 後に疾走速度が低下したのに対して,疾走速度が 比較的遅い幼児はエクササイズ後に疾走速度が向. 2.方 法. 上した6)。これらの結果から,板谷(2014)は,. 2. 1.被験者. 疾走能力に劣る幼児だけを選び出してトレーニン. 岐阜聖徳学園大学附属幼稚園の5才児クラスの. グし,疾走能力に優れる幼児は自由に走らせるこ. 2組(A組とB組とする)に所属する幼児43名(A. とで幼児全体の記録を向上できることを示唆し. 組:年齢5.9 ± 0.3才,身長113.98 ± 5.37 cm,体. 6). た 。さらに,そのような運動遊びプログラムと 6). 重18.97 ± 2.42 kg,B組:年齢6.0 ± 0.3才,身長. して,改良したしっぽ取りを提案した 。. 111.51 ± 4.81 cm,体重19.40 ± 2.26 kg)を対象. 「改良しっぽ取り」では,しっぽを取られた幼. とした。実験に先立ち,園長に対して書面にて研. 児が「修行の旅」に出て,リバウンドジャンプを. 究目的および方法,プライバシーの保護を遵守す. 含むエクササイズを行った後,しっぽを受け取り,. る旨を説明し,同意を得た。. ゲームに再参戦できるようにする(図1)。板谷 (2014)は, 「改良しっぽ取り」を行うことで,. 2. 2.実験の日時. 疾走能力が高い幼児はしっぽを集めようと好きな. 2014年9月16日(火)の午前中(A組:10:15. ように走り回ることができるし,疾走能力に劣る. ~11:00,B組:11:00~11:45)に実験を行った。. 幼児は,ゲームの流れの中で自然にトレーニング ができ,皆が楽しみながら疾走能力を高めること. 2. 3.実験の手順およびデータ収集. ができると予想している6)。. 実験の概要は次のとおりであった(図2)。初. そこで本研究は,しっぽ取りのルールを理解で. めに25 m走のタイムを測定し(pre測定),「改良. きる年長児を対象に,板谷(2014)によって提案. しっぽ取り」を実施した後,再び25 m走のタイ. された「改良しっぽ取り」を行い,その前後で25. ムを測定した(post測定)。実験の所要時間は約. 22.

(4) 幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び. 40分であった。. ところに来るように指示した。さらに,お兄さん. 隣接する岐阜聖徳学園大学附属小学校グラウン. 先生のところでしっぽを取られないように速く走. ドにある全天候陸上競技用走路(50 m直線コー. れるようになる練習をして(写真2c),お姉さん. ス)で実験を行った(写真1)。幼稚園から移動. 先生のところでしっぽをもらったら(写真2d),. してきた幼児は,走路のスタート側に集合・整列. またしっぽ取りができることを説明した。. した。始めの挨拶の後,今回の内容として運動会 に備えて速く走る練習を行う旨を伝えた。簡単な 準備運動の後,25 m走について説明し,行い方 の見本を見せた。25 m走は「幼児期運動指針ガ イドブック」にしたがって行った。幼児は2名1 組で走った。1度の測定で2回走り,記録のよい 方を採用した(pre測定)。タイムの測定の際,教 員や測定スタッフは,幼児ができるだけ力いっぱ い速く走るように励ました。. 図2 実験の流れ. 写真1 全天候陸上競技走路. pre測定の後,約3分間休憩し,走路に併設す る芝グラウンドにて「改良しっぽ取り」(図1) を7分間行った。 「改良しっぽ取り」の行い方は幼児に対して次 のとおりに説明した。休憩中の幼児に,しっぽ(写 真2a)を見せて注意を引きながら,これからしっ ぽ取りを行うので,お友だちのしっぽをたくさん 集めるように声かけした(写真2b)。次に,も ししっぽを取られてしまったら,お兄さん先生の. 写真2 しっぽ(a) , 「改良しっぽ取り」 (b) , 「修行」 (c) と 「修行」 後しっぽをつけてもらう様子 (d) dの白丸内には,タイムを記録する白いテープと 「修 行」を行った回数を示すシールが2つ見える。. 23.

(5) 板 谷 厚. 速く走るための練習として,幼児はリバウンド. 下の統計解析を,クラスごとに行った。. ジャンプを10回行った(「修行」,写真2c)。幼児. 「改良しっぽ取り」の疾走能力に及ぼす効果を. に手本を示した後に,膝を伸ばし,つま先立ちを. 検討するために,pre測定とpost測定間の疾走速. させ,そのまま素早く10回連続して飛び跳ねるよ. 度について対応のある t 検定を行った。疾走能力. うに説明した。. 別の介入効果の違いを検討するために,pre測定. 「改良しっぽ取り」終了後,約3分間の休憩を. の記録の順位に基づき3群(上位群,中位群,下. 挟み, 整列して2回目の測定を行った(post測定)。. 位群)に分け,2測定(pre,post)×3群(上. 25 m走タイムは,手動のデジタルストップウ. 位群,中位群,下位群)による反復測定分散分析. オッチを用いて測定した。測定結果の記録は次の. を行った。交互作用に有意性が認められた場合に. ように行った。pre測定直後,ゴールした走者を. は,Bonferroniの方法によって有意水準を調整し. 確保し,白い布製の粘着テープ(4×10 cm)に. た多重比較検定を実施した。. それぞれの走者のタイムを記入し,テープを幼児. 疾走能力と「修行」回数間の関係性を検討する. の帽子に貼り付けた(写真3)。post測定直後,. ために,pre測定の疾走速度と「修行」回数間で. ゴールした走者を確保し帽子に貼り付けてある. Spearmanの順位相関係数を計算した。「修行」後. テープにタイムを記入し,すべての計測終了後に. の疾走速度の変化と「修行」回数との関係性を検. テープを回収した。また,何回しっぽを取られて. 討するために,疾走速度変化量と「修行」回数間. 「修行」を行ったかを記録するために, 「修行」. でSpearmanの順位相関係数を計算した。. 後にしっぽを装着するとともに学習用の丸いシー. 上記のすべての検定の有意水準はα= 0.05とし. ルをテープに貼った。走路の正面からデジタルビ. た。本論文における結果は,すべて平均値±標準. デオカメラで幼児の走行を撮影した。. 偏差にて表記した。. 3.結 果 対応のない t 検定の結果,pre測定における疾 走速度にクラス間の差は認められなかった(A組 vs. B組:3.98 ± 0.40 vs. 4.15 ± 0.39[m/s], t = 1.414, p = 0.165,図3)。しかし,「修行」回数は B組がA組よりも有意に多かった(A組 vs. B 写真3 タイムの記録. 組:1.43 ± 0.75 vs. 3.14 ± 1.32, t = 5.188, p< 0.001,図4)。したがって,「改良しっぽ取り」. 2. 4.統計処理. の実施状況は両クラスで異なると判断した。以下,. 各幼児の測定タイムから疾走速度[m/s]を算. クラスごとの結果を示す。. 出した。さらに,pre測定とpost測定間の疾走速 度変化量(post - pre)を計算した。各クラスの. 3. 1.A組. 疾走能力および「改良しっぽ取り」の実施状況が. 対応のある t 検定の結果,A組において「改良. 同等かどうか確認するために,疾走速度および「修. しっぽ取り」前後の疾走速度の変化に有意性が認. 行」回数についてクラス間で対応のない t 検定を. められた。「改良しっぽ取り」後,幼児の疾走速. 実施した。両クラスの疾走能力および「改良しっ. 度は速くなった(pre測定vs. post測定:3.98 ±. ぽ取り」の実施状況が同等とみなせる場合は,両. 0.40 vs. 4.07 ± 0.42[m/s],t = -2.182, p = 0.041,. クラスの幼児をプールし,そうでない場合は,以. 図5)。. 24.

(6) 幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び. 図3 pre測定時の疾走速度. 図6 A組の疾走能力別の疾走速度の変化. 良しっぽ取り」前後の疾走速度変化間の Spearmanの順位相関係数はそれぞれ ρ= -0.415 (p = 0.062),ρ= -0.092(p = 0.691)であり, 「修 行」回数とpre測定時の疾走速度に中程度の負の 相関が認められたが,有意ではなかった。 3. 2.B組 対応のある t 検定の結果,B組において「改良 しっぽ取り」前後の疾走速度の変化に有意性が認 められ,「改良しっぽ取り」後に幼児の疾走速度 図4 「修行」回数. は遅くなった(pre測定vs. post測定:4.15 ± 0.39 vs. 4.02 ± 0.40 [m/s],t = 2.702, p = 0.013, 図7) 。 反復測定分散分析の結果,B組において,測定 ×群の交互作用に有意性は認められなかった(交 互作用:F(2, 19) = 1.188, p = 0.326,図8)。 「修行」回数とpre測定時の疾走速度および「改. 図5 A組の疾走速度の変化. 反復測定分散分析の結果,A組において,測定 ×群の交互作用に有意性は認められなかった(交 互作用:F(2, 18) = 0.019, p = 0.981,図6)。 「修行」回数とpre測定時の疾走速度および「改. 図7 B組の疾走速度の変化. 25.

(7) 板 谷 厚. 疾走能力が低く「修行」回数が多い幼児は「修行」 によって,疾走能力が高く「修行」回数が少ない 幼児は,自由に走り回ることによって,それぞれ 同様に疾走速度を高めたために,「修行」回数と 疾走速度増加量間の相関係数は低い値にとどまっ たと推察される。 4. 2.B組 A組とは対照的に,B組では「改良しっぽ取り」 後に疾走速度が有意に低下した。疾走能力別に検 図8 B組の疾走能力別の疾走速度の変化. 討した結果は,すべての群で同様に疾走速度が低 下したことを示唆している。. 良しっぽ取り」前後の疾走速度変化間の. B組ではA組よりも「修行」回数が有意に多かっ. Spearmanの順位相関係数はそれぞれ ρ= -0.169. た。これは,B組でよりしっぽの争奪が激しく行. (p = 0.453) ,ρ= 0.075(p = 0.741)で,有意性. われたことを意味する。したがって「改良しっぽ. は認められなかった。. 取り」実施中の活動量もより多かったと考えられ る。さらに,B組の実験時間帯はA組よりも遅く,. 4.考 察. 測定当日は午前中とはいえすでに暑さが厳しく なっていた。実際に,B組の幼児の多くは「改良. 4. 1.A組. しっぽ取り」後,グラウンドにへたり込み, 「疲. A組では「改良しっぽ取り」の後に疾走速度が. れた」や「もう走りたくない」など,疲労による. 有意に向上した。疾走能力別の検討においても,. モチベーションの低下を示すような声もいくつか. すべての群に同様の向上が認められた。したがっ. 聞こえた。これらのことが要因となり,B組では. て,幼児の疾走能力の個人差に影響されることな. 疲労の影響がより強く出て,post測定でpre測定. くクラス全体の疾走速度を向上させることに成功. よりも疾走速度が低下してしまったと考えられる。. した。. 板谷(2014)は,リバウンドジャンプを含むエ. pre測定時の疾走速度と「修行」回数との間に. クササイズの後,疾走能力が比較的高い幼児に疾. は有意ではないが中程度の負の相関が認められ. 走速度の低下が認められたと報告している6)。こ. た。つまり,疾走速度が低い幼児ほど「修行」を. れについて,板谷(2014)は,言葉かけやエクサ. 多く実施した。したがって,「改良しっぽ取り」. サイズによって走運動に混乱をきたしたことと,. によって幼児の疾走能力を自動的に選別し,能力. エクササイズを一斉に行うことが,疾走能力に優. 別にトレーニングすることがある程度できていた. れる幼児にとってネガティブフィードバックにな. と考えられる。. り,モチベーションが低下したことを原因として. さらに, 「修行」回数と疾走速度増加量との間. 挙げている6)。本研究の場合,リバウンドジャン. の相関は低く, 「修行」が多いほど疾走速度が高. プを遊びの一環として流れの中で個別に行ったこ. くなるとは限らないことが示された。 「改良しっ. とから,一斉指導によるモチベーションの低下は. ぽ取り」は,幼児の疾走能力にかかわらず疾走速. 考えにくい。しかし,B組ではA組よりも「修行」. 度を向上させる運動遊びとして提案されたもので. 回数が有意に多く,比較的疾走能力に優れる幼児. ある。この結果は,図6とともに,その狙いが達. も「修行」を行っていたと考えられる。したがっ. 成されたことを支持すると考えられる。つまり,. て,「修行」としてリバウンドジャンプを行うこ. 26.

(8) 幼児の疾走速度を即時的に向上させる運動遊び. とでこれらの幼児の走運動が混乱した可能性は否. 果を実証することが今後の課題である。. 定できない。 4. 3.結論および保育現場への示唆. 謝 辞. 本研究の対象となった二組は,対照的な結果を. データ収集にご協力くださいました,岐阜聖徳. 示した。すなわち,「改良しっぽ取り」後,A組. 学園大学附属幼稚園の子どもたちと保護者の皆. の疾走速度は仮説のとおりに向上し,B組のそれ. 様,快くフィールドを提供してくださった今井千. は低下した。二組の「修行」回数の差から,これ. 晴園長,川村弘子主任をはじめとする岐阜聖徳学. らの二組の「改良しっぽ取り」の取り組み方が異. 園大学附属幼稚園の職員の方々に深く御礼申し上. なったと考えられる。 「修行」回数がより多かっ. げます。. たB組でより活発にしっぽの争奪が行われたこと. 測定やデータ処理を手伝ってくださった岐阜聖. が推察される。より活発な活動が認められた組の. 徳学園大学短期大学部幼児教育学科の三輪友香さ. 方が疾走速度の低下を示したことは一見理解し難. ん,小野木咲さん,田中愛美さん,田中夢乃さん,. い。しかし,残暑厳しい当日の天候と先述した幼. 田中利奈さん,田中崚真さん,中野叶子さん,中. 児の様子を考慮すると,post測定時にB組で心身. 村真梨さん,林千菜美さん,廣井優華さん,三輪. の両面により疲労の影響が強かった結果だと考え. 加世子さん,渡辺恵さんに,記して感謝の意を表. るのが妥当である。. します。. 結論として, 本研究の結果,板谷(2014)によっ て提案された「改良しっぽ取り」は,即時的に幼 児の疾走速度を向上させる上で効果的であること. 引用文献. が示唆される。ただし,本研究のように,活動の. 1)文部科学省:幼児期運動指針ガイドブック.http://. 直後に改善を求める場合には,環境要因を考慮し. www.mext.go.jp/a_menu/sports/undousisin/1319772.. て活動量を調節するなど,過負荷に陥ることを避 ける配慮が必要である。 「改良しっぽ取り」は,疾走能力に劣る可能性 がある幼児を,半ば自動的に選別してトレーニン グさせる方法として考案され,そこで行われるト レーニング( 「修行」)は簡便なものである。さら. htm,2015年9月22日閲覧 2)加藤謙一,深川登志子,大鈴貴洋,宮丸凱史:幼児 期における歩行から総運動への発達過程に関する追跡 的研究.体育学研究,54: 307-315,2009. 3)Komi PV: Physiological and biomechanical correlates of muscle function: effects of muscle structure and stretch-shortening cycle on force and speed. Exerc Sports Sci Rev, 12: 81-121, 1992.. に,保育者にとってしっぽ取りは馴染み深い運動. 4)坂口将太,藤林献明,苅山靖,図子浩二:2歳から. 遊びでもある。つまり,「改良しっぽ取り」は,. 6歳までの幼児におけるリバウンドジャンプ遂行能力. 運動指導の専門性がない保育者でも取り組みやす い運動遊びプログラムである。保育現場で大いに 活用されることを期待したい。ルールや「修行」 内容を園児の能力や園庭の広さ等,園の実情に合 わせて変更することも推奨される。 本研究では「改良しっぽ取り」の即時的な効果 を検討した。しかし本来,幼児の運動発達は連続. と疾走能力との関係.発育発達研究,62: 24-33,2014. 5)坂口将太,図子浩二:2歳から6歳までの幼児にお けるリバウンドジャンプ遂行能力の発達過程.体育学 研究,59: 599-615,2013. 6)板谷厚:短時間の介入が幼児の25m走パフォーマン スに及ぼす即時効果.教育医学,59: 242-245,2014.. (旭川校准教授). しており,継続的な働きかけによってさらなる能 力向上が期待できるものである。 「改良しっぽ取 り」およびその派生型を継続的に実施し,その効. 27.

(9)

参照

関連したドキュメント

Required environmental education in junior high school for pro-environmental behavior in Indonesia:.. a perspective on parents’ household sanitation situations and teachers’

・スポーツ科学課程卒業論文抄録 = Excerpta of Graduational Thesis on Physical Education, Health and Sport Sciences, The Faculty of

Thus, the height growth speed curve was examined among adolescents pursuing physical education in college.. This analysis was aimed at determining the necessary

︵二塁︑幅〃ロン︶遊走速度 蕪讐難壁 計合 下下均丁

文部科学省が毎年おこなっている児童生徒を対象とした体力・運動能力調査!)によると、子ど

しかし、近年は遊び環境の変化や少子化、幼 児の特性の変化に伴い、体力低下、主体的な遊

c加振振動数を変化させた実験 地震動の振動数の変化が,ろ過水濁度上昇に与え る影響を明らかにするため,入力加速度 150gal,継 続時間

 余ハ,正常及ビ病的血液塗抹標本二就キ,其核移動槻察二際シテ,杉山式2項分類法ニヨ