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複数準備通貨制度と国際金融市場

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19

複数準備通貨制度と国際金融市場ee

有 馬 敏 則

1 は じ め に  1970年代の国際金融市場を特微づけたものとして,①固定為替相場制から変 動為替相場制移行にともなう市場の混乱,②原油価格の大幅引上げによって生 じた産油国の余剰資金,いわゆるオイルマネーの蓄積と非産油発展途上国の債 務累積問題,③準備通貨ドルの地位の低下によって生じた準備通貨保有に対す る多様化の気運,④ニクソン・ショックやカーター・ショック,ヴォルカー・ ショックといった一連の通貨・金融政策に対するアメリカのめまぐるしい態度 の変化と市場への混乱,⑤このような動揺の中で急拡大をとげた国際金融市場 の構造変化をあげることができるであろう。  この中でも,とくに注目されるのが準備通貨多様化の動きと国際金融市場の 構造変化である。  変動為替相場制下においてもドルを基軸通貨とする「ドル本位制」的な運営 がなされていることは周知のとおりである。しかし,変動為替相場制に移行し ていらいドル相場が不安定化し,ドルが為替相場の基準として適当でなくなっ たことや価値保蔵手段としての安定性が低下したこと,米・イラン金融紛争の ように万一の場合アメリカの金融的影響力の回避のため,あるいは貿易や資本 取引などの対外経済関係の多様化に対処するため等々の理由により準備通貨の          エラ 多様化がすすんできた。  英本稿は財団法人日本証券奨学財団の補助金による研究の一部である。なお本稿作成に   あたり,コンチネンタル銀行東京支店副支店長立脇和男氏より,多くの資料を提供し   て戴いた。記して謝意を表したい。  1)竹内一郎「最近の外資流入と円相場」『公社債月報』291号1980年11月。一,「円   の国際化をめぐる政策課題」『金融ジャーナル』1980年9月。

(2)

 昨年10月20日,ニューヨーク連銀のソロモン総裁は「われわれは現在,複数        準備通貨制度を有している」(We llave a multi−reserve currency now)と述 べ,アメリカの経済力の相対的弱化と西ドイツや日本などの経済力の相対的上 昇による国際経済情勢の変化から,準備通貨の多様化が自然発生的に生じてき たことを示唆している。  本稿においては,このような複数準備通貨制度論の背景になっている取引通 貨や準備通貨の多様化の現状とそれを促進したオイルマネーの動き,複数準備 通貨制度下における準備通貨国の費用・便益,当該国の対応状況,複数準備通 貨制度の基軸通貨ドルに対する位置づけとアメリカの金融政策を「国際通貨発 行特権(lnternational Seigniorage)」の観点から考察する。さらに準備通貨の多 様化によって生じる国際金融市場の構造変化と各国金融機関の当面する問題 円の国際化に対する課題を考察し,安定的な国際通貨制度構築のための模索を 行うことにしたい。 ∬ 複数準備通貨制度論の背景  1.取引通貨の多様化  基軸通貨の機能としては,取引通貨,準備通貨,介入通貨,各国平価を表示 する基準通貨ないしニュメレール(num6raire)の機能を果たすものと考えら   き  ている。ここでは取引通貨と準備通貨の多様化に焦点をあてて考察していくこ とにしよう。  民間での取引通貨の多様化は,建値通貨(quotation currency)の問題であ る。すなわち輸出入者間の取引がどの通貨建で行われているかということであ る。第1表は主要国通貨の世界貿易上の地位を示したもので,世界輸出に対す る上位5力国のシェアは43%に達する。輸出のシェアをもとに決められるIM Fの「特別引出権(Special Drawing Rights・SDR)」.は・SDRの魅力を高め 2) 『東京銀行月報』1981年2月,p.17. 3)詳しくは拙稿「ドルの費用・便益分析」『彦根論叢』第205号,1980年!2月,p.43  を参照されたい。

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  2! 第1表  主要国通貨の世界貿易上の地位     (単位 %) 項 目 対 象 年 ド       ル マ   ル    ク    円 ポ   ソ   ド フランス・フラン スイ ス・フラン   (1) OECD合計 に占める各

国GNPの

シェア 1979 34. 7 11.2 14.8 5.9 8.4 1.4  (2) 世界輸出 に対する 各国のシ ェア 1979 12.1 !1.4 6.8 6.0 6.7

L8

  (3) SDR 1単位 についての 各通貨のウ エイト 1981

2Q4∩δ33

41111

 国  自  の  で ゆ易率  貿比  の建  国貨  各通 輸  出 1 976・v 7 90. 0 87. 0 20. 2 69. 0 68. 3 82. 8 輸  入 1976nv 7 41. 9

L2

30,3 31.5 41.0  易通工 一貿値シ 侮界建別  世の貨ア 1976・v 7 52. 0 14.0 !.7 6.5 6.5 2.1 〈出所〉(1)OECD, Economic Outlook, Dec.1980.     (2) lnternational Financial Statistics.     (3) JMF Survey, Oct. 13, 1980. p. 297.     (4) H. Scharrer, Currencies and Currency Hedging in German Foreign       Trade, Deutsche Bank, Studies on Economic and Monetary Problems       and on Banfeing History, No. 18, Jan. 1980, p. 4, p. 13,     (5) H. Scharrer, “Die Wtihrungsstruktur in Welthandel,” Wirtschaftsdient,       1979, pt, SS. 454−459. るため1981年1月から,SDR 第2表工業国輸出における通貨別構成の変化        (輸出国通貨建の比率)        (単位       90) バスケットの構成通貨を16通貨 から主要5通貨に変更し,聞接 的ながら準備通貨の多様化を促        4) す効果が期待されている。  ところで第1表の各国の貿易 における自国通貨建比率から, 円を除くヨーロッパ主要国の貿 易において輸出国通貨建の占め る比率がきわめて高いことがわ かる。第2表はこうした輸出に 輸  出  国

クスアダツ グドアス

脚〆㌶

     ノ ノ

デフオオ西ベ ブイイ

1971年 1975年 4! 59,4 46.7 44. 4 84.1 46. 2 19 4 50. 7 n, a. 54 69,! 54.7 Jr o. 0 89.1 50. 4 25. 6 47. 3 n. a. 1976年 54  68. 3  n. a,  50.2  87.0  47. 4  !5.5  39.1 80/69(注) 〈出所〉 第1表の(4)のTable 2 (注) 1976年春が80%,77年秋が69% 4) たとえばSDR建の銀行預金や債券などを通貨当局や民間が保有すれば, SDRの  通貨別構成比率に応じて,準備通貨を多様化したのと同一の効果がえられる。詳しく  は『東京銀行月報』1980年1ユ月,pp,2−3を参照されたい,

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ついての自国通貨建比率が変動為替相場制移行にともなって1971年から1976年 にどのように変化したかを示している。大勢としては自国通貨建の比率が増加 していることがいえる。それとともに第2表からヨー・ロッパ諸国の場合,比較 的狭い地域に多くの国が密集している状況からも,変動為替相場制移行前の 1960年代に自国通貨建貿易体制がすでにかなり進んでいたのではないかという ことが類推される。しかしヨーロッパ諸国でドルが使われることが少ないとい うことは,ドルが国際通貨でなくなったことを意味するものではない。ヨーロ ッパ諸国の通貨はいぜんとして当事国間の取引に使われるという点で,それら        う の通貨はローカル・カレンシーなのである。ドイツ・マルクを含めてドル以外 の通貨がドルとともに第3国間貿易において取引通貨としての地位を確立した という明白な事実はいまのところまだないといってよいだろう。  ところで輸入については第1表からヨーPッパ諸国の自国通貨建比率が輸出 に比較して格段に低いことがわかる。これはヨーロッパ諸国の輸入の大きな比 重を占めている石油や鉱石といった1次産品がドル建であるからであろう。ま たヨーロッパ域内貿易では,輸出国の自国通貨建比率が高まれば,輸入国の自 国通貨建輸入比率が低下するということも原因であろう。  つぎに第1表は世界貿易全体に占めるドル建比率が52%程度であることを示 している。この比率は,農産物の最大の輸出国がアメリカであること,1次産 品の世界市場価格の大部分がドル建であること,日本,カナダ,オーストラリ ア,ニュージーランドなどのアメリカと密接な貿易関係を持つ諸国のドル山台        の率が高いこと等を考えるとき,急速に低下することはないであろう。すなわち 世界におけるドル建金融市場やドル建商品取引所のもたらす便宜,外国為替市        ア  場でのドル取引の便利さとも深くかかわっており,取引通貨におけるドルの優 5)滝沢健三「ローカル・カレンシーとしての西欧通貨」『国際金融』1981年4月15日  号,P.42. 6) 佐々木隆雄「円の国際化と金融」 『経済評論』1981年5月号。なお一般的には.日  本の場合J輸出は70%,輸入は90%がドル建であると類推されている。 7)佐々木隆雄「貿易取引におけるドルの役割」r経済志林』第48巻4号,1981年3月。

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  23         位は変動為替相場制下においても,いぜんとして維持されるであろう。  2.準備通貨の多様化  ドルは各国によって対外支払準備として保有され,その結果,各国にドルが 累積した。つまり準備通貨として各国に保有され,ドル価値が安定していたと きは,価値貯蔵機能も果たしていた。しかし変動為替相場制下でのドルに対す る信認の動揺が,公的ドル残高の他通貨へのシフト現象として注目されるよう になってきた。       第3表  公的為替準備の通貨構成       (単位 %) 年 lg73 1 lg74 1 lg7s 1 !g76 1 lg77 i lg7s 1 lg7g 各 四 半 期 末  1 豆   IV   IV   IV   IV   IV ド        ル ポ    ン    ド ドイツ・マルク フランス・フラン スイ ス・フ ラ ソ オランダ・ギルダー    円

E C U

84,6 7.0 5.8 1.0 1.2 0.3 84. 3 6.1 6,6 1.O

L6

0.4 85,1 4.1 6.6

L3

1.7 0.6 0,6

ρ0140ρ0﹁D只U

6271100

8 85,1 1,8 8.5 0.8 2.2 0.4 1.2 82.1

L6

10.3 1.0 2.O O,5 2.5 65. 1 1.9 10,7 0.9 2.8 0,7 3.3 14.7

w9

伽C除 97 dを

一︵

77.8 2.1 1L7

LO

3.1 0.7 3,6 合 計  100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 !00.0  〈出所>IMF, Annuαl Report 1980, p.64より作成。  第3表は公的為替準備の通貨の比率を示したものである。これはSDRで各 国通貨建の公的短期債務残高を表示し,取引による各国通貨別保有額の変動だ けでなく,各通貨の「SDR価格」の変化を反映させようとするものである。

7通貨の合計は,1973年第1四半期の889億SDRから1979年第4四半期に

2,214億SDRへと増加している。  ドルの占める比率は,1973年から1976年まで上昇し,1977年にはわずか低下 し,1978年から1979年にかけて大幅に低下している。1979年に65%まで急落し  8) 深町郁彌『現代資本主i義と国際通貨』岩波書店,1981年,pp.306−311,

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       の たのは,ECU発行のため欧州通貨協力基金(FECOM)に払い込まれたドル が公的為替準備から除外されたからである。ECU発行に使われたドルを公的 準備に繰り入れると,ドルの比率は77,8%になるQ  大幅な変化を生じた通貨として,まず,ポンドとドイツ・マルクをあげるこ とができる。ポンドは1973年に7.O%であったのが,1979年には2.1%まで低 下している。それに対してドイツ・マルクは1973年に5.8%であったが,1974 年にはポンドを追い越し,1979年には!1.7%まで比率を上昇させている。  また円も1978年頃ら急増し,1979年には3.6%に達してスイス・フランを追 い越し,ドル,ドイツ・マルクについで3番目に位置している。すなわち1980 年目IMFの年報によれば,円の準備通貨としての保有額は!977年末の20億S

DRから1978年末49億SDR,1979年末には73億SDR(約95億ドル)と2年

間で3.6倍に増大し,1980年末にはドル換算で少なくとも150億ドルに達してい        う るものと推定されている。  3. ドルの発行と準備通貨の多様化  準備通貨の多様化を議論するとき,公的ドル残高の他通貨へのシフトによっ て,資本が流入した国の通貨が国際通貨となり,ドルの地位が後退する,ある いはこれがドルの絶対的・相対的保有額の減少へとつながると思われがちであ る。しかし現実にはアメリカの国際収支赤字によるドルの発行がいぜんとして 続き,ドル残高が累積される中で準備通貨の多様化がすすんでいるのである。  第3表に示されているように1977年まで公的為替準備におけるドルの比率が 85%前後の高い水準を維持した背景として,国際通貨発行特権を乱用したアメ リカの国際収支赤字を指摘することができる。しかもそれはアメリカ国内の景 気刺激のための積極的財政・金融政策にもとつく資本収支の大幅赤字に起因し たものであった。  9)詳しくは拙稿,「欧州通貨統合とEMS」『彦根論叢』第20!号,1980年3月を参照   されたい。 !0) 『東京銀行月報』1980年12月,p.2.

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  25  国外に流出したドルが外国為替市場で,ドイツ・マルクやスイス・フランと いった強い通貨を相手通貨として売られた場合,このようなドル売りは外国為 替市場におけるドル下落(ドイツ・マルク高やスイス・フラン高)をもたらし 西ドイツやスイスの通貨当局は,自国通貨の為替相場の急激な上昇を回避する ため,為替市場で自国通貨を売り,ドルを買う介入操作を行わざるをえない。 この結果,西ドイツやスイスの通貨当局は公的ドル債権の保有を増大させるこ とになる。外国為替市場におけるドル売りが民間レベルで行われる場合,公的 マルク債権や公的スイス・フラン債権の他国による取得は生じない。それが生 ずるのは外国為替市場で他国の通貨当局が,ドル債権をマルク債権やスイス・ フラン債権に転換するとき,すなわち準備通貨の多様化が行われるときであ る。(実際の為替市場では民間取引と公的取引が並存して行われている。)  このようにしてドルからドイツ・マルクやスイス・フランへのシフトの結 果,ドルを売った通貨当局はそれだけのドイツ・マルクやスイス・フランの保 有を増加させ,ドルを買った西ドイツやスイスの通貨当局は,それだけ公的ド ル準備の保有が増加することになる。全体としての公的為替準備では,ドイ ツ・マルクやスイス・フランの保有が増え,ドルの総額は保有国が変わるだけ       エ  で変化がないことになる。つまり準備通貨の多様化の過程では,一度公的為替 準備を構成したドルは,その総量を減少させることはないのである。  公的ドル債権の絶対額が減少するのは,アメリカが公的ドル債務を資産決済 するときである。すなわち金で決済するかSDRやIMFポジションなどで債 権・債務を相殺するか,アメリカの財・サービスで支払う場合である。しかし 公的ドル債権を各国が,ドルに代わる国際通貨がないという理由から保有する かぎり,アメリカの国際通貨発行特権は存続することになる。  第1次石油ショック後もアメリカは貿易収支の大幅赤字をものともせず,石 油輸入を急増させてきた。その赤字により流出したドルは,外国為替市場でド イツ・マルクや円に対し絶えず売られ続けてきた。しかしアメリカにとって変 !1)深町郁彌,前掲書,PP・306−31!・

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動為替相場制下の「弱いドル」は輸出拡大の誘因ともなる。準備通貨の多様化 にともなうドイツ・マルク高や円高が,世界経済を大混乱におとしいれない 範囲内で,またドル安がアメリカ国内のインフレの高騰を招かない限り,アメ リカの国際収支赤字が存続しても,アメリカにとってなんら支障はなかったの である。  しかしながら第3表の1978年から1979年にかけての公的ドル債権の比率の低 下は,アメリカの国際収支赤字が縮小したからである。これはアメリカ国内の インフレの高進とドル相場の急激な下落に対し,1978年,カーター大統領が公 定歩合の引上げ,預金準備率の引上げなどによる金融引締めと,スワップ取決 めや外貨建財務省証券(カーター・ボンド)発行により介入資金を調達し,為替 市場への介入再開を骨子とするドル防衛策をとったからである。この政策によ り一時的にせよドルの追加的供給が抑制され,ドル相場を好転させた。他方,公 的ドル債権残高の増大が阻まれ,公的為替準備の多様化が促進されたのである。  4。オイルマネーの動き  ところで,カーター大統領の一回目ドル防衛政策採用の背後には,ドル建で 石油を輸出しているOPEC諸国のrドル離れ」の動きを封じ込める目的があ ったことをあげることができる。OPEC諸国は長期にわたる交渉により,石 油価格の決定権をメジャーから取り戻し,1970年央から石油収入を飛躍的に増 大させた。そして1973年には石油価格の四倍引上げにより,第1次石油ショッ クを引き起こしたのである。  第4表はOPEC諸国の国際収支を示したものであるが,モルガン銀行の推 計によればOPEC諸国の石油収入は,1979年には2,000億ドルに達し,1980 年には3,000億ドルに迫ったとされている。このような石油収入の急増は石油 増産によるものではなく,ひんぱんに行われた原油価格の引上げのためであっ た。この原油価格引上げには,アメリカ国内のインフレ,国際収麦の赤字を背 景としたドル相場の下落(ドルの減価)が大きな影響をおよぼしていることは 周知のとおりであるQ

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複数準備通貨制度と国際金融市場  27 第4表  OPEC諸国の国際収支 (単位,10億ドル) !g74 [ lg7s 1 lg76 1 lg77 1 lg7s 1 lg7g i lgso [ lgsl 輸   出   う ち 石 油   そ  の  他 輸   入 貿 易 収 支 貿易外収入(1>   〃  支出(1) 貿 易 外 収 支

純投資収入②

余       剰 純 公 的 移 転 純   余   剰 対外純資産(年末)(3) 109 102

 7

 36  73  4  15 All  4  65  1  64 104  97

 7

 59  40r

 5

 23 A!8  6  32  2  30 120 112  8  70  50  5  30 A25  7  33  1  34 144 135  9  85  59  8  38 A30  5  33  6  27 163 137 127  10  99  38  7  46 A39  6  7  6  1 162 208 197  11 102 106  6  51 A45  8  69  7  62 224 296 285  11 !33 !63  6  68 A62  12 113  10 103 327 320 308  12 164 156  7  87 A80  14  90  10  80 407 <出所>Morgan Guaranty Trust, World Financial Mαrkets,各号より作成。 (注) (1)投資収益は含まない,民間資金移転を含む。   ② 産油部門の外国直接投資収益の支払いを除く。   (3)政府および民間の対外資産額から対外負債額を引いたもの。   (4)1980年と1981年は推定。          第5表 実質石油収入の推移  (単位,億ドル)

細引油収入

インフレ減価分  ドル減価分  実質石油収入 !972  73  74  75  76  77  78  143  234  945 1, 051 1,132 1,291 1, 239   o A 23 A 212 A 360 A 487 A 650 A 689   o A 21 A 92 A 111 A 67 A 90 A 165 143 190 641 580 518 551 385 〈出所〉 三菱銀行『調査』1979年7月,p.20. (注) インフレ滅価分は,72年の産油国の輸入物価指数を100として,また,ドル減    言分は.72年のドルとSDR等価として各々算出。  第5表はOPEC諸国の実質石油収入の推移であるが,輸入工業製品価格の 上昇など輸入インフレにともなう減価とドル減価分を差し引けば実質収入は名 目収入ほど伸びていない。このような石油収入の実質減,ドル建対外資産の目

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 28 減りが1978年12月のアブダビ総会以来のOPEC原油価格大幅引上げの背景に あり,第2次石油ショックを引き起こしたことは記憶に新しいところである。  このように原油価格の高騰は産油国に大量の余剰資金すなわちオイルマネー を発生させつつあるが,産油国すべてに余剰が生じているわけではない。石油 輸出国は,①石油収入のほとんどが商品やサービスの輸入に使われ,余剰のな い国(ナイジェリア,アルジェリア,ガボン,ベネズエラ,インドネシア,エ クアドル等),②石油収入により輸入代金を支払い,少しは余剰の出る国(イ ラン,イラク,リビア,オーマン,パーレン,トリニダッド・トバコ等),③ 輸入の高い伸びにもかかわらず,石油収入が輸入増加以上に増え,余剰を大幅 に累積している国(サウジ・アラビア,クウェート,カタール,アラブ首長国       ユ   連邦等)の3グループに分類される。したがって石油余剰資金は少数の湾岸産 油国にだけ発生しているということができるだろう。  産油国のオイルマネーの運用について,IMF,イングランド銀行,モルガ ン銀行などにより種々の推計が公表されているが,若干の数字の違いはあるも のの大筋では大差がない。第6表は産油国余剰資金の運用状況で,第7表は国       第6表  産油国余剰資金の運用状況「(単位 10億ドル,%) \一.

`芝1974巨975

1976 1977 1978

1979羅筆

遣 行  預  金 うち通貨発行国預金  ユーロ通貨預金 短期国債(英・米) 長期国債(英・米) 他の資本流出(注1) IMF及IBRD(注2) 発展途上国貸出

余剰運用総額

未分類項 目

余剰資金総額

28,6〈53.7) 7,0(13.2) 21,6(40.6) 8.0(15 O) 1,1( 21) 7.1(13 3) 3 5( 6.6) 49{ 9.2) 53 2( 100) 1.9 55,1  9,9〈 28.1)  20( 5,6)  79( 22 4} AO.4(Al.1)  2.4〈 68) 128( 36.4)  40( IL4)  6 5( 18 5) 352( 100)  1,1 36.3 12.e〈 33,5)1 13.D( 38.8)  O.5( 1.4) 11.5( 32.1) A2.2(A6,1  44( 12,3 13 2( 36,9  2,0C 5,6)  64( 17.8 35,8( 100  2,8 38 6  2.3( 69) 10 7( 3L9) Al.1(A3.3)  4.5( 13.4)  9.8( 29 3)  O.3( O.9)  7.0( 20,9) 33.5( 100)  41 37,6  39C 291>  28( 209  11( 82 AO 8(A 60 Al,8(A13A  58( 433  0.1{ 07)  6,2( 463} 134( 100)  5.4 188 37.3C 69.3)  6 3( 11.7) 31.0( 57.6  3,3( 6’1} AO,7(Al.3  90( 16.7 A2,0(A3.7)  6,9( 12.8) 538( 100) 25 2 79.0  115  26  89

 7

 10  58 } 46  236 〈出所>Bank of England,(2uαrterly Bulletin, June 1980. (注)(1)ポートフォリオ投資,直接投資貸付け,その他。   (2)IMF出資SDR保有, IBRD債券の直接購入等。 資金受入国側の推計。 12) Bank of England, 9uartergy Bulletin, June 1980,

(11)

複数準備通貨制度と国際金融市場  29 第7表  産油国の余剰資金の国別運用状況  (単位 10億ドル,%)

\一  年  1974

x一一一一一一一一一一一 1975 1976 1977 1978 1979 ス債券金資債金出 リ ギ

塵外郷

蔵四ン府貨貨 国大ポポ政外外 イ 09( 1 6) 2 7( 4.7) 1.7( 3 O) 07( 1,2) 13 8(24 2) 1.2( 2,1) O.4( 11) AO 9(A2 5) 02( O.6)  03( O.8) 41( 11,5)  02( O,6) e.2( es) A/,2(A3 2) Al,4(A3,8) 05( 1.3) 56( 15,1) 08( 2.2) AO 2(AO.6) , O.3( O,9)  04( 12) O.2( 06) 3,4( 10.1) AO,3(A 2.2) O.2( 1,5) Ol( 1.5) O.1( 07) A2 O(A15.2) 04( 07) L4( 26) 04( O.7) 14.8( 27.5) 02( O,4) 、 4 計1・…(368)t・3(・2・・)1・・(12・1)41(122)△1・・(△134)・7・・(・2・・) ア  メ  リ  カ 国     債

財務省証券

銀 行 預 金 株式。不動産投資 e.2( o 4) 53( 9,3) 4,0( 7,0) 21(3 ,7) 2,0( 5,6) 05( 14) O..6( 1.7) 69( 19 3) 42( 1エ.3) Al O(A2.7)  16( 4.3)  7,2( 19,3) 43( 12 8) AO,8(A24) O.4( 12)  53( 15.8) Al,5(All.2) Al.O(A e 7)  O,8( 60)  30( 22.4) Al.1 (A2 0) 3,3( 6.1) 4,9( 9,1)  18( 33) 小 計111・6(・…)[1・・(・8・・)!2・(・2・・)[92(・7・・)i・3(9・・)i89(・6・・) 国金濁

  G

二三資 他行撒 の の  銀そ そ 9.0(15,8) 11.9(20 9) 5,0( 14.0) 12,4( 34,7) 6.5( 17.5) 12,2( 32,8) 7.5( 22,4) 12,4( 37.0) 5,0( 37.3) 8,8( 65.7) 16,4( 30.5) 11,7( 21.7) 、 4 計1・聯・)[17・・(…)i1・・(・・3)睡・9・・)1 ・…(・・3・)「・8・・(・2・・) 国際機関35(6・・)4・・(1・2)12・・(5・・)1・・(・・)1・1(…)△…(△・・) 合 計157・(1・・)1・5・・(・e・)1372(1・・)」・3・・(1・・)1 ・3・・(1・・)1 s3・・(1・・) 〈出所> Bank of England, Quarterlblβulletin, IMF Surwey. (注) 2国間特別融資,途上国貸付け,株式・不動産投資等。 別運用状況である。1974年には流動資産は全体の余剰資金の3分の2を占め, ユー・ P預金が40%,短期国債が15%を占めている。しかし,つぎの4年間は流 動資産の比率が急激し,長期国債や他の投資,とくに民間証券投資といった流 動性の低い資産へ投資された。ところが1979年には,ふたたびユーロ預金を中 心とした流動資産の比率が急増している。これは前述のドル防衛策等により, ドルやポンドが小康状態であったことや,短期金利の大幅上昇により銀行預金 への投資が増加したためである。  つぎに国別運用状況では,1974年に余剰資金の37%がイギリスに向けられて

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 30 いたのに対し,その後の減少が注目される。これはイギリスのポンド危機によ り,ポンド資産をドル資産に乗り換えて運用したためであろう。他方オイルマ ネーがポンドからドルや他通貨へ逃避したため,ポンド相場のいっそうの下落 を招いたことも事実である。その後1979年には外貨建預金の回復により,32% まで回復しているQ  アメリカでの運用は,余剰資金の運用総額が1974年をピークに減少している にもかかわらず,1977年までは大きな落ち込みがなかった。しかしアメリカの 国際収支が大幅な赤字となった1978年は,オイルマネーのアメリカでの運用は 激減した。1979年は財務省証券と銀行預金の回復で16.5%までシェアを戻して いるQ  1979年末でアメリカとイギリスに対する投資は,約50%でそのうちの約60% が銀行預金と財務省証券で占められ,より高い金利選好をうかがわせている。  その他の諸国(主として西ドイツ,スイス,フランス,日本,オランダ,ベ ルギー,イタリア,カナダ)’ ナのオイルマネーの運用は着実に増加し,1974年 の38%から1976年には50%をこえ,1978年にはイギリスから運用資産の一部が 流出したため,無害1資金総額以上の金額が投資されるにいたった。1979年末で 産油国対外投資残高の約17%,510億ドルがこれら諸国に投下され,その約80        エの %は銀行預金となっている。  石油価格がドル建で行われていること,その支払代金をドル建で受け入れて いること,イギリスと中東は歴史的に結びつきが強かったこと,イギリスとア メリカが伝統的な国際金融市場であったこと等から,オイルマネーは主として イギリスとアメリカに還流していた。しかし,より高い収益性を求めて投資機 会の多様化,分散化を積極的におしすすめ,従来のイギリス・アメリカ中心か ら,その他の地域にも投資を拡大しつつあるのが最近の特徴であるといえるだ ろう。それとともに準備通貨多様化への圧力も強まっているのである。  しかし極端なドル離れは,ドルのいっそうの下落を引き起こし,OPEC自 13) 『証券レポート』No 1108,1981年4月27日号, pp.7−8.

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  31 体も大きな損失を受けることになり,国際通貨としてドル以外にない現状では, ドル離れも一定の制約を受け,いぜんとしてアメリカは国際通貨発行特権を保 持し,石油代金をドルで決済することができるのである。 [IIII複数準備通貨制度とドル  1,準備通貨国の費用・便益  準備通貨国となることにより,①国際収支赤字のファイナンスが一応,容易 となる,②企業にとり自国通貨建取引きの機会が増加し為替リスクが少なくな る,③当該国金融機関にとり当該国通貨取引業務に優位を保つことができ収益 源の拡大になる等の利益が考えられる。その反面,①非居住者によって保有さ れる自国通貨が増加するほど,投機の際の短期資本移動が大きくなる,②国内 経済政策に対する運営において,自国通貨の対外債務残高を考慮する必要があ り,それだけ政策運営の自由度や効果が弱められる等の費用も生ずることにな る。現在のところ費用が利益より大きいと主要国は判断しているようである。  2.複数:準備通貨制度の不安定性  現実には準備通貨の多様化がすすんでいるものの,複数準備通貨制度は本来 的に不安定なものである。なぜなら通貨当局間で準備資産としてどの通貨をど れだけ保有するかについての合意が,国際的規模においては不可能であるから である。したがって準備通貨の保有割合は,準備通貨国の経済情勢や国際金融 の動向によって変化させざるをえない。オイルマネーの累積をはじめ各国の金 融資産が巨額に達している現在,近年の為替管理の緩和や撤廃,資本取引の自 由化の流れの中で,準備通貨の保有割合を変更させること自体が,民間資金を 大量に動かすことにもつながり,大きな概則要因となるのである。  このような点を西ドイツ当局は重視し,マルクの準備通貨化に一貫して反対        エの してきた。西ドイツ当局の反対理由は次のような点である。 14) ITUfonatsberichte der Deutschen B’zandesbank, C‘Die D−Mark als internationale Anl−  agewahrung,”Nov.!979,『東銀週報』1980年2月14日号。

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 32  ①外貨準備のドルからマルクへのシフト,またその逆のシフトは,これが 大規模に行われると,為替相場の大きな変動要因になるという外国為替市場の 不安定性増大に対する懸念。  ②このような為替相場変動を回避するために,西ドイツ通貨当局が外国為 替市場に介入しドル買いを行えば,国内通貨量のインフレ的膨張の危険につな がり,金融政策の自律性がそこなわれる。  ③ マルクに対する買い圧力が一方向に続くと,過度のマルク相場上昇とな り,西ドイツの対外競争力を減少させ,国内の産業構造に大きな阻害要因をも ちこむ。  ④ マルクの準備通貨化,さらに準備通貨の多様化がいっそう進んだ結果と しての,複数準備通貨の「システム」は準備通貨間の選択を生じさせ,きわめ て不安定な構造となり,恒常的為替相場の変動と国際流動性の無秩序な増加の 危険にさらされることになるQ  ⑤ 経常収支等の悪化により,為替相場が長期的に下落傾向にあると,非準 備通貨に転落するおそれが生じ,その反動も大きい。  このような反対理由は西ドイツ当局だけでなくアメリカ以外の先進国通貨当 局にも多かれ少なかれ共通して存在すると考えて間違いないであろう。いずれ にしても複数準備通貨制度は,何らかの制御装置を確立しない限り,為替相場 安定性の増大に対する要請に答えることができないということができるであろ う。  3.複数準備通貨制度の安定とアメリカの態度  複数準備通貨制度を安定的に運営するための条件として,①協調介入,②金 融協調の進展,③スワップ綱の拡充,④SDRの役割向上や外貨準備多様化に 対する構造対策をあげることができる。  (1)協調介入  準備通貨国間における協調なしで通貨制度の円滑な運営は期待することがで きない。その点からも1978年11月に導入されたアメリカ,西ドイツ,日本,ス

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  33 イスの4力国がそれぞれ対ドル相場の過大な変動を防止するため,共同して介 入するという協調介入は評価すべきものである。  これはアメリカがドル相場変動に対するそれまでの「優雅なる無視(benign neglect)」を止め,積極介入によりドル相場の安定を目指したという画期的な      ユう  ものであった。これはアメリカとしてもドル相場の安定が国内のインフレ抑制 のために不可欠の要件であると認識したためであるが,国際通貨制度問題とし てだけでなく自国の問題として捉えたところに,世界的な為替相場安定への萌 芽があるといえるだろう。  しかし,レーガン大統領のもとではアメリカが為替相場に介入する政策は, 緊急のときと相手国から依頼された場合を除いて中止されており,この萌芽は つみ取られているのである。  (2)金融協調の進展  金融政策は為替相場とのかかわりからすれば,広義の介入政策ともいうこと ができる。したがって為替介入で協調しても,金融政策の協調がなければ,そ の実効はあまり期待することができない。  昨今のドイツ・マルクの動きは,ポーランド問題等の政治的不安定性の影響 や西ドイツの経常収支赤字の要因も無視できないものの,アメリカの異常な金 利動向によって大きな影響を受けているといえるだろう。  アメリカの金利上昇の被害をもっとも強く受けているのは,西ドイツを中心 としたヨーロッパ諸国であり,最近ECではアメリカの金利政策とりわけ高金 利政策に大きな批判が高まっている。しかし,アメリカは,「経済を立て直す よう求めたのは,あなた方であったはず。にもかかわらず再生の努力をしては      エの ならないのか」という論理の下に,金融協調の「優雅なる無視」を続けている。  金利政策はアメリカの経済情勢により変更できないのであれば,国際通貨協 力の観点からみてアメリカの通貨当局が,為替相場の過度な変動に対して介入 を積極化するなど,爾余の諸国への配慮が必要である。 15)竹内一郎「準備通貨になる円,その将来」『エコノミスト』1980年10月7日号,p.19. 16)  『日本経済新聞』1981年6月6日朝干IJD

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 ㈲ スワップ綱の拡充  現在アメリカ,西ドイツ,日本の中央銀行間では,連邦準備二度とブンデス バンク問で60億ドル,連邦準備制度と日本銀行の間で50億ドル,ブンデスバン クと日本銀行との間で25億マルク(約14億ドル)のスワップ取決めが締結され ている。これは協調介入のための必要な資金を調達するために用意されたもの であるが,アメリカが為替相場への介入を中止している現在では,あまり効果 が期待できないものである。  (4)外貨準備多様化に対する構造対策  準備通貨の多様化によって生ずる為替市場への影響を回避するような機構が できれば,協調介入や金融協調への負担は,それだけ軽減されることになる。  IMFのSDRによるドルの代替勘定構想は,このような意図によるもので あった。しかし為替リスク負担に対するアメリカとその他の諸国との意見の相 違から,棚上げされている状態である。  このように複数準備通貨制度を安定的に作用させるための諸条件に対して, アメリカはほとんど非協力的である。その意味で複数準備通貨制度の安定化 は,当面期待できないといえるであろう。ただ西ドイツや日本の中央銀行と産 油国との問で,直接取引によってオイルマネーの還流を促すといった為替市場 外での準備通貨の多様化のルートが開かれつつあること,SDRの役割向上の ための具体的改善策が種々図られていることは,ひとつの光明であろう。  ではつぎに準備通貨多様化の動きの中で,国際金融市場はどのような影響を 受けているか考察することにしよう。 IV 国際金融市場の構造変化 1. ユーロ。カレンシー市場 (1)ユーロ・カレンシーの定義  ユーP・ダラーとは「アメリカ以外の国に預けられたドル預金」と定義され る。ユーP・ダラー取引市場が当初ヨ・・一一 Pッパを中心に発生し発展したことか ら「ユーロ」という語が冠されたが,現在では中東やシンガポール,東京など

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  35 の銀行にあるドル預金もユーロ・ダラーに含まれる。つまり現在では「ユーロ とは預金受入国の通貨以外の通貨による預金」を意味するようになった。した がってユーロ・マルク,ユーP・円等々も存在し,これらを総称してユーロ・カ レンシーと呼ぶのが一般的である。ただ「国際決済銀行(Bank for Internati・ onal Settlements, BIS)」推計の「狭義のユーロ・カレンシー市場」は西ヨーロ ッパ8力国所在銀行をベースとしたものであり,モルガン銀行の「拡大ユーP 市場」もしくは「広義のユーロ・カレンシー市場」はヨー一 Pッパ市場とそれ以 外の市場を加えた推計であることは注意を要するところである。  第8表は拡大ユーロ市場または広義のユーロ・カレンシー市場の規模を示し ている。「グロス」は諸銀行の外貨建対外債務残高を指し,「ネット」は「グ ロス」から主として銀行間預金を差し引ぎ,国内居住者の外貨業務を加えた数 値である。「グPス」 「ネット」とも10年間におのおの約10倍,約8.6倍と急 激に拡大をしている。「グロス」でみるかぎりドル建比率は70%台で(77∼79 年は傾向的に下落しているが),ドル離れが明白にはいえないようである。     第8表 拡大ユーロ市場(広義のユーロ・カレンシー市場)の規模       (単位ユ0億ドル,%) 1.一一._塾97・い9721・97・[・974.・975.・976“・977 i・978・979・98・       1 IJro [ 20s i 310 [ 3go 1 一4so i sgo i 72s i g30        1,190       1, 470 i  グ ロ ス       1 (76)1 (78)1 (73)1 (77)[ (78)i (79)1 (76)1 (74)5 (72)        (76)1 3・.Llpt,[iiO l i60.”12i512JO I 3iO iES,9−O pt14851600 Ll.一一Z,iili2−351  <出所> Morgan Guaranty TrustJ WorZd Financial trfarkets.  (注) グロスの()はグロスの拡大ユーロ市場におけるユーm・ダラーの比率,1980    年は推定値。  (2)ユーロ・カレンシー市場の資金源  第9表はBISによるユーP・カレンシー市場の源泉の推定値であり,第10表 はユーロ・カレンシーの通貨別構成比である。第9表からは産油国のみならず 発展途上国全般を通じて,準備資産運用の多様化がすすんでいることを示唆し ている。また税金面で優遇されているオフショア・金融センターからの資金の 供給も順調な拡大を続けていることが読みとれる。第10表からは1960年代には

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第9表 ユーP・カレンシー市場の源泉の推定値(ネット)(単位 10億ドル) Yi」*1 lg7011971 t lg721197311974[lg7s Pg76119771197s l lg7g

出域行行カダ国欧ア[国国明

馬銀響総轄

報ヨ  ア日そ東オ金石発分

27. 7 13.5 14.2 4.5 24. 0 O.8 32. 4 16. 4 16.0 6.1 31.4 1.1 35,2 17. 4 17. 8 6.9 47. 9 2.0 50. 8 23, 3 27, 5 9,5 9,8 !7.7 3,7 12,5 ] 24.6 3.4 67. 8 31.6 36. 2 11.9 8.7 18.5 5.0 17. 8 29. 1 15. 5 2.7 79.5 41.0 38. 5 !5. 4 8.3 19.9 5.1 21.8 34. 6 !6.2 4.2 86. 7 4L 2 45.5 ユ8.8 10. 5 2!.3 6.4 30.1 45.2 21.3 6.7 117. 3 61.3 56. 0 25. 4  8.4 18.8  7.0 33.4 54. 5 29.6  5,6 142. 5 72.4 70. 1 37. 0 13.0 26.2  8.8 45.4 54. 7 39.8  7.6 174. 0 81.0 93, 0 50.5 15.2 31. 7 13.0 52. 8 81.0 47. 8  9.0 合 計57.071.092.0132.0177. 0205.0247.0300.0375.0475.0  〈出所〉  (注) 80%台であったドルの比率 が1970年代央までに70%台 に低下し,1970年代末には 60%台にまで下がり,ユー ロ・カレンシー市場におけ る多様化がすすんでいるこ とが明らかとなっている。  (3) ユーロ・カレンシー    市場の需要者  ユー一 P・カレンシー市場 の使途の推定は第11表に示  BIS, Annual RePOrt,各号より作成。 1979年6月以降,推定方法に変更があった。 第10表 ユーロ・カレンシー市場の通貨別構成比       (単位 %)

1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 ト ル 78.0 72. 5 73. 3 68.4 70.8 73. 3 74. 0 70.4 68.2 65. 6 ・ソ スラ イ スフ 。ク ッレ イノ ドマ 10.8 14.9 14.8 !6.7 15. 6 15.4 15.2 17.3 18. 2 19. 2 7.6 8.0 6.7 9.0 8.3 5.9 5.1 5.7 5. 5 6.1 ポンド 1.2 2.1

L7

2.4

L6

L2

1.3

L7

2.0 2.3 その他 2.4 2.5 3.5 3.5 3.7 4.2 4.4 4.9 6.1 6.8        〈出所> BIS, Annual RePOrt,より作成。 されている。ここでは発展途上国の資金需要と,産油国の中でもあまり余剰を 出すことのできない諸国の借入れが注目されるが,市場の利用者を公的機関, 商業銀行,非銀行に分類して,さらに検討することにしよう。

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  37 第11表 ユーロ・カレンシー市場の使途の推定値(ネット)(単位 10億ドル) \く管・97・・97・1・… 1・973巨9741・975・97司・977・978・97・

出域一行行カダ国欧ア[国国明

麓山議翻讐

報ヨ  ア日そ束オ金石発分

 1

38.9[ 49.0 ユ8・1奄P9・5

2S:識:

  lil

   7.4 43・1 m ls.7   ii] 14.3 0. 41 1.7 61.9 20,6 41.3 ユ8.6 18,2 20.2 9,8

 E

26.7 3. or: 15.7 2.8 63.0 19.4 43.6 ユ6.6 20.2 25.8 15.6 35.6 5.3 19.5 4,2 74. 4 22.9 Jr 1, 5 ユ8,3 21.6 33.0 20.8 40.8 9.6 24. 7 3.9 110.4 33.1 77.3 21. 3 ユ8.7 30.8 25.7 43.9 10r,7 30.3  3.2 136.0 44.0 92.0 24. 6 24.6 34.7 31.4 0rJr.0 24.3 40.1  4.3 171.3 60. 0 11!.3 36. 7 33.0 40. 6 36 0 67. or 30. 4i 55.1  4. 5i 合 副・7・・レ…92…32…77・・1・・5・・247.・….・375・・1 47S.・  〈出所> BIS, Annuαl RePOrt,各号より作成。  (注) 1979年6月以降,推定方法に変更があった。

 ① 公的機関

 公的機関のユーロ・カレンシー市場利用方法は1970年を境に大きく転換、し た。1960年代は,国内財政赤字補填や外国貿易金融が中心で,一件当り借入金 額も小さく,かつ短期借入れであった。しかし1970年前後のユーP中長期貸付 け(ユーロ・シンジケート・ローン)の出現により,公的機関は開発金融や国 際収支赤字補唄,さらには外貨準備多様化の目的で市場を利用するようになっ た。  第1次石油危機直前の1973年には,発展途上国の開発金融のための資金調達 が顕著で,この時期のユーロ中長;期貸付けの急増が1976年から77年の発展途上 国の債務累積による危機の原因となった。第11表からも明らかなように発展途 上国への融資が増大しているが,これは巨額のオイルマネーがユー一 P・カレン シー市場を中心に還流し,この豊:富な資金を商業銀行が先進国の景気低迷によ る資金需要の停滞もあって,発展途上国に積極的に振り向けてきたからであ る。とくに国際金融業務への商業銀行の新規参入が相次ぎ,貸出競争も激化し

(20)

 38 たことから予想以上に多額の資金が発展途上国へ流入したものと思われる。  なお第1次石油危機発生後の1974年には,先進国の国際収支赤字補填の借入 れが主流となり,先進国の借入れが一巡した1975年からは発展途上国とくに中 進国といわれるブラジル,メキシコ,イラン,韓国が開発金融や国際収支補填 のための借入れを進め,最近では先進国の需要もふたたび増大している。

 ② 商業銀行

 商業銀行は仲介的な職能のため最終需要者としての比重は小さい。主たる利 用方法としてアメリカの銀行が1966年と68年に行ったように金融逼迫時に市場 からドルを借り入れてアメリカでそのまま貸し付ける場合,市場から通貨を借 り入れ,自国通貨に転換して自国企業に貸し付ける場合,通貨不安のときユー ロ・カレンシーを借り入れ投機やヘッジのために使用する場合等があげられる。  ③ 非 銀 行  非銀行とくに企業がユー Pt・カレンシー市場の需要者として重要な比重を占 めている。市場の利用方法は外国貿易金融のためと企業活動のために二分され る。第2次大戦後,貿易取引決済のためドルを使用する割合が高く,アメリカ 以外の企業はドルを①アメリカ市場で調達する,②ユ・一 P・ダラー市場で借り 入れる,③自国通貨を借り入れ,それで外国為替市場からドルを購入する等を 通じて調達しなければならなかった。①②③のいずれをとるかは究極的には借 入金利にあるといえるだろう。ユ・・一 P・ダラー市場の成長要因は,ユーロ・ダ ラー金利が相対的に競争力があったことに加えて,世界貿易が順調に拡大した ことによって促進されてきた。また逆にユー一 P・ダラ・t一市場の出現により,国 際的な金融統合がなされ,国際貿易拡大のため金融的側面から大きく寄与し, 両者は相乗的な発展をしてきたといえるだろう。  ユーロ・カレンシー市場は1972∼73年のブーム期に著しく拡大し,1974∼75年 の景気後退期には一転して拡大テンポが鈍り,1976年にはある程度回復したも のの,1977年は鈍化し,1978年からは,産油国,輸入国とも金利規制のないユー ロ市場で資金を大量に運用したため,大きく成長した。そして今後の市場の成長 は世界経済の全般的傾向によって大きな影響を受けるといってよいであろうg

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  39  2. ユーロ・ボンド市場  (1)ユー一 P・ボンド(ユーロ債)の定義  ユーロ・ボンドとは通常,ヨーロッパのひとつまたは複数の資本市場で,発 行市場国通貨以外の通貨建で表示された債券であり,多国籍の引受けシンジケ ート団(先進国銀行により構成)を通じて国際的に引き受けられ,売却される 外債であるといわれている。発行市場国通貨建ならば単なる外債ということに なるが,例えばドイツ・マルク外債でも大部分が非居住者に引き受けられる場 合はユーロ・ボンドに含められる。またユーロ・ダラー債でニューヨーク市場 で上場されるものもあるが,ヨーロッパで引き受けられるものは上場の有無に       ユア  かかわらずユー一 P・ボンドとみなされているようである。では第12表をもとに 国際資本市場の動向を考察することにしよう。  (2)ユー一 P・ボンド市場の規模  まず発行者別ではアメリカ企業が1969年の対外投資規制の緩和により外国資 金依存が減少した後,1974年の資本の流出規制廃止により激減している。それ と反対にアメリカ市場での外債発行ぱ1974年から激増し,長期資本市場として のアメリカの地位が著しく高まっている。しかし,1979年からは,この関係が アメリカ国内の高金利により逆転している。  ユーロ・ボンド市場で,1977年まではアメリカ以外の企業と各国政府による 起債が増大している。またアメリカ市場以外での外債発行も増大しており,中 でもドイツ・マルク,スイス・フラン,円建外債の増加が注目される。さらに ユーロ・ボンド市場でぱ,いぜんとしてドル建が多いもののドイツ・マルク建 も増大している。  ところで1978年のユーP・ボンド市場の起債総額は141億ドルで,!77億ドル とそれまでの最高を記録した1977年末水準を約36億ドルも下回っている。これ は主としてドル相場の下落とアメリカおよびユーロ・ダラー市場での金利高騰 によるものであった。しかしユーP・ドル債市場自体の存在基盤は1978年中の  !7) 日本興業銀行特別調査室編『ユーPカレンシー市場』金融財政事情研究会,1979   年, pp.62rr63p

(22)

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(23)

      複数準備通貨制度と国際金融市場  41 落ち込みにもかかわらず,確固としたものであることが推測される。すなわち, 1978年におけるドル金利と為替相場の極度の不安定性からすれば,ユーロ・ド       ユ   ル債の発行量はむしろ驚くほど大きかったといえるであろう。  (3,)国際債市場の推移  つぎに1980年の国際債の新規発行は410億ドルを超え,国際金融市場の不安 感が強まっているなかで1979年に比べ微増したにすぎない。ユーP・ボンドは 前年より増大し239億ドル,アメリカ市場の外債発行は34億ドルと前年45億ド ルより落ち込み,アメリカ市場以外の西ドイツ,スイス,日本等を合計した外 債は145億ドルと前年!77億ドルよりも約20%の減少となった。主な:通貨建で はドル建が全体の47%,スイス・フラン建が約18%,ドイツ・マルク建が20 %,円建は3%となっている。  ドル建は,ユーロ・ドル債とアメリカ市場発行外債を加えれば,1979年の全 体に占めるシェア42%に比べて1980年47%とやや回復しているものの,/976年 当時60.7%であったのに比べ,シェアの低下が著しい。しかし1979年ユ・一 P・ ドル債は金利が急上昇するなかで前年の73億ドルに比べて125億ドルと70%も 増加し,ユー一 P・ボンド市場のシェアも50.7%から67%に高まったことは注目 される。これは1979年前半のドルの堅調に支えられたこともあるが,後半ドル の動揺で普通債の発行が困難となったなかで,変動利付債が急増したためであ る。変動利付債はユーロ・ドル債の約40%にも達した。しかし1980年当初はユ ーロ・ドル変動利付債も大幅に値を下げるものが続出し,新規発行はかなり困 難になった。その意味でもユーロ・ドル債の発行増加は1979年は内容的に相当 無理な拡大であったといえるだろう。  一方スイス・フラン建市場は1979年97億ドルと前年比70%増となり,ドル建 に次ぐ規模になってきた。これはインフレの進行や金利上昇に見舞われたもの の,豊富な資金流入でこれを克服したものである。またドイツ・マルク建市場 も債券利回り急上昇のなかで何度も起債停止になりながらも,1979年は90億ド ユ8)東海銀行「調査月報』ユ979年12月。

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ルと,大きく拡大した78年水準を維持し,76年に比べて2倍以上の規模となっ た。しかし1980年には前年よりも減少し84億ドルとなっている。なお円建市場 は1980年に約11億ドルと78年の38億ドルに比べ大幅に落ち込んでいる。  (4)ユーロ・ボンド市場の将来  1980年当初はユーP・ドル債市場は底迷を続け,アメリカの外債市場も仮死 状態にあった。これは急上昇を続けた金利により債券相場が暴落したこと,金 利上昇の原因ともいえるインフレ抑制が早期に解決困難なこと,中東情勢が不 透明であったこと,産油国がドル資産の比率を低下させようとしていること等 等によったものと思われる。ドイツ・マルク市場やスイス・フラン市場では新 規発行が行われていたものの,ドル債の伸び悩みを完全に補うほどの規模では なかった。このような背景からユーロ・ボンド市場全体の拡大が抑制されるの ではないかと予想された。ところがユーロ・ボンド金利の一時的低下にともな い,!980年全体ではアメリカ企業の起債増大によって,前年よりも拡大するこ とができた。  しかしながら世界的インフレの進行と,今後も通貨不安が予想される現段階 で国際金利水準の低位安定は当面期待できないであろう。さらにユーロ・ボン ド市場の発展を阻害する要因は今後とも数多く出現するであろう。しかしユー ロ・ボンド市場は国際的金利の激しい変動や,通貨不安に対し資金の需要者・ 供給者の双方により満足するような発行方法を開発することで市場の拡大を成        しとげてきた。この市場発展過程で培われた諸能力は,これからも大いに発揮 されるであろう。  ユーロ・ボンド市場の将来は,アメリカのみならずヨーロッパ・日本・発展 途上国を含む世界経済の中で,総資金需要の動向,世界インフレのもとでの通 貨の信認と安定化をどのように予想するかにかかっている。世界全体として経 済成長を達成し,厚生を高めるためには国際通貨の安定は不’可欠である。その 意味でも国際通貨発行国の責任は大きいといえる。また世界の経済成長と厚生 を高めるため長期資本の需要は今後とも増大するであろう。このような背景か  19) Michel Develle, Le Marche des Euro Obligations, Bangue,10 April,1972.

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      複数準備通貨制度と国際金融市場  43 らユーロ・ボンド市場の機能の拡大と重要性は,今後長期的にみれぽますま す増大するといえるであろう。  3.国際金融市場の構成  国際金融市場は大きく変容しようとしているが,そのなかでも国際金融市場 で圧倒的比重を占めているユーP・カレンシー市場構成国の動向が注目され る。前述したようにユーロ・カレンシー市場はBISに報告書を提出している         第13表  拡大ユーpa市場における構成国の比率   (単位 %)

    ・975・9761977い978・97g事象下向

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22

3.9 0.5 0.4 2.4 0.2 3.or O.3 〈出所> The Banker, Feb.1981, p 97より作成g (注)1980年は推定値9

(26)

西ヨーロッパ8力国所在銀行をベースとした狭義のユー一一 Pt・カレンシー市場と これに非ヨーロヅパ所在銀行を加えた広義のユーロ・カレンシー市場または拡 大ユーロ市場がある。  第13表によれば拡大L一ロ市場に占めるヨーPッパ市場の比率は,1975年の 72.6%から1980年6月には70.6%へ低下しているのに対し,非ヨーロッパ市場 の比率は27.4%から29.4%へと上昇している。とくにイギリスの低下が著しい が,ポンドが急激に下落した1976年に大きく低下し,ポンドが相対的に安定し た1978年末からは,やや比率をもち直している。しかしイギリスとりわけロソ ドソがユーロ・カレンシー市場の最大の担い手であることに変わりはない。他 方ベルギー,ルクセンブルグ,オランダなど強い通貨国は比率を高めている。 なお西ドイツの比率が低いのは,西ドイツの銀行貸出しがルクセンブルグの子        ヨの 会社を通じて大部分行われているためである。  非ヨーロッパ市場ではバハマ・ケイマン諸島の比率の増大が顕著であるが, これはアメリカの銀行がユーロ・ダラー取引きをロンドンから,この地域の支 店に移したためである。1977年末,アメリカの銀行のロンドン支店ドル資産が 640億ドルであったのに対し,バハマ・ケイマン諸島を含むカリブ海支店のド         ル資産は670億ドルにも達していた。ただ!977年以降比率が低迷しているのは それまで積極的であったアメリカの銀行のユーロ・カレンシー市場への進出 が,収益の面からもリスクの面からもやや消極的になっているからである。現 在進行しているニューヨーク・オフショア構想が実現すれば,アメリカの銀行 の行動も変化するであろう。  また日本の比率が低迷しているのは主として,政府の邦銀に対する規制の影 響であり,邦銀の対外貸付けは東京市場よりもロンドン支店で増加しているよ うである。  さらに非ヨーロッパ市場の中でシンガポールの拡大も注目に値する。アジア の金融センターとして発展させようとする政府の積極的支援によって拡大して 20) The Banker, March, 1979, pp. 21−23, Feb・ 1981, p・ 97, 21)Theβα卿r,ヲ帽,

(27)

      複数準備通貨制度と国際金融市場  45 おり,カナダを追い越すまでになり,狭義の「アジア・ダラー市場」として期 待されている。なお香港の比率が低いのは香港で成立した取引きが他の市場に 含まれる場合が多く,実態を正確に反映していないからである。また新しい金 融市場として,産油国の石油代金を背景として拡大しているパーレンも今後注 目を集めることになるだろう。 V 国際金融市場と各国金融機関  L シンジケート・ローン  (1) ユーロ。シソジケーeト・P一ン  短期のユーロ・カレンシー市場と長期のユーロ・ボンド市場の中間的白磁を        もった中・長期の貸付け,いわゆるユーロ・シンジケート・ローンが1970年頃 から「短期借りの長期貸し」という形で現れた。これはユーロ銀行がシンジケ ーi・団を結成し,短期ユーロ・ダラーを原資として借り入れ,LIBOR(London Interbank Offered Rate)という短期ユー一 P・ダラー金利に一定の利鞘を上乗 せして変動金利で貸し付けるものである。  (2)シンジケート・ローン順位  第14表はユーロ・シンジケート・Pt 一ンを含む一般的シンジケート・ロ 一一ン における各国銀行の国別順位と世界における順位を示したものである。自国内 に国際金融市場を持つアメリカとイギリスは他国を圧倒している。その後にカ ナダ,フランス,西ドイツ,日本が続いており第14表には示されていないが国 際金融業務を強化する目的で設立されたアラブ産油国のコンソーシアム銀行も かなりの健闘をしている。  團 邦銀のシンジケート・ローン  邦銀の中長期対外貸付け(主体はシンジケート・ローン)は,1977年主要行 に包括認可が与えられていらい急速に拡大し,ユーロ・シンジケート・ロ_ンに ついても1966年には2億ドル弱であったものが,1977年には30億ドル台,1978 22) これはユーロ・バンキング・ロ・一一ン,ユーロ・バンク・クレジット,ユーロ中長期  ローン,ユーロ・カレンシー・ローンなどさまざなな言い方をされている。

(28)

第!4表 シンジケート・ローンにおける銀行順位 ア メ リ カ イ ギ リ ス 西 ド イ ツ カナダ 銀 行 名 Citicorp Chase Manhattan Bank of America Manufacturers Hanover Morgan Guaranty Merrill Lynch lnt’1 Banking Group Shearson Loeb Rhoades lnt’I Bankers Trust Company Wells Fargo Chemical Continental IIIinois Fir$t National Bank of Chicago American Express Crocker National Banl〈 National We$tminster Lloyds Midland Barclays Schroder Wagg SG Warburg Hambros Grindlays Standard Chartered Hill Samuel Morgan Grenfell Lazard Brothers NM Rothschild West LB Dresdner Bank Deutsche Bank DG Bank Commerzbank Bayerische Landesbank Bank fur Gemeinwirtschaft Bayerische Vereinsbank Bank of Mentreal Canadian lmperial Bank of Commerce Royal Bank of Canada Bank of Nova Scotia 1980年の 各国での 順位

1234567891011121314

12345678910111213

!2345678

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