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研究評価における相対的引用度の役割と利用上の留意
点(政策評価・研究評価)
Author(s)
大野, 博教
Citation
年次学術大会講演要旨集, 18: 506-509
Issue Date
2003-11-07
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6938
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
2C24
研究評価における 相対的引用度の 役割と利用上の 留意点
0
大野Ⅰ専教傭 中肋
1 . はじめに研究論文を主体とする 研究業績評価における 文献計量学的手法
(以下
BM 法と略
称 ) の 利用は、 ピア・レビュ 一による評価を 補うもの、 あ るいはピア・レビューを 支援するものとして、 その存在価値が 広く認められつつあ る。 この場合、 B M 法で は通常、 学術誌への発表論文教をもって、 研究の生産性を 示す尺度として、 また論
文 1 篇 あたりの
被引用数、 すなわち引用度をもってその 論文のインパクトを 示す
尺 度としている。 しかしながら、 論文の被引用数は 専門分野によって、 また学術 詰め
種類によって 大きく異なり、 この相違は場合によっては 2 桁にも達する。 したがっ て 、 論文の被引用数の 絶対値は、研究活動のインパクトを
比較する際に、 必、 ずしも適切な尺度とならない 場合があ る。 この欠点を補
うものとして、 根岸らは、 大学・
研究機関の研究活動の 評価の際、 研究分野別の 平均引用度に 対する各大学の 引用度
の 倍率を指数化したもの、すなむち引用度指数を
算出した 1 ) 。 これは一種の 相対的引用度であ るが、 研究分野別の 平均引用度を 求めるためにはかなり
はう大な作業
量 が必要となる。 そこで、 各論文毎に、 その論文を掲載した 学術誌の期待板引用率
(ExpectedCitation Rate 、 以下 E C R と略称 ) に対するその 論文の被引用数の 比、 すなむち相対的引用度を 求め、 これを集計することによって 論文辞あ るいは研究グ
ループの研究活動のインパクトを 求めることを
試みた。 なお、 Science citationIndex ( 以下 S C I と略称 ) の創始者、 E. Garfield や S C I の作成 九 の Tomson ISI
社の
Pendleburry
は論文の被引用数を 「 E C R と比較する」 とのべ、 平定量的扱いにとどまっている
2 , 3 ) 。 したがって、ここに提案する
「 比 」 とは、広く認められた
名称は無いが、 便宜上、 この比を相対的引用度
(Relative
Citation Rate@ R C Rと略称 ) と 呼ぶこととする。 2 .
相対的引用度の
算出相対的引用度
( R CR) 算出の基礎となる 期待板引用率は
図 1に示すよ
うに学術
誌 によって大きく 異なる。 Mar Poll B 誌では発行 1 年間の E C R は 0 ・ 057 であ り、 1 年以内に掲載された 論文が 1 回引用されれば R C R は17.5
という突出した 値と なる。 したがって、 R C R を算出するためのデータ 採取年数、 す な れ ち窓 (window) には R C R が安定するまでの 値をとる必要があ る。 この様子は図 2 に示す通りであ り 、 一応 5 年ていどが適当と 考えられている。 なお、 その根拠は示されていないが、 Pendleburry も 5 年という数字を 示している。図 ] 期待 被 引用率の例 250 200 150 100 50
0 ぎ仮 珪石母校年 10
図 2 相対的引用度の 舞 年 ま化 ( 窓 10 年の RCR に対する 比 )
「
ll
10
経過年数 数字は愛媛大環境保護部の 主要論文 54 篇からの平均値
経過年数
論文が複数の
場合、特に種類が異なる 学術誌の論文の
R C Rを総合して算出する
ためにはⅡ
1 )複数の学術
誌 があ たかも 1種類の学術
誌 であるかのように
E C R を 算定する、 ( 2 )各学術
誌 毎に E C R を求め、これらの算術平均をもって 関連学術
詰 め E C RとするⅡ
3 )各論文の
R C Rの算術平均をもって 複数の論文の
平均 R C R とする、 の 3 つの方法が考えられる。これらの方法をそれぞれ
R い R " 、 R m とし て 、以下に算出式を
示す。 ) 。R@ , -
Ⅰ ( Ⅰ )
l-1
笘 一A,
,
/ Ⅰ ・Z
一 一 1N,
下 」、 ノ 一 4, 」、 m論文教ならびにこれらの
論文を掲載した
学術 誌 の 数 (重複を含む
) a,, 」 : J番目の学術
誌に掲載された 論文が土牢
目に受けた引用数
A 。 ,, : J番目の学術誌の 発行年間の全論文の
王 年 目の 絵被 引用数 N, : J番目の学術誌の 当該発行年間の 総論文教
j 笘 Ⅰ
li Z
Ⅰ la>,J
/ m ・ 1-1 Z 一 a. R n =・ く 2 )
(Z
ゴーⅠⅠ一一
・Z
-1
A,
,
/
N,)
mR@m@==@ @@ (@ @@ a ,, ,@ /@ @@A 。 , ,@ /@ N,)@ /@ m
j 二 I i Ⅰ 1 i Ⅰ 1 ( 3 )
上記の 3 種類の式の中、 R ,
は最もオーソドックスな
方法であ
るが、最も手間が
かかる。 Ⅱはやや簡便であ るが、 複数の学術誌の 間で E C R に大きな差があ る場合 に、 小さい E C Rが大きい
E C Rにマスクされてしまう 危うさがあ
る。 R " は 最も簡便であ
るが R .および
R nに対して実際に 即したケース・スタディを
試みる 必 、 要が あ る。 3つの方法の試算の
対象として、 国のあるプロジェクトで 得られた約
30 篇の 論文を選び、 発表 午が 同じ教籍ずつの 論文辞に分けて 比較を行った。 なお引用 デ一 タ 採取の 「 窓 」 としては、 3 年、 4年および
5 年の 3 種類を選んだ。試算の結果か
ら 3つの計算式の
間で相関を調べると、どの窓に対しても
R 。 と R mの間で最も高い
相関係数が得られた。 そこで、 算出の簡便さと 論文の組み合わせに 対する融通性と から見て 、 R " が 最も良いと考えられる。 対 1和衷
3 的 引用度の応用例 相対的引用度の 出 現 割合 RCR割合、 %
1 以上 13 .4 3 以上 5 .9 5 以上 2 .5 7 以上 1.20 . 7 用 Ⅰ コ ノ
㏄
り
tUr も
で
、 84 、 85 年 ょり 収録 目立たない論 文27.0 25.0 20.0 穏 15.0 軽一 " Ⅰ ' 宝 10.0 女 年
5.0
0 ・ 0 が- 一 - - 一 "" " 一 口小柴博士の 論文 ■田中氏の論文 目利根川博士の 論文
牛ル上,,
相対的引用度を 求めると、 驚く程 き
わ
論文発表ト Ⅰ。 @
の、 Ⅰ @
め
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Ⅲ
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?
後の経過年数 立ってくる場合があ る。 その実例とし て、 昨年ノーベル 化学賞を受賞された よ お 寅引 - 史的 宙対 - ル相一 べの - 一紙 Ⅱ び - 母田中氏の状況を
図 3および図
4 す 才ド 5 ) 。相対的
その論文の 論文の被 引 とであ る。 分布は寡占 偏りがあ る 6 )o Nature す よ う に、 全体の中の引被用
し分
こ誌
R Ⅱが 1 数が 平均 なが あ り 留意 にと が 1 - セこ と b 当該 値に ら、 、 分 する ると
/ ト コ @ ト 、 ぅ ことは、
学術講中の
相当するこ 被 引用数の 布に大きな必要があ
る 、 表 1 に示 の論文は、 今に過ぎず、 180 160 140 12000000 - 示郎 GH 細
、 柴博 士 ■ 田中氏 口 利根川博モ
Ⅱ・ コ
10
以上の論文は
1パーセント以下で
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Ⅱ)のⅠ
Ⅰ 飴ノ@N
㏄ 寸 イ @ り 寸 ?の、
:め ノ ト の @ Ⅰ ㏄Ⅰ、ト
の @ ㎡ あ る。 そこで、田中氏のように
R C R 論文発表後の 経過年数 が 20 を超すということは、 極めてまれ な事象であ ると理解される。 図 4 小柴博士と田中氏のノーベル 俺受 拙論文およ び 利根川神 土の Review 紙の被引用例4 .
おわりに
研究機関や研究グループの
研究活動の評価に R C R を利用する場合に次のような
利点があ る。 ( 1 ) 専門分野に拘束されない ( 2 ) 関係する研究者個人の 各論文の R C R を集積すれば よ く、 専門分野別の 平 均引用度を求める 必要がない。 すな む ち、 R C R の算出は自己完結型であ る 。 なお、 この場合、 R C R算出のべ
ー スとなる E C Rは安定領域に 入っていることが
必要であ り、 このためにはデータ 検索の窓を少なくとも 5年にすることが
望ましい。 また研究者個人の 業績評価に R C R を利用することも 基本的には可能であ るが、 留 意 すべき点を挙げると 次の通りであ る。 ( 1 ) 適切なクライテリアを設けること
( 2 ) 利用目的を明確にすること なお、 これら 2 点については、 今後ケース,スタディを 積み重ねて、具体的に明
赤 できるよ う にしたいと考えている。 稿を終えるにあ たり、 Nature誌に関する種々のデータはトムソンコーポレーショ
ン ( 株 ) の宮人楊子氏から 提供されたことを 付記する。 参考文献 1 ) 「大学ランキンバ , 2003 年版」,朝日新聞社
2 ) Garfield, E
Current
Contents,
Sep , 12(1994)3 ) Pendleburry, D A ISI
公開シンポジウム
講演要旨, 10 月 8 日 (2002)4 )
大野博教
化学工学, 67, (8), pp. 463(2003)5 )