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巻頭言(立命館大学人文科学研究所紀要 116号)

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Academic year: 2021

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1 〈特集〉変貌期の国民国家

巻頭言

〈特集〉変貌期の国民国家

Nation-State in Reformation

「グローバル化の時代」と呼ばれてから久しくなる。この時代をどのよう に理解するかとなると論争を呼ばざるを得ないにせよ、IT 革命によって社会 経済・政治関係が越境規模で連鎖化を強くしているという点では、ほぼ共通 の理解が成立していると言える。これは、「国家」をもって区画されている 社会経済関係が越境規模で相互依存性を強くしたし、その過程にもあること を意味する。それだけに、「見慣れない」現象や課題も浮上している。 現代のグローバル化は「国際関係(政治)」の基軸的機制である「国民(的) 国家」の編成を揺さぶっているだけに、主要な包摂要素であるナショナリズ ムと民主政との共振動が繰り返されている。この運動は、また、伝統的ナ ショナリズム観や民主主義論を逆照射し、「国民国家」の再検討を迫り、そ の新しい視座の設定を求めている。本号を「グローバル化時代のナショナリ ズムと民主主義」と題する特集を組んだのも、こうした課題意識に発してい る。 社会経済関係の構成諸要素は政治的に接合されることで、「国民国家」に おいて一定の凝集性が期されている。現代のグローバル化のなかで、こうし た「国民国家」を中心とする地球規模の複合的構造が流動化し、収斂と分岐 の力学が、あるいは、対抗傾向や対抗イデオロギーも作動している。これは、 潮流は多様であるにせよ、ナショナリズムの復権運動や「国民国家」の「再 統合」論に、また、「グローバル民主政論」を含めて多様な「民主主義」像 が浮上していることに認め得ることである。 本特集の表題は「人文科学研究所」主催のシンポジウム(2017 年 10 月 27

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2 立命館大学人文科学研究所紀要(116号) 日、於:立命館大学)の共通論題を踏襲している。本号は、その際の 3 本の 報告と 1 本の関連論文を、また、関連著作の書評と文献紹介を所収している。 そして、2008 年以降、輪番制で恒例化している東アジア「3 大学(立命館大 学、広州・Jinan 大学、ソウル・Chung-Ang 大学)連携国際シンポジウム」 (2018 年 2 月 23 日−24 日、於:韓国)の報告と討論の概要も収めている。 本特集が転換期の「国民国家」の変貌の諸相にアプローチすることを触発 し、民主主義の現代的課題の理論化の深化と結びつき得ることを期待してい る。 2018年 4 月 10 日 「人文科学研究所」上席研究員 中谷 義和

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