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高機能自閉症幼児への指導実践に関する考察 : 情動及び愛着形成の発達に着目して

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Academic year: 2021

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(1)高機能自閉症幼児への指導実践に関する考察    一情動及び愛着形成の発達に着目して一 学校教育学専攻 幼年教育コース. M08028G   西田 和子. 2歳2ヶ月に自閉症と診断を受け、2歳9ヶ月. I.問題と日的  自閉症児の指導法には、認知の発達、行動変. から市の療育センターで療育に参加する。 〔指導開始時の様子〕. 容、コミュニケーションの改善を促すことでr社 会性の障害」を軽減することが目指されてきた。.  視線は合いにくく、母親への心理的安全基地.  しかしながら自閉症児・者は、併存症として. は成立していない。人よりも物に関心が強く、. r情動の障害」を抱えることが多い。自閉症児. 数字・アルファベット・色・文字に特に関心が. は、感情のプランニング、情動伝染など情動に. 強い。遊びは、物を並べて潰す、カレンダーを. 関する反応傾性が弱い。また対象や状況に対し. 捲らで数字を読むこと、音楽・ビデオを楽しむ。. て過敏なことから、情動を共有することに困難. 要求は単語やクレーン行動で表出する。. さが見られる。したがって指導を行う際も、子. 2.分析資料. どもの意図や注意だけでなく、情動にも反応し.  指導場面のビデオ記録(指導実践の期間は3. て共感することが大切だと考える。彼らの行動. 歳1ヶ月∼3歳10ヶ月)が分析対象となった。. を読み取り、認知面だけではなく、情動面も含 む内的な世界を意味づけ、ことばで表現するこ. 皿.結果. とで、全体的な発達を促すことができると考え. 1、第I期1情動の発達は、喜び一驚き・怒り. られる。.  が見られた。ポジティブな情動は文脈や場面.  以上のことをふまえて、高機能自閉症幼児へ.  など手がかりがあると人の行為に期待し喜び. の指導実践において、子どもの意図や注意だけ.  の情動の表出が見られた。ネガティブな情動. でなく情動に共感し反応を行う発達支援につい.  は、人の行為に反応するのではなく状況や場. て考察することを目的とする。高機能自閉症幼.  面において自分の意図と相違があるときに怒. 児の1事例を取り上げ、①情動の発達、②愛着.  りを表出した。愛着対象者が快の情動を引き. 形成、③認知・言語発達、④自他の理解と社会.  起こす遊びをすることにより快一不快の随伴. 的相互作用行動の4つの視点から分析し検討し.  性が理解され、三項関係が成立した。. ていく。. 2.第1I期:愛着対象者と心理的安全基地が成  立し、共感の情動表出が見られた。情動の制. 皿,方法.  側として、愛着対象者を求める、不安なとき. 1.対象児.  にジャーゴンで発話することが見られた。や.  A児(以下Aと記載)男児指導開始3歳1ヶ月.  りとりの中で、一語発話、ふり、視線で伝達. 一30一.

(2)  するようになり、承認要求を示す。写真を見.  そして音声、表清、行為などの変化を見極め.  て自分だと理解し、客体としての自己理解が.  て、共感的な反応を返していく。特に否定的.  でき、また自尊感情の芽生えが見られた。.  な場面での情動表出は、微妙な揺れを読み取. 3.第皿期:愛着関係では母親を選択的に求め.  ることが大切である。愛着対象者である援助.  るようになり、甘えが見られた。また知らな.  者が、より安定した存在になるように関わっ.  い人に出会ったり、自分の思いと違うことが.  ていく。.  起こったりしたときに、恥などの自己意識が. 3.第皿期:Aの行為やサインに対して即時的.  関与する情動が表出された。不安なときには.  に対応し安心感を持たせる。また子どもの情.  母親を見たり、身振りや言葉で他者に思いを.  動や思いにそう言葉かけや表情のモデルを.  伝えたりする行為が出現した。さらに自己他.  示すことで、相互的、相補的な情動体験を積.  者ともに意図や情動など心的世界を有する.  めるようにする。さらに自分で思いや要求を.  ものと理解しはじめた。.  伝えるように関わっていく。. 4.第W期:愛着対象者に積極的に働きかける. 4.第IV期:注意喚起行動に対しては、受け止.  と共に、意に沿わないと羨望などの情動が表.  め応答することで安定感を育てる。そして子.  出された。また自分の行為に対しての母親の.  どもが自分の行為に対しての他者の反応を. 評価や反応を確認する様子から、自己評価を.  受け止める過程を見守り待つことが大切で. 伴う誇り、恥、気まずさが見られた。否定的.  ある。また子どもは自己主張したり、からか.  な場面では、注意引き行動、だだこね、遊ぶ.  い行動を行ったり、自分から発信し情動的コ.  ことで気を紛らわせることを行い、少しの間.  ミュニケーションを楽しむようになる。それ.  ネガティブな情動を自分の中に留めるとい.  に対して、意図を読みとり、共感したり、じ.  う耐性が芽生えてきた。やりとりでは、から.  らしたり、見守ったり、対時したりして少し.  かい行動や系列的なふり遊びが見られ、2∼.  ずつ変化をつけて関わることが大切である。.  3語文が表出された。. V.まとめ π.総合考察(Aの莞違を踏まえた支援の在リ方).  子どもの発達は各領域がパラレル的に発達す. 1.第I期:Aに快の情動をもたらす場面・状. るのではなく絡み合って発達していることが理.  祝を設定し、欲求が実現できるように働きか. 解できる。よって発達の道すじにそって情動を.  ける。フォーマットのある遊びを設定し、そ. 育てることが、自他の理解につながり、人と共.  の随伴性からく自己一人一物〉の三項関係を. 感し、自分を抑制する力をつけていくことにな.  形成していく。ネガティブな情動に対しては、. る。人は人の関わりの中で支えられて育ってい.  援助者が不快な情動を読み取って、快の情動. くものであり、幼児期からの情動へ共感し働き.  が生起するように援助を行う。これらを通じ. かける指導が重要だと考える。.  て愛着関係が成立していく。. 2.第皿期:他者と体験が重なる遊びの中で、. 主任指導教員 横川和章先生.  Aが喜びを共有し賞賛を得られる場を作る。. 指導教員石野秀明先生. 一31一.

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