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算数教育における適応的知識とその習得に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)算数教育における適応的知識とその習得に関する研究 教科・領域教育学専攻 自 然 系 コ 一 ス. M l 0 1 7 5 F 賓  多  孝  治 1.研究の目的. ってきた。.  新しい内容を学習するための問題を提示した.  そして,何とかして,先に述べたような受け. とき,子どもたちが戸惑うときがある。これは,. 身的ではなく,新しい内容を学習するとき,そ. 提示された未習の問題に関連する既習事項の理. の学習に関連する既習事項を自ら想起できる子. 解が不十分で,どのような既習事項を想起すれ. どもを育てたいと思うようになった。これが,. ばよいのかが分からない,または,どのような. 本研究に取り組んだ動機であり,以下の4点が. 考え方や方法を用いればよいのかが分からない. 本研究の目的である。. ということがその理由として考えられる。そし. (1)知識構造について考察すること. て,このような状態にならないように,事前に. (2)どのような知識を習得すると,既習事項. 新しい内容の学習に関連する既習事項が含まれ.  を自ら想起できるようになるのかを明らか. ている問題(復習問題)を提示したり,新しい.  にすること (3)(2)であげた知識を習得するために必要な. 内容の学習に関連する既習事項を想起させるよ うな発問をしたりする教師が多い。これは,未.  ことを考察すること (4)(2)であげた知識の習得が促進される指導. 習の問題に関連する既習事項を子どもに確認さ せ,クラス全体で共有することにより,未習の.  の方法や教師の役割を示すこと. 問題にスムーズに取り組めるようにする工夫で ある。このような授業展開は重要であり,筆者. 2.論文の概要. もこれまで行ってきた。もちろん,既習事項の.  第1章では,筆者の指導経験をもとに,新し. 理解不足を改善する努力も行ってきた。. い内容を学習するとき,その学習に関連する既.  しかし,このような授業を行いながら,疑問. 習事項を自ら想起できる子どもが少ないという. に思っていたことがある。それは,教師が常に,. 実態について述べた。また,先行研究をもとに,. 新しい内容に関連する既習事項を想起させる場. 既習事項を自ら想起できる子どもを育成するこ. 面を設定することによって,子どもが既習事項. とが必要であることを示した。. を自ら想起する機会を奪っているのではないだ.  第2章では,適応的知識とその習得について. ろうかということである。また,教師が既習事. 述べた。第1節では,先行研究をもとに,認知. 項を確認してくれるので,そ.れまで待てばよい. 心理学や認知科学で用いられている宣言的知識. という受け身的な子どもを育てているのではな. と,算数・数学教育で用いられている概念的知. いだろうか。このような思いが,次第に強くな. 識が同じものであることを示した。また,概念. 一328■.

(2) 的知識と手続き的知識の結び付きの重要性につ. 方について述べた。片桐の「単位の考え」とい. いて考察した。そして,概念的知識と手続き的. う数学的な考え方と,中島の「単位の考え」と. 知識は,互いに結び付けられた知識として獲得. いう数学的なアイデアを含む数学的な考え方を. されることが重要であることを述べた。第2節. もとに,「単位をそろえる」という標準的な大き. では,波多野が述べている「適応的知識(有意. さのBigIdeaとの関係について考察した。そし. 味に学習された手続きを柔軟かつ創造的に適用. て,BigIdeaと数学的な考え方は,根本的に似. することができる知識)」とBaroodyによって. た考え方であることを示した後,BigIdeaと数. 示された「適応的知識理論にもとづく手続き的. 学的な考え方の異なる点を述べた。. 知識と概念的知識の相互依存の関係」の図を考.  第4章では,適応的知識を習得するための振. 察し,適応的知識を習得するためには,既習の. り返り活動と教師の役割について述べた。第1. 手続き的知識と概念的知識が豊かに結び付き,. 節では,先行研究をもとに,振り返り活動につ. その知識が新しい問題に柔軟かつ創造的に適用. いて考察した。そして,これらの研究の間に,. することができる質の高い知識になることが必. 何を,いつ振り返らせるのかということに違い. 要であることを示した。その結果,適応的知識. があることを示した。また,適応的知識を習得. を習得することによって,既習事項を自ら想起. するための振り返り活動として,BigIdeaを意. できる子どもを育てることができるということ. 識させる振り返り活動をあげ,それを「BigIdea. が明らかになった。そして,算数学習の場で,. を意識した振り返り活動」と呼ぶことにした。. 適応的知識を習得した子どもの具体的な様子の. さらに,Big Ideaを子どもに意識させる振り返. 例を示した。. り活動の具体的な指導の方法として,Big Idea.  第3章では,BigIdeaと数学的な考え方につ. を子どもに着目させる「問いかけ」,「振り返り. いて考察し,BigIdeaと適応的知識や数学的な. 活動に専念する1時間の授業」などを示した。. 考え方との関係について述べた。第1節では,. 第2節では,適応的知識を習得させる,すなわ. 先行研究をもとに,BigIdeaをいくつかの学習. ちBigIdeaを子どもに理解させたり,BigIdea. 内容に共通する基本的な考え方と捉え,Big. を意識した振り返り活動を行ったりするための. Ideaと適応的知識の関係について考察した。そ. 教師の役割について考察した。そして,教師の. して,BigIdeaが,手続き的知識と概念的知識. 役割として,まず,BigIdeaを教師が理解する. を豊かに結び付けたり,それぞれの知識の質を. ことが重要であることを述べた。また,BigIdea. 高めたりすることから,BigIdeaの理解が適応. を子どもに意識(理解)させるための指導の方. 的知識の習得に必要であることを述べた。また,. 法として,「問いかけ」,「感想の記述」,「板書の. Baroodyの「Big Ideaの理論」を考察し,Big. 工夫」,「振り返りワークシートの工夫」などを. Ideaに3つのレベルを設けた。そして,「単位. 効果的に用いることを示した。. をそろえる」,「同じものになおす」という具体.  第5章では,各章の内容及び全体的なまとめ. 的なBigIdeaの例を示した。さらに,BigIdea. を行い,今後の課題を述べた。. を理解することにより生じる様々な効果や, Big Ideaを理解するプロセスについて述べた。. 主任指導員 崎谷眞也. 第2節では,先行研究をもとに,数学的な考え. 指導教員 崎谷眞他 一329一.

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参照

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