和食および日本産食材の輸出について
勝
田
英
紀
要旨 日本の農業および食品関係企業の大半が中小零細企業であることから,海外展開はき わめて低調である。農作物の国内取引は JA 全農が農家をまとめているが,それ以外の農業 法人はまだ小規模であり,海外経験が非常に乏しい。 このような現状により,今後日本国内で農業および食品産業が衰退せず,発展してゆくた め,何が問題なのかを見直し,現在輸出している農業団体,食品業者の活動をしっかり検討 し,より多くの農家,農業団体,食品業者が海外に目を向け,海外市場を開拓しやすくする 方策を検討する。特に,農産物の輸出拡大を後押しするため,政府が2017年4月に日本貿易 振興機構(JETRO)内に設置した日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO=ジェ イフードー)を中心とした,日本産品の輸出プログラムについて検討する。Abstract The overseas expansion of Japanese agriculture and food industry is extremely sluggish. The reason behind this is that the majority of food-related companies are small and medium-sized enterprises. As for farm produce, JA ZEN-NOH organizes farmers, but other agricultural corporations are still small and lack significant over-seas experience.
Under these conditions, in order for the agriculture and food industry to not de-cline domestically, but instead develop, we must review where the issues lie and thoroughly examine the activities of agricultural organizations and food businesses that are currently exporting, and examine ways to make it easier for more farmers, agricultural organizations, and food businesses to look overseas and explore overseas markets. In particular, we will examine the export program for Japanese products centered around The Japan Food Product Overseas Promotion Center(JFOODO)founded by the government within Japan External Trade Organization(JETRO)in April 2017 to promote the expansion of agricultural product exports.
キーワード 和食,日本産食材,ジェトロ,JFOODO 原稿受理日 2018年11月29日
は じ め に
日本の農業および食品産業は,今,大きな転換期を迎えている。少子高齢化による国内 の人口減少により,食品全般の購入量・購入額が減少し始めている。農業及び食品産業が 事業活動を継続してゆくためには,国内市場のみに頼っては存続できないため,海外に販 路を求め,農産物あるいは加工食品を輸出することが生き残りの条件となっている。 2013年度における我が国の国内生産額928.9兆円に対して,第1次産業(農林漁業;12.4 兆円)に第2次産業(関連製造業),第3次産業(流通・飲食業)を含めた農業・食料関 連産業の国内生産額は97.6兆円で, 全産業の国内生産額からみても我が国の重要な分野の 一つとなっている。食品産業(食品工業,関連流通業,飲食店)の国内生産額は81兆円で, 国内生産額の8割を占めている。 総務省の予測によれば,日本の人口は2018年5月現在の1億2646万人から2050年には1 億人を割り,約9500万人に減少し,高齢化率は2018年5月現在の27.7%から2050年には約 40%に上昇すると予測されていることから,日本の農業及び食品産業の市場規模は,2050 年に向け,年々大幅に縮小してゆく。一方,全世界の食の市場規模(加工品+外食市場) は,2009年の340兆円から2020年には680兆円になると予想されている。 農業に関して,TPP や EPA 等の通商条約の締結による輸入の影響,あるいは農業人口 の減少あるいは高齢化による生産現場の縮小を取り扱う論文は非常に多く,日本国内への マイナスの影響を考える論文が数えきれないほど見いだされる。しかし,これからまだま だ市場規模が大きくなる海外へ農産物を輸出することに関係する研究は少ない。日本の農 産物の海外輸出に関する先行研究は,藤本(2018),斎藤(2018),下渡(2017) のよ うな小規模な事例研究がほとんどで,日本全体の農水産物や加工品の輸出あるいは,業種 や商品別の体系だった研究は非常に少ない。体系だった研究については,勝田(2017およ 農林水産省「食品産業の動向」: http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h27/attach/pdf/zenbun-2.pdf 総務省「我が国における総人口の長期的推移」:http://www.soumu.go.jp/main_content/ 000273900.pdf 総務省統計局「人口推計」:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html 藤本幸久,2018年,「和歌山県産の農産物(桃)における海外市場戦略(特集 産地発展につな げる農産物輸出:日本の食材を売る)―(品目ごとの輸出戦略・バリューチェーン構築の実態)」 『農業と経済』,第84巻第5号,5568頁。 斎藤 章,2018年,『「農産物輸出大国オランダを見習え」は間違っている』『現代農業』,第97 巻第1号,336341頁。 下渡敏治,2017年,「売市場の集荷機能を活用した農産物輸出と輸出拡大への課題」『野菜情 報』,第154号,3638頁。び2018) などがあるぐらいである。 日本の農業は,労働人口の老齢化や離農増加の影響もあり,労働生産性が欧米に比較し てかなり低いことである。一方,IOT(Internet of Things:モノがインターネットにつ ながる仕組み)や AI(Artificial Intelligence:人工知能;人間にしかできなかったよう な高度に知的な作業や判断をコンピュータなどの人工的なシステムにより行えるようにし たもの)などを利用し,生産効率の向上を考える若い農家も出現してきており,日本の農 業は現在,変革期にあると考える。IOT や AI を使い,農業における生産効率がアップす れば,海外から輸入される農産物や加工食品に十分,価格で対抗することができ,逆に日 本の農産物を輸出することも可能となる。 しかし,日本の食品産業の海外展開は,現状きわめて低調である。その原因は,食品関 係企業の大半が中小零細企業であることである。国内出荷に関しては,JA 全農が日本の 大半の農家をまとめているが,それ以外の農業法人は小規模な事業所がほとんどであり, 全体として,海外経験が非常に乏しい。このような現状を踏まえ,日本の農業および食品 産業が発展してゆくために問題点を洗い出し,現在輸出している農業団体,食品業者の活 動を検討し,より多くの農家,農業団体,食品業者が海外市場に目を向け,開拓しやすく する方策を検討する。
Ⅰ 農業法人の海外取引
1 JA 全農 の概要および活動 平成27事業年度においては,JA 全農(以下全農と称する)の従業員にあたる農業法人 正組合員数は約443.3万人であり, 准組合員数は約593.7万人と合わせ,1000万人超の組合 員を擁している。全農の売上高は,単体で約4.6兆円,連結ベースで約6.2兆円にも上るビッ クビジネスである。 全農の海外活動に目を向けると,これまで牛肉・豚肉・鶏肉等の輸入販売すること,飼 料,肥料,農薬を輸入して国内の農家,農業団体へ販売すること,農家が育てた牛肉等の 肉類,野菜や果物などの農産物を国内販売することが主であり,国内で生産された米,野 菜,果物,牛肉,豚肉を海外へ輸出することはほとんど行ってこなかった。 勝田英紀,2017年,「我が国における米の輸出入について」『商経学叢』,第63巻第3号,359 383頁。 勝田英紀,2018年,「日本酒輸出のメリット」『商経学叢』,第64巻第3号,7189頁。 JA 全農:https://www.zennoh.or.jp/そこで今後は輸出事業を海外に新たな需要を開拓するために不可欠な事業ととらえ,全 農はグループをあげて,安全で高品質な日本産農畜産物の輸出に取り組み始めた。全農は 2017年4月より輸出対策部を新設し,輸出事業の促進および輸出用産地づくりに取り組ん でいる。 輸出実務は子会社である JA 全農インターナショナル に集約し,海外において は,現地での販売強化のため,新規拠点の設置をすすめ,以下の活動を重点的に行ってい る。 ①海外常設売場の設置(200か所),全農フェアの開催(5か国,32回)や現地パートナー と連携した玄米輸出など,国産農畜産物の輸出拡大で80億円(前年比160%)を売り上 げている。また,海外の主要都市に直営レストランを出店し,日本の農畜産物を使用し た和食などのメニューを提供し,海外で十分に普及していない和牛の食べ方など,日本 食の普及に関する情報発信を行っている。 ②海外食品卸企業への出資,連携 海外の販売見込先(卸,小売,外食等)への営業を強化するとともに,販売機能強化 のため現地卸等への出資など連携をすすめている。 ③輸出ワンストップ窓口の開設 輸出関係情報を発信するホームページ「輸出ワンストップ窓口」 を開設し,輸出に関 する情報発信を行うとともに,輸出に関する質問・相談への対応や,輸出意欲のある産 地の開拓をすすめている。 ④輸出用産地づくり 全農は輸出先国のニーズ等を踏まえ,それに対応した持続可能な生産・輸送・販売体 制を確立・構築しようとしている。
⑤ JGAP および GLOBAL GPA の普及活動
欧米諸国に比べて,導入の遅れていた GAP(Good Agricultural Practice:農業生 産工程管理)や JGAP(Japan Good Agricultural Practice)および GLOBAL GAP (GLOBAL Good Agricultural Practice)の普及,近年のグローバル化(食品の輸出 入の増加による国際競争の激化)や食の安全に対する問題,さらに2020年の東京オリン ピック・パラリンピックの選手村に納入する食材の GAP 認証の必須化などあり,農林 水産省も GAP の導入に積極的な動きを見せている。
JA 全農インターナショナル:http://www.zennoh-intl.com/ 輸出ワンストップ窓口:https://agri.ja-group.jp/export/
⑥ HACCEP の導入・啓蒙活動 日本食肉市場卸売協会の「第36回経営トップセミナー」 で,HACCP 制度導入につ いて,飛騨ミート農業協同組合連合会では,前施設時の約20年前から HACCP を導入 し,輸出に関しては,香港からはじまり,EU など13の国・地域に輸出が可能となって いる。また,群馬県食肉卸売市場によると,HACCP 導入については,1999年に米国規 則に基づき完全実施し,9 か国に輸出が可能であり,牛では1999年に,豚では2015年に 導入し,2016年には SQF 認証を取得していることの報告があった。 2 一般農業法人の活動 1)農業法人の数 「農業法人」とは,日本農業法人協会 によれば,法人形態によって農業を営む法人の総 称であり,学校法人や医療法人等の法的に定められた名称とは異なり,農業を営む法人に 対し任意で使用している名称である。 法人の形態は「会社法人」と「農事組合法人」に分けられる。2016年4月1日施行の改 正農地法により,「農業生産法人」は「農地所有適格法人」に呼称が変更となり, 農業法 人の設件が緩和され,法人数は年々増加している。農地所有適格法人の要件は,①法人形 態要件,②事業要件,③議決権要件,④役員要件の4要件である。法人が農業を営むにあ たり,農地を所有(売買)しようとする場合は,必ずこの要件を満たす必要がある。ただ し,農地を利用しない農業を営む法人や,農地を借りて農業を営む法人は,必ずしも農地 所有適格法人の要件を満たす必要はない。 2009年における農業法人数は11064社であり, 活動が大きく展開できる株式会社形態の 法人数は1200社である。2009年の農地法改正によりリース方式による参入を全面自由化し, 改正前の約5倍のペースで増加している。農地を利用して農業経営を行う一般法人は,農 林水産省経営局の調べによると2017年12月末現在で3030法人に増加している。 畜産日報 2018年7月27日付
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害要因分析(に基づく)必須管 理点)とは, 厚生労働省によれば, 食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因 (ハザード)を把握した上で, 原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で, それらの危害 要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し,製品の安全性を確保しようする衛生 管理の手法である。HACCP は国連の国連食糧農業機関(FAO:Food and Agriculture Organ- ization of the United Nations)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コー デックス: CODEX; Codex Alimentarius)委員会から発表され,各国にその採用を推奨してい る国際的に認められたものであるとされている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/ 公益社団法人日本農業法人協会:http://hojin.or.jp/standard/what_is/what_is.html#5
2)農業法人による独自の取り組みで輸出を行っている例
日本の農林水産物の生産者にとって,農林水産物輸出の拡大は生き残りのために欠かせ ない選択肢である。日本政府は遅まきながら,EPA あるいは TPP などの2国あるい
は多国間の条約の締結の対抗措置として,2017年4月に JETRO 内に輸出サポート機関
EPA(Economic Partnership Agreement):経済連携協定のことで,関税撤廃や非関税障壁 の引下げなどの通商障壁の除去だけでなく,締約国間での経済取引の円滑化,経済制度の調和, および,サービス・投資・電子商取引などのさまざまな経済領域での連携強化・協力の促進など をも含めた条約である。
TPP(Trans-Pacific Partnership Agreement):環太平洋パートナーシップ協定のことで, 環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした経済連携協定 として,11カ国が参加してい る。2018年11月9日にオーストラリアで批准されたことにより2019年1月に発効することが決 まった。 図1 一般法人数の推移 出典:農林水産省経営局調べ(平成29年12月末現在)よりまとめる http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/attach/pdf/kigyou_sannyu-11.pdf
「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)」を創設し,海外進出の支援を行っ ている。また,日本各地の農家や生産者も独自の取り組みで,海外展開を図っている。 Wakka Japan(北海道)は,2013年から北海道産玄米の輸出に乗り出し,急速に輸出 額を増やしている。香港,台湾,ハワイ,シンガポール自社工場で玄米を精米し,飲食店 や個人向けに販売している。輸出実績は,2013年度の52トン(2929万円)が,14年度は245 トン(9315万円),15年度は465トン(1億4794万円)と右肩上がりで伸びている。直播栽 培による低コスト米の生産,輸送コストの低減により,現地で競争力のある販売価格を実 現した。現地のテレビ番組などで,米の研ぎ方からレシピなど日本産米や日本食文化の啓 蒙活動も実施してきた。2017年には農業生産法人を立ち上げ,海外ニーズ(玄米,オーガ ニック等)に合わせた輸出用米の生産を開始した。 また,十勝川西長いも運営協議会(北海道)は, 長いもの輸出を伸ばしている。1999 年に,薬膳ブームの台湾に輸出し,米国,シンガポールでも人気となり,2014年産は対米 輸出が量・金額ともにトップになった。同年産の輸出額は8億6888万円であった。 このほかにも,中東市場(UAE;アラブ首長国連邦)への海苔輸出を軌道に乗せた吉田 屋海苔(熊本県)など,日本各地で生産者,事業者が海外市場の開拓を行っていることに より,日本産の農林水産物の輸出が確実に伸びている。
Ⅱ 和食の輸出について
1 日本食ブーム 日本と EU(欧州連合)が2019年初めの発効を目指して日 EU・EPA の締結に合意した が,この EPA は輸入食材に日本の食材市場を取られることのみでなく,日本食,日本産 食材,特に日本酒の EU 内での普及をバックアップするものとなる。同様に,2019年1月 に発効が決定している TPP11 も,環太平洋諸国からの食材の輸入のみならず,日本食の 食材,日本酒,ビール,焼酎といった日本の酒の輸出をバックアップするものとなる。 現在,世界を席巻する日本食ブームが起こっている。2013年12月4日に「和食」が,ユ ネスコの無形文化遺産に登録されたことから,さらに日本食の認識が高まり,日本料理店 JTRO,「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)」:https://www.jetro.go.jp/jfoodo/ ニュースサイトで読む:http://biz-journal.jp/2018/02/post_22212_2.html Wakka Japan:http://tawaraya-rice.jp/ 十勝川西長いも運営協議会 http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/torikumi_zirei/pdf/ 25_jirei003_sasikae.pdfが世界中で増加している。その増加数は,農林水産省の調査 によると2006年の約2.4万店 から,ユネスコの無形文化遺産に和食が登録された2013年に約5.5万店に増加し,2015年に 約8.9万店,2017年に約11.8万店と急速に増加している。日本料理店が最も多いのがアジア 地域の約6万9300店で,北米地域の約2万5300店,EU 地域の約1万2200店と増加し,中 東地域でも伸びており,2017年は6割増の約950店に増加した。 日本料理店の海外での急増は,日本の農林水産物全体の輸出増をもたらした。2012年の 4497億円から2015年の7452億円に大幅に増加し,2016年は7502億円と小幅の増加であった が,2017年8073億円,2018年16月期4359億円(対前年比15.1% up)と伸びている。ア ルコール飲料は,日本酒,焼酎,ウイスキー,ビールや梅酒のようなリキュール類を含め, 同時期のアルコール全体の売上は約292.5億円(11.1% up)であった。 2 今後の課題 日本料理店の増加だけでは,日本食材の輸出はこれ以上大幅に増加を期待できないため, さらに輸出を伸ばす次のステップを考える必要がある。また,東日本大震災時の放射線漏 れによる風評被害も落ち着いてきているので,主力品目である牛肉(和牛), 緑茶, アル コール飲料(日本酒,ウィスキー,ビール,焼酎等)を,日本政府がしっかりバックアッ プして,海外に PR してゆくことが非常に大切なこととなってきている。これからは,農 産物や加工食品の販売に関して,今までのような日本での食べ方あるいは飲み方をそのま ま海外の販売先に押し付けるのではなく,相手先国では,どのような食べ物をどのように 食べているかを考え,海外現地の風土や料理に合わせるように日本の食材を根づかせるこ とが大切である。要するに,本物の和食を知ってもらおうと奮闘する日本人がいる一方で, カリフォルニアロールなどの巻きずしに代表される海外でアレンジされた日本食も認める ことで,全世界的に広がっている日本食ブームをうまく利用して,海外の食卓に日本食を 根づかせ広めることが大切である。 日本酒を例にとると,ワインを日本食に合わせてきたように,これからは海外各国の食 事状況を考え,現地の料理に日本酒を合わせることを考えることが必要となる。日本酒の 現地化あるいは「食と酒とのマリアージュ」を考えることが必要となる。具体的には,欧 米では,魚貝類の料理に赤ワインではなく白ワインを合わせるのが一般的であるので,魚 介類に非常によく合う日本酒を PR することが今絶好のタイミングとなっている。 農林水産省「海外日本食レストラン数」:http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/service/ 171107.html
Ⅲ JFOODO(ジェイフードー)について
1 JFOODO(ジェイフードー)の概要 農産物の輸出拡大を後押しするため,政府は2017年4月に日本貿易振興機構(JETRO) 内に日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO;ジェイフードー)を新たに設置し た。JFOODO は,①農林水産物・食品のブランディングやプロモーション等の取り組み, ②海外市場の詳細なニーズ把握や現地の卸・小売・外食事業者等の商流を作り出すキープ レイヤー等の情報を調査し,③どこの国・地域に,何を(品目),どこで(小売・外食・中 食)売り込むかの戦略を設定し,④日本の食文化と一体となった,オールジャパンでの事 業者の販売活動に対する継続的な支援をおこなうことを目指している。 2 重点品目について JFOODO の当面の重点品目は,表1のとおり,和牛,ハマチなどの水産物,緑茶,米 粉,清酒,日本産ワイン,日本産クラフトビールの七種である。日本の総農業産出額のう ち,大きく減少しているのが牛肉と米であるため,牛肉と米をどうするかに日本農業の将 来がかかっている。 米に関しては,日本産米(玄米, 精米, パックごはん等),米の加工品である米菓およ び日本酒が対象となる。日本産米は,台湾,香港,中国,シンガポールなどアジア諸国, 日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)http://www.maff.go.jp/j/shokusan/ export/170606.html 表1 ジェイフードーの重点品目 2017年度の起点 対象エリア 品 目 台湾 アジア 和牛 香港 アジア 水産物(ハマチ) 米国 米国・欧州・中東 緑茶 米国・フランス 米国・欧州 米粉 イギリス 欧州・米国・アジア 日本酒(清酒) イギリス・香港 欧州・香港 日本産ワイン 米国 米国 日本産クラフトビール 出典:日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO) http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/170606.html米国などに輸出されている。日本産米の価格は,米国,東南アジア,中国,韓国,台湾で, 非常に高価であるが,おいしさ及び高品質が評価されて輸出が伸びている。 米加工品では日本酒の伸びが著しく,ロンドン,パリやニューヨーク等の重点市場での イベント事業やセミナー等を通じて,日本酒の良さを PR している。また,国税庁から, 2018年6月に「日本酒」,「山形」,「白山」に続き国内4例目となる日本酒の GI である 「灘五郷」が認定され,韓国や中国で生産される清酒との差別化をはかることが可能となっ た。また,2019年の初旬を締結目標としている日 EU・EPA においては,「日本酒」は日 本・EU 相互認証となる GI(Geographical Indication:地理的表示)保護制度 の対象
となり,韓国や中国産の「日本酒」または「清酒」と表示して EU に輸出している酒は, EU への輸出時に日本酒あるいは清酒と名乗れなくなるため,差別化できるようになる。 日本酒は料理との相性や味の特徴をラベルに記し,英国を中心に売り込むことを計画し ている。いわゆるワインと和食のマリアージュを逆にして,日本酒とヨーロッパの料理の GI(Geographical Indication:地理的表示)保護制度とは,農林水産物・食品の名称であっ て,その名称から産地が分かり,品質や社会的評価などがその産地と結び付いていることが特定 できるものである。この「地理的表示」を知的財産として保護することによって,産品の適切な 評価・価値の維持向上,産品に対する信用を守り,生産者の利益を保護するとともに,表示を信 頼して産品を購入することができるという点で消費者の利益を保護することを目的としている。 日本では,2015年6月1日に登録申請の受付を開始し,2016年12月31日現在 GI 対象品目は24種 となっている。 海外の例では,「カマンベール・ドゥ・ノルマンディー」(フランスのチーズ), 「プロシュート・ディ・パルマ」(イタリアの生ハム),「セシーナ・デ・レオン」(スペインの牛 肉の生ハム)などがある。 米国及びカナダとの間で,日本が指定している酒類(日本酒・焼酎)と,米国における特産酒 類(バーボン等)を,指定することに合意していたが,本格導入は今後の検討事項となっている。 日 EU・EPA においては,地理的表示保護制度を導入する予定であるため,外国産の清酒に「日 本酒」の名称は使えなくなることから,今後 EU 向けの日本酒の輸出量の増加が期待されている。 日本酒に関連する GI 制度では,国税庁が「灘五郷」の名称も登録することが2018年に決まり, 「日本酒」,「山形」および「白川」に続いて3例目となり,今後の日本酒のプロモーションにプ ラスとなる 表2 主な農産物の輸出金額 2017年 2012年 187億円 90億円 清酒 144億円 51億円 緑茶 72億円 37億円 醤油 59億円 30億円 ごま油 42億円 29億円 米菓 33億円 21億円 味噌 出典:農林水産物・食品の輸出額の推移 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kaigai/ attach/pdf/180810-2.pdf
マリアージュを提案するものである。2018年2月以降, 広告や海外のメディアを通じて PR を始めている。 一方,日本の加工食品産業の海外展開は,きわめて低調である。その原因となるのは, 食品関係企業の企業規模の小ささにある。 表2のとおり,輸出品目については,2012年 (平成23年)と2017年(平成29年)とを比較した場合, 伝統的な食材の輸出が伸びている が,輸出の主体となっているのは,いずれも大手の企業である。
Ⅳ 海外市場開拓に向けた具体的施策
1 海外進出の官民連携 海外市場に関して積極的に出ているのは,味の素,キッコーマン,カゴメ,キリン,サ ントリー,アサヒといった大企業が中心であり,食品産業の中心である中小企業は海外進 出のノウハウをほとんど持っていない。そこで,これら中小企業が「海外展開してゆくた めの備え」の要点は,以下のようにまとめることができる。しかし,海外進出に関するノ ウハウを持っている日本企業は,総合商社あるいは食品の専門商社であるので,これら商 社を通じて海外進出を図るのが最も効率が良いと考える。 海外取引に対する備え 1)各企業は,現地の関税法等の法制に精通した貿易事業者との連携,混載で効率的に 輸送する物流事業者や現地の電子商取引事業の利用などを通じて,事前準備を行う。 2)海外市場へのプロモーションは,海外現地での活動だけでなく,インバウンドにお ける訪日旅行者にも日本食や日本酒を PR し,帰国後の継続購買を促す。 3)日本政府は,必要な情報の調査,相手国政府への確認,輸出に活用できる物流イン フラの整備などの環境整備に取り組む。 2 海外市場の開拓の可能性 日本の食品産業は,多様な食材,調理法や季節性などの独特な食文化に育まれた歴史や 伝統を背景に他国にない商品を開発し,食文化を育てた背景には,敏感で厳しい消費者の 存在があるといわれている。高齢者の増加,個食化など,海外でも直面する課題も経験済 であり,独自性と他国に先んじた経験を活かして海外市場に売り込むことが可能であり, 特にアジアの富裕層をターゲットとして,現地市場の食文化に合わせて調整・販売できると農林水産省を中心として考えているが,輸出先の文化風習や好みといったものを考慮せ ず日本と同様の販売を行った結果,現地で受け入れられずに撤退する企業が多い。 日本食は,日本の風土,気候,食文化のもとに育まれてきたものであり,海外でも,そ の土地の風土,気候,食文化があるため,現地の状況を十分に検討し,日本の食材を現地 の食べ物に合わせること,つまり,「食の現地化」を考えることが必要である。最近, 日 本食が海外でブームであることから,日本企業の中には,日本食が世界最高と思いあがっ ている企業が多く,これらの企業は日本国内と同様の PR を行い,海外現地で受け入れら れず撤退する企業が後を絶たない。また,あたかも日本で食べるのとまったく同じ味のも のを欲しがっていると勘違いしている企業も多い。 3 海外展開への意欲と代表例 食品関係企業の約3割は,日本からの輸出に興味があり,約1割は,海外法人への出資 や業務提携,もしくは海外での法人・店舗等の設立を検討していると言われている。しか し,大手の会社でも簡単に海外進出することはできておらず,長い年月がかかっている。 海外のバイヤーとの直接交渉は新規参入の中小企業には荷が重すぎるので,商社を介在し て取引するのがよいと考える。また,現地の輸入に関する関税法,食品に対する規制の正 確な把握,物流インフラの構築などは,適切なパートナーとの連携が求められることから, 最初は商社を介した取引が安全かつ簡便である。以下の例も最初は,総合商社が介在して いた。 味の素(東京都)を例にとると,その前身である鈴木商店では,「味の素」の発売以来, 海外市場の創造と開拓に注力してきた。とくに大正時代半ば以降は,アジア市場の将来性 に着目し,積極的に「味の素」の販売活動に取り組んだ。その結果,1920年代には,国内 で幾多の困難にぶつかりながらも,海外での売上げは順調に推移していった。1931年(昭 和6年)における「味の素」の海外輸出・移出高は,生産高の25%に達したほどである。 味の素は食品会社として広く認知されており,日本国内だけでなく世界各地にグループ企 業や製造工場を持っている。さらに,化粧品ブランド「JINO(ジーノ)」などアミノ酸生 産技術を活用したケミカル事業,医薬事業も行っている。 キッコーマン(千葉県)は,1950年代から本格的な海外ビジネスを米国から始め,現在 では海外売上が全体の6割を超えている。当初から,日本食のための醤油ではなく,現地 の料理に合うように活動したことが成功の要因と考えられる。同様の戦略で米国を中心と して進出したのが,カゴメ(愛知県)である。カゴメは現在トマトジュースのみならず,
野菜ジュースを販売しており,最近では東南アジアでセブンイレブンと組んで野菜ジュー スを販売している。 みそ業界第3位のひかり味噌(長野県)は,2004年から海外市場に取り組み,欧米の白 人向けに英文対応のパッケージで訴求・低価格の韓国産味噌との競合に対し,歴史に裏打 ちされた差別化を行った。小林製麺(岐阜県)は,グルテンフリー市場の成長に着目し, 米粉を原料としたノングルテンヌードルで,米国,イタリア,香港などに輸出を拡大して いる。山本忠信商店(北海道;プライムストリーム)は,道内の物流企業と連携し,北海 道の産品を東南アジアに輸出している。輸出事務代行による簡便性の提供,現地での営業 による回収リスクの回避,小口混載輸送による中間流通コストの削減を行い,道内企業に 輸出機会を提供している。 これらの例のように,海外現地へ商品を根づかせるには,長い年月がかかっている。欧 米の会社も同様である。世界的な食品企業である,ネスレ(キットカット等), ペプシコ (ペプシ等), コカ・コーラ(コカ・コーラ等),ユニリーバ(リプトンティー,クノール カップスープ等),ダノン(ヨーグルト),ゼネラル・ミルズ(ハーゲンダッツ等),ケロッ グ(コーンフレーク等), マーズ(キャンディーバー), アソシエイテッド・ ブリティッ シュ・フーズ(トワイニングティー等),そしてモンデリーズ・インターナショナル(オ レオ,リッツ等)にしても,長い年月をかけて,グローバル企業になったのである。 4 インバウンド効果について 観光庁の発表 によると,2017年の訪日外国人観光客数は2869万人と過去最高を記録し, 前年度比19%増となった。また訪日外国人の消費額は全体で4兆4161億円と前年比17.8% 増となり,こちらも過去最高を記録している。訪日外国人の消費状況(2017年,農林水産 省推計)および訪日外国人の旅行消費額(滞在中)によれば,お土産代に全体の4割(1 兆6398億円)が支出され,そのうち食料品等(菓子類,飲料,酒,たばこ)は,2016年比 19%増の3456億円(うち菓子類1589億円)が支出された。さらに,飲食費は滞在中の旅行 消費額の約2割(8856億円)を占め,同年の農林水産物・食品の輸出額(8071億円)と比 較しても相当な規模となることから,訪日旅行客は大切である。 訪日旅行客の総数で考えると,第1位の中国は1兆6946億円,第2位の台湾は5744億円, 観光庁「2018年 訪日外客数」:https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_tourists.pdf 農林水産省「平成29年訪日外国人旅行者の食料品等の購入状況について」,http://www.maff.go. jp/j/press/shokusan/kaigai/180209_9.html
第3位の韓国は5126億円,第4位の香港は3415億円,第5位のアメリカが2503億円を日本 国内で消費してくれており,2017年の国別訪日外国人のなかでも中国・韓国・台湾・香港 といったアジアからの観光客で,訪日客全体の約4分の3近くを占めている。 訪日外国人旅行者1人当たり旅行支出をみると,中国が23万382円でトップであり,第 2位に22万5845円のオーストラリア,第3に21万5392円のイギリス,第4位に21万2584円 のスペイン,第5位に21万2442円のフランスが続いていることから,今後も欧米並びに東 アジア,東南アジアが重点市場となってくる。 5 海外との電子商取引(越境 EC)が拡大する可能性が高い 日本から米国・中国向けの電子商取引(Electric Commerce)は1.3兆円,今後4年間で 2.39倍に拡大すると経済産業省は予想している。訪日観光客の増加とともに,日本食品の 帰国後購買をターゲットとして,多くの事業者が参入してきている。中国の T -mall(天 猫)に日本食品は1万4000点以上が取り扱われている。 アジアをはじめ世界の食市場に,日本の「強み」である鮮度保持の先端技術を活かして 農林水産物の生産から製造・加工,流通,消費に至るフードバリューチェーンの構築を官 民連携して推進している。官民合同での二国間政策対話やグローバル・フードバリューチェー ン推進官民協議会の開催を通じて,環境整備を推進している。
Ⅴ JFOODO の重点品目の輸出事例
1 清酒を含むアルコール類の輸出 国税庁が2018年2月に発表した資料によれば,2017年(平成29年)の日本産酒類の輸出 金額は,545億900万円で前年比26.8%増,6年連続で過去最高となった。 輸出数量も16万 9023kl で過去最高水準となった。その中でも清酒の輸出金額は186億7900万円で19.9%増 となった。こちらは8年連続で過去最高となった。数量も2万3482kl でこちらも8年連続 過去最高を記録した。さらに,2018年16月期の速報値では,105億円増加している。 国別で輸出金額の推移を見ると上位10カ国全ての輸出金額が増加した。上位3カ国は昨 年同様にアメリカ合衆国(120億1500万円),韓国(107億5700万円),台湾(53億800万円) の順である。対前年比の伸び率ではイギリスが最も伸びて177.8%増となり,中国(62.6% 増)やオランダ(57.2%)も大きく伸びたほか,輸出金額上位10カ国ではシンガポール (0.8%増)以外すべて2ケタ増となっている。品目別ではトップの清酒が186億7900万円となり前年比19.9%増である。 次いでウイス キー(136億4000万円・25.8%増),ビール(128億7300万円・35.7%増)となり,上位3品 目で82.9%のシェアとなっている。リキュールはシェアこそ9.1%と少ないものの,梅酒な どが好調で18.2%増である。焼酎はシェアが3.9%,前年比では8.9%増と全カテゴリーの中 で最も少ない品目となったが,2018年から日本酒造組合中央会のプロモーションが一新さ れるため,今後の動きに期待がもてる。 2 米の輸出事例 米卸神明の中国向け輸出 ㈱神明は2018年7月30日,神戸港近辺で,中国向け日本産米輸出を記念した式典と,輸 出用日本産米の試食会を開催した。2016年5月,子会社の㈱神明きっちん阪神工場が,中 国向け輸出(燻蒸)指定工場の認可を取得したことを受け,2018年7月30日に第1便とし て富山産コシヒカリ 17t が中国に向けて出荷された。8 月8日に神戸港を出港し,10日に 大連に入港し,9 月上旬には店頭にならんだ。 神明では,中国向け輸出量の目標として,2020年 2000t,2025年1万t を掲げている。現 時点ですでに第2便の追加オーダーを受けているとし,2018年9月上旬には第2便の出港 を予定している。中国市場輸出に際して,〈1〉中国現地法人との連携で販売を拡大する, 〈2〉業務用ユーザーへの提案強化,〈3〉EC 販売の強化,〈4〉現地大手企業の福利厚生, 通信キャリアのポイント特典用途の普及など新しい販路の開拓―という4つの重点目標を 掲げた。「同業者の委託製造も受け,オールジャパンで輸出の拡大に貢献したい」(藤尾社 長)とする。式典で中国駐日大使館の景春海参事官は「日本の米は2007年に初めて中国に 来て,それから10年間多くの人に食べられ,評価されている。これをきっかけとしてます ます拡大するように願う」と祝辞を述べた。 中国向け輸出米の認定精米工場と認定燻蒸倉庫の追加 農林水産省は2018年5月9日,中国向け米輸出の認定精米工場と認定燻蒸倉庫の追加を めぐって,中国側との間で合意に達したと公表した。追加認定は,最初に対中米輸出が条 件付き輸出再開となった2007(平成19)年以来,11年ぶりである。 食品産業新聞,2018年7月31日『神明,「念願かなった」中国向け日本産米輸出記念式典・輸 出米試食会』https://www.ssnp.co.jp/news/rice/2018/07/2018-0730-1749-14.html 2007年に初めて中国に米を輸出したのではない。2003年にそれまで普通に日本から中国に米を輸 出していたものを,カツオブシムシが日本の米には入っているとして,輸入禁止にしたのである。 米麦日報 2018年5月10日付,「中国向け輸出米の認定精米工場と認定燻蒸倉庫の追加」
中国向け米輸出は,2007年の合意で,検疫対象病害虫を確実に駆除できるトラップ調査 と燻蒸設備の認定が条件だった。だが,その後追加認定が全くなされなかったため(そも そもトラップ調査を確認する検疫官が一向に来日しなかった), 日中の間で交渉が続いて いた。当時の検疫対象病害虫は,主にカツオブシムシ 類(ヒメアカカツオブシムシ,カ ザリマダラカツオブシムシ,ヒメマダラカツオブシムシの3種とほかに籾枯細菌病と壊疽 モザイクウィルスも検疫対象だが,こちらはトラップ調査が不要となっている)であった。 今回の合意では,これに Tribolium destructor(外来種:穀物を食べる害虫)とグラナリ アコクゾウムシ(外来種:穀物を食べる害虫)が加わっている。 認定精米工場は当初,全農パールライス㈱神奈川精米工場(綾瀬市早川)のみであった が,今回,ホクレン パールライス工場(石狩市新港)と㈱神明きっちん阪神工場(西宮市 山口町)が加わり,3 か所となった。 認定燻蒸倉庫は, ㈱日新 神奈川倉庫(横浜市神奈川区恵比須町)と全農神奈川県本部 恵比須町倉庫(横浜市神奈川区恵比須町)だけであったが,今回,小樽倉庫事業協同組合 低温倉庫(小樽市築港),石狩湾新港倉庫事業協同組合 低温倉庫(小樽市銭函),酒田港西 埠頭 くん蒸上屋(酒田市大浜),㈱上組 神戸支店 住吉倉庫(神戸市東灘区住吉浜町),㈱ 上組 八代支店八代倉庫(熊本県八代市新港)の4か所が加わり,7 か所となった。 3 和牛の輸出 オーストラリア向け牛肉の輸出再開 厚労省は2018年6月13日付で,対豪州輸出牛肉取扱施設のリストを更新した。2018年5 月29日に17年ぶりに豪州向けの牛肉輸出が解禁されたが,岐阜県の飛騨食肉センターが施 設認定の第1号となった。このほか,同省は対タイ輸出食肉取扱施設(牛肉)として,徳 島県の㈱にし阿波ビーフを,対香港輸出用肉を取扱う選定施設(鶏)について,青森県の プライフーズ㈱細谷工場大雛工場を,対香港輸出卵等取扱施設(殻付き卵)に鹿児島県の マルイ食品㈱出水 GP センターを,それぞれ新規に認定した。 クアラルンプールでの和牛セミナー 日本畜産物輸出促進協議会(事務局:中央畜産会)は,2018年3月15日にマレーシアの カツオブシムシは,通常衣類の害虫であり,服に穴をあける。世界中に分布しており,衣類害 虫,文化財害虫,食品害虫,混入異物,不快害虫として知られている。 畜産日報 2018年6月14日付「オーストラリア向け牛肉の輸出再開」 畜産日報 2018年3月28日付「クアラルンプールで初の和牛セミナー,和牛への関心高まる/日 本畜産物輸出促進協議会」
クアラルンプールで「和牛肉アカデミックセミナー」を開催した。同国で輸入解禁後初め てオールジャパンでの和牛セミナーとなり,現地の食肉事業者,レストランシェフ,小売 事業者に加え,報道関係者を対象に,日本産和牛肉の特徴の解説,和牛肉のカットの仕方 や和牛肉の特長を生かした調理方法の提案が行われた。セミナーの後半では,日本の輸出 事業者と現地の食肉事業者等とのネットワーキングを実施した。 東南アジアへの豚肉および鶏肉の輸出 日本畜産物輸出促進協議会(事務局:中央畜産会)による 2017年度ジャパン・ブランド の確立に向けた取組に係る活動報告会において,2016年の年間の輸出額を見てみても,豚 肉が前年比20.4%増,鶏肉が14.8%増,牛肉においてはブランドの和牛を中心に41.4%の増 加となった。畜産物全体でみても22.6%増となったことを報告した。 首都圏ミートパッカー輸出推進協議会による和牛の普及活動 首都圏ミートパッカー輸出推進協議会は2017年11月24~25日,フィリピンで業界関係者 および一般消費者を対象にした日本産和牛の普及活動を行った。外国産“WAGYU”をは じめ海外からの様々な輸入牛肉が流通しているフィリピン市場だが,他国産牛肉との違い や日本産和牛の特徴,味わいなどその魅力を理解してもらいつつ,ロース以外の部位の利 活用方法を習得してもらうことで,さらなる輸出拡大につなげることがねらいである。 4 JFOODO によるイギリスで日本酒,アメリカで日本茶のプロモーション 2017年4月1日付で日本貿易振興機構に設置され,日本産の農林水産物・食品のブラン ディングの為にオールジャパンでの消費者向けプロモーションを担う「日本食品海外プロ モーションセンター(JFOODO)」は,イギリスのロンドンでの日本酒のプロモーション において,「いつ, どのタイミングでどういった日本酒を飲めばいいかわからない」とい う飲食シーンでの選ばれにくさと, 好みの味の選びにくさを解消すべく日本酒と「キー ディッシュ」を提案するウェブサイト「FOOD AND SAKE」 を立ち上げた。
畜産日報 2018年3月28日付「豚肉は香港に加えシンガポールも有力視,鶏肉は香港でレシピ訴 求」 畜産日報2017年12月27日付「首都圏ミートパッカー輸出推進協議会がフィリピンで和牛の普及 活動」 酒類飲料日報 2018年4月4日付,「イギリスで日本酒,アメリカで日本茶のプロモーションを 展開/JFOODO」
イギリスで寿司や生牡蠣に加え,「国民食」とも言えるフィッシュアンドチップスや, スペイン料理のカラマリ,チーズやプロシュートと言った「おつまみ」的な食べ物と日本 酒の相性の良さを提示した。「~の為の」と言う意味の「sake」と掛け,「どの料理がどう いった特徴を持っているから,この日本酒と合わせると美味しい」ということを明確にわ かりやすくシンプルに解説し,商品を紹介した。最終的には,日本酒とのマリアージュを 楽しむことができる飲食店の予約サイトに誘導するというシステムである。今後は,SNS 上の広告に加え街頭広告,日本酒のイベントでも同サイトへ誘導し前述のような提案を実 施し,同様の働きかけを他国でも展開する予定である。 緑茶のプロモーションについては,米国において,既存の PR ポイントである「健康機 能性(肥満防止効果やがん予防効果など)」に加え, リラックス効果や集中力増強効果と いった「精神機能性」を考えている。米国では若い世代を中心に日本由来の「マインドフ ルネス」(宗教色を抜いた瞑想のようなもの)が流行しており, 若い世代の間で利用頻度 が高い EC(Electronic Commerce:電子商取引)を利用して,日本茶を「マインドフル ネスビバレッジ」として PR するプロモーションを展開している。 5 米粉の輸出 NPO 法人国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)が,2017年10月8日~17日にかけて, ドイツ,イタリア,フランスの3か国で行っている「日本産米・米関連食品のプロモー ション活動強化支援事業」 を行った。日本では,政府や農業団体,民間業者が世界一厳し い基準によるノングルテン米粉やグルテンフリー食品の普及を目指している。国産の米を 原料にした米粉を欧米に輸出する業者が,九州で相次いで登場している。欧米では小麦粉 に含まれるタンパク質「グルテン」が症状を引き起こす「セリアック病」 への警戒から, 米粉などグルテンフリーの食材が伸びている。 みたけ食品工業(埼玉県)は「ノングルテン」米粉製品 として米粉のパンケーキミッ 日本米粉協会「欧州で国産米粉輸出プロモーション活動 ―ドイツを皮切りにイタリア,フラ ンスで―」2017年10月23日,http://www.komeko.org/ セリアック病とは,小麦・ 大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対 する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患である。欧米での発症率は1%程度であり, 日本では0.05%と言われている。 Medical Note,「セリアック病の原因や症状とは? 日本で増加傾向にある理由」,https:// medicalnote.jp/contents/171018-003-XD 西日本新聞経済電子版,「米粉輸出,九州から欧米へ続々 グルテンフリー人気受け 農業振 興へ国も支援」,http://qbiz.jp/article/118122/1/ 日本経済新聞社 2018年8月15日,『みたけ食品工業,「ノングルテン」米粉製出』, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32882530R10C18A7L72000/
クスを欧米やシンガポールに輸出している。 アレルギーの原因となるたんぱく質の一種 「グルテン」の含有量が少ない特長を訴え, 欧米などで拡大しているグルテンフリー商品 の市場を開拓する。輸出に備え,食品安全の国際規格も取得した。 6 ハマチ・ブリの輸出 日本の養殖ブリの輸出が伸びている。農林水産省が,財務省公表の貿易統計から取りま とめた「2015年農林水産物・食品の輸出実績」によると, 水産物の輸出額は2014年から 18.0%増の2757億円へと拡大した。その中でブリは,対前年比38%増の138億円で,水産物 全体では4位,農林水産物においても10位と主要輸出品並みの存在である。ブリ養殖日本 一を誇る鹿児島県は2万466トン(平成26年漁業・養殖業生産統計)と11年連続日本一の 生産高を誇り,県内の海面養殖魚生産量の約5割を占める。 ブリ・ハマチの輸出先として特筆すべき米国では,健康志向の高まりにより水産物需要 が増大している。米国では, 日本語の「すりみ」「すし」「さしみ」「ハマチ」がそのまま 通用する地区が増えている。経営者が日系でないレストランでも「すし」「さしみ」をメ ニューに加えて売り物にしている店もある。福岡の博多港から年間約4000トンの冷凍ブリ が米国向けに輸出されており,輸出先と国内での在庫量,他魚種との競争,価格などの要 因で毎月の輸出量が大きく変動している。 生鮮ブリの輸出 の他に年間1000トン程度の生鮮品(フィレ(三枚おろし)やロイン (五枚おろし))が米国に空輸されている。養殖ブリの主な産地が四国,九州南部であり, 福岡空港から米国への直行便がないこともあり他空港を経由して週12回の頻度で米国 の西海岸,東海岸に空輸されている。 7 日本産ワインの輸出 日本のワイン発祥の地で知られる山梨県の特産ブドウ「甲州」で造られる甲州ワインの 世界的な人気が高まっている。輸出量はこの5年で20倍以上に拡大している。山梨県のワ イン生産者15社と甲州市商工会議, 山梨県ワイン酒造協同組合は2009年に「甲州ワイン EU 輸出プロジェクト(KOJ)」を組織し,2010年から毎年,ロンドンでプロモーション ジェトロ動画2016年6月8日放送 養殖ブリのページ http://yousyokuburi.com/buri50.htm DIAMOND online,「米国で脂のノリが大人気!日本で養殖する“あの魚”とは?」,2016年5 月27日,https://diamond.jp/articles/-/91991 毎日新聞,「甲州ワイン 輸出量20倍に ロンドンで官民一体 PR 奏功」,https://mainichi.jp/ articles/20170226/k00/00m/020/125000c
を実施してきた。2017年1月の第8回目のプロモーションには,後藤知事や甲州市の田辺 市長も参加した。安価で気軽に味わってもらうため,ロンドン市内の日本食レストラン5 店舗でボトル単位ではなくグラス単位でワインを提供した。
また,2010年8月には,日本固有のブドウ品種「甲州」が,ワインに関するフランスの 政府機関である「葡萄・ワイン国際機構」(OIV;Office International de la vigne et du vin:本部・パリ) が作成する「葡萄の品種同意語リスト(International list of vine
varieties and their synonyms)」に,日本国内の醸造用ブドウ品種として初めて登録さ れた。これにより,ブドウ品種名「甲州( Koshu )」をワインラベルに記載することが可 能となった。 さらに,2013年7月には,日本のワイン産地として初めて国税庁から「山梨」という GI (Geographical Indication:地理的表示)保護制度の認証を受けたことにより,ワインラ ベルに産地名を記載することができるようになるなど本プロジェクトの推進に一層弾みが ついてきている。 KOJ に参画する甲州ワインの輸出は,ロンドンでのプロモーションを始めた2010年に 1992本だったが,2015年は4万2342本に増加した。中央葡萄酒の「グレイス甲州」は,英 国のワイン雑誌「デキャンタ」が選ぶ2016年のワイン・トップ50にランクインするなど評 価が高まっている。 また,2018年6月には,国税庁から「北海道」がぶどう酒として2件目の GI 保護制度 の認証を受けたことから,日本中のワイン醸造家の機運を盛り上げている。 8 日本産クラフトビールの輸出 日本が国として推進する輸出重要産品に,まだ新しい産業であるクラフトビールが入る という非常に画期的なことが考えられている。米国を中心として,欧米でクラフトビール が流行していることが大きなポイントとなっている。日本食品海外プロモーションセン ター(JFOODO)は2018年9月20日,日本産クラフトビールを売り込むイベントを米国ロ サンゼルス市内にて開催した。 JFOODO は,米国の業界関係者や西海岸に住むミレニアル世代を主なターゲットとし て,日本産クラフトビールのプロモーションを実施している。本イベントは,日本産クラ
OIV;Office International de la vigne et du vin, http://cavewine.net/contents/1789 CRAFT DRINKS,「クラフトビールが輸出重点品目に?」,2017年11月28日http://craftdrinks.
フトビールの認知度向上や業界関係者とのネットワーク構築を目的として開催され,輸入 業者やディストリビューター, 若い世代を中心とした消費者ら200人を超える人々が参加 した。各ビールメーカーによる PR スピーチのほか,大型タッチパネルを活用した各社の 商品,原料を紹介するブースの設置や,有名タレントらを活用した SNS での情報発信な ど,日本産クラフトビールの魅力を幅広くアピールした。
お わ り に
日本の農業および食品産業が発展してゆくために問題点を洗い出し,現在輸出している 農業団体,食品業者の活動を検討し,より多くの農家,農業団体,食品業者が海外市場に 目を向け,開拓しやすくする方策を検討してきた。 TPP11 が2018年12月30日発効し,2019年初に日 EU・EPA が発効する。そのため,農 産物や,チーズやワインといった加工食品が多数日本に輸入されるようになり,日本の農 業及び加工品産業は崩壊するとまで言われている。まだ,TPP11 や日 EU・EPA などを 締結するのは,国内の自動車産業や家電等の大企業のためで,中小企業や農家を犠牲にし ているという人もいる。 しかし,この条約の締結は,日本が一方的に海外の農産物や加工品を受け入れることを 目的とするものではない。日本産の農産物や加工品を海外に輸出することを可能にするも のである。日本の農産物市場および加工品市場は,人口の減少及び高齢化により急速に縮 小してゆく。そこで,今後も大きく伸びる余地の多い,海外にその販路を求めることがで きる条約である。 日本の農産物を取り扱う JA 全農やその他の農業法人は,海外経験が乏しいため,積極 的に日本政府やその出先機関である JETRO,あるいは商社に助けを求め,少しでも有利 に海外に輸出してゆくことが大切となる。各社がばらばらに海外進出すると,販売等のノ ウハウが少ないため,できるだけ,同業企業とのタイアップも有効な手段となる。現状は, あまりにも海外情報のデータ不足,経験者不足が深刻であるため,オールジャパンで海外 に出てゆかなければ,勝ち目はないと考える。今後は,これから人口が大きく伸びると考 えられている,イスラム文化圏への農産物の輸出を考える必要があると考える。 JETRO, 2018年11月5日,「日本産クラフトビールを PR ―ロサンゼルスでイベント開催―」, https://www.jetro.go.jp/industry/foods/fanews/2018/11/2aba8c6f476ebf72.html参 考 文 献 農林水産省「食品産業の動向」: http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h27/attach/pdf/zenbun-2.pdf 総務省「我が国における総人口の長期的推移」: http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf 総務省統計局「人口推計」:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html JA 全農ホームページ:https://www.zennoh.or.jp/ JA 全農インターナショナルホームページ:http://www.zennoh-intl.com/ 輸出ワンストップ窓口:https://agri.ja-group.jp/export/ 畜産日報 2018年7月27日付「日本食肉市場卸売協会主催『第36回経営トップセミナー』」 HACC:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/ 公益社団法人日本農業法人協会:http://hojin.or.jp/standard/what_is/what_is.html# 農林水産省経営局調べ「農業法人数」(平成29年12月末現在) http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/attach/pdf/kigyou_sannyu-11.pdf 「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)」:https://www.jetro.go.jp/jfoodo/ ニュースサイトで読む:http://biz-journal.jp/2018/02/post_22212_2.html Wakka Japan:http://tawaraya-rice.jp/ 十勝川西長いも運営協議会:http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/torikumi_zirei/pdf/ 25_jirei003_sasikae.pdf 農林水産省「海外日本食レストラン数」: http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/service/171107.html 日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/ 170606.html 農林水産物・食品の輸出額の推移 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kaigai/attach/pdf/180810-2.pdf 観光庁「2018年 訪日外客数」:https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_tourists.pdf 農林水産省「平成29年訪日外国人旅行者の食料品等の購入状況について」,http://www.maff.go.jp/ j/press/shokusan/kaigai/180209_9.html 財務省貿易統計:http://www.customs.go.jp/toukei/ 食品産業新聞,2018年7月31日『神明,「念願かなった」中国向け日本産米輸出記念式典・輸出米試 食会』https://www.ssnp.co.jp/news/rice/2018/07/2018-0730-1749-14.html 米麦日報 2018年5月10日付,「中国向け輸出米の認定精米工場と認定燻蒸倉庫の追加」 畜産日報 2018年6月14日付「オーストラリア向け牛肉の輸出再開」 畜産日報 2018年3月28日付「クアラルンプールで初の和牛セミナー,和牛への関心高まる/日本畜産 物輸出促進協議会」 畜産日報 2018年3月28日付「豚肉は香港に加えシンガポールも有力視,鶏肉は香港でレシピ訴求」 畜産日報2017年12月27日付「首都圏ミートパッカー輸出推進協議会がフィリピンで和牛の普及活動」 酒類飲料日報 2018年4月4日付,「イギリスで日本酒, アメリカで日本茶のプロモーションを展開 /JFOODO」
FOOD AND SAKE, https://foodandsake.com/
日本米粉協会「欧州で国産米粉輸出プロモーション活動 ―ドイツを皮切りにイタリア, フランス で―」:2017年10月23日,http://www.komeko.org/
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援」,http://qbiz.jp/article/118122/1/ 日本経済新聞社 2018年8月15日,『みたけ食品工業,「ノングルテン」米粉製出』, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32882530R10C18A7L72000/ ジェトロ動画2016年6月8日放送:https://www.jetro.go.jp/theme/fdi/movies 養殖ブリのページ http://yousyokuburi.com/buri50.htm DIAMOND online,「米国で脂のノリが大人気!日本で養殖する“あの魚”とは?」,2016年5月27 日,https://diamond.jp/articles/-/91991 毎日新聞 ,「甲州ワイン 輸出量20倍に ロンドンで官民一体 PR 奏功」,https://mainichi.jp/articles/ 20170226/k00/00m/020/125000c OIV;http://cavewine.net/contents/1789
CRAFT DRINKS,「クラフトビールが輸出重点品目に?」,2017年11月28日,http://craftdrinks.jp/ JETRO, 2018年11月 5 日,「日 本 産 ク ラ フ ト ビールを PR ―ロ サ ン ゼ ル ス で イ ベ ン ト 開 催―」,