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優れた初級中国語非専攻学習者の学習軌跡に関する一考察

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(1)

一考察

著者

王 俊

雑誌名

国際文化研究(オンライン版)

27

ページ

157-170

発行年

2021-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10097/00131063

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1 .はじめに 2010年 9 月に中国教育部によって「中国留学計画」1が定められた。この計画は2020年までに中 国の外国人留学生数を五十万人に増大させる計画である。教育部のデータによると、2018年時点 の外国人留学生数は492,185名となっており、既に目標達成に近い数値を達成している。学位取 得のために中国に来る外国人留学生は、2018年10月に教育部により刊行された《来华留学生高等 教育质量规范(试行)(高等教育における在中留学生に関する品質規範)(試行)》(以下、規範と略 す)2に従い行動しなければならないことになっている。この規範は中国に来る外国人留学生の 急増を背景に、外国人留学生の言語能力について初めて国家レベルで規定を定めたものである。 具体的には、英語コース(英語による教育が行われる履修課程)の外国人学部生の卒業時の中国 語力は、漢語水平考試(ピンイン : Hànyǔ Shuǐpíng Kǎoshì、略称:HSK)の 4 級(「国家漢辦」 ホームページにおいて HSK4級のレベルは、1200語程度の常用単語と文法知識を習得している者 を受験対象としている。)に合格することが求められている。このように外国人留学生を取り巻 く第二外国語としての中国語の学習環境は新たな展開を迎えようとしている。本研究では質的研 究手法により、中国語非専攻学習者が自分の専攻を持ちながら、第二言語である中国語を、どの ような学習環境において、どのように学習しているか、その実態を明らかにしていきたい。

優れた初級中国語非専攻学習者の

学習軌跡に関する一考察

王   俊

要 旨 本研究では、中国における優れた初級中国語学習者の動機付け、学習行動を明らかにする ことを目的として、留学生 4 人を対象に質的研究を行った。その結果、下記のことが分かった。 (1) 中国経済の発展による学習者の母国への影響が、中国語学習の強い動機付けになり、 学習者は中国語学習が自分の将来に有利に働くと信じていた。 (2) 学習者の授業への参加度は、教師からの質問に積極的に回答するなど軒並み高かった。 教師からの励まし、勇気づけなどの情意的要素も学習者に重要視されていた。 (3) 授業外では、過去の成功体験に基づいて音楽による中国語学習を行っていた学習者 1 名を除き、残りの学習者3名は主に SNS や街中などでの中国語学習を好む傾向にあった。 【キーワード:中国語学習 / 動機付け / 学習行動 / 非専攻学習者 / 学習軌跡】

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筆者も身を置いている中国語の教育現場において、同僚の中国語教師からよく苦情を聞く。そ れは、クラスの約半分の学生が授業を欠席したり、参加していたとしても携帯をいじっている学 生がいたり、授業中におしゃべりする学生がいるというものである。苦情の原因となっている学 生に上記の行動の訳を聞くと、「あまり中国語を勉強する必要性が感じられない」、「昼間の勉強 でもう疲れているから、夜の授業ではリラックスしたい」(中国語の授業は夕方~夜間に行われ る)といった理由を挙げていた。一方で、このようなやる気のない学生に囲まれた学習環境の中 でも、授業に毎回出席し、積極的に授業活動に参加し、定期試験でよい成績を収める学生もいる。 このような学生はほかの学生と同じくゼロから中国語の勉強を開始したにも関わらず、全く異な る学習軌跡を辿っているのは何故だろう。また、このような学習者は普段どのように自分の専攻 と両立しながら、中国語の勉強に取り組んでいるのであろう。これらの問いに対する答えを明ら かにすることにより、ほかの中国語学習者の後進者、中国語教育に携わっている教育者に示唆を 与えることができると思われる。そこで本研究では、中国語の授業・定期試験で良い成績を収め た、中国語非専攻の外国人留学生を対象に、中国語の学習軌跡を明らかにすることを目的として 研究を行った。 2 .先行研究 成功した学習者のストラテジーに関する初期の研究は、一般的にマクロな視点から、成功し た学習者の外的な学習特性の記述に焦点を当てている(Stern 1975、 Ellis 1994など)。Oxford (1990)は、それまでの学習ストラテジーの分類を、一つのシステムに体系化し、Strategy

Inventory for Language Learning(以下 SILL)を開発して次のように 3 つに下位分類している。 Oxford が開発した SILL による分類は、その後の学習ストラテジー研究において多く使用され ている。 直接ストラテジー (1) 記憶 : 新しい情報の蓄積、想起を助けるために使用 (2) 認知 : よりよい言語産出や理解をするために使用 (3) 補償 : 理解、発話において、学習者が不足している知識を補うために使用 間接ストラテジー (1)メタ認知 : 自分の認知処理を統制するために使用 (2)情意 : 学習態度や感情の要因を自ら統制するために使用 (3)社会的 : 他人との作業を通じて理解、学習を強化するために使用 優秀な中国語学習者を対象とした研究は2000年以降になってから出始め、2010年以降多く見ら れるようになった。これらの研究の分析手法で最も採用されているのは Oxford が開発した SILL の枠組みを用いた分析である。姚(2017)では、成功したイタリア人中国語学習者21名を対象に、 アンケートとインタビューを通して、優れた学習者は学習ストラテジーをより柔軟に使用してお り、その中で最も使われているものがメタ認知ストラテジーと社会ストラテジーで、次いで記憶 ストラテジー、認知ストラテジー、補償ストラテジー、感情ストラテジーの順に使われているこ とを明らかにした。张(2018)は SILL を使用し、中国におけるタイ人中国語学習者162人(う

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ち優秀学習者11名)から優秀な学習者に見られるストラテジーを調査し、①「学習ストラテジー の使用頻度がほかの学習者より多い」、②「学習ストラテジーを使用する際、より積極的にバラ ンスよく、網羅的に駆使している」、③「社会的ストラテジー、メタ認知ストラテジー、補償ス トラテジー、認知ストラテジーの使用を重視している」ことを明らかにした。 学習ストラテジーのみならず、成功した学習者のそのほかの学習事項に関する調査も行われて いる。王(2020)は量的分析と質的分析を併用し、中国語学習成功者30名の共通の特徴を調査し た結果、感情、態度、動機づけの面で次の 4 つを明らかにした。①統合的動機づけと道具的動機 づけの両方が重要であるが、統合的動機づけが最も強い。②自分に強い自信を持ち、言葉に強い 自信がある。③中国語学習をしっかりと勉強し、特別な注意を払っている。④満足感、喜び、言 語不安を適切に持っている。梁(2020)はチェンマイ北方大学の中上級中国語学習者 1 名を対象 に、中上級中国語学習者の学習ストラテジー(主に SILL を参考に)、情緒的要因、学習方法、学 習特性などの調査を行った。結果、対象とした学習者には、強い関心と意欲を持ち、自らの学習 の目標と計画を持っている、自己学習能力が高い、などの特徴が見られたことを報告している。 上記から分かるように、成功した中国語学習者への研究手法は主に SILL を用いた学習ストラ テジーに関する量的なものであり、そのほかの学習事項全般に関する研究が少ない。研究にあ たっては、優れた言語学習者の学習ストラテジーは当然のこと、それよりも大切な原動力となる 動機付け、目標言語への態度など、そのほかの学習の要因の調査も重要である。また、先行研究 における研究対象は、主に世界各国(外国語学習環境)において中国語を主専攻としている学習 者であり、中国という第二言語としての、主専攻を持ちながら中国語を学習している学習者を対 象にした研究は未だなされていない。現在、筆者の大学を始め、多くの大学では、外国人留学生 が急増している。特に、中国語専攻よりも別の専攻を持ちながら中国語を学習するもののほうが 多いため、これら新しく増え始めている学習者を対象とした中国語学習の実態解明が急務になっ ている。 3 .研究対象と研究方法 研究対象は浙江師範大学2019年 9 月入学の英語コースの外国人留学生 4 名(調査開始時点の中 国滞在歴は約 1 年間)である。浙江師範大学における留学生数は、浙江省の中で長年浙江大学に 続く第 2 位となっており、2018年は3,634人3であった。2019年 9 月に入学した外国人留学生の中 で、学位取得を目的として入学した留学生数は約300人である。これら約300名の留学生は10クラ スに振り分けられ、 1 クラスあたり約30人となっている。元々浙江師範大学における英語コース の外国人留学生の中国語教育は週 4 コマ(一コマ40分)しかなかったが、前掲の『高等教育にお ける在中留学生に関する品質規範(試行)』の施行を受け、現在は週 8 コマと増えている。この 中国語の授業は英語コースに所属している外国人留学生の必須科目であり、通常は夜間に行われ る4 浙江師範大学における英語コース向けの中国語授業は大学一年次に行われる。学期の始めにプ

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レースメントテストが行われ、ゼロスタートクラスと初級クラスに分けられる。学生のほとんど がゼロスタートであり、初級クラスは10クラス中 2 クラスまでとなっている。使用する教科書は 北京大学出版社が出版された『博雅汉语』シリーズであり、『博雅汉语(初級起歩篇)』はゼロス タートクラスに、『博雅汉语(中級加速篇)』は初級クラスに使用される。教科書の内容は主に第 二外国語の学習環境において学生生活で頻出する会話文である。本研究ではゼロスタートクラス の学習者を対象として研究を行っている。授業では担当教師が英語と中国語を併用して行う。教 授法は文法や単語、会話文を英語に訳しながら覚えさせる文法訳読法を採用している。評価方法 は、出席、授業でのパフォーマンスと期末試験という三つの部分から成り立っており、10クラス それぞれに担当教師が一人ずつ個別に学習者の評価を行っている。筆者はその内の一クラスを担 当している。 本研究で研究対象としたのはそのクラスで優秀な成績を修めている学習者 4 名である。本研究 で学習者 4 名を対象とした理由は主に 4 つある。①授業に専念し、筆者の質問に答えたり、宿題 を完成させたりして積極的に授業活動に参加していたこと。②筆者が彼らのクラスの中国語教師 であり、彼らの授業中の様子をよく把握することができたこと。③聞き取りテストや定期試験5 で成績が上位であったこと。④調査に積極的に協力してくれたこと6、である。 半構造化インタビューの質問項目については、動機付け、態度、学習ビリーフなどの先行研究 や筆者の教育・研究経験から、下記のような考えに基づいて設計した。 ① 中国語学習の動機付けと学習行動に直接関係するもの(稿末資料の質問項目 8 、 9 、10、 11、12、13、14、15、16、17) ② 中国語学習の動機付けに影響しうる要因として、中国(専攻決定も含む)留学の理由(質問 項目 1 、 2 、 3 )、中国語の既習学習経験(質問項目 4 、 5 )、中国に対する印象とその変化 (質問項目 6 、 7 )、大学卒業後の計画(質問項目18、19) 研究対象者 4 名の内訳を表 1 に示す。研究対象者のプライバシーを守るために、同意を得て本 人が特定されないように名前をアルファベットで表記する。研究対象者には、研究の主旨、結果 の公表と利益関係の有無について文書と口頭で説明し、書面で同意を得た。データは一年間の中 国語の授業が終了した2020年 7 月に、SNS7を通して研究対象者にビデオ電話で英語を用いて半 構造化インタビューを行った。研究対象 1 人あたりのインタビュー時間は20分~30分である。得 られた回答に不明な箇所があった場合にはフォローアップインタビューを行った。得られた回答 は文字起こしを行い、日本語への翻訳を行った。日本語訳の正確さについては、母語話者に確認 済みである。 本研究においては、評価者と被評価者という関係が研究結果に影響を及ぼさないように、一年 間のクラスが終了した時期に調査を行った。この時期に、筆者と研究対象者とは既に利益関係が 存在しなくなったため、本研究の大部分の調査項目に影響がないと見られる。ただし、稿末資料 の質問項目 6 、 7 、10、17といった中国に関する印象や中国語授業に関係する評価については、 中国人かつ教師としての筆者にいい印象を与えようとし、ポジティブなことしか報告しない可能

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性は否定できない。 本研究では、質的記述的研究法を用いて、優れた初級中国語学習者の動機付け、学習行動など の学習軌跡の分析を行った。Sandelowski(2000)は、質的記述的研究とはある出来事について、 そうした出来事が起きている日常の言葉で包括的にまとめるものであり、現象を率直に記述する ことができ、既存の理論や哲学との関わり合いによって妨害されることが最も少ない研究手法で あると主張している。そのため、質的記述的研究法には、ほかの質的研究法に備わっているプロ セスを解明するという働きに加えて、特定の理論的 / 哲学的志向を持っておらず、「解釈的では なく、推論の少ない記述」ができるとされている(北・谷津 2009:28)。つまり、インタビュー などで収集されたデータを提示すればよいため、質的分析手法の中で最も解釈的側面の少ないア プローチである。質的記述的研究におけるデータ収集項目は、出来事、もしくは経験に関する「だ れが」、「どこで」、「何を」についてである。つまり、その基本的な性質とその状態の発見に向け られているのである。 本研究は既存の理論の枠組みを用いずに、中国語学習者がいかなる目的 で、どのように中国語を学習しているかを明らかにすることを目的としている。本研究のように 中国語学習の性質とその状態の発見を目的とする場合、質的記述的研究法を用いて研究を行うの が適切だと考えられる。 表 1  研究対象者の内訳 対象者 国籍8 性別9 年齢 滞在期間 専攻 A コンゴ民主共和国 男 24 11ヶ月 交通工学 B エチオピア 男 20 11ヶ月 国際貿易 C ジンバブエ 男 22 12ヶ月 コンピュータサイエンス D ジンバブエ 男 19 12ヶ月 コンピュータサイエンス 4 .研究結果と分析 この章では、まず初めに学習者の自己の中国語学習についての自己評価を記載し、次に、学習 経過に沿って、中国語学習の動機付けと学習行動に関わる事項について述べていく。 4.1 留学・専攻・大学の意思決定過程 本節は、学習者の中国留学の経緯を明らかにするものであり、中国留学や中国語学習の動機付 けの解明に繋げることを目的として記述する。研究対象者 4 人が中国留学を決定した一番の理由 は、中国経済の飛躍的発展が彼らの母国に良い影響を与えている、あるいは与えることが今後期 待される、というものであった。 「私の国で販売されている商品の大部分は中国製であり、中国は裕福な国だと思われている。私のお じさんは中国から商品を輸入しているが、おじさんは中国こそ未来の世界の中心だと信じている。 私もそれを深く信じている。」(A)

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「私の国(エチオピア)では、人々が経済やビジネスについて話すときにいつも中国が話題になる。 当時、私には二つの留学先の候補があった。植民地時代の宗主国であるスペイン留学と中国留学で ある。私は中国留学を選んだ。新しい言語を学習できるからだ。中国語を学習することで、自身の 主専攻である国際経済に大いに役に立つと思ったからだ。もともとスペイン語が堪能な私はスペイ ンに行っても勉強できることが限られている。」(B) 「中国語を勉強し、本当の中国を知りたい。そして、母国で中国関連のビジネスチャンスを掴みたい。 また、私はずっとひとつの場所(自国)に閉じ込められたくない。様々な文化的背景を持った人々 と交流したい。中国語ができれば、世界の25%の人とコミュニケーションができるわけだから、中 国留学は魅力的だと感じた。」(C) 「私の国(ジンバブエ)では、中国人が経営する会社が年々増えてきており、中国 = ビジネスのよ うなイメージさえある。社会では、中国に行けばビジネスに有利という考えを持っている人が多い。 私たち兄弟(上述の C)はこの潮流に乗って中国留学を決めた。」(D) 上記の研究対象者の回答からわかるように、中国経済の発展が彼らの留学の最大の決め手と なったのである。研究対象者は自分自身の経験から中国の将来を信じており、中国留学は自分の 将来のためであると思っている。すなわち、中国語を習得することで、母国でのビジネスチャン スを掴む可能性が大きく上がると思っているようである。この結果はほかの研究結果と一致して いる。文(2007)の130名の中国系外国人を対象とした調査では、85%の留学生の中国留学の動 機付けが今後良い発展機会を求めていることであった。刘ほか(2013)では、93% の外国人留学 生が中国の将来は彼らの仕事の発展上、良い機会をもたらすと予想しており、彼らが中国語学習 と中国文化への理解は将来の発展の礎となると考えていたことを報告している。 次に、これらの学習者が英語コースの中で、それぞれの専攻を決定する際の理由として挙げて いたものを見てみよう。 「我が国のようなインフラが整備されていない国では、交通工学は将来的に重点的に発展する可能性 があるので、少しでもその際の力になりたいと思って、交通工学を自分の専攻にした」(A) 「私は経済学者を尊敬している。また、中国と母国(エチオピア)の経済的な結びつきの発展性を考 えて、国際貿易専攻に決めた」(B) 「ずっとパソコンに興味があったので、コンピュータサイエンス専攻を希望した。母国でも IT 関係 の授業を受けていた。」(C) 「父はエンジニアで、小さい頃からずっと父の事務室で遊んでいた。その影響を受けて、もっと先進 的な技術を身につけて、母国の精密機械の製造に貢献したいと思って、コンピュータサイエンス専 攻を希望した」(D) 上記の回答からわかるように母国の経済状況を鑑み、中国で先進的な技術を習得しようとする

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考えから、それぞれ専攻を決定したことが伺える。 そして、浙江師範大学を選んだ理由には、「奨学金制度が完備されている」、「物価が安い」、 「キャンパスが綺麗」、「英語で教育が行われるコースがあり、中国の大学ランキング上ではトッ プ100入り」などが挙げられている。そのほかの理由として、浙江師範大学の地理的位置に言及 したものもあった。浙江師範大学が位置する金華市には「国際貿易城(中国語では「国际商贸 城」)」という大きな貿易センターがある。この「国際貿易城」は、服装、雑貨、小物などの販売 で世界に名を馳せており、世界各国と貿易をしている。このことが、学生が浙江師範大学を選ん だ理由に反映されており、学習者 A の場合、「私のおじさん(父の兄で、A に対し学費や生活費 の援助をしている)が浙江師範大学を薦めてくれた。おじさんは中国の金華にある「国際貿易城」 から商品を輸入しているので、金華に来るときに、私に会える。また、私もおじさんの代わりに 「国際貿易城」で商品を買って送ることができる」という経済的利便性から、浙江師範大学に決 めたようである。 また、中国に来てから、学習者は中国語について以下のような考えを持つようになった。 「間違いなく中国語は重要だ。中国にいる時、言葉こそが通行証となる。世界では、中国語が中国の 会社やビジネスとともに隅々まで広まっているといっても過言ではないのだ」(A) 「中国語学習は私にとって重要だ。というのは、元々私は言語学習が好きで、母国語に加え、フラン ス語、英語、スペイン語まで話せる。中国に来た以上、中国語を完全に習得したい。」(B) 「中国語学習はとても重要だと思う。中国語ができれば、世界中にいる中国人と交流出来ることにな るから」(C) 「中国語は世界で最も広く使用されている言語である。中国語を話せることは中国市場開拓において ビジネス関係を築くのに重要である。中国にはまた、いろいろな素敵な観光スポットがあり、中国 語ができると大変便利だ。それに、中国には何千年の歴史と、とても豊かな文化があり、中国語が できれば、それらの文化を理解することが可能になる」(D) ここまでをまとめると、学習者 4 人とも主たる専攻(英語で行われるコース)を持ちながら、 中国語学習で優秀な成績を収めているのは、将来へのビジョンをしっかり持っていることが一因 として上げられることがわかる。将来へのビジョンは無意識的に学習者の中国語学習の動機付け の強化につながったと思われる。 彼らは卒業後、中国関係の貿易、科学技術に関連する仕事を希望している。中国語を勉強する ことを「新しい事業」として位置づけており、中国語学習は中国と自国の両方で事業を展開する 上での第一歩と考えているようである。これが、これらの学習者が周囲のやる気のない学生に流 されることなく、優秀な成績を修められた最大の要因である。彼らはやる気のない学生が頑張ら なかった理由を「自主性がない」、「将来へのビジョンがない」、「語学学習の忍耐力がない」とし ており、自分としては「貧乏な実家だけど、やりくりして得られた中国での貴重な留学経験をモ

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ノにして、貧乏な家庭の経済状況を改善したい、何が何でも中国語を習得したい。」(A)、「自分 の将来の可能性を増やしたいので、中国語をマスターするのが必須だ」(B)、「中国語をマスター し、中国の IT 企業で就職したいと考えているから、中国語のレベルをできるだけアップしたい」 (C、D)、と将来について考えていたので、クラスの雰囲気に流されずに、中国語学習に励んだ のである。 中国経済の発展以外にも中国留学を決定した要因がある。「学費が支払い可能な額」、「奨学金 制度が利用可能」という費用面での制度的要素も中国留学を決定した要因として挙げられてい た。研究対象者4人は全て自費で留学を始めていた。中国での留学費用は彼らにとって、決して 簡単に負担できる金額ではない。それぞれの親族(商人やエンジニア)が工面して、彼らに学費 や生活費などの援助をしている。その中で、兄弟で留学している C と D は大学一年目に奨学金10 獲得のために「寝る時間を削ってまで必死になって中国語科目も含めて勉強していた」と述べて いる。その努力が実を結び、一年生の終わりに、C と D は奨学金の獲得に成功した。この結果 に C と D は、「これで、両親は私たち兄弟の学費の心配をしなくて済むのだ」と安堵していた。 ほかに、「自分にチャレンジしてみたい。中国語は世界一難しい言語だと言われているから」 (C)、「私にとって、中国語を勉強することは全く新しい文化を勉強することであり、新感覚を もたらしてくれる」(B)のようなチャレンジ精神や新言語がもたらす新感覚も中国語留学を決定 した理由の一つとなった。 次に、研究対象者が中国に抱く印象が、中国語学習の動機付けにも影響していることが垣間見 られたため、それを紹介する。今回の研究対象者の母国では、様々な中国関連のものや人と接触 する機会があり、中国に対する印象は良好である。目標言語話者と目標言語国に対しての好意的 な態度や、異文化に対する興味が目標言語習得によい影響を与えることは多くの研究者により明 らかにされている(Csizer &Dörnyei 2005, Gardner & Lambert 1972)。これらの学習者は中国 に対する印象が良いからこそ、中国語学習に時間を多く割き、努力につながったと思われる。 「中国のイメージはよく独裁国家と言われているが、実際に来て、中国がどうしてこんなに発展した かその理由が分かった。経済においても政治においても成功していると思う。人々は心から国を愛 しているし、働き者が多い。」(A) 「我が国では、中国の建設会社が多く、そこで働いている中国人はとても勤勉である」(B) 「中国の商品は我が国(ジンバブエ)で非常に売れている。とても安全な国だ。そして、万里の長城 などいろいろな歴史的建物が残されており、伝統文化が重視されているところが良い」(C) 「中国には良い学習環境があり、優れた教師陣が揃っている」(D) 4.2 優れた中国語学習者の学習行動 これまでの節では、学習者の中国語学習の動機付けに重点を置き、中国(浙江師範大学)留学 の動機付け、中国に関する印象、専攻決定の意思過程などを分析した。これらは全て学習者の中

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国語学習の動機付けの原動力となり、学習者の中国語学習の行動はそれらによって動かされてい た。次に、研究対象者がどのように中国語学習に取り組んでいるかについて探っていきたい。 まず、研究対象者が週 8 コマ(一コマ40分)の中国語の授業にすべて出席していることに触れ ておきたい。学習者は授業時間を大切にし、文法、聴解、読解などの知識の伝授はもちろん、教 師とのコミュニケーションを通じた心情的要素も重要視していた。以下の学習者の回答から、中 国語の授業、特に先生の存在が大きいことが分かる。 「授業中の先生の説明がとても丁寧で、そしてよく私を励ましてくれて、大変力になる」(A) 「大学の中国語授業では、最も系統的に効率よく知識が教授されている。文法の説明や漢字の練習な ど、それをよく感じる」(B) 「先生から系統的に知識を学ぶことができる。ミスも中国語の先生がきちんと指摘してくれる。先生 とほかの学生との交流を通して、他人と中国語で話す度胸も鍛えられる。街で英語のわからない店 員、老人などと話す時、その経験が特に役に立つ」(C) 「先生や教科書にしたがって勉強している。分らないときには、直接先生に尋ねることができる」(D) 学生は中国語教師との交流を通じて勇気をもらっているようである。それは、中国語教師と言 えども、街中の中国人と同じ生の中国人であることに変わりがないためである。そして、担当教 師の励ましも学習者を動機付ける大きな要因となっている。中国語学習がよくできる A は常に 担当教師に「字が綺麗」、「歌がうまい」などと褒められている。このような褒め言葉が A の中 国語学習に良い影響を与え、より頑張れる力となった。 また、これらの学習者は授業中活発である。積極的に担当教師の質問に答えたり、様々な授業 活動に参加したりしていた。わからないことがあったら、直ちに担当教師に聞くようにしていた。 次に、授業外において、学習者がどのように中国語を勉強しているか見てみよう。4人はみな優 秀な初級中国語学習者であるが、その学習行動には違いが見られた。 「毎日自分の専攻学習で忙しいが、できるだけ毎日中国語の教科書を読んで、教科書の単語や会話文 を暗記している。特に漢字の書き方は大事だ。最も力を入れてやっているのは、音楽を通して中国 語を勉強することである。私は歌が好きだ。英語の学習経験から、私は音楽を通して外国語を学習 することができることを知り、同じ方法で中国語を勉強しているのだ。中国語の歌の歌詞をダウン ロードし、歌詞を調べて、理解してから、歌いながら歌詞を覚えようとする」(A) A の独特な勉強法は音楽を媒介として勉強する方法である。その有効性は英語学習を通して実 証済みで、中国語学習にもその方法を適用しようということである。A はクラスでよく余興で中 国語の歌を歌っており、声はもちろん、中国語の発音と音調も評判となっている。 ほかの 3 人の学習者の学習行動は主に以下のとおりである。

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「私は街で中国語を勉強することが好きだ。街で中国語を使って欲しいものを買う時など、任務を完 遂したような達成感を感じることができる。一人暮らしのため、一人で全て中国語でやらないとい けないが、挑戦的で、中国語の上達にも繋がるし、楽しい」(B) 「中国語ができる友達と練習したり、オンラインの中国語学校で勉強したりしている。重点は、四声、 日常的に使う語彙と会話、数字の言い方(買い物するときに必要なため)に置いている。授業外の 日常生活では大体中国語(SNS 上の中国語、看板、バス停など)を見たり、自分で使ったりして自 然と中国語を勉強することになっている。」(C) 「SNS で留学生や中国人の知り合いと中国語で話している。あまりにも拙い中国語で話しているこ とに気づいた時には、冗談で(同じく外国人留学生と)嘲笑し合うが、いい勉強にもなる。中国語 の映画の字幕からも勉強している。」(D) この 3 人の授業外学習には、SNS や街などでの中国語学習を好む傾向が見られる。その背景と して、中国語を使用しなければならない必要性に迫られた環境の中で、タスクを遂行できる喜び や達成感にあふれていることが挙げられる。 学習者は上記の動機付けと学習行動により、より良い学習効果を獲得し、これまでの中国語学 習に概ね満足しているが、満足のいかない部分も挙げられている。 「中国人と練習するチャンスが実際にはそれほど多くないと感じた。特に大学の寮に住んでいると、 全てキャンパス内で済ませることができるから、外の世界との交流が少なくなる。キャンパス内の 人と交流するときに、私は中国語を練習したいが、中国人の大学生も英語を練習したがっているよ うで、なかなか私と中国語で話してくれない。ちょっと困っている」(A) 「私にとって、漢字を書くのと、覚えるのがとても難しく感じる。発音や意味はすぐ覚えられるが、 二三日書く練習をしないと全部忘れちゃう」(B) 「四声の聞き分けや使い分けがよくできない。これのせいで、意味が伝わらない時がある。外国人留 学生共通の問題だと思う。」(C) 「私のまだ足りないところは四声がまだよくできないことだ。そして、性格は内向的で、ほかの人と の交流が少なく、中国語の会話力の向上にあまりよくないと思う」(D) 以上から、これらの学習者自身が認識している問題が主に四声、漢字、会話であることがわか る。四声の問題は大抵の外国人留学生が抱えている共通問題であり、既に多くの研究によって証 明されている(丁 2012;向2012;高 2014)。そして、漢字圏に属さない外国人留学生にとっては、 漢字を書くことを難しく感じているようである。会話の問題については、学習者間で違う見解が 見られた。外国人留学生は大学側が用意した学生寮に住むこともできるし、キャンパス外で自分 でアパートを賃貸することも可能となっている。大学内に住んでいる外国人留学生の生活圏は大 学内にあり、接する人の多くが中国人の大学生である。大学生は皆英語が多少なりとも出来るた

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め、外国人留学生と話すときに英語力を試したいという気持ちからか、中国語ではなく、英語で 話すことが多い。そのため、学内に住んでいる学習者 A は中国語でのコミュニケーションのチャ ンスが少ないことに困惑している。それに対し、学外に住んでいる B、C、D はこのような問題 を抱えておらず、むしろ学外に住むことで、様々な生活上における雑事をすべて現地の人と中国 語でやり取りしなければならないため、それにより中国語力が鍛えられていることに満足してい る。 上記学習者の学習軌跡を、優れた学習者についての研究でこれまで最も採用されている SILL と照合すると、「情意ストラテジー」と「社会的ストラテジー」と一致していることが分かる。 情意ストラテジーでは、学習者は中国語学習の重要性を十分理解し、それを自分の将来と結びつ けることにより動機付けを強化している。「社会的ストラテジー」では、本研究の学習者は第二 外国語としての学習環境において、対面や SNS など、実際の中国人との交流を通して中国語学 習を好む傾向がある。この結果はほかのストラテジーが本研究の学習者に現れていないというの ではなく、インタビューを主とした本研究の調査法では、それらのストラテジーまで調査できて いないことを反映している。また、SILL と一致しない項目について本研究では、大まかな学習 行動しか調査していないため、ミクロな視点からの分析が不足していることが一致しない一因で あると思われる。本研究では、専攻を持ちながら初級中国語を学習する初学者のみを対象として いたため、対象とした段階では、複雑なストラテジーがまだ運用されていなかった可能性も十分 考えられる。 5 .まとめ 本研究では、主専攻とは別に、初級中国語の学習において優れた成績を修めた学習者の動機付 け、学習行動などの学習軌跡を分析した。その結果、以下のことが分かった。 (1)中国経済の飛躍的発展による学習者の母国への良い影響が、中国語学習の強い動機付けと なり、学習者は中国語学習が自分の将来の発展と強く結びつくことを固く信じていた。大学・専 攻選びにおいても、中国の経済発展と関連付けて行っていた。また、奨学金などの経済的支援制 度が充実しており、生活費・学費が負担可能な範囲であることが中国留学を決めた一因として挙 げられていた。学習者の母国では様々な中国関連のものや人と接触する機会があり、中国に対す る印象が良く、このことが目標言語習得によい影響を与えていた。 (2)これらの学習者は授業中活発であった。積極的に担当教師の質問に答えたり、様々な授業 活動に参加したりしていた。勇気づけられる、励まされるなどの教師とのコミュニケーションを 通じた情意的要素も重要視していた。 (3)授業外の学習については、英語学習で効果が実証済みの音楽を通じた中国語学習を行って いる学習者 1 人を除き、残りの学習者 3 人は主に SNS や街などにおける中国語学習を好む傾向 にあり、中国で生きていく上で、サバイバルとしての中国語学習に励んでいた。これら 3 人の学 習者は中国語を使用する必要性に迫られる環境の中で、タスクを遂行できる喜びや達成感に満足

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していた。 2018年規範の施行により、外国人留学生の中国語教育はより本格的なものとなったが、教育現 場にいる教師から見れば、留学生の中国語習得は決してスムーズに行われているわけではない。 このような状況下において、優れた初級中国語非専攻学習者の学習軌跡の解明は、約26万人存在 する学位取得を目的として滞在している外国人留学生に対し、良い手本を提供することにつなが り、中国語教師にも新しい教育上の示唆を与えることに繋がる。 最後に、本研究の限界を述べる。本研究で取り上げた優れた初級中国語学習者4人はあくまで も一事例に過ぎないため、全ての優れた初級中国語学習を代表するわけではないことに注意して もらいたい。また、本稿で扱ったデータは取り扱っている授業・試験成績以外、すべて学習者の 自己申告であるため、学習者の回答とより真実に近い実態と乖離している可能性も否定はできな い。 参考文献 北素子・谷津裕子(2009)『質的研究の実践と評価のためのサブストラクション』.医学書院 丁和(2012)留学生学习汉语时遇到的问题及解决的办法 .《东方企业文化》,(17):168. 高彩云(2014)零基础留学生怎样学好汉语 .《学习月刊》,(12):88-89. 梁甜(2020)泰国中高级汉语学习者个案研究 . 兰州大学 . 刘扬,王慧,孔繁盛(2013)外国学生缘何留学中国―基于北京高校调查的实证研究 .《高等教育研究》,(5):32-38,52. 刘路(2016)质性方法在对外汉语教学研究中的应用 . 语文学刊(外语教育教学),(12):150-152. 王玲珑(2020)成功汉语学习者共同特征分析研究 . 华中师范大学 . 文峰(2007)多样性文化适应:对华裔学生来华留学的调查与分析 .《东南亚研究》,(6),86-89. 向平(2012)非汉字圈零起点留学生的汉字识别和记忆 .《云南师范大学学报》(对外汉语教学与研究版),(4),17-22. 姚路宁(2017)优秀的汉语第二语言学习者学习策略研究 . 北京外国语大学 . 张勇(2018)泰国成功汉语学习者学习策略使用情况研究 .《汉字文化》.(14),26-29.

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ロウスキー論文に学ぶ』,134-147. 医学書院)

稿末資料

Outline of semi structured interviewof foreigners' Chinese learning

1 . How long have you been in China? Why do you come to China to study? 2 . Do you come to China to study on scholarship or at your own expense? 3 . How do you decide your major?

4 . How long did you learn Chinese before you came to China? What is the content? 5 . When learning Chinese in your country, do you find it difficult to learn Chinese? 6 . What is your country's impression of China?

7 . What was your impression of China before you came to China? What has changed your impression of China since you came to China.

8 . Do you think it important to learn Chinese well? Why? 9 . Describe how you learn Chinese. The more specific, the better. 10. Are you satisfied with the Chinese course at school? Why?

11. Why do you think some of the students in your class are not taking their studies seriously? Why aren't you like them?

12. After coming to China, when do you study Chinese except twice courses a week? What is the learning content?

13. In addition to learning Chinese through books, what other ways do you learn it?

14. After coming to China, do you speak a lot of Chinese every day? Does this help your Chinese progress? 15. What are the positive and negative factors in your Chinese learning?

16. Please describe the strengths and weaknesses of your Chinese learning.

17. The Chinese course has been going on for a year. What do you think of your Chinese study? Do you have a satisfactory learning effect? Why?

18. Do you think speaking Chinese well will help your future? 19. What's your plan after college?

注 1 中国教育部ホームページ http://old.moe.gov.cn//publicfiles/business/htmlfiles/moe/s6811/201209/141518. html(2020年 8 月31日にアクセス)  2 中国教育部ホームページ http://www.moe.gov.cn/srcsite/A20/moe_850/201810/t20181012_351302.html 参照  (2020年 8 月31日にアクセス) 3 浙江省教育庁ホームページ http://jyt.zj.gov.cn/art/2019/12/25/art_1532791_41251664.html 参照(2020年 8 月 31日アクセス) 4 外国人留学生の専攻はそれぞれ異なり、昼間はそれぞれの専攻の授業を受けるため、まとめて中国語の授業 を受けられるのは平日の夜間(18時~21時)しかない。 5 各クラスの学生の成績評価はそれぞれのクラスを担当する教師が個別に行うため、10クラス全体での成績評 価は行われておらず、その順位付けもなされていない。従って、今回対象とした 4 人は筆者が担当したクラス 内での成績優秀者という位置づけであり、10クラス全体での成績は明確ではない。

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6 実際には学習者 5 名に依頼していたが、その中の 1 人からは承諾が得られなかったため 4 人になった。 7 SNS を利用したのは、新型コロナウィルスの影響で2020年 2 月からの後期授業がオンライン授業となってい たためである。 8 ここでは、研究対象者 4 人ともアフリカ人である。実はこれまで浙江師範大学は100以上の国や地域から5,000 名以上の外国人留学生を受け入れているが、近年アフリカからの留学生が多く、本稿における成績優秀な中国 語学習者も全てアフリカ人となったのである。 9 ここでは、男女の性別を均衡にしたほうがより偏りがなくなるが、英語コース(主に工学専攻)は男子学生 がほとんどであり、女子学生がごくわずかである。その上、成績優秀な女子学生がほとんどいなかったため 4 人すべて男性となった。 10 浙江師範大学では、外国人留学生向けに、中国政府奖学金、孔子学院奖学金、浙江省政府来华留学生奖学金、 浙江省政府来华留学生奖学金、金华市政府友城奖学金、浙江师范大学优秀留学生奖学金などの奨学金が申請可 能である。C と D が獲得した浙江省政府奨学金は 1 人 2 万元が支給され、これは一年間の学費(18,000元)をカ バーできる金額である。 (王 俊 浙江師範大学外国語学院日本語学科講師)

参照

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