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2012 年度 NIMS コンファレンス開催と NIMS 賞受賞者決定
NIMS コンファレンスにて NIMS 賞授与式・受賞記念講演が行われる 平成 24 年4月12日 独立行政法人物質・材料研究機構 概 要 独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:潮田 資勝(以下、NIMS)は、毎年、世界トップレ ベルの研究者を招き、材料科学・ナノテクノロジーの観点から様々な問題を議論し、最新の成果を発 表するため、国際会議「NIMS コンファレンス」を開催しております。 第9 回目となる今回は“持続性社会に貢献する構造材料科学 -基本原理への回帰-”をテーマと し、6 月 4 日~6 日の3日間、つくば国際会議場にて開催されます。 構造材料に広く横たわる未解決問題を議論するとともに、最新の研究成果の発表やその産業応用な どに関する議論を通して、構造材料研究の一層の活性化を図ることを目的としております。 特に、昨年3 月に我が国を襲った未曾有の東日本大震災からの復興、ならびに今後起こりうる大規 模震災・津波に対して構造材料研究の面から対処すべく、NIMS では今年度より「社会インフラの 復旧、再生に向けた構造材料技術の開発」プロジェクトを開始いたします。NIMS コンファレンス では本プロジェクトについても皆様にご紹介するとともに、本会議が震災対応に関する意見や情報を 広く交換できる場となる事を期待しております。 また、物質・材料に関わる科学技術において優れた業績を残し、かつNIMS の発展に多大な貢献 をされた研究者に、本会議においてNIMS 賞を授与しております。上記テーマに沿って世界各国の トップ科学者から候補者をノミネートし、中立有識者で構成された委員会により厳正に最終選考を行 った結果、今年はProf. H.K.D.H. Bhadeshia(ケンブリッジ大学)、Prof. John W. Morris, Jr(カリ フォルニア大学)、Prof. Subra Suresh(米国国立科学財団)の 3 名に受賞者が決定いたしました。 NIMS コンファレンスにおける受賞セレモニーの後、受賞記念講演が行われる予定です。 別添の文書に、2012 年度 NIMS 賞の受賞者の業績を記します。 ■NIMS コンファレンス概要 日程:6 月 4 日~6 日(NIMS 賞授賞式、受賞記念講演は 4 日) 場所:つくば国際会議場(エポカルつくば) http://www.nims.go.jp/nimsconf/2012/(本件に関する問合せ先) 独立行政法人物質・材料研究機構 外部連携部門 学術連携室 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 TEL:029-851-3354(内線 3886) FAX:029-859-2049 (報道担当) 独立行政法人物質・材料研究機構 企画部門 広報室 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 TEL: 029-859-2026 FAX:029-859-2017
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2012 年 NIMS 賞受賞者(アルファベット順)
1. Prof. H.K.D.H. Bhadeshia
Tata Steel Professor of Metallurgy University of Cambridge (1)研究分野: 鉄鋼材料の開発、相変態に関する研究 (2)研究成果の名称: 鉄鋼材料の相変態、析出挙動の基礎的解明とそれに基づく新たな鉄鋼材料の開発 (3)研究成果の概要とNIMS への貢献 Prof. Bhadeshia は 30 年以上にわたり鋼の相変態や組織形成に関する研究において世界の中心 的、先導的役割を果たしてきた。なかでもベイナイト変態1)に関する研究では第一人者として 「Bainite in Steel」をはじめとして多くの著書と卓越した研究論文を発表し、理論構築を先導して きた。さらに鋼の一連の相変態、析出挙動の基礎的解明、変態、析出挙動に及ぼす組成やプロセス の影響の解明 、さらにはこれらの基礎的知見に基づく新たな鉄鋼材料の提案 など、膨大かつ極め て有効な成果を次々と提示し、世界の鉄鋼材料研究、鉄鋼材料開発に多大な影響を与えてきた。ま た、鋼の組織形成や様々な冶金現象のモデル化 にも先駆的に取り組み、成果を「Materials Algorism Project」の下に計算プログラムやデータベースとして無償で公開 し、材料開発や教育へも多大に 貢献してきた。 Prof. Bhadeshia はこれまで日本の鉄鋼、重工企業や大学、国研などから約30人の留学生および客 員研究員を受け入れている。1990年代には現NIMSとケンブリッジ大を基軸とした日英プロジェク トを先導して人材育成や共同研究に多くの尽力と貢献をしてきた。 これまでにNIMSからの客員研 究員を多数受け入れるとともに、NIMS主催の国際会議の諮問委員会や招待講演を多数実施してきた。 また、ケンブリッジにおけるNIMS Officeの設立にも貢献した。これまでの同氏の構造用金属材料の 相変態や組織形成機構に関する実験的・理論的な解明への貢献、これらの基礎的知見に基づく新たな 構造材料の開発への貢献、ならびにこれまでのNIMSの構造材料研究の発展への多大な寄与に対して NIMS 賞を贈り、これまで以上にNIMS の各構造材料研究グループとの連係を強くすることで今後 も相変態のシミュレーション、材料開発の共同研究などにおいて高いレベルの連携が期待できる。 1) ベイナイト変態 炭素を含む鉄鋼を高い温度から冷却する際に、400~500℃近辺の温度で保持した時に羽毛状または針 状の粘り強い組織が生じる現象。
2. Prof. John William Morris, Jr
Department of Materials Science and Engineering University of California, Berkeley
(1)研究分野: 金属材料の強度物性 (2)研究成果の名称: 材料強度発現機構の理論的解明 (3)研究成果の概要とNIMS への貢献 Prof. Morris 自身は理論家でありながら、研究テーマには鉄鋼材料を始めとして、超伝導線材や 鉛フリーはんだ材料、溶接部材等、主として実用材料の開発を取り上げ、熱力学や弾性論、転位論、 さらにはコンピューターシミュレーションを駆使して現象の解明を行い、材料設計の指針を与える というユニークな研究スタイルで多くの成果を残している。鉄鋼会社の開発現場で対象とするよう な実用鋼の内部組織や強度の議論においても、常に熱力学の諸法則や転位の統計論に基づいた議論 を展開するなど、常に基礎と現実を結び付けようとする姿勢・力量において彼の右に出る者はない。 Morris 教授の業績は 350 編を超える論文として公表されており、又、これらの卓越した業績が認め られてMRS、ASM、TMS の Fellow に選出され、さらには 2007 年に National Academy of Engineering の会員に推挙された。また,2011 年には,日本鉄鋼協会および日本金属学会の名誉員 に推戴された。
Prof. Morris は2名の NIMS 定年制職員をそれぞれ1年間、在外派遣として受け入れ,共同研究 を行った実績がある。現在でも一部の共同研究は継続しており,研究成果のみならず,人材育成の 点でも大きな貢献を続けている。また、過去5年以上にわたってNIMS を年1回程度訪問し、毎回 5組程度の研究グループに対して丁寧な指導と研究討論を行い、特に学生・院生・若手研究者への 有益な助言を与える活動を続けている。Morris 教授の豊富な知識と洞察力に基づく指導は,時に厳 しい内容を含みながらも,建設的な内容に終始する人間的な温かさに満ちており,多くのNIMS 研 究者にとって憧れの存在である。今回のNIMS 賞受賞を契機に,これまで以上に研究協力,人材育 成の活動によるNIMS への貢献が期待される。
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3. Prof. Subra Suresh
Director, National Science Foundation (NSF) and
Vannevar Bush Professor of Engineering, Massachusetts Institute of Technology (MIT) (1)研究分野: 材料の変形と破壊、ナノインデンテーション、複合材料、ナノマテリアル、バイオメカニックス、 シミュレーション (2)研究成果の名称: 構造・生体材料におけるマクロ・ナノスケールの分野横断的マルチスケール材料科学の確立 (3)研究成果の概要とNIMS への貢献 Prof. Suresh は、主として、構造金属材料の疲労破壊や疲労き裂進展に関する研究、各種複合材 料(金属、セラミックス、ポリマーなど)の変形・破壊挙動、ナノインデンテーション法やシミュレー ション計算科学による原子レベルでの変形・欠陥メカニクスの解明、生体細胞の力学特性評価と、 極めて多岐にわたる分野に対して研究を行ってきた。何れの研究成果も、Nature や Science などを はじめとする著名な学術誌に210 本以上掲載されているとともに、その引用数の多さからも研究内 容の革新性や独創性を示唆している。自身の専門とする材料力学に関する学問領域を基礎としつつ も、様々な新しい材料・領域へと研究分野を開拓し、大きな成果を挙げていることはまさに偉業で ある。
Prof. Suresh は、NIMS の第二期中期計画のアドバイザリーボードメンバーとして、NIMS の各 センターでの研究内容や、組織構成、対外活動など多岐の項目にわたり、助言を行っている。特に 2008 年の中間評価では、各領域長などのプレゼンに対し真摯な評価および提言を行った。NIMS が 国内外で広く認知されるようになり、また高く評価されるようになった要因は、各研究者などの不 断の努力の成果でもあるが、その一方で、彼が導入を推奨した厳しい評価システムも大きく貢献し ていると考えられる。
Prof. Suresh は,米国マサチューセッツ工科大学の Department of Material Science and Engineering の学部長や School of Engineering の Dean を歴任し、現在は米国科学財団(National Science Foundation, NSF)の第 13 代理事長に就任している。そのような要職に在りながらも,若 手研究者の育成,独創的な組織マネジメント,研究課題の最適化などに関して常にNIMS に対して 有益な助言を与え,大きな貢献を果たしてきており,NIMS 賞受賞者として最もふさわしい方の一 人である。