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井原ですよろしくお願いします

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Academic year: 2021

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「改革」の失敗がもたらした政治の劣化と右傾化

  

       

     

                           五十嵐   仁(法政大学大原社会問題研究所前教授)               〔以下の論攷は、 『学習の友』 No. 739、 2015年3月号、に掲載        されたものです。 〕        ◇   日 本 の政 治 が 民意 を 反 映 しな く な っ てい る の では な い か。多 く の 国 民は そ う 思 い、反 対 意 見 や 要 求 が 政 治 に 届 か な い 不 満 や も ど か し さ を 感 じ て い る の で は な い で し ょ う か。 ひ と こ と で 言 えば、日本政治の劣化です。

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  自 由 で 民 主 的 な 政 治 体 制 を 標 榜 し て い な が ら、 日 常 的 な 政 治 運 営 で は 自 由 も 民 主 主 義 も 十 分 に 機 能 し て い ま せ ん。 主 要 な マ ス メ デ ィ ア は 官 邸 に コ ン ト ロ ー ル さ れ、 原 発 再 稼 働 反 対 や 沖 縄 での新基地建設反対の世論は無視され続けてきました。 「政治とカネ」 の問題も相変わらずです。   政治の右傾化もはなはだしく、出版物では反中 ・ 嫌韓の言論があふれ、 「在日」の人々を敵視 し 排 除 す る ヘ イ ト デ モ が 繰 り 返 さ れ て き ま し た。 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 容 認 や 改 憲 に 向 け て の 動 きが強まり、 「戦争できる国」への転換も図られようとしています。   ど う し て、 こ う な っ て し ま っ た の で し ょ う か。 な ぜ、 日 本 の 政 治 は 劣 化 し、 右 傾 化 が 進 行 し てきたのでしょうか。その大きな原因は政治改革や構造改革、 アベノミクスなど一連の「改革」 路線が失敗したことにあります。     政治改革の失敗①―小選挙区制の罪   政 治 改 革 は 1 9 9 3 年 か ら 94年 に か け て 取 り 組 ま れ ま し た が、 結 局 は 選 挙 制 度 改 革 に 単 純 化 さ れ、 最 終 的 に は 小 選 挙 区 比 例 代 表 並 立 制 の 導 入 に 結 び つ き ま し た。 小 選 挙 区 制 に な れ ば 政 治 は 改 革 さ れ る と 宣 伝 さ れ ま し た が、 今 か ら す れ ば 大 き な 間 違 い で し た。 日 本 政 治 を 劣 化 さ せ た 最大の罪は、小選挙区制にあります。   政治改革前の日本の選挙制度は、 基本的に定数3から5の中選挙区制と呼ばれるものでした。

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【論巧】 「改革」の失敗がもたらした政治の劣化と右傾化 こ の 制 度 で は 同 一 政 党 か ら 複 数 の 当 選 者 が 出 る た め「 サ ー ビ ス 合 戦 」 と な っ た り 派 閥 を 生 ん だ り す る か ら、 当 選 者 を 1 人 に す れ ば 政 党・ 政 策 中 心 の 選 挙 に な っ て「 政 治 と カ ネ 」 の 問 題 は な くなり、政権交代も起きやすくなると言われたのです。   し か し、 1 議 席 を 争 う 小 選 挙 区 制 は 大 政 党 に 有 利 で「 死 票 」 が 多 く、 相 対 多 数 で あ れ ば 当 選 し、 4 割 台 の 得 票 率 で も 7 割 台 の 議 席 を 占 め る こ と が で き る と い う 根 本 的 な 欠 陥 を 持 っ て い ま す。 そ の よ う な 制 度 が 導 入 さ れ た 結 果、 候 補 者 と 選 挙 活 動 は 大 き な 変 容 を こ う む る こ と に な り ました。   小 選 挙 区 で は 候 補 者 は 1 人 で、 そ の 候 補 者 を 決 め る の は 政 党 で す。 基 本 的 に、 有 権 者 は 候 補 者 を 選 ぶ こ と が で き ま せ ん。 大 き な 政 党 で は 候 補 者 に な れ ば ほ ぼ 当 選 で き、 そ の 候 補 者 は 党 に よ っ て 選 ば れ ま す か ら、 執 行 部 に 逆 ら え な く な り ま す。 自 民 党 な ど で は 派 閥 の 力 が 弱 ま り、 集 権化が進みました。   し か も、 選 挙 区 が 狭 く、 一 人 し か 当 選 で き ま せ ん。 地 盤 が あ っ て 選 挙 に 強 い と 考 え ら れ る 候 補 者 が 選 ば れ が ち に な り、 二 世 議 員 や 三 世 議 員 が 増 え る こ と に な り ま す。 派 閥 が 弱 体 化 し た 自 民 党 で は、 そ の 新 人 発 掘 機 能 や 議 員 へ の 教 育・ 訓 練 機 能 も 失 わ れ ま す。 若 い 候 補 者 が 政 治 家 と して鍛えられるチャンスが減り、 「こんな人が」と思われるような不適格者も国会議員になって しまったというわけです。   そ の う え、 当 選 最 優 先 で 政 策 も 理 念 も 後 ま わ し の「 選 挙 互 助 会 」 の よ う な 政 党 も 生 ま れ ま し

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た。 政策抜きの野合や離合集散などもあり、 政党の劣化と 堕落をもたらす制度になっています。     政治改革の失敗②―政党助成金の罪   政 治 改 革 に よ っ て「 政 治 と カ ネ 」 の 問 題 を 解 決 す る と し て 導 入 さ れ た も う 一 つ の 制 度 が 政 党 助 成 金 で す。 1 9 9 5 年 に 始 ま り、 国 会 議 員 5 人 以 上 か 直 近 の 国 政 選 挙 で 2 % 以 上 の 得 票 率 を 得 た 政 党 に 年 額 3 2 0 億 円 の 税 金 が 交 付 さ れ ま す。 そ の 代 わ り 5 年 後 に は 企 業・ 団 体 献 金 が 禁 止 さ れ る こ と に な っ て い ま し た が 実 施 さ れ ず、 助 成 金 と 企 業・ 団 体 献 金 の 2 重 取 り と い う 問 題 が生じました。   2 0 1 3 年 の 助 成 金 の 割 合 は、 自 民 党 で 64・ 6 %、 民 主 党 に 至 っ て は 82・ 5 % に も 達 し て い ま す。 助 成 金 は 使 い 残 し て も 返 納 す る 義 務 は な く、 「 政 党 基 金 」 な ど と し て 繰 り 越 す こ と が で き ます。 13年には9党の基金残高の総額が147億5307万円にも及びました。   助 成 金 の 配 分 額 は 1 月 1 日 時 点 の 国 会 議 員 数 な ど で 決 ま り、 16日 ま で に 届 け 出 れ ば 受 け 取 る こ と が で き ま す。 そ の た め に 年 末 年 始 の 新 党 結 成 が 繰 り 返 さ れ て き ま し た。 5 人 集 め て「 政 党 要件」を満たすことが先にありきで、綱領・規約などは後回しという粗製乱造ぶりです。   最 近 で も、 生 活 の 党 に 山 本 太 郎 参 院 議 員 が 入 党 し て「 生 活 の 党 と 山 本 太 郎 と な か ま た ち 」 に 変 わ り、 園 田 博 之 衆 院 議 員 が 次 世 代 の 党 か ら 休 眠 状 態 の 太 陽 の 党 に 復 党 し て 助 成 金 を 受 け ら れ

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【論巧】 「改革」の失敗がもたらした政治の劣化と右傾化 る よ う に な り ま し た。 昨 年 解 党 し た み ん な の 党 に 所 属 し て い た 参 院 議 員 4 人 に ア ン ト ニ オ 猪 木 議員が加わって新党「日本を元気にする会」も発足しています。   政 党 助 成 金 は 手 弁 当 で 支 持 を 訴 え て 資 金 を カ ン パ し て も ら い、 機 関 紙 誌 や 出 版 物 で 政 策 を 訴 えて収入も得るというような地道な活動を不要にします。 その結果、 政党としての体力が低下し、 政 党 の 堕 落 を も た ら す こ と に な り ま し た。 金 目 当 て の 離 合 集 散 は や ま ず、 制 度 開 始 か ら 14年 ま で の 20年 間 に 政 党 助 成 金 を 受 け 取 っ た 政 党 は 35党 に の ぼ り ま す が、 う ち 27党 は 解 散・ 消 滅 し ま した。   助 成 金 は、 吸 入 す れ ば 気 持 ち が よ く な る け れ ど 身 体 が 蝕 ま れ て い く「 麻 薬 」 の よ う な 制 度 で す。 そ の 廃 止 こ そ、 本 当 の「 身 を 切 る 改 革 」 に ほ か な り ま せ ん。 国 民 に と っ て は 1 人 当 た り 2 5 0 円 と い う 税 金 が 強 制 的 に 徴 収 さ れ 支 持 し て い な い 政 党 に も 配 分 さ れ る と ん で も な い 仕 組 み で あ り、 政 党 に と っ て は 資 金 目 当 て の 結 成 や 体 力 の 低 下 を も た ら し て き ま し た。 双 方 に と っ てマイナスとなるこのような制度は早急に廃止するべきでしょう。     構造改革とアベノミクスの失敗 ―右傾化を生み出した貧困化と格差の拡大   政 治 の 右 傾 化 に と っ て は、 構 造 改 革 や ア ベ ノ ミ ク ス な ど の 失 敗 が 大 き な 要 因 と な っ て い ま す。 こ れ ら の「 改 革 」 の 結 果、 貧 困 化 が 進 ん で 格 差 が 拡 大 し、 そ れ に よ っ て 生 じ た 不 満 や 疎 外 感 が

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排外主義や右翼的ナショナリズムの背景となっているからです。   所 得 や 資 産 の 格 差 を 図 る 指 数 と し て は ジ ニ 係 数 が あ り ま す。 こ の 数 値 が 大 き い ほ ど 格 差 が 大 きいことになりますが、日本のジニ係数は1981年以降、一貫して増え続けてきました。   厚 生 労 働 省 の 調 査 で も 12年 と 13年 の 年 収 を 比 べ れ ば、 1 0 0 0 万 円 以 上 が 1 7 2 万 人 か ら 1 8 6 万 人 に 14万 人 増 え た の に 対 し、 年 収 2 0 0 万 円 以 下 も 1 0 9 0 万 人 か ら 1 1 2 0 万 人 へ と 30万人増えています。中間層が減り、富の集中と低所得層の増加が生じたことが分かります。   そ の 結 果、 若 者 を 中 心 に し て 社 会 に 対 す る 不 平・ 不 満 が 高 ま り ま し た が、 政 治 は そ の 解 決 の 道 筋 を 示 す こ と が で き ず、 鬱 屈 し た 感 情 が 高 ま り ま し た。 そ の は け 口 が 少 数 者 に 向 け ら れ、 差 別と排除の対象とされたのが在日のコリアンなどです。   安 倍 政 権 は そ れ を 是 正 し よ う と は せ ず、 社 会 的 統 合 と 支 持 基 盤 拡 大 の た め に 利 用 し て き ま し た。 こ う し て ヘ イ ト ス ピ ー チ が 繰 り 返 さ れ、 周 辺 諸 国 に 対 す る 敵 意 が 高 ま り、 右 傾 化 と 呼 ば れ るような排外的ナショナリズムが強まってきたのです。   こ の よ う な 社 会 的 風 潮 を 背 景 に、 日 本 会 議 議 連 と 呼 ば れ る 右 翼 的 な 議 員 集 団 も 力 を 強 め て き ま し た。 第 3 次 安 倍 内 閣 の 閣 僚 の 大 半 が こ の 団 体 に 属 し、 埼 玉 県 議 会 の 半 数 が 日 本 会 議 議 連 の メンバーによって占められるなど地方でも増えてきています。

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【論巧】 「改革」の失敗がもたらした政治の劣化と右傾化     どうすれば良いのか   こ れ ら の 問 題 を 解 決 す る に は ど う し た ら よ い の で し ょ う か。 政 治 家 や 政 党 の 劣 化・ 堕 落、 政 治 の 右 傾 化 を 引 き 出 し た 要 因 を な く す よ う に 努 め な け れ ば な り ま せ ん。 そ の た め の「 政 治 改 革 」 や「構造改革」のやり直しが必要です。   諸 悪 の 根 源 で あ る 小 選 挙 区 制 を な く し て 比 例 代 表 制 に 変 え る こ と、 政 党 助 成 金 を 廃 止 す る こ と、 貧 困 化 と 格 差 是 正 の た め の 再 分 配 政 策 を 実 施 す る こ と、 正 し い 歴 史 認 識 に 立 ち 戻 り 周 辺 諸 国との関係改善につとめることが、政治の目標とされなければなりません。   ま た、 日 本 会 議 議 連 に 加 わ っ て い る よ う な 右 翼 的 議 員 を 議 会 か ら 一 掃 す る 必 要 が あ り ま す。 先 の 衆 院 選 で は 次 世 代 の 党 と い う 極 右 政 党 が 壊 滅 的 な 打 撃 を 受 け ま し た。 来 る べ き い っ せ い 地 方選挙でも、地方政治で同様の結果を生み出すことが必要になっています。

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