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千葉市における小・中学校の適正規模・適正配置のあり方について ~子どもの学びを巡る状況の実証分析を基に~

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Academic year: 2021

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全文

(1)

千葉市における小・中学校の

適正規模・適正配置のあり方について

~子どもの学びを巡る状況の実証分析を基に~

(2)

報告の構成

研究の目的

研究の背景/・研究の必要性

第1章

第1節 データ分析から見る学校規模の影響(学力と規模の関係性) 第2節 教員アンケート調査からみた学校規模/統合経験と教育活動の関係分析

第2章

第1節 千葉市の適正規模・適正配置の実績と経験

(3)

研究の目的

• 学校の適正規模・適正配置を考えるための基礎的知見を、

特に子どもの学びを巡る状況(学力、学習の姿、学校経営

等)から実証的に検証すること (第1章)

• 千葉市における取組みを振り返り、その経験と第1章の実

証分析を基に、「第3 次学校適正規模・適正配置実施方

針」策定に向けた提言を構築

(第2章)

(4)

研究の背景

「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引-少子化に対応し

た活力ある学校づくりに向けて」(平成27年1月27日):

諸状況の変化を受けて、

58年ぶりに改訂

• 小規模校と適正規模以上の学校を比較した際、小規模校に課題があるのか

否かについて、一般化に堪えるレベルの実証研究が不足

• 知識集約型学習から、未知の課題に対しての課題解決力や多様な意見を調

整して納得解を得る能力を身につける資質・能力の育成への転換。小規模学

習集団の困難性?

• 学校の配置は、地域振興行政(例えば、「公共施設再生計画」)や地域創成と

も連動・連携させて考える必要があり、多数の不確定な要素・要因が影響。

(5)

研究の必要性

• 定量化できない複数の要因を関連づけ、複合的に考える

難しい解を求めるからこそ、教育効果や教育環境の適切

性について、実証できる範囲で検証する→

エビデンスイン

フォームド

の政策立案支援

• 「手引き」

に示された「課題の可視化」や「統合の効果検

証」に相当する知見の獲得

※ 「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引-少子化に対応し

た活力ある学校づくりに向けて」

(平成27年1月27日)

(6)

第1章-

第1節

(7)

検証枠組み

• 対象:千葉市立小・中学校の小学校6 年生及び中学校3 年生の全学級

• データ①:「全国学力・学習状況調査」

の学校別・科目別

平均点

(各年度)及び、

同学校別・科目別

標準偏差

※国語、算数(数学)、理科(平成27 年度のみ)

• データ②:学年学級数(各学校の学年当たり学級数)と学級規模(1 学級当たり

児童生徒数)

• 分析方法:学校・科目別の平均点及び標準偏差を目的変数、各学校の学年学

級数及び、学級規模を説明変数とした線形モデルによる回帰分析

(8)
(9)

回帰分析結果一覧

(10)

回帰モデルから見えること(小6)

• 全年度全科目において、学級数が多いほど平均点が高い。

• 年度、科目によるばらつきは多少あるものの、学級数が多

いほど、児童の学力(平均点)の分散=学力格差が小さく

なる可能性

• 小規模過ぎる学級規模よりも、学級規模を維持することが

平均点の向上につながる可能性

(11)

第1章-

第2節

(12)

目的

• 学校規模や学校統合の経験が及ぼす教育活動や児童生

徒への影響を、教員の

認知

(現場知、経験値:

ローカル・ノ

レッジ

)の観点から実証的に抽出・分析することを目的とす

• ローカル・ノレッジの重要性:教育領域に限らず、諸分野の

専門家にはローカル・ノレッジ(藤垣2003)があるとされる。

特に教育の分野では定量化になじまない教育効果や、暗

数となって観察されないものなどが存在することから、こう

した見えない知識の存在感が大きい。

(13)

調査実施概要

市内小中学校教員を対象としたアンケート調査

• 対象校・対象者:学校規模や統合経験の有無などを基に、市内から抽出。

各調査対象校では、全ての教員を対象

• 配布・回収方法:質問紙を各学校単位で配布し・留め置き・回収

• 質問項目:2014年9月に実施された「学校規模適正化等に関する実態調査」

(文部科学省)を参照し、限り質問項目の共通性が確保出来るように配慮して

作成。児童生徒への直接的な効果(21項目)、教育活動/指導体制・指導法に

与える効果(中学校29項目、小学校28項目)

• 回答方法:「当てはまる」から「当てはまらない」の5件法

• 回収率と標本数:671名に質問紙を配布し427名(小学校186名:回収率57.1%、

中学校241名:回収率69.8%)から有効回答。そのうち、欠損値を含んだ回答

(小学校1名、中学校2名)を除外し、分析。

(14)
(15)

検証枠組み

• 回答傾向からの因子抽出

 各項目への回答を基に、「当てはまる」に5点~「当てはまらない」に1点を与え、因 子分析を行い、主要因子の抽出。  小学校9因子、中学校12因子が抽出。このうち、統合校と非統合校の差が大きい因 子(主成分得点平均値が正負逆転しているもの)として、小学校・中学校各4因子

• 因子得点を従属変数とした回帰分析

 より厳密に、回答傾向と統合及び学校規模との関係性を実証するため、各主成分 得点を非説明変数、学校の属性(統合の有無、生徒数、学級数、回答者の教員経 験年数、勤務経験校数)を説明変数とした重回帰分析

(16)

結果一覧

(17)

因子分析から見えること

• 因子によって統合校と非統合校間でその高低が反転し、メリットとデメリットが

反転する結果

• 小学校において、統合校では、

学校経営及び業務の適正化

(第1主成分)や

体的・対話的学びの充実

(第3主成分)、

指導上・学習上の多様性の確保

(第9

主成分)には肯定的回答傾向があり、

子どもの落ち着き・安定性

(第2主成分)

は否定的回答傾向にある。

• 中学校においても、

指導上・学習上の多様性の確保

(第1主成分)や

学校経営

及び業務の適正化

(第3主成分)が肯定的回答傾向を持つ一方、

地域・保護者

との連携

(第4主成分)については、統合校で否定的回答傾向

(18)

重回帰分析から見えること

括弧内は、統合の効果を正負で示す)

• 小学校

学校経営および業務の適正化

(正の効果)

子どもの落ち着き・安定性

(負の効果)

主体的・対話的学びの充実

(正の効果)

指導上・学習上の多様性の確保

(正の効果)

• 中学校

指導上・学習上の多様性の確保

(正の効果)

学校経営および業務の適正化

(正の効果)

地域・保護者との連携

(負の効果)

(19)

政策的含意

• 統合と非統合、適正規模校と非適正規模学校を二項対立

的に捉え、一方のみを評価することには慎重であってよい

• 統合施策を選択する場合も、小規模校を残すことを選択す

る場合も、教育委員会には反転するメリットを最大化し、デ

メリットを最小化する支援策を講じる必要

• 校長のマネジメントへの重要性

• 21世紀型学力/学力格差への配慮

(20)

第2章-

第1節

(21)

これまでの基本的な考え方

• 千葉市学校適正配置実施方針[平成19年10月策定]

[目的]子どもたちのよりよい教育環境の整備と教育の質の充実

• 千葉市における学校の適正規模

小・中学校ともに

12

学級以上

24

学級以下

• 千葉市小・中学校の適正配置

① 適正配置は、中長期的に適正な学校規模を確保するとともに、全市的なバランスを考 慮した学校配置とする。ただし、地理的・社会的な成り立ちによる生活圏域や行政区分、 学校の歴史的な背景や施設条件を勘案し、検討することとする。 ② 通学距離は、小学校で概ね4㎞以内、中学校で概ね6㎞以内とする。ただし、「統合を検 討する」際は、通学距離と時間に十分配慮する。

(22)

小規模校への対応

「統合」及び「学区調整」の方法を基本とし、立地形態の区分ごとに、適正配置の方法を検討

Aパターン地域:複数の小規模校が集中する地域

地域の枠組みを設定し、統合により適正配置を検討する。その際、必要に応じて通学区域の 調整を行う。

Bパターン地域:小規模校が分散している地域

学校の立地条件により、統合や学区調整等により適正配置を検討する。

Cパターン地域:小規模校が点在して存在する地域

通学手段の検討による統合や小中一貫教育等の制度の導入などにより適正配置を検討する。

(23)

統合実績

平成29年5月現在で、小学校18校⇒8校へ、中学校6校⇒3校とする統合が成立 統合新設校名 開校 旧校名 第1次 花島小学校 平成18年 花見川第四小・第五小 第2次 高洲小学校 平成23年 高洲第一小・第二小 真砂東小学校 平成23年 真砂第一小・第四小 真砂西小学校 平成23年 真砂第二小・第三小 真砂中学校 平成23年 真砂第一中・第二中 高浜海浜小学校 平成24年 高浜第二小・第三小 磯辺小学校 平成25年 磯辺第一小・第二小・第四小 磯辺中学校 平成25年 磯辺第一中・第二中 幸町第一小学校 平成25年 幸町第一小・第四小 幸町小学校 平成27年 幸町第一小・第二小 花見川中学校 平成27年 花見川第一中・第二中 花見川小学校 平成29年 花見川第一小・第二小 千葉市全体の学校規模の推移 校数 割合 校数 割合 校数 割合 H19 120 45 37.5% 66 55.0% 9 7.5% H28 112 34 30.4% 71 63.4% 7 6.3% H19 56 31 55.4% 23 41.1% 0 0.0% H28 54 20 37.0% 31 57.4% 3 5.6% 中学校 小規模 適正規模 大規模 全校数 小学校

(24)

統合による適正配置の進め方

課題

(25)

第2章-

第2節

(26)

1 基本的な視点

1-1 子どもファーストの視点

学校規模の適正化や学校の適正配置の検討は、様々な要素が絡む困難な課題

であるが、地域の実情に配慮しつつ、

子どもの教育環境の改善を中心に据えた

検討が必要

である。

1-2 学校と地域の関係を考慮する視点

小・中学校は児童生徒の教育のための施設であるだけでなく、防災、地域交流

の場など、様々な機能を持ち合わせた地域コミュニティの核としての性格を有して

いる。

子どもの教育環境の改善を

中心に据えつつも

、「地域とともにある学校づくり」の

視点を踏まえた検討を行う必要がある。

(27)

1-3 将来を見据えた計画的な視点

児童生徒数の推移(行政区別) 小規模小学校について(分校を除く) 全体学 校数 小規模 校数 小規模校の割合 全体学 校数 小規模 校数 小規模校の割合 全体学 校数 小規模 校数 小規模校の割合 中央区 19 7 36.8% 19 3 15.8% 19 3 15.8% 花見川区 23 6 26.1% 23 9 39.1% 22 11 50.0% 稲毛区 16 2 12.5% 16 2 12.5% 16 3 18.8% 若葉区 20 11 55.0% 20 12 60.0% 20 14 70.0% 緑区 16 4 25.0% 16 4 25.0% 16 3 18.8% 美浜区 26 15 57.7% 18 4 22.2% 18 7 38.9% 全市 120 45 37.5% 112 34 30.4% 111 41 36.9% 平成19年度 平成28年度 平成34年度(推計) 小規模中学校について(市立稲毛高等学校附属中学校を除く) 全体学 校数 小規模 校数 小規模校の割合 全体学 校数 小規模 校数 小規模校の割合 全体学 校数 小規模 校数 小規模校の割合 中央区 9 5 55.6% 9 4 44.4% 9 4 44.4% 花見川区 11 6 54.5% 10 3 30.0% 10 6 60.0% 稲毛区 7 3 42.9% 7 2 28.6% 7 3 42.9% 若葉区 10 5 50.0% 10 5 50.0% 10 5 50.0% 緑区 7 2 28.6% 8 2 25.0% 8 2 25.0% 美浜区 12 10 83.3% 10 4 40.0% 10 6 60.0% 平成19年度 平成28年度 平成34年度(推計)

(28)

2 学校規模の適正化

2-1適正規模を考える視点

• 多様な人間関係をはぐくむことのできる規模 • 次期学習指導要領の改訂において、知識の理解の質を高め資質・能力をはぐくむ「主 体的・対話的で深い学び」の推進が求められるなか、児童生徒間の多様な意見を確保 する面からも一定以上の集団規模が望まれる。 • 学年経営や教員の力量向上に効果的な人員確保のためには、一つの学年に複数の学 級が望ましい。 • 中学校では、専門の教科担任による指導のために、一定数以上の教員の確保を可能と する学級数が必要となる。

(1)

学級数

(学校規模の標準の単位)に関する視点

(2)

学級の児童生徒数

及び

学校全体の児童生徒数

を考慮する視点

2-2 適正規模の基準

• 小学校は、各学年2学級以上、全体で12学級以上24学級以下

(29)

3-1

適正配置を考える視点

(1)適切な通学距離の視点

文部科学省の手引きでは、通学距離について小学校で4㎞以内、中学校で6㎞以内の基準 について引き続き妥当であると示されている。

(2)地域を踏まえた適切な通学区域の視点

学校と地域が密接な関係を築けるように通学区域を定める必要がある。

3-2 通学区域の基準

通学距離の基準は概ね、小学校:4㎞以内、中学校:6㎞以内

3 学校の適正配置(通学条件)

(30)

4 適正規模・適正配置の基本的な考え方

① 学校の適正規模・適正配置の検討にあたっては、将来を見通し、計画的に行う。 ② よりよい教育環境の整備と教育の質の充実を目的に、各地域の実情に即した最適な 適正配置を行う。 ・子どもの教育環境の改善を中心に据え、学校規模の適正化を優先に検討する。規模 と配置のいずれを優先させるかは、地域の実情に即して判断する。 ・中長期的に小規模校、大規模校としての学校運営が見込まれる場合には適切な支援を 検討する。 ③ 義務教育期間9年間の連続性を踏まえ、小学校と中学校の適正配置を一体のものと して考える。 ・可能な限り、1中学校区に複数の小学校が存在することが望ましい。 ・小学校の統合については、同一中学校区を原則とする。 ・小・中学校の通学区域の不整合は必要最小限に留める。 ・小規模の小・中学校における、連携・一貫教育を進め、集団規模の確保を図る。 ④ 通学区域は行政区や地域コミュニティと整合が図られることが望ましい。

(31)

4-2 取組みの優先度

• 平成34年度の適正規模(12~24学級)の学校 小学校:54.1%(60/111校)、中学校:50.0%(27/54校) • 地域によって実情の異なる学校の適正規模・適正配置の検討を画一的に捉えることは できず、全地域を同時に取り組むことは困難である。 • 重要性・緊急性等の視点から優先度を定め、計画的に取り組むことが必要となる。 • 規模の観点から学級数を学校規模の標準単位としたうえで、学級の児童生徒数及び学 校全体の児童生徒数を考慮した基準を整理した。

(32)

4-3 取組み方法 (小規模校)

A 統合による小・中学校の適正配置を検討

• 準適正規模(9~11学級)を下回る小規模中学校(8学級以下)がある地域 • 隣接する中学校間の距離が概ね2㎞以内

B 多様な方法による小・中学校の適正配置を検討

• 準適正規模(9~11学級)を下回る小規模中学校(8学級以下)がある地域 • 隣接する中学校間の距離が概ね2㎞以上

C 統合による小学校の適正配置を優先的に検討

• 中学校は、準適正規模(9~11学級)以上の規模が確保されている地域 • 中学校区内に複数の小規模小学校(12学級未満)が存在する地域

D その他

• 過去の適正配置の取組みを踏まえた検討が必要な地域

(33)

5 基本的な進め方

5-1 統合の合意形成のあり方

地元代表協議会 小・中学校PTA・保護者会代表者、町内自治会代表者、 地域の青少年育成関係団体代表者、その他地域の実情に応じて必要な団体代表者 (3 )協議・検討 ・(2)の方向性を踏まえ検討 ・通学区域、通学路の安全対策 ・統合後の各団体の再編 (3 )合意形成 ・統合の確定(組合せ・配置) ・通学区域の設定 ・統合時期の設定 教育委員会 (4 )決定、実施 統合等を市として決定し、学校適 正配置を実施 統合等の要望書を提出 (1 )支援 ・情報提供、説明会の実施 ・PTA・保護者会の支援 ・地元代表協議会の設置・運営支援 保護者・学校 (2 )検討の方向性の確認 ・課題意識の共有 ・方向性の検討 ・総会での決議

(1)保護者・学校を起点とする進め方

(2)関係者間での課題と見通しの共有

(34)

謝辞

本研究成果は、様々な方のご厚情に負っている。

お忙しい中、質問紙調査やインタビュー調査にご協力頂いた千葉市内の先生方、

に改めて御礼を申し上げる。

また、データ分析についてご尽力頂き、QGIS を用いた通学区域図の作成と活用

についても専門的知識のご提供を頂いた山方大志氏(東京大学大学院新領域創

生科学研究科大学院生)にも格別の謝意を述べたい。

最後に、本研究の実施に対して、研究費の支援をして頂いた千葉市に感謝する。

参照

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