首都圏版
2012年9月
September 2012
1.2012年7月期 1都3県賃貸住宅指標
2.2012年第2四半期 1都3県賃貸住宅市況図
3.賃料下落の原因は単身者向け賃貸住宅の供給過剰
TA S ※これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。 ■東京都 ・東京23区の募集戸数が多いため、東京都全域の動きは、東京23区にほぼ連動しています。 ・空室率TVIは東京23区が微減、東京市部が微増となっています。 マンション系(S造、RC造、SRC造)、アパート系(木造・軽量鉄骨造)別の空室率TVI長期推移では、マンション 系は東京23区、東京市部共に長期的に微減傾向で推移しています。 アパート系は東京23区、東京市部共に 空室率TVIの悪化傾向に一服感がでてきました。 データに占めるアパート系の割合であるアパート率は、東 京都全域:22.07%、東京23区:17.22%、東京市部:41.02%です。 ・募集期間は東京23区が微減、東京市部が横ばいとなりました。 ・東京23区は更新確率が微増、中途解約確率が微減となりました。 東京市部は更新確率が増加、中途解約確 率が減少となりました。 ■神奈川県 ・神奈川県の空室率TVIは微減となりました。マンション系、アパート系共に長期的には微減傾向となっていま す。 アパート率が44.60%と高く、全体の数値を引き上げています。 ・募集期間は3.5ヶ月近辺で微増傾向です。 ・更新確率は微増、中途解約確率は微減となりました。 ■埼玉県 ・埼玉県の空室率TVIは微減となりました。マンション系、アパート系共に今期は微減となりましたが、長期的に は微増傾向となっています。 埼玉県のアパート率は44.28%です。 ・募集期間は3.4ヶ月近辺で微減傾向です。 ・更新確率が横ばい、中途解約確率が微減となりました。 ■千葉県 ・千葉県の空室率TVIは微増となりました。マンション系は微増傾向となってきました。アパート系は引き続き微 減傾向で推移しています。 千葉県のアパート率は45.83%です。 ・募集期間は微減となりました。 ・更新確率が増加、中途解約確が減少しました。 ※賃貸住宅市場サービスでは、より詳細な情報として以下のレポート・サービスを提供いたします。 (1)広域市場レポート ・東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のマクロレポート ・1都3県の都県レベルの空室率TVIレポート、賃料指数レポート、募集期間レポート、 更新確率・中途解約確率レポート (2)地域市場レポート ・東京23区 各区、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市のマクロレポート ・東京23区 各区、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市の賃貸住宅指標レポート (3)1都3県の賃貸住宅周辺市場レポート(賃料査定サービス) ・場所を地図上で特定し、市場賃料および周辺(半径400m)市場レポートを自動生成 詳細はTAS-MAP(http://www.tas-japan.com/)ホームページをご覧ください。 ※9月6日に2012年6月末版をリリースしました。
1.2012年7月期 1都3県賃貸住宅指標
全域 23区 市部 空室率TVI(ポイント) 11.84 11.67 14.93 12.49 15.73 12.85 募集期間(ヶ月) 3.09 3.10 3.06 3.55 3.37 3.28 更新確率(%) 43.09 42.67 45.70 43.36 45.18 47.22 中途解約確率(%) 37.87 38.28 35.19 40.50 37.83 37.81 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県TA S ※これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。
図-1 空室率TVI(タス空室インデックス)
(過去2年推移) 9 10 11 12 13 14 15 16 17 ポイント 全域 23区 市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 全域 23区 市部 2010年8月 12.62 12.48 15.03 12.76 15.17 13.45 2010年9月 12.61 12.47 15.13 12.75 15.12 13.45 2010年10月 12.61 12.44 15.30 12.80 15.21 13.48 2010年11月 12.60 12.43 15.39 12.79 15.18 13.42 2010年12月 12.58 12.36 15.60 12.75 15.21 13.47 2011年1月 12.52 12.30 15.56 12.78 15.27 13.51 2011年2月 12.50 12.27 15.57 12.79 15.37 13.55 2011年3月 12.47 12.21 15.71 12.84 15.40 13.60 2011年4月 12.43 12.16 15.74 12.81 15.47 13.57 2011年5月 12.38 12.10 15.72 12.78 15.51 13.52 2011年6月 12.34 12.05 15.75 12.76 15.51 13.46 2011年7月 12.32 12.03 15.71 12.80 15.53 13.42 2011年8月 12.29 12.05 15.75 12.82 15.51 13.38 2011年9月 12.25 12.02 15.62 12.81 15.66 13.40 2011年10月 12.21 11.99 15.51 12.77 15.62 13.37 2011年11月 12.19 11.98 15.42 12.77 15.66 13.28 2011年12月 12.12 11.95 15.21 12.72 15.68 13.13 2012年1月 12.11 11.94 15.17 12.66 15.74 13.08 2012年2月 12.02 11.84 15.13 12.62 15.77 12.99 2012年3月 11.98 11.80 15.07 12.56 15.75 12.92 2012年4月 11.94 11.75 15.10 12.56 15.84 12.81 2012年5月 11.93 11.75 15.02 12.54 15.85 12.78 2012年6月 11.92 11.76 14.90 12.52 15.77 12.82 2012年7月 11.84 11.67 14.93 12.49 15.73 12.85 年月 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県TA S
図-3 1都3県マンション系(S造、RC造、SRC造)空室率TVI
※これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。図-2 1都3県アパート系(木造、軽量鉄骨)空室率TVI
25 26 27 28 29 30 31 32 33 ポイント 東京都 東京23区 東京市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 6 7 8 9 10 11 12 13 ポイント 東京都 東京23区 東京市部 神奈川県 埼玉県 千葉県新宿区 港区 千代田区 中央区 台東区 文京区 中野区 豊島区 板橋区 北区 足立区 荒川区 墨田区 葛飾区 江戸川区 江東区 渋谷区 目黒区 品川区 大田区 世田谷区 杉並区 練馬区 千葉県 千葉市 さいたま市 埼玉県 東京市部 東京23区 神奈川県 横浜市 川崎市 TA S
2.2012年第2四半期 1都3県賃貸住宅市況図
※アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析しています。 上昇 下降 横ばい トレンド 市況 良い やや良い やや悪い 悪い図ー4 首都圏、東京23区の賃貸住宅市況図
以下の図-4はタスが発表している賃貸住宅統計指標に基づき作成した2012年第2四半期の1都3県およ び東京23区の賃貸住宅市況図です。 各地域の色分けは現在の市況を表しており、市況が「良い(赤)」、 「やや良い(オレンジ)」、「やや悪い(黄緑)」、「悪い(青)」となっています。 また、矢印は前期からのトレン ドを示しており、上向きの赤矢印は「市況が良い方向」に向かっていること、下向きの青矢印は「市況が悪 い方向」に向かっていることを示しています。 2012年第2四半期の1都3県の賃貸住宅市況は、前期に比較して大きな変化はありませんでした。 引き 続き、東京市部、埼玉県では市況の悪い状態が続いています。 東京23区では、千代田区、渋谷区が「やや良い」→「良い」に、江戸川区が「やや悪い」→「やや良い」に、 葛飾区が「悪い」→「やや悪い」と好転しましたが、墨田区が「やや良い」→「やや悪い」、板橋区が「やや悪 い」→「悪い」となりました。 東京23区の山手線内から東側にかけて市況が「良い」、「やや良い」地域が集 中しています。 ※前期の賃貸住宅市況図は賃貸住宅市場レポート 首都圏版 2012年6月「2012年4月期 1都3県賃貸住 宅指標/2012年第1四半期 1都3県賃貸住宅市況図/東京スカイツリーが墨田区賃貸住宅市場に与えた 影響」をご参照ください。 (http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol30_residential20120628.html)TA S
図ー5 東京23区 空室率TVIと募集期間・更新確率・中途解約確率から算出した空室率
※アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析しています。(参考) 賃貸住宅市況の算出方法について
空室率を求める方法として、①空室総数を総戸数で除する、②空室が存在する期間の割合に基づいて算 出、という2つの方法が存在します。 前者の方法にあたる算出方法が空室率TVI(タス空室インデックス)と なります。 後者にあたる方法として、募集期間・更新確率・中途解約確率を使用して空室率を算出するこ とが可能です。 空室率TVIと募集期間・更新確率・中途解約確率から算出した空室率はある程度同じ動き をしていますが、食い違いのある部分も観測できます。(図-5 東京23区 空室率TVIと募集期間・更新確 率・中途解約確率から算出した空室率参照)。 すべての情報が入手できる場合、理論上両者の算出結果は同じ値となります。 従って、両者の差異は 利用しているデータ量の違いに基づくものであると考えられます。 空室率TVIはアットホーム賃貸住宅賃 料データの全データ(募集と成約)を用いて算出していますが、募集期間および更新確率・中途解約確率は 成約データのみを使用して算出しています。 成約データは成約の確認が取れなかった物件については入 力されません。 両者の違いは、この入力されていない成約データに起因していると考えられます。 募集期間・更新確率・中途解約確率から算出した空室率がTVIを下回っている場合は、募集期間の長い 物件が隠れている可能性があること、つまり「市況が悪い」ことを示します。 同様に統計指標から算出した 空室率がTVIを上回っている場合は、募集期間の短い物件が隠れている可能性があること、つまり「市況が 良い」ことを示します。 賃貸住宅市況図では、両者の差異が+3以上を「市況が良い」、0~+3を「市況がやや良い」、▲3~0を「市 況がやや悪い」、▲3以下を「市況が悪い」としています。 また市況のトレンドを、前期との差異から求めて います。 以下の東京23区の場合、空室率TVIと募集期間・更新確率・中途解約確率から算出した空室率 の差異が約▲1ですので「市況がやや悪い」としています。 また前期との差異はほとんど変化ありません ので、トレンドは「横ばい」としています。 5.00 7.00 9.00 11.00 13.00 15.00 17.00 19.00 -8.00 -6.00 -4.00 -2.00 0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 23区市況 空室率TVI 募集期間・更新確率・中途解約確率から算出した空室率TA S
図ー7 東京23区賃貸住宅間取り別新築供給数推移
東京23区では2008年第3四半期より、賃料指数の下落が継続していました。 この主な原因は単身者向 け賃貸住宅(主に1K、1R)の供給過剰にあります。 図-7はアットホーム株式会社の賃貸住宅データから作成した間取り別新築供給数の推移です。 2000 年以前は、家族向け、単身者向けの賃貸住宅が比較的バランスよく供給されていました。 ところが、民間 借家に居住する単身者数が増加したこと、不動産投資の活性化により面積当たりの賃料の高い単身者向 け物件に投資家の注目が集中したこと、等に市場が敏感に反応した結果、2000年以降には単身者向け、 特に1Kに供給が偏りました。 2000年~2011年にかけて、1Kは新築物件の約50%、1Rは約15%を占めてい ます。 特に東京23区では、サブプライムショックまでは住宅着工数自体も増加しており、2008年までは毎 月3000戸以上の単身者向け賃貸住宅が供給され続けたと考えられます。 賃貸住宅の空室率は需要(世帯数増加)と供給(新築供給量-滅失数)のギャップ(以下、需給ギャップ) により増減します。 つまり、需要が供給を上回ると空室が減少し空室率が改善し、需要が供給を下回ると 空室が増加し空室率が悪化するという関係(正の相関性)があります(※)。 図ー8に東京23区の間取り別 空室率TVIの推移を示します。 この図から、大量供給された1Kは需要の伸びが供給を吸収しきれておら ず、空室率TVIが他の部屋タイプに比較して高い水準で推移していたことがわかります。 また1Kと市場が 重なる1Rも、同様に高い水準で推移しています。 なお、2Kおよび2DKも空室率TVIが高い水準で推移して いますが、これらは築古物件が多く、1LDKや2LDKに市場を奪われていることが要因です。 これに対して 1DK、1LDK、2LDK、3DK、3LDKは空室率TVIが低い水準で推移しており、需給ギャップの調整が進んでい ることがわかります。 一方、不動産市場が過度に加熱していない限り、賃料指数は需給ギャップと負の相関性をもちます。 す なわち、空室率TVIと賃料指数も負の相関性を持つことになります(※)。 図-9に示すように、供給過剰 になっている1K、1Rの賃料指数は2004年第1四半期を100として約95と低い水準で推移していますが、それ 以外の部屋タイプは、2010年以降、2004年第1四半期とほぼ同水準で推移しています。 23区全体の賃料 指数が下落を継続していたのは、全部屋タイプに占める1K、1Rの割合が大きいことによります。 (株式会社タス 主任研究員 藤井 和之)※詳細は、アジア不動産学会で発表した論文「ANALYSIS BY “MADORI” OF TOKYO’S 23-WARD RENTAL APARTMENT MARKET」(英文)(http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Asres2012Report20120718.html)をご参照ください。
3.賃料下落の原因は単身者向け賃貸住宅の供給過剰
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 戸 3LDK 3DK 2LDK 2DK 2K 1LDK 1DK 1K 1R ※アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いてタスが分析TA S
図ー8 東京23区間取り別空室率TVI推移
※アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いてタスが分析図ー9 東京23区間取り別賃料指数推移
4 6 8 10 12 14 16 ポイント 1R 1K 1DK 1LDK 2K 2DK 2LDK 3DK 3LDK 94 96 98 100 102 104 106 108 23区全体 ワンルーム 1K 1DK 1LDK 2K 2DK 2LDK 3DK 3LDK ※アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いてタスが分析TA S