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2 研 究 の 概 要 (1) 常 陸 太 田 市 の 取 組 1 小 中 連 携 の 取 組 について 常 陸 太 田 市 では, 小 中 が 連 携 してコミュニ ケーション 能 力 の 素 地 を 養 えるようにALT を 小 学 校 に 派 遣 したり, 中 学 校 の 英 語 教 諭 が

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Academic year: 2021

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(1)

1 主題設定の理由 近 年 のグ ロ ーバ ル 社 会に お いて , 多様 な文 化・価値観をもつ世界の国々と共に発展してい くために,他者と共存するコミュニケーション 能力や「郷土を愛する心」(=「日本人」として のアイデンティティ)を持つ次世代の育成がま すます必要とされている。そのためには,自ら の考え及び日本の伝統文化や歴史について,積 極的に伝えようとする「発信力」の育成が求め られている。 昨年度文部科学省より発表された「グローバ ル化に対応した英語教育改革実施計画」(平成 25 年 12 月)では,こうした時代に対応すべく, 初等中等教育段階からグローバル化に対応した 教育環境づくりが進められるよう提言している。 具体的には,小学校における英語教育の拡充強 化,中・高等学校における英語教育の高度化な ど,小・中・高等学校を通じた英語教育全体の 抜本的充実が求められている。 また,東京 2020 オリンピック・パラリンピ ックの開催に向けて,今後,外国人を含め多く の人々と触れ合う機会が増えることから,さら なる英語教育の充実が求められている。 県北ブロックでは,こうした背景を踏まえて, 県の研究テーマと同様の「英語を意欲的に学び, 積極的に『発信』しようとする児童生徒の育成」 を研究主題として設定した。そして,この「発 信」する力を次の3点としてとらえた。 1. 自分の考えや伝えたい情報などについ て,積極的に(間違いを恐れず)かつ, できるだけ相手に分かりやすく伝えよう とする力 2. 自分自身や自分の住んでいる地域(郷 土)を大切にし,その良さを他者に伝え ることができる力 3. 課題を見つけ,その課題に向かい,協 力して解決しようと他者とやりとりがで きる力 特に,今後の国際社会においては,異なる文 化や価値観をもつ人々に自分の考えを正しく伝 える発信力が必要とされる。しかしながら,「言 わなくても考えを理解してもらえる」ことの多 い風土の中で,自分の考えを相手に分かりやす く表現する力は,県北ブロックでもまだ十分と は言えない傾向にある。 そこで,県北の研究テーマである「英語を意 欲的に学び,積極的に『発信』しようとする児 童生徒の育成 -楽しい外国語活動から確かな 中学校「英語」への滑らかな接続-」のために, 次の2点を重点的に取り組んでいる。 (1) 小学校での外国語活動から中学校英語科 への滑らかな接続,さらには高校への接続 ・CAN-DO リストを作成,情報を交換し 合い,最終的に育てたい姿から小中(高) での各段階での学習到達目標について研 究し合う。 ・各指導法研修会や研究会を小学校・中学 校で連携して行い,児童生徒の実態をつ かみ,より確かな目標設定・目標を具現 化する手法について研究する。 (2) 授業における「英語を意欲的に学び,積 極的に『発信』しようとする児童生徒の育 成」 ・茨城県主催の英語インタラクティブフォ ーラムを基軸に,各到達段階に合った, 自分のことや身近な事柄を積極的に伝え ようとする活動や場の工夫 ・自分の考えや郷土(日本の伝統文化・自 分の町や学校の良いところなど)につい て,4技能を総合的に育成しながら,そ れらを表現する言語活動の工夫 ・「発信」しようとする力を支えるための土 台として,基本的な語彙や文構造を活用 する力を育てる取組 ・伝える喜びを実感させるためのALT の 活用 ・英語を意欲的に話したり書いたりしたく なる活動の工夫 県北ブロック 英語を意欲的に学び,積極的に『発信』しようとする児童生徒の育成 -楽しい外国語活動から確かな中学校「英語」への滑らかな接続-

(2)

2 研究の概要 (1) 常陸太田市の取組 ① 小中連携の取組について 常陸太田市では,小中が連携してコミュニ ケーション能力の素地を養えるようにALT を小学校に派遣したり,中学校の英語教諭が 小学校に赴き授業を行ったりしている。小学 校では,歌やチャンツで英語音声に多く触れ, またインタビュー活動やゲームを通して,外 国語への意欲を高め,より一層の慣れ親しみ が図れるよう工夫している。それを受け中学 校では,英語でコミュニケーションをする楽 しさを継続して味わえるように,ビンゴやゲ ームなどを取り入れた言語活動を展開してい る。 〇指導計画(5時間扱い) (1) 評価について (2)本単元の指導と評価について ② 小学校実践例(金砂郷小) 「コミュニケーションの楽しさを味わおう」 金砂郷小では,人前で話したり,英語に よる表現を実際に用いたりする場の設定が 重要であると考え,総合的な学習の時間と 関連づけて,6年生では修学旅行でインタ ビュー活動を行った。外国人旅行者との触 れ合いは,異文化を学ぶとともに英語での 表現に慣れ親しみ,コミュニケーションへ の関心・意欲の高まりにつながっている。 本単元では,行きたい国について尋ねた り答えたりする活動を多く取り入れ,外国 語に慣れ親しむことを重視していく。 評価の観点 評価規準 ア コミュニケーションへの 関心・意欲・態度 自分の思いが伝わるように,積極的におすすめの国を紹介 したり,友だちに質問しようとしたりしている。 イ 外国語への慣れ親しみ 行きたい国について尋ねたり 答えたりする表現に慣れ親 しんでいる。 ウ 言語や文化に関する気付 き 世界には様々な人たちが様々な生活をしていることに気 付いている。

主な学習活動

評価規準

主な言語材料

1 ・国名の言い方を知る。

America Australia Egypt

France

China Spain Greece Brazil

・行きたい国について尋ねたり答

えたりする表現に慣れ親しむ。

ア・イ I want to go to ~.

What country?

Where do you want to go?

・行きたい国について尋ねたり答

えたりする表現に慣れ親しむ。

ア・イ I want to go to ~.

I like ~. What country?

Where do you want to go?

・自分たちが紹介する国について

まとめ,発表準備をする。

This is~.

It

's

in~.

5 ・いろいろな国について質問した

り答えたりして積極的に交流

する。

ア・イ I want to go to ~.

I like ~. What country?

○ 本時の指導

(1)目標

○行きたい国の名前や理由を伝えたり聞いたりする活動を通して,コミュニケー

ションの楽しさを味わい,外国語の表現に慣れ親しむ。

(3)

(2)準備・資料 ・探険バック ・ワークシート

(3)展開

学習活動・内容 支援(・支援 ○個への支援)と評価 HRT 外国語活動支援員 1 あいさつをする。 2 カードを使って,国名の復 習をする。 3 CDを聞き,チャンツをす る。 (Let’s Chant)×2 4 本時のめあてを知る。 行きたい国の名前を伝え たり,聞いたりしよう。 5 カード合わせのデモンス トレーションをする。 6 行きたい国とその理由を 表す表現を用いたゲームを する。 (1)カードマッチングゲー ムをする。 I want to go to ~. (2)インタビューゲームを する。 7 本時の学習を振り返る。 8 終わりのあいさつをする。

Hello,everyone.How are you?I' m fine.Thank you.

・発音を確かめながら,国名 の言い方を確認する。 ・国名や理由を答える言い方 などを聞かせる。 ・前もって行きたい国をカー ドに記入させておく。 ・できるだけ多くの人にイン タビューするように指示す る。

評 行きたい国を表す表現 を用いたゲームを通し て,コミュニケーション の楽しさを味わい,外国 語に慣れ親しんでいた か。 (観察・ワークシート) ・元気よくあいさつをする。 ・国名の言い方をサポート, リピートする。 ・歌詞を一度リピートする。 ○うまく言えない場合には, 自分の知っている語彙だけ を使ったり,友だちや教師 に尋ねたりできるよう支援 する。 ・子どもたちの活動ぶりを称 賛する。 ○ まとめ(成果と課題) 【成果】 ・外国語活動の中に歌やゲームを取り入れることで,外国語活動を楽しみにしている児童が 増えている。 ・修学旅行では,今まで学んだ英語を使って外国人とコミュニケーションをとることができ 児童の自信につながっている。 【課題】 ・英語による表現を積極的に活用できる場を今後も検討していきたい。 HRT : Hello. Where do you want to go ?

(4)

(2) 日立市の取組 日立市では中学校外国語科の指導の重点とし て「小中の円滑な接続と4技能を総合的に育成 する指導法の工夫と改善」を掲げている。そし て小学から中学校へ連携して育てたい力を,「日 立の英語教育9年間の構想と ALT の活用の仕 方」として系統立てて明示している。これによ り最終的に育てたい姿を「自国の文化の理解を 基盤として,他国の文化を理解・尊重し,広い 視野でよりよい世界の創造に貢献できる子ども」 とし,各学校で授業の実践に励んでいる。 ①中学校実践例1 「身近な日本のものや日本 のことを伝えよう!」 【教科書単元】

Sunshine English Course 3

Program 5 Sushi-Go-Around in the World 【活動内容】 発信する力を高めることをねらいとし,自分 たちの身近にある日本のものや日本のことを他 の国の人に知ってもらえるようプレゼンテーシ ョンを作成した。call +目+補,make+目+ 補などの新出文法や既習文法を用いて,ペアで 考えた日本について紹介したいものを,相手に 興味をもって聞いてもらえるよう工夫し,意欲 的に発信することができた。また,できた作品 を実際にニュージーランドの姉妹都市国際交流 校に送り,その返事を受け取ることができたこ とにより,さらに生徒の意欲付けにつなげるこ とができた。 ② 中学校実践例2「友だちを紹介してみよう」 【活動のねらい】

TBLT(Task Based Language Teaching) 手 法を用いて,使用する言語形式を生徒が主体的 に選択し,相手との自然なコミュニケーション を通して,与えられた課題を達成するタスク活 動を行った。三人称単数現在形の学習の第1時 に,「友だちを紹介してみよう」というタスクを 与え,既習の表現を生かして,どのようにして グループの仲間に紹介したらよいか,何とかし て伝える力を育てることをねらいとする。 【教科書単元】Sunshine English Course 1

Program 6 由紀のイギリス旅行 【活動内容】 My Project1で既習の自己紹介スピーチの原 稿を活用して,自分のことをペアに伝える。ペ アは,アイコンタクト・相づちに留意し,メモ を取りながら聞きとる。英語の授業専用の3人 グループの中で,聞きとったペアのことをメモ をもとに紹介してみる。その際,振り返りに役 立つようボイスレコーダーで紹介している場面 を録音しておく。ボイスレコーダーを聞きなが ら,自分の発話を振り返る。活動後に,タスク 達成に必要であった新出の表現方法を導入する。 教師は,最初に文法事項を教える活動を行わず, 生徒のタスク達成への意欲を高め,友だち紹介 に必要な表現を生徒が自ら探し出す手助けをす る。 ③ 中学校実践例3「姉妹都市(ニュージーラ ンドタウランガ市)の学校と国際交流を深 めよう」 【活動内容】 自分たちの学校生活やスポーツ,行事,日本 文化などを写真と文章で互いに紹介し合う活動 (Photo Essay)やスカイプを通して現地の学 校の生徒と会話を行っている。昨年度一つの中 学校で始まったこの取組は,現在4中学校に増 え,来年度はさらに3中学校増える予定である。 〔スカイプを用いて現地の学校と会話する様子〕 (2)メモをもとに,友だちをグループの仲間に伝えてみよう。 Speaker Recorder Listener ①アイコンタクト・相づち を打ちながら聞く。 ②聞き取れたことを,Speaker に日本語で伝える。 全てではなく、 聞き取れたメモを 元に、 伝えてみる。

(5)

④ 小中高連携を意識した教員研修 ア 日立市英語研究会による夏季研修会及び 指導法研修会の実施 平成 26 年度日立市夏季研修会では,茨城 大学齋藤英敏准教授を招いて,「英語インタラ クティブフォーラムからみえる中学校に期待 する英語能力と今後の英語教育のあり方」と いう演題で,小中合同で研修会を行った。小 学校の外国語活動で培ってきた素地を中学校 でさらに発展的な力(ディスカッション力) を高めるための手立てについて,理論的な話 からさらに実践方法を挙げて話をしていただ いた。 また,毎年小学校での外国語活動指導法研 修会及び中学校での英語指導法研修会を行い, 小中の連携を考えた授業研究を行っている。 そしてCAN-DO リストについても,各校 の現状を話し合い,作成の仕方についての確 認を行うなど,各中学校で作成を進めている。 イ 英語インタラクティブフォーラム大会 H26 年度より,県大会の新評価方法に照ら し合わせて,同様の形でジャッジを行った。 またジャッジには,中高連携を考えて,市の 教育委員会指導主事,ALT だけでなく,市内 の高校の英語の先生にも依頼した。このこと により,中学生の英語力の現状を理解しても らう良い機会となり,中高連携を図ることが できた。 ウ 自主的な教員研修 日立市近隣の県北地区の先生方を中心に, 自主的に集まっての英語教育指導法研修会が 月に一回開かれている。日頃の指導における 様々な指導法の研修や,最新の英語教育につ いて(ハワイ大学研修,昨今の小学校外国語 教育事情など)の情報交換,CAN-DO リス トの検討会などを行ったりしている。H26 年 6月には,現港区立赤坂中学校の北原延晃先 生をお招きし,「北原メソッド B パターンの 授業体験~ピクチャーカードを使った Q&A から音読まで~」という演題でセミナ―を行 った。 【成果】 小中合同の指導法研修会を行い,それぞれの 取組を情報交換することにより,9年間を見通 した効果的な指導について研究を深めている。 さらに,今後の英語教育の動向を踏まえ,高校 までの連携した英語教育の実践を,英語インタ ラクティブフォーラムなどを基軸とした指導を 通して進めていくことが今後の課題である。 (3) 高萩市の取組 ①中学校実践例1 「持ち主を探そう」 -楽しく「話す活動」と整理するために「書 く活動」の統合- 【活動のねらい】 「ペットの飼い主を探す」という課題を解決 するために,Whose ~ is this?-It's (not) mine. の表現を繰り返し口にすることで,新言語材料 についての理解を図ることをねらいとする。 【教科書単元】

Sunshine English Course 1 Speaking 2 持ち主をたずねる 【活動内容】 導入では,学年職員の持ち物を用いたクイズ を行う。 その後,小学校外国語活動で育んだ「温かな 人間関係と積極的にコミュニケーションを図ろ うとする態度」を生かして,教室内を自由に歩 き回りながら,Whose ~ is this?-It's (not) mine. の表現を使って,持ち主を探す活動(「話す活 動」)を行う。この活動には,生徒各自が事前 に描いたペットの絵を使う。 まとめとして,話す活動と連動したワークシ ートを活用して,「書く活動」を行う。 【成果】 職員の実際の持ち物を使っての導入,生徒自 身が描いた理想のペットの絵を使っての言語活 動は,生徒の興味・関心を高め,活発な活動を 促すために大変効果的であった。 コミュニケーションの楽しさを味わう「話す 活動」と,本時の目標とする表現を視覚的にと らえ整理するための「書く活動」を統合的に行 ったことで,コミュニケーションを支えるもの としての言語材料の定着を図り,英語による表 現力の基礎を養うことができた。

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② 中学校実践例2「私の夢~自分の思いを伝 えよう~」 -小学校外国語活動のchants を warm-up に取り入れて- 【活動のねらい】 「聞き手によく伝わるように話すこと」を目 指し,声の大きさに気をつけ,アイコンタクト, 表情,身振り,絵や写真等を効果的に用いて話 す力を育てることをねらいとする。 【教科書単元】

Sunshine English Course 2

My Project 5 「将来の夢を語ろう」 【活動内容】 warm-up として,小学校外国語活動で学習し たchants を取り入れ,身体表現を交えながら I want to ~.の表現をリズムよく唱える活動を行 うことで,楽しく学習する雰囲気をつくる。 その上で,練習のポイント(=評価の観点と 評価基準)を明確にし,スピーチの練習を繰り 返し行う。他教科の教師数名にジャッジとして 授業に参加してもらい,練習の成果をその場で フィードバックし,生徒一人ひとりが達成感を 味わえるようにする。 【成果】 生徒がペアになり,向かい合って,絵を指し 示しながらすでに慣れ親しんでいる chants を 行ったことで,自然にアイコンタクトを用い, 大きな声で話す雰囲気が作られ,本時の中心と なる活動にスムーズに入ることができた。 ALT によるモデルの活用,練習のポイントの 理解,複数のジャッジによる評価により,生徒 一人ひとりが自分の課題を意識して主体的に練 習に取り組み,「聞き手によく伝わるように話す こと」について,1時間の中で大きな進歩が見 られた。 (4) 北茨城市の取組 ① 中学校実践例1「本の帯を英語で作り,外 国の人に好きな本をアピールしよう」 【活動のねらい】 自分が好きな本について,理由などを含めな がら,相手に分かりやすく伝える方法を考え, 英作文の構成力を育てることをねらいとする。 【教科書単元】

Sunshine English Course 1 Program 7 Dilo the Dolphin 【活動内容】 グループの中で本の紹介をし,英語で質問を 出し合う。質問されたことをつけ加えながら, 好きな理由や登場人物などを分かりやすくまと め,本の帯を作る。 【成果】 英語で書くことに苦手意識をもっている生徒 たちだが,本の帯作成には意欲的に取り組んで いた。国語の授業の中でまとめた本の紹介文の ワークシートを活用したことで,紹介する本を 決める時間が省けたことや,小学校時代に日本 語で 帯 作成 を して い る 経験 が あっ た こと から 「今度は英語で作るんだ」という喜びにつなげ ることができた。 帯作成をする 前に,グループ の中で本の紹介 をさせることで, 書く活動だけで なく,話す活動 や聞く活動にも つなげることが できた。発表の際にはルーブリックを使用し, ポイントを押さえながら発表することができた。 ただ書くだけでなく,相手がいることを意識さ せることで,生徒の意欲を向上させることが分 かった。

(7)

② 小中連携実践例 「小学校外国語活動と中学校外国語科との滑ら かな接続をめざして~中妻小学校と華川中学校 による相互出前授業プロジェクトを通して~」 【活動内容】 北茨城市の中妻小学校と同学区の華川中学校 では,年間2回ずつ,相互に出前授業を行って いる。華川中学校の外国語担当者が中妻小学校 の第6学年児童に対し外国語活動の授業をし, 中妻小学校の外国語活動担当者が,卒業生でも ある華川中学校の生徒に対し外国語の授業をす るものである。ねらいは,小学校外国語活動か ら中学校外国語科への滑らかな接続である。外 国語活動でコミュニケーションへの素地を豊か に育まれた児童が,スムーズに教科としての外 国語科にステップアップし,コミュニケーショ ン能力の基礎を養い,4技能をバランス良く身 に付けていけるようにするためには,本プロジ ェクトの継続実施が有効であると考えている。 【成 果】 具体的な成果としては,一つ目に小学校第6 学年児童の中学校外国語科に対する不安感の軽 減と学習意欲及び期待感の増大が挙げられる。 出前授業後の児童の振り返りカードには,「中学 校ではどんな風に英語を勉強するのか分からな かったので不安でしたが,中学校の先生の授業 を受けてみて,早く中学校に行って英語を勉強 して 読 んだ り 書い た り して み たい と 思い まし た。」という感想に代表されるような記述が多く 見られている。実際に進学する先の外国語担当 者からの出前授業を,卒業や進学に対する不安 感や緊張感を持ち始める2学期や3学期に体験 的に学習できる機会を得ることで,児童は中学 校の教科としての学習への不安感を興味や関心 の高まりに変換することができる。このことは, ねらいである外国語活動と外国語科との滑らか に繋げる一助となっていると考えられる。 二つ目には,中学校の生徒に対し,小学校外 国語活動で得た素地を十分に生かした授業を展 開できるという点が挙げられる。例えば,中学 2年生に「買い物」をテーマにしたスピーキン グを教える際に,小学校5年生の時に「英語ノ ートⅠ」で学習し,慣れ親しんでいたチャンツ や歌を使って導入することで生徒の興味関心を 高めたり,当時使った絵カードや掲示物,児童 作品などを教材をとして使用することで生徒の 理解を深める手立てにしたりすることができた。 このように,本プロジェクトで相互に出前授 業を継続して行うことは,小中連携の観点から は小学校から中学校への円滑な橋渡しの一助と なること,また,学習指導の観点からは,児童 生徒それぞれの学習効果を高めることができる と考察する。 【課 題】 一人ひとりの児童生徒が,5年生から中学校 3年生までの5年間に,外国語活動で得た素地 を十分に生かし,効率よく外国語科においてコ ミュニケーション能力の基礎力を身に付けてい けるようにするためには,小学校の高学年担任 と中学校外国語科担当のより一層の連携が求め られる。外国語活動の Hi,Friends!と外国語科 のSunshine English Course 1~3について, その相関性を明らかにし,指導計画や教材研究 を共同で進めていきたいと考えている。

(8)

3 研究の成果と課題 (1) 研究の成果 ① 小中連携について 県北の各地区で小中合同の研修会や出 前授業などの取組が活発に行われたこと により,それぞれの教育の現状を把握し, 今後の英語教育を見通した授業研究・情 報交換を行うことができた。 また,小学 校から中学校への滑らかな接続を意識し た授業を展開することで,児童生徒の学 習意欲を高めるとともに,授業者の授業 力向上の意識を高めることにつながった。 ② 英語を意欲的に学び,積極的に発信し ようとする児童生徒の育成について生徒 が意欲的に英語を学び,積極的に『発信』 する力を高めるために,県北ブロックで重 点的に取り組んできた以下の点で効果が あったと考えられる。 ア 英語インタラクティブフォーラム大 会およびこの大会を念頭に置いての授 業での活動について情報共有すること で,自分のことや身近な事柄を積極的 に伝えようとする活動や場の工夫を行 う授業が増えている。このことは生徒 が英語で自分のことを話す意欲を高め ることにつながっていると考えられる。 イ 自分の考えや郷土について表現する 言語活動を取り入れた取組が多く見ら れた。伝える相手を意識した上で活動 に取り組むことにより,自分や自分た ちの学校や地域などを知る機会が増え, それをできるだけ分かりやすく伝えた いと考える児童生徒の姿が見られた。 こうした活動を通して,自尊心が高ま り,英語を学ぶ意欲,しいては積極的 に『発信』しようとする児童生徒を育 てることにつながると考えられる。 (2) 今後の課題 ① CAN-DO リストの作成においては 小学校での外国語活動における到達段 階をしっかり認識し,毎年検討・修正 していく必要がある。 特に今後小学校 での外国語活動が教科化されていくこ とを踏まえ,より効果的な接続を促す CAN-DO リストの作成が必要となる。 ② 生徒の『発信力』を高めるために, 今後プレゼンテーション,ディベート, リテリングなどの生徒の思考力・表現 力を高める言語活動を指導計画に位置 づけていきたい。 【研究の経過】 〈平成26年度〉 (1)第1回研究推進委員会 平成 26 年 6 月 10 日 ・実態把握と研究テーマの設定 (2)英語インタラクティブフォーラム県北地区大会運営委員会 平成 26 年 6 月 30 日 (3)第2回研究推進委員会 平成 26 年 8 月 28 日 ・県北地区中学校英語指導法研修会打ち合わせ (4)第3回研究推進委員会 平成 26 年 12 月 26 日 ・今年度研究のまとめ (5)平成 26 年度県北地区中学校英語指導法研修会(授業研究会) ア 日 時 平成26 年 10 月 15 日 イ 場 所 常陸太田市立金砂郷小学校 ウ 授業者 田澤健吾 永井由紀子(外国語活動支援員) (6)その他各市における英語指導法研修会 平成26 年 10 月 24 日 北茨城市立関本中学校 10 月 29 日 日立市立豊浦中学校 高萩市立松岡中学校 11 月 11 日 日立市立田尻小学校

参照

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