里親政策の現状 と課題
瀬 下 裕紀子 1. は じめに 筆者が里親制度 に関心を持っようになったのは,1991年の高校1年生 の夏 に,1カ月間 アメ リカでホームステイを経験 してか らであるo滞在 したホス トファミリィーの家 には子 どもが2人 いた。1人 は4歳の黒人の女 の子,1人 は1歳の白人 の男の子であ り,2人 と も里親委託 された児童であった。2人 には血縁関係 はな く実の兄弟のようにいっ も仲良 く 遊んでお り, リビングルームで,里父,里母 に囲まれている姿 は幸せその ものであった. 帰国1年後 また幼 い家族が1人加わ り,楽 しい家庭の様子を伝える便 りが届 いた。当時15 歳だ った筆者 にとっては, このような家族 に今 まで接す ることがなか っただけに, この作 られた家族が血縁関係のある実の家族 のように生活 している光景 に強い衝撃を受 けた。 と 同時 に, アメ リカでは,里親委託が ごく一般的に行われている事実 に驚か された. このよ うな体験が発端 とな り,筆者 は要保護児童の生活 に関心を抱 き,平成10年度か ら 「里親政策 の現状 と課題」をテーマとして研究 に取 り組んで きた.本研究 の中か ら, 今 回 は里親制度の意義,里親制度の大要,厚生省統計調査か ら見た里親制度の実態を報告する。2.
里親制度の意義 1947(昭和22)年 に制定 された児童福祉法第1条 には 「すべての児童 は, ひとしくその 生活を保障 され,愛護 されなければな らない」 と定め られている。 これを受 けて同法25, 26,27条 には,保護者 のいない又 は保護者 に監督 させ ることが不適切であると認 め られる 児童 に対 して指導を行な うが,それが不可能 もしくは不適切な場合 には,母子寮,保育所 への入所措置をとる。 さらに適切 と認 めるときは里親委託,保護受託者への委託又 は児童 福祉施設への入所措置をとると定めてお り,わが国における要保護児童の代替的養護事業 は,各種の児童福祉施設 における養育事業 と,家庭の中で養育す ることを目的 とした里親 制度 とが二本柱で展開 されている。 また,児童憲章の2
には 「全ての児童 は,家庭で,正 しい愛情 と知識 と技術 を もって育 て られ,家庭 に恵 まれない児童 には, これに変わる環境が与え られ る」と述べ られている。 さらに児童権利宣言 の第6条 にも 「児童 は,その人格の完全 な,かっ,調和 した発展の ため,愛情 と理解 とを必要 とす る。児童 はで きるか ぎり, その両親 の愛護 と責任 の下 で(中略)育て られなければな らない。幼児 は例外的な場合を除 き, その母 か ら引 き離 され てはな らない。社会及び公の機関は,家庭のない児童及 び適当な生活維持の方法のない児 童 に対 して特別の養護を与える義務を有す る」 とある。 児童の権利 に関す る条約の前文 には 「児童が,その人格の完全かつ調和のとれた発達の ため,家庭環境の下で幸福,愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきである」 とうた われている。 このように,児童が人間 として心身共 に健康 に成長す るには,幼 いときか ら特定の大人 か らの暖かい愛情 に基づ く,個別的で継続 した支えが大切であ り,児童が家庭の中で養護 されなければな らないという原則が明確に示 されている。 この点か ら家庭養育 となる里親制度の意義を様々な見解か ら検討す る。 (1) 1909(明治53)年第1回児童福祉会議 におけるのルーズベル ト大統領の見解 1909(明治53)年 に米国で開かれた第1回児童福祉会議 において既 に,ルーズベル ト大 統領 は要保護児童の養護の在 り方 について次のように提言 している。 「家庭生活 は文化の最高 に して最 も優れた所在である。緊急やむを得ないかぎり,子 ども か ら家庭を うぼ ってはな らない。 もし両親の死亡あるいはやむを得ない事情で子 どもが家 庭生活を続 けることがで きな くなる場合には,子 どもの実の家庭 に最 も似た環境で育成 さ れるべ きである
。
」 1) 松本武子 『里親制度』2)によればこの提言がなされて以来, 米国の児童養護 の方法 は里 親制度 に重点をお くようにな り,現在 も要保護児童の数 は里親委託3
対,養護施設1
の割 合で,里親委託が推進 されてきていると記述 されている。 また, このルーズベル トの提言 を受 けて,松本 は里親制度の意義を次のように述べている。 「われわれ人の子 どもは例外ない限 り,親の愛撫 によって育成 されることの幸せを知 っ ていて,その ことが可能でない場合,ルーズベル トの言の ごとく,両親の家庭 に最 も似た 環境で育成 されることが要保護児童 にとって幸せであるのは明白である。 しか し,そのよ うな- すなわち理想的な里親を潤沢にもとめることは至難であるので, これを補 う施設 として, また,並立的施設 として施設養護が企画 されなければな らない。」 (2)1947(昭和22)年の厚生省通知 「家庭養育運営要綱」記述の見解 厚生省通知 「家庭養育運営要綱」(3.
里親制度の大要参照) には次のように記 されてい る。 「児童 は両親の もとで保護 されるのが最 も良いと患われる。事情 によって児童をその家 庭 とは異なるところで保護 しなければな らない場合,児童を預か って保護するものとして 各種の児童福祉施設 と個人家庭がある。児童によっては,頗 る個人家庭が適当な ものであ れば,施設 による集団保護 よりも個人家庭 による養育 によってよりよ く養護 される場合が 数多 くあると思われる。 -40-後者 については,児童福祉法 は里親の家庭を考えているのであるが,そのほかに実情 と して児童を養子 として保護することが広 く行われていることにかんがみ,本要項 は,たん に児童福祉法にいう里親家庭について規定するだけでな く,民法にいう養親の家庭を も含 めて広 く個人家庭による児童の保護 について規定 した ものである。」 ここでは,里親制度の補助的役割 として施設をあげているのではな く,松本のことばで 言えば,里親制度の並立的施設 として施設養護が位置づけられている。そして,児童によっ ては施設 による集団保護 よりも個人家庭による養育 によってよりよ く保護 される場合が数 多 くあると思われるという理念が,個人家庭に委託す る理由として記 されている。 また,要保護児童の個人家庭における養護 において,児童福祉法における里親制度 と民 法 における養子縁組の制度をはっきり区別することな く,両者 ともに要保護児童の個人家 庭 における養護の1つ として位置付 けている。 (3)現行 「里親家庭養育運営要綱」(1947年に前記要綱を改正 したもの)記述の見解 現行の 「里親等家庭養育運営要綱」(3.里親制度の大要参照) には 「里親制度の意義は, 家庭での養育 に欠 ける児童 に,その全人格を養護,育成するための暖かい愛情 と正 しい理 解を もった家庭を与えることにより,児童の健全な育成を図るものであること」 とあり, 家庭を与えることが児童の健全育成 につながるという理念が個人家庭に委託する理念 とし て記 されている。 菊地 によると上記 は,なぜ里親家庭なのか という点ではやはりはっきりわか りにくいと 指摘する。そ して菊地 は里親の定義 と里親家庭を使用する理由が明確に述べ られているも のとして 『児童福祉マニュアル』3)をあげている。
「
『児童福祉マニュアル』 は 「キャロル ・ マニュアル」
とも愛称 され,1
9
5
0
年国際連合か ら派遣 された児童福祉顧問, ア リス・K・
キ ャロール氏が大阪府,福岡県及び宮城県の各中央児童相談所 において児童相談所の業務 遂行 について実施指導の内容をまとめたものであるとその序文 には記 されている。
」
4
)
『児 童福祉マニュアル』 には次のように述べ られている。 「里親 とは,その人 あるいはその家庭 との血縁,結婚,養子縁組等 による関係のない子 供を養育する人 または家族である。 里親家庭を使用す る理由。児童を落ち着いた有能な大人 に成長 させ るためには必要な建 設的な影響力の経験 は,健全な生活 とその家庭 と近隣社会 との関係にある。理想を云えば 一人一人の児童がその生 まれた家庭で自分 と家族 と共 に此の経験を持っべ きである。何等 かの理由で児童が,此の機会を失 った場合,里親がその代替 となって,家庭生活の経験 と, 近隣社会の活動への正常な参加の機会を与えるのである。
」
5
)
わが国においては,里親制度 は養子を もとめる手段であるかのように考え られ,養子縁 組 と里親制度を同様の制度 と認識 している人が多いが, ここでは, はっきりと里親制度 と 養子縁組制度の区別がなされている。そ して,児童を有能な大人 に成長 させるためには,家庭や近隣社会 との関わ りが必要であ り, その機会を失 った場合,児童やその家族 と血縁, 結婚,養子縁組等による関係のない人であって も,その役割を代替することがで きるとい う理由で里親制度を意義づけている。 (4)松本の見解 松本 は施設養護 と里親養護を比較 し,次の3点か ら里親制度の意義6)を述べている。 例 家庭養護 において 里親養護 は,里親家庭の家庭生活な らびに家族関係を手段 に し児童 の育成をはか るもの である. したが って里親委託 は個人的養護 を意味す る。そこでは委託児童一人 ひとりを中 心 としたきめ細かい養護 と教育が行なわれ,児童の生活に,入学,就学状況,友達関係等 の経過を通 して家族全員の関心が寄せ られることは集団生活の中での関係 とはきわめて相 違するものである。 (j) 生活の中の寛容性 と規律 において 家庭生活 は個人的な自由を持ち,常 に規則 に しぼ られることはないのに対 して,施設の 生活 は規則があり,一定のプログラムの もとに日常生活が進む ことによって集団生活の秩 序 と平和が保 たれる。 そのための施設の生活 は家庭生活のような リラックス した ものでは な く,緊張感を伴 うものである。 このような施設での生活 は生活訓練方法 として児童 によ い面 もある。 集団生活の中の統制 は他律的であ り,機械的な枠組みか らできている関係で あ り,家族の中のダイナ ミックな, 自然発生的,心情的なかっ非合理的な,柔軟性のある 家族集団 とはきわめて異質の ものである。 それゆえ,家庭を営み, 自主的な社会人 として 生 きるパーソナ リティを養 うためには,その成長を施設児 として一貫 して過 ごす ことは児 童 にとって決 して望 ま しくない。施設 に生活する児童のために,1日もしくは定期の里親 委託の生活あるいは精神里親の必要性 はその欠落を補 うものである。 (T)) 家族員 としての人間形成 において 家庭生活 は親子の感情,接近の しかたなど一 口にいえば非合理的な生活である。 しか し, その非合理的な人間関係や生活状況の中で,安定感を もって生活することがで きるのが家 庭環境である。 これに対 し施設 は合理的関係や行動を指針 とする集団生活の場である。養 護施設の中で も,学童 と区別 された幼児施設では, 日常生活の面では複雑 さがな く,指導 員 にとっては指導訓練が容易であるが,幼児の言語の発達や社会性の成長 に欠 けることが 指摘 されてお り (都民生局児童部 「養護施設,教護院関係資料
」
p.23),施設 の中で もい わゆるヨコわ り方式では学童や地域 との交流がないため∴施設全体が閉鎖的になりやす く, 刺激のないことが幼児の全体的人間形成 を停滞 させることが記述 されている。 ヨコわ り式 よ りタテわ り式が全人的人間形成 に優 るということは, とりも直さず ,里親委託養護が施 設養護 より全人的人間形成の視点 においてまさるということをさら書 きするものである。 - 42-(
5
)
ホスピタ リズム 家庭養護 と施設養護の比較研究 として有名な ものに, ホスピタ リズム (施設病)がある。 施設の児童たちに光が当て られるようになったのは,20世紀初めごろに児童の権利を守 る 世界的な運動が展開されるようになってか らである。 この研究では,家庭で育 った児童 に 対 し,大規模で管理収納的な施設で乳児期前半 にあや した り抱 いた りされる経験をあまり 持たないで育 った児童たちが,情緒的にさまざまな問題を持 っていることが調査 によって 証明され, ホスピタリズム症 として指摘 されるようになり改善の努力が行われるようになっ た 。(
6
)
埼玉中央児童相談所の新規里親登録研修において 筆者が平成1
0
年 に参加 した埼玉中央児童相談所の新規里親登録研修 においては,施設養 護 と里親養護を比較 し里親制度の意義が次のように述べ られた。 「施設で出される食事 は衛生上の都合により,直接施設では調理 されてない (これは各 施設設備の状況 により異なる)。そのため母親が 日々台所で料理する姿 を子供 は見 た り, 知 ったり,感 じた りす ることができない。 また,親がわ りの施設の職員 は定年が くれば退 職 してい くため,年配者の死を見 ることがない。 また,施設か ら出て実際にその子が大人 になり家庭を持 ったとして も,家庭の作 り方,子育ての仕方が分か らない。父親 (両親) が仕事を して帰 って くるという姿を知 らない し,父親が稼 いだお金で家族が生活 している ことも感 じられない。要するに施設 においては,人間生活の姿その ものが見えない。今 自 分が勉強 している意味,働いている意味さえ も分か らな くなって くる。」 人間は本来,家庭 という組織の中に生 まれ育っ。 そ して,人間生活の姿や社会の仕組み などは家庭の教育力の下 に,児童が家庭の中で自主的又 は無意識 に学んだ り,感 じたりす るものであり,現代社会 もそれを前提 として動いていることが多い。 また,家庭の教育力 は,精神的な成長や安定 にも大 きく影響す ると思われる。児童相談所の職員の話か ら,家 庭の教育力 は児童の成長 に大 きな影響を及ぼ してお り,それを施設で補 うには無理がある のではないか と感 じた。 また,ある里親 は次のように話 していた。 「里子 (里親委託 された児童を里子 とも言 う)が家に来て一緒 にお風 呂に入 ろうと思 っ た ら,初 めはお風 呂を恐が ってす ごく泣いたんです。施設 (乳児院)では,先生が服を着 て小 さな洗 い場で シャワーを使 って子 どもの体を洗 う程度でいっ も入浴を済 ま して しまっ ているのね。だか ら,大人の人が裸になっているのや,大 きなお風 呂に沢山のお湯が張 っ てあるのがす ごく恐 いみたいね。」 上のような事例 は,松本がいう施設生活のなかの合理化の1つであるといえる。 日々の 入浴時に私たちは,当たり前のように服を脱 ぎ全裸になるし, 日本人である私たちは,か まに水を張 り沸か して風 呂に入 るのは当然のことである。 にもかかわ らず,児童がそれを驚 いた り,恐が った りす るという事実 は大変衝撃的である。子 どもが親 と一緒にお風 呂に 入 るとい う行為 にはとて も大 きな意味があると思 う。 それは,性教育の場であった りする わけで,そのような時間は,児童の健全育成 ・発達 に大 きく影響 していると思われ る。 このように里親制度の必要性 については,古 くか ら多 くの人の見解がある。 しか しなが ら後で示すように,里親制度 は順調な発展をとげていない現実がある。それは, この制度 が養子縁組の方法 として利用 されていることに要因があるのか もしれない。要保護児童が 里親の養子 とな り愛情 ある家庭の中で成長 してい くことは,児童 にとって非常 に幸せなこ とである。反面,里親制度が児童福祉法に導入 されたことの目的は養子縁組のためではな いことの認識が必要 と思われる。
3.
里親制度の大要 里親制度がは じめて法律 に規定 されたのは,1
9
4
7
(昭和2
2
)
年 に制定 された児童福祉法 においてである。それまでは一時的に児童を預 けるものとして,私的な里親が広 く存在 し ていた。 このような里親の他 に民間施設か ら児童を委託 されていた里親が,明治期か ら昭 和の初期 にかけてかな り存在 していたと松本武子 『里親制度』7)に述べ られている。 児童福祉法の内容を受 けて里親制度の運用 は, 昭和2
3(
1
9
4
8
)
年1
0
月4
日厚生省通知 「里親等家庭養育の運営 に関 して」 によって行われて きた。 しか し,近年 における社会情 勢の変化,民法等の改正 により,新たに 「里親等家庭養育運営要綱」が定め られ,昭和63 (1
9
8
8
)
年1
月1
日か ら施行 された。なお,「里親等家庭養育の運営 に関 して」 は, これに 伴 い廃止 された。そ して,「里親等家庭養育運営要綱」 は,「里親等家庭養育運営について」 により厚生省事務次官か ら各都道府県知事及 び各指定都市市長あてに通達 されたが,その 実施 に関 しては 「里親等家庭養育運営要綱の実施 について」 に留意事項が示 されている。 現在の里親制度の大要を 「児童福祉法」,「里親等家庭養育運営要綱」
及び 「里親等家庭 養育運営要項の実施 について」(
「児童福祉法」,「里親等家庭養育運営要綱」,「里親等家庭 養育運営要綱の実施 について」 はそれぞれ,法,要綱又 は実施 についてと略称す ることに す る。) により見 ることとする。(
1
)
里親の要件 里親 とは,保護者のいない児童又 は保護者 に監督 させることが不適当な児童であると認 め られる児童を養育す ることを希望す る者であって,都道府県知事が認めた者をい う (要 綱第2)
。 ここで,保護者 とは親権を行 う者,後見人 その他の者で,児童 を現 に監督す る 者をいい (法6
),児童 とは1
8
才 に満たない者をいう (法4)
0 里親 になることを希望す る者 は,居住地を管轄す る児童相談所又 は福祉事務所を経て, 都道府県知事 に里親申 し込みを提出する (要綱第5)。 申 し出を受理 した児童相談所長又 -44-は児童福祉事務所 は, その家庭 に児童福祉司等を派遣 した り,児童福祉事務所若 しくは児 童委員 に調査を頼む等 の措置を採 り,調査を行 な った上, その適否を明 らかにす る書類を 里親 申 し込みに添付 して,都道府県知事 に提出 しなければな らない (実施 について第1章 第3-1)。都道府県知事 は,都道府県児童福祉審議会の意見 を聞 きなが らその適否 を明 らかにす る (実施 について第1章3-2)。里親 申 し込み者の調査事項 (実施 につ いて第 1章3-1)は次のようになっている。 (7) 里親 申 し込み者 についての調査事項 職業,動機,児童養育 の熱意及 び方針,健康状態など 抑 里親 申 し込み家庭 についての調査事項 家族構成,家庭の経済状況,住居の状態など (ラ)近隣の地域的,社会的状況 的 その他必要 と思われ る事項 里親 として登録 された者 は,児童を委託 していな くても
「
里親」とよばれる (要綱第 8-1)。 なお,知識,経験 を有す る等児童を適切 に養育で きると認 め られた者 には,必 ず し も両親がそろってな くて も里親 として認定 される (実施 について第1章第3-2)0 (2)里親委託の手続 き 保護者のない児童又 は保護者 に監督 させ ることが不適当であると認 める児童 は,1
4
才以 上の犯罪少年 を除 き福祉事務所又 は児童相談所 に通告 されることになる (法2
5
)
。 福祉事 務所,児童相談所 に通告 された児童及 び相談 に応 じた児童, その保護者 に対 しては,児童 福祉事務所長又 は児童相談所長 は,児童又 は保護者を社会福祉主事,児童福祉司,児童委 員等 に指導 させ る (法2
5
の2-2
,法2
6
-2
,法2
7-2)
. しか し, それが不可能 もしく は不適当な場合 には,母子寮,保育所への入所の措置を採 り, さらに里親委託,保護受託 者への委託又 は各児童福祉施設への入所を適当 と認 めるときは,児童相談所長 は (福祉事 務所長 は,児童相談所 に児童を送致 した上), これを都道府県知事 に報告 しな ければな ら ない (法2
6-1)
。都道府県知事 は,児童相談所長 に対 して児童を里親 に委託 す る権 限 を で きるだけ多 く委任す ることが望 ま しい (法3
2
)
。委託 については, 児童福祉法 の規定 に より通告若 しくは送致 された児童又 は相談のあ った児童について,必要な調査,判定を行 っ た結果,その児童が里親 に委託 されることが適当であると認 め られては じめて里親委託が 行 なわれる (実施 につ いて第1章第4-1)0(
3
)
里親 に児童を委託するための要件 (7) 保護者の同意 児童 に親権を行 う者 (福祉施設の長を除 く)又 は後見人があるときは,その者に反 して, 児童 を委託す ることはで きない (法2
7
-4
④)。 ただ し,保護者が, 児童 を虐待 し著 しく その監督を怠 り,その他保護者 に監督 させ ることが著 しく当該児童の福祉を害す る場合においては,児童の親権又 は後見人の意 に反 して も家庭裁判所の承諾を得て,里親 に児童を 委託することができる (法
2
8-1)
0 (J)委託の禁止 都道府県知事 は,三親等内の児童を現 に養育 し又 は養育 しようとす る者 に対 しては,そ の児童 につ き里親委託の措置をとってはな らない。 ただ し特別な事情がある場合にはこの 限 りではないとしている (要綱第6-3)。特別な事情がある場合 とは, その児童 を施設 に入所 させるか又 は他の里親 に委託す るよりも,その伯父,伯母等の養育 によって児童の 養育がより適正 に行なわれる場合であ り,かつ,その伯父,伯母等が生活保護法の適用を 受 ける等その児童を養育す る資力 に乏 しい場合である (実施 について第1章第4-8)0 (T)) 養育児童総数の制限 里親家庭において養育 される児童の総数 は,現に里親 と居住を共 にす る児童を含めてお おむね6人以下 とす ること (実施 について第1章第4-6)0 (⇒ 共同委託の可能性 都道府県知事 は,児童が兄弟姉妹である等必要 と認められる場合には,同時の措置によっ て,1つの里親 に対 して2人以上の児童を委託 して差 し支えない (実施 について第1章 一 8)0
(
4
)
委託の解除 ・停止 ・変更 都道府県知事 は,里親委託の措置を解除 し,停止 し,若 しくは他の措置に変更す ること ができる。 この場合には,児童相談所長,都道府県児童福祉審議会の意見を聞かなければ な らない (法27-4⑦)(実施 について第1章5)0 (5)里親家庭における児童の養育 里親 は,児童 に対 して自己の子 に比 して差別的な取 り扱いを してはな らない (実施 につ いて第1
章第5-1
(1))。 また,里親 は児童を酷使 し又 は児童の保健,教育 その他 の児童 の福祉上好 ま しくない用務 に使 ってはな らない (実施 について第1章5-1(2))0(
6
)
里親への指導 ・研修 都道府県知事 は,児童相談所を通 じて,現 に児童を委託 されている里親のみな らず児童 を委託 されてない里親 に対 して も,児童の養育方法の研修を行 い,又 は研修を受 けるよう 指導 に努めること (法第3
0-2)
(要綱第8-1)
。都道府県知事 は,指導担当者 に,定期 的に里親 に対す る指導をさせ ること (要綱第8-2)
(実施 について第1
章第6-1)
。 ま た,指導 した事項 は児童相談所長 に報告 し,必要 があれば都道府県知事 に報告す ること (要綱第8-3)(実施 について第1章第6-3)。 なお,指導 した事項 につ いて里親 が こ れを遵守 しない場合,指導担当員 は,児童相談所長を経て都道府県知事 に意見を添えて報 告すること (実施 について第1章第6-4)0 -46-(
7
)
短期里親委託 里親制度 には,大 きく分 けていわゆる普通の里親の形態である長期里親制度 と短期里親 委託制度 とがある。短期里親制度については,国は昭和6
2
年の児童福祉法改正前の昭和4
9
(1
9
7
4
)
年 に厚生省児童家庭局長 に 「短期里親の運用について」
を通知 し, この制度 を設 けた。短期里親制度 は,母親の出産や急病の理由により家庭で養育で きな くなった児童を 一時的に,おおむね1
カ月か ら1
カ年の期間の予定で養育するものである。ただ し,短期 里親の枠をお くことは都道府県の任意 となっている。 短期里親委託制度については,一時的な委託 という性格を考慮す るために, 「短期里親 の運用について」 に次のような留意事項が規定 されている (「短期里親 の運用 につ いて」 は短期 と略称する)0 (7)対象児童 保護者の疾病,傷害,拘禁等の理由により,おおむね1
カ月か ら1
年の期間,保護者 に 監督 させ ることが不適当であると認め られた児童を対象 とする (短期1)0 (j)短期里親の認定及 び登録 認定にあたっては,で きるだけ両親がそろっているほうが望 ま しい。 しか し,そろって いな くて も,児童養育経験があり児童を適切 に養育で きると認め られる者 については,短 期里親 として認定 される (短期1
(1))。短期里親の登録期間は2
年間 と し,2
年 を通過 し た短期里親 については児童相談所はその家庭状況等の再調査をすること (短期1(
2
)
)
。短 期里親の登録 にあたっては,従来の里親登録 にその旨を表示 し,その区分を明確にするこ と (短期1(3))0 (,))児童の委託 児童を短期里親 に委託する措置をとるにあたっては,生活環境の変化を最小限に押 さえ るようにできるだけその保護者の住居地の近 くの短期里親 に委託す ることが望 ましい (短 期3(1))。短期里親 に児童を委託する場合,緊急を要す るケースが予測 され るが,社会福 祉主事,児童委員等 はあ らか じめ児童相談所長 に電話等の連絡で了解を得ることによって, 仮委託 として処理する等弾力的な運用を配慮す ること。なお,児童相談所長 は,児童,保 護者の状況を調査 し仮委託後すみやかに短期里親委託に切 り替えるものとする (短期3(2D。 児童相談諸所長 は短期里親 と保護者の連絡を密にす るように努めさせ,児童の養育 に閲 し 必要な指導をするものとする (短期3(3))0 (⇒ 短期里親の普及について 短期里親制度 は,一定の期間だけその家庭を離れて生活 しなければな らない児童を,一 時的にその地域内の家庭 に委託 して養育 し, より健全 に育成 しようとするものであるか ら, 短期里親 は,福祉事務所 ごとに,その地域の事情 に即 した数名の里親登録があることが望 ま しい (短期4
(1))。また,里親月間等を利用 して本制度の一般への周知 を図 り,新 たな短 期里親 の開拓 に努 め る こと。 そ して, 既 に登録 されて い る里親 につ いて も,短期里親 と して児童 を養育 す る意思 の有無 を確認 す る こと (短 期4(2))0 この他 の里親 活動 と して, 養護施 設 にい る児童 を, お正 月 や お盆,週末等 を利 用 して里 親 の家庭 に
2-3
日間宿泊 させ, 家庭生 活 を体験 す る ことによ り,児童 の社 会性 や情緒 の 育 成 を図 る活動 が あ る。 (8)里親委託費 里親 は施設 と同 じよ うに親 に代 わ って児童 を育 て る仕事 とされてお り, 児童 の年 齢 に応 じて,一般生活費 や教育 費 な ど,<表1-1>
の よ うに決 ま った額 が委託 費 と して国か ら <表1-1> 国の里親委託費支給額 (児童1人当たり) (平成7年度) (厚生省 r児童保護措置手帳1995Jより)種別
経
費
の
種
目
里 親 生 活 諸 費 月額 (一般分)47,640円 (乳児分)48,030円 生 宿 請 費 以 外 教 育 費 月額 (一般分)小学校2,090円 中学校4,150円 盲学校 ろう学校養護学校 の高等部4,150円 (加算分)1.教材代の実費 2.通学のための交通費の実費 3.教護院 の教材費 小学校該当児190円 中学校該当児270円 4.教 護学校等の高等部に入学する費用50,000円 見学旅行費 年額 小学校6学年20,300円 中学校3学年55,500円 盲学校, ろう学校, 養護学校の高等部3学年,高等学校3学年108,300円 入学支度金 年額 小学校1学年進学児童39,200円 中学校1学年進学児童45,800円 特別育成費 月額 高等学校在学児童 (公立)22,100円 (私立)32,720円 (入学時)50, の 事 莱 費 500円 期 末 一 時 扶 助 費 年額 5,080円 職業補助費 月額 通所のための交通費実費教科書代等4,800円 就職支度金 あたり1 件 51,000円さらに住居費及び生活諸費の経費を加算135,120円 - 48-支給 される。 この表 に定めるもののはか,里親 には児童
1
人 につ き委託手当て として月額2
4,
0
0
0
円が支給 され,新規 に委託 したときには,委託児童1
人につ き委託開始月 に3
1
,
5
0
0
円が加算 される。里親委託費 は国か らだけではな く,都道府県か らも支給 される。 しか し, その費用 はそれぞれの都道府県 により格差がある。(
9
)
養子縁組 と養育里親 里親 には2つの型がある。その 1つは養子縁組を目的 として児童を養育する,いわゆる 養子縁組里親 と, もう1つは養子縁組を目的 としないで一定の期間実の親 に代わって児童 を養育す る養育里親である。わが国では前者が多 く,養子の欲 しい人が里親 になるという 考え方が強い実情 にある。 特に特別養子縁組制度が制定 されてか ら,その傾向は強 くな っ ている。そ ういう意味で も,里親制度 と養子縁組制度 は密接 した関係にあ り,養子縁組制 度な くして里親政策 について議論することは無理 に等 しいと考え られる。そこで,次 に参 考 として民法 (「民法」 は民 と略称することにする) における養子縁組 と特別養子縁組 み の概要 について も記す。 (D 普通養子縁組 ・普通養子縁組の考え方 民法第729条以下 において規定す る養子縁組のことで,昭和63 (1988)年 に特別養子 縁組が成立するまでは,養子縁組 はこの規定 によるものだけであった。普通養子縁組 は 当事者の合意 による届出で成立 し,養子 は養親の嫡出子 としての身分を取得すると同時 に,実親 との法的な関係 も継続するなど,従来の養子縁組制度を内容とするものである。 特別養子縁組の制定以後,特別養子縁組 に対 し普通養子縁組 と呼ばれるようになった。 ・普通養子縁組の時期 と方法 未成年の者を養子 とするには,養子 となるべ き者の居住地の家庭裁判所の許可を得な ければな らない (民791)。専属又 は年長者を養子 とすることはできない (民793)。配偶 者のある者が未成年を養子 とす るには,原則 として配偶者 とともにしなければな らない (民796)0
・普通養子縁組の申立 と成立 養子 となる者が成年の場合 は,養親 となる者 と養子 となる者の双方が養子縁組の届出 を出 し,受理 されることで成立する。養子 となる者が未成年の場合は,養親 となるもの に申立の権利がある。 審判 は,縁組が養子の福祉にかなうものであるかどうか,申立人, その他の関係者 に対 し書面 による照会や呼び出 しが行なわれ審査 される。審判の判定 ま で約半 カ月か ら1
カ月位の期間を要 し,許可 された場合は,縁組許可審判書の謄本によ り申立人 に告知 される。なお,審判が却下 された場合には,申立人 は即時抗告をするこ とができる。・普通養子縁組の戸籍 養子縁組の届 け出 ・受理 により養親の戸籍に入籍す る。父母欄 には,実父母欄がその まま残 り, さらに,養父母欄を設 け,その名前 も併記 される。続柄については,養子で あることが明示 され る。 (塾 特別養子縁組 ・養子縁組の考え方 これまでの養子縁組 は契約 によって成立する親子関係であるが,特別養子縁組 は,秦 子 となる児童の福祉を図 ることを最優先 とし,裁判所の審判 によって成立す る親子関係 である。特別養子縁組 は,昭和63年1月1日か ら新設 された養子縁組制度である。特別 養子縁組 は,家庭 に恵 まれない児童を対象 に 「子 どもの福祉のため
」
養親 と養子 との間 に,実の親子 と同様 な強固な関係を作 ることを目的 としている。普通養子縁組 とは違 っ て,実親 との法的な親族関係が終了 し,原則 として,離縁ができないなどの特徴がある。 ・特別養子縁組の時期 と方法 養親 となるべ き者の居住地の家庭裁判所の審判 により,養子 と実方の父母及 びその血 族 との親族関係を終了 させ,特別養子縁組を成立 させ ることができる。 この場合養親 と なる者が養子 となる者を6
カ月以上の期間監護 した状況を考慮するものであること (氏8
1
7-2
,
8
)
。特別養子縁組 は,父母が養子 となる者の監護が著 しく困難又 は不適 当であ ること,その他特別の事情がある場合 において,子の利益のため特 に必要があると認 め たときに, これを成立 させるものである (民8
1
7-7
)
。特別養子縁組 の成立 には原則 と して養子 となるべ き者の父母の同意がなければな らない。 ただ し,父母がその意思を表 示することがで きない場合又 は父母 による虐待,悪意の遺棄その他養子 と.なる者の利益 を著 しく害す る事由がある場合 は, この限 りではない (民81
7-6
)
。 養子 とな るべ き者 は,6
才未満でなければな らない (民8
1
7-5
)
。養親 となる者 は,配偶者 のあ る者 でな ければな らない。 また,夫婦の一方 は,他の一方が養親 とな らない場合 は,原則 として 養親 となることがで きない (民8
1
7
-3)。2
5
歳 に達 していない者 は, 養親 とな ることが できない。ただ し,養親 となる夫婦の一方が2
5
歳 に達 していない場合 において も,その 者が2
0
歳 に達 しているときにはこの限 りではない (民8
1
7
-4)0 ・特別養子縁組の申立 と成立 特別養子縁組の申立を してか ら成立 までの流れは,次貢<図1-1>
のようである. 特別養子縁組の成立 においては,民法8
1
7-8
条 に 「父母が養子 となる者を6
カ月以上 の期間監護 した状況を考慮するものであ ること」 とあるが, これは,特別養子縁組を希 望する者が,初めに里親登録をすることで,里親委託 というかたちで児童を斡旋 される ことによって行なわれる。特別養子縁組が成立す ることによって,里親委託措置 は解除 される。 - 50-・特別養子縁組の戸籍 特別養子縁組の戸籍 は,届出をす ると実親の本籍地で養親の氏で特別養子を筆頭者 と す る新戸籍が編成 され,直ちに特別養子を新戸籍か ら養親の戸籍 に入籍す る。 なお,実 親の本籍地で編成 された新戸籍 は除籍 される。戸籍の表示 は父母欄には養親だけの名前 が書かれ,養子 は長男 とか長女 (嫡出子) という表現になる。ただ し,養親の実子 にな るわけではな く,戸籍の身分事項欄には特別養子であるように記載 される。 <表1-2>特別養子縁組 と普通養子縁組 特別養子縁組 普通養子縁組 成 立 家庭裁判所の審判 当事者の合意 に基づ く届 け出 成 立 条 件 子供の利益のために必要 な ものであること な し 試 験 養 育 期 間 6カ月以上 不要 実 父 母 の 意 思 原則 として父母の同意が必要 諾 と監護者の同意が必要15歳未満の養子 につ き法定代理人の承 養親 となれる者 原則 としてとなる 25歳以上 夫婦 ともに養親 20歳以上 独身者 も可 養子 となれ る者 原則 として6歳 まで 養親 より年長でないこと 養親 の尊属ではないこと 実 親 と の 関 係 断絶す る (近親婚制限を除 く) 継続,親権 のみが養親 に移 る 戸 籍 上 の 記 載 長男 .次女などと記載 (とが一 目で分か らないようにす る)養子であるこ 養子 と明記 離 _ 縁 子の利益 に限 り必要 な場合 に限 り,戟 当事者の合意があれば原則 として 自由 以上のような里親制度のは定め られてお り,その運営の基本方針 は, 「里親等家庭養育 運営要綱」及び 「里親等家庭養育運営要綱の実施 について」 に基づいて行われているが, 実際には,都道府県の独 自の考え方によって具体的な制度の運営が行われている。 したがっ て法上の里親制度 はひとつだが,その取 り組み方 は都道府県単位 によって大 きく異 なる。
養 親(
申立人)
縁組 あ っ せん (里親 委託中)⑥
、三::::
:
:
:
:
-:t
i嘱託⑧
審 判書謄本送付 養 親 実 親 養育 …養子 となる子 ども… 「特別養子縁組申立書」 添付書類∼戸籍謄本 (養親, 養子 と なる子 ども,実親) 住民票の写 し ④ 調 査 官 に よ る 調 査 .11 7 判 事 ︹ ⑦ ∼養親 の住所地の管轄 縁組み用件の有無 養育状況 実親の同意など 裁判官の判断の基準 要保護性 適 格 性 適 合 性 ⑨ (即時抗告期間-2週間) 1 ⑬ 〔審判確定 〕 ⑪ 審判警 _FP禦 一一一-''--:I:'' ′′ 一′′′′ ′ -■′′′ 養 親一 ⑫ 通 知 実親の本籍地 の戸籍係 児童相談所 ▲′ i 里親委託措置解除 (審判確定 日付) ⑪ 通 知 ⑫特
別
養
子 縁組
届出
審判 に対 し不服があれば抗告で きる 確定後10日以内 添付書類∼審判書謄本 (省 略謄本 で も 可),審判書確定証明書 ※養子の戸籍謄本を求め られ る場合が あるが,受理要件ではない。 ∼届出受理 (戸籍事務管掌者) 養親の戸籍 に入 り,養子 は嫡 出子の 身分を取得す る。 <図1- 1> 特別養子縁組が成立するまで (上越児童相談所資料 「里親になるための手続き」よ り) -52-4.
厚生省の統計調査から見た里親制度の実態調査 厚生省の全国調査 「養護児童等実態調査の概要」,「社会福祉施設等調査報告」,「社会保 障統計年報」等か ら里親委託児童な らびに施設在所児童の実態を示 し,分析 ・考察を加え る。(
1
)
里親委託状況の推移 <表3-1>
里親委託状況の年次推移 [分析 ・考察] 里親制度が導入 された昭和2
3
年 には,戦後浮浪児等 も多 く社会的養護のニーズが高か っ たこと,児童福祉施設の整備が遅れていたことに加え, アメ リカより派遣 されたキャロル 博士の児童福祉施策への指導 もあり,要保護児童の補導。救済 における里親制度の運用に 児童福祉司の活動 は活発であったと松本武子 『里親制度 の実践的研究』
8)には述べ られて いる。その後 も里親制度の運用は盛んで,昭和3
3
年 には委託児童数が最高を示 している。 その後委託児童数 は漸減 し,平成7
年 には2
,
3
7
7
人 となった。 この数字 は昭和3
3
年 の委 託児童数の2
5
%
にあたる。総人口が増加す る一方で,0-1
4
歳の児童数 は減少の傾向を示 し,平成7
年の児童人 口は昭和3
0
年 より9
7
8
万4
,
2
7
0
人,割合に して3
2
.
9
%
減少,要保護児 童 は,6,
2
1
9
人,割合に して1
8.
8
%
減少 しているが,里親委託児童 は昭和3
0
年 よ り6,
7
9
2
人 すなわち7
4
%
減少 している。里親委託の減少率 は非常に高い。要保護児童が里親制度が導 入 されて以来5
1
年,その経過を見 ると児童人 口及び養護施設入所児童数を勘案 して も,壁 親制度の運用がいかに低調であったかが理解できる。 里親制度が伸び悩んでいる要因 として松本 は,血縁関係を重視す る日本人の国民性によ り,児童を受 け入れる寛容性 に乏 しか った ことや家族観,児童観,その時代の社会風景な どとの関係の他 に次のように指摘 している。 「児童福祉施策 に対す る行政のあり方な らびに社会福祉職の専門性 について反省する余 地 はなか ったであろうか。里親制度 というコ ミュニティー ・ケアに重点をお く施策をとり なが ら, これを推進す る行政 も国民 も本気ではなか ったのではあるまいか。
」9)<表3- 1> 里親委託状況の年次推移 (厚生省統計情報部編 「社会福祉行政業務報告」より) 登録里親(A) 児童受託里親(B) 委託児童数 (B)/(A) 全国人口(千人) 人口10万に対す る委託児童数 昭和年 人 人 人 % 11111189809212219,3,8,7,3,0,3,2,3,1,732973322275427822033860826054_ 19.2.3.7.4.6.0.222人..」64527■74600 24 4,153 2,909 3,278 70.1 25 7,429 4,859 5,448 65.4 26 9,166 5,944 5,717 62.2 27 ll,310 6,736 7,488 59.6 28 13,228 7,121 8,041 53.8 29 14,948 7,816 8,633 52.3 30 16,827 8,370 9,169 49.7 31 17,936 8,479 9,348 47.2 32 18,498 8,537 9,478 46.1 33 18,696 8,526 9,489 45.6 34 18,914 8,095 8,986 42.7 35 19,022 7,751 8,737 40.7 36 18,985 7,545 8,664 39.7 37 19,275 7,332 8,337 30.8 38 18,773 6,980 7,952 37.1 39 18,593 6,567 7,420 35.3 40 18,230 6,090 6,909 33.4 41 17,076 5,742 6,511 33.6 42 16,115 5,219 5,977 32.3 43 15,660 4,786 5,501 30.5 44 14,916 4,428 5,054 29.6 45 13,621 4,075 4,726 29.9 46 13,327 3,706 4,366 27.8 47 12,808 3,480 4,079 27.1 48 27,193 3,392 4,028 12.4 49 ll,374 3,333 3,986 29.3 50 10,230 3,225 3,851 31.5 51 9,703 ・3,117 3,687 32.1ノ 52 9,714 2,980 3,557 30.6 53 9,494 2,837 3,434 29.8 54 9,142 2,712 3,277 29.6 55 8,933 2,646 3,188 29.6 56 8,696 2,655 3,249 30.5 57 8,722 2,625 3,293 30.0 58 8,682 2,648 3,346 30.4 59 8,698 2,599 3,297 59.8 60 8,659 2,627 3,322 30.3 61 8,702 1,588 3,265 18.2 62 8,565 2,659 3,322 31.0 63 平成 元年 8,7,814114 2,2,547740 3,3,016999 3131..65 2 8,046 2,312 2,876 28.7 3 8,163 2,183 2,671 26.7 4 8,122 2,159 2,614 26.5 5 8,090 2,083 2,561 25.7 6 8,044 2,029 2,475 25.2 7 8,059 1,940 2,377 24.0 - 5
4-(
2
)
要保護児童の現在の状況 <表3- 2> 里親委託児,養護施設児,乳児院児の年齢別児童数 (平成4年度) (厚生省児童家庭局 「養護児童等実態調査結果の概要」 よ り) 児 童 数 (人) 構 成 割 合 (%) 里親委託児 養護施設児 乳児院児 里親委託児 養護施設児 乳児院児 総0歳数 2,67587 26,725 2,699543 100.2.01 100.0 10350..04 1歳 119 56 1,148 4.4 0.2 42.6 2歳 174 558 514 6.5 2.1 19.1 3歳 185 1,010 64 6.9 3.8 2.4 4歳 165 1,188 ll 6.2 4.4 0.4 5歳 145 1,316 1 5.4 4.9 0.0 6歳 7歳 111318 1,1,549395 44..49 5.5.68 8歳 123 1,651 - 4.6 6.2 -9歳 134 1,679 - 5.0 6.3 -10歳 156 1,818 - 5.8 6.8 -11歳 12歳 113797 1,1,990565 5.6.26 7.7.31 13歳 148 2,201 - 5.5 8.2 -14歳 159 2,404 - 5.9 9.0 -15歳 176 2,247 - 6.6 8.4 -16歳 134 1,526 - 5.0 5.7 -17歳 18歳以上 14295 1,853164 5.3.35 4.3.92 [分析 ・考察] 養護施設児 (正式には 「児童養護施設」であるが, ここでは 「養護施設」 と省略する) は全体の8
3.
2
%
とかなり高 い数値を示 し,わが国の要保護児童の保護,養育 は施設が中心となっていることが分かる。0歳か ら4歳 においては,養護施設児 は45.3%,乳児院児 は 43.3%であ り,あわせて88.6%である。 これに対 して里親委託 は11.2%である。 5歳か ら1 0歳では養護施設児92.1%,里親委託児が7.8%とな っている。 この数字を学童期の児童の個別的処遇を重んず るイギ リスにおける要保護児童の措置状 況
1
0
)(
<
図3-1>
) と比較す るとその差 に驚かされる。 イギ リスの要保護児童 0歳 か ら 4歳 においては,施設 ケア-が 6%,里親委託が77%,養子縁組が 8%,Homeontrial とよばれる家庭復帰の試験期間が6%となっている。 5歳か ら10歳で も,施設 ケア-は25 %に過 ぎない。 わが国の要保護児童養育 において,施設での集団保護の割合が高 く見 られることに対 し て菊地 は次のように述べている。 「一人ひとりの子 どもの処遇 には,個々の児童相談所のケースワーカーの力量 と,主観 又 は個人的意識 も関係 して くる。すなわち,児童相談所 に保護 した子 どもをどこで養護す るか,施設なのか里親 なのか,それ とも養子縁組なのか ということは,個々の児童福祉司 の判断や児童相談所の方針,そ して地方 自治体の施策 に委ね られている。 しか し,多種多 様 な児童相談 を一手 に引き受 ける児童相談所 においては,恒常的に職員が不足 し,里親委 託 に専門的に取 り組めるゆとりや,体制を もっ ところは稀であ り, ごく一部の児童相談所 を除いて,里親委託 は 『片手間』 に しか行われていない。
」1
1
)
<図3-1> イギリスにおける養護児童の措置状況 (平湯真人 r施設でくらす子どもたちJより) - 56-<表3-3> 里親委託児,養護施設児,乳児院児の委託又は入所時の年齢別児童数 (平成4年度) (厚生省児童家庭局 「養護児童等実態調査結果の概要」より) 児 童 数 (人) 構 成 割 合 (%) 里親委託児 養護施設児 乳児院児 里親委託児 養護施設児 乳児院児 総 数0歳 2,627958 26,72555 2,2,691935 10li0.p.00 100.0.02 1081.0.05 1歳 347 811 436 13.0 3.0 16.2 2歳 583 5,419 54 21.8 20.3 2.0 3歳 389 3,634 2 14.5 13.6 0.1 4歳 227 2,368 - 8.5 8.9 -5歳 6歳 115776 2,2,040435 5.6.86 7.9.60 7歳 88 1,682 - 3.3 6.3 -8歳 88 1,514 - 3.3 5.7 -9歳 69 1,334 - 2.6 5.0 -10歳 49 1,177 - ・1.8 4.4 -11歳 12歳 4147 1,1,001326 1.1.58 3.3.89 13歳 28 1,005 - 1.0 3.8 -14歳 30 735 - 1.1 2.8 -15歳 30 355 - 1.1 1.3 -16歳 16 72 - 0.6 0.3 -17歳 18歳以上 15 44 0.6 0.2 平均年齢 4.4歳 6.4歳 0.5歳
●
●
●
[分析 ・考察] 年齢別特徴 をあげると次 の ことがいえ る。 ① 里親委託 され る児童 の年齢が 0歳か ら6歳 に多 く, そのなかで も 0歳か ら4歳 の割合 は68.8%と高 い。 そ して,学童期 は年齢が高 くな るごとに里親委託 が減少傾向にあ る。 里親委託 において は,性格や 自我が はっきりと形成 されてお らず,新 しい環境 に順応 Lやすい低年齢の児童が望 まれる傾向にあると予想 される。 また, この年齢 は,特別養子 縁組の制限年齢内であることも,数字 に大 きく影響 していると思われる。 (診 乳児院に 0歳児で入所す る児童が
81
.
5
%
,1
歳児では1
6
.
2
%
,2
歳児では2
.
0
%
であ り 里親委託 においては2
歳児で委託 される割合が一番多いことか ら,乳児期 は乳児院で保 護 された後 に里親 に委託 される場合が多 いのではないだろうかと菊池 は推測 している12)0 ③1
6
歳以上 になると里親委託及び養護施設の入所の双方 において人数の割合が低 く,1
8
歳 においては0%
である。 このことについて菊池 は年齢が高 い児童 にとっては,保護 さ れる適当な場がないのではないか と指摘 している13)0 乳幼児の割合が全体的に高いことか ら,養護問題が乳幼児 に多 く発生 しているように思 われるが,実際には学童期や高年齢の児童 にも養護問題が発生 していると推測する。要保 護児童 は,常 に保護,養護が必要 な乳幼児が対象 となって しまうことが, このような数字 とな って表れているのではないだろうか。学童期以上の児童 に養護問題が発生 したとして ち, 自分の意志を持 ちは じめるこの頃の保護 は難 しい問題を抱えていると思われる。 養護施設 においては,2
歳児の入所の割合が圧倒的に多い。低年齢の児童を保護,養育 す る場合,幅広 い年齢層の児童がいる養護施設での保護 より,低年齢の児童 を専門的に保 護,養育できる乳児院の入所措置のほうが適当であるように思われるが,これについては, 次 のように考える。施設在所期間 (要保護 の期間)が不確定な場合を想定す ると,初 めは 乳児院への入所措置を採 り,その 1, 2年後 に養護施設へ措置変更 し,特定の大人 との関 わ りが大変重要なこの時期の児童の人間関係や生活 に変化を与 えるよりも,初めか ら養護 施設 に入所 させ同 じ施設でなれ親 しんだ仲間や保育士たちと長 い間生活 させ ることが児童 のよりよい発達 につながると考え られているためではないだろうか。-5
8
-<表3-4>里親委託期間又は養護施設児,乳児院児の施設在所期間別児童数 (平成4年度) (厚生省児童局 「養護児童等実態調査結果の概要」より) 児 童 数 (人) 構 成 割 合 (%) 里 親 養 護 乳児院児 里 親 養 護 乳児院児 委託児 施設児 委託児 施設児 総1 年 未 満数 2,564578 26,4,752654 2,1,662936 1020.0.04 100.17.01 1060.0.04 1年以上 - 2年未満 334 3,608 803 12.5 13.5 29.8 2年以上 -3年未満 240 3,025 229 9.0 ll.3 8.5 3年以上 -4年未満 179 2,512 26 6.7 9.4 1.0 4年以上 -5年未満 5年以上 -12年未満 12 年 以 上 921764143 2,9,1,413199305 3 36.6.9.501 35.8.5.231 0.1 [分析 ・考察] 期間 は, いずれ も1年未満が最 も多 く,長 くなるに従 い児童数が漸減 している。平均期 間 は,里親委託児が5.2年,養護施設児が4.7年,乳児院児が0.9年 とな っている。 児童が短期で里親委託 され, その後家庭復帰で きているな らば望 ま しいが,
1
,2
年で その他 の措置 に変更 されていることも予想 され, そ うな ると要保護児童 にとってはかな り 厳 しい現状 だ と思われ る。 これに対 して菊地 は 「里親委託で は,2年以上5年未満の長期 で もな く短気で もない中間里親委託が比較的少 な く,里親委託期間が5年以上 の児童が45 % と多 い ことか ら,1年未満か ら2年未満の短期 の里親委託 の33%はおそ らく養子縁組 を目 的 とした乳幼児 の里親委託で はないだろうか」14)と分析 している。 また, 平成6年度 の統 計 で は,里親 を解除 したケースの57.8%が養子縁組のためであ った。 この ことか ら菊地 は 「里親委託期間が5年未満の ものにも養子縁組 を予定 している子 ど もがか な り含 まれて い て, それ以外 の子 どもの多 くは長期 に里親家庭で養育 され る傾 向が あ るので はな いか」15) と述べている。 児童の要保護期間が長期 になると予測 され る場合で も,里親委託で はな く施設で子 ども を預 か って欲 しい と希望す る保護者 は少な くない。 だが,1
2
年以上 もの間,家庭 というも のを体験す ることな く施設で生活 した児童 に,今後何 らかの支障 はないのだろうか。<表3-5> 里親委託期間又は養護施設児,乳児院児の施設在所期間別児童数 (平成4年度) (厚生省児童局 「養護児童等実態調査結果の概要」 よ り) (単位 :人 (%)) 里親委託児 養護施設児 乳 児 院 児 総 数 2,678(100.0) 26,725(100.0) 2,693(100.0) 家 庭 か ら 708(26.4) 19,451(72.8) 2,115(78.5) 乳 児 院 か ら 1,027(38.3) 4,678(17.5) 26( 1.0) 養 護 施 設 か ら 708(26.4) 879( 3.3)
*
他の児童福祉施設か ら 44( 1.6) 536( 2.0)*
里 親 家 庭 か ら 86( 3.2) 293( 1.1) 3( 0.1) *は調査項 目としていない。 [分析 ・考察] 2万人以上の養護施設児が一度施設 に保護 された後,里親委託 に措置変更 される割合 は わずか708人,26.4%に しかす ぎない。施設入所後 も児童 の生活 プ ランや保護者 の状況 の 変化 に応 じて,児童の最善を考慮 した処遇 を再検討することも必要ではないだろうか0 また,何 らかの理由により,里親委託か ら他へ措置変更 される割合 は次のようになって いる。 ・里親家庭へ8
6
人3
.
2
%
・養護施設へ2
9
3
人1
0
.
9
%
・乳児院へ3
人0
.
1
%
・教護院へ1
0
人0
.4% (厚生省家庭児童局 「養護児童等実態調査の結果概要」 より) 里親委託か ら教護院に措置変更 されるケースが少 しではあるが見 られる。児童が里親家 庭 に順応で きないス トレスか ら犯罪行為 に走 って しまうとも考え られ,里親委託の難 しさ を物語 っているといえる。里親委託か ら他の措置へ変更 いったん委託 された児童が,措置 変更 にな り他の里親又 は施設 に行 くことは,児童 に不安を与えることになる。 しか し,そ れが児童のためにやむをえない場合であれば,そうせざるを得ない。 その場合の措置変更 については,措置変更の決定 と時期などにおいては細心な配慮を必要 とする。 -60-児童の里親委託 に関 して 「里親等家庭養育運営 について
」
の第1
章第6-2
には 「里親 に児童を託す場合,当該児童に最 も適合す る里親 に委託す るように努めること」 とあ り, 里親養護達成の核 となるのは,的確な里親 に児童を委託することであるといわれる。 児童 の適性委託すなわちプ レースメント(
pl
ac
e
me
nt
)
にはその出発点か ら極めで陵重な配慮 と技術を要する。そのため児童相談所 には,里親委託 に関 して専門で熟達 したケースワー カーが必要 となって くる16)o 少ない里親委託児のなかで,里親委託か ら施設などに措置変更 される割合 は1
4.
7%
であ り,残 る8
5
.
3
%
あまりは里親委託の目的を達成 しているようである。 しか し,措置変更 に なった児童 にとってはつ らい状況である。里親委託の失敗を未然に防 ぐために行われるべ き里親家庭の選択や委託後のサポー トはどのように行われていたのだろうか。 <表3-6>年度別里親委託径路 (厚生省情報統計部 「社会福祉業務行政報告」より)理
由
年
度
総 (A)数 施 設 か ら児 童 福 祉受 託 受家 庭 か ら託 そ の 他 年度末現在委託児童数(B) (B)/(A) 30 3,03人8 1,5人15 1,34人7 5人40 9,1人11 33.%3 33 2,493 1,078 1,004 371 9,489 26.3 36 2,111 837 945 329 8,664 24.4 39 1,621 570 762 289 7,420 21.8 42 1,222 491 530 ° 201 5,977 20.4 45 1,061 443 497 121 4,726 22.4 48 1,005 490 448 117 4,028 24.7 51 956 450 432 74 3,687 25.9 54 790 388 355 67 3,277 24.1 57 946 .416 469 61 3,297 28.7 60 930 472 382 76 3,322 28.0 63 平成4 980070 446647 328554 7598 3,2,485257 226.7.27<表3-7> 年度別里親への措置を解除 した児童の状況 (厚生省児童家庭局 「養護児童等実態調査の概要」 よ り) (単位 :人)
理
由
年
度
保護者の必要がなくなり 帰 宅 養子縁組 満 年 逃 亡死 亡 就 職 その他 総 数 30 463 342 498 33 - 681 2,017 33 479 413 545 32 - 650 2,119 36 366 409 404 28 - 714 1,921 39 220 499 244 ll 496 286 1,756 42 234 481 256 9 386 194 1,560 45 177 473 189 10 221 100 1,170 48 199 423 92 5 167 105 991 51 232 383 41 4 190 73 923 54 197 332 37 3 170 73 812 57 211 306 43 2 154 47 763 60 256 303 36 ll 108 60 774 63 平成4 217916 336482 7890 15 12900 3571 879455 注 :里親制度の適応年齢 は,満18歳 までであり,解除理由の 「満年」 とは,委託児童が満18歳 になり委託措置が解除 されたことを示す。 [分析 ・考察] 時代 によ って措置数(
P.
5
4
<
表3-1
>
参照) や解除数 に大 きな波があ るの は, その時代 風景 と児童 の保護,養護 の在 り方 の考 え方が大 き く関係 して い る。 昭和3
9
年 頃か ら解除数 が措置数 を上回 り年 々その差が大 き くな っている。 これに対 して松本 は 「昭和36年 頃を境 と して,要保護児童 の措置 の方法 と して措置期間である児童相談所 の在 り方 が,里親委託 に消極 的傾 向にあ った ことを認 めざるを得 ない」17)と指摘 して い る。 解 除理 由 につ いて見 ると,昭和36年以降か ら措置解 除総数 中で 「養子縁組」
によるものの占める割合が高 くな っ て いる。 これにつ いて松本 は次 のよ うに分析 している。 「里親委託 が盛んであ った ときには,養護児童 の生活保障 をす るために不幸 な児童 の養 護 を受託 す るとい う,里親制度 の本質 を理解す る里親 が多 か ったのであ るが, このよ うな 養育里親 が少 な くな り, 自家 の繁栄 のため養子縁組 を希望す る里親 が多 くな って きた とき に,児童 の委託 が極端 に減少 して きているとい うことであ る。養子縁組 を希望す る里親 に - 62-とって注文通 りの里子 が容易 に兄 いだ され ないので,登録里親 は増加 して も実 際 に委託 の 成立 す る数 は少 な くな る。 したが って,養護児童 は乳児 院 また は養護施設 に措 置 され,壁 親制度 の運用 はます ます弱体化す るので あ る。」18)そ して この頃か ら 「要保護児童 の生 活 保 障 をす るために不幸 な児童 の養護 を受託 す る
」
とい う里親制度本来 の 目的 とい うものが失 われ現在 にいた って い るのであろ う。 また,措 置解 除後 も児童相談所 は,児童 や保護者 へ の精神 的 ケアな ど も含 めた様 々な援 助者 と して子 ど もの福祉 が守 られてい るか見守 る必要 が あ る。 (3) 里親委託児,施設入所児の家庭 の状況 <蓑 3-8> 養護問題発生別児童数 (平成4年度) (厚生省児童家庭局 「養護施設等実態調査の概要」より) 養護問題発生理由 児 童 数 (%) 構 成 割 合 (%) 里親委託児 養護施設児 乳児院児 里親委託児 養護施設児 乳児院児 総 数 2,678 26,725 2,693 100.0 100.0 100.0 養 育 拒 否 568 1,131 142 21.2 4.2 5.3 父 母 の 行 方 不 明 468 4,942 300 17.5 18.5 ll.1 そ の 他 (未 婚 等 ) 248 1,199 822* 9.3 4.5 28.2 父 母 の 離 婚 241 3,475 101 9.0 13.0 3.8 棄 児 210 270 123 7.8 1.0 4.6 父 母 の 入 院 156 3,019 285 5.8 ll.3 10.6 父 母 の 就 労 143 2,968 242 5.3 ll.1 9.0 父母の性格異常 .精神障害 140 1,495 234 5.2 5.6 8.7 父 母 の 死 亡 123 1,246 49 4.6 4.7 1.8 父 母 の 放 任 . 怠 惰 120 1,920 72 4.5 7.2 2.7 破 産 等 経 済 的 理 由 81 939 77 3.0 3.5 2.9 父 母 の 拘 禁 57 1,083 94 2.1 1.6 3.5 父 母 の 不 和 39 429 101 1.5 5.7 3.8 父 母 の 虐 待 . 酷 使 50 947 39 1.9 3.5 1.4 注 :822*は,両親未婚577,家族の疾病の付添38,実子出産33を含む。 [分析 ・考察] 養護 問題発生理 由は,里親委託児,養護施設児,乳児 院児 いずれ も 「父母 の行方不 明」 が上位 を 占めてい るが,養護施設児 に多 い理 由が里親委託児 にはあま り見 られない ものがある。 養護施設児 においては,両親が児童を養育 したいと思 って も 「父母の入院」,「就労」 などの理由で養育できない状況 にある場合が多いのに対 して,里親委託児 においては 「養 護拒否」や 「棄児
」
が比較的多い。 このことに対 し菊地 は 「委託 に同意の しやすい理由が 里親委託児童 に多 く,同意の得 に くいような理由は委託率 も低 くなっている.これらのケー スは手間暇かけて里親 に委託す るようなことはせず,施設入所で処分 される傾向を示 して いる」 19)と述べている。 また,「父母の虐待 ・酷使」
や 「児童の問題 による監護困難」 において は, 里親委託 の 割合が低 い。 このような理由の場合,児童 は心 に深 い傷を残 しその対処が非常 に難 しいと いわれていることか ら,複数の専門家が児童 に関われる施設入所措置のほうがよいと考え られるためであろう。(
4
)
家族 との関係 <表3-9>
里親委託児 に関す る父母 との交流関係及び里親委託時,養護施設,乳児 院入所時の保護者の状況 (平成4年度) [分析 ・考察] 保護者 との交流関係 において 「交流な し」の割合 は,里親委託児が8
4
.4
% と最 も高 く, 特 に里親委託児 において家庭復帰の難 しさが示 されている。養護施設児 においては21.5%, 人数 に対 して5,720人あまりの児童が家族 との交流がない。 これ らの児童達が短期 の予定 で施設 に預 けられている児童な ら大 きな問題 はないが,施設在所期間が長期の予定であっ た り又 は長期間施設生活を送 っている児童であるな らば,それ らの児童 に代替的家庭 は必 要だと思われる。 ー64-<表3-9>里親委託児 に関する父母 との交流関係及び里親委託時 養護施設,乳児院入所時の保護者の状況 (平成4年度) (平湯真人 r施設で くらす子 どもたちJ よ tJ) 里親委託児 養護施設児 乳児院児 実数 (人) 構成割合(%) 実数 (人) 構成割合(%) 実数 (人) 構成割合(%) 総 数 2,678 100.0 26,725 100.0 2,693 100.0 交 交一 流時 帰あ 宅り 410240 15.1 214,0,497448 78.5 1,394480 72.3 読 面 会 129 4,211 1,466 関 係 電 話 .手 紙 連 絡 155 2,323 142 交 流 な し 2,261 84.4 5,720 21.4 743 27.6 不 詳 13 0.5 27 0.1 2 0.1 保 護 両 親 又 は 片 親 1,869 69.8 23,223 86.9 2,425 91.1 実 母 父 あ り 374 5,682 1,003 実 父 の み 352 8,745 283 実 母 の み 1,021 7,191 1,134 養 父 母 関 係 有 り 119 1,569 30 者の 不 詳 1 36 両親 ともな し .不明 806 30.1 3,489 13.3 241 8.9 親 族 あ り
*
479 2,485 103 有蘇 親里 族 な し 親*
14280 313940 172 不 明 153 443 116 不 J 詳 6 37 3 注 :*親族 には以下を含む :祖父母,養父母 の親,兄 ・姉,義兄・義姉,伯父母,義伯父母,その他<表3-10-1> 里親委託児,養護施設児の今後の見通 し別児童数 (平成4年度) (厚生省家庭局 「養護児童等実態調査結果の概要」より) (単位 :上段/人,下段/%) 総 数 保護者 のも と へ 親戚等の家族への 現在のま自立 まで 養子縁組又 は 現在のまま で は その他 復 帰 引き取 り まで養育 里親委託 養育困難 里 親 2,678 125 4 1,474 947 18 110 委託児 100.0% 4.7% 0.1% 55.0% 35.4% 0.7% 4.1% 養 護 26,725 6,367 260 18,492 244 154 1,208 施設児 100.0% 23.8% 1.0% 69.2% 0.9% 0.6% 4.5% <表3-10-2> 乳児院児の今後の見通 し別児童数 (平成4年度) (厚生省家庭局 「養護児童等実態調査結果の概要」より) (単位 :上段/人,下段/%) 総 数 保護者の 親戚等の 現 在 の 養子縁組 施 設 -養 護へ その他 も と へ 家族への 乳児院で 又 は 復 帰 引き取 り 養 育 里親委託 乳 児 2,693 785 27 882 530 372 142 院 児 100.0% 29.1% 1.0% 32.8% 19.8% 12.1% 5.3% [分析 ・考察] 養護施設児 においては両親又 は片親が存在 している場合が多 く,保護者 との交流がある に高 い割合を示 しているが,今後の見通 しとしては 「自立 まで現在のままで養育」の割合 が圧倒的に多 く,里親委託児 と同様,養護施設児 において も家庭復帰が容易にいかないこ とを物語 っている。保護者が存在 し交流がある場合であって も,児童がよりよ く発達す る ための最善の処遇を今後 も再検討 し続 けて欲 しいと感 じる。 前述 したように,近年では養子縁組を目的 とす る里親登録者が増加 している反面,それ に適当な児童, いわゆる両親や保護者を失 ったことを理由として要保護 になる児童が減少 しているため,委託がなかなか進 まないという現状があ り,昭和
6
3
年か ら民法 に特別養子 - 66-縁組が制度化 されてか ら特 にそのような傾向は強 くなっている。里親委託児の今後の見通 しにおいて 「児童の自立 まで養育」で養育の割合が最 も高い割合であったのは,現在児童 が委託 されている里親 は,養子縁組里親登録者が増加す る以前 に里親登録 した養育里親が 多いのではないだろうか。委託 されている児童の里親が比較的高年齢
(
P.
6
8
<
表3-1
1
>
参照)であることか らもそのように推測で きる。 また,養子縁組里親 にも養子縁組 に強 くこだわ らず,養育里親 として子 どもを育てるこ とで自分たちの生活 に幅を広げたり, また子育てに悩む人への子育て支援者 として活躍 し て欲 しい。 (5)里親家庭の状況 児童が委託 されている里親家庭数2,194世帯 (100.0%) その他49(2.2%)「
児童福祉への 理解か ら(20.4328%) 不 遇 な児童への同情か ら(122.74%)3 子 どもを育てたいか ら735 養子 を得 たいため699I
<図3-1>里親 申 し込み動機別里親家庭敷 く平成4年度) (厚生省家庭局 「養護児童等実態調査結果の概要」 よ り) [分析 ・考察] 「児童福祉への理解か ら」
「不遇な児童への同情か ら」
「子 どもを育てたいか ら」などの 動機 は,大 きな意味で とれば 「要保護児童の生活保障をするために不幸な児童の養護を受 託する」 という里親制度の本来の目的にすべてが含 まれ,里親制度の本来の目的が多 くの 里親たちに理解 されてると思われる。養子縁組を目的 とした里親が増加傾向にある現状 に あるなかで, このような結果が出たことについては,児童の今後の見通 し(
P.
6
6
<
表3-1
0-1><
表3-1
0-2>
参照)で前述 したのと同様 に,実際に児童が委託 されている里 親 には養育里親が多いことがあると推測す る。 また,家族形態が変わ りつつあるわが国に おいて,昔のように自家の繁栄のためにどうして も跡取 りが必要 といった考えが薄れ,秦 子縁組里親であって も 「子 どもを育てる経験を持ちたい」 ということが里親を希望す る第 -の動機 となっているためではないだろうか。<表3-11> 里親の年齢別里親家庭数 (平成4年度) (厚生省家庭局 「養護児童等実態調査結果の概要」 よ り) (単位 :上段/人,下段/%) 総 数 30歳未満 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 いな い 不 詳 里 父 2,194 2 236 972 689 233 58 4 100.0% 0.1% 10.8% 44.3% 31.4% 10.6% 2.6% 0.2% 里 母 2,194 13 410 1,016 576 158 18 3 児童が委託 されている里親 の年齢 は