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切断加工したシリコン単結晶の強度に及ぼす後加工の効果

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Academic year: 2021

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切断加工したシリコン単結晶の強度に及ぼす後加工の効果

[研究代表者]高木

誠(工学部機械学科)

[共同研究者]岩田博之(工学部電気学科)、坂

公恭(総合技術研究所)

河口大祐(浜松ホトニクス株式会社)

研究成果の概要 シリコン(Si)単結晶はマイクロシステム(MEMS)応用において構造材料として使用されるようになってきたが、その 機械的性質についての基礎データは十分ではない。またシリコン単結晶は高純度で極めて完全性の高い結晶構造を有 するため、機械的性質に及ぼす微構造の影響を調べるには適している。本研究では、シリコン単結晶の機械的性質が 切断加工に伴い低下する原因と、その後加工の効果を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて微構造変化の観点から調べ た。具体的には、レーザーを用いたストレスダイシング法およびダイヤモンドブレードダイシング法で切断加工しシ リコン単結晶ウエハを試料として、それぞれの切断部にアルミナによるバフ研磨を行い、それに伴う機械的性質と微 構造の変化を調べた。その結果、シリコン単結晶には切断加工に伴い転位やマイクロクラック等の欠陥が発生して強 度が低下するが、切断部にバフ研磨を施すと、それらの欠陥がほぼ除去されて強度が向上することが明らかになった。 研究分野:材料工学、材料科学 キーワード:シリコン単結晶、切断加工、透過型電子顕微鏡 1.研究開始当初の背景 医療や情報など様々な分野において、狭小空間で動作 可能なマイクロシステム(MEMS)の開発が期待される。一 般的に MEMS を構成する微小な機械要素部品の材料とし ては、微細加工技術が確立しているシリコン(Si)単結晶 が使用される。しかし、Si 単結晶はこれまで電子材料 として使用されてきたため、機械的性質については十分 に調べられているとはいえない。また Si は完全性の高 い単結晶構造が得られる稀有な材料であるため、機械的 性質を司る微構造変化を調べる上で適している。 2.研究の目的 本研究では、シリコン単結晶の機械的性質に及ぼす切 断加工の影響を解明するとともに、後加工によりその機 械的性質を改善することを目的とした。こうした加工に 伴い機械的性質が変化する原因を解明するために、微構 造の変化を詳細に調べた。 3.研究の方法 ストレスダイシング(SD)法およびブレードダイシ ング(BD)法の2種類の方法で切断した幅 10mm×長 さ 30mm の Si 単結晶ウエハを試料として使用した。SD 法とは、レーザー光を Si 単結晶の内部に集光させて走 査することによって改質層を線状に形成した後、引張応 力を作用させてその改質層を起点に劈開破壊すること により切断する方法である。BD法とは、ダイヤモンド ブレードを用いて Si 単結晶を機械的に切断する汎用的 な方法である。 上記2種類の方法で切断加工した Si 単結晶ウエハ試 料を用い、その後加工として切断面をアルミナ微粉末で バフ研磨することで、SD法およびBD法による切断加 工で生じた凹凸形状を除去し、切断面を平滑にした。 後加工前後において、機械的性質を4点曲げ試験によ り測定し、切断面の表面形状をマイクロスコープで、内 部の微構造をTEMで観察した。なおTEM観察用薄片 試料は集束イオンビーム(FIB)を用いて作製した。 4.研究成果 ( 1 ) SD法で切断した Si 単結晶 レーザーを用いたSD法で切断した Si 単結晶ウエハ の切断面を、マイクロスコープで観察した結果を図1に

摩擦面

摩擦面

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(2)

示す。 レーザーを内部に3箇所深さを変えて集光させ走査し ているため、3本の改質層が生じている。改質層には凹 凸があるが、それ以外の部分は改質層を起点に劈開破壊 させているため、平滑な面になっている 切断面の改質層と劈開破壊面の断面をTEMで観察 した結果を図2に示す。改質層は表面が平滑ではなく、 複雑な転位が多数発生し微小なクラックも生じている ことがわかる。それに対して劈開破壊した面は平滑で、 転位などは発生していない。 ( 2 ) BD法で切断した Si 単結晶 ダイヤモンドブレードを用いるBD法で切断した Si 単結晶ウエハの切断面を、マイクロスコープで観察した 結果を図3に示す。ダイヤモンドブレードによる切断傷 が何本も生じ、この試料ではほぼ中央部に大きな切断傷 あり、切断面全体にわたって凹凸がある。 切断面の断面をTEMで観察した結果を図4に示す。 表面は平滑ではなく、すべり面に沿った転位が多数発生 していることから、切断時に塑性変形が起こっていると いえる。また微小なクラックも発生している。 (3) バフ研磨による後加工の効果 前記2種類の方法で切断加工した Si 単結晶ウエハ試 料を、後加工として切断面をアルミナ微粉末でバフ研磨 した。SD法およびBD法ともに、バフ研磨後には図5 に典型的な例を示すように、切断加工で生じた凹凸は無 くなり平滑な面になっている。 バフ研磨後の切断面の断面をTEM観察した結果を 図6に示す。表面は平滑で、転位などはほとんど見られ ず、切断加工によるダメージは除去されている。 4点曲げ試験の結果、切断後にバフ研磨を施した Si 単結晶の強度は、SD法で切断した Si 単結晶で大幅に 向上し、BD法の場合も向上が見られ、最終的にSD法 およびBD法ともにほぼ同等の強度になった。これはバ フ研磨により表面が平滑になったためと、転位や微小ク ラックが除去されたためであると言える。 図 3 . SD法で切断した Si 単結晶ウエハの切断面 図1.SD法で切断した Si 単結晶ウエハの切断面 レーザー改質層 図2.SD法による切断面の断面TEM像 (a) 改質層 (b) 劈開破壊面 500 nm 0.1 mm

(a)

(b)

Si 単結晶ウエハ 転位 クラック Si 単結晶ウエハ 表面 劈開破壊面

(b)

0.1 mm 図4.BD法による切断面の断面TEM像 200 nm クラック 転位 Si 単結晶ウエハ 表面

摩擦面

摩擦面

0.1 mm 図 5 . バフ研磨後の Si 単結晶ウエハの切断面 図6.バフ研磨後の切断面の断面TEM像 200 nm Si 単結晶ウエハ 表面

摩擦面

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