87
鳥
取
大
学
の
諸
問
題
(5)
― 地 元 有 識 者 層 か ら み た 鳥 取 大 学 ―
教育社会学研究室後 藤
Ⅵ
-1
研
究
の
概
要
1
目 ① これまでの報告は,主
として,鳥
取大学が地域社会 との関連で果 してきた,教
育機会供給 と人 材養成の機能に関す るものであった。今回は,
これまで と視点を変え,県
内有識者の意見等 を資料 に,鳥
取大学 と地域 との関連にかかわ る機能への期待を,主
として把握す ることに したい。(1) ②鳥取大学は,鳥
取県内に存在す る唯一の四年制大学である。そのため,多
かれ少なかれ,地
域 の問題 とかかわ りを持たざるをえない立場 と価値がある。学部 として,あ
るいはそ こに所属す る教 官個人 として,濃
淡の差 こそあれ,地
域の問題 とかかわっての活動が行なわれて きたはずである。 このような実情を土台に,県
内有識者の意見を問 うことは意義のあることと考 え ら れ る。その中 に,ど
のような評価が合まれ,ど
のような期待が形づ くられているのか。 この点を 把 握 す ること が,鳥
取大学の存在意義 と価値を明 らかにす る第一歩 となろう。 さらに一歩を進めれば,所
在地域 とかかわって,大
学の果すべ き機能のあ り方にも,新
たな光を投げかけることにな るはずである。 ①今回の報告に合まれ る研究は,以
上の問題意識か ら,つ
ぎのようなね らいが設定 された。 ①鳥取県内在住の各領域の指導者層,エ
リー ト層を,意
見聴取の対象に設定す る。 ③ これ ら対象者の鳥取大学に対す る評価や期待は,サ
ービス供給機能についての現状 と将来の姿 を端的に示すはずである。 ① これ ら対象者 は,比
較的広 く自由な視点か ら,鳥
取大学の存在意義を確認 させて くれ る,
きび しい意見をも,あ
わせて表明 して くれ るにちがいない。 ①そのために,具
体的には,「
大学の機能や構成要素への評価」,「
進学対象 としての鳥取大学 」,「
鳥取大学のあり方」,「
大学 との接触の凱状 と期待」,「
大学 と地域 との関連」,「
大学の 将来の姿」の各項 目について意見を間 うことにす る。 ④ この研究は,昭
和46年度,高
校生の父親を対象 として行なった先行研究調査 と,か
な りの部分重 複があ り,結
果の比較が可能である。 この両者 は,評
価やあ り方に関し,相
当程度異なった結果が み られ るものと考えた。高校生の父親では,直
接に高等教育機会の享受者 とい う立場か らの発想に 住)こ
の研究は,東
京大学の清水義弘教授を研究代表者 とする高等教育研究会が,文
部省の昭和47年度科学研 究費による総合研究 の一環 として行なったものである。 この研究は秋 田,山
形,山
梨,鳥
取,岡
山,徳
島の 各大学研究班の分担研究の形をとり, これに東京の総合班が加わ り,総
合的分析研究の体制で行なわれたも のである。 ここでの報告 は,主
として鳥取大学についての資料による。 也 誠後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題 (5) よ り
,有
識者層 で は,む
しろサー ビス機能 の享受者 とい う立場 か らの発想 によ り,反
応 の質 的な差 異 が生す ると考 えたか らであ る。 ③地方 国立大学 は,
ともすれば「 駅弁大学」 とい った呼 び方で軽 く扱かわれて きた。 それ は,虎
(東大,京
大)に
な ろ うとしてなれなか った狐が,虎
の威 を借 りて (地方 国立大学の中央志 向)と ヽ る姿 を表現 した ものであろ う。 こうした批判 とヤユ にもかかわ らず,地
域 の問題 に積極 的 に関心 を 示 す ことで,存
在意 義を確 立 しは じめた大学 もあ る。 そろそろ,所
在地域 の問題 を積極 的 に と りあ げ ることで,地
方 国立大学 の独 自なあ り方 を求 め る時期 が到来 して い るともいえ る。数年前 の大学 紛争を契機 と して,大
学 内部の問題や管理運営の問題 につ いては,少
な くない研究成果 が蓄積 され て きた。 にもかかわ らず,大
学 と地域 との関連 を扱か った研究成果 は少な い。(2)そ
の理 由は,多
くの大学 で,地
域 との関連 で作動す る機 能 が,大
学・ 学部 と して よ り,教
官個人 の レベルで解 消 さ れて しまい,二
次 的に しか と りあげ られて こなか ったか らだ といえ るか らであ る。今 回の この報告 は,主
と して鳥取大学 の資料 を扱か うことにな るが,高
等教育研 究会 の共 同研究成果 は,地
方 国立 大学 の地域 的機能や存在意義を確認す る,ひ
とつ の資料 を提示す ることになろ う。2方
2-1
調査対象 ①調査対象 は,県
内在住の有識者層を網羅す ることに した。有識者層は,一
応,政
治,行
政,教
育,産
業,文
化の各領域に分 けて選定す ることとした。 ②①政治領域 は,国
会議員,県
議会議員,市
町村議会議長を対象 とした。 ①行政領域は,知
事をはじめ知事部局の次長以上,四
市の三役,町
村長を対象 とした。 ①教育領域では,県
教育委員,県
教委事務局の課長以上,四
市の教育委員長 と教育長,町
村教育 長,高
校長,小
。中学校長会長,県
教組・ 高教組の執行部,私
学の理事長・ 学長か ら選定 した。 ①産業領域は,企
業経営者 (地元資本),商
工会議所の役員 クラスより選定 した。 ③文化領域は,各
種審議会委員,医
師会,弁
護士会等 の役員 クラス,報
道機関の長 クラス, PT
A県
連合会等各種団体,農
協・ 果実連等の会長クラス,地
評の執行部等か ら選定 した。 ③各領域の対象者数は表 4の とお りである。 これ らの数は,調
査者側で作為的に決定 した。 この 中には,国
の行政官庁の出先機関の長は原則 として合めず,主
として,地
元有識者層 よ り決 定 し た。2-2
調査方法 ①調査は,対
象者 に調査票 (高等教育研究会のメンバーで作成 し,共
同研究6大
学に共通す る内 容のもの)を
送付 し,回
答を記入 して もらった上,郵
送 により返却 してもらった。調査票は記名式 を採用 した。 ②調査は,諸
種の事情によって遅れ,昭
和48年1月29日 に調査票を発送 した。回収は 2月 1日か 121 前稿(6)にも述べておいたが,大
学 と地域 との関連に関する研究 はほとん どない。大学進学者の属性等の問 題か らの,ま
た,各
大学への入学者の出身地域等の問題か らの接近はある9,5,10,11,12)。
しか し, 地域住民を対象 としての研究は,高
等教育研究会メ ンバーのもの(1,2,5,6,7,3,の
に限 られてい る ように思われる。 88鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第45巻 第 1号 56.8% ら始 ま り5月 初旬 までで打 ちき りと した。なお
,督
促 は しな か った。 回収状況 は表1の とお りであ る。各対象者 には,忙
が しい時期 にもかかわ らず,多
数 回答 を寄せて くだ さった。 郵送法 によ る調査 と して は,督
促 な しで60%も
の回収率をあ げえた ことは,対
象者各 位の ご協力 によるものであった。 こ こに記 して謝意を表す る次第であ る。 69.0 る0.5 89 表 1 調査対象数等 1対 象数 5Cl 46 6ワ 調 65.0 58.2 416 57 1 252 1 Ⅵ-2
結 果 の 概 要1
回答者 の属性等 ① 年齢 回答者 の年 齢 は比較 的高 か った。50歳 代 が全体 の
44%を
占め最 も多 い。 また45∼ 65歳 の間で71%
とな る。 回答者全体 の平均年 齢は56.2歳,標
準偏差 は8.ワ歳 で あ った。 この ことは,
対象者 の社会 表2
回 答 者 の 年 齢 ∼45 1 ∼50 1 ∼55 1 ∼60 ∼65 1
∼70 ︲ ︲ , 4 一 50 ︲0〇 一 霜ゆ
脚
一
6︲0.5
・
的地位に対応する特性のあらわれ とみたい。ただ,年
齢の分布がかな り広がっていることは注 目し ておきたい。 ② 最終学校 ①回答者の学歴 は高い。旧制大学の19%,専
門学校卒の27%を
合め,高
等教育卒業者は,回
答者2
4.C
一
﹁
駆
一
5
翔
一
1
後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題
(5)
表 5 回 答 者 の 最 終 学 校 全体 の半数強にのぼ る。初等教育卒 は少ない。 リーダーあ るいは地域 のエ リー トとな るためには, 学歴 が関連す るもの と考 え られた。領域 によって は,高
学歴者 の非常 に多 い と ころ と低学歴者 の多 い ところがあった。 ①最終学校 の所在地 をみ る とつ ぎのよ うにな る。 およそ回答者 の54%ま
でが,県
外所在 の学校卒 業者 で あ った。 うち,東
京地 区が21%,京
都・ 大 阪地 区が14%,隣
県 が9%が
主 な ところであ る。 回答者 の半数強を占め る高等教育卒 の うちで は,県
内の学校卒 は9%に
す ぎな い。専門学校では, 京浜地 区が55%,京
都・ 大 阪地 区が24%と
な ってお り,鳥
取高農卒 は15%で
あ った。 旧制大学卒で も東京地 区が48%,京
都・ 大 阪地 区が29%と
な り,東
北・ 北海道 が10%強
あ った。本県 の有識者層 の場合,高
等 教育への地域的志 向 は,東
京地 区へ多 く向け られていた ことがわ か った。新制大学卒 11人 につ いてみて も10人 までが県外大学 の卒業者であ った。 この ことか ら,鳥
取大学 は,土
着 エ リ … 卜とな る人材 をまだ輩 出 していない とも考 え られた。 ③ 職業 対象者 を作為的に選定 した ことか ら
,領
域 によ って大 き く異 な って いた。 この よ うな理 由か ら, 「 官庁,企
業 の管理 職」が最 も多 く,「
経 営者」 と「 教員」がつづ く。政治 の領域で は「 農林漁業 」従事者 が多 く,「
経 営者」 力式つ ぐ。文化領域では,「
官庁,企
業 の管理職」 と「 自由業」が多 く な って いた。 ④ 居住年数 国の 出先機 関を対象 か らはず した ことで,居
住 の流動性 は非常 に低 か った。「 生 まれてか らず っ と」居住 してい る者 が75%に
お よんで い る。 いわば,
回答者 のほ とん どが土着 のエ リー トであ っ た。「 10年 以上前か ら」居住す る者 まで合 めれば, 92%に
達 す る。 領域 間 に差異 のない ところか ら,鳥
取県 の有識者層のほ とん どが,上
着型 の人材 で あ ることも明 らか とな った。写
最 域 箔 1日/」ヽ・ 新 中 旧 中 新 高 師 範 専 門 短 大 I日 大 新 大 その他N.A.
計 政 治 54.0 16 7 1 1 100。C 行 政 9 50.4 一 │ │ 一 │ 21.7 9 1 1 46 100。C 教 育 7一
_J
24盟
印
一
1 1 20 つ た 2 1 69 100.C 産 業 る7望
5.55
側
一
個
節
一
16. 2 6 如 100.C びて 化8迅
5 5 . 5 一 刊 η.フ 22. 5 8.[ 11 4。4 1 111.71
100.0 計剤
62.41
68 27.01 1 0 4 1 1.610.41
252 100.Cl鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 刊号 表
4
鳥取県への居住年数2鳥
取 大 学 へ の 評 価2-1
機能へ の評価 ①地元 の文化や産業 の発展 に役立 っている 領域 間 に判 断の差 はみ られない。各領域 とも一致 して,「
地元 の文化や産業の発展 に役立 ってい る」 と評価す る者 が多か った。 これを否定す る意見 は14%に
す ぎず,過
分 の評価 とな って い る。 中 表5
鳥 取 大 学 へ の 評 価 伍〕 ①地元の文化や産業の発展に役②地元の必要にみあった
⑥地元の高校生にとって入 り 立っている
人材養成をしている
やすい
ヾ
1恥
S恥
│?卜
卜
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一
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一
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年
一
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0
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﹁
8
.
フ
・一0 ・一8 ・一 2 お 一 。一7 ・一8 ・7後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題 (5) で は
,教
育 の領域で若千「役立 ってい る」 と評価す る者 が少ないよ うにみ うけ られた。 これを,高
校生 の父親 の評価 と比較す ると,大
い に異 な ってい る。高校生の父親で は,肯
定55%,否
定28%で
あ ったの に対 し,非
常 に好意的な評価 と考 え られ る。 ②地元 の必要 にみ あ った人材養成 は していない 地元 の必要 にみあった人材養成機能 は,じ
ゅうぶん果 されて い るとは考 え られて いない。全体 の 約4割
が肯定 しているが,特
に多 い とは考 え られない。鳥取大学 には現在,教
育,医
,農
,工
の 4 学部 があ るが,
これ らの卒業生 は地元 にじゅうぶん吸収 されていない。 また,法
学,経
済学系 の学 部 のない ことも,「
地元 の必要 にみあ った人材養成 」が肯定的に とらえ られない理 由だ とも考 え ら れ る。 しか し,高
校生 の父親 の評価 (肯 定50%)に
比 べれ ば,か
な り好意的で あ った とみて よい。 産業の領域で肯定意見 が少な く,否
定 意見 が多 い よ うな傾 向がみ られ た。 ここで は,ま
たつ ぎの傾向 もみ られた。年齢が高 くな るにつれて好意的評価が強ま り,学
歴 が高 くな るほ ど好意 的でない傾 向が強 ま って い るとい うことで あ る。 ①地元 の高校生 にと っては入 りに くい 「 地元 の高校生 に とって は」,55%の
者 が「 入 りに くい」 とみてい る。 このよ うな評価 とな って あ らわれ るのは,近
年,県
外 出身者 の大 量入学現象 によ るものであ ろ う。現在,鳥
取大学 において は,県
民子弟 に対 して,高
等教育供給機能 が,じ
ゅうぶん果 されて いな い とみ られ て い ることにな る。有意 な差 はないが,教
育 と政治 の領域 で「入 りに くい」 とす る者 が,ま
た,産
業 の領域 で「 入 りやすい」 とす る者 が,若
干 多 いよ うにみ うけ られた。2-2
大学 その もののイメージ ①施設・ 設備 は充実 していない 施設 。設 備が「 充実 してい る」 とす る者 は25%,「
充実 していない」 とす る者 は55%あ
った。一 般 に大学 その もののイメー ジ構成 において は,判
断な り評価 な りを保留す る者 が多 い。高校生 の父 親 に比べれ ば,ま
だ少ないが,そ
れで も半数近 い者 が保留 してい る。 これ は,資
料不足 が大 きな原 因であろ う。 後述 す るよ うに,大
学 と地域 との接触 は,主
と して,教
官個人 が大学外 に出向 く形が 多い。大学 内に招 き入れての接触 が少 ない ことにもよろ う。大学 自体,昭
和41年 夏 に鳥取地 区は湖 山に統合移転 した。 これによって建物 とい う箱 はで きあが ったが,ま
だ,研
究・ 教育 の設備 は充実 してい るとは言 い きれない。 ②教授陣 も充実 しているとはいえない ここで も半数近 くが評価 を保留 した。「 充実 して い る」 とす る者 は20%,「
充実 して いな い」 と す る者 は52%と
な って い る。「充実 してい る」 との評価 は,他
に比べ て行政の領域でやや多 く,政
治 と産業 の領域 でやや少 ない。 近 年,各
学部 とも教官スタ ッフの充実度 は高 まって きてい る。 ま だ,こ
れ ら新加入人材 が,大
学教授陣 の イメー ジを更新す るところまで,接
触 を深 めて いないため の評価 か も知れない。高校生 の父親 に比べれ ば,否
定 意見 がかな り多 くな って い る。 ①学生の質 については何 ともいえない55%の
者 が評価 を保留 してい る。 中で も文化の領域 では74%が
保留 で あ った。 この ことは,学
生 との接触がほ とん どないためによろ う。鳥取大学 の学生 は、「 す ぐれてい る」 とも「 す ぐれていな い」 ともいえない とい うのが実情であろ う。 ④鳥取大学は三流大学である 92鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 似 ② 表 ① 9 ︲9 .で 一 る 鳥 取 大 学 へ の 評 価 施設設備は充実 している 教授陣は充実 している
hl?1酌
14 59.r 50.J 9 55.1 4る。И 54 100 漁SI?1酌
I HA
行 政 2.0 1 2.乏 2膵
一
4
保
一
徳
策
③ 学生 の質 は全体 としてす ぐれている ④ 全体 としてこの程度の大学だ Yes 全体で69%が
「三流大学だ」 としている。 この点では,先
の高校生の父親の評価 と軌 を― にして いる。ただ,「
一流大学」 とす る者が減少 し,そ
の減少分が評価保留に流れている。 ここで,「
地元高校生にとって入 りやすいか」の質問と関連させてみよう。それは,「
三流大学 だが,地
元の高校生にとっては入 りに くい」 とあ らわれた意見の解釈を行な うためである。「入 り やすい」 と答えた者 も,「
入 りに くい」 と答えた者 も,「
三流大学」 とした者の比率 に変 りはない(72%)。
「一流」,「
三流」についてみても,そ
れはど大 きな差 はない。 ということは,こ
の二 討 A N と な ら え ち い ど も い 流 1 一 1 一 1後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題
(5)
つの項 目について は,ま
った く別 の枠組み,次
元 で判 断 された もの とみな けれ ばな らない。「 入学 の難易」 は現実 の姿 か ら,「
程 度半J断 」 はむ しろ観念 的 に東大,京
大筆 との比較 の上で,評
価 され た ものであろ う。2-3
盗般 的な評価 ①評価保留 の多 か った項 目もあ ったが,評
価全般 につ いて は,比
較的肯定,否
定 のいずれか に, 現在 の姿 が示 された とみて よい。 ②全般的 には,好
意的な評価 がな された と考 えて よい。 た とえ,施
設・ 設 備 や教授陣 は充実 して いな くとも,学
生 の質 がす ぐれて いな くとも,ま
た,地
元 の必要 にみ あ う人材養成 がで きていない 三流大学で も,鳥
取大学 は,地
元 の文化や産業 の発展 には大 いに役立 って いた。 この評価 ひとつ だ けで,鳥
取大学 の存在意義は確立 していると考 えたい。共 同研究 グループの中で,鳥
取大学 は,調
査結果全体 を通 して,特
に この「 地元への貢献」の機能 が重視 されていたよ うに思われ る。3
進学対象と しての鳥取大学 ① 前項では鳥取大学の程度等 を聞 いた。その結果三流大学 だ との判断が示 された。 この項で は, 抽象 的な レベルでな しに,や
や現実的に,
自我包 絡 の レベルで鳥取大学 を評価 して も らうことをね らってみ た。 自分 の子弟 の進学対象 として鳥取大学 を評価 して もらったのであ る。 ② 仮定 の条件 に基 づ く判 断であ ったため,「
態度保留」が多か った(40%)。
それで もなお,44
%が
「 入 れたい」 と してい る。「 入れた くない」 とした者 は18%で
少なか った。領域別で は,政
治 の領域で「 入れたい」 と した者 が,産
業,文
化 の領域で「 入 れた くない」 とした者 が や や 多 か っ た。 ①大学の程度判断 と進学対象 とい う観 点か らの評価 との関連を示 したのが隠1 である。 この図か らは,評
価の高い者で は進学対象 とす る者が多 く,低
い評価を あたえた者では進学対象 としな い 傾 向 が,明
瞭にあ らわされている。 表7
高校生の子 どもがいた ら鳥取大学に入学させ るか ④進 学対象 とす るか しないかは,学
歴 によって も異 な って くる。一般 に高学歴 層で は進学対象 とす る者 が少な く,低
学 歴層で多 くな る。 この傾 向は,鳥
大卒業 者 の属性 や高校生 の父親 の属性 による差 異 と類似の ものであ った。同時 に,居
住 年数 とも関連 を示す。居住年数 の短 かい 者 で は進学対象 と しない者 が多い。 この 事実 よ り,属
性 に比較的土着成分 の強い 層 で進学対象 とす る者 の多い傾 向がみ ら れ,流
動性 の高 い層 (高 学歴,短
期間在 94 入れた くない 56. 40。 文 化呵鬼
塚
か
住者)で
,県
外志 向が強まるよ うに思われた。 の父鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 95 入れたくない 態度f雫留 i 無口答3 ⑥「入れた くない」 とす る者では
,「
もっとよい大学がある。社会的評価の高い大学に入れたい 」(28%)と
い う理由が最 も多 く,「
入れたい学部等がない」(24%)が
これにつ ぐ。また,「
都 会で学生生活をさせてや りたい」(15%)と
す る者 もあった。 ③「 態度保留者」では,「
本人の希望による」(22%),「
能力による」(21%)が
多 く,つ
い で「入れたい学部等がない」(48%)と
なる。 ① このように,鳥
取大学を自己とどのように関連づけるかにおいては,そ
の発想に異なる根拠が あるとみ られる。「 入れたい」 とす る者では,大
学 と地域 との関連 において考え,「
入れた くない 」 とす る者は,大
学の持つ諸条件の低 さに対応 して考え,「
態度保留者」は,も
っぱら個人的条件 に依存 して考えている。3鳥
取 大 学 の あ り 方 ここでは,あ
り方を四つの機能に分けて意見を聴取 している。それぞれは,①
入学者の選抜 (教 育機会の供給),①
教育方針 (人材養成 と供給),①
地元への貢献 (地域へのサー ビス供給),①
教 育内容 (教育・ 研究の方向)で
ある。また,そ
れぞれの機能については,地
域性優先ない し重視の 考え方や方向を示す意見 (地域志向―L型 )と
,脱
地域的な立場を示す意見 (脱地域志向一N型
) とをあげ,い
ずれを支持す るかを聴取 している。 ① 入学者の選抜 (教育機会の供給) 特徴は,地
域性優先(L型 )と
脱地域化志向(N型
)に ,期
待の方向性が三分 されていることで ある。従 って,特
に地域性重視の期待はあらわれていないと考え られ る。 しか し領域間には若千の 差異があるように思 う。政治,行
政では,「
県民子弟が優先的に入学できるように」 とのL型
意見 が過半数 とな り,産
業領域では,脱
地域的な「県民子弟の優先は必要ない」 とす るN型
意見が半数 をこえる。全般の傾向は,高
校生の父親の期待(L型
58%,N型
55%)と
大 きな差異 をみせ る。 進学対象 とす るか しないかと関連させたところ,つ
ぎの傾向があ らわれた。「入れたい」 とした 者では,県
民子弟優先のL型
意見が64%,そ
れを否定す るN型
意見が55%と
なった。「入れた くな い」 とした者では, L型
♂%,N型
52%と
なった。「態度保留者」は「入れた くない」者 と同じ傾 向であった。 これより,
この両項 目は,同
じ発想のもとで考えられているとみてよい。また,高
学 歴層では脱地域的方向を支持する者が多 く(56%),低
学歴層では少な く(5乙%)な
る。入学難易 度評価 とも関連がみ られた。地域性優先(L型
)意
見の支持率は,「
入 りやすい」 と し た 者 で27 流 流 図1
程度判断 と進学対象 としての判断 との関連 鳥取大学ヽこ 入れたい ③進 学対 象 とす るか しないかの理 由 で も,顕
著 な差異 が示 され た。 ① 「 入れたい」とす る者 の理 由(複数 回答 があ った)を
み ると,「
環境がよ い」 (28%),「 地元 にあ る国立大学で 自 宅 通学 が可能」(27%),「
経済的な条 件 か ら」(26%)の
三種 が多か った。 ま た,若 千 なが ら,「 地元 のために役立て たい」(9%),「
伝統 や評価 の高 い学 部 が あ る」(7%)が
み られた。置
│三課
1量注
保
後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題 (5)
%,評
価保留者で40%で
あったのに,「
入 りに くい」 とした者では60%に
達 していた。 ② 教育方針 (人材養成と供給の方 向) 全体 として,「
地元の発展に役立つ人材養成を第一 に」考えるべ きとす るL型
意見 の支持率 は低 表3
鳥 取 大 学 の あ り 方 ① 入学者の選抜について ② 教育方針について 甲 :県民子弟が優先的に入学できるように甲 :地元の発展に役立つ人材の養成をまず第一に 乙:その必要 はない
乙 :国 家社会に必要な人材 の養成をまず第一に
N.A.‖
計 96 ③ 地元への貢献について 甲 :大 いに地元に役立つようにすべき 乙 :広い全国的視野にたって ④ 教育の内容について 甲 :地 元の問題や要求を大いにとり入れて 乙:そうする必要はない 42.1 15 40.到 15。 例45.6
有 識 者 層2 ︲
撤
一
1 0 2
暉引
?卜
暉Ⅲ
h併
暉引
? 49.1 8 24甲
に
調
?卜
暉Ⅲ
i併
に
190鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 い。行政
,産
業領域で は,
これを否定す るN型
意見 の支持者 が多か った。 これに対 し,他
領域 に比 べ てL型
意見 を強 く支持 していたのが,政
治 と教育 の領域で あ った。 この傾 向は,高
校生 の父親 お よび卒業者 のそれ とまった く一 致す るもので あ った。 これ よ り,鳥
取大学 は,地
元 の必要 にみあ っ た人材 の養成 を,そ
れ ほど期待 されていない と考 えざるをえない。 学歴別で は,初
等 教育卒 と師範卒が最 も強いL型
支持 を示 す(56%,45%)が
,中
等 教育卒 と大 学卒 が最 も弱 い(25%,25%)。
大学卒 で も旧帝大卒業者 で は,32%ま
で が脱地域的立場 を支持 し てい る。 「 地元 の必要 にみ あ った人材 養成 は」 とい う質 問は,鳥
取 大学 の現状 を明確 に したが,
この現状 評価 と将来 の期待 との間 には,発
想 の関連性 をみ いだせ なか った。 ③ 地元への貢献 (サー ビスの供給) 全体的 に,「
大 い に地元 に役立つべ きだ」 とす るL型
意見 の支持率 は高 か った。 ことに,政
治, 行 政領域で顕著(72%を
こえた)で
あ った。 これ よ り,地
元へ のサー ビス供給機 能 は,非
常 に強 く 期待 されて い ると考 えて よい。高校生 の父親 の場合 は,L型 ,N型
ともに支持 率 は 等 分 されてい た。 これ と比べて,有
識者層 は,大
学 にサ ー ビス機 能 の作動 を強 く望 んで い る。 この場 合,回
答者 の属性 とはほ とん ど関連性 が検 出で きなか った。 と同時 に,「
地元 に役立 ってい るか」 と聞いた, 現状 評価 とも関連性 は検 出で きなか った。 ④ 教育 内容 (教育 。研究の方 向) 「 地元 の問題 や要求 を大 い に と り入 れ て」 とす るL型
意見,「
そ うす る必要 はな い」 とす るN型
意見,そ
れ ぞれ の支持率 に差 はなか った。 ここで は,高
校生 の父親 よ りややL型
意 見 支 持 が高 ま り,N型
意見支持が弱 まって い るよ うだ。 なお,属
性等 によ って,特
徴的 な傾 向はあ らわれなか っ た。 ① 全 般的な期待の型 入 学→教育→卒業 と続 く一連 の流れ は,主
と して学生 に関す る部分であ る。 この場合 の期待 は,LN→ LN→
N型
と考 え られ る。 これ には,入
学 と教育 に関 して ウエイ トを同 じ くす る二つ の有 力 な志 向性 があ る。 ひ とつ はL型
で,ひ
とつ はN型
で ある。両者 は均衡 してい る。 そ こで,LN→
L
N→ Nの
流 れ はつ ぎのよ うに分解 で きる。③L→ L→
N型
,①
L→
N→ N型
,①
N→
N→ N型
がそ れで あ る。 いずれ も人材養成 の方 向は脱地域的であ る。 これ よ り,有
識者 の意識 の中には,学
生 に 関す る限 り,土
着型 発想 は弱 く,早
期 にせ よ,後
期 にせ よ,離
村 を承認 してい ると ころが あ るよ う だ。何 よ りも,人
材養成 に関す る限 り,鳥
取県 の ことを,あ
ま り考え る必要 はない と明言 して い る よ うであ る。 これに対 し,地
元へ の貢献 の部分で は,強
い地域志 向性 を期待 してい る。 とい うこと で,鳥
取大学 の今後 のあ り方 として,有
識者層 が期待す る姿 は,地
元へ の関与 の積 極化 にあ るとい えそ うであ る。5
鳥取大学 との接触―一 現状 と将来 へ の要 望 ① 現状 「 個人的 に
,ま
た仕事 の関係機 関で,鳥
取 大学 とどの よ うな接触 が これ まで あ ったか」 とい う形 で,ま
ず,大
学 と地域 との関連を調べてみた。 この質 問は複数の選択肢 を選 ぶ ことが可能で あ るよ 9/後藤 誠也 :鳥 取大学 の諸問題
(5)
うに した。つ ま り,あ
らゆ る形 の接触を量的 に把握 しよ うとしたのであ る。 その結果つ ぎのよ うな 実 態が明 らか に され た。 表9
鳥 取 大 学 と の 接 触 政 治 行 政 教 育 産 業 文 化 まず,「
特 に接触 がなか った」 とす る者 は,全
体 で10%と
非 常 に少 なか った。 しか し,産
業,政
治 の領域で は,他
に比べて多か った。一方、行政,
教育両領域では,
接触度 が高 か ったよ うであ る。 つ ぎに接触 の質 と量をみ よ う。「研修会,講
演会 な どの講 師,助
言者 とな って も らった」 とした 者が最 も多か った (選 択率67%)。
ついで,「
審議 会 な どに委員 と して参加 して も らった」(52%
),「
研 究上 の成果や情報 を提供 して もらった」(24%)と
な り,
これがベス ト5で
あ る。 これ ら 接触 の しかたや度合 は,領
域 によ って有意な差 はなか った。 いずれの領域で も同様 の接触様態を示 して いた といえ る。いわば,反
面,
この三種の様態が,鳥
取 大学 と地域 との関連 の姿 だ った といえ よ う。 いずれ も,大
学 と して,あ
るいは学部 として とい うよ りは,教
宮個 人 との接触であった とみ ることがで きる。「 委託研究や共同研究を した」(15%),「
施設・ 建物を借用 した」(10%)な
ど,教
官の個人 レベル を こえた もの はあま り多 くなか った。 領域間 の問題 を さ らにみ ると,接
触度でつ ぎの ことがわか った。仮 りに,接
触度 を選択肢 の選択 度数で示 し,
これを質的な側面 と考えると,行
政,教
育 の2.42(回
答者1人
当 り)が
最 も高 い。政 治,産
業 で は,そ
れぞれ1.88,1.84で
あ る。選択率25%以
上 の ものをあげれ ば,つ
ぎ の よ う にな る。政治で は「講 師,助
言者」 と「 審議会等委員」 であ り,行
政 では「講 師,助
言者」,「
審議会 委員」,「
委託・ 共 同研究」,「
研究成果等 の提供」 とな る。教育では,「
講 師,助
言者」 が抜 き ん出て多 く(85%),「
学生 を臨時雇 い として」がつ ぐ。「 研究生等 と して受 け入れて も らった」(25%)は
教育領域独 自の ものであ った。産業では「 講師,助
言者」のみであ り,文
化 で は,「
講 師,助
言者」,「
審 議会 委員」,「
情報 の提供」 とな る。 ② 今後,鳥
取大学 にどんな活動を望むか 「 地元 との関連 で,ど
の よ うな活動を望むか」 とい う形 で,接
触 の将来 の あ り方,希
望 を 聞 い 0 と 研 の 助 し 研 同 託 共 で 委 ・ 究 会 員 て 議 委 し 審 の と N A 計 接 な た に は つ 特 触 か 他 の そ ア タ て イ し た バ と つ︲ ︲
騨
一
50.Z 12 21.11
駆一
5
μ一
9
卿一
る
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 た。結果 は
,現
状 とやや異 な る形 で あ らわれた。前項 同様,希
望す る接触 の しかたを余 さず とりあ げて も らった。全般 に非常 に高 い選択率 が示 された。1人
あた りの選択数 は2.68と な ってい る。現 状 の場合 の2,16に 比 べ て多量化 してい るとみて よい。 これ よ り,多
量の,ま
た各種の希望 があるこ とを示す もの と考 えて よい。最 も高 いのが教育 の5.05で,行
政 の2.95と 続 く。以下文化 の2.65,政
治 の2.50,産
業 の2.27と な る。今後の期待 は,行
政 と教育 の領域 か ら多 く生起 し,産
業,政
治 か ら は相対的 に少 ない といえよ う。 希望 の内容 を全体 と してみ ると,最
も多いのが,「
研 究会,講
演会 の講 師,助
言者 にな って ほ し い」 とす る者 で,選
択 率 は78%の
高率 であ る。以下,「
委託研 究 や研 究上 の成果 を提供 して ほ しい 」(61%),「
審 議会委員 な どに学識経験者 と して参加 して ほ しい」(56%)と
つ づ く。 こ こ で は,教
官個人 レベルヘ の希望 が相変 らず多 いが,同
時 に,「
施設・ 設 備を利 用 したい」,「
公 開講 座等 の行 事 に参加 したい」 とい う,大
学 。学部 レベルヘ の希望 が増加 して きてい る。逆 に,学
生ヘ の需要 は減少 してい る。 領域 によって,希
望 に差異 があ らわれた。各領域 とも,希
望 の多か った活動形態 は共通 していた が,
希 望率 で は異 な りをみせて い る。 各領域 とも希望 の最 も多 か った「 講 師等 」へ の需要 も,行
政,教
育 の89∼90%に
対 し,産
業 で は57%と
少 な くな って い る。「 審議会委員」へ の希望では,行
政(72%)が
最 も高率 を示すが,教
育 で は42%と
最低 にな る。「 委託研究,研
究 成 果 の提 供」 で は,行
政,文
化 が他 に比 べ て多 くな って い る。「 施設・ 設備 の利用」で は教育,産
業 領域か らの希 望 が強 い 。「 研 究生等 を派遣 したい」希望 は,教
育 が最 も多 く,他
の領域で は,教
育 の半数 にも満 たない。 表10
今 後,地
元 と の 関 連 で 何 を 望 む か 産 業 文 化 ③ 現状と将来への希望との比較 現状 と比較 して,希
望の増加がどのようなところにどの程度あるかをみてみよう。「講師,助
言 者」については,す
でにかな りの実績 を持 っている。そこで希望 の上昇率 は10%程
度であった。 委 に 会 ど後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題 (5) 「審議会委員」 については
25%程
度 の,ま
た「 委託研 究,研
究成果 の提供」で は22%程
度 の上昇率 がみ られた。顕著 な上昇率 を示すのは,「
施設利用」,「
公 開講座等への参加 」であ る。選択率 そ の ものは24∼20%で
ざほ ど多 くはないが,現
状 実績 の5.4倍 程度 に急増 してい る。 この よ うな状況か ら,今
後 鳥 取 大学 は,こ
れ までの実績 に上積 み して,さ
ら に多量のサー ビスが求 め られてい るもの と考えなければな らない。 このよ うな希 望 は,地
域 にとって,大
学が単 な る教 育 文化 の シンボル と してだけでな く,実
質 的な意味で存在価値 を承認 されてい るこ黒離 σ)提供 ととみ ることがで きよ う。反面では, こ
施設等利用 れまで
,
このよ うな大量の人材需要 に, 研 究1:争 派 'と じゅうぶん対応 (供給)し
て こなか った こ と へ の 批 判 と 希 望 が こ め ら れ て い る と 公 "湾 講座 寺参″H もみ る ことがで きよ う。6地
域 と の 関 連 図2
大学 と地域の接触― 現状 と希望 とのナし較 選択率 0 11 20 30 `10 50 60 71 80 % 審 議 会 芽lt lli洵 ' I勤 言 青 学生を臨時雇いに6-1
教 官個人 レベルでの問題 ① 前提 ここでは
,①
大学の教官が地元 の問題解決 に積極的 に関心 を示 してい るか,①
地元 は大学教官を 問題解決のために うま く利用 してい るか,①
教官の研究は地元 の文化 や産業 に直 接 役 立 ってい る か,の
三 つ の間いによって,教
官個人 レベルで の地域関連 の評価 をみ ることに した。 大学そのものが特定の地域社会 に立地 してい る以上,何
らかの形 で地域 とのかかわ りを持つ はず であ る。地方国立大学の存在意義は,地
域 の問題 に,ど
の程度かかわ りあ ってい るかによ って,一
応 の測定 がで きるよ うに思 う。教官個人 に して も,多
少 の差 はあれ,地
域 の問題 に タ ッチせ ざるを えないはずであ る。 この側 面の評価 は,反
省 の材 料 を提供 して くれ ると同時 に,今
後 の展望 を もあ たえて くれ ることになろ う。 ② 大学教官は地元 の問題解決 に積極 的な関心を示 している 回答者 の過半数が,「
積極的な関心 を示 してい る」 と評価す る思 いがけない結果 をえた。 この点 につ いて は,当
初 か らきび しい批判 の的 とな ることを覚悟 していた。 これが,好
意 的 にす ぎる評価 だ と して も,意
を強 くす る結果 であ った。領域別 では,や
は り行政での評価 が最 も高 か った。 これ に対 し,産
業,教
育,政
治 の評価 は,あ
る程度 きび しいもの と受 けとめねばな るまい。 ことに教育 の否定意見 のやや多い ことは反省 を要 しよう。否定意見 は全体 と して18%と
少 な いが,評
価 を保 留 した者 も,消
極的 な否定 と解釈 す るのが妥 当であろ う。産業領域での評価保留 の多 い ことは,
日頃 の接触,関
連 の少ない こと,大
学 にお け る関係 スタ ッフの過少 さに起 因 しよ う。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 表
41
鳥 取 大 学 と 地 域 と ① 大学の先生は地元の問題解決② に積極的な関心を示 している の 関 連 地元は大学の先生を問題解決 のためにうまく利用 している ③ 先生の研究 は
,地
元の文化や 産業に直接役立 っている隠 障
│?1酌
IH嵐
障
│?1酌
lhl?1酌
IHえ
中計
47.81 54.81 17.4‖ る7.灯
一
る
m
一
︲ 4
婢
一
5
宙
一
9
憮
一
① 地元 は大学教官を問題解決 にうま く利用 していない 教 官 は,地
元 の問題解決 に積極 的な関心 を示 してい ると評価 された。 これ に対 し,「
地 元 は うま く教官を利用 して い るか」 の問いを重 ねてみた。 この質問 には評価 がほぼ三分 されて いた。「 うま く利用 して い る」 と認 めた者 は29%,「
うま く利用 していない」 と評価す る者 は55%と
な った。 こ の限 りで は,教
官の利用 は,そ
れ ほ ど うま く行 なわれていない とみたほ うがよかろ う。最 もうま く 利用 して い るの は行政で,約
半数 が「 利用 してい る」 と した。 これ に対 し,産
業(20%),荻
育 (25%)で
は,行
政 の半量 にも満 たな い。 ① 教 官の研 究 は地元 の文化や産業 に直接役立 っている この質 問で も好意的な評価がでて きた。全体で56%が
,「
教 官 の研 究 は地元 の文化 や産業 に直接 役立 って い る」 と していた。や は り行政領域が,最
も好意的であった。 これ に対 し,教
育 の領域で は,「
役立 って い る」 と評価す る者 が41%と
少 ない。他の領域が50%を
上まわ って い る ことを考え れ ば,教
育 の領域 と直接 の関連 を持つ教育学部 は,き
び しく批判 された とみ るべ きであろ う。 ③ 評価 の関連性 以 上にあげた三つの質問は,同
じ枠組みの中で判 断 された とみ ることがで きる。判 断の共 通性 を み るため,連
関係数 を算出 してみた。「 地域へ の関心」 と「 教官の研究」 とは, +0.489,「
地域 へ の関心」 と「 教官の利用」 とは+0.458,「
教官 の利用」 と「 教官の研究」 とは+0.586と
な っ た。 この数値 はかな り高 い連 関度を示す ものであ る。 一 般 にひとつの質問 に好意的判 断を示す者 は,他
の質問 も好意的判 断をす る傾 向が強い といいえよ う。6-2
鳥取大学 の存在意味 ① 前提 「 鳥取大学 の存在 は
,と
くに地元 に とって どの よ うな意 味があると思 うか」 とい う質 問で,存
在 意義の一般 的理解 をみ ることに した。 この場合,と
くに,地
元 とのかかわ りで機能 を あ げ,そ
のい後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題
(5)
ずれが,最
も鮮 明に有 識者層 に意識 されてい るかをみ ることと した。 それぞれの機能は,◎
地元 の 文化 や産業 に役立つ (サー ビス機能),①
地元 に有能 な人材 を供給す る (人材供給機能),①
地 元 の子弟 に大学教育の機会をあたえ る (教育機会供給機能),①
地元の教育・ 文化 の シンボル とな っ て い る (象 徴 的機能)で
あ り,そ
れ ぞれを選択肢 と した。 この質問は,
これ まで述べて きた各質 問 にあ らわ された有識者層 の意識を,さ
らに一般 的に「 地 方 国立大学の イメー ジ」 と して集約 しよ うとい うのがね らいで あ った。前述 した よ うに,大
学 は, 特 定 の地 域 に立地 して い る。従 って,
地域 と何 らのかかわ りを持 とうとしな くて も,
地域の側 で は,何
らかの意 味を持 たせ る。大学が象牙の塔 と して孤高 を保 ち,教
官 が その塔 の中に閉 じこもっ た と して も,そ
れ だ けで,地
域 に とって は,誇
りの シ ンボル とな るはずで あ る。 ま して,地
域 とか かわ る窓 口を持 ち,活
動 す るとなれ ば,そ
こには,実
質 的 な意味が生 じて くるはずである。 ② 結果 このよ うな問題意識 か ら
,鳥
取大学 の存在意 義が どの よ うに理解 されて い るか は,非
常 に興 味 が あ った。後節で も述べ るが,共
同研究の6大
学 の 中で は,若
千異 な った理解 が示 され た。 当初 の予 想 と して は,「
大学教育 の機会」および「教育文化 の シンボル」の二つ に,回
答 が集 中す ると考 え て いた。 と くに,「
教育 の機 会」 は多 くな るとみて いた。他大学 の場合 は この傾 向が濃厚 にあ らわ れて いた。 しか し鳥取大学 について は,「
地元の文化 や産業 に役立つ」 とす るサー ビス機能 が,最
も高 い指摘率 をあげた。た しかに,第
二位の「 教育機会」 との差 は微少である。従 って,特
に きわ だ った特色 は指摘で きない。が,一
般 に地方 国立 大学 の機 能,役
割 と して まず あげ られ る「 教育機 会 の供給」 と競合 し,併
存す るもの と して,「
地元 の文化・ 産業 に役立つ」機能 と役割 があ ると考 えたい。領域間 には有意な差 はみいだせなか った。若干 の見 かけ 上の指摘率 の差 はあ って も,各
領 域 とも,ほ
ぼ同様の理解 を示 しているとみて よさそ うであ る。 表12
鳥取大学の存在は地元にとってどのような意味があるか 意 地元の文化や 産業に役立つ 材を供給する地元に有能な人撃薮客舌霧蜃套
承 ″ タ ス 地元 の教育,文
化 のシ ンボル と 井 ハイ1ハスN.A.
計 政 治 翻.0 6 12.0 18 56.0 弼 100。2 行 政 つ 4 47.8 28.5 7 1 2.2 46 刊00。0 教 育 29.0 5 7.2 28 20.5 2 2.9 100.0 産 業 呵2 12 20.6一
_
100.0 ヴt 化 つ た %。9 6%.5
26.5 :::: ――
:::│ 100.0 計 92 56.5 211 86 54。 1 51ご
瓦
252 100.0 関連 「 地 元の文化や産業 の発展 に役立 って い るか」 の問 いに対す る評価 との関連 をみ た。現状 にお ③ ①
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 いて「役立 っている」 と肯定する者では
,「
地元の文化・ 産業に役立つ」意味をあげる場合が多か った(41%)。
それに対 し,否
定もしくは保留者では22%で
非常に少ない。否定評価 を した 者で は,他
に比べて「 教育文化のシンボル」をあげる場合が多かった。 また,態
度保留者では,「
教育 機会」をあげる者 が多か った(44%)。
①大学のあ り方 についての意見 との関連をみた。入学者の選抜 と教育内容の項 目とは,ほ
とんど 関連性はないといえる。人材養成の方向についての意見 との関連では,脱
地域的立場を支持する者 が「大学教育の機会」を支持する場合が多かった。 また態度保留者では,「教育・ 文化のシンボル」 をあげる者が多かった。地元への貢献についての意見 とは,か
な り顕著な関連があった。地域性優 先の立場を支持す る者では,「
地元の文化や産業 に役立つ」 とした者が多 く(42%),脱
地域的立 場を支持 した者では,「
大学教育の機会」を,ま
た,態
度保留者では「 教育・ 文化のシンボル」を あげた者が多かった(47%)。
全般的に,地
域性を優先す る立場を支持す る者に,「
地元の文化や 産業に役立つ」 とす る者が多い傾向がみ られた。7鳥
取 大 学 将 来 の 姿7-1
鳥取大学にほしい学部等 ①現在の鳥取大学には,教
育,農
,医 ,工
の4学
部がある。 これを基盤 に,「
将来 どのような学 部が増設 された らよいと考えるか」を問い,機
能のあ り方 とは別 に,将
来像をえがいてもらった。 ここで,何
らかの希望を提示 した者が160.名(64%)あ
った。希望の内訳は つ ぎ の と お りであっ た。 ②最 も希望の多かった学部等 は,経
済学部(48-50%)で
あった。ついで法学部(59-24%),
短期大学部(50-19%),夜
間部(28-18%)で
あった。 さらには,文
学部(42%),大
学院 (11%),薬
学部(10%)な
どがある。希望の少なかったものまですべてをあげれば,つ
ぎのように幅 広 く分布す る。学部では,理
学,歯
学,文
理,芸
術,社
会福社,体
育,教
養,社
会,水
産,園
芸, 外国語であった。学科では,環
境,造
園,考
古,建
築,看
護,法
学,
海洋,
保育,
化学,
衛生工 学,社
会教育であった。その他では,大
山山麓に学園都市を建設 し,大
学も,鳥
取,米
子両キャン パスをここに再統合移転すべきであるという意見があった。注 目すべきであろう。 ①産業,行
政両領域か らは,経
済学部,法
学部への希望が多かった。鳥取大学に法律,経
済関係 の学部等のないことが,総
合大学 としてのイメージを弱めているとの見方によると考え られる。 と 同時に,法
律,経
済関係の問題解決に,あ
るいはまた人材需要に,弱
点を持 っていることの指摘で もあろう。 これに文学,薬
学の両学部を加え,ほ
ぼ完全な意味で 総合大学化 して ほしいとの 要望 が,か
な り強いものとうけとれる。 短大併設の希望 もまた多かった。夜間部併設 とあわせて,女
子および現在就労者のための,高
等 教育機会の拡充が要望 されているとみたい。いずれも,実
現の見 とお しはたて られないが,将
来の 鳥取大学の姿を展望す るには,よ
い資料 となるだろう。7-2
鳥取大学以外にどのような高等教育機関があ ったらよいか ①「鳥取大学以外にどのような高等教育の機会があった らよいか」を問 うたものである。表15の ように,「
現状のままでよい」 とした者は23%あ
った。教育の領域でやや多かったが,全
般 に平均後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題 (5) した 出現率であ った。 ② 何 よ りも短期大学へ の希望 が強か った。設置者別 をはず して
,形
態別 に,大
学,短
大,高
専 を 比較すれば,選
択率 はそれぞれ28%,55%, 7%と
な る。鳥取県 内には,女
子 のための高等教育機 会 は,鳥
取大学の教育学部 と私 立の短大2校
のみである。 この三者 の機会供給量 は,潜
在 的,顕
在 的な需要量に対 して,過
少 とな って い る。 この よ うな機 会の需給 の不均衡 のため に,多
くの者 が県 外 の大学 。短大 に流 出 してゆ く。 この よ うな実情 の改善策 はず いぶん と論議 されて きて いる。 この ことが,短
大設置要望 を強 く押 し出 した とみ ることがで きる。短大希望 の 中で も,国
立 を望む声 が 強か った。学費等の点で,経
済 的な場 合 が考 え られ たので あろ う。 また,維
持 管理 まで も合 めた財 政 上の問題 と して,県
や市町村単独 の設 置にふみ きるのが困難 とも考 え られたのであろ う。 ③ 領域別 にみ ると,政
治 の領域 では,国
立短大の希望が多 く,他
は分散 して い る。短大希望 の最 も強 か ったのが産業 と文化の領域であ った。国 。公・ 私の短大希望 はあわせて,産
業 で は75%,文
化で は58%と
な って いた。領域 ごとに大学 と短大 との選択率 の比 をみ ると,政
治28:58,行
政55:46,教
育52:40,産
業17:75,文
化25:58と
な る。 この差の最 も大 きいのは産業 領域で,ほ
ば, 2
:9程
度で短大 に集 中 して い る。 表15
鳥取大学の他に, この県に どのような学校があった らよいか謂
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大学教育につ いての意見8-1
大学教育の役割 ① ここで は,大
学教育 が一般 的に果 して い ると考 え られ る役害J理解 をただ して い る。 こ の 質 問 は,高
校生 の父親 を対象 とした,前
年度調 査 と同 じ聞 い方 を して い る。前年 度 は,今
後 自分 の子弟 が,大
学教育 を うけるとい う立場 で の,な
かば期待 を こめた理解 を示 して も らった。今年度 は,あ
る程 度批判 的,客
観 的な立場 か らの理解 を表 明 して も らうのがね らいにあ った。 ② 当然 この両者 で は,理
解 に差異 が生ず るもの と予想 した。 しか し結果 はほ とん ど差異 の ない こ とを 明 らかに した。最 も多か ったのは,「専門 的な知識・ 技術 を身 につ ける」 とす るもので あ った。5
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鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 つ いで
,「
人 間 として高 い教養 を身 につ ける」があが って くる。戦前であれば,大
学 とは「 高度の 学 問研究 をす る」場で あ り,あ
わせ て上述 の二者 があ らわれ るはずであ ったろ う。現在 では,「
高 度 の学問研 究」 の機 関 とはみ られて いな い (選択 率4%)。
これ に反 し,「
学歴 を あたえ る」 が48%ほ
ど出て きた。一般 に,卒
業後,大
学卒 の人材 と して,社
会 の各分野 に進 出す るために,専
門 的 知識や技術 を修得す る段階 との理解 が強 い。 これに加 えて,学
歴 付与 の役割 が重 く見 られ る。後述 の よ うに,大
学 につ いて種 々自由な意見 を述 べて も らった。 この中で,
この質 問 に関連 し,つ
ぎの よ うな指摘のあ った ことを付記 してお こう。それ は,「
大学教育 のあるべ き姿 と して は,高
度 の学 問研究,あ
わせて専 門的知識・ 技術 の修得,高
い教養 の獲得 が考 え られ る。 しか し現実 には,単
に 大学卒 とい う学歴 をあたえ るだ けの役割 しか果 して いない。 これが遺憾 で あ る。 」 とい うもので あ った。 表14
現在 の大学教育は どんな役割をはた しているか の 究 度 研 る 二 身 る を け つ い を身 ける 1冒暮
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を
あ
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そ
の
他
8-2
大学 についての自由な意見 ① ここで は,
日頃,大
学 につ いて考 えて い ることを 自由に記述 して も らった。 この部分 で は,
こ れ までの選択肢 回答では出せ なか った きび しい意見 もでて きた。大学一般 につ いての意見 であるた め,鳥
取大学 が と くにとりあげ られ る部分 は少ない。 しか し,あ
て はまる側面 は大 いにあ ると思 わ れ る。 ただ,回
答者個 々が,ひ
とつ の文隊 において複数 の事象や問題点 にふれ る場合 が多 い。 その ため,以
下 にあげ るよ うな項 目に分類 す る ことは,記
述 のね らいや真 意 を歪 曲す る ことにな りかね ない。 しか し,あ
えて どの よ うな項 目に問題意識が集 中 しているかをみ るため,記
述 を こま ぎれ に してみた。 ② 内容 は,非
常 に多岐 にわた って いた。最 も多か ったの は,「
大学 の機能」 に関す るコメ ン トで あ った。総数5021このぼ る意見 の中で,約
58%が
この範疇に入 る。 さ らに細分すれ ば,「 教育機能」 に関す るものが,お
よそ%合
まれて いた。要約すれば,人
間教育 の必要性 を強調 す るもので あ る。 4.0 15.2 2 4 .t 一 5 保 一 ︲ 俸 一 11】
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後藤 誠也 :鳥取大学の諸問題
(5)
「 教授 と学生 との人間 的ふれ あいを基盤 に,人
間教育 の復活 」を望 み,「
高 い教養 を身 につ け させ る」 と同時 に,「
専 門 的知識 。技術 の習得 」 につ とめ させ,「
人間の真 の価値 や社会の矛盾 を ま と もに考 え られ る」,「
また将来 の 日本を背負 ってたて る人材養成」 を行 な うべ きだとい うことにな る。「研究機能」 につ いては,「
現在 の大学 は学問研究への熱意が乏 しい」 ことを指摘 した上で, 「 学 問研 究の場 で あ る ことを心 に きざみつ けて ほ しい」 とす る者 が多か った。「 地域 的機能」 につ いてふれ る記述 は,ま
ともに鳥取大学を指 向 して いた。 そ こには,「
東大 の小型 版で は魅力 な し」 とす る考 え方 と,「
大学 と地域 との結 びつ きが現状 で は弱 い」 とす る考 え方 とに立 って,「
地 域社 会 の文化,経
済,産
業 お よび住民 の生活 向上 に積極 的に役立つ大学 で あ って ほ しい」 とす る要 望 が 出 され る。 その ひ とつ の方 向 と して,「
地元 の当面す る問題 につ いての研究や助言がほ しい」 とい った ものがあげ られて くる。 ① これ に関連 し,「
大学へ の批判」 あ るいは「 あ り方」への意見 も44%ほ
どでて い る。 これを細 分すれ ば,「
大学の管理運営問題」,「
あ るべ き姿」 にな る。 この うち,管
理運営に関す るものが 多か った。 内容 と して は,「
大学 自体 に 自治 につ いての考え方のあいまいさ」 がある こ と を 指摘 し,「
自治確立 の手 だてを考 え るべ き」 とす るもの にま とめ られ よ う。 これ は,学
園紛争 に直接 関 連 して の発言であろ う。「 大学の数が多す ぎる」 との指摘 もあった。 あるべ き姿 の中では,「
教 養 課程 (部)」 制度 の再検 討 が主 な もので あ った。充 実 と廃止 を両極 端 にい く つ か の意見 があ った が,多
くは改善を訴 え るものであ った。 なお,「
教員養成 問題」 に対 し,教
育期 間の延長や,入
学 者 の男女比 の是正 な どの指摘 もあ った。物 的,人
的な側 面での一層 の充実を望む声 も少数なが らあ った。 ①「 学生運動」 に関す る意見 は,管
理運営 と関連す るが,
ここで は独立 させてみた。総数 の うち 約9%ほ
どにあた る数 の意見 があ った。l10して,第
二者 的,タ
カ派 的な意見が多か った。「 大学 は 闘争 の場 で はない。大学 か ら暴力を追放せ よ」,「
過 激派学生 に教官 も学生 も甘す ぎる」 とい った 形 の意見 の多 か った ことか らも言 えよ う。 ①学生 に対す る批判 は痛烈であ り,
しか も単な の項 目では最 も多か った (総 数の うち約18%)。
具体 的にみ ると種 々な内容が含まれていた。 中で もきわだ っていたのは,「
勉 強 し ない 学生が多 い。」「 だか ら単位認定を きび しくし,や
る気 のない学生は追いだせ。」「卒業 はむつか しい もの だ とい うことをわ か らせ ね ば」 いけない とい うものであ った。性格,行
動 面で は,「
楽 を したが る 」,「
責 任感の欠 如 が気 にな る」,「
怠惰で無気 力」,「
近視眼 的」,「
自己中心 的で他人 の こと を考 えない」,「
年長者 に対 す る尊敬心 が うす い」,「
マナーが悪い」な どがあげ られていた。「 学生 は学生 で あ る ことと学生 の本分 を 自覚せ よ」 とい うことになろ う。 ③教授 へ の批判,要
望 もかな り核心を衝 くものがあ った。謙虚 に うけとめたい。 ここでは多数 の 意見 に分 散 して いたが,主
な ものを あげれ ばつ ぎの よ うにな る。「 教授陣 の若返 りが必要であ る。 」「 無能教授 の刷 新J,「
教授 にな ると安易 に流 れ が ち,国
内外 に名声を博す研究を して ほ しい。 」「 絶 えず社会 を教室 に通わせ る熱意 と努力 を望 む。 」「 尊敬で きる人格 が少 な くな った。」「 教 授 もひ と りの社会人で あ ることを忘 れないで ほ しい。 」「 知識 の切 り売 りをやめ よ」 な どで あ る。 前述 した「 教授 と学生 とのふれあいをもっと密 にすべ き」 とい う意見 な どは,
ここにも合 め るべ き であろう。 ② 大学制度 に対 す る改革 意見 も若千 み られた。 それ は,い
わゆ る「 社会 に開かれた大学」をめ ざ す もので あ った。 また,制
度改革 の一環 と して,「
大学入試制度改善」 の意見 があった。 これ は,鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第15巻 第 1号 ほば