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一物一価の法則と購買力平価-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

一物一価の法則と購買力平価

富 田 亘 朗

1 Pアイサードによる購買力平価からの議離 われわれは,かつて購買力平価からの議離を次のように規定した。為替相場 を

R

とし,購買力平価からの講離をk (絶対的形式〉またはX (相対的形式〕 とするとき,その議離は Rt

=

kt(PPtabS)

=

k

(絶対的形式)(1) Pt/Po _ __.,Pt Rt= }(t(PPtel ) = XtRtJ(o 一一一;.

p

{

'

/

p~*

=

XXttkRoo:'

p

j

τ (相対的形式)(2) として定義することができる。ここでP,Pホは,わが国と外国の物価水準(添 字tは現時点,ゼロは基準時点を示し*印は外闘を示す)である。この(1)式 と(2)式の為替相場Rtは,基準時点を固定しそこでの絶対的形式Ro

=

koPo/

P

6

を既知で所与とするなら,表面上全く同じように P

t

!

Ptの一定倍数で表され る。なお ,Xt

=

kt/koである。いま,物価水準を貿易財価格

ρ

T

と非貿易財価格 ρNの加重平均で定義〈α+β=1,ただし時点 tを省略〉する。 π=ρ7/ρNお よび7[* ρ'7/ρ5と置く。貿易財について ρ7 =

rR

ρ? の関係がある。かくして,両国の物価水準は

P =

αρ

7+s

ρ,

N

=

rR

ρj-(α+β/π) P*

=

α*ρ干+β*ρZニ ρ干(α*+β*/ 7[*)

(

3

)

(4)

(

5

)

(1) 拙稿rLB..!7レイピスによる購買力平価からの議離」香川大学経済学部研究年報26,昭 和62年3月。

(2)

-64- 第60巻 第1号 64 となる。ただし ,

r

は,主として関税や人為的干渉また地理的距離による自然的 障害などの両国間における貿易財価格の不均等を引起す要因を包含する。ゆえ に,貿易財価格につき一物一価の法則が成り立つ場合には

r

=

1

となる。 購買力平価からの話離の変化率は, (1)式と(2)式に(3)式-(4)式を代入し変化を とることにより, ともに次のように表される。ただし,購買力平価からの議離 を両国間貿易財価格の離れrと同じ形

CP

t

=

k'

t

R

t

P

'

t

または

Pt

=

x;k~RtPn で定義するため

k

'

=

1

/

k

および

x

'

=

1

/

x

fこ改める。 dk' _ ( β*ρj __* sR伊 ムj

Li

, ((1-1/7[)Rrρj J__ (J -1/7[*)ρ?

h =iFFT

仰一一万長引

+

i

p

W -

p* da*}+

(

6

)

この

(

6

)

式で,右辺の最初の括弧内の各項は両国の相対価格変化の影響を表し, 次の第二の括弧内の各項は両国の構造パラメータ(貿易財の取引量ウエイト) 変化の影響を表している。また,最後の項 d

r

/r

は,上述の関税やその他人為的 干渉などの貿易政策の変化および輸送コストの変化等の影響を表す。いま,

(

6

)

式右辺二つの括弧内各項がゼロであり,相対価格と構造パラメータの変化がな いものとする。その場合,購買力平価からの議離は,単純に

子(=ヂ)=ぞ

(

7

)

となる。この(7)式において rが

1

あるいは一定値に固定されている場合に は購買力平価からの議離はdk'/k'

=

0となる。 一物一価の法則 (the law of one

ρ

rice)が貿易財市場での商品裁定(com -modiむIarbilrage)によって生じることは,言うまでもないことである。たとえ ば,もし関税が課せられるならば,国際的な商品の移動は阻害され,商品裁定 は停滞し,その結果上記(3)式に示したように ρTは Rρ?から rだけ霜離してく (2) 相対価格 J[, J(*および構造パラメータ α,♂等の変化が購買力平価からの議離に及ぼす 影響については,拙稿「所得と購買力平価からの議離(1)j香川大学経済論叢第59巻l号(昭 和61年6月〉及び揃稿「所得と購買力平価からの議離(2)J香川大学経済論叢第59巻2号 (昭和61年9月〉並びに拙稿 r.IB.."レイピスによる購買力平価からの議離」香川大学経 済学部研究年報26(昭和62年3月〕に詳しL

(3)

65 一物一価の法則と購買力平価 -65-る。このことは,既に

G

カッセルによって購買力平価の成立しないケースとし て挙げられ,またその後数多くの論者によって指摘された。例えば,

B

パラッ サとD..

M

シドロウスキーは効率的な関税率と均衡為替相場を論じた際に r均 衡相場は,種々の貿易および財政・貨幣政策に対応して無数に存在する」と言 い,他方

P

アイサードは一物一価の法則からの議離rが例え関税および奨励 金,独占的競争の状態に変化がないとしても為替相場の変化につれて増減しう ると主張する。以下われわれは, これら論者のうちアイサードの主張を取り上 げ考察することとする。

P

アイサードは,同一商品(貿易財)の価格を共通通貨で換算するとき,そ のこ国間の離れが商品裁定を通じて関税や運送費などに等しくなり維持される ことを一物一価の法則の実現であるとみてその法則を広義に解釈する。そして その上で,なおこの離れが体系的に(ランダ、ムでなく〉変動することを指摘す る。 R'を受取勘定建ての為替相場とすれば,

(

3

)

式は

Rρ7

r

ρ

?

(3) で表しうる。ここで rは,関税や運送費だけでなく想定しうるあらゆる要因か らなる貿易財価格の離れを包含するものとする。かくして(3)'式から R'

ρT

ρ ? -

(8) を得る。R'

ρT

は当該国の貿易財ドル価格で、あり ,py'はアメリカの貿易財価格で ある。アイサードは,貿易財を一括せず個々の商品に分割し,その各々につい て同種商品iを慎重に選び,その価格を二国間で比較する。その結果は,例え ば第1表である。この表において,第 1行は R'を意味し,第 2行以下はその第 t商品の二国間価格比R'

ρ

7i/計zを意味している。また,これらの累積的な変化 は,第

2

表の通りである。なお,アイサードは考察期間としてドイツとアメリ (3) Balassa,

B

and D. M. Schydlowsry., Effective Tariffs, Domestic Cost of Foreign Exchange, and the Equilibrium Exchange Rate,

l

P E, Vo176, MayIJune 1968, pp 348-360

(4) Isard, P, How Far Can We Push the“Law of One Prise",?AER..VoL 67. Dec 1967, pp..942-948

(4)

-66- 第60巻 第 1号 66 指数.1970=100 180 160 140 120 100 80 1969 1971 1973 1975 第1図 第1表 為替相場のパーセント変化とドノレ価格指数比 1968年 1969年 1971年 1972年 1973年 1974年 1975年 1968年 l月 3月 6月-8月 2月一4月 7月一9月 8月一10月 8月一10月 2月一4月 l月 3月 1969年 1971年 1972年 1973年 1974年 1975年 1975年 1975年 6月-8月 2月一4月 7月-9月 8月一10月 8月一10月 2月一4月 8月一12月 8月-12月

u

s

( f替ル/ドマルノ相レ価ル価格F場〕/ 格 4 07 5 85 14 14 31 33 7 70 12.11 9 90 53 94 「ツの の } 為 衣 料 品 4 57 6 15 1673 36 26 一1052 13 61 -847 64 29 工業化学製品 6 17 336 9 91 43 92 15 01 一1347 16 04 7 18 農 業 製 品 839 一451 9 02 37 36 14 37 ー1026 -2705 16 06 プラスチァF用品 1073 10 90 14 93 28 96 一2023 一1013 -13 11 13 37 紙 製 ロロロ 2 08

86 935 2357 一1412 13 92 -1200 19 78 金属細工機械 10.68 20 66 14 23 33 52 -14 98 11 08 -1204 6918 電気工業設備 5 36 785 1504 34 08 5 06 8 88 一1185 5971 家庭電子設備 10 99 8 07 10 87 3832 -568 12 69 -922 77 51 ガ ラ ス 製 品 一

o

47 -366 19 54 3897 一11.61 4 44 一1326 27 55

(5)

67 一物一価の法則と購買力平価 -67-第2表 為替相場とドノレ価格指数の累積的%変化 1968年 1969年 1971年 1972年 1月-3月 1974年 1975年 1975年 6月 8月 2月一 4月 7月-9月 19か37ら年 8月一10月 2月 4月 8月一12月 8月 10月 (ト替ル/ドルマル相価ル価格ク場) / 格 4 06 10.16 25 73 65 13 52 41 70 86 53 94 イツの iの } 為 U 衣 料 ロロロ 4.57 1100 29 57 76 55 57 98 79 49 64 29 工業化学製品 6 17 9 73 20 61 73 58 47 53 27 66 7 18 操 業 製 品 8 39 3 50 12 83 54 99 7727 59 09 16 06 プラスチyク用品 10 73 22.79 41 13 8200 45 18 30 48 13 37 紙 製 ロロロ 2 08 2 96 12 59 39 14 19 49 3612 19 78 金属細工機械 10 68 33 55 52 56 103 69 73 16 92 34 69 18 電気工業設備 5 36 13 63 30 72 75 26 66 40 81 17 59 71 家庭電子設備 10 99 19 95 33 00 83 96 73 50 95 53 77 51 カ ラ ス 製 品 -0 47 4 11 14 63 59 30 40 80 47 05 27 55 第3表 為 替 相 場 と 輸 出 価 格 比 ドイ Yのトノレ価格/U

s

のドノレ価格 為替相場 内燃機関 農耕業転機用 事計 務算機用 金属細工 ポ ン プ フォーク 機 械 リ フ ト 1970年6月 100 100 100 100 100 100 100 1971年6月 103 4 104 1 108 9 110 3 110 4 106 2 111 1 1972年6月 114 6 119 8 116 6 114 4 125 2 121 2 1256 1973年6月 140 9 155 5 1362 139 3 153 8 144 7 159 7 1974年6月 143 9 147 7 138 1 1460 144 3 151 7 1451 1975年6月 155..2 148 1 122 5 147 7 141 8 139 3 139 1 カのニ国間為替相場の安定的な三カ月を選ぶよう努めている。これら各表の第 l列はドイツに関し 1968年の最初の三カ月から為替相場改訂以前までを含み, 第2列はその改訂後の 1971年5月のフロート制移行前までを含む。第3列はド イツのフロート制移行後から1971年12月のスミソニアン協定後 1972年9月 までを含み,第

4

列は1973年第1四半期の為替相場調整とフロート期間を含 む。また,第5列は1970年後半からマルクの下落と上昇を示した 1979年夏迄 の一カ年聞を含み,第6列は1975年春からそれに続くマルクのピークを迎える 期間迄を含む。最後の第7列は 1975年のドル切り上げに関するものである。こ

(6)

-68- 第60巻 第l号 68 れら各期間のそれぞれの商品価格は,アメリカについては卸売価格指数を使用 し, ドイツについては輸出価格指数を使用している (1970年を基準にとる〉。 この第1表と第2表において,為替相場と両国間価格比率は 9品目のうち 衣服,金属細工機械,電気工業設備,ガラス製品の5品目についてほぼ平行の 動きを示している。しかしながら,ガラス製品は初め下向きの動きを示し,他 方金属細工機械と家庭電子設備は初め上向きの動きを示す。また,工業化学製 品,農業化学製品,プラスチック用品は,前半為替相場と平行する動きを示す が,後半それと異なり急激に下落傾向を示す。紙製品は,しばしば為替相場よ り少な目の動きを示す。このように個々の商品を詳細にみると差異がみられる 第4表 (9)式の回帰結果 ao

1 a2 ρ R2 D W カ ナ ダ タ イ ヤ 4.16 .0588 -.317 .859 737 2 33 (- 832) (1.16) (-1 15) (8 87) 壁 紙 - 406 .0118 361 186 656 1 89 (- 462) (1.31) (4 50) (100) 鋼 棒 地 金 852 - 00292 “418 .0930 553 1 94 ( 935) (- 312) (4,,82) ( 494) ドイ y 石 け ん 726 .0938 一.791 120 148 160 ( 607) (2 35) (-1 35) ( 641) タ イ ヤ - 0828 .0437 - 142 .758 728 1 66 (- 152) (2 72) ( -816) (615) 居 Z玄辛" 紙 316 .0264 -0401 - 0974 163 1 96 ( 885) (2 21) (-223) (- 518) 日 本 石 け ん -582 15 49 921 113 0674 1 87 (- 137) c112) ( 740) ( 604) タ イ ヤ 一.940 6 28 .244 .461 869 2 11 (-2 90) (6 04) (2 95) (2 75) 居ニ主率= 紙 一.720 679 1 07 .153 901 2 04 ( -1.83) (5 30) (9 40) (817) セラミ yf7・タイノレ 0242 2 32 。428 125 693 174 ( 0826) (2 43) (4 99) ( 665) 鋼 棒 地 金 183 1 39 148 .508 672 2 42 (825) c195) (2,71) (312) 括弧内の数字は. I他である。

(7)

69 一物一価の法則と購買力平価 -69-けれども,短期でかつおしなべてみるならば両国間の価格比率は,為替相場と 互いに密接に関係し変化していることが認められる。ちなみに, この関係をみ るために衣服と紙製品を取り上げて描くと第

1

図のようになる。アイサードは これらのことを異なる商品分類に関しでも考察する。その結果は第3表である。 この場合第1表第2表と較べて,価格比率と為替相場の関係はより鮮明になる。 第 4表は,アイサードが試みたカナ夕、¥ ドイツ, 日本の三カ国の対アメリカ の為替相場とそれら諸国のタイヤ,壁紙,鋼棒地金,石鹸,セラミック・タイ ルの価格比率に関する回帰結果を掲げたものである。

(

ーす

i

)

=

ao+aIR;+

α

2Dt+et+

ρ

e

t

-

I

(9) データは, 1968年第1四半期から 1975年第l四半期までの四半期別のものを 使用している。

(

9

)

式の左辺はアメリカの輸出単位価格(すなわちアメリカの港 湾における内陸運賃および保険その他経費を含む取引価格で評価された船側引 渡し価格f..a.. s) に対するアメリカ以外の商品の輸入単位価格 (c.L f.または外 国市場価格〉の比率R'

ρ

T

J

p

"Tiであり,他方右辺は各国通貨一単位の

u

s

ドル価 格R'とダミー変数

Dt

(l968年第l四半期-1973年第4四半期をゼロ, 1974年 第1四半期-1975年第4四半期を

1

とする〉である。計測結果には自己相関が あり,そのためそれをコックラン・オルコットの繰り返し法を用いて取り除く。 かくして,第

4

表最後の列に掲げたダービン・ワトソン比D.

.w

は,いずれも 2に近い値を示す。決定係数

R

2の値は非常に高く,また回帰係数 alに関する t値は,観察期間日本およびドイツのほとんどの商品で、有意を示す。しかし, カナダでは鋼棒地金を除いて有意を示さない。それは, この期間カナダの為替 相場が余り変動しなかったためである。かくしてアイサードは,第

4

表に掲げ たこれらの回帰結果から,ニ国聞の為替相場と貿易財価格比率が密接に関係す ることを再度確認する。 以上はアイサードの主張である。それは,単純化された二種類の貿易財の世 界(非貿易財は存在しなしうで次のように表すことができる。二国間貿易財価 (5) Kmenta,

.

l

, ElemenおofEωnometri.ιs, 1971, pp..287-288.

(8)

70 第1号 第60巻 -70-(/=1,2) このとき一般物価水準は,貿易財価格の加重平均で定義される。すな

ρ7

, r

i

R

ρFz 格を とする。 p =αTρ71+β7ρ72 =

R

ρも(

r

1

α

7+ r

2

β

r

I

πn p*=α?ρ'j1+stρFz=ρ'j1(αt+βt/πj) である。そこで,(1)式と(2)式を用いて購買力平価からの議離の変化率を求める )

-l ( (12) わち, と,

~k' (=金主 -(E泣~

7

?

¥

-

dJr

t

-

Rß企泣河川+~

Rp'j1( r-

r

/

π?LdαT x' }

-t

p*π ? 2 7 P π

-

i

Z- U1LTJ I

1

一江二豆泣並h

"~,,,L.j R註l-,,~ ムE泣1ßT ,,~.l

p* "u1J'

l

P "ι1, ρπ?uι"J (13) この(13)式右辺の最初の括弧の項はこ種の貿易財相対価格の変化の影響 を表し,第二の括弧の項は貿易財取引量ウエイトの変化の影響を表す。また, 右辺最後の項は両国間における貿易財価格の話離れ (/=1,2)の変化の影響 アイサードにしたがってこの間式右辺のdれ を んdRで置き換 となる。 を表している。 かっ貿易財の相対価格と取引量ウエイトを変化しないもの

(

d

Jr

t

=

0

d

αT , = d,αj

=

0)とする。この最も単純なケースでは, d

k

'

(_

dx' ¥ _

r

R

ρ

ホ ClT,, R

ρ

8

7

i

一十

1="

"

;

)

=

i 一一一~UT1I1 +一一一→Lん ~dR 三 AdR k ¥ x. / p pJr

y "

<

J

3・ え, ) A 9 1 ( この(1心式からみる限り購買力 となる。かくして,上記のアイサードの主張は, 平価からの議離が為替相場の変動に比例することとして解釈できることにな この場合為替相場が変動しかっ購買力平価からの議離に何の変化も生じな る。 いようなケースは, II1,んの符号が異なり(14)式括弧内の値がゼロとなる場合の それを妥当なも みとなる。 かつて,

H

.

.

J

ゲイリオクトは,購買力平価説の検証を試み, のとした。彼によれば購買力平価説は,

(6) Gailliot, H ,JPurchasing Power Parity as an Explanation of Long-term Changes in Exchange Rates,

l

M C s, Vol 2, No 3, Aug 1970, pp.348-357

(9)

71 一物一価の法則と購買力平価

WP

I

f

WP

I

l

9

0

2

/

AERI WPI~s wpn~02

/

AE

R

l

r

g

2

-71ー

の 値 が1となることを意味する。彼は ,1900年-1904年 の 五 カ 年 平 均 を 基 準 に とり,アメリカに対するイギリス,カナダ,日本, ドイツ,スイス,イタリア, フランスの各国の1909年-1913年, 1919年-1923年, 1927年-1931年, 1936 年-1940年, 1949年-1953年, 1963年-1967年 の 各 五 カ 年 の 平 均 的 な 卸 売 物 価 指 数 す な わ ち 相 対 的 イ ン フ レ 率 , お よ び 各 国 通 貨 の 単 位 数 で 表 し た 対 米 相 場 の平均的変動率を計算し(15)式に代入する。ただし ,

WP

I

f

はt年 を 中 心 と し たi 国卸売物価の五カ年平均値であり ,AERL$は

t

年 を 中 心 と し た ド ル に 対 す る

i

国通貨単位数(為替相場〉の五カ年平均である。 (15)式 が1と異なる値をとる場合,為替相場は購買力平価から議離している。 第

5

表 は ゲ イ リ オ ッ ト の 結 果 を 再 掲 し た も の で あ る 。 彼 は こ の 表 か ら , ど の 値 もIに近いこと, また10

%

を 超 え る 議 離

C

*

印)はそれに引き続く年において 1に近ずくこと, さらに基準年(1900年-1904年〉の金本位時代以降にニつの 世 界 大 戦 と 大 不 況 を 経 験 し た に も 拘 わ ら ず 国 内 経 済 構 造 の 変 化 が 購 買 力 平 価 か ら の 議 離 に ほ と ん ど 反 映 さ れ な か っ た こ と 等 を 指 摘 し , 購 買 力 平 価 説 が 妥 当 な 理論であると述べる。 第5表 購 買 力 平 価 か ら の 霜 離 ( 基 準1900-1904年) 1909-13 1919-23 1927-31 1936-40 1949-53 1963-67 イギリス非1 099 1.06 1 02 1 12* 094 1.11 イギリス再2 096 1 03 094 1 03 087* 1 02 カ ナ タ

o

95 1 01 1 05 1 01 106 1 04 日 本 1 05 1 39* 1..23* 1 07 1 19* 1 26 ド イ y 1 01 na 1.08 1 64* 100 1 04 ス イ ス na 1.21事 1.05 1 26ホ 1 17事 1 14 イ タ リ ア 097 1 03 1 06 1..29* 091

o

09 フ ラ ン ス

o

99 100 095 1 03 1.00 099 *印は10%以止の議離を示す。 イギリスについては二穫の数債を計算した。それは,ー部出所の異なる物価指数を使用したためであ る。

(10)

-72- 第60巻 第1号 72 また,

JS

ホジソンは,アメリカとイギリスのニカ国をとりあげ, 1919年3 月から 1925年4月のフロート相場期間を選び, R(t)=

α

+

α

tPa(t

)

+

α

zPo(t)+

α

3

Ya(tー1)

+α4

Yo(t-1)+

α

s

(

r

o

-ra)(t-

1)+仇 11ん([-1)

+

α

?Mo(t-1)+仇 吉eo(t)+仇 Gmo(t-1)

+α1

0

S

l

(

t)

l1

S

Z

(t

)

+

α

l

Z

S

3

(

t)

+α1

3

t

r

'

+α1

4

Dl

第 6表 (18)式の

OLS

推定値 変 数 回 帰 係 数

R

(t) 常数 Pa(t) Pb(t) 九([-1) 九([-1) ( ra一九)(t-1) Mα([-1) Mb({-1) Sl(5ργ) S2(5um) 53(Pal!) ト レ ン ド Geb D1 D2 D3 D4 D5 D6 D7 D8 D9 D10 R2

=

,,965,

N

=

73 D引 W= 0.73 254 325 1 366 -1 379 0,,039 2 307 4 579

o

746 -2 801 9 004 -7 765 -,7s01

o

069

o

306 7 622 2974 -2 922 -0 169 19,830 4 672

o

049

o

029 4,,793

o

781 標 準 偏 差 52 551

o

162

o

106

o

364 0773 L566 3 197 5 631 3643 3534 3 544 0551 2 745 9 583 2 940 2 801 3058 5424 5030 3339 5358 2,602 3082 期待される符号 >0 <0 >0 <0 > 0 >0 <0 未定 未定 未定 未定 > 0 >0 >0 >0 >0 >0 >0 >0 >0 >0 >0

(7) Hodgson, l S,れAnalysis of Floating Exchange Rates: The Dollar-Sterling Rate,

(11)

73 一物一価の法則と購買力平価

-73-+

+

α

mDm+

u(t) (15) のラグを含む方程式を用い回帰係数を求めた。ただし ,

R

はドルで表したポン ドの価格(為替相場〉であり ,

P

は物価水準

0913

=

1

0

0

)

Y

は実質所得, rは利子率,

M

は名目貨幣ストック ,

G

e

b

はポンド支持のためのイギリスの金 輸出 ,

Gmb

はドル支持のためのアメリカからイギリスへの金輸入,

5

は季節指 数,

t

r

はトレンド変数,

D

はダミー変数

u

は残差項である(添字。,

b

はア メリカ,イギリスを表す〉。 第6表および第7表は,ホジソンが示した回帰結果である。このうち第6表 は通常の最小自乗法(OL5)によるものであり,第7表はこの OL5から有意 な変数と推定系列相関パラメータを用いた一般的最小自乗法(GL5)によるも のである。データは月別のものであるが,使用した物価指数については不明で ある。ホジソンは,これらの表から物価指数と利子率差および貨幣ストックに 関わる係数がし、ずれも有意であり,しかもそれらの符号が理論上期待されるも のと一致すること,しかしながら実質所得に関わる係数はイギリスでは有意で あるが符号が理論期待と異なり,他方アメリカでは有意にすらならないこと等 第7表 (]8)式のGLS推定値 変 数 回 帰 係 数 R(t) 常数 Pa{t) Pb(t) (九一九)(t-1) Ma(t-1) Mb(t-1) S1 S2 S3 D1 D5 R2

=

.90

α

N

=

72 D. W

=

1..63 292.211 L292 -1 158 3271 2 406 -53 706 -7013 -7777 -4 965 19222 16 724 標 準 偏 差 41 80

o

156

o

095 1 431

o

772 24.671 2..979 3222 3091 8096 4.704 期待される符号 >0 くO >0 >0 <0 未 定 未定 未定 >0 >0

(12)

-74ー 第60巻 第 1号 74 を見出す。ダミー変数は,輸入制限や資本逃避阻止政策に関わるものについて は有意である。 さらに,L.B トーマスは,ホジソンと同様のことをカナダ,イギリス,フラ ンス,オランダ,スペイン,スウェーデンの六カ国の対米相場に拡大し検証し た。ただし,彼はホジソンと異なって独立変数聞の相関を除去するために各変 数を比率の形に改める。

R

=

C1Pr+Czir+C3Yr+DQ1+DQz+DQ3

DQaT+e

(16)

P

r

P

α

に対する

P

bのl比〔卸売物価指数の二国間比率)であり,れはねに対 する九の比(短期収益率または入手不能のとき長期収益率の二国間比率),

y

γ は

Y

aに対する

Y

bの比(製造業または工業生産指数の二国間比率〉である。各 係数の符号は,理論的に

a

R

/

a

P

r

<

0

a

R

/

a

i

r

>

0

a

R/

a

Y

r

<

0

となることが 期待される。 D Q lは常数項であり ,

DQz

DQ

3

DQ

4は第1四半期から第4四半 期の各期のシフト差を表すダミー変数である。また ,

T

は線形の時間トレンド 第 8表 (1由式の推定 為 替 P, " Y, DQ• DQ2 DQ3 DQ< Trend R2 D W

u

s -カナダ 一26沌 29 77 -6694 44 55 1438

o

091 -0 247

o

022 924 1 269 (-860) (7 97) (-2 43) c741) (2 84) (-0 17) (-043) (9 58) (-0 292)

o

376) -0 075)

u

s

ーイギリス -1718

o

295 一

o

028 6 309

o

010 -0 155

o

038 0.000 925 1 021 (〔一10.51)〕

o

76) (-3 08) (9 56) (J65) (-3 34) (0 79) (2 14) -0.145 (0 038) -0 038)

u

s-フランス -2466 6 708 -0 616 8 123

o

062 -0 220 -0340

o

001 871 1 261 (-1313) (440)7(-0 65) (4 96) (0 38)(ー126)(-1 78) (J16) 〔一13561 [0 83 [-0 068)

u

s

オランダ 一1110 5 083 一1348 7305

o

895一1803 -0484一

o

009 888 962 (-525) (3 51) (-4 08) Cll27) (2 04) (-4 38) (-106) (-4 68) ( -0 545)

o

182) -0 098) U 5-;<.ベイン -6505 10.50 -0 194 3415 -0003 -0.983 -0 300 -0 008 859 1 142 (-748) (7 98) (一140) 09 78) (-0 01)(-4 26)(一120) (-7 15) [ -0 754J

o

760) [-0 098)

u

sスウz デン -5426 1310 -0 315 28 48

o

349 -0 281 0.113

o

003 900 612 (-529) (j 22) ( 2953) (389)

o

04) (-0 76) (0 30) (J22) -0 440) (0 055) -0 10 括弧内はiII向 [19角括弧内は独立変数に関する為替相場の偏弥力性

(8) Thomas, L B, Behavior of Flexible Exchange Rates: Additional Test from the Post-World 1 Episode, Southern E.], VoL 40, No..2, Oct.1973, pp 167-182

(13)

75 一物一価の法則と購買力平価 -75-であり ,

e

はランダム誤差項である。観察期間は,

1

9

2

0

1

月から

1

9

2

4

6

月 までであり,月別データが用いられる。 この(1

)

6

式からトーマスの得た回帰結果は,第

8

表の通りである。それによれ ば,すべての国に関して方程式の当てはまりの程度 (R2 )は非常に良く,かつ回 帰係数の t値も有意である。しかも ,Pr, '1r, Yrに関する係数の符号は理論的 期待と一致している。これに対し,ダーピン・ワトソン比(D“W..)はいずれの ケースでも悪く,そこに系列相関があることを示している。この

D..W

比の悪 いことは, トーマスによると投機が為替相場に(弱し、が)作用していることを 意味する。そこで彼は,これらの回帰結果に加えて投機者の行動が為替相場を 不安定にしたか否かの検証を試みた。そしてのち,当該期間少なくとも投機者 が為替相場変動の支配的役割を演じなかったと結論する。 以上は, M.

.

J

ゲイリオット,

IS.

ホジソ:/,

L B

ゎトーマスを通じて

1

9

7

0

年 代前半の購買力平価説に関する検証を考察したものである。ゲイリオットは, 基準年を

1

9

0

0

-

1

9

0

4

年の五カ年平均にとり,その年から

1

9

6

3

-

1

9

6

7

年ま での長期データを用いて購買力平価からの話離が存在しないことを主張する。 他方ホジソンおよびトーマスは,

1

9

2

0

-

1

9

2

5

年の月別データを用L、て為替相 場と二因物価指数の比率が短期分析で合致することを主張する。そしてそのう ちホジソンは為替相場が二国間金利差で変動することを述べ,他方トーマスは それが金利差だけでなく実質所得比によっても変動することを述べる。ゲイリ オット,ホジソン,トーマスのこれら三者は,価格

P

を卸売物価指数で把える。 したがって,彼等は,主として購買力平価を非貿易財を除く貿易財の価格で規 定しそれからの議離を問題にしたものと言える。かくして,われわれの(10)-1(4) 式の分析は,そのままここに妥当することになる。例えば,ゲ、イリオットは, 長期における購買力平価からの議離がほとんど圏内経済構造の変化を反映しな

(9) ホジソンについては不明であるが, Hodgeson,

J

5.. and P Phelps, The Distributed Impact of Price Level Variation on Floating Exchange Rates, R..E. Sta,..tVoL 57,

No..1, Feb..1975, pp.58-64をみると,卸売物価指数を用いている。このことから,上記の 論文でも卸売物価を使用したものと推測しうる。

(14)

-76- 第60巻 第l号 76 いとする。これは,われわれの上記(13)式にみるように購買力平価を卸売物価指 数で把握する限り,当然の帰結である。 ところで,ホジソンは実質所得が為替相場に対する有意な変数でないと言う。 他方, トーマスは卸売物価指数以外に二国間実質所得比と金利差が為替相場に 影響すると言う。いま, (13)式で貿易財の相対価格と取引量ウエイトをニ閣の実 質所得の函数とする。この場合,購買力平価からの議離は,この実質所得によっ て変動することになる。 トーマスの主張はこのケースに含まれることになる。 もし(13)式において右辺最初の括弧の二項がゼロとなるなら, (13)式はホジソンの 主張と合致することになるからである。他方, トーマスは金利差に言及する。 これは,購買力平価からの議離が短期資本移動で影響されることを意味する。 しかしながら,簡単のためここでは短期資本移動の問題を省く。この場合トー マスの主張は,結局為替相場が購買力平価に常数Clの率で一致すること,換言 すれば購買力平価からの議離が変化しないこと (dr

=

0)を意味するものと解 釈できることになる。かくして,ゲイリオット,ホジソン,トーマスの 1970年 代の各論者は,各種検証を通じてアイサードの言う(14)式の

A

O

のケースを否 定し, (14)式右辺括弧内がゼ、ロとなるケースを見出した。 II M. H.リーにおける購買力平価説の検証 本節では, 1970年代後半における購買力平価説の検証の代表として M..H リーを中心に考察を行う。彼は,先ず国内インフレが財・サービスの取引量や 相対価格に影響せず為替相場によって相殺されるとする命題の検証からはじめ る。回帰方程式は次のように設定される。当該国通貨ー単位当たりのドノレ単位 数を

R

'

とし ,e

=

!

o

g

(

R

'j

R

'

)

と定義する。

P

tを t時点における物価水準,

P=

!Og(Pt-Pt-l)および P*

=

!Og(Pt-Pt-l)と す れ ば (.印は外国を表す), e

=

P*-P+Ut 1(り となる。この側式は,当該国おいてインフレ率(P*-P)がその通貨切り下げ率 (10) Lee; M.. H, Purchsing Power Parity, 1976 (Marcel Dekker, Inc, NドY)拙 稿 rMH. リーの購買力平価の検証について」香川大学経済論叢第53巻3号,昭和56年1月。

(15)

77 一物一価の法則と購買力平価

-77-d

に等しくなること,すなわち購買力平価説を意味している。観察期間を

1

9

1

4

-

1

9

7

2

年にとり,対米相場と卸売物価あるいは消費者物価の年別データが用 いられる。対象とする国は,カナダ, フランス, ドイツ,イタリア, 日本,オ ランダ,スイス,イギリスである。観測値には,異常値や無作為といえないデー タが含まれる。そこで, リーはそれらを取り除き無作為データ(約 25~35 コ〕 のみを取り出して分析する。この無作為の検定に使用した方法は,規準化した 変量をプロ y トずる方法,ボックス・ピアース統計量によって相関係数を導出 して行う方法,標本の連をとって検定する方法などである。かくしてリーは, これらの無作為標本を用いて,為替相場変化率 6に各国対米相場を,インフレ 超過率p*-pに卸売物価指数を代入し,それぞれの平均値を求めて比較した。 この両者が等しくなることは,上記(1の式が成り立つことを意味する。リーの得 た結果は,第9表の通りである。それによれば,為替相場変化率の平均値は, ほぼインフレ超過率の平均値に近い値を示している。しかし,この第9表によ る為替相場変化率平均値とインフレ超過率平均値の近似は, これを検定してみ る必要がある。そこでリーは ,

t

統計量を計算しそれが棄却域に落ちるか否かを 調べる。 t統計量とは,

X=e

(P*-P)

とすれば,t7-1 =

X/SX

で表される ものである。ただし ,X = (

2

:

.

X)/Tであり ,Sif

=

S

/

(T-1)1/2である。ま たSはXの標準偏差,

T

は標本数,

T-1

は自由度である。その結果は,第10 表の通りである。それによると ,

t

統計量はすべての国で棄却域に落ちなし、。し たがってリーは,

X

の平均値が小さく,為替相場とインフレ超過率がほぼ同じ に変化しており,上記(17)式が平均的に成り立つことを結論する。なお,インフ レ超過率の平均値が非常に小さい国については,

X

を計算せず直接yから t (11) Hoel, P G, Elementary Statist幻, 2nd..ed, 1967, p. 100.訳書96ページ。 (

12) Box, G. E..P and D. A. Pierce, Distribution of Residual Autocorrela tions in Auto -regressive-Integrated Moving Average Time Series Models,ル4.SA,V 01 65 N 0..332,

Dec.1970またこの解説として,日odrick,R. J, An Empinical Analysis of the Monetary Approach to the Determination of the Exchange Rate (inThe Economics 01 Exc加nge

Rates, eds, by J A Frenkel and H..G. Johnson, 1978)がある。

(

(16)

-78- 第60巻 第1号 第9表 為 替 相 場 平 均 変 化 率 と イ ン フ レ 平 均 超 過 率1915-1950 (卸売物価指数使用〕 平 均 値 標準偏差 標本数 平 均 値 カ ナ タ 日 本 G 00025

o

0391 36 E -0 1438 Pus-Pc 一

o

0027

o

0458 36 Pus一九 -0.1430 Pus

o

0234

o

1260 36 Pus

o

0234 Pc

o

0261

o

1123 36 Fう

o

1664 フランス オラγタ G -0 1174

o

2656 36 e

o

0030 PUS-PF -0 1124

o

1530 36 PUS-PN -00005 PUS

o

0234

o

1260 36 PUs. 00168 PF

o

1358 02073 36 PN 0.0173 ド イ y ス イ ス e -0 1077

o

3284 25 e

o

0047 PUS-PC -0 0975

o

2976 25 PUS-PS

o

0007 PUS

o

0072

o

1423 25 PUS 0.0234 Pc

o

1047

o

2899 25 Ps

o

0227 イタリー イギリス e -01330

o

3014 36 G -0 0157 PUs-p/

o

1304

o

2868 36 PUS-PUK -0 0073 PUs.

o

0234

o

1260 36 Pus 00234 Fろ

o

1538

o

3109 36 PUK

o

0307 第10表 平 均 値 の 検 定1915-1950(卸売物価指数使用〉 国 名 平 均 値 標準誤差 カ ナ ダ Yk,t -0 0027 フランス Xk" 0.0050 ド イ y Xk" -0 0101 イタリー Xk" -0..0026 日 本 Xk" -0 0009 オランダ .y k,t -0 0005 ス イ ス Yk,t 0..0007 イギリス Y k' -0 0073 注 X, =

e

,ー(P九一P,);止,=Pヘ-P, DF=自由度

o

0082

o

0301

o

0310 0.0397 00257

o

0224 00162

o

0148 t統計量

o

33 017

o

33 007

o

03 002 005 049 標準偏差

o

3320

o

3122

o

1260

o

3488 01047

o

1227

o

1332

o

1447 0..0916

o

0957

o

1260 01229

o

0958

o

0878 01260

o

1398 D..F 35 35 24 35 35 30 35 35 78 標本数 36 36 36 36 31 31 31 31 36 36 36 36 36 36 36 36

(17)

79 物一価の法則と購買力平価 -79ー 第11表 調 整 速 度 平均値の検定(卸売物価指数使用) 調 整 期 間 為替相場変化の大きさ 平均値の差 〈一年二十年後調の整影響〉 一年調整 (前二年年の調影整響〉 年当り5 %以上 d 年当り10%以上 d 注:t統計量は平均値の下の括弧内に記入 T=標本数 0.014

o

033 (0 84) cl48) T = 50 T = 39

o

030

o

069 cl38) (2 36) T = 41 T = 32 統計量を求める。これらもまたすべての国で棄却域に落ちない。

o

016 (0 88) T = 49

o

029 cl14) ア =40 次に,リーは調整速度のテストを行う。そのため,ム

P

p*-p

と置き,各 観測値をそのまま代入し dとムPの計算をする。そしてその結果について,年 当5%以上の変化を示すものと 10%以上の変化を示すものとの二種の標本に 分け,その各々について一年調整モテール,一年後の影響を加味した二年調整モ デル,前年の影響を加味した二年調整モデルを作る(データの無作為検定は別 途に行う〉。かくして,各年度につきクロス・セクション平均値

6

とム

P

を求 め,そのヨ距離d =ムP-eを計算し,そのdの平均値テストを行う。すなわち, tTーl=dlSeiである。ただし ,dはdの平均値であり ,Sd-

=

sl(T-1)1/2で ある。また, Tはデータ数,T-lは自由度

s

はdの標準偏差である。リーの 得た結果は,第11表のように纏められる。それによると ,dは5%以上の変化 の場合一年調整モデルおよび二年調整モデ、ノレのすべてについて棄却域に落ちな い。したがって購買力平価と為替相場の議離は存在しないものとみることが出 来る。しかしながら ,10%以上の変化の場合には一年調整モデルでhは仮説Ho が棄却され,二年調整モデ、ルのみで、そのテストにパスする。したがって ,10% ( 14) 一年調整モテツレとは,その年度に生じる変化が他の年に影響せず年内に調整されるもの である。他方,一年後の影響を加味した二年調整モデノレおよび前年の影響を加味した二年 調整モデノレとは,それぞれ一年後あるいは一年前の変化が今年においても作用し調整され るものと考え,今年の変化 (5%あるいは10%以下であっても消去せず〉に計上して,平 均値を計算するものである。詳細は, Lee, M. H , ibid..pp.60-63を参照。

(18)

-80- 第60巻 第 l号 80 以上と言うような大きい変化の調整は,一年間では不可能でありより長い期聞 を要することがわかる。 最後に, リーは, これらの卸売物価について行った購買力平価からの需離テ ストや調整テストを参考にしながら,カナダ, フランス, 日本,イギリスの五 カ国を選び次の回帰分析を行う。

et

=

.

v

O+VIム

P

t+V2ム

P

t-I+V3ム

P

t-2+Ut ム

P

t

=

β

+βlet+β2et-I+s4et-2+Ut ( 18) ( 19) ただし ,UtはN(O,

σ2

I

r

l

であり ,Xのランクは

ρ

,{, Tである。この場合購買 力平価説は,VO

=

0

, ~ Vi

=

1

を期待する。そこでリーは Utに関する各種の 第12表 為替相場変化を従属変数とした場合の回帰係数〔卸売物価指数使用〕 定数項 L1Pkt L1Pkt-1 L1Pkt-2 S

(Ut) R2 DW BP 7 SR使用手法 カナダ -0.00

o

52 027

o

25

o

50 00323

o

36 1 68 6 43 34 4 38 OLS (0 30) (411) (2 31) 0.91) (2 38) (:t42) フランス

o

04 1 34

o

1594

o

69 2.04 1 23 35 5 35 GLS (104) (8 67) (:t31J イタリ7 -0 00 1 03 -059

o

58 1 02

o

1861

o

74 194 9 91 33 4 10 GLS (0 09) (8 02) (3 54) (4 51) (24 8 ) (:t08) 日 本 002

o

62

o

27

o

21 110

o

1042

o

90 1 80 4 80 34 5.18 OLS (0 93) (7 26) (2 35) (2 30) (22 5 ) 1932年異 (:t10) 常値排除 イギリス -0 01 080

o

0735

o

43 195 9 07 35 5.08 OLS (1.15) (5 13) (士 3D 注 :t備は各回帰係数のFに括弧で記す。5%布窓水準の信頼区間はt値の下の括弧に附記してレる。現時点 と返れを伴ったときの問帰係数の合計はS側に記入してLる。 d'(u,)は仙の標坤'偏差.BPはボァクス・ピlアース統計量.SRは仙のスチューデント化された範囲, Tは標本数.R'は目白度修正I済決定係数 .DWはダービγ・ワトゾγ比.OLSは通常の最小包乗法, GLSはコyクラγ .オノレコyト法

(19)

81 一物一価の法則と購買力平価 -81ー 第13表 超過インフレを従属変数とした場合の回帰係数(卸売物価指数使用〉 定数項 ek' ekt-l ek t-2 5

(u,) R' D W BP T SR 使用手法 カ ナ ダ 0.00

o

56

o

42

o

98

o

0398

o

32 1 75 5 29 35 3 76 OLS (0 17) (3 26) (2 45) (4 24) (:t46) フランス

o

04

o

44

o

14

o

58

o

0881

o

661.86 2.24 35 5 02 OLS (2 19) c785) (2 46) ci45) (:t15) イタリア

o

00

o

55 0.54 -0 14

o

95

o

1470

o

691.86 11 10 33 4 41 GLS (0 10) (6 32) (5 81) (j 56) (4 84) (:t39) 日 本 -002

o

73

o

0826

o

891.56 6 08 36 4 47 OLS (1. 41) 06 58) 1946年異 (士 08) 常値排除 -0.02

o

84

o

1442

o

79 1 82 2 83 36 6 28a OLS (0 86) (1140) 異常値排 (:t14) 除しない とき イギリス

o

01

o

52

o

26

o

78

o

0578 0.49 1 90 8 74 35 4 86 OLS (0 91) (5 09) (2 19) (5 38) (:t29) 注.第12表とliiJC。 テストから始める。すなわち,確率紙にプロットする, ヒストグラムを措く, スチュウデント化された範囲 (range),連テスト,ボ γクス・ピアース統計量, ダービン・ワトソン比,歪度,その他各種方法による正規性と無作為性の検定 である。その結果は,概ね合格する。次いで彼は,ウインソーの方法で異常値 を排除し Utに一階の自己相関のあるときコックラン・オルコットの方法で修 正を行う。そして,最後に回帰係数に関する t値が1..96以下となる場合その係 (1日 範囲とは,変i2i中の最大値と最小債の差である。したがって ,SR

=

w/sによって狽uら れる。中山伊知郎編『現代統計学辞典』昭和47年東洋経済新報社 94ベージ。 (

16) Barett, V, and T.Lewis, Outliners in Statistiιal Data, 1978, p.. 26 and p.. 50 (

(20)

-82- 第60巻 第l号 82 数を省き,改めて最小自乗法を適用する。これらの結果は,第

1

2

表および第

1

3

表である。これらの諸表で遅れを伴った変数の回帰係数は,しばしば有意とな らず省かれている。方程式の当てはまり (R2 )は, 032からO引90まで散らばっ ている。しかし, リーは概ね良い値であると考える。また,為替相場とインフ レ超過率は,互いに密接に連動している。それは,係数の合計値

S

が第

1

2

表で イタリア,日本,イギリス,第

1

3

表でカナダ,イタリア,イギリスにおいて

95%

信頼区間内にあり,それぞれ Iであるとみることが出来るからである。そこで この(18)式(19)式の分析結果は,先に行った(17)式の平均値分析の結果と合致するこ とになる。かくして, リーは,財市場が互いに強く結びつき全く一つの市場を 形成していると結論するのである。彼においては一物一価の法則および購買力 平価説は,実証しうる妥当な理論であると言うことになる。 リーは,以上のように卸売物価指数を使用し購買力平価説を検証する。しか し,他方でそれを消費者物価指数にまで拡大し,それについてもほぼ同じ結論 を得る。周知のように消費者物価は非貿易財価格のウエイトが高い。したがっ て,それだけ購買力平価の妥当性は弱められる筈である。リーの得た結論も同 様である。すなわち,消費者物価指数を用いた場合, しばしば為替相場は物価 と連動しなし、。しかしながら, リーはこれを消費者物価指数に関する価格構造 の不安定さ(不適格な一般物価のメジャー〉のためであると考えるのである。 以上は, リーの行った購買力平価に関する検証の概要である。この検証は, カッセルの購買力王子価説の検証とは異なり,短期の検証であると言える。すな わち,リーにおいては為替相場の変化率dを l0g(R

t

!

Rt-1)と規定し,また物価 の変化率Ptを l0g(Pt-Pt-1)と規定する。したがって,彼の分析では基準年は, 一期前であり常に移動することになる。ゆえに彼は,常に前期からの為替相場 と物価の短期的関係をみている。 しかしながら, リーの分析は,月別でなく年別データを使用する。ゆえに, 彼が一物一価の法則および購買力平価説の妥当性を言うとき,それは一年ある いはニ年の聞に二国間貿易財価格の離れrが一定で変化しないか帥式最後の

(21)

83 一物一価の法則と購買カ平価 -83ー

括弧内が相殺されゼロとなるかすることを主張するに等しL、。換言すれば,彼 の主張はアイサードのような(14)式のケースを否定することになる。

上記リーの分析は, (18)式にみるように et= lOg(R;jR;-I)が ム Pt= log(P

'

t

-P

'

t

-I)一log(Pt-Ptー1)や ム Pt-1

=

lOg(P"t-I-P"t-2)一log(Pト l-Pト 2)などの ラグのある変数に依存、することを仮定している。このようなラグの伴う分析は,

1

9

7

0

年代では例えば

JS

ホジソンおよび

P

ヘルプスやD.

T

キングなどにみ ることができる。前者は log

R

(t)

=

α

+α1log

P

(t)+ U(t), α1>0 とし,またラグを入れて (20) logR(t)

=

α

+α1lOgP( t)+ sl logR(t -1)+ u(t) (21) logR(t)

=

α

+α110gP(t)

+s

110g R(t-1)+β2R(t-2)十u(t) (22) とする。ただし, α1は

P

(t)に物価指数を使用するときめん,物価水準を使用 するときムを意味する。データは月別の卸売物価(主に)と為替相場であり, 観測期聞は

1

9

1

9

4

-1925

4

月とする。対象国として,カナダ,スイス, フィンランド,フランス,ベルギー,オランダ, 日本, スウェーデン,イタリ ア,ノルウエー,イギリス,スペインの12国と悪性インフレに悩んだドイツ, オーストリアが選ばれる。まず,彼等は一般的最小自乗法

GLS

によって帥式 を推定する。この側式は,その月のうちに為替相場にすべての価格変化の効果 が現れることを表している。その結果,

1

4

カ国のうち 10カ国で有意の係数al が得られる。しかしながら,決定係数は非常に悪く,かつダービン・ワトソン 比も余り良くなし、。そこで,彼等は(21)式と(22)式による推定を試みる。その結果 決定係数は大いに高められ(075~. 0996)為 替 相 場 変 動 の ほ と ん ど は 価 格 に (18) 正確には,初めの時点で r

>

0がありそれが一定に維持される場合,購買力平備が成り 立つためには議離kの変化することが必要となる。しかし,単純化のため以下の議論は, 初めの状態が維持される場合購買力平価が成り立つものとみて進められる。

(19) Hodgeson, l S. and P Phelps, op.. citお よ び King,D.T, The Performance of Exchange Rate in the Recent Period of Floating: Exchange Rates and Relative Rates of Inflation, SouthernE.J, V 0.143, April1977. pp..1582-1587

(22)

-84 第60巻 第l号 84 第14表 平 均 ラ グ と ラ グ ・ ウ ェ イ ↑ 平 均 ラ グ ( 月 数J ラ グ ・ ウ ェ イ ト 国 名 t-12で の ヲ グ ・ ウ ェ イ ト ピーク期式間 (24) 式 制 式 自由 (24) (25) イ y

o

29

o

25 t

。 。

ベ ル ギ ー

o

59 n t

。 。

フ ラ ン ス 2 24 091 t 01

フ ィ ン ラ ン ト 2 83 1 08 t-1 03

ノ ノ レ ウ ェ ー 3 08 1 51 t 03

イ ギ リ ス 3 17

o

73 t-1 04 01 ス ウ ェ ー デ ン 4 46 2 17 t-1 09

オ ラ ン タ 471

o

44 t-1 10 06 カ ナ タ 5 17 4 70 t 12 10 ス イ ス 619 1 64 t 16

イ タ リ ア 11 50 4 40 t-1 40 12 日 本 17 87 11 19 t-2 52 57 ス ベ イ ン 一-a 9 07 オ ー ス ト リ ア 一-a a a 平均ラグが負値となった。 よって説明されることになる。しかし,この場合にも

h

統計量は, 日本とフィ ンランドを除く他のすべての国で悪く,なお強い系列相関のあることを示して いる。 ホジソンとヘルプスは,この(21)式と凶式回帰結果から平均ラグ,ピーク期間, 遅れのウエイトを計算する。第

1

4

表はそれを纏めたものである。それによれば, 平均ラグは(21)式の場合 14カ国のうち 9カ国で6カ月より小さし、。一年以上の 遅れは日本のみである。仰)式の場合は, 6'カ月を超えるのはこカ国のみである。 しかも一年を超える国はなし、。他方,第

1

4

表 第

3

欄の効果ピーク時期をみると,

6

カ国がその月のうちに,

5

カ国が次の月に生じており,

2

カ月後となるのはわ ずか1国だけである。最後に,遅れのウエイトをみる。これは初めの効果がー

(20) Durbin, J.Testing for Serial Correlation in Least-Square Regression when Some of the Regressors are Lagged Dependent Variables, Econemelrica, Vol. 38, N 0..3, May 1970 pp..410-421

(23)

85 一物一価の法則と購買力平価 -85-年後まで及ぶ程度を示すものである。イタリアは初期の 40%ほどを,また日本 は 52%~57% ほどを一年後まで残存させている。しかし,大部分の国ではその 効果が一年後に及ぶ程度は,非常に小さい。 以上第14表の結果から,ホジソンおよびヘルプスは,為替相場変化の90%以 上がラグある価格水準変化によって説明されること,そして価格変動の効果が 主に初めの三カ月以内に現れ一年後まで残存しないこと等を結論する。 他方,D..T.キングの遅れを伴う影響の取り扱いは,次の如くである。彼は, 19カ国に関する 1973年から 1975年(基準を 1973年第 1四半期にとる〉までの 二年間の対米為替相場と種々インフレ率のデータをプールし,それを用いてホ 第15表 インフレ率に対する為替相場の感応性 観測値の長さ│ 物価指数の種類 al(t)

R

'

F 消費者物価指数

OECD

- 41 02 2 66 cl63)ホ 四 半 期 卸売物価指数

OECD

- 13 01 99 (100) 賃金指数

OECD

10

37 ( 61) 消費者物価指数

OECD

- 50 06 343 c185)ホ 主戸 年 卸売物価指数

OECD

(59)22 06 2 53 市 賃金指数

OECD

- 24 02 1 19 (1 09) 消費者物価指数

OECD

- 81+ 20 6 73* (259)* 年 間 卸売物価指数

OECD

-43 (3 72)* 43 1380‘ 賃金指数

OECD

- 51 12 366 (L91)* 消費者物価指数IMF - 98+ 65 31 19* (5 58)* 消費者物価指数

OECD

-78+ 54 14 34* 2 年 (379)* 卸売物価指数IMF 71+ 45 1379ホ (371)* 賃金指数

OECD

-48 29 4..93* (223)率

*

ゼロから有意に異なる。

(24)

-86ー 第60巻 第1号 86 ジソンおよびへノレブスの研究と類似の結論を導く。彼の取り扱ったこ年は,言 うまでもなくフロート相場移行後のものである。いま,為替相場を当該国通貨 一単位当りのドル単位数で表し

(

R

;

)

,その変化率をとれば dR; d{(Pt/ Po)/ (Pt / Po*)} R; - (Pt/l

古 川 町

Pd) (23) を得る。そこでキングは,一次回帰方程式 (R'の%変化)

=

α

。+al(P/P*の%変化 )t

+

Ut (24) を設け,そして購買力平価説が成り立つためにはこの凶式の係数の推定値ム が-1あるいは少なくとも負の一定値でゼロから有意に異なることが必要で あると考える。第15表は彼の得た推定結果である。それによると,制式の当て はまり

(

R

2 )はそれほど良いとは言えない。しかし彼は,四半期と言う短期分析 においてさえ,インフレによって生じあ為替相場変化の方向が理論的に予測し たものと一致しており, したがって購買力平価の妥当性を充分に示していると 第16表 日 々 の 菌 物 取 引 マ ー ク ア ッ フz率に関する回帰結果 0971年N Y市場〉 52 各国通貨 期 間 デ ー タ 数 d 5, 5

1-1 1-2 UK 8123- 76 0.0001 0.0255 0.0396 0.0472 -0 0002 GI -0 0003 GI_I ポント 12/17 (6 06) (7 48) (5 85) (6 10) (-2 73) 日本 8/27- 65 00025 b b 0.1734

o

0016 G1 円 12/17 00 25)

o

72) ( 2 09) イタリ7 8/23- 67

o

OOJJl b 0.0954 0.4220 -00018GI リラ 12/17 (0 78) (4 37) (4 95) (-2 73) ベルギー 8123- 72

o

0ω3 0.0811 0.3156 c フラン 12/17 (2 06) (J83) 15 49) 7ランヌ 8/23- 0.0000 00082 0.0831 フラン 12/17 10 03) (4 30)

o

89) トイ y 5iJO- 139 0.0002 -0.0015 0.0466 マルク 12/17 (/ 00) (-048) (6 65) オランダ 5/10- 138 0.0001 0.0175 0.1646c ギルダー 12m 13.32) 10 86) (7 65) スイス 8'16- 81

ω b 0.0117 0.1328c

o

0005 GI フラン 12m (-00l.i

o

10) (4 74) (237) a コyクラン・オノレコyトによる)J,w使IHb 入f不自主 ι .iIiれのある係数の合計世i (;1 イキリスの非民{tお ス タ ー リ ン グf白金期への利f主払祭止 β策発表 G2 G 10 (;4 イタリ 7商工ー銀行の外l叫 保 有 り ラ へ の 利f支払停H (;3 英仏人ー統領JtliiJjJ'パ発表 (;' IMF の為喜子相場調設 jft~を (;6 ス イ ス 銀 行 の 流 入 外I司資金への平IJf支払禁I上処ff'1 (-399)

o

0205 GI 00 23)

o

0021G1c (4 40) R' DW

o

78 2 30

o

75 2 01'

o

43 2 14

o

34 1 78 026 2 06

o

24 1 69

o

32 2 14

o

51 1 79

(25)

87 一物一価の法則と購買力平価 -87ー 主張する。しかも,第

1

5

表にみる如くデータの期聞が長く二年に接近するほど,

L

-1

に近付き,為替相場のインフレ率に対する感応度を高めかっ

R

2を大 にする。即ち,期間二年では為替相場変化率のほぼ半L分は,消費者物価または 卸売物価の変化率で説明されることになる。また,貿易財価格をより良く代表 すると思われる卸売物価や賃金の指数を一般物価指数に代替する場合には,消 費者物価指数を代替するときに較べて推定値alの大きさ及びその t値をとも に小さくすることがみられる。したがって,これらのことからしてキングは, 貿易財価格に関する商品裁定がゆっくりとしたテンポで進行すること,消費者 物価に関する裁定のように投機的動機に左右され予想を通じて敏感に反応しな いこと等を結論するのである。 以上のキングの分析は,基準年を1973年第1四半期にとっている。したがっ て,それは前出のホジソンおよびヘルプスの分析よりも購買力平価説本来の考 えに近いものである。しかしながら,彼の分析は二年間と言う期間に限定され ておりその意味で短期の分析であると言える。また,彼の分析とホジソンおよ びヘルプスの分析は,ともに貿易財価格の商品裁定に遅れが伴うことを認め, 暗黙に rが lあるいは任意の一定値であることを主張している。この点で両者 は,同じくアイサードと反対の立場に立つといえる。。 III 結び 前節においてわれわれは,商品裁定に係わり rが1あるいは任意の一定値に とどまり,一物一価の法則を実現し購買力平価からの議離の変動を生じないと する各種検証を考察してきた。しかしながら, これと異なる見解も当然存在

L

。1) キングは,二カ年聞を前半と後半の各一カ年に分け,その各々について似)式による推定 を試みる。そして後半のケースで推定値dの値が大でより有意となることを見出す。

) R2 ogalski, R J and l 0.. Vinso, Price Level Variations as Predictors of Flexible Exchange Rates, J 01 InternatiOnal Business Studies, Vo.l8, No.1, Spring/Summer,

1977, pp 71-81は,為替相場がラグを伴う価格変数に依存することが直ちに購買力平価の 否定につながると考えている。そして,市場が効率的か否かを検証して,為替相場が遅れ を伴う変数に依存する事実はなく,むしろ非常に敏感に反応することを見出し,購買力平 価説の正当性を主張する。

(26)

-88- 第60巻 第l号 88 た。その代表例は,既述のアイサードであり,また

N

S

フィーレグである。彼 等はいずれも rが為替相場変化のような変数に依存して変動することを主張 するものである。ちなみに,フィーレクをみると次のようである。彼は,二国 間貿易財価格の不一致をもたらす関税や貿易障害,為替統制などを為替取引コ スト(為替の売却受取額と支払額の差〕として一括する。そのデータは,事実 上ほとんど入手不能である。そこで,それを銀行間取引の売相場と買相場のス プレッド(マーク・アップ率)で代替する。彼は次の式を推定する。

MO

+b1ED+b2ムRO/R。十b3G (25) ただし ,

M

。はマークアッフ。率

(

A

O

-B

O

)

/

B

。であり

(

A

は売相場,

B

は買相場, 添字ゼロは直物), EDは平均を超える金利差 (90日物), Rは

(A+B)/Z

,G は

1

9

7

1

年における市場の不確実性をもたらした各種会議(例えば

GI0)

や政府 発表など一連のダミー変数である。フィーレクによると,この取引コスト M。 は, 臼々生じる為替取引額の増加や銀行間競争の激化によって減少し,為替統 制や課税また為替相場変動の予測に関する不確実性の増加に伴って増大するも のである。しかしながらこのうち日々の取引額のデータは入手困難であり,他 方銀行間競争の状態は問題とする極めて短い期間では大きく変動することがな い。したがってフィーレグは,結局この両変数を省き,予測によって大きく左 右される平均を超える金利差EDと将来の為替相場に係わる相場変動率ムR/

R

さらに外生変数としてのダミーの三変数のみを説明変数として使用する。 フィーレクは, (25)式を推定するに際し普通の最小自乗法を使用する。しかし ム R/R と G~こは,マークアップ率に与える影響に遅れがあり,したがってその 場合通常のように多項式でラグを導入するか,あるいはコックラン・オルコッ 卜による方法を使用する。対象とした通貨は,

1

9

7

1

年における英国ポンド,日 本円,イタリア・リラ,ベルギー・フラン, フランス・フラン, ドイツ・マノレ ク,スイス・フラン,オランダ・ギルダーなどである。その結果は,直物相場 (

23) Fieleke, N. S, Exchange-Rate Flexibility and Ef五ciencyof the Foreign Exchange Markets, J of Financial Qz仰 uilativeAna'ysis, Vol. 10, Sep. 1975, pp..409-428

(27)

89 一物一価の法則と購買力平価 -89-に関するもののみを掲げれば,第16表の通りである。フィーレクは,これらの 結果とここに省かれた先物相場を併せて考え,為替取引のマークアップ率が平 均を超えるカバー付き金利差と為替相場変化率および各種の国際会議や政府の 人為的干渉などによって影響されるものと結論するのである。換言すれば,彼 は,暗にアイサードの言う為替相場変化だけでなく金利差と通常考えるような 関税を含む人為的干渉の変化がrの変化の主要な要因であり購買力平価から の議離の拡大をもたらすものであることをど示唆する。 最後に,われわれは,このような取引コストと購買力平価からの議離の問題 を理論的に取り扱った]アイゼンマンの主張を考察すべきである。しかしなが ら,これは,別の機会に譲ることにする。

制 Aizenmann,J. Modeling Deviations from Purchasing Power Parity, International Economic Review, VoL 25, N 0 1, Feb 1984, pp. 175-191.および TestingDeviations

from Purchasing Power Parity, ]. 01 International Money and Finance, Vo.l5, No..1, Mar. 1986, pp 25-35

参照

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