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現代青年の自己像と生活の道程 : 人格構造論試論

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(1)

現代青年の 自己像 と生活 の道程

一人格構造論試論―

Self―

ilnages and iOurney of life in Japanese young peple

―An approach to the model of persOnahty―

教育,い理学教室

憲 一 郎

Kenichiro Takatori*:Self―irnage and jOurncy of life in Japanese young peopl― An apprOach to the mOdel of persOnanty_.(JOurnal of the Faculty Of Education,

TottOri l」niversity,〈EducatiOnal Science〉

,1984,26:327-343)

1. は じ

bに

心理学が明 らかにすべ き重要な問題 の一つに,「人格 とは何か」というテーマが存在 することは疑 いえない ことと思われ る。事実

,お

びただ しい数の人格心理学研究が行なわれて きた し

,今

後 も行 なわれ るであろう。 しか し

,人

間の本質は社会的諸関係の総体 であるとする立場か らの人格心理学 研究 は,ほ とん どなされていないのが現状である。そのような数少ない研究の中に,乾孝 (1983a,b), 中川作―

(1979a,1979b,1979c,1982),亀

谷純雄

(1981,1982)ら

Rosenberg(1965)の

自己 評価 テス トと,Kuhn et al。 (1954)の20答法 を用いた現代青年 の自己像類型化 の こころみ

, SOVe

(1969)の活動の時間分割 に着 目した人格の下部構造仮説

,さ

らに坂元忠芳 (1981)が紹介 してい るPy6ИHHTeЙ

H,AHaHЬ

eB,Л

o「ИHoBa,ら の生活の道程 としての人格への接近

,な

どが含 まれる。

本稿では,中川 と亀谷が精力的に押 し進 めている青年の自己像類型化の方法 と,ЛorИHOBa(1978)

の問題提起 を具体化 した КpoHИК

,「

oBaxa(1983)の

人格の心理学 的年令 と生活の道程の調査法

を用 いることによ り

,現

代青年の人格構造 を明 らかにす ることを目的 とする。 (1)中川たちの自己像類型化研究 中川たちは

,乾

孝の人格 の構造モデル と

,Mead(1934)の

自我理論 に基ず きなが ら

,調

査 データ を積み重ねている。 乾 (1983a)の 人格構造モデルは

,第

1層 :無 条件反射 (種属反射

)の

,第

2層

:第

1信

号系 による個体反射 の層

,第

3層

:第

2信

号系による人格反射 の層の3つの層 を下部構造 として

,そ

の 上部構造 に自我領域

,人

間関係 (家族・ 仲間

)領

,大

社会領域 (抽象的人間関係

)の

3領

域 よ り 成 る自我構造が存在す るとする。 なお

,上

3領

域 は乾 (1983b)では

,オ

レ領域

,仲

間領域

,社

会領域 となっている。中川たちが

,Kuhnの

20答法 を用いて,「私 とは?」,「私 の仲間 とは?」という 質問 を発 しているのは

,

この

3領

域の前2つに対応 している。 ところが

,中

川たちの自己像類型化の内的構造 を理解す るには

,乾

モデルだけでは不十分であっ て

,Meadの

自我理論,と くに《me"と《I"の構造連関 を解明 しておかねばな らない。中川や亀谷が し

(2)

高取憲一郎 :現代青年の 自己像 と生活の道程 ばしば論 じているように

,彼

らの理論的基礎 には

Mead自

我論があるか らである。

Meadに

よれば,自我 とは

,人

間が誕生 した ときにすでにあるものではな くて

,社

会的経験や活動 の過程 で生 じるものである。すなわち

,そ

の過程の全体お よびその過程 に含 まれている他の個人た ち との関係形成の結果 として

,あ

る個人のなかで発達す るものである。上述の他の個人たちとの関 係形成の結果が

,い

わゆる「一般化 された他者」であ り

,

ミー ドの言 うところの《

me"で

ある。 この 一般化 された他者 を個人が とり入れることが

,個

人の 自我の発達 に とつて不可欠の前提であ り

,一

般化 された他者

=meと

協調 した り

,軋

弊 をひき起 した り,その限界 を超克 した りす るもの として,

いわゆる(I"が登場す るのである。すなわち

,自

我 には2つの側面

,meと

Iがあ り

,meと

は他者の態 度の組織化 されたセ ッ ト,Iと は

meに

対する反応である。

meは ,自

我の社会的側面 を,Iは国人的な 自発性 をあ らわ しているともいえるし

,meは

囚襲的

,慣

習的な個人 を,Iは 主導的で

,情

況 に対 し主 体的反応 を行 なう個人 をあ らわ しているともいえよう。

(Meadの

自我論 については,滝沢正樹(1976)

pp.99-107に

くわ しい。〕

Meadの

自我論 は

,ワ

ロン (1983)ЛypИЯ(1974),さ らにマル クス らの 自我論 。人格論 とも接近 している。 ワロンによれば

,自

我 は他者 を内なる他者

,す

なわち第二の自我一社会的 自己 として個 人の うちにとりこむ ことによって形成 される。 また

│ル

リヤによれば

,自

己意識 は

,初

めは外的状 況へ と向けられているが

,集

団的労働 に参力日してい くなかで

,他

人の言動 を評価 した り

,あ

るいは 自己の言動が他人か ら評価 される過程 で

,し

だいに内面的な ものへ と向けられてい く。 さらに

,マ

ルクスの「資本論」のなかの著名なテーゼ もつけ力日えておこう。「見方によっては

,人

間 も商品 と同 じである。人間は

,鏡

をもってこの世 に生 まれて くるので もなければ

,私

は私であるぅというフィ ヒテ流の哲学者 として生 まれて くるので もないか ら

,は

じめはまず他の人間に自分 自身 を映 してみ る。人間ペーターは

,彼

と等 しい もの としての人間パ ウル との関連 を通 してはじめて人間 としての 自分 自身 に関連す る。だが

,そ

れ とともに

,ペ

ーターに とってはパ ウルの全体が

,そ

のパ ウル的肉 体の ままで

,人

間 とい う種属の現象形態 として通用す る。」(資本論

,新

日本出版社版

1巻

,第

1分

,90-91ペ

ージ) この ような理論的背景の上 に

,中

川たちは

7種

の自己像類型 を モデル化 している(図1)。 対他開 とは

,他

人 との交わ りを積極的 に求 めるタイプであ り

,対

他閉 とは

,他

人か ら逃れ る傾向 をもつ タイプである。 また

,対

自関与 とは

,自

己に対 する態度が前向 き で積極的なタイプ

,対

自無関与 とは積極性が出て こないタイプ, 対自脱関与 とは

,自

己から逃避するタイプ (々とえば

,死

にたい とか

,消

えてしまいたいとか

)で

ある。以上の対他 と対自の5タ イプを組合わせることによって

, 1か

ら7の 7つ の類型ができあ がるのである。対他 と対自の単純な組合せ以外の類型

,す

なわち, (lX4X71について

,亀

谷 (1981)の 説明か ら引用 してお く。(りは, 対他志向が開であ り

,そ

れが他者に媒介 され

,対

自関与があるも のであ り

,ま

れにしかみ られない とされ る。は)は

,対

他 における開 と閉の揺れが

,対

自の面 の関与 と無関与の揺れに照応す るものである。(Dは対他 における開 と閉の揺れが

,対

自の無関与 と脱関与 の揺れに照応す るものである。以上の類型 の くわ しい内容 については

,中

川 と亀谷の諸論稿 を参照 していただ きたい。

〈対 他〉

〈対 自〉 図1,自己像 の7類型 (亀谷 1981よ り)

(3)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券

(2)生活の道程 と人生展望

Py6ИHШTeЙ

Hと

AHaHЬ

eBは ,Buhler,Ch.が

伝記 を分析す ることによ り人生の発達段階区分 を 行 なった研究 に大 きな示唆 を受 けて,Bthlerを批判的に継承 している。彼 らのBuhlerの方法への批 判 は

,Bthlerに

は社会―歴史的視点がない とい うことであ り

,そ

の批判 の上 に立 って

,生

活の道程

(あるいは生 活進路

)に

おける事イ牛(C05ЫTИ

e)と

いう概念が導入 され る。

Py6И

TeЙ

H(1946)

によれば,「生活の事件 とは

,個

人 の生活の道程 における結節点であ り

,転

機 である。 その とき, 将来の時間 を展望 して何 らかの決定 を下す ことによ り

,そ

の人の将来の生活の道程が決定 され る。」 (C。 684)すなわち,P y6И HШTeЙ

Hに

よれば

,事

件 とは

,将

来の進路 を人間が能動的に判断すべ き 人生の転機 を画す るようなで き ごとであ り,「外的条件 は内的条件 を媒介 して作用す る」とい う有名 な公式の適用 を

,こ

こにも見 る ことがで きる。 また

, AHaHLeB(1968)に

よれば

,人

格 は歴史感 覚

,す

なわち

,歴

史的過程の自覚 と体験の深みによって特徴づけられ

,い

わば

,歴

史 は人間の生活 ドラマにおける基本的パー トナーで あ り

,社

会的事件 は人間の伝記の道標である。か くして

,人

間 の個体発達 におけるすべての事件 は

,歴

史的時間の尺度上 に配列 され

,人

格構造の変化 は

,歴

史的 時間のカテゴ リーな しでは理解す ることがで きない。

AHaHЬ eBに

とっては

,人

格研究 は2つの意 味 において歴史研究である。第 1に

,人

格 の陶冶 と生成過程の歴史的研究 という意味で

,第

2に, 時代 。国家 。社会構造 。同時代者 (人格 としての個人が参加 した仕事

,時

,出

来事の共通の参加 者

)の

歴史的研究で もあるという意味 にお いて。 坂元 (1981)が指摘するように

,

ЛorИ

HoBa(1978)の

論稿「人格 の発達 と生活の道程」 は

,以

上 の Py6ИHЩTeЙ

H,AHaHЬ

eBの

立場 を継承発展 させた ものである。 Лo「И

HoBaに

よれば

,生

の道程 とは

,人

格 としての人間の生活の歴史であ り

,個

人の発達の歴史である。人格 としての個人 は

,社

会的諸関係の体 系の上で活動 を営み

,そ

の個人の属す る国の経済的 。政治的状況

,文

化の型 と水準

,社

会の心理的風土な どの錯綜 した状況 によ り規定 され る生活様式 を媒介 にして

,人

格 とマ クロ環境―社会 との直接的関係が実現 される。生活の道程の本質は事件 (C06斑TИ

e)に

よ り決定 さ れ る。すなわち

,性

格の根本的変化 とか人格 の発達の方向やテンポの変化 と事件 とは密接に結びつ いてお り

,事

件 とは

,歴

史上の基本的単位であ り

,

とくに人間の伝記の基本的単位であるか らであ る。 そして

,

ЛorИHoBaは

,事

件 を

3種

類 に分類 している。(1)周囲の環境 における事件,(2)人間の 行動 における事件,131内面生活 における事件

,で

ある。 さらに

,注

目すべ きは

,生

活の道程のなか に労働の歴史が含 まれるとす る点である。個人の伝記のなかには

,さ

まざまな活動が含 まれるので あるが

,そ

のような活動の主体の発達進路 も伝記のなかに入 りこんで くるのであ り

,な

かで も労働 行為 はその主要な部分 を構成 している。 人格研究 における伝記分析 による事件の生活記録的意味 とい うЛorИ

HoBaに

よ り提起 された新 し

い課 題 は

,最

,

КpoHИК,「oェ。

Baxa(1983)に

よ り

,具

体化への一歩が踏 み出された。彼 らは

, 「 もしもあ なたの出生 を証明す る客観的記録の類が失なわれて

,あ

なたの実際の年令が確認で きな い ような事 態になった とした ら

,あ

なたは今

,何

才だ と思 うか?」 とい う質問 を発 して

,心

理学的 年令の自己 評価 をこころみた。結果 は

,実

年令 よ りも若 い とするものが

55%,実

年令 よ りも老いて いるとする ものが

21%,実

年令 と同 じかあるいは±1年 ぐらい とす るものが

24%で

あった。年代別 にみれば

,実

年令 よ り若 く評価するものの割合 は

,30才

以下では

47%,30才

以上では

73%で

あ り , 年令の上昇 とともにその割合が増加 している。 また

,何

才 ぐらい若 く見積 るか とい うことに関 して は

,30才

以 下では平均3.6才

,30才

以上では平均8.3才であった。 この ように

,年

令の自己評価 と実 年令の間に は不一致があるわけであるが

,そ

の理由 としては,(1)正確 な自己計測器がないこと

,9)

(4)

高取憲―郎:現代青年の 自己像 と生活の道程 社会的役割 期待 と現在 までの 自己の到達度 との間の関係 によると考 えている。上の似)の例 として, 次の調査結 果があげられてい る。同 じ職場の41人の男女の技術者 (年令 は23才∼25才

)を

対象にし て

,年

令の 自己評価 を行 なわせた。なお

,ソ

連では23才∼25才とい うの は結婚適令期 であ り

,社

会 的には

,結

婚 していることが役割期待 として課せ られている といえる。 よって

,独

身者 は

,ま

だ役 割期待 を果 していない と社会的 には考 えられてお り

,自

己の到達度のほうが役割期待 よ りは小 さい とい うことになる。その場合 は

,実

年令 よ りも若 くみなされ ることが多い と予想 され る。 逆 に既婚 者の場合 は

,到

達度のほうが役割期待 よ りも大 きくな り

,老

けて自己評価する場合が多い ことにな る。結果 を表 1に 示 してお くが

,以

上の予想 はほぼ支持 されている。 また

,心

理学的年令 は

,過

去 に消費 された時 間 と

,未

来 に消費 され るべ き時間 との関係 における人生展望のなかで

,現

在が どの ように位置づ け られ るかによって も決定 される。「何才 まで生 きると思 うか?」 とい う間 に対する答 は

,50才

か ら88才 までの広範囲にわた り存在 し

,平

均は69.3才であった。 この数字 は

,ソ

連の平均 寿命 とほぼ一致 している。 すなわち

,気

ままな思考の産物 ではな くて

,客

観的な規準 を反映 してい ると考 えられ る。

l

КpoHИ К

,「

oЛoBaxa(1983)の結果

家 族 の 状 態 年 令 の 自 己 評 価 若 同 老 身   婚 独   既 (男女) (男女)

17

3 p<0.01 5   7   ・ S N 5   4   , S N

27

14

さて

,

КpOHИ

Xた

ちは人格 の心理学的年令 を自己評価する方法 として

,次

3つを提案 してい る。第1の方法 は,「あなたの人生 において過去 。現在・ 未来 に生 じた事件 のすべてを100%と仮定 すれ ば

,今

日までにその うちの何

%が

実現 していると思 うか?」 と質問 し

,答

えさせ る。第2の方 法は

,生

まれてか ら

,死

ぬ と予想 され るまでの一生 を

, 5年

間 ごとに区切 り

,そ

れぞれの

5年

間 ご とに

,事

件の何

%が

実現 したか,あるいはす るであろうか を10点尺度 で評価 させ る方法である。 た とえば

,現

在35才の人が,65才まで生 きると予想す る場合 を例 に とってみよう。

5才

まで

:5点 ,6

∼10才

:5点

,11-15才

:6点

,16-20才

:7点

,21-25才

:10点

,26-30才

:10点

,31∼

35才 : 5点

,36-40才

:6点

,41-45才

:6点

,46-50才

:5点

,51-55才

:5点

,56-60才

:4点

,61

-65才

:3点

,と

評価 しておれば

,現

在の35才までの

7段

階の合計点 は48点

,全

生涯 の合計点 は77 点であるか ら

,実

現率 は

48/77=62%で

ある。第3の方法 は

,2分

割尺度法 と呼 ばれ るものである。 誕生か ら死 までの一生の間に生 ずる事件 を想起 させ

,ま

ず最初 に

,一

生 をその意味 において も充実 度において も2等分する事件

,す

なわち人生の時間にお ける主観的尺度の

%の

点 に生ず る事件 を記 入 させ る。 さらに

,%と

彪の時点 における事件

,次

いで1/8,k3/8,%,7/8の 時点 において生ずる事件 を記入 させ る。以上の合計

7つ

の事件 を記入 させてら次にそれぞれの日付 を記入 させ る。その全尺 度上で 〈今 日〉が どこに くるのかを測定 して

,実

現率を出すわ けである。例 えば

,%の

点 に今 日が くれば

,心

理的時間の実現率 は

50%で

ある。 КpoHИКたちによれば

,以

上の3つの方法で測 られた 実現率 は互 い に高い相関がある とされている。 本稿では

,以

上述べてきた20答法 による自己像類型 と

,事

件 を媒介 とした生活の道程調査 を用い て

,青

年 をケース としての人格構造論の試みを展開 してみることにする。

(5)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券

2.調

I(20答

法 に よる自己像 類 型) 方法 :調査対 象者 は,鳥 取大学教育 学部

1年

生 で,男30人(平均年令

19.0才

,SD=o.71),女

26人 (平均年令

189才 ,SD=o.47)で

あ る。調査 は1983年 に行 なわれ

,集

団的 に実施 した。 中川 や亀 谷 にな らって,ま ずRosenbergの自己評価 テス トに回答 させ る。表2にテス ト項 目 と選択肢 をかか げ てお くξl採点 方法 につ いて は

,亀

谷 (1981)に くわ しい (p.25)。 表2 Rosenbergの自己評価テス ト(亀谷純雄氏からの提供による) aだ いたい私は自分に満足している。

1.大

いに満足し

2.満

足 している

3.あ

まり満足し

4.少

しも満足じ ている

ていない

ていない b時々私は駄目な人間だと思う

1.つ

よくそう思

2.そ

う思う

3.あ

まり思わな

4.少

しも思わな つ

い c私には長所がた くさんあると思 う。

1.大

いにそう思 2。 そ う思 う

3,あ

まり思わな

4.少

しも思わな つ

し】 d私はぶつ うの人 と同 じ くらいの力

1.大

いにそう思

2.そ

う思 う

3.あ

ま り思わな

4.少

しも思わな 量 はもっている と思 う。

ぃ e私はじつは使 いみちのない人間だ

1.よ

くそう思 う

2.そ

う思 う

3.あ

まり思わな

4,少

しも思わな と思 うことがある

い f私はこれだけは誇 りにしていい と

1.つ

よ くそ う思

2,そ

う思 う

3.あ

ま り思わな

4.少

しも思わな 思 うものをあ まりもっていない。

い g私は少 な くとも他 の人 たち と同 じ

1.も

ろろんそう

2.そ

う思 う

3.あ

ま り思わな

4.少

しも思わな ように生 きる価値 はあると思 う。

思 う

い h私は もっと自分 自身 を尊重す る気

1.そ

う思 う

2.そ

う思 うこと

3,そ

れほ どには

4.そ

うは思わな 持 になれないものだろうか と思 う。

もある

思わない

い i結局 の ところ私 は人生の落後者 だ

1.つ

よ くそうな

2.そ

うなる

3。

そうな らない

4.少

しもそうな と思いた くなる。

らない ,私はいつ も自分 自身 を積極的 に生

1.大

いに生か し

2.生

か している

3.あ

ま り生 か し

4.少

しも生 か し か して い る。 て い る ていない

ていない 次 に

,20答

(TST)を

行なう。「私 とは?」,「私の仲間 とは?」,「未来の私 とは?」 のそれぞれ に対する答 を20記入 させ る。

1テ

ーマあた り

,15分

間の記入時間 を与 える。 結果:Rosenbergの 自己評価 テス トの結果 は男女差がなかったので (χ

2=9.35,df=6,n.s,)男

女をこみにして図2に表わ した(ただ し女1名は未回収)。 このテス トは得点が低 いほど

,自

己評価 は高 くなっている。 自己評価

3, 4が

最 も多 く

,次

いて

5が

多い というパ ター ンは

,亀

谷 (1981) の紹介 している高校生の場合 とよ く似 ている(図3)。 Rosenbergの 行 なったアメ リカ青年のパ ター ンとは対照的であ り

,さ

らに中川 (1982)の紹介 してい るわが国のある一流商社員の場合 (図 4) および一流 につ ぐある生命保険会社員の場合 (図

5)と

も対照的な分布 を示 している。 また

,同

じ く中川 (1982)の紹介 している首都圏内のある小学校教員の場合 (図

6)と

比較 してみれば

,本

調 査の結果 との類似性が見出 され よう。教員志望の教育学部生 と現職教員 との間 になにか共通性があ ることを示唆 しているのか,あるいは大学1年生 とい う時期特有の ものなのかはよ くわか らないが, 興味 ある結果である。 次 に20答法 による自己像類型の結果 を示そう。中川たちにな らって,「私 とは?」の答の分析か ら 導かれた類型 を内連関,「私の仲間 とは?」,「未来の私 とは?」の2つの答か ら導かれた類型 を外連 関 として

,内

連関 を分子

,外

連関 を分母 として表現する。類型分析の際 は

,中

川 らにな らって

,20

答全体 を総合的に考察 しての判断 とする。 くわ しい方法 に関 しては

,中

川 (1983)を参照の こと。 *l Rosenbergの 自己評価テス トについては,法 政大学教養部の亀谷純雄氏 より,貴 重な御教示をいただいた。 記 して感謝する。

(6)

高取憲一郎:現代青年の 自己像 と生活の道程 1 0   カ 0

0123456

高←自己評価→低 図2.Rosenberg自 己評価テス トの結果 図

6.中

川 (1982)の首都圏内のある小 学校教 員のRosenberg自 己評価 テ ス トの結果

0123456

高← 〈自己評価〉→低 ―一

N高

校 ―一

K看

護学院 一― アメ リカ青年 図

3.亀

谷 (1981)の高校生

,看

護学院 生,アメリカ青年 のRosenberg自 己 評価 テス トの結果 % 40 中川 (1982)のある一流商社員の Rosenberg自 己評価 テス トの結果 図5。 中川 (1982)の一流 につ ぐあ る生 命保険会社員のRosenberg自己評 価テス トの結果 類型の具体例 を表3に示 してお く。 また

,表

4に は

,内

連関お よび外連関の類型別人数 を示 してお く。 ここでXというのは, どの類型 に もあてはま らない ものである。内連関

,外

連関 とも男女の間 に差 はみ られない(内連関:χ

2=4.48,df=7,n.

S。

,外

連関:χ

2=11.00,df=7,n.s.)。

表か ら明 らかなように

,内

連関

,外

連関 とも類型

5が

最 も 多 く

,次

いでXを除 けば内連関で は

4,外

連関で

2が

多い。 この ことか ら概略的傾 向 としては, 調査対象者の集団特性 としては

,現

在 お よび未来 において

,他

人 との仲間関係 においては協調的であるが

,自

己 自身の生 きかた

,あ

るい は自己 に対 する態度 においては積極性がみ られない

,

という青年像が うかんで くる。ただ

,外

連関 において, 図 4.

(7)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券 333 類型

2が

内連関 よ りも多 く現われていることか ら

,未

来への展望 において自己 自身 に対する前向 き の積極性 をイメージす るものが現われていることを示 していよう。図7には

,外

連関 を規準 にして, 自己態度の面で「関与」と「無脱関与Jに三分化 して配列 した ものを横軸 に

,Rosenbergの

自己評価 テス トの結果 を縦軸 に して,自 己評価 と自己像類型 をクロスさせた ものを示す。自己評価 と〈関与〉, 〈X〉

,(無

・脱関与〉との間には関連がみい出せないが (χ

2=18.36,df=12,n.s.),つ

類型が全 体 として最 も多いのが明 らかである。 これは

,内

連関 と外連関のズレとして現象する現代青年の自 己像典型 (た とえば宅∴ 手 など)と も

,ま

た青年期特有 の不安定 さを示す

+の

類型 とも異 なっ てお り

,本

研究 の対象集団に顕著な特徴である。亀谷 (1981)が指摘するように

,内

外連関のズ レ という現象に自己像の再編成過程 を予想す ることがで きるとすれば

,本

研究の対象集団は未来への 自己像再編成過程が閉 ざされているといえる。 また

,自

己評価5において ■ ■ ■

,孝

の 存在 も気 になるところである。 表3.自己像類型の具体例 (文末のです

,で

あるは省略 した)

=の

(男) 私 とは? 1.鳥取県民 2,田舎者

3.貧

乏者

4.な

まけ者 5。 勉強が きらいな人間

6.遊

ぶ ことが好 きな人間

7.地

8.性

格が二重人格

9.短

気 な ところがある人間 10.熱しやす くさめやすいタイプの 人間 執念深 い人 間 趣味が よ く変 る人間 何事 に もあ きやすいタイプの人 14.時々,みょうに冷静 にいること が ある 15.他人 の視線 が気 になる人間 16.他人の言動が気 になる人 間 17.悩みやすい人間 18.物事 を考 えす ぎることが よ くあ る。 19.く よ くよ過去の ことを考 える傾 向がある。 20.結局,二重人格 なのである。 孝 の例 (男) 私 とは ? 私 の仲間 とは? 1,おもしろい人 間

2.落

着 きのない人間

3.遊

び仲間

4.一

緒 にいて退屈 しない人間たち

5.パ

チ ンコが好 きな人間たち 6.マー ジャンが好 きな人 間たち

7.車

が好 きな人間たち

8.勉

強が きらいな人間たち

9.酒

が弱 い人間たち 10.田舎者

H.貧

乏者 12.なまけ者 未来の私 とは?

1.未

知 の可能性 を秘 めている。

2.想

像 しがたい

3.不

安 でいっぱい

4.教

師 になっているだ ろう。

5.平

6.い

ぜ ん として鳥取 にいる。

7.田

舎暮 しに向いている。

8.平

和 な生活 を営んでいる。 9.自由 を奪 われている。 10.家と職場 とを往復 している。 11,趣味 に生 きがいを見い出 してい る。 ・ ・ ・ 13.時14.一見バ ラバ ラな集 ま りとして頼 りがいのある人達

13.時

12.疲

間 に追 われている。れ果 てている。 15,ワンパ ター ンな考 えしか もって

14.年

を とっている。 いない人達

15.白

髪 になっている。 16.気のあった仲 間

16.体

力がお とろえてい る。 17.やさしい仲間

17.気

力がな くなっている。 18.陽気 な仲間

18.地

味 になってゆ く。 19.楽しい仲間

19.酒

好 きになっている。 20.結局,最高の仲間

20.で

もなん とな く生 きている。 私の仲 間 とは? 未来の私 とは ?

1.何

よ りも他人の 目を気 にす る小

1.私

を常 に啓発 して くれ る先輩方

1.必

ず しも定職 についてい る とは 心な人間

2.共

に学 び

,行

動す る気概 をもつ

限 らない

2.ひ

どく気分屋

「 ファィター」

2.よ

ほ どの ことがない限 り,結婚

3.極

力積極的た らん と努 める青年

3.輝

くような個性で私の 目をさま

しないはず

4.常

に自由 を望 みつつ も秩序への

させて くれ る人

3.過

去,現在同様,多大 の問題 を 憧れ を秘 めている。

4.ご

く限 られた範囲の人々

抱 えた存在

::3ξ

:3急

::::二

ξ

:1罠

3身

:有

g:ど

:i:ζ

iと

:写

ζ

(8)

8.熱

し易 くさめ易 い典型的B型人 間

9.責

任 回避術 に長 じた人 間 10.精神的,物理的 に も親 か ら自立 していない子供 ■.先よみを しす ぎて行動 を自ら制 限す る傾向が ある。 12.自分で思 っているの とは逆 に, 所詮現代の若者 の一人 14.どうしようもな く日本人 14.幼児的ナルシス ト 15,典型的山陰人 16.単純 に信 じこむが,疑いだす と きりが ない人間 17.男としての資質 に著 しく欠 ける 男 18.デリカシーが傷 つ くことをおそ れ る人間 19.エゴイスティックな存在 20.万年「発展途上人」 参の例(女) 私 とは ?

1.女

の子

2.子

ども

3.じ

っか りしていない

4.前

向 きに生 きてい きたい と思 っ ている人間 5。 今の 自分 を変 えたい と思 ってい る人間 6.自分勝手

7.人

に好かれたい。

8,社

会性が乏 しい

9.臆

病 10。 もの ごとを悲観 しやすい ■.小っちゃなプライ ドを もってい る 12.恥をか くのがイヤ 13.自己顕示欲 がある 14.意志力が弱い 15.けんかや争 いご とは好 きじゃな し】 16.仲間がた くさんほしい 17.ひとりぼっちに耐 え られない 18.不満 なことが多 い 19.情緒不安定 20,さ さいな事 で動揺す る。

=の

(女 ) れ氏とは? 1。 人間 2.18才 3.日本人

4.鳥

取大学生

5.鳥

取県に生 まれ育 っている

6.音

楽が好 き 高取憲一郎:現代青年の 自己像 と生活の道程

9.お

おむね話好 きな人 間 10.私に優越感 も劣等感 も与 えて く れ る人達 11.可能性がいっぱいの若者 たち 12.けっして大勢ではない 13.これか らもず っ と仲間である と い う保障 はない 14。 私 の青春 に欠 くべか らざる存在 15.私の心の支 えの一 つ 16.ほとん どが学友 17.貴重な存在 18.過去,現在,未来 において私 を 変 える存在 19。 その中に「親友」がいるか どう か は半」らない。 20.時として うっ とうし くもな る人 達 私の仲間 とは?

1.私

を映 しだす鏡

2.な

ぐさめ られ る存在

3.話

し相手

4.お

びやか され る存在 5。 フイバル 6。 私の ことを高 く評価 して くれ る

7.私

に とってな くてはな らない存 在

8.私

とはまった く別 の人間

9.わ

りとしっか りしている lo。 や さしい人が多い ■.いっ しょに何か を したい と思 う 12.やさしくしてあげたい と思 う 13.やさしくして もらいたい と思 う 14.心の支 えにな る存在 15。 私の 日常 に影響 を与 える存在 16.真の意味で裸 の 自分 をさらす こ とはで きない相手 17.私の味方 18.けっきょく自分が大切 だ 19.尊敬で きる人達だ 20.未来 に危か しさを感 じさせ ない 人 たちだ 私の仲間 とは?

1.少

人数

2.話

して もつかれない 3.もの婦 きだ と思 う 4. いい人 ばっか りだ と思 う

5.お

もしろい

6.人

6.親

からほぼ完全 に独立 している。 7.自分の生 き方 を常 に模索 してい る。

8.い

つ まで も青少年の心でいたい と願 っている。

9.肉

体的 にはほぼ健康 10,自堕落 な生活 に落 ち入 りが ち ■.社交的で はないがつ きあいは広 い。ただ し親 しい友人 は少 ない。 12.責任 ある立場 を好 まないが,そ れにつか ざるをえないか もしれな い 。 13.経済的 に常 に不安がある。 14.イ デオ ロギーに殉 ずることはな い 。 15.様々の ことに手 を出す。 16.劣等感 にさいな まれている。 17.県外で生活 しているが常 に帰 り たい と望 んでいる。 18.あいかわ らずの活字 中毒 19.面倒 な人間関係 に疲れている。 20.常にフラス トレーシ ョンを抱 え てい る。 未来 の私 とは?

1.経

済的 に自立 している。

2.精

神的 に自立 している。

3.大

人 の女 になっている。

4.都

市 に生活 している。 5。 家族 と離 れている。

6.友

人が多 くいる。

7.恋

人 と一緒 に住 んでいる。

8.1年

の半分 は海外 にいる。

9.今

とは異 なった考 え方 をしてい る。 10.何かの仕事 をもっている。 11.今よ りもひ とまわ り細身 に なってい る。 12.標準語 をしゃべ っている。 13.私の二世 をもっている。 14.名前が変わ っている。 15.視野が広 くなっている。 17.固定財産 をもっている。 18.過去 をなつか しむ 19.まわ りの人々 を愛す る。 20.自分 とい うもの をよ くわかって いる。 未来の私 とは?

1.年

をとっている

2.性

格 はあ ま り変 らない

3.働

いている

4.長

生 きは しない

5.ひ

とりぐらしをしている

6.鳥

取 にはいない

(9)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券

7

教師にな りたい と思 っている

7.め

ったに話す ことはない

7.人

とあ ま り交流がない

8.つ

まらない人間

8.時

に うっ とお しい

8.ま

ず しい くらしをしている

9

わが ままな人間

9,私

の小 ささを教 えて くれ る

9.結

婚 はしていない 10,自己中心的な人間

10。

あまり心配 をさせた くない人たち

10.仕

事 をして もたい まんである 11.無責任な人間

11.つ

きあ うのが悪 いような人 たち

H

小 さな部屋 に住 んでいる 12.いつ もぼ一っ としてい る

12.優

しい と思 う

12.い

つ も暗 い顔 をしてい る 13.不器用

13.個

性的

13.ね

てばか りいるたい まんな生活 14.感動す ることがめったにない

14.か

けが えのない もの

を している 15.集中力がない

15.失

いた くない もの

14.病

院 に入 っている可能性 が高い 16,何をするの も無気力

16。

一生 けん命生 きていると思 う

15.ぼ

― っ としてす ごしてい る 17.めん どう くさが り

17.全

面的に信頼 している

16.金

がた まらない生活 をしている 18 人 と話 をす るのが苦手

18.か

わっている

17.全

く若 さのない存在 19,大ぜいのいるところは苦手

19.根

が明 るい

18.い

つ もイ ライラしている 20,冷たい人間

20。

よ くしゃべ る

19・

いるのかいないのかわか らない ような存在 20.はっき りいって まっ黒やみな存 在 表

4

内外 連 関 の類 型別 人 数 〈内連 関〉

〈外 連 関 〉

1 2 3 4 5 6 7 x

計 男子学生※ 女子学生 0 4 0 5 12 0 0 8 0 5 0 1 14 2 2 2 計 0 9 0 6 26 2 2 10 ※無回答1 〈関与〉 〈無脱 関与 〉 5 5 5 5 5 5 5 x 5 5 5 5 5 5 5 5 4 5 5 5 5 5 5 5 x x 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 x 6 6 6 x 5556677 図

7.自

己像類 型 と自己評価 との相関 い る)

1 2 3 4 5 6 7 x

計 男子学生 女子学生 0 1 1 6 13 1 0 8 0 1 0 3 13 3 1 5 計 0 2 1 9 26 4 1 13 0 5 一 2     0 5 一 2 0 2 一 2     5 一 2 o 4 一 2 2 一 2 4 一 4   0 x 4     4 一 4 4 一 4     3 一 4   0 4 一 2 4 一 4     x 一 2     4 一 2 X 一 X 5 ア             6 マ X 一 X       ・ b 一 X     o X 一 X       X 一 X       X 一 X     o 7 一 x       x 一 x 0 5 一 5 5 一 5 0 5 一 5     5 一 5 。印 は女子

,男

女 とも 1名 ずつ欠 けて

(10)

336 高取憲一郎 :現代青年の 自己像 と生活の道程

3.調

H*2(心

理的年令 と生活の道程) 方法 :КpoHИKた ちの調査 に示唆 を得て,以下の ようなアンケー ト調査 を行 なった。調査対象者 は, 調査Iと 同 じ学生(男子30人

,女

子26人

),お

よび その両親 (父親38人

,母

親41人

)で

ある。学生の 場合 は

,調

査Iと同 じ日時 に

,調

査 Iに ひ き続 い て行 なった。両親の場合 は

,学

生 にアンケー ト用 紙 をもち帰 らせて行 なわせ

,後

日回収 した。表5 表

5.調

査Hの調査対象 者 の人数 と年令 に

,調

査対象者の年令構成 を示 してお く。調査項 目は,(1)「いま仮 に

,あ

なたの年令 を証明するいっ さいの ものの信頼性がな くなった とします。あなたは,自分 はいま実際は何才であると思いますか?」, 磁)「偶然的な事故や災害 にあわない とすれば,あなたは何才 まで生 きると思 いますか?」,0)「誕生か ら死 までの主要 な事件 (できごと

)の

なかで

,一

生 を前半 と後半 とに分 けると思われ る事件 を

,%

地点の ところに記 して ください。同様 にして

,前

,後

半 をそれぞれ等分す ると思われ る事件

,さ

らにそれぞれ を等分すると思われ る事件 を記 して ください

Jの

3項

目である。第

3の

項 目は

,線

分 上に

,%,%,効

,1/8,3/8,‰ ,7/8と記 した地点 に記入 させてい き

,合

計7つの事件 を記 させ るこ とになる (図

8参

照)。 件 図

8,調

査Hの質問項目(31の図 結果 :(1)については

,心

理的年令 のほうが実際の年令 よ りも若い とするもの

,同

じとす るもの, 老いてい るとするものの人数 を表6に示す。全体 的には有意差 はみ られないが(χ

2=10,72,df=6,

p<0.10),男

子学生 と父親

2=8,04,df=2, p<0.05)お

よび男子学生 と母親(χ

2=6.70,df=

2, p<0.05)の

間には有意差がみい出 された。次 に

,若

い とするものは

,何

才 ぐらい若 い と考 え ているのか を

,表

7に 示す。分散分析の結果 は有意差がみい出されたので

(F(3,90)=10.36, p<

0.01),さ らにテューキーの法により群間の平均の比較 を行なった結果,男子学生

=女

子学生

<父

=

母親 という関係がえられた。 (2)については結果 を表8に示す。分散分析の結果 は有意差 はみい出されなかった

(F(3,131)=

1,96, n.s.)。 ●)については

,以

下の

3種

の分析 を行 なった。 まず

,誕

生か ら死 までの一生 を前半

,後

半 に等分 する

%点

にどの ような事件 (できごと

)が

くるのかを分析す る。結果 を表9に示す。男子学生では

*2

調査Hの一部 は,1984年3月30日∼ 4月 1日 に京都で開かれた心理科学研究会春の研究集会で,口頭発表 を行 なった。 % ︵ % ︵ % ︵ % ︵ % ︵ 事 人 数 平均年令

SD

範 囲 30 19.o o。 71 18--21 26 18.9 0.47 18--20 38 49.2 3.05 42--60 41 46.3 3.31 40--53

(11)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券 表

6.年

令 の 自己評価 の結果 ※無 回答1 表

7.何

才若 く自己評価 す るか 表

8,何

才 まで生 きる と思 うか 結婚 と就職がほ とんどであ り

,女

子学生では結婚が大部分 を占め

,父

親では就職および仕事 に関す るもの (た とえば転勤

,事

業開始

,係

,転

職 な ど

)が

多 く

,結

,子

や孫に関す るもの もみ られ (たとえば長子誕生

,子

育 て

,子

供の生長

,子

供の進学

,孫

の誕生 な ど

),母

親では結婚

,子

や孫 に 関す るもの

,出

産 な どが多 くなっている。全体的 に有意差がみい出 され(χ

2=70.2,df=15,p<0。

001),各 群間 にもすべて有意差がみい出された(男子学生 と女子学生 :χ

2=13.5,df=5,p<0.05,

男子学生 と父親 :χ

2=28.35,df=5,p<0.001,男

子学生 と母親:χ

2=28.35,df=5,p<0.001,

女子学生 と父親 :χ

2=27.00,df=5,p<0,001,女

子学生 と母親

2=12.15,df=5,p<0.05,

父親 と母親 :χ

2=29.7,df=5, p<0,001)。

9.%地

点に記入された事件

結 婚

就 職 学雰 七暇 手 乞で 七関 出 産

そ の 他 計 男子学生 女子学生 親 父 母

16(53%)

17(65%)

10(26%)

20(49%)

(30%) (4%) (■

%)

9 1 4 2 4

(26%) 6(16%)

11(27%)

5(17%)

(8%) 6(23%)

8(21%)

(10%) 6(14%)

30 26 38 41 次にЛOrИHoBa(1978)が 事件を3つ の領域,①周囲の環境における事件,②個人の行動における事 件

,③

内面生活における事件

,に

分類 しているのを少 し修正 して

,①

を大環境 (た とえば国際的, 全国的

,地

域的

)に

おけるものと

,小

環境 (た とえば家庭内での事件 とか家族の死や誕生など

)に

おけるものの 2つ の下位グループに分けて

,全

部で

4領

域に分類 した。結果を表10に示す。大環境 における事件は

,学

生では非常に少 く

,父

,母

親では多い。とくに父親で多いのが特徴的である。 具体的には

,終

,あ

るいは敗戦

,開

戦などの第

2次

大戦に関するものがほとんどであるが

,そ

の 他に鳥取大地震

,鳥

取大火などの地域的大災害 もあげられている。 さらに少数ではあるが

,石

油 シ ョックとか所得倍増論などの経済的事件 もみられる。小環境における事件は

,ほ

とんどが子や孫の 誕生

,子

や孫の入学

,結

,就

,自

立などであ り

,さ

らに両親や祖父母の死

,家

の新築などであ る。小環境 におけるできごとは

,と

くに母親 に多いのが特微であるが

(42%),そ

れは子や孫や夫に 老 同 若 男 子 学 生 女 子 学 生 父

親 母

親 ※

17(57%) 5(17%) 8(27%)

17(65%) 6(23%) 3(12%)

29(76%) 7(18%) 2 (5%)

31(78%) 5(13%) 4(10%)

30

26

38

40

人 数 平 均

SD

17 2.1 1.37

17 2.8 1.46

29 9.2 6.43

31 8.8 6.82

人 数 平 均

SD

範 囲 30 71,0 9,43 45--90 26 70.8 10.06 50--90 38 73.2 7.74 60--95 41 75,1 7.19 60--90

(12)

高取憲一郎:現代青年の 自己像 と生活の道程 関す る事件 を多 く記述 していることを示 している。個人 の行動 における事件 は

,小

・ 中・ 高 。大学 などへの入学 とか卒業

,入

,さ

らに就職

,退

,転

,出

世 な どの仕事 と労働 に関す ること

,結

,出

,子

育 て

,そ

して事故 とか病気などである。内面生活 における事件 は

,学

,

とくに男子 学生 に多 くみい出 され るのが特徴であ り,親にはほとん ど出現 しない。具体 的には,「変愛」,「挫折」, 「自我のめざめ」,「カルチュアショック」,「自分 の存在 を考 える」,「老人的悟 り」,「学校 に行 くの Iがいやになる」

,な

どであ り

,父

親 にみ られた唯―の ものは,「ネ申仏の信仰」であった。カイ自乗検 定の結果 は

,全

体的に も有意差がみ られ(χ

2=121.68,df=9,p<0.001),各

群間にも有意差 がみ られた(男子学生 と女子学生:χ

2=9.36,df=3,p<0.05,男

子学生 と父親

2=65.52,df=3,

p<0,001,男

子学生 と母親

2=65.52,df=3,p<0.001,女

子学生 と父親 :χ生

37.44,df=3,

p<0.001,女

子学生 と母親

2=37.44,df=3,p<0.001,父

親 と母親

2=28.08,df=3,p<

0.001)。 表

10.4領

域 の事件 大 環 境

小 環 境

個 人 の 行 動

内 面 計 男 子 学 生 女 子 学 生 親 親 父 母

2 (1%) 38(18%) 153(74%

42(23%) 134(74%

36(13%) 78(29%) 153(57%

16 (6%) 117(42%) 146(52%

5(7%)

5(3%)

1(0%)

0(0%)

1

208

181

268

279

次 に小環境 にお ける事件 と個人の行動 における事件 をさらに細分化 して分類 してみる。表11に示 したように

,労

働 (仕事

)に

関す るもの (就職

,退

,転

職 なども含 める

),教

育 に関す るもの (入 学

,卒

,入

試 な ど

),子

や孫 に関するもの(子や孫の誕生

;入

,卒

,結

,就

,自

立 な ど), 配偶者 に関す るもの (夫の死

,病

,転

職 な ど

),家

の新築

,両

親 と祖父母 に関す ること(死

,病

気 など

),自

分 の病気(事故 も含む)に関す ること

,そ

の他の 9カ テゴ リーに分類 した。表11からわか るように

,労

働 に関す ることは男子学生 と父親 に多 く

,女

子学生 と母親 には少 ない。教育 に関す る ことは男女の学生が両親 よりも多い。大学

1年

生 に とっては

,今

までの人生のほ とん どが教育期間 であったのだか ら当然であろう。子や孫に関することが母親 に多いことはすでにふれたが

,こ

の表 からも明 らかである。配偶者 に関す ることが女子学生 と母親のみにみられるが

,こ

れ はほ とん どが 「夫の死」である。「家の新築」というのが父親 に多いし

,病

気 も父親 に多 くみ られ る。カイ自乗検 定の結果 は

,全

体 的に有意差がみ られ(χ

2=111,93,df=24,p<0.001),各

群間にも男子学生 と女 子学生の間 を除いてすべて有意差がある(男子学生 と女子学生 :χ

2=8.61,df=8,n.s.,男

子学生 と 父親 :χ2=25。

83i df=8,p<0.01,男

子学生 と母親 :χ

2=60.27,df=8,p<0.001,女

子学生 と父 親:χ

2=43.05,df=8,p<0.001,女

子学生 と母親

2=17.22,df=8,p<0.05,父

親 と母親: χ

2=51.66, df=8, p<0.001)。

表11.小環境 と個人 の行動 の下位分類 労 働 教 育 結 婚 誦与

aと

と配偶者 家の新築雇謡与孵 病 気 その他 計 男子学生 女子学生 父 親 母 親 58(30%)56(29%)26(14% 32(18%)49(28%)26(15% 73(32%)22(10%)30(13% 28(11%)28(14%)40(15%

30(16%) 3

40(23%)5(3%) 1

44(19%)1(0%)16

87(33%)10(4%) 8

1%) 6(3%) 7(4%)5(3%)

o%) 9(5%) 4(2%)10(6%)

7%) 15(6%) 13(6%)17(7%)

3%) 19(7%) 5(2%)28(11%)

191 176 231 263

(13)

鳥取大学教育学部研 究報告 教育科学 第 26券

4.考

察 本研究 を2つの視点か ら考察 してみたい と思 う。第一 に

,20答

(TST)お

よび自己評価 テス ト を用いた自己像類型(調査I)と,生活の道程 および心理学的年令調査 (調査 ■

)の

結果か ら,現代 青 年 (本研究ではとくに鳥取大学教育学部

1年

生)の人格構造 として何が析出 されて くるか,とい う点 である。その場合

,調

Hに

おける

1世

代 ちが う父母の調査結果 との対比が十分 に検討 されるべ き である。第二 に

,調

Hで

用 いた事件 を手がか りにした生活の道程調査 は

,本

研究で も世代間 およ び男女間の差異 を明瞭に浮かびあが らせたが,この方法の人格研究への適用可能性 を探 ってみ たい。 (1)現代青年の人格構造 (鳥取大学教育学部

1年

生の場合 を事例 に して) 20答法の結果 よ り

,鳥

大教育学部の

1年

生の集団特徴 としては

,類

型下許の顕著な出現である(20 人,37%)。 類型 5と いうのは

,他

人 に対 しては開いているが,そ れが対 自態度関与へ と照応せずに, 対 自無関与 になった ものである。つ まり

,協

調的な仲間関係 を保 ちなが らも

,そ

れが 自分 の生 き方 の積極性 となってはね返 って こないタイプである。 しか も

,外

連関。内連関 ともに 5と い うことは, 現在か ら未来 をみた ときに

,自

己像の積極的な再編成過程が現われて こない ともいえるし

,逆

に, 未来の自己像類型が現在の自己像へ とそっ くりその まま投影 されているともいえるのである。いず れにして も未来へ向 っての変化 の展望 はない。 さて,次の問題 は,このような自己像 イメージが,い理学的年令お よび生活の道程調査の結果 とどの ような関連 をもつか

,

とい うことである。 まず,心 理学的年令 についてであるが,男 子学生の分布 と父親,母 親 との間に有意差がみい出され た ということは

,男

子学生では実年令 よ りも老いた とす る者の割合が高 く

,若

い とす る者の割合が 少い ということである。すでにぶれておいた社会的役割期待 と現在 までの 自己の到達度の関係 によ つて考 えるならば

,大

1年

生の半ばの段階で

,何

らかの社会的役割 を達成 した とする者が

,両

親 の世代 に比べて多い とい うことであろう。おそ らく

,大

学入試 という関門 を くぐり抜 けた ことが, その一つの要因にあげ られ るにちがいない。 しか し

,男

子学生の

57%,女

子学生の

65%は

,実

年令 よ りも若い とみな してお り

,到

達すべ き役割期待 としての結婚 と就職 をまだ達成 していないことの 現われ と考 えることがで きよう。すなわち

,彼

らはまだ未婚であ り

,学

生の身分 であるか らである。 父親 と母親 においては

,若

い とするものがそれぞれ

76%,78%と

学生 よ り多 くなっている。これは, すでに紹介 しておいた ソ連 の結果 とも一致するのだが

,社

会的役割期待 と到達度の関係 で説明がつ かないように思われる。む しろ

,50才

近 くになって自分の人生 を考 えた とき

,自

分が本 当でや りた かった ことをまだ し残 している。 もう一度若 くなってや り直 してみたい とい うような願望 も含 んだ 複雑 な関係 になっているのであろう。社会的役割期待 というよ りも

,自

分 自身の人生 目標 に対 して 現在の到達度が不十分である という関係で説明 され るべ きであろう。 次 に事件 の分類 に関す ることにふれてみよう。

%地

点の項 目では

,男

子学生の場合では結婚 と就 職が

,女

子学生の場合 は結婚がほ とんどであるが

,父

親の場合 は

,結

,仕

事 に関す ること

,子

供 ` に関す ることな どであ り

,母

親の場合 は結婚が半数近 くで

,あ

と子供 に関す ること

,出

産 な どであ る。以上の ことか ら

,こ

れか ら

%地

点 を目ざす学生では

,結

婚か就職が最重要課題 として位置づけ られているのに対 して

,す

でに

%を

過 ぎている親 の場合 は結婚や就職以外 にも多様 な事件があげら れているのが特徴である。 また

,こ

の ことは事件 の

4領

域 にも現われていて

,学

生では個人の行動 に関す ることと内面の事件が親 に比べて多いのに対 して

,親

の場合 は

,環

境 に関す ることが多いの が特徴である。 とくに

,第

二次大戦や鳥取大震災 を経験 した この世代 は

,大

環境 の事件 の内容 にお いて学生 とは異なる特徴がみ られ る。 また

,母

親 では

,子

や孫や夫 に関す る小環境 における事件が

(14)

高取憲―郎 :現代青年の 自己像 と生活の道程 きわだつて多 くなっているの も注 目に値する。事件の小分類の上位 2カ テゴ リーをみて も

,男

子学 生で は労働 と教育 で全体の

59%,女

子学生では教育 と子や孫に関す ることで

51%,父

親では労働 と 子や孫 に関す ることで

51%,母

親 では結婚 と子や孫 に関す ることで

48%と

なっている。 以上の ことをまとめると

,学

生 の特徴 は

,個

人 を中心 とした事件でほ とん ど占め られてお り

,他

人 との関係

,社

会集団 (家族 も含 む

)と

の関係

,社

会的大環境の事件 との関わ りが きわめて うすい とい うことである。 しか し

,学

生の間 にも男女差があ り

,男

子学生の場合 は個人 の枠内ではあるけ れ ども労働 に関す ることが 目立つのに対 して

,女

子学生の場合 は結婚

,出

,子

や孫や配偶者 に関 わることが 目立つのである。 また父親の場合 は

,労

働 を中心 としなが らも

,子

や孫の こと

,さ

らに 社会的環境の事件 にも関わっている。母親では

,結

,出

,子

や孫や夫の ことといった

,い

わゅ る家庭的 。日常的な人間関係 との関わ りが前面に出ている。 現代青年の特徴 として

,そ

れ はこの時期特有の発達的様相 も混在 しているのであろうが

,個

人主 義的 。安定忘向型・ マイホーム主義 という類型が浮かんで くる。 これは

,20答

法 による自己像類型 と基本的に一致 しているのではなかろうか。 (2)生活の道程 と人格構造 すでにふれて きたように

,生

活 の道程調査 は

,世

代間

,男

女間の差異 をきわめて明瞭 に浮びあが らせ る。個人 と社会 との接点 としての事件 を手がか りにして

,そ

れ ら諸事件 の

4領

域への分類

,さ

らには小 カテゴ リーヘの分類 によ り

,各

世代の特徴が表わされるのである。Sё

ve(1969)が

時間の 使用 を指標 として

,人

格の下部構造モデルを示 しているが

,本

研究で問題 に した生活の道程 にお け る事件 は

,SOveの

時間使用 と対応す る点 もあると思われる。日常生活 において どの部分 に時間を多 く消費す るかが

,生

活の道程 における事件 として浮かび上が るで きごとの強弱 を決定するか もしれ ないか らである。Sёveは

,学

童の場合 は基本的学曹活動 と個人的消費活動 (た とえば日常的な家庭 内での活動 。レジャーなど

)が

多 くを占め

,学

生 では実社会で役立つための学習活動 と個人的消費 活動

,労

働者では社会的労働 と個人的消費活動

,老

人 では個人的消費活動が

,そ

れぞれの時間使用 の大部分 を占有することを仮説 として提案 し

,

トポロジカルに図式化 している。本研究では

,さ

ら に男女差 の要因が加わ るわけだが,Sёveにな らって次のようなモデルを考 えてみたい(図9)。 この 図に

,本

研究の事件の

4領

域の結果 を当てはめてみれば

,図

10のようになる。 まだ まだ仮説的段階 であ り不十分 な ものであるが

,今

,種

々の年令段階

,職

業集団などのデータを蓄積 していけば, 内容的によ り豊かな ものになる可能性 もあろう。 最後 に20答法 にもふれてお きたい。わが国では, 乾

,中

,亀

谷たちの努力 によ り

,20答

法 を用 い た人格研究がすすめ られているわ けだが

,ハ

ンガ リーのⅡaTaКИ(1983)も КoBaЧ (編)の 「認識 過程 と人格の心理学的研究」(1983)の中で,「自 己像 における認識的側面」 とい う論稿で20答 法 を 用いた研究を紹介 している。ΠaTaxИはその 中で, 自己像(Я-0び pa3)の 問題 は

,マ

ルクス主義心理 学にとって解明の迫 られている重要な問題 である として,「私 とは?」の間に対する20の答を分析 し ている。20答を答えさせた後で

,個

々の被験者に インタビューして

,ま

ず①被験者の答 えた各項目 環 境 (社会) 大 大環境 にお け る事件 個人の行動 に おける事件 内面 にお ける 事件 図

9.環

境 (社会)と個人 を関連 させ たモデル

(15)

男子学生 鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券 図10,モデル の具体 化 の重要性 を

5段

階評定 させ

,②

それ らの項 目の中で好 ましくない項 目はどれかを答えさせ

,③

最後 に各項 目の説明をさせた。被験者はハンガ リーの大学生

,労

働者

,中

学生の

3群

である。その結果 は

,

とくに③のインタビューの中で明らかになったわけだが

,社

会的大環境 とか

,所

属集団や組織 への言及が少 く

,身

のまわ りの身近な人間関係 (たとえば両親

,友

,配

偶者

,子

供など

)へ

の言 及が多いということである。ΠaTaКИのハ ンガ リーの結果 と本研究の結果には類似性が多 く,社会体 制のいかんを問わず同様の傾向が現われているのは興味深い。いずれにしても

,20答

法による自己 像研究は将来 も有効な方法 と思われるので

,さ

らなるデータの蓄積が求められるところであ る。 〈補遺〉 本稿脱稿後

,布

施晶子氏の「現代社会 と家族一一―子育ての原点の再生をめざして一一一」(教育, 1984年 3月号

,pp.6-15)を

目にした。布施氏はその中で

,こ

こ数年の学生像 として

,①

全体社会 の動 きに対 して

,お

そろしく鈍感な学生の増加(背社会志向

),②

社会性の欠除 した学生の増加

,③

家族

,

とくに母親 と密着 した

,親

離れのしていない学生の増力日の三点をあげ

,総

じて

,社

会的人間 としての人間性を退化させ

,衰

弱させた学生像が うかびあがる

,

としている。さらに

,そ

の背景の 一面 を

,現

代社会における家族のあ りかたに求めている。示唆されるところが大 きかったので

,こ

こ1こ付 け加えておきたい。 女 子 学生

(16)

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(17)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 26券

Abstract

ln study(I),by using TST(Twenty Statements Test)and Rosenberg's self esteem test,

several types Of self― image of Japanese educational coHege students were analyzed.Type(争 、vas 37功

`. Type(5)(cf. Fig. 1)is the attitude which is open to others,but nOt participates to

himsdfo SO,type(■

るthe One whichる nOt changed h the mture.As far as Rosenberg's test, Japanese students are most often distributed at point 3 and 4(cf. Fig.2).It is different frOm Arnerican young people of Rosenberg's result,and Japanese first― class businessmen(cf.Fig 3, 4,5),but is the same as Japanese elementary school teachers(cf.Fig.6).

In study (II), by using the journey of life method which makes subjects report seven irnportant events from birth to death(cf.Fig.8),the differences of the structure of personality were analyzed.The results were:in the case of rnale students,there are many eventsin the field of labour,education and inner life,in the case of female students,education and children,in the case of fathers,labour and children,in the case Of mothers,children.

Finany,the model of the structure of personality frOrn the aspect of events was suggested(cf. Fig。 9,10).

(18)

表 l  КpoHИ К ,「 oЛ oBaxa(1983)の 結果 家 族 の 状 態 年 令 の 自 己 評 価 若 同 老 身   婚独 既 (男 女 ) (男 女 ) 17 3 p&lt;0.01 5 7 ・N S 5 4 ︐N S 2714 さて ,  К pOHИ Xた ちは人格 の心理学的年令 を自己評価する方法 として ,次 の 3つ を提案 してい る。第 1の 方法 は ,「 あなたの人生 において過去 。現在・ 未来 に生 じた事件 のすべてを 100%と 仮定 すれ ば ,今 日まで

参照

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