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地盤工学会北海道支部技術報告集第 5 5 号平成 27 年 1 月於室蘭市 新たなフォールコーン試験装置の開発とその応用 北海道大学工学部 学生会員 渡辺葉子 北海道大学工学研究院国際会員田中洋行 1. はじめに船舶の大型化, あるいは航路の維持新設によって毎年大量の土砂が発生している これらの浚渫

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Development of New Type of Fall Cone and Its Application

Yoko WATANABE (HOKKAIDO UNIVERSITY), Hiroyuki TANAKA (HOKKAIDO UNIVERSITY)

新たなフォールコーン試験装置の開発とその応用

北海道大学工学部 学生会員 ○渡辺 葉子 北海道大学工学研究院 国際会員 田中 洋行 1. はじめに 船舶の大型化,あるいは航路の維持新設によって毎年大量の土砂が発生している。これらの浚渫土砂の有効利用を 図るためには,その力学的特性の解明が必要である。浚渫土砂は一般に高含水比であるので,通常の力学試験は用い ることができないため,フロー試験,プレート試験,フォールコーン試験等が利用されてきた 1)。この中で、フォー ルコーン試験は,試料にコーンを落下させてその貫入量を測るものであり,その試験方法が簡単なことが特徴である。 この試験は,日本では液性限界を求めるために用いられているが(JGS A 1205),欧米諸国では非排水せん断強さ(Su) の推定にも広く利用されている 2)。本研究では,S uの測定のために,超高含水比粘土に適したフォールコーン試験装 置を新たに開発した。本論文は,この装置の概要,及び本装置を用いた超高含水比粘土の Suと,粘土と砂の混合土の 強度特性について述べる。 2. 実験方法 2. 1 装置の概要 一般的に用いられているフォールコーン試験の概要を図-1に示す。国によってコーンの先端角度と質量が異なる が,日本ではそれぞれ 60°,60g のコーンが用いられている。この試験において Suは一般に Wood3)によって提案され た(1)式が用いられている。

(1)

ここに,Su:非排水せん断強度,m:コーンの質量,g:重力加速度,d:コーンの貫入量である。 図 -1 一般的なフォールコーン試験装置 図-2 新たに開発したフォールコーン試験装置 地 盤 工 学 会 北海 道 支部 技 術 報 告 集 第 5 5 号 平成27 年1月 於 室 蘭 市

(2)

高含水比の粘土の強度を測定するとき,従来のフォールコーン試験では強度が小さいため,著しくコーンが貫入す る。貫入量を適度な範囲内に収めるためには,コーンの質量を小さくすれば良い。しかしながら,図-1に示す装置 でコーンの質量を小さくすると,コーン軸と支持装置の間に働く摩擦力の影響が大きくなり,正確な貫入量が測定で きなくなる。そこで,Zreik4)らの研究を参考に図-2に示すような装置を新たに開発し,質量を小さくすることで貫入 量を小さくすることを試みた。本装置では“てんびん”の仕組みにより,コーンの質量と重りの質量の差が,コーン に外力となって作用する。この装置では,ワイヤーに適度な張力が働くので,ワイヤーの剛性による“たわみ”の影 響を低減させることができる。 コーンの質量は 180g で,初期状態では重りと釣り合っている。コーンの先端を,試料の表面に接した状態を初期値 とし,重りを静かに取り除くことで,コーンを試料に貫入させる。貫入量(d)はレーザー変位計を用いて読み取る。 2. 2 用いた試料 試料として笠岡粘土,東京湾粘土,NSF,本牧粘 土を用い強度測定を行った。笠岡粘土と NSF につい てはパウダーのものを使用したため,蒸留水と混ぜ て 1 日以上放置した後,実験を行った。それぞれの 試料の物性値を表-1に示す。wL1,wL2はそれぞれ, フォールコーン法とキャサグランデ法で求めた液性 限界である。この 2 つの試験方法で得られた値の比 較については,2. 5 で後述する。 2. 3 経過時間の影響 従来のフォールコーン試験装置では,コーンの貫入は直 ちに止まるので,5 秒後の貫入量を用いている(JGS A 1205)。 しかしながら,“てんびん”の仕組みを用いた本試験装置に おいては経過時間に伴い,貫入量の増加がみられた。図― 3に,コーンを落下させてからの経過時間と,得られた Su の関係を示す。縦軸には,15 秒後の Su(Su at 15)で正規化 した値を用いている。15 秒後の測定値は,5 秒後と比べて 1.5%ほど Suを過小に評価するが,時間変化による影響を小 さくできる点,また操作性も良好であるので,本研究では 15 秒後の貫入量を用いることにした。 2. 4 質量の影響 質量が小さな状態で,再現性がありしかも信頼できる Suが測定できるかを検討するために,種々の質量の下で実験 を行った。含水比 65%の笠岡粘土に対して,コーン質量を 5g~130g まで変化させ,それぞれの質量の下で 6 回ずつ貫 入量を測定した。 各コーンの質量で得られた Suの平均値と標準偏差の関係を図-4に示す。変動係数(=標準偏差/平均値)はコーン の質量によらず 0.20 以下の値をとる。したがって,今回開発した装置は極めて再現性が高い結果が得られると判断で 粘土 ρs(g/cm3) wL1(%) wL2(%) wP(%) IP 笠岡粘土 2.71 62 61 28 34 東京湾粘土 2.71 108 114 44 64 NSF 2.76 57 55 29 28 本牧粘土 2.63 120 132 49 71 表 -1 粘土の物性値 図―3 経過時間と正規化強度の関係 0.96 0.97 0.98 0.99 1 1.01 1.02 1 10 100 1000

S

u /

S

u at 15 ( s) 経過時間(s)

笠岡粘土

含水比

66.5%

(3)

きる。しかしながら,5g の場合のみ,強度の平均値が 他の質量の場合と比べて極端に大きな値を示している。 すなわち,質量が 5g の時のコーンの貫入量は小さくな る。その原因として,5g の場合では“てんびん”の左 右の質量の差が非常に小さくなるので,図-2に示す プーリーに働く摩擦力や,ワイヤーの剛性の影響が考 えられる。また,貫入力そのものが小さいので、コー ン表面と試料との間に働く表面張力の影響などが顕著 となったことが考えられる。この結果を踏まえて本研 究では,10g 以上の重りを用いて強度を測定すること にした。 2. 5 液性限界値のキャサグランデ法との比較 フォールコーン法とキャサグランデ法で求めた液 性限界 wL1,wL2の関係を図―5に示す。本牧粘土で は wL2が wL1より 10%ほど大きいが,両者は比較的良 く一致している。したがって,この図からも本試験 装置で得られる値は信頼性があると判断できる。今 回のデータ整理においては,強度試験と同じフォー ルコーン試験で求めた液性限界値 wL1を用いてデー タ整理を行う。 3. 高含水比の粘土への応用 これまで超軟弱粘土の強度特性に関する研究は数 多く行われており,含水比の影響を液性指数 IL、あ るいは液性限界で正規化した含水比 w/wLで整理され ている場合が多い5)。本研究では,どちらのパラメ ータが Suと含水比の関係を整理するのに適しているかを 検討した。Suと ILの関係を図-6に,w/wL の関係を図-

7に示した。また,図-6に Leroueil6)と,Wroth と Wood7)が提案した式の関係も併記した。Wroth と Wood の提案式の

対象は,液性指数 ILが 0 から 1 までの範囲であるが,ILが1以上の高含水比の範囲でも適用できると仮定して直線で

近似した。図-6に示す ILと Su関係を見ると,Wroth と Wood の提案のほうが, Leroueil の提案よりも今回得られた

結果をよく説明できるように思われる。 次に図-6と図-7を比較してみる。両図において,笠岡粘土の結果が他の粘土の傾向と異なるが,今回実施した 高含水比の範囲では,液性指数 ILをパラメータとして用いた図-6よりも,正規化含水比 w/wLを用いた図-7のほう が狭い範囲内で測定値が分布しているのがわかる。このことから,超高含水比粘土の Suを整理するパラメータとして は正規化含水比 w/wLの方が優れていると考えられる。 図-4 各質量のコーンにおける強度平均と標準偏差 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0 50 100 せん断強さ ( kP a ) コーンの質量 (g) 笠岡粘土 含水比 65% 平均値±標準偏差の範囲 平均値 0 50 100 150 0 50 100 150 フ ォール コーン 法によ る 液性限界

w

L 1 ( % ) キャサグランデ法による 液性限界

w

L2 (%) 笠岡粘土 東京湾粘土 NSF 本牧粘土

w

L1

=

w

L2 図―5 フォールコーン法とキャサグランデ法 から得られた液性限界

(4)

0.01 0.1 1 10 100 0 20 40 60 80 100

せん断強さ

S

u

(k

P

a)

砂の割合

F

s

(%)

e

s=0.98

e

s

=0.98

w

c

=60%

w

c

=90%

S

r<100

S

r<100

4. 粘土と砂の中間土の強度 地盤工学では,設計・施工の考え方が粘土地盤と砂地盤とで二分されている 8)。そして,前者では全応力法,後者 には有効応力法が適用され,地盤の安定や支持力を検討している。この違いは対象とする地盤の透水性の差によって 生じると認識されているが,実際の地盤では明確に区別できないような中間土地盤が存在している。このため,簡単 に砂あるいは粘土と大別して全く異なった設計を行うことに対して,問題が指摘されている 8)。本研究では,砂の含 有量によって土の特性がどのように変化するかを調べるために,フォールコーン試験によって強度変化を調べた。 試料は,笠岡粘土と豊浦砂を用いた。厳密には笠岡粘土も砂分を含んでいるが笠岡粘土を粘土分と考え,豊浦砂を 砂分として考えた。そして,粘土分に対する含水比(wc)を 60%あるいは 90%に一定に保ち,砂の割合(Fs)のみを 増加させて試料を作成した。wcと Fsの定義式をそ れぞれ(2),(3)式に示す。 wc=mw/mc (2) Fs=ms/(ms+mc) (3) ここに,mw:水の質量,mc:粘土分の質量,ms: 砂分の質量である。 Fsによる Suの変化を図-8に示す。図から,Fs が 40%以下では,Fsは Suにほとんど影響を及ぼさ ず,Suは wcによって決まっていることがわかる。 すなわち,図―9(a)に示すように,Fsが 40%以下 の小さな状態では,砂粒子が水を含んだ粘土分に浮 いているため,Fsは Suに影響を及ぼさない。Fsが 増加すると砂粒子が接触するので,Suが増加しだす。 図-8に示すように,wcが 60%と 90%における Su の変化を見ると,wcが 60%の方が,Fsが小さな段 図-8 砂の割合と強度の関係 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 0.01 0.1 1 10 液性指数

I

L せん断強さ

S

u (kPa) 笠岡粘土 東京湾粘土 NSF 本牧粘土

Leroueil

Wroth & Wood

図 -6 強度と液性限界 I

L

の関係

図-7 強度と正規化含水比 w/w

L

の関係

/

L= 1.0454

S

u-0.155 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 0.01 0.1 1 正規化含水比

/

L せん断強さ

S

u (kPa) 笠岡粘土 東京湾粘土 NSF 本牧粘土

(5)

階で強度変化が始まっていることがわかる。ここで,砂粒子が接触し始める Fsを理論的に考えてみる。豊浦砂の最小 密度は 1.332(g/cm3 )で9),これを最大間隙比 emaxに計算すると 0.98 となる。すなわち,(4)式で定義する砂分に対する間 隙比(es)が 0.98 を下回ると,粘土分と水分が十分でなくなるため,砂粒子の接触が起こる。 es=(Vw+Vc)/Vs (4) ここに,Vw:水の体積,Vc:粘土分の体積,Vs:砂分の体積である。 wcが 60%と 90%において,esが 0.98 となり砂粒子の接触が起こる Fsを図―8に矢印で示す。図から wcが 60%の方 が es=0.98 となる Fsが小さくなり,早い時期から Suが増加する傾向と一致する。しかしながら,どちらの wcにおいて も,es=0.98 となる Fsよりもかなり早い段階で Suが増加し始めている。この原因として,Fsが増加するにつれ,図― 9(c)に示すように,飽和度が低下しサクションの影響による強度増加が考えられる。 図―10に,Fsと飽和度(Sr)の関係を示す。Fsすなわち砂の割合が大きくなると,図に示すように,wc=90%では Fsが 70%,wc=60%では Fsが 60%辺りから試料が不飽和となる。しかしながら,図―8に示すように試料が不飽和に なる前から,Suは増加し始める。すなわち,この強度増加は,図―9(b)に示すように砂粒子が部分的に接触を開始し, これが粘土と砂の中間土の性質を表していると考えられる。 5. まとめ コーンの重さを調節できる新たなフォールコーン試験装置を開発し,その応用として,超高含水比粘土と,粘土と 砂の混合土について強度試験を行った。 1) “てんびん”の仕組みを用いた本試験装置における時間経過の影響と,操作性を考慮し,落下開始後 15 秒後の貫 入量でデータ整理を行った。 2) 本試験装置からは,コーンの質量の影響に関わらず極めて再現性の高い結果が得られた。しかしながら 5g の重り を用いた場合は,極端に貫入量が小さくなり信頼性が低いため,10g 以上の重りを用いて強度を測定することにし た。 3) 本試験装置で求めた液性限界値は,キャサグランデ法と比較的良く一致した。データ整理は,本試験装置で求めた 値を用いて行った。 4) 今回得られた超高含水比における非排水せん断強さの結果を,液性指数で整理すると,Wroth と Wood の提案のほ うが, Leroueil の提案よりもよく説明できる。 (a) (b) (c) 図―10 砂の割合と粘土分を間隙とした飽和度の関係 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 20 40 60 80 100 飽和度 (

S

r ) 砂の割合 (

F

s)

w

c=60%

w

c=90% 砂粒子 水分を含んだ粘土分 空気 図-9 砂の比率の違いによる 内部構造のイメージ 砂粒子 水分を含んだ粘土分 空気

(6)

5) 高含水比の範囲では,液性指数 ILをパラメータとして用いるよりも,正規化含水比 w/wLを用いたほうが狭い範囲 内で測定値が分布する。このため,超高含水比粘土の非排水せん断強さを整理するパラメータとしては,正規化含 水比 w/wLの方が優れていると考えられる。 6) 粘土と砂の混合土の強度増加は,砂の割合が,砂粒子同士が接触する,あるいは試料が不飽和となるよりも小さい 段階で開始する。これは,中間土の強度特性と密接に関係していると思われる。 参 考 文 献

1) Fakher, A., Jones, C. J. F. P. and Clarke, B. G.: Yield Stress of Super Soft Clays, Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engneering, Vol. 125, No. 6, pp.499-509, 1999.

2) 地盤工学会:第 3 編 物理試験,第 5 章 液性限界・塑性限界試験,地盤材料試験の方法と解説-二分冊の1-, pp.137-152, 2009.

3) Wood, D. M.: Soil Behaviour and Critical State Soil Mechanics, Cambridge University Press, 1990.

4) Zreik, D. A., Ladd, C. C. and Germaine, C. J. T.: A New Fall Cine Device for Measuring the Undrained Strength of Very Weak Cohesive Soils, Geotechnical Testing Journal, GTJODJ, Vol. 18, No.4, pp.472-482, 1995.

5) 田中洋輔, 今井五郎, 片桐雅明:深度方向に含水比が減少する超軟弱粘土地盤のベーンせん断強度と含水比の関 係,土木学会論文集,No.778/Ⅲ-69, pp.99-110, 2004.

6) Leroueil, S., Tavenas, F. and LeBihan, J-P.: Proprietes Caracteristiques des Argiles de 1’Est du Canada, Canadian Geotechnical Journal, Vol.20, pp.681-705, 1983.

7) Wroth, C. P. and Wood, D. M.: The Correlation of Index Properties with Some Basic Engineering Properties of Soils, Vol. 15, No. 2, pp.137-145, 1978.

8) 土質工学会:ジオテクノート2 中間土-砂か粘土か,中間土編集委員会, 1992.

9) 地盤工学会:地盤材料試験の方法と解説-二分冊の1-, 第 10 章 最小密度・最大密度試験, 第 3 編 物理試験, pp.195-225, 2009.

図  -6  強度と液性限界 I L の関係  図-7  強度と正規化含水比 w/w L の関係 w/wL= 1.0454Su-0.1550 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 0.01 0.1 1 正規化含水比w/wLせん断強さSu  (kPa) 笠岡粘土 東京湾粘土 NSF 本牧粘土

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