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(1)

港湾施設長寿命化検討業務

調査課

1.概要

桟橋構造の岸壁上部工について、ライフサイクルコスト(以下、LCC)低減及び予防保全方策、長寿命

化に資する点検方策等、港湾施設の長寿命化方策の検討を行った。

2.調査内容

2.1 桟橋構造の岸壁上部工におけるLCC低減及び予防保全対策の検討

(1) LCC低減及び予防保全方策の利点

従来の補修・補強対策では、

「初期コスト最小」が優先されてきた。そのため、高耐久性の材料を用いよ

うとすると初期コスト上昇は避けられず、良い材料であることがわかっていても現場ではなかなか採用さ

れないことが多かった。LCCを指標とすることで供用期間中において要求性能を満足する最適な工法・

材料が選定されることが可能となると考えられる。一方、桟橋上部コンクリートに頻繁に見受けられる塩

害による劣化は、一旦顕在化するとその後の劣化の進行は早く、効果的な対策も限られるばかりか解体・

更新をせざるを得ない場合がある。そのため、予防保全とLCC縮減の二つの観点が必要になると考えら

れる。

表 1 事後保全と予防保全の比較

事後保全

予防保全

LCC

・一般的に高価になる。

・残存供用年数が短い場合、事

後保全の方が低価となる場合

がある。

・一般的に低価になる。

・予防保全の当初は、事後保全

に比べ、コスト高になる傾向が

ある。

劣化

リスク

・想定外の劣化・損傷による事

故が発生する場合がある。

・計画的な点検により、想定外

の劣化・損傷の早期発見が期待

できる。

施設の長

寿命化

・補修・補強の効果が不十分と

なり、再劣化の可能性も生じる

場合もある。

・補修・補強では対応できずに、

解体・更新をせざるを得ない場

合がある

・施設の要求性能を計画的に把

握することで、長寿命化を図る

ことができる。

施設群の

計画的な

維持管理

・予算制約下のもと、施設群の

計画的な維持管理が困難とな

る場合がある。

・港全体の機能低下が懸念。

・予算制約、施設の重要度から

対策の優先順位の選定が可能

となり、施設群の計画的な維持

管理が期待できる。

・港全体の機能維持が可能。

図 1 予防保全によるLCC低減効果

(2) LCC低減及び予防保全方策の課題

今後、LCC最小化を指標として予防保全を推進

していくためには、現在の劣化状態を正確に把握し、

その劣化が今後どのように進行するのかを予測す

ることが重要である。そして、この予測結果に応じ

て補修・補強工法を抽出するとともに、対策実施時

期を検討する必要がある。しかし、現在のところ塩

害の劣化予測が確立しているのは潜伏期の塩化物

イオン拡散予測のみであり、今後は進展期以降の劣

化予測方法の確立が課題となる。

図 2 進展期以降の劣化予測の概念図

腐食ひび割れ発生後の 鉄筋の腐食速度 加速期以降 腐食 量 (m g/c m 2) ひび割れ発生 腐食量 塩化物イオン拡散予測 進展期 潜伏期 腐食ひび割れ発生前の 鉄筋の腐食速度

(2)

2.2 桟橋構造の岸壁上部工における点検方策の検討

(1) 塩害の劣化特性に応じた点検方策の利点

桟橋上部工の塩害劣化の進行過程は潜伏期、進展期、加速期、劣化期に区分され、進展期終了時に腐食

ひび割れが発生することから、潜伏期から進展期まではコンクリート内部で鋼材腐食が進行し、加速期を

過ぎてからコンクリート表面に顕在化して鋼材腐食がさらに進行するという特性を有している。これまで

の事例から、塩害による劣化は一旦顕在化するとその後の進行は早く、効果的な対策も限られることが多

いことから、劣化が顕在化する前の早い段階で対処することが重要となる。また、劣化が顕在化する前と

後で点検方法を区分することにより、目的に合致した効率的・効果的な維持管理が可能となる。

①予防保全を念頭に置いた点検方策(潜伏期~進展期):非/微破壊試験を活用

②事後保全(従来の点検方法) (加速期以降) :目視点検を中心

(2) 塩害の劣化特性に応じた点検方策の課題

各劣化過程における点検方策

の課題を表 2 に示す。点検によっ

て把握すべき事項は各劣化過程

によって異なり、潜伏期では鉄筋

位置の塩化物イオン濃度(発錆限

界量 2.0kg/m

3

)、進展期では鉄筋

の腐食速度(腐食状況)、加速期以

降は、ひび割れを有する場合の鉄

筋の腐食速度(腐食状況)となる。

また、塩害は構造物を構成する

部材の全てが同じように進行す

るわけではない。部材の位置する

場所によって塩害環境が異なる

ことや、コンクリートの品質の違

いによって、劣化の進行もばらつきが生じることが一般的である。例えば、潜伏期の課題は、塩害環境に関

する課題、進展期は、鋼材の腐食状況や腐食速度の把握、加速期以降は腐食速度等の把握である。なお、加

速期以降は、目視調査による点検が主体となり、これまでの点検方策と大きな違いがないと考えられる。

2.3 桟橋構造の岸壁上部工における長寿命化方策の検討

ケーススタディとして具体的な長寿命化方策について検討を行った。ケーススタディは以下の3施設を対

象とし、劣化予測及び対策工法のLCCを算定した。

・ケーススタディ1:四日市港霞ヶ浦地区 南ふ頭 26 号岸壁(以下、W26 岸壁)

・ケーススタディ2:四日市港霞ヶ浦地区 南ふ頭(以下、W22 岸壁)

・ケーススタディ3:新設桟橋(事前対策あり、なし)

加速期の電気防食工法は、断面修復を伴うものと考えられるため、小断面修復工法を、加速期の断面修復

工法は、鉄筋の断面減少に伴うため、補強工法としてFRP接着工法を併用するものと仮定した。また、各

補修工法の耐用年数は、表面被覆工法は 15 年、電気防食工法は、陽極は 50 年、配線・配管は 20 年で交換す

るものとした。なお、断面修復工法の耐用年数は、既往の資料(港空研報告 Vol.48、No.2)を参考に設定し

ないものとした。

表 2 塩害の各劣化過程の点検診断の課題

劣化過程

課 題

対応策

1)潜伏期

・C

0

の空間的分布の把握

(塩害環境の把握)

・鉄筋かぶりの把握

・微破壊試験(ドリル試料採取)

・電磁波レーダ、電磁誘導法

2)進展期

・浮き範囲の確認

・叩き点検

・鋼材の腐食可能性の把握

・自然電位測定(非破壊試験)

・はつり調査

(破壊試験:確認のため)

・鋼材の腐食速度(腐食量)の把握

・分極抵抗測定(非破壊試験)

・はつり調査

(破壊試験:確認のため)

3)加速期

・鋼材の腐食速度(腐食量)の把握

・鋼材の腐食と耐荷力低下の関係

(加速期後期~劣化期)

・分極抵抗測定(加速期前期まで)

・試験体による実験(検討対象外)

4)劣化期

※目視では潜伏期 or 進展期であるかの判断は困難である

(3)

図 3 各ケーススタディの断面図、モデル図

(1) ケーススタディ1(W26 号岸壁)

1) 劣化予測結果

梁では腐食開始 8 年、腐食ひび割れの発生 15 年、耐荷力の低下 20 年に対し、床版では腐食開始

15 年、腐食ひび割れの発生 33 年、耐力の低下 35 年となり、梁の方が劣化の進行が速くなる結果と

なった。このように、部材によって劣化の進行が異なる場合は個別に劣化予測を行い、その予測結

果から個別にLCC算定を行うことが重要である。

図 4 W26 号岸壁の劣化予測結果

2) LCC算定結果

梁・床版ともに潜伏期、進展期に対策を実施した方がLCC低減となった。潜伏期では表面被覆工

法、進展期では電気防食工法が最も経済的となった。

使用材料条件 ・ 普通セメント、W/C=55% ・ 鉄筋かぶり:梁 8cm、床版 8cm ・ 鉄筋径:梁=D32、床版=D16 H.W.L 0.85m 1.5m 床版 梁 梁 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 電気防食工法 表面被覆工法 電気防食工法 断面修復+表面被覆 電気防食+断面修復 断面修復工法+FRP 梁・スラブ打換 潜伏期 進展期 加速期 劣化期 (円/m2 )

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 電気防食工法 表面被覆工法 電気防食工法 断面修復+表面被覆 電気防食+断面修復 断面修復工法+FRP 梁・スラブ打換 潜伏期 進展期 加速期 劣化期 (円/m2 )

床版

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 70 50 鉄筋位置の塩化物イ オ ン 量 (k g/ m 3) 断面減少率 (%) 潜伏期 腐食ひび割れ発生 15年 腐食開始 8年 耐荷力の低下 20年 10 20 30 40 進展期 加速期 劣化期

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 70 50 鉄筋位置の塩化物イ オ ン 量 (k g/ m 3) 断面減少率 (%) 材令[年] 潜伏期 腐食ひび割れ発生 33年 腐食開始 15年 耐荷力の低下 35年 10 20 30 40 進展期 加速期 劣化期

床版

W26 号岸壁

W22 号岸壁

新設桟橋上部工

図 5 W26 号岸壁のLCC試算結果(50 年間)

(4)

なお、梁に比べ床版の方がLCCを小さくできるのは、床版の方が劣化の進行が遅いためである。

また、潜伏期、進展期の早い段階で対策を施せば、部材自体の劣化の進行を防ぐことができるため、

LCC低減や長寿命化が可能であることがわかった。しかし、潜伏期や進展期で対策を実施する場合、

これらの対策要否を判断するための点検や診断が重要となる。

(2) ケーススタディ2(W22 号岸壁)

1) 劣化予測結果

1 ブロックでは、腐食開始 14 年、腐食ひび割れの発生 25 年、耐荷力の低下 29 年に対し、7 ブロ

ックでは、供用開始から 100 年経過しても鉄筋位置の塩化物イオン量は発錆限界量 2.0kg/m

3

を超え

ないという結果となった。このように、平面的な部材の位置によって、部材によって劣化の進行が

大きく異なる場合は、塩害環境別にグループ化して劣化予測を行い、その予測結果から塩害環境に

応じた対策工法やLCC算定を行うことが重要である。

図 6 W22 号岸壁の劣化予測結果

2) LCC算定結果

W26 号岸壁と同様に、潜伏期、進展期の早い段階で対策を施せばLCCは低減する結果となった。

また、W22 号岸壁の場合、部材の位置によって劣化の進行が著しく異なる傾向があった。そのため、

劣化が顕在化する前にこれらの傾向を把握することが重要である。なお、劣化の進行が著しく異なる

原因として、図 8 に示すような劣化機構が想定される。

図 7 W22 号岸壁のLCC算定結果 図 8 端部と中央ブロックの劣化進行が異なる理由(模式図)

-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 0 10 20 30 40 50 60 70 50 鉄筋位置の塩化物イ オ ン 量 (k g/ m 3) 断面減少率 (%) 材令[年] 潜伏期 腐食ひび割れ発生 25年 腐食開始 14年 耐荷力の低下 29年 10 20 30 40 進展期 加速期 劣化期 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 0 20 40 60 80 100 50 鉄筋位置の塩化物イ オ ン 量 (k g/ m 3) 断面減少率 (%) 材令[年] 潜伏期 10 20 30 40 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 電気防食工法 表面被覆工法 電気防食工法 断面修復+表面被覆 電気防食+断面修復 断面修復工法+FRP 梁・スラブ打換 潜伏期 進展期 加速期 劣化期 (円/m2 )

1ブロック

船舶

船舶で波浪が遮られ,CL-量は少 係留時:中央ブロック 船舶で波浪が遮らないため CL-量は増 係留時:端部ブロック ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 船 舶 海側 陸側 中央ブロック 端部ブロック W26 W27 W25 (連続鋼管式) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 0.0 4.0 8.0 12.0 16.0 表面塩化物イオン量C0 (kg/m 3 ) 鉄筋位置の塩化物イ オ ン 量C l -(kg/ m 3) 1B海側梁 1B陸側梁 1B床版 7B海側梁 7B陸側梁 7B床版

1ブロック

7ブロック

(5)

(3) ケーススタディ3(新設桟橋)

1) 事前対策工法

新設桟橋上部工の事前対策として、①エポキシ樹脂塗装鉄筋、②ステンレス鉄筋、③表面含浸材、

電気防食の4工法を設定した。また、事前対策を行わない(加速期に断面修復及びFRP接着の事

後保全を実施する)場合も比較対象としてLCCを算定した。

2) 劣化予測結果

ステンレス鉄筋、エポキシ樹脂塗装鉄筋は梁、床版ともに建設後 100 年間は発錆限界量以下であ

り、鋼材の腐食は生じない結果となった。一方、表面含浸材は梁では建設後 33 年、床版では建設後

57 年で鋼材の腐食が発生する結果となった。この劣化予測から、表面含浸工法のLCC算定は床版

の 50 年間のみを対象とし、その他は参考値とする。

図 9 新設桟橋の塩化物イオン拡散予測結果

3) LCC算定結果

梁・床版ともに事前対策のLCCは、

「エポキシ樹脂塗装鉄筋<ステンレス鉄筋<表面含浸工法<

電気防食工法」の順となったが、実際の検討ではLCCの他に、施設の重要度、施工性、予定供用

年数等を考慮し対策方法を決める必要がある。なお、床版のLCCにおいては事後保全の方が有利

となる結果となったが、これは劣化の進行が梁に比べ遅いことが原因であり、どのような条件でも

事前対策が有利となるわけではなく、劣化の進行や供用年数等の条件によって異なることに留意す

る必要がある。

表 10 新設桟橋のLCC算定結果(50 年間)

発錆限界量 2.0kg/m3 ステンレス鉄筋(SUS410)の 発錆限界量9.0kg/m3 0 2 4 6 8 10 0 20 40 60 80 100

鉄筋位置の塩化物イ

(kg/

m

3

)

経過年数(年

) ステンレス鉄筋 エポキシ樹脂鉄筋 表面含浸工法 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 事後保全(加速期に断面修復+FRP) エポキシ樹脂塗装鉄筋 ステンレス鉄筋 表面含浸工法(参考) 電気防食工法 (円/m2

0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 事後保全(加速期に断面修復+FRP) エポキシ樹脂塗装鉄筋 ステンレス鉄筋 表面含浸工法(参考) 電気防食工法 (円/m2

床版

33 年

発錆限界量 2.0kg/m3 ステンレス鉄筋(SUS410)の 発錆限界量9.0kg/m3 0 2 4 6 8 10 0 20 40 60 80 100

鉄筋位置の塩化物イ

(kg/

m

3

)

経過年数(年

) ステンレス鉄筋 エポキシ樹脂鉄筋 表面含浸工法

57 年

床版

(6)

2.4 桟橋構造の岸壁上部工における長寿命化対策・点検メニューリスト(案)の検討

桟橋上部工のLCC低減、予防保全方策の検討およ

び点検方策の検討結果を踏まえ、桟橋構造の上部工に

おける代表的な構造毎の特性、技術開発の方向性を加

味した長寿命化対策・点検メニューリスト(案)を作

成した。作成に際しては、図 11 に示す方針に基づき検

討を行った。表 3 に点検メニューリスト(案)

、表 4 に

長寿命化対策リスト(案)を示す。

図 11 検討方針 図 12 検討フロー

2.5 港湾施設の長寿命化に関する課題等の検討

今後の課題、検討手法について、「社会インフラのモニ

タリング技術活用委員会」の考え方をもとに図 13 に示す

手順で検討した。

(1) 維持管理のニーズの設定

港湾施設の維持管理のニーズとして、①維持管理の高

度化による安全性・信頼性の向上、②維持管理の効率化

によるコストの縮減・平準化を設定した。

(2) 維持管理のニーズに対応する今後の課題の設定

維持管理のニーズに対応する今後の課題を、点検診断

(日常点検、定期点検診断、臨時点検診断)

、長寿命化

対策(事前対策、補修・補強対策)ごとに具体的に設定

した。

(3) 今後の課題に対応する検討手法の抽出

今後の課題に対して検討手法を抽出した。その際、

課題への対応の難易度も考慮するものとした。表 5 に港湾施設の今後の課題に対応する検討手法等の一

覧を示す。

(4) 現段階における実証試験等の適用性検討

今後の課題への対応の難易度等から、長寿命化対策等を抽出し、①港湾施設における新技術の用途、

②競合する従来の方法に対する長所・短所、③港湾施設への適用の機会や課題の整理、④具体化するた

めの施策等を挙げ、現段階における実証試験等の適用性について評価した。その結果、現段階において

は以下の長寿命化技術の実証試験が有効と考えられる。

○長寿命化点検技術

・ 微/非破壊試験及び塩化物イオン濃度測定の新技術の活用(塩害環境の評価)

・ 微破壊試験(自然電位法、分極抵抗法等)の活用(鋼材腐食状況の評価)

○長寿命化対策技術

・ 連続繊維補強材

・ 表面含浸工法

図 13 今後の課題、検討手法の検討フロー

検討方針 構造特性等 PC,ジャケット水掛かり 鋼材の腐食等 技術開発の方向性 微/非破壊試験の活用 埋設センサの活用 長寿命化対策・点検メニューリスト(案)の作成(チャート方式) ・点検・対策フローから長寿命化対策・点検方法を選定する。 予防保全を念頭に置いた点検・対策フロー(案)の作成 ・潜伏期:塩害環境,微/非破壊試験の活用 ・進展期:鋼材の腐食状況: 同上 塩害の劣化過程に応じた点検項目の抽出 ・潜伏期,進展期の着目すべき点検項目 一般,詳細定期点検診断様式(案)の作成 長寿命化対策・点検メニューリスト(案)の作成にあたっての検討方針 ・目的:予防保全の実現(劣化が顕在化しない段階で,劣化の予兆を早期発見・早期対策の実現) ・点検対象施設:既設の桟橋コンクリート上部工(RC,PC構造) ・対象とする点検の種類:①一般定期点検診断,②詳細定期点検診断 ・基本方針:現場で適用可能な,汎用的に適用されている点検・対策方法を対象とする。  ①塩害環境の評価:叩き点検,微破壊試験(ドリル取法)の活用  ②鋼材の腐食状況評価:非破壊試験(自然電位法,分極抵抗法)の活用  ③長寿命化対策:基準類の整備されている予防保全対策:表面被覆工,表面含浸工,電気防食工等

(1) 維持管理ニーズの設定

①維持管理の高度化による安全性・信頼性の向上

②維持管理の効率化によるコストの縮減・平準化

(2) 維持管理ニーズに対応する今後の課題の設定

①点検診断(日常点検,定期点検,臨時点検等)

②長寿命化対策

(3) 今後の課題に対応する検討手法の抽出

①点検診断(日常点検,定期点検,臨時点検等)

②長寿命化対策

(4) 現段階における実証試験等の適用性検討

①港湾施設における新技術の用途

②競合する従来の方法に対する長所・短所

③港湾施設への適用の機会や課題の整理

④具体化するための施策

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表 3 点検メニューリスト(案)

点検項目 点検方法等 概要 長所 短所 規準類、参考文献 留意点 点検足場・ 歩廊の設置 ・事前に点検のための桟橋上 部工下面に点検足場、歩廊を 設置する。 ・維持管理の省力化を図ることが期待でき る。 ・足場や歩廊の腐食対策を怠ると、足場・歩 廊が早期に劣化する。 - ・足場設置位置の選定 ・足場、歩廊の腐食対策 ボス供試体の設置 ・コンクリート打設時にボス 型枠を取り付けて、事前に採 取試料を配置する。 ・詳細点検時の圧縮強度、中性化試験、塩化 物イオン濃度測定用の試料を配置すること で、維持管理の省力化を図ることが期待でき る。 ・構造体から突出しているため、コンクリー ト硬化時に気温などの影響を受けやすい。 ・NDIS3424:2011「ボス供試体の作製方法及び 試験方法」 ・ボス供試体の設置位置、数量 塩化物イオンの 浸透 埋設センサの設置 ・埋設センサを設置して、か ぶりコンクリートの塩化物イ オンの浸透をモニタリングす る。 ・簡易に塩化物イオンの浸透をモニタリング できるため、予防保全を行う上で重要な情報 となる。 ・事前に塩害環境が厳しい箇所を把握する必 要がある。 - ・現地計測にするか、遠隔地での確認にする かを選定する。 鋼材の腐食 埋設センサの設置 ・埋設センサを設置して、コ ンクリート中の鋼材の腐食を モニタリングする。 ・簡易に鉄筋の腐食をモニタリングできるた め、予防保全を行う上で重要な情報となる。 ・同上 ・データのばらつきの取扱いが課題。 ・センサ、ケーブル類の耐久性が課題。 ・岩波ら「桟橋上部工における鉄筋腐食モニ タリング実証実験」、土木学会年次学術講演 会(H22.9) ・同上 劣化状態の把握 目視点検 ・ 小 型 船 舶 か ら 目 視 点 検 に よって桟橋上部工の劣化度を 評価、劣化状態を記録する。 ・簡易、かつ広範囲に劣化状態を把握するこ とができる。 ・潜伏期は、コンクリート表面に劣化が生じ ない場合が多い。ただし、非構造鋼材(段取り 筋)等の腐食状況によって、腐食環境をある程 度把握できる場合がある。 ・ 港 湾 の 施 設 の 維 持 管 理 技 術 マ ニ ュ ア ル 、 (財)沿岸技術研究センター、H19.10 ・潮間作業となるので、事前に潮位を確認す る。 ・小型船舶の荷卸し場所の確認 ・関係機関との調整等 鉄筋かぶりの 把握 電磁波レーダ法 (電磁誘導法) ・電磁波が鉄筋に反射して、 その伝播時間から鉄筋かぶり を測定する。 ・構造物を損傷させることなく、現地の鉄筋 かぶりを広範囲に取得することができる。 ・鉄筋かぶりの精度は、コンクリートの比誘 電率に依存する。比誘電率はコンクリートの 含水状態によって異なるため、比誘電率の設 定 が 課 題 と な る ・ は つ り 調 査 で 比 誘 電 率 の キャリブレーションして精度確認することが 望ましい。 ・NDIS3429:2011「電磁波レーダ法によるコ ンクリート構造物の鉄筋探査方法」 ・同一桟橋でも施工業者により、鉄筋かぶり が異なる場合がある。そのため、鉄筋かぶり の傾向やばらつきに留意する。 塩化物イオンの 浸透 塩化物イオン 濃度測定 ・コンクリート構造物から、 試料を採取して、コンクリー ト中の塩化物イオン浸透を把 握する。 ・塩害環境を把握することができる。 ・塩化物イオン拡散予測より、潜伏期の性能 照査が可能となる。 ・経過時間が短いため、コンクリート中の塩 化物イオン量が少ない場合、C0、Dの同定が 困難な場合がある。 ・通常は、試料採取を2cm毎とするが、1cm毎 にする等の工夫が必要(EPMAでも可)。 ・JIS A 1154:「硬化コンクリート中に含まれ る塩化物イオンの試験方法」 ・JSCE-G573-2013「実構造物におけるコンク リート中の全塩化物イオン分布の測定方法」 ・試料採取位置の選定・できるだけ多地点の 塩化物イオン濃度を測定するため、微破壊試 験等を活用する。 ・移動足場、高所作業台の活用 目視点検 ・潜伏期と同じ。 ・潜伏期と同じ。 ・進展期は、鉄筋の腐食による「浮き」が生 じているが、コンクリート表面に劣化が顕在 化しない場合がある。その場合、劣化度を過 小評価する可能性がある。 ・潜伏期と同じ。 ・潜伏期と同じ。 叩き点検 ・コンクリート表面をハンマ で打撃し、その衝撃の程度や 衝撃音の音色の変化等により コンクリートの「浮き」の箇 所や内部の変状の有無を推定 する。 ・コンクリート表面は健全で、鉄筋腐食によ る「浮き」が発生している場合、叩き点検に よって「浮き」を把握することができる。 ・点検者の直観や経験による判断に委ねられ ているとともに、点検結果を客観的に評価す ることが困難である。 - ・ 叩 き 点 検 結 果 の 精 度 確 認 の た め 、 一 部 の 「浮き」の有・無の打音の違いを録音して確 認する等の方法が有効である。 ・移動足場、高所作業台の活用 塩化物イオンの 浸透 塩化物イオン 濃度測定 ・潜伏期と同じ。 ・塩害環境の把握 ・進展期の劣化の進行の推定 ・既に鉄筋位置で発錆限界量を超えている場 合、測定結果の利用方法に課題がある。 ・潜伏期と同じ。 ・鉄筋位置の塩化物イオン量は、鋼材の腐食 進行とも関係するため、進展期の劣化の進行 の推定に利用する。 鋼材腐食の 可能性 自然電位法 ・コンクリート表面で鉄筋の 電 位 を 測 定 す る こ と に よ っ て 、 腐 食 の 可 能 性 を 評 価 す る。 ・コンクリート表面に劣化が顕在化していな い場合でも鋼材の腐食の可能性を非破壊で、 かつ簡易に推定することができる。 ・定性的な情報(腐食発生の可能性)しか得 られない。 ・実際の鉄筋の腐食状態とASTMC876の「鋼材 の腐食判定基準」が一致しない場合がある。 ・JSCE-E601-2007「コンクリート構造物にお ける自然電位測定方法」 ・ASTMC876の判定基準は、環境条件によって 一致しない場合があるため、等電位線図を用 いて、等電位線が狭く、電位が卑な箇所を抽 出することに留意する。 鋼材の腐食速度 分極抵抗法 ・コンクリートに当てた外部 電極から内部鉄筋に微弱な電 流(電位差)を付加したときに 生じる電流(電位)変化量から 分極抵抗を求め、鉄筋の腐食 速度を推定する。 ・ コ ン ク リ ー ト 表 面 に 劣 化 が 顕 在 化 す る 前 に 、 鉄 筋 の 腐 食 速 度 を 把 握 す る こ と が で き る。 ・進展期(腐食ひび割れの発生時期)の劣化予 測が期待できる。 ・国内に測定方法、評価方法の規準がない。 ・鉄筋の腐食速度を評価する場合、鉄筋の配 筋状態を正確に把握する必要がある。 ・鉄筋の腐食速度は、気温、降雨等の気象条 件によって変化する。 ・コンクリート構造物における分極抵抗方法 (試案)、土木学会、338委員会 ・自然電位法と併用して、分極抵抗の精度向 上を図る。 ・腐食速度は温度が高いほど速くなる。年1回 の測定の場合には、安全側の配慮から夏に行 うことが望ましい。 目視点検 ・潜伏期と同じ。 ・潜伏期と同じ。 ・目視点検のみでは劣化範囲がわからない場合が多い。 ・潜伏期と同じ。 ・潜伏期と同じ。 叩き点検 ・進展期と同じ。 ・叩き点検によって、目視点検では不明な劣化範囲が明確になる。 ・進展期と同じ。 - ・進展期と同じ。 鉄筋の腐食状態 はつり調査 ・かぶりコンクリートをはつ り、内部鉄筋を露出させて、 鉄筋の腐食状況の観察やノギ ス等による鉄筋径の測定を行 う。 ・目視点検では得られない鉄筋の腐食度、鉄 筋径(断面減少率)等を直接把握することがで きる。 ・構造物を損傷させる。 ・進展期~加速期前期は、鉄筋の腐食は少な い た め 、 ノ ギ ス で の 計 測 が 難 し い 場 合 が あ る。 ・JCI-SC1「コンクリート中の鋼材の腐食評価 方法」 ・残存耐力などの推定を行う際のデータとな る。 劣化期 ・加速期と同じ。 ・加速期と同じ ・加速期と同じ。 ・加速期と同じ。 ・加速期と同じ。 ・加速期と同じ。 ・加速期と同じ。 新設 劣化状態の把握 加速期 劣化状態の把握 進展期 劣化状態の把握 潜伏期

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表 4 長寿命化対策リスト(案)

長寿命化対策 対策工法 概要 長所 短所 規準類 適用事例 超高強度繊維 補強コンク リート(UFC) ・圧縮強度150N/㎜2 以上 、ひ び割 れ発 生 強 度 4 N / ㎜2以 上 、 引 張 強 度5 N/ ㎜2 以 上の 繊維 補強 を行 った セメ ント 系複 合材である(いずれも特性値)。 ・高強度のため、部材の軽量化を図ることがで きる。 ・通常のコ ンク リー トに 比べ 拡散 係数 は2 桁以 上 小 さ く 、 100 年 以 上 の 耐 用 年 数 が 期 待 で き る。 ・高耐久性型枠に利用することで、経済的に塩 化物イオン侵入を抑制することができる。 ・初期コストは普通Coの2倍程度1) ( 軽 量 化 に よ る 下 部 工 の 変 更 を 考 慮 し な い 場 合) ・高耐久性型枠のみの適用の場合、初期コスト は普通コンクリートの1.2倍程度1) ・ 繊 維 の 分 散 と 配 向 に 配 慮 し た 施工 計画 が必 要。 ・超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工 指針(案)、土木学会、H16.9 ・床版の適用事例 羽田空港D滑走路の床版 ・高耐久性型枠の適用事例  伏木富山港新港地区桟橋 複数微細ひび 割れ型繊維補 強セメント複 合材料 (HPFRCC) ・ セメ ント 系材 料と 補強 用の 短繊 維を 用 いた 複合 材料 であ り、 一軸 引張 応力 下 に お い て 疑 似 ひ ず み 硬 化 特 性 を 示 し 、微 細で 高密 度の 複数 ひび 割れ を形 成する高靱性材料である。 ・ひび割れ制御機能、ひび割れ分散性により鋼 材の腐食が抑制される。 ・高靱性材料であるため、補強材や耐震補強材 として期待される。 ・コンクリート表面をHPFRCCで被覆して、構造 物を長寿命 化さ せる 工法 もあ る( 靱性 モル タル 工法)。 ・ 普 通 コ ン ク リ ー ト の 費 用 を 1.0 と す る と 、 HPFRCCは3.5倍UFCは2倍程度2) ・実構造物の適用は少ない。 ・複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材 料設計・施工指針(案)、土木学会、H19.3 ・鋼床版の疲労耐久性向上を目的とした舗装上 面増厚 ・鉄道高架橋の中性化抑止対策工:曲げひび割 れに有効な新しい表面保護工として適用 エポキシ樹脂 塗装鉄筋 ・ 鉄筋 にエ ポキ シ樹 脂塗 装を 施す こと に より 、塩 害環 境下 の構 造物 の耐 久性 を向上させる工法。 ・鉄筋に塗装したエポキシ樹脂によって腐食因 子を遮断することで、鉄筋の腐食を抑制する。 ・実績が多い。 ・普通鉄筋の1.6倍程度の費用 ・桟橋上部工全体では1.1倍程度1)。 ・施工時に塗膜損傷の懸念がある。 ・ エ ポ キ シ 樹 脂 塗 装 鉄 筋 を 用 い る鉄 筋コ ンク リ ー ト の 設 計 施 工 指 針 [ 改 訂 版] 、土 木学 会、 H15.11 ・衣浦港中央ふ頭西岸壁(-12m)改良 ・ 四 日 市 港 霞 ヶ 浦 地 区 W22 岸 壁 ( 試 験施 工1988 年) ステンレス鉄 筋 ・ 耐食 性に 優れ たク ロム 酸化 物の 不動 態 皮膜 が形 成さ れ、 塩害 環境 下の 構造 物の耐久性を向上させる。 ・鉄筋位置の腐食発錆限界量が非常に大きい。 (SUS304 : 15kg/m3 、 SUS316 : 24kg/m3 、 SUS410:9kg/m3)。 ・普通 鉄筋 (N)の 4~ 10倍 の費 用(SUS304 :N の4 倍、SUS316:Nの7倍、SUS410:Nの10倍)。 ・現場溶接ができない。 ・ す き 間 腐 食 、 異 種 金 属 接 触 腐 食に 留意 が必 要。 ・ステンレス鉄筋を用いる構造物の設計施工指 針(案)、土木学会、H20.9 ・古宇利大橋 ・東京根津神社 (日本での 実績 は少 ない が、 海外 では 比較 的多 い) 連続繊維補強 材 ・ 連続 繊維 に繊 維結 合材 を含 浸さ せ、 硬 化・ 成形 して コン クリ ート を補 強す る 工法 。連 続繊 維に は炭 素繊 維・ アラ ミド繊維・ガラス繊維等がある。 ・高引張強度、高耐久性、軽量、非磁性などの 長所を有する。 ・連続繊維は比較的高い強度と弾性係数を有す るが、破断ひずみが0.5~4.5%と、鋼材の破断 ひずみ20% に比 べて 小さ い( 鉄筋 に比 べ靱 性に 劣る)。 ・連続繊維補強材を用いたコンクリート構造物 の設計・施工指針(案)、土木学会、H8.9 ・西宮ヨットハーバーマリーナポンツーン補修 ・東北電力火力発電所連絡橋 ・橋梁では歩道橋への適用がある。 表面被覆工法 ・ コン クリ ート 表面 に塗 装を 施し て、 外 部か らの 水や 塩化 物イ オン の浸 入を 抑制する工法。 ・外部からの劣化因子の遮断性能に優れる。 ・実績が多く、性能確認試験や性能照査方法も 確立されている。 ・ 塗 布 後 に コ ン ク リ ー ト 表 面 の 目視 がで きな い。 ・ 施 工 不 良 や コ ン ク リ ー ト 中 の 水分 の影 響に よって塗装剥がれが生じやすい。 ・ 表 面 保 護 工 法 設 計 施 工 指 針 ( 案 ) 、 土 木 学 会、H17.4 ・実績多数 表面含浸工法 ・ 表面 含浸 材を コン クリ ート 表面 から 含 浸さ せて 、表 層部 の組 織を 改質 する こ とで コン クリ ート の耐 久性 を向 上さ せる工法 ・無色透明であるため、塗布後もコンクリート 表面の目視点検が可能。 ・ 表 面 被 覆 の よ う な 塗 装 の 割 れ 、剥 がれ がな い。 ・施工が容易で経済的である。 ・表面被覆工法よりも遮塩性能が劣る。 ・ 性 能 確 認 試 験 、 照 査 方 法 が 確 立さ れて いな い。 ・ 母 材 コ ン ク リ ー ト の 品 質 や 含 水状 態に よっ て、遮塩性能が異なる。 ・シラン系:同上 ・けい酸塩系:「けい酸塩系表面含浸工法の設 計施工指針(案)」、土木学会、H24.7 ・名古屋港飛島南地区TS1岸壁 (シラン系+けい酸塩系の複合材料) 外部電源方式 (面状、線状、 点状) ・ 外部 電源 から 強制 的に 防食 電流 を流 して鋼材の腐食を抑制する工法 ・防食電流の調整が可能であり、確実に腐食を 防止できる。 ・陽極の耐用年数は40年以上である。 ・外部電源が必要となる。 ・塩害環境、鉄筋量により、回路分けを行う必 要がある。 ・電気化学的防食工法設計施工指針(案)」、土 木学会、H13.11 ・東京港大井埠頭桟橋 ・他実績多数 流電陽極方式 ・内 部鋼 材と 陽極 材( 亜鉛 等) の電 池作 用 によ り防 食電 流を 流し て鋼 材の 腐食 を抑制する工法 ・防食電流の調整が不要であり、維持管理が容 易な面がある。 ・樹脂等で表面被覆されている場合、樹脂を剥 がす必要がある。 ・陽極(亜鉛)の耐用年数は20年程度と短い。 ・維持管理を怠った場合、知らない間に陽極が 喪失している場合がある。 ・同上 ・ 四 日 市 港 霞 ヶ 浦 地 区 W22 岸 壁 ( 試 験施 工1988 年) ・清水港日の出岸壁(-12m)4・5号 電気防食工法 ・同上 ・同上 ・同上 ・同上 ・同上 ・同上 断面修復工法 断面修復工法 ・ 塩化 物イ オン の発 錆限 界量 を超 えた 部 分を 物理 的に 全て はつ り落 とし 、所 要 の性 能を 有す る断 面修 復材 で復 旧す る工法。 ・実績が多い。 ・塩化物イオンの発錆限界量を超えた部分を全 てはつり落とさない場合、マクロセル腐食によ る再劣化の懸念がある。 ・桟橋下面の狭隘な空間において、全断面はつ り作業、鉄筋ブラスト処理、型枠設置、修復材 打設等の多工種となるため、施工性に劣る。 ・PC構造物の場合、断面修復箇所のプレスト レスが喪失するため、事前に耐力検討が必要。 ・ 表 面 保 護 工 法 設 計 施 工 指 針 ( 案 ) 、 土 木 学 会、H17.4 ・実績は多いが、部分断面修復によって再劣化 が生じた事例も多い。 ・マクロセル腐食対策として、断面修復に犠牲 陽極(亜鉛)を設置する工法、断面修復材に亜硝 酸リチウムを添付する工法がある。 断面修復工法 ・同上 ・同上 ・同上 ・同上 ・同上 ・同上 F R P 接 着 工 法 FRP接着工 法 ・ FR Pを コン クリ ート 表面 に接 着さ せ るこ とに よっ て、 耐荷 性能 の向 上を 図る工法。 ・軽量であるため、既設構造物への付加重量は 非常に小さい。 ・ 重 機 は 不 要 で 、 施 工 ス ペ ー ス の制 約を 受け ず 、 少 人 数 で か つ 短 い 工 期 で 施 工が 可能 であ る。 ・FRPによ り塩 化物 イオ ンの 遮断 効果 も期 待で きる。 ・全面に接着するとコンクリート表面の目視が できない。 ・FRPシー トが 剥が れな いよ うに 、コ ンク リー ト表面の含水状態に応じて、接着材料を選定す る必要がある。 ・連続繊維シートを用いたコンクリート構造物 の補修補強指針、H12.7 ・東京都日の出桟橋 (ただし、補修対策として適用) 1) 土木学会コンクリート標準示方書に基づく設計計算例[桟橋上部工編]p.114,土木学会,平成17年3月 2) 複合構造の最先端p.64,土木学会,平成19年7月 劣化期 加速期 進展期 電気防食工法 潜伏期 表面処理工法 新設 高 耐 久 性 コ ン ク リ ー ト の 使 用 高 耐 久 性 補 強 材料

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表 5 港湾施設の今後の課題に対応する検討手法等の一覧

項目 維持管理のニーズ ①高度化による安全性・信頼性の向上 ②効率化によるコストの縮減・平準化 現場ニーズ 今後の課題 検討手法等 今後の課題 検討手法等 点検 診断 1.日常点検 (1)劣化損傷等の原因と なる事象の監視 ・重要箇所は巡回時に異常を見逃さないよう にしたい。 ●桟橋上部工等の塩害:埋設センサのモニタリング等に より、日常的に劣化状態を把握する。 ・十分に巡回できない場合でも最小限の確認を したい。 ●岸壁等:利用状態(過積載、衝撃荷重)の把握。 ▲港湾施設の劣化等:自航式ロボット(ROV)の活用 2.定期点検診断 (一般、詳細) (1)詳細点検が必要な箇 所の抽出 ・目視による把握が困難な事象を定量化した い。 ・経年的な劣化等の状況を把握したい。 ●桟橋上部工等の塩害環境:簡易塩分測定方法(蛍光X線 分析、電量滴定法)の活用 ●桟橋上部工等の鋼材腐食:①自然電位、分極抵抗法の 活用、②埋設センサのモニタリングによる劣化状態の 定量化 ▲鋼構造(塗覆装)の詳細点検方法:目視点検以外の詳細 点検方法の確立 ▲岸壁背後の空洞化:電磁波レーダ法の高度化 ▲土中部鋼材(タイロッド等)の腐食:点検方法の確立 ・点検を効率的に実施したい。 ・広い、長い、多い施設の点検作業時間を削減 したい。 ・船舶等を利用することなく安価に把握した い。 ●桟橋上部工の塩害環境:①微破壊試験(ドリル試料 採取)の活用、②移動足場の活用 ●桟橋上部工の鋼材腐食:①叩き点検の活用、②移動 足場の活用 ▲水中部の鋼材腐食:非接触肉厚計測装置の活用 (2)補修補強効果等の確 認 ・補修、補強後の効果及び手法の妥当性を把 握したい。 ●効果及び点検方法:(①~③管内実績あり) ①エポキシ樹脂塗装鉄筋 ②流電陽極方式による電気防食 ③表面含浸工法 - - (3)発見・特定した劣化 損傷等の進行状況の監 視 ・目視による把握が困難な事象の進行を把握 したい。 ・損傷の進行等を遠隔地から確認したい。 ▲劣化、損傷箇所の事象の進行:ひずみゲージ、変位計 等のモニタリング、遠隔モニタリング方法 ▲閾値の設定:危険とみなす判断基準の設定 ・損傷の進行等を効率的に確認したい。 ・規制等の措置を講ずる必要性を明確にした い。 ▲劣化、損傷箇所の事象の進行:自航式ロボット(ROV) の活用 ▲供用(規制)の可否判断:簡易に供用可否判断を行う 方法の確立 3.臨時点検診断 (一般、詳細) (1)地震時等の災害発生 時における迅速な変状 把握・評価 ・目視による把握が困難な事象を定量的に把 握したい。 ・点検結果から、合理的に補修・補強の要否 を判断したい。 ▲変状の定量的把握:地震時等の損傷を定量的に把握す る点検方法の確立 ▲対策要否の判定:損傷した構造物の性能評価手法の確 立 ・船舶等を利用することなく安価に把握した い。 ・広い、長い、多い施設の点検作業時間 を削 減したい。 ・異常の可能性の高い箇所を効率的に抽出した い。 ▲点検の効率化、省力化:①自航式ロボット(ROV)の 活用、②簡易点検カメラの活用 ▲緊急時の供用可否判断:簡易な点検方法より、迅速 に岸壁の供用可否判断を行う方法の確立 長寿命 化対策 1.事前対策等 (1)高耐久性工法・材料 の開発、活用 ・高耐久性工法、材料を活用して、施設の長 寿命化を図りたい。 ●長寿命化対策の推進 ①短繊維補強コンクリート(UFC、HPFRCC 等) ②ステンレス鉄筋、連続繊維補強材等 ③表面含浸工法(シラン系、けい酸塩系) ・設計時に点検の容易性を考慮して、維持管理 の手間を省きたい。 ●維持管理の省力化に配慮した構造形式・細目 ①桟橋下面に点検足場・歩廊の設置 ②防波堤に点検孔を設置 ③交換可能な部材の適用(リプレイサブル桟橋) ④ボス供試体の設置(試料採取の軽減) (2)事前対策の合理化 ・事前に塩害が生じやすい箇所に配慮し て対策したい。 ▲塩害環境の把握:①データベース分析、②腐食 環境センサ等の活用 - ▲塩害環境の把握:①既往点検データの確認、②隣接 岸壁等のデータ整理 2.補修補強対策 (1)高耐久性工法・材料 の活用 ・高耐久性工法、材料を活用して、再劣化し ないように施設の長寿命化を図りたい。 ●長寿命化対策の推進 ①短繊維補強コンクリート(UFC、HPFRCC 等) ②連続繊維補強材等 ③表面含浸工法(シラン系、けい酸塩系) - - ●:優先順位は高い。▲:課題が多く、中~長期的な検討が必要であり、現段階においては優先順位が低い。●:検討手法がほぼ確立されている。

図 3  各ケーススタディの断面図、モデル図  (1) ケーススタディ1(W26 号岸壁)  1) 劣化予測結果  梁では腐食開始 8 年、腐食ひび割れの発生 15 年、耐荷力の低下 20 年に対し、床版では腐食開始 15 年、腐食ひび割れの発生 33 年、耐力の低下 35 年となり、梁の方が劣化の進行が速くなる結果と なった。このように、部材によって劣化の進行が異なる場合は個別に劣化予測を行い、その予測結 果から個別にLCC算定を行うことが重要である。  図 4  W26 号岸壁の劣化予測結果  2) L
表 3  点検メニューリスト(案)  点検項目 点検方法等 概要 長所 短所 規準類、参考文献 留意点 点検足場・ 歩廊の設置 ・事前に点検のための桟橋上部工下面に点検足場、歩廊を 設置する。 ・維持管理の省力化を図ることが期待できる。 ・足場や歩廊の腐食対策を怠ると、足場・歩廊が早期に劣化する。 - ・足場設置位置の選定 ・足場、歩廊の腐食対策 ボス供試体の設置 ・コンクリート打設時にボス型枠を取り付けて、事前に採 取試料を配置する。 ・詳細点検時の圧縮強度、中性化試験、塩化物イオン濃度測定用の試料を配置
表 4  長寿命化対策リスト(案)  長寿命化対策 対策工法 概要 長所 短所 規準類 適用事例 超高強度繊維 補強コンク リート(UFC) ・圧縮強度150N/㎜ 2 以上 、ひ び割 れ発生 強 度4N/㎜2以 上 、 引 張 強 度5N/㎜ 2以 上の 繊維 補強 を行 った セメ ント 系複 合材である(いずれも特性値)。 ・高強度のため、部材の軽量化を図ることができる。・通常のコ ンク リー トに 比べ 拡散 係数 は2桁以上 小 さ く 、 100年 以 上 の 耐 用 年 数 が 期 待 で

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