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経済学 第1回 2010年4月7日

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(1)

経済学

第13回

(2)

注意事項

 次回(7/14),小テストを行う. » 企業の生産費用と完全競争市場における生産決定について  復習用に,講義で使ったスライドをホームページにアップし ている.  http://tomoinoue.web.fc2.com/index.html

(3)

前回の復習

 固定費用の水準を決めたときに導くことができる平均費用 曲線のことを,「短期の平均費用曲線」と呼ぶ.  企業は,長期的には,それぞれの生産水準に対して平均 費用を最小化する固定費用の水準を選ぶことができる.  各生産量に対して平均費用を最小化するように固定費用 が選ばれた場合の生産量と平均費用の関係は「長期の平 均費用曲線(LAC)」で表される.

(4)

AC3 AC8 AC6 LAC A D C 費用

(5)

前回の復習

 長期的には,生産者は生産量に応じて適切な固定費用を 選択し,その生産量においては,長期の平均費用曲線と 短期の費用曲線が一致する.  ただし,急にその生産量が変化すると,そのときの短期の 平均費用曲線に従って費用が決まる.  固定費用を再調整し,新しい生産水準に対応したものに 変更するまでは,長期の平均費用曲線から外れる.

(6)

前回の復習

 生産量が拡大するにつれて長期の平均費用が減少する 場合,規模の経済性があるという.  生産量が拡大するにつれて長期の平均費用が増加する 場合,規模の不経済性があるという.  生産量が拡大しても長期の平均費用が変わらず一定の 場合,規模に対する収穫不変の状況にあるという. → このとき,長期の平均費用曲線は水平になる.

(7)

企業の生産費用のまとめ

費用の測り方 定義 表記 短期 固定費用 生産量に依存せずかかる費用 FC 平均固定費用 生産物1単位につきかかる固定費用 AFC = FC/Q 長期と短期 可変費用 生産物に応じてかかる費用 VC 平均可変費用 生産物1単位につきかかる可変費用 AVC = VC/Q 総費用 固定費用(短期の場合)と可変費用を 足し合わせた費用 TC = FC + VC 平均費用 生産物1単位につきかかる総費用 AC = TC/Q 限界費用 もう1単位生産量を増やしたときの総費 用の増加額 MC 長期 長期の平均費用 各生産量での平均費用を最小にするよ うに固定費用を選んだ場合の平均費用 LAC

(8)

前回の復習

 生産者であろうと消費者であろうと,すべての市場参加者 が価格受容者である市場のことを完全競争市場と呼ぶ. » 自らの行動で財の市場価格を変えることができない市場参加者 のことを価格受容者(プライス・テイカー)と呼ぶ.  産業が完全競争となるための必要条件(3つ): ① その産業に多くの生産者がいて,どの生産者も大きな市場シェ アをもたない. ② どの生産者の生産物であっても,すべて同じである(同質財であ る)と消費者が認識している. ③ その産業には自由参入と自由退出の性質がある.

(9)

本日の内容

 生産と利潤

(10)

生産と利潤

 あるトマト農家の例を考える.  トマト産業は完全競争であり,トマトの価格は1kg=1,800 円であるとする. » このトマト農家は生産量にかかわらず1kg=1,800円で売ることが できる.

(11)

 総費用をこのように仮定すると,利潤が求められる.

生産と利潤

トマトの数量 Q(kg) 総収入 TR(円) 総費用 TC(円) 利潤 TR-TC(円) 0 0 1,400 -1,400 1 1,800 3,000 -1,200 2 3,600 3,600 0 3 5,400 4,400 1,000 4 7,200 5,600 1,600 5 9,000 7,200 1,800 6 10,800 9,200 1,600 7 12,600 11,600 1,000

(12)

生産と利潤

 総収入(TR)=市場価格(P)×生産量(Q) » この例では,総収入=1,800×トマトの数量  利潤=総収入(TR)-総費用(TC)  生産量が5kgのときに,利潤が最大化されている. » 最大の利潤=1,800円

(13)

生産と利潤

 生産者(企業)にとって最適な生産量とは,利潤を最大に する生産量である.  ある生産量のときに,もう1単位生産を増やして利潤が増 加すれば,最適な生産量はもっと多いということになる.  反対に,もう1単位生産を減らして利潤が増加すれば,最 適な生産量はもっと少ないということになる.

(14)

生産と利潤

 もう1単位生産量を増やしたときに生み出される追加的な 収入のことを限界収入(MR)という.  もう1単位生産量を増やしたときの費用は限界費用(MC).  追加的に1単位生産を増やしたときの収入の変化(MR)と 費用の変化(MC)を比べることで,利潤の変化がわかる. よる収入の変化額 もう1単位の生産増に 生産量の変化量 総収入の変化額 限界収入 = =

(15)

生産と利潤

 MR>MCのときは,生産量を1単位増やしたときに得られる 収入の増加が費用の増加よりも大きいから,生産を増や すことによって利潤が増加する.  MR<MCのときは,生産を1単位増やすと利潤が減少する (生産を1単位減らすと利潤が増加する).  MR>MCのときには生産量を増やし,MR<MCのときには 生産量を減らすことで,利潤を大きくすることができる.  利潤が最大のときには,MR=MCとなっている.

(16)

生産と利潤

 限界収入(MR)が限界費用(MC)と等しくなる水準まで生

産すれば利潤を最大にできる. → 生産者の最適生産量ルール

(17)

生産と利潤

トマトの数量 Q 可変費用 VC 総費用 TC 限界費用 MC 限界収入 MR 利潤増加分 MR-MC 0 0 1,400 1,600 600 800 1,200 1,600 2,000 2,400 1,800 1,800 1,800 1,800 1,800 1,800 1,800 200 1,200 1,000 600 200 -200 -600 1 1,600 3,000 2 2,200 3,600 3 3,000 4,400 4 4,200 5,600 5 5,800 7,200 6 7,800 9,200 7 10,200 11,600

(18)

生産と利潤

 限界収入はどの生産水準でも1,800で一定.  Q≦5 のとき,生産量が増えると利潤増加分はプラス.  Q≧5 のとき,生産量が増えると利潤増加分はマイナス.  Q=5 が利潤を最大にする生産量. → このとき,限界費用=1,800=市場価格である.

(19)

生産と利潤

 企業が価格受容者であるとき,利潤を最大化するには, 市場価格(P)と限界費用(MC)が等しくなるような生産量 を達成すればよい.  価格受容者である企業の最適生産量の下では,P = MC が成立している. » 価格受容者である企業にとって,生産量を変化させても市場価 格は変わらないから,限界収入は価格に等しくなる. » 限界収入曲線は市場価格と同じ高さの水平線になる. » 最適生産量ルールから,P = MR = MC となる.

(20)

生産と利潤

 企業は限界費用と価格が等しくなる水準まで生産を行う.  ただし,生産を行うならば,の話.  その前に,生産を行うか行わないかを決めなければならな い.  そのために,生産を行うことが利益になるのはどのような場 合かを考える.

(21)

生産と利潤

 トマト農家(企業)で利潤が生じるか損失が生じるかは何に

よって決まるのか?

 企業の最小平均費用より市場価格が高いか低いかによっ

(22)

生産と利潤

 トマト農家の短期の平均費用と限界費用 トマトの数量 Q 総費用 TC 限界費用 MC 平均費用 AC 0 1,400 1,600 600 800 1,200 1,600 2,000 2,400 -1 3,000 3,000 2 3,600 1,800 3 4,400 1,467 4 5,600 1,400 5 7,200 1,440 6 9,200 1,533 7 11,600 1,657

(23)

1,800 600

生産と利潤

MC AC 1,400 3,000 価格 1,000

(24)

 利潤=TR-TC で計算できるため, » TR>TC → 企業は利潤を得る. » TR=TC → 企業の利潤はゼロ. » TR<TC → 企業は損失を被る.  生産量 Q で割り,生産量1単位あたりの利潤で考えると, » P>AC → TR>TC → 企業は利潤を得る. » P=AC → TR=TC → 企業の利潤はゼロ. » P<AC → TR<TC → 企業は損失を被る. AC P AC Q Q P Q TC Q TR Q 利潤 − = − × = − =

(25)

利潤

市場価格が1,800のとき

1,800 600 1 2 3 4 5 6 7 0 C MC 1,400 3,000 AC MR = P 1,440 E Z 利潤=TR-TC =P×Q-AC×Q =(P-AC)×Q この長さは,P-AC 数量 価格

(26)

生産と利潤

 市場価格が最小平均費用よりも高ければ利潤が発生し, 低ければ損失が発生する. » この企業の最小平均費用は,生産量が4のときの1,400である.  市場価格>最小平均費用ならば,利潤を生む生産水準 が存在する.  このときに,限界費用と市場価格が等しくなる生産量を達 成すれば,利潤が最大になる. » 価格が1,800であれば,生産量5で最大利潤1,800となる.

(27)

損失

市場価格が1,000のとき

1,000 600 1 2 3 4 5 6 7 0 C MC 1,400 3,000 AC MR = P 1,467 A Y 利潤=TR-TC =P×Q-AC×Q =(P-AC)×Q < 0 この長さは, AC-P=-(P-AC) 数量 価格

(28)

生産と利潤

 市場価格<最小平均費用ならば,利潤を生むような生産 水準は存在しない.  どんな水準の生産量を達成しても,損失を被る. » 価格が1,000のときには,限界費用が価格と等しくなるように生産 しても(生産量を3としても)1,400の損失を被る. » それ以外の生産量を選んでも損失が大きくなるだけ.

(29)

生産と利潤

 企業の利潤がゼロになるときの市場価格は,企業が価格 受容者のときの損益分岐価格と呼ばれる. » 損益分岐価格=最小平均費用である. » 市場価格>損益分岐価格 → 企業が利潤を獲得. » 市場価格<損益分岐価格 → 企業が損失(マイナスの利潤) を被る. » この企業(トマト農家)の損益分岐価格は1,400となる.  では,市場価格が損益分岐価格よりも低ければ,企業は 生産をやめるのか?

(30)

生産と利潤

 市場価格が損益分岐価格よりも低く,企業が損失を被っ ても,短期的には生産を続けた方がいい場合がある.  総収入<総費用でも,総収入>可変費用であれば,企 業は生産を行う.  生産をしてもしなくても固定費用は負担しなければならな いので,固定費用は,短期的な状況においての,生産を するかしないかの決定には影響しない.

(31)

生産と利潤

 生産をやめれば可変費用はゼロになるため,可変費用は 生産をするかしないかの判断に影響する.  生産しようがやめようが,どちらにしろ固定費用はかかるの で,総収入が可変費用よりも大きいか小さいかで生産する かしないかを決める.

(32)

生産と利潤

 トマト農家の短期の平均費用と平均可変費用 トマトの数量 Q 可変費用 VC 総費用 TC 平均可変費用 AVC 平均費用 AC 1 1,600 3,000 1,600 3,000 2 2,200 3,600 1,100 1,800 3 3,000 4,400 1,000 1,467 4 4,200 5,600 1,050 1,400 5 5,800 7,200 1,160 1,440 6 7,800 9,200 1,300 1,533 7 10,200 11,600 1,457 1,657

(33)

 最小平均可変費用の点(AVC曲線の底の点A)では,平均 可変費用は1,000で,生産量は3である.  生産をするかしないかの短期的な決定について, ① 市場価格が最小平均可変費用よりも低いとき ② 市場価格が最小平均可変費用よりも高いか,または等しいとき の2つのケースについて考える.

生産と利潤

(34)

1,800 C MC 1,400 3,000 AC E 1,200 1,000 A AVC

生産と利潤

800 ① 数量 価格

(35)

生産と利潤

① 市場価格が最小平均可変費用よりも低いとき » P<AVC ⇒ TR<VC → 企業は可変費用を回収できない. » このとき,企業は生産をやめる.  生産をやめれば可変費用はゼロになるため,この場合,生産をやめた方が 損失は小さくなる. » 最小平均可変費用は,短期的に企業が生産をやめる価格水準 に等しくなっている. → この価格水準を操業停止価格と呼ぶ. P×Q AVC×Q

(36)

1,800 C MC 1,400 3,000 AC E 1,200 1,000 A AVC

生産と利潤

800 ② 数量 価格

(37)

生産と利潤

② 市場価格が最小平均可変費用よりも高いか,または等し いとき 市場価格>最小平均可変費用の場合 » P=MCとなる生産量では,P>AVCとなる. → 企業は可変費用を上回る総収入を得る. » 企業は短期的には生産を続けるべきである.  P=MCとなるような生産量を実現することで,利潤を最大化,もしくは損失を 最小化する.

(38)

» 市場価格が損益分岐価格よりも高ければ,P=MCとなる生産量 を選択することで利潤が最大化する. » 市場価格が操業停止価格と損益分岐価格の間にあるとき,P= MCとなる生産量を選択することで損失が最小化する.  価格が最小平均費用よりも低いため,損失となる.  しかし,価格が最小平均可変費用よりも高いため,P=MCとなる生産量で は可変費用分と固定費用分の一部を回収できる. 生産を続ける場合の損失 → 固定費用の未回収分 生産をやめる場合の損失 → 固定費用の全額 生産を続けた方が損失が小さい.

生産と利潤

(39)

生産と利潤

市場価格=最小平均可変費用の場合 » P=MCとなる生産量では,P=AVCとなる. → 企業は可変費用に等しい総収入を得る. » 企業はP=MCとなる生産量だけ生産してもいいし,まったく生産し なくてもいい. → どちらを選択しても,損失=固定費用となる.

(40)

A

企業の短期供給曲線

1,800 C MC 1,400 3,000 AC E B 1,200 1,000 AVC 操業停止価格 企業の短期 供給曲線 数量 価格

(41)

生産と利潤

 市場価格に応じて利潤を最大にする(または,損失を最小 にする)生産量がどう決まるかを表したものが,企業の短 期供給曲線になる.  短期供給曲線には2つの部分がある. ① 点Aからはじまる右上がりの部分  操業停止価格よりも市場価格が高いときの短期の利潤最大化生産量を示 す.つまり,P=MCで生産量が決まる部分.  操業停止価格よりも市場価格が高いときには,企業の短期供給曲線は限 界費用曲線と一致する. ② 縦軸上にある垂直部分  操業停止価格よりも市場価格が低いときには,生産をやめる.

(42)

生産と利潤

 長期的には企業は固定費用を選ぶことができる. » 工場や設備を売却処分して固定費用をなくすこともできる(その 場合には生産はまったくできなくなる). » 潜在的な企業が固定費用を負担して,生産を開始することもで きる.  ほとんどの完全競争産業では,企業数は短期的には一定 だが,長期的には企業の参入と退出を通じて変化する.  参入や退出が生じるのはどのような場合か?

(43)

生産と利潤

 もう一度,このトマト農家を例にして考える. トマトの数量 Q 可変費用 VC 総費用 TC 平均可変費用 AVC 平均費用 AC 1 1,600 3,000 1600 3000 2 2,200 3,600 1100 1800 3 3,000 4,400 1000 1467 4 4,200 5,600 1050 1400 5 5,800 7,200 1160 1440 6 7,800 9,200 1300 1533 7 10,200 11,600 1457 1657

(44)

生産と利潤

 この企業(トマト農家)の損益分岐価格は1,400円.  トマトの市場価格が継続的に1,400円を下回る場合. » 生産を行うことで,この企業は,将来にわたって,継続的に損失 を被ることになる. » 長期的には,固定費用をゼロにして産業から退出することで損失 をゼロにすることができるから,この企業は産業から退出した方が いい. » 市場価格が継続的に損益分岐価格より小さければ,長期的には 企業は産業から退出していく.

(45)

生産と利潤

 トマトの市場価格が継続的に1,400円を上回る場合. » この企業は利潤を得られるため,産業にとどまって生産を続ける. » ただし,完全競争産業であるトマト産業は自由参入の性質をもち, たくさんの潜在的な企業が存在する. » これらの潜在的企業は既存企業と類似の生産技術を利用できる ため,既存企業と同じような費用曲線をもつ. » 既存企業に利潤をもたらすほど価格が高ければ,潜在的企業も 利潤を得られるので,この産業に参入してくる. » 市場価格が損益分岐価格よりも高ければ,長期的には参入が起 こる.

(46)

まとめ

収益性条件(長期の参入・退出条件) 最小AC=損益分岐価格 P>最小AC 企業は利潤を得る.長期的に参入が生じる. P=最小AC 企業の利潤はゼロ.長期的には参入も退出も生じない. P<最小AC 企業は損失を被る.長期的に退出が生じる. 短期の生産条件 最小AVC=操業停止価格 P>最小AVC P=MC の生産量で生産する. P=最小AVC P=MC の生産量で生産するか,生産量ゼロかどちらでもよい. P<最小AVC 生産をしない.

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