下水道長寿命化支援制度に関する手引き(案)
平成21年度版
平成21年6月
改訂の背景・ポイント
○下水道長寿命化支援制度の運用に際して、問いあわせの多かった事項
を中心に解説等を追加して、平成21年度版としてとりまとめ。
○長寿命化計画の策定に必要な具体的な検討事項について、フロー、検
討事例等を追加することで、より分かりやすいものへ改訂。
第1章
総 論
第2章
管路施設
第3章
処理場・
ポンプ場
参考資料
○劣化予測や異常の早期発見、ストックマネジメントへ
の展開には、管理データの蓄積が重要であることを詳述。
○長寿命化対策の前提である予防保全的な管理の重要
性について、「適正な維持管理」の節を設けて記述。
○長寿命化計画策定に向けた一連の検討の流れを分か
り易くするため、処理場設備に関する検討フローを追加。
○保全区分、部品供給状況、経過年数、劣化状況等に基
づく、長寿命化対策を検討すべき対象設備の選定方法を
詳述。
○長寿命化対策の決定に際しては、経済性のみならず、
省エネ、効率化等の機能性を勘案すべきことを記述。
○対策の検討及びコスト改善額の算定方法を分かり易く
するために、検討事例を2例追加。
○長寿命化計画策定に向けた一連の検討の流れを分か
り易くするため、管渠に関する検討フローを追加。
○更新(布設替え)と長寿命化(更生工法)の選定フロー、
修繕も含めた対策選定方法を詳述。
○長寿命化対策によるコスト改善額の算定例を追加。
○主な設備に関する主要部品の判定項目・判定基準の
事例を追加。
○健全度評価、コスト改善額の算定等、一連の検討の流
れに沿った具体的な検討例を提示。
下水道長寿命化支援制度に関する手引き(案)
平成21年度版
《主な改訂内容》
下水道長寿命化支援制度に関する手引き(案)
目次
第1章 総 論 --- 1
1.1.1 目的--- 1 1.1.2 用語の定義--- 2 1.1.3 点検調査、対策実施に関するデータの蓄積 --- 5 1.1.4 適正な維持管理 --- 5第2章 管路施設 --- 6
第1節 基本的考え方 --- 6 2.1 基本的考え方および検討フロー --- 6 第2節 調査--- 8 2.2.1 対象施設の選定 --- 8 2.2.2 調査と調査判定項目 --- 9 第3節 診断--- 11 2.3 診断--- 11 第4節 対策の検討--- 17 2.4.1 対策範囲の検討 --- 17 2.4.2 更新・長寿命化対策の検討(布設替え・更生工法の検討) --- 19第3章 処理場・ポンプ場 --- 26
第1節 基本的な考え方 --- 26 3.1 基本的な考え方及び検討フロー --- 26 第2節 調査--- 28 3.2.1 対象設備の選定 ---28 3.2.2 長寿命化対策検討対象設備の選定 --- 29 3.2.3 調査と調査判定項目 --- 31 第3節 診断(健全度評価) --- 33 3.3 診断(健全度評価) --- 33 第4節 対策の検討--- 36 3.4 対策の検討 --- 36 参考資料-1 主な設備に関する主要な部品の判定項目の例第1章 総論 1.1.1 目的 事故の未然防止及びライフサイクルコストの最小化を図るため、平成20年度に「下水道長寿命 化支援制度」が新規事業として創設された。当該事業は、下水道施設の健全度に関する点検・調 査結果に基づき「長寿命化対策」に係る計画を策定するとともに、当該計画に基づき長寿命化対 策を含めた計画的な改築を行うものである。本手引き(案)は、当該計画を策定するための、点 検・調査、診断、対策の検討について基本的な考え方をとりまとめたものである。 【解説】 下水道整備の進展に伴い、管路延長は約 40 万㎞、処理場数は約 2,000 箇所にのぼるなど施設ス トックが増大している。これに伴い、管路施設の老朽化等に起因した道路陥没も増加傾向にあり、 平成 19 年度の発生件数は約 4,700 箇所にのぼっている。道路陥没後の老朽管路の改築といった事 後的な対応では、市民生活に大きな支障が出るだけでなくコスト的にも不経済となる。 このため、日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼす事故発生や機能停止を未然に防止するた め、限られた財源の中で、ライフサイクルコスト最小化の観点を踏まえ、耐震化等の機能向上も 考慮した、「長寿命化対策」を含めた計画的な改築を推進するための事業制度として、平成 20 年 度に「下水道長寿命化支援制度」が創設された。当該事業は、下水道施設の健全度に関する点検・ 調査結果に基づき「長寿命化対策」に係る計画を策定し、計画に基づき長寿命化対策を含めた計 画的な改築を行うものである。 本手引き(案)は、当該計画を策定するための、点検・調査、診断、対策の検討について基本 的な考え方をとりまとめたものである。ただし、記載されている診断手法等については、事例と して示しているものであり、各地方公共団体において、地域状況あるいは過去の知見等に基づき、 本手法以外のものを採用することも可能である。
1.1.2 用語の定義 本手引き(案)で使用する用語の定義は、以下の通りである。 (1)設置:施設を新たに建設(増築や機能の拡充を伴う再建設を含む)すること。 (2)改築:排水区域の拡張等に起因しない「対象施設」の全部又は一部の再建設あるいは取 り替えを行うこと。 ①更新:改築のうち、「対象施設」の全部の再建設あるいは取り替えを行うこと。 ②長寿命化対策:改築のうち、「対象施設」の一部の再建設あるいは取り替えを行うこと。 (3)修繕:「対象施設」の一部の再建設あるいは取り替えを行うこと(ただし、長寿命化対策 に該当するものを除く)。 (4)対象施設:一体として取り替える場合、他の施設や設備に影響を及ぼさない一個又は一 連の設備の集合で小分類(「下水道施設の改築について」(平成 15 年 6 月 19 日付け国都 下事第 77 号国土交通省都市・地域整備局下水道部下水道事業課長通知(以下「改築通知」 という)に定める小分類)以上の単位をいう。 (5)ライフサイクルコスト:新設、維持管理、改築、処分を含めた生涯費用の総計。 ※上記の「改築・修繕」の定義については、「下水道施設改築・修繕マニュアル(案)」(平成 10年5月(社)日本下水道協会)に掲載されている定義とは異なる。 【解説】 設置とは、施設を新たに建設することであり、機能の拡充を伴う再建設とは、排水区域 の拡張、対象降雨の確率年の向上、流出係数の見直し、合流式下水道の越流水対策等により計 画流量等の増加を伴うもの及び高度処理化等をいう。 長寿命化対策とは、更生工法あるいは部分(「改築通知」に定める小分類未満の規模)取り替 え等により既存ストックを活用し、耐用年数の延伸に寄与する行為である。具体的には、以下の 条件を満たすものとする。 ・「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令」(昭和 30 年政令第 255 号。以下 「適化法」という。)第 14 条の規定に基づき国土交通大臣が定める処分制限期間を経過した 施設に対し、対策実施時点から数えて処分制限期間以上の使用年数を期待できるとともに、 原則として当初の設置時点から数えて改築通知に定める標準耐用年数以上の使用年数を期待 できる対策をいう。(図 1.1 参照) ・長寿命化対策を実施した場合において、長寿命化対策を実施しない場合よりもライフサイク ルコストが安価になる対策をいう。
例 処分制限期間7年,標準耐用年数15年の施設の場合
○長寿命化対策の対象 ○長寿命化対策の対象外 0年 設置または更新 標準耐用年数 15年 処分制限期間7年以上 処分制限期間7年以上 0年 処分制限期間 7年 標準耐用年数 15年 標準耐用年数15年未満で, 再度,改築が必要となる 処分制限期間7年未満凡 例
一部の再建設 あるいは取り替え 処分制限期間 7年 当初設置の 使用期間 対策後の 使用期間 図 1.1 長寿命化対策のイメージ ライフサイクルコストの比較は、年平均費用を活用する。算出方法は以下のとおりとする。 1)アクション前の評価期間及びアクション後の評価期間を設定する。 ・ 更新から更新までの長さを1サイクル(①)とし、評価期間はその長さを評価開始時点 からずらして(②)評価を行う。評価開始時点は評価時点、評価終了時点は評価時点か ら 1 サイクルの時点とする。 ・ 適切な修繕の実施などにより永久的に供用が可能な施設については、評価期間 100 年 を限度として、評価終了時点を設定する。 ( アクション 後 ) 維持管理 更新 評価開始時点 ( 評価時点 ) 評価終了時点 長寿命化 ( アクション 前 ) 設置または 更新 評価開始時点 ( 評価時点 ) 更新 更新 評価終了時点 維持管理 ②評価期間 設置または 更新 長寿命化 長寿命化 ①1サイクル ②評価期間 ①1サイクル 図 1.2 評価期間の設定イメージ2)評価期間内に発生するライフサイクルコストを計算し、アクション前後の年平均費用を算 出する。 ・ ライフサイクルコストは、評価期間内に発生する更新、維持管理および長寿命化対策 にかかる費用を対象として、名目値(当該年度に実際に取引されている価格で表した もの)で積み上げるものとする。 ・ 年平均費用は、ライフサイクルコストを各々の評価期間で割ることにより算出する。 3)アクション後の年平均費用からアクション前の年平均費用を差し引くことで、毎年度の改 善額を算定する。 4)ライフサイクルコスト改善額の算定において、社会的割引率を考慮する。 ・ 毎年度の改善額を評価時点に社会的割引率を用いて割り戻した上で累計し、ライフサ イクルコストの改善額を算定する。 ・ 算定期間は、評価時点からアクション後の評価終了時点までの期間とする。 ・ 社会的割引率は 4%とする。 維持 管理 長寿 命化 維持 管理 更 新 評 価 期 間 A 評 価 期 間 B 年平均 費用A LCC LCC 年平均 費用B 毎年度の 改善額 アクション実施から 1 サイクルの 期間 ー = 年平均 費用A 年平均 費用B LCC 改善額 現在価値化 社会的割引率(4%)を用 いて 評価時点に 割戻し ( 名目値) ( 現在価値) 更 新 ( アクション 前 ) 設置または 更新 評価開始時点 更新 更新 維持管理 評価期間A ( アクション 後 ) 維持管理 更新 評価開始時点 評価終了時点 長寿命化 設置または 更新 長寿命化 長寿命化 評価期間B 図 1.3 ライフサイクルコスト改善額の算定イメージ
1.1.3 点検・調査、対策実施に関するデータの蓄積 点検・調査結果、対策実施に関するデータは、今後の管理にあたって、有益な情報であり、 データベース化していくことが重要である。 【解説】 施設の健全度を示す点検・調査結果及び実施された対策内容に関するデータを蓄積し、これを データベース化する。 データベース化にあたっては、まず、新設や改築の完成図書等の工事情報と、既存の台帳や管 理システム等から施設の仕様や能力といった施設情報を収集し、これを基本情報として整理する。 次に、点検や清掃・修繕等の日常的な維持管理に関するデータについて整理する。これらの対応 により蓄積されたデータを活用することにより、情報の一元管理や健全度予測が可能となり、今 後、より計画的な改築計画の立案やストックマネジメントへの発展が期待できる。 1.1.4 適正な維持管理 下水道施設を予防保全的な管理により適正に維持管理することは、排水・処理機能の停止 や道路陥没等の事故の未然防止を図るとともに、既存施設を活用し、その耐用年数の延伸に 寄与するために重要である。 【解説】 下水道施設を予防保全的な視点により適正に維持管理することは、排水・処理機能の停止や道 路陥没等の事故を未然に防止するとともに、既存ストックを活用し、その耐用年数を延伸するた めに重要である。 適正な維持管理は、日常的な点検や定期的な点検・調査により施設の状態を把握することによ り、施設の劣化や異常等を早期に発見し、適切な対応をとるために重要である。また、これらの 点検・調査データは施設管理の貴重なデータとして蓄積されることにより、施設の劣化予測等に 活用することができる。 このため下水道長寿命化支援制度では、計画に定めるべき事項として「計画的な維持管理」を 位置づけるとともに、適正な維持管理が行われてきたことを前提として国が支援を行うこととし ている。
第2章 管路施設 第1節 基本的考え方 2.1 基本的考え方および検討フロー 管路施設の検討にあたっては、詳細調査の結果を踏まえ、まずスパン単位の対策が必要であ るかどうかを判断し、その上で長寿命化対策の検討を行う。また、対策については、経済比較 以外の観点も含めて、総合的に勘案し決定する。 【解説】 管路施設の長寿命化計画の検討フローを図 2.1 に示す。 下水道総合地震対策事業に基づく下水道総合地震対策計画等、他の事業制度に基づく 計画に位置づけられた事業は、あらためて下水道長寿命化計画を作成する必要はない。 また、排水区域の拡張、対象降雨の確率年の向上、流出係数の見直しおよび合流式下水 道の越流水対策等により計画流量等の増加を伴う場合は、改築ではなく設置として扱わ れることから、下水道長寿命化支援制度の対象外である。 対象施設の選定では、原則として、下水道としての機能を確保するための一体的な範囲を対象 とする。その上で、処理区、排水区あるいは路線毎に詳細調査を行う対象施設を選定する。この 場合、布設後の経過年数や対象路線の重要度等を考慮して選定する。 調査では、施設情報・維持管理情報を整理したうえで詳細調査を行う。 診断では、スパン全体の異常の程度診断と緊急度の判定をスパン毎に行い、対策が必要なスパ ンを選定する。 対策範囲の検討では、対策が必要とされたスパンについて、スパン単位の対策かスパン未満の 対策かの判定を行う。長寿命化対策は、スパン(マンホール間)単位で耐用年数の延伸に寄与す るものである。一方、スパン未満の対策の例としては、部分補修(部分開削、部分更生)があ り、これは修繕として位置づけられる。 布設替え・更生工法の検討では、スパン単位の対策が必要とされた管きょについて、施工条件 および経済性等を総合的に勘案し、対策を決定する。ここで、布設替えは更新に、更生工法は長 寿命化対策に位置付けられる。
注.なお、マンホール、マンホール蓋については、別途検討するものとする。 ※1 下水道長寿命化支援制度の要件(使用年数と標準耐用年数との関係等)に合致していることを確認する必要がある。 図 2.1 下水道長寿命化計画の検討フロー(管路施設) 更新 (布設替え) 長寿命化対策 (更生工法) 更新・長寿命化対策の検討 (布設替えか更生工法か) 対策範囲の検討 (改築か修繕か)
調査と調査判定項目
・維持管理情報の収集・整理 ・管路詳細調査 ・調査判定項目対象施設の選定
(検討対象区域・路線等の選定)
修繕 スパン未満 スパン単位 診 断 対策が必要 情報システム (データベース) 維持 対策不要 (日常的な維持管理) (2.2.1節) (2.2.2節) (2.3節) (2.4.1節) (2.4.2節) 改築下水道長寿命化計画の策定
清掃・修繕等の実施 日常・定期点検の実施 (基本情報) 施設情報 工事情報4
※1第2節 調査 2.2.1 対象施設の選定 調査に先立ち、施設の経過年数、布設状況及び重要度等を勘案して、「対象施設の選定」を行う。 【解説】 対象施設の選定は、布設後の経過年数、硫化水素の発生状況、過去の維持管理状況、あるいは、 流下能力、下水を排除する施設の重要度、管路が布設されている道路の重要度等を勘案して行う (表 2.1 参照)。 これらを勘案して、処理区、排水区単位、あるいは路線ごとに、詳細調査を実施する対象施設 を選定する。 表 2.1 対象施設の選定での評価項目(参考) 項 目 内 容 管路の布設・供用開始年度 基本的機能の低下等 管路の構造 管種・管路の継手構造等 管路の埋設環境 地盤条件、重車両の交通量の増加、土被りの変化等 管路の重要度 流下能力の規模、下水を排除する施設、布設されてい る道路の重要度等 腐食環境 圧送管の吐き出し部、ビルピット、伏越し、段差・落 差等 異常・苦情等の発生件数 機能の低下等 清掃対応件数等 機能の低下等 点検・調査等の維持管理の履歴 過去の点検・調査で確認された異常、修繕等の維持管 理の履歴
2.2.2 調査と調査判定項目 調査は、「対象施設の選定」を行った上で「詳細調査」を実施することを基本とする。 調査判定項目については、管きょ内における異常箇所の程度をランク付けにより行い、診断や 対策の検討などに使用する。 調査判定項目は、次の10項目とする。 (1)管の腐食 (2)上下方向のたるみ (3)管の破損 (4)管のクラック (5)管の継手ズレ (6)浸入水 (7)取付け管の突出し (8)油脂の付着 (9)樹木根侵入 (10)モルタル付着 【解説】 管路施設は、定期的な点検を行うとともに、適宜、詳細調査を行い、計画的な維持管理を実施 する必要がある。 本手引き(案)では、長寿命化計画を策定するための調査として、潜行目視調査、又はTVカメ ラ調査及び測量調査を実施することを想定している。本詳細調査の結果をもとに、施設の損傷状 況等を診断し、現場条件、経済性等も勘案した上で、必要に応じて、対策を決定するものとする。 なお、詳細調査は、対象施設とした処理区や排水区において、必ずしも面的に全ての管きょに対 して行う必要はなく、管路の重要度や点検結果等をもとに路線を選定して行っても良い。 潜行目視またはTVカメラにより、管きょの内面から、管きょの破損、クラック、腐食、継手 ズレ等の劣化度や上下方向のたるみ、取付け管の突出し、油脂の付着、樹木根侵入等の流下能力 ならびに地下水の浸入、土砂の堆積状態等の管きょの状態を確認するものである。 さらに、必要に応じて測量調査を行い、マンホールで管底高等の計測を行い、勾配不足、逆勾 配やマンホールでの逆段差等、潜行目視調査やTVカメラ調査では分かりにくい異常を把握し、 対策の検討等における資料とする。 調査の項目は、診断を行うために、劣化度、流下能力および浸入水に係わるものとし、主な調 査項目とポイントを表 2.2 に示す。 そのため、調査判定項目では、スパン全体で評価する管の腐食および上下方向のたるみ、管 1 本ごとに評価する管の破損、管のクラック、管の継手ズレ、浸入水、取付け管の突出し、油脂の
付着、樹木根侵入およびモルタル付着とする。 表 2.2 主な調査判定項目とポイント 調査項目 調査ポイント 劣化度 管の腐食 骨材・鉄筋の露出状況、管壁の状況 ス パ ン 全 体 で 評 価 流下能力 上下方向のたるみ たるみの程度(管径比)、流下状況 管の破損 管の変形・断面のずれ 管のクラック クラックの状況 劣化度 管の継手ズレ 接合部のすき間、ずれの状況 浸 入 水 噴き出し、にじみの状況 取付け管の突出し 突出しの程度(管径比)、流下阻害状況 油脂の付着 付着の程度(管径比)、流下阻害状況 樹木根侵入 侵入の程度(管径比)、流下阻害状況 管 一 本 ご と に 評 価 流下能力 モルタル付着 付着の程度(管径比)、流下阻害状況
第3節 診 断 2.3 診断 診断は、管きょの異常の程度、対策の要否および緊急度を明らかにするもので、潜行目視調査 またはTVカメラ調査に対して、以下の手順で実施する。 (1)スパン全体の異常の程度診断 (2)緊急度の判定 【解説】 診断については、各自治体で診断基準等を独自で定めている場合もあるが、本手引き(案)で は、参考として以下の事例を示す。 診断では、潜行目視調査またはTVカメラ調査から得られた管きょの状況について、「表 2.2 主 な調査判定項目とポイント」に基づきランク付けを行い、調査記録表等を使用して異常の程度診 断および緊急度の判定を行うこととする。 調査判定基準については、「下水道管路施設テレビカメラ調査マニュアル(案)」(平成 12 年 12 月版、(社)日本下水道協会発行)の判定基準を勘案し、標準的な調査判定基準(案)を示すことと する(表 2.3 参照)。なお、対象とする既設管きょは、鉄筋コンクリート管等(遠心力鉄筋コンク リート管含む)及び陶管とする。 (1)について 異常の程度診断は、「表 2.3 調査判定基準(案)」に基づき、診断ポイントを適正に評価し、 スパン全体で 3 段階程度にランク付けを行う。 なお、評価では、診断項目により①スパン全体、または②管 1 本ごとに行う。項目ごとの分類 は、次のとおりである。 ①スパン全体で評価する:腐食、上下方向のたるみ ②管 1 本ごとに評価する:破損、クラック、継手ズレ、浸入水、取付け管の突出し 油脂の付着、樹木根侵入、モルタル付着 以下に、診断手順の例を示す。 1)スパン全体で評価する場合 異常の程度の診断では、1 スパン全体に対して診断ポイントを評価する。 評価のランク付けと判定基準例を表 2.4 に示す。
表 2.3 調査判定基準(案) ランク 項 目 A B C 1)管 の 腐 食 鉄筋露出状態 骨材露出状態 表面が荒れた状態 管きょ内径 (700 ㎜未満) 内径以上 内径の 1/2 以上 内径の 1/2 未満 管きょ内径 (700 ㎜以上 1、650 ㎜未満) 内径の 1/2 以上 内径の 1/4 以上 内径の 1/4 未満 ス パ ン 全 体 で 評 価 2)上下方向の たるみ 管きょ内径 (1、650 ㎜以上 3、000 ㎜以下) 内径の 1/4 以上 内径の 1/8 以上 内径の 1/8 未満 ランク 項 目 a b c 欠 落 鉄 筋 コンクリート管等 軸方向のクラックで 幅 5 ㎜以上 軸方向のクラックで 幅 2 ㎜以上 軸方向のクラックで 幅 2 ㎜未満 欠 落 3)管の破損 陶 管 軸方向のクラックが 管長の 1/2 以上 軸方向のクラックが 管長の 1/2 未満 ―― 鉄 筋 コンクリート管等 円周方向のクラックで 幅 5 ㎜以上 円周方向のクラックで 幅 2 ㎜以上 円周方向のクラックで 幅 2 ㎜未満 4)管の クラック 陶 管 円周方向のクラックで その長さが円周の 2/3 以上 円周方向のクラックで その長さが円周の 2/3 未満 ―― 5)管 の 継 手 ズ レ 脱 却 鉄筋コンクリート管等:70 ㎜以上 陶 管:50 ㎜以上 鉄筋コンクリート管等:70 ㎜未満 陶 管:50 ㎜未満 6)浸 入 水 噴き出ている 流れている にじんでいる 7)取付け管の突出し 注 2 本管内径の 1/2 以上 本管内径の 1/10 以上 本管内径の 1/10 未満 8)油 脂 の 付 着 注 2 内径の 1/2 以上閉塞 内径の 1/2 未満閉塞 ―― 9)樹 木 根 侵 入 注 2 内径の 1/2 以上閉塞 内径の 1/2 未満閉塞 ―― 管 一 本 ご と に 評 価 10)モ ル タ ル 付 着 注 2 内径の 3 割以上 内径の 1 割以上 内径の 1 割未満 注 1 段差は、㎜単位で測定する。また、その他の異常(木片、他の埋設物等で上記にないもの)も調査する。 注 2 7)取付け管の突出し、8)油脂の付着、9)樹木根侵入、10)モルタル付着については、基本的に清掃等で除去でき る項目とし、除去できない場合の調査判定基準とする。
表 2.4 評価のランク付けと判定基準例 ランク(スパン全体で評価) 診 断 項 目 重度 中度 軽度 判 定 の 基 準 管 の 腐 食 上下方向のたるみ A B C A:機能低下、異常が著しい B:機能低下、異常が少ない C:機能低下、異常が殆どない
2)管 1 本ごとに評価する場合 ①異常の程度の診断は、まず管 1 本ごとに対して診断ポイントを評価してランク付けを行 い、次にそれを基にスパン全体の判定を行う。 管 1 本ごとの評価ランク付けと判定基準例を表 2.5 に示す。 表 2.5 管1本ごとの評価のランク付けと判定基準例 ランク(管1本ごとに評価) 診 断 項 目 重度 中度 軽度 判 定 の 基 準 管 の 破 損 管 の ク ラ ッ ク 管 の 継 手 ズ レ 浸 入 水 取 付 け 管 の 突 出 し 油 脂 の 付 着 樹 木 根 侵 入 モ ル タ ル 付 着 a b c a:劣化、異常が進んでいる b:中程度の劣化、異常がある c:劣化、異常の程度は低い ②スパン全体の判定では、管 1 本ごとの評価に基づき、1 スパン全体に対する不良管の割 合(不良発生率)により定める。 スパン全体のランク付けと判定基準例を表 2.6 に示す。また、管1本ごとの不良発生率 に基づくスパン全体でのランク評価の基準値の参考例を表 2.7 に示す。 表 2.6 スパン全体のランク付けと判定基準例 ランク(スパン全体で評価) 診 断 項 目 重度 中度 軽度 判 定 の 基 準 管 の 破 損 管 の ク ラ ッ ク 管 の 継 手 ズ レ 浸 入 水 取 付 け 管 の 突 出 し 油 脂 の 付 着 樹 木 根 侵 入 モ ル タ ル 付 着 A B C A:不良発生率が高い B:不良発生率が中位 C:不良発生率が低い ここで、不良発生率は、次の式で求める。
なお、a、b、cの各ランクには、重みを付けて算出すると良い。 例)スパン延長 50m、管本数 25 本、不良本数 5 本の場合 不良発生率=(5/25)×100=20% 表 2.7 不良発生率に基づくスパン全体での判定基準値(参考例) 不良発生率のランク スパン全体のランク a b c 20%以上 40%以上 A もしくは ― 20%未満 40%未満 60%以上 B もしくは もしくは C 0% 0% 60%未満 備考)①管1本ごとの不良ランク別に不良発生率を評価した結果に基づきスパン全体のランクを判定し 最上位の評価ランクを当該スパンの評価とする。 ②スパン全体の「管の破損」、「管の継手ズレ」のランクaが1箇所でもある場合、道路陥没等の 社会的影響が想定されることから、上表の判定基準とは別にランクAとする。 ③同一箇所で複数の不良が発生している場合には、最上位の評価ランクのみをカウントする(例: 「管のクラックa」と「浸入水b」が発生している場合には、最上位の評価ランク「管のクラ ックa」のみをカウントする)。 (2)について 緊急度の判定は、対策の実施が必要とされたものについて、その実施時期を定めるもので、(1) のスパン全体での診断結果(表 2.4、表 2.6)全てを対象に判定する。 緊急度の判定基準例を表 2.8 に、判定基準値の参考例を表 2.9 に示す。管路診断は、これらの 評価を路線内の各スパンについて行う。 表 2.8 緊急度の判定基準例 緊急度の区分 項 目 重度 中度 軽度 判 定 の 基 準 緊 急 度 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ:診断結果のAが多い Ⅱ:診断結果のAは少ないが、Bが多い Ⅲ:診断結果のAはなく、Bが少なく、Cが多い なお、緊急度の区分は次のとおりである。 ①緊急度Ⅰとは、速やかに措置の必要な場合。 ②緊急度Ⅱとは、簡易な対応により必要な措置を5年未満まで延長できる場合。 ③緊急度Ⅲとは、簡易な対応により必要な措置を5年以上に延長できる場合。
表 2.9 緊急度の判定基準(参考例) 緊急度の区分 判 定 基 準(値) 緊急度Ⅰ 表 2.4、表 2.6 の3つの診断項目(管の腐食、上下方向のたるみ、不良発 生率に基づくランク)におけるスパン全体でのランクで、ランクAが2項 目以上ある場合 緊急度Ⅱ 表 2.4、表 2.6 の3つの診断項目におけるスパン全体でのランクで、ラン クAが1項目もしくはランクBが2項目以上ある場合 緊急度Ⅲ 表 2.4、表 2.6 の3つの診断項目におけるスパン全体でのランクで、ラン クAがなく、ランクBが1項目もしくはランクCのみの場合
第4節 対策の検討 2.4.1 対策範囲の検討 診断結果及び管路施設に求められる機能を勘案して、対策の範囲・規模を検討する。 【解説】 診断による劣化等の状況を踏まえて、対策が必要とされたスパンについて、スパン単位の対策 かスパン未満の対策かの判定を行う。 なお、スパン単位の対策は、スパン単位の再建設あるいは取り替えであり、未満の対策は、劣 化度等の箇所のみを部分的に補強・止水などを施すものである。 潜行目視調査あるいはTVカメラ調査による対象となる管きょの診断項目は、管の腐食、上下 方向のたるみ、管の破損、管のクラック、管の継手ズレおよび浸入水とする。この他の診断項目 である取付け管の突出し、油脂の付着、樹木根侵入、モルタル付着に関しては、状態の程度によ り対策が異なるが、劣化箇所ごとに対策がとれるため原則として修繕等の維持管理で対処する。 測量調査等による対象となる管きょの診断項目は、逆勾配とマンホール部での逆段差等とする。 対策範囲の選定にあたっては、以下に述べる診断項目の考え方をもとに、必要に応じて経済性 の比較を行い、慎重に判断する。 1)管の腐食 管の腐食は、鉄筋と主材の健全性が損なわれた状態(たとえば鉄筋が全面的に腐食してい る場合等)で管きょの耐荷能力が不足し、管体が変形または破損し、その箇所から地下水や 土砂の流入を招きかねない。このような場合、スパン単位の対策が適当である。 2)上下方向のたるみ 上下方向のたるみは、不等沈下等の原因により管きょに不陸が生じている状態であり、た るみが1スパンに及ぶ場合にはスパン単位の対策の実施が適当である。 3)管の破損 管の破損は、欠落箇所からの地下水や土砂の流入要因となり、放置することで地山に空隙 ができ、この空隙部へ新たに地下水や土砂が流れ込む。この連鎖反応により地山を乱すこと となる。地山を乱した結果、他の施設に悪影響を与えるおそれが生じ、また道路陥没のよう な社会的に影響が大きく人命にかかわる事故を招きかねない。このような場合には、一般的 には、部分補修(部分更生あるいは部分開削)で対応することとなるが、箇所数が多い場合 には、経済比較等によりスパン単位の対策の実施が適当である。
4)管のクラック 管のクラックは、クラック幅と長さが大きくなれば管きょの耐荷能力が不足し、管体が変 形または破損し、その箇所から地下水や土砂の流入を招き、破損と同様な事故を招きかねな い。このような場合についても破損と同様の手法で対策を実施する。 5)管の継手ズレ 管の継手ズレは、継手が脱却しているなどの場合にズレた箇所から地下水や土砂の流入を 招き、破損と同様な事故を招きかねない。このような場合については、部分開削で対応する こととなる。また、箇所数が多い場合には、経済比較等によりスパン単位の対策の実施が適 当である。 6)浸入水 浸入水は、欠落箇所から土砂の流入を招き、地山を乱すこととなる。その結果他の施設に 悪影響を与えるおそれが生じ、また道路陥没のような社会的に影響が大きく人命にかかわる 事故を招きかねない。近年に敷設された管きょ本体継手部からの浸入水に対しては、本体の 劣化度がそれほど進んでいないと考えられるので、現況の浸入水箇所への止水が有効である。 しかし、経年による劣化が進んでいる管きょの場合、現在浸入している箇所を止水すれば、 地下水の流れが止められ水位が上昇し、水圧が増して他の箇所から浸入してくることが多く 見られる。このことから、現在の浸入水箇所における対応のみでなく、スパン全体を反映さ せた止水対策を施さなければならないこともある。 7)逆勾配 逆勾配は、管きょの流下能力が無い状態であり、流下物の堆積や場合によっては下水の溢 水等の原因となる。スパン単位の対応の実施となる。 8)マンホール部での逆段差 マンホール部での逆段差は、下流側の管きょが上流側の管きょより高く、ズレ(段差)が 生じている状態である。下水の流下阻害となりマンホール部で流下物の堆積の原因となる。 上下流路線の対策との整合性を図り、部分開削かスパン単位による対策を行う。 なお、上下方向のたるみ、逆勾配およびマンホール部での逆段差が生じている場合は、当該ス パンの前後数スパンを含めた動水勾配等を考慮し、管きょの流下能力が計画流量を上回るかどう か確認する。 具体的なスパン単位の対策とスパン未満の対策の検討方法として、「下水管きょ改築等の工法選 定手引き(案)」(平成 14 年 5 月(社)日本下水道協会)等を参考にすることができる。
2.4.2 更新・長寿命化対策の検討(布設替え・更生工法の検討) 既設管きょの状況、現場条件、維持管理への影響等を十分勘案し、安全かつ経済性に優れた工 法を決定する。スパン単位の対策の事例として、布設替え工法及び更生工法の採用における留意 事項は、次のとおりである。 (1)既設管きょの状況 「表2.4 調査判定基準(案)」に基づき、老朽化、劣化が著しく、更生工法での施工が不可 能な上下方向のたるみ、管の破損および管の継手ズレが判定された劣化状況や目視調査や測量 により逆勾配やマンホール部での逆段差の劣化状況が確認された場合には、原則として布設替 え工法を採用する。ただし、他の劣化がある場合で、上下方向のたるみや管の破損の劣化状況 を部分的に布設替えするなどの措置を講じた上で更生工法を検討できる場合には、その限りで ない。 (2)仮排水の施工性 施工時間帯の下水流量が多く、通水中の施工が不可能な場合には、原則布設替え工法を採用 する。ただし、布設替え工法においても更生工法と同様に仮排水等の水替えが必要となること から、流量や遮断可能時間等を十分考慮した仮排水計画を立案し、布設替え工法と更生工法と の施工比較を行うこととする。 (3)流下能力の確保 更生工法を採用する場合には、断面縮小となることから更生管きょの流下能力が計画流量を 上回ることを確認した上で、更生工法を採用する。 (4)現場条件 掘削に伴う他企業埋設物の移設や切り廻し、道路渋滞による社会的影響および掘削規制の有 無等を事前に把握し、非開削による施工が明らかに最適な場合には、原則、更生工法を採用す る。 (5)原因分析 工法を検討する際には、既設管きょが著しく劣化・損傷した原因を明らかにし、新たな管き ょが施工後に同様の劣化・損傷が起こらないようにするため原因分析を行う。 (6)経済比較 布設替え工法あるいは更生工法での経済性の比較では、現場条件に適合した(1)、(2)、(4) の項目を考慮する他、各工法の施工上の特徴を考慮し比較検討を行うこととする。 【解説】 対策や工法の選定においては、既設管きょの状況、他企業埋設物や交通状況等の施工条件およ び経済性等を総合的に勘案し、対策を決定する。 なお、それら管きょ内の劣化・損傷状況や流下量および現場の条件等によって工法の選定の可 否が異なることから、以下に述べる留意事項を考慮して、施設ごとの状況を的確に判断し工法
を採用することが重要である。この際、既設管きょの状況等から明らかに工法が限定される場合 は、経済性の比較を行う必要はない。 (1)について 更生工法は、老朽化・劣化した下水管きょ内の限られたスペース内に耐荷力および耐久性が確 保された管を構築するものであり、施工可能な劣化状況範囲が限定される。これは、施設として の条件(更生延長、管種、管径等)とは別に、建設時の形態が変化することでの施工限界であり、 主に以下の項目が考えられる。 1)既設管の耐荷力 管の腐食や管の破損等で既設管の鉄筋および主材が全面あるいは軸方向に連続して欠損し ている状態では、既設管に全く耐荷力がないと考えることから、複合管ではなく、自立管を 採用することができる。ただし、人が管きょの中に入って鉄筋や主材を補強し、既設管きょ の耐荷能力を確認できる場合には、複合管についても検討する。 また、既設管の耐荷力が期待できる場合には、自立管だけでなく複合管も適用できるこ ととする。 2)管の上下方向のたるみ 一般的に、内径の 1/2 以上の上下方向たるみが発生している路線については、布設替え工 法の対象とする。ただし、布設替えに伴う交通障害の発生等、布設替えが困難と判断される 場合は、この限りではない。 3)管の破損 欠損により調査判定基準(案)でランクaとなる場合においては、自立管では、断面形状 が破損に沿った、いびつな形で硬化することがある。また、管きょの断面形状を保持してい ない破損では、更生工法で施工した場合、更生後に所定の断面形状ならびに計画断面と同等 以上の流下能力を保持することができないことから、布設替え工法の対象とする。 4)管のクラック クラックの状況に左右されないため、更生工法を対象とすることができる。 5)管の継手ズレ 継手部が脱却している場合には、管きょの構造や機能を成さず、また、道路陥没や 不同沈下等を誘発させる要因となる。それらの状況下で更生工法を適用する場合、施 工的に可能であるが、更生後に所定の断面形状ならびに新管と同等以上の機能を保持 することが困難であり、布設替えの対象とする。 6)逆勾配 逆勾配路線に対しては、勾配調整が可能な更生工法によって既存施設の流下能力を確保で きるか確認することとし、その上で布設替え工法の必要性を検討する。 なお、平面・縦断面図等に記載する管勾配は、上流マンホールと下流マンホールの管底高 によって算出されたものとなり、管きょ内部での逆勾配を反映していない。そのため、詳細
調査結果から、管1本ごとの逆勾配について検証することが望まれる。 7)マンホール部での逆段差 マンホール部で上流管きょと下流管きょに上下方向のズレ(段差)が生じている逆段差箇 所については、上下流路線の対策との整合性を図り、段差を対処することが困難な場合、布 設替え工法の必要性を検討する。 (2)について 更生工法のうち、自立管では、拡径または硬化方法等のその特性から、下水の水替えや止水プ ラグにより既設管きょ内をドライな状態にして施工することが一般的である。これに対して、複 合管では、適用流量限界があるが通水施工が可能である。また、布設替え工法では、更生工法と 比較して施工日数を要することから、施工をしない時間の対応を含めて、適切な仮排水を選定し 施工比較を行うことが必要である。 (3)について 更生工法の水理性能の確認では、抽出された更生工法ごとに異なる更生管厚から求める仕上が り内径と粗度係数によって流下能力を算出し、計画流量を上回ることを確認する。 (4)について 更生工法は、布設替え工法での施工が困難な場合、または更生工法の利点を考慮し、布設替え 工法に比較して優れる場合に採用することができる。 更生工法では、基本的に道路を掘削せずに行うため、次のような利点がある。 ・ 工事に起因する騒音、振動、交通渋滞等が少なく、周辺住民の生活への影響が最小限にで き、工事の円滑化が図れる。 ・ 道路の掘削規制、他企業埋設物の制約を受けることが少なく、計画的な事業の進捗が図れ る。 ・ 工期の短縮ならびに道路復旧費の不要による事業費の削減が図れ、予算の効果的な運用が 可能になる。 ・ 工事に伴う事前調整が容易となる。 (5)について 工法を検討する際には、施設が著しく劣化・損傷した原因を明らかにする必要がある。この結 果は、工法の選定および維持管理に反映させることとする。 劣化・損傷の原因の主なものとして、地盤の不同沈下、老朽化や硫化水素に起因する腐食等に よる自然的原因と他工事の影響、事業場等の悪質下水による外的原因がある。 (6)について 工法の経済比較では、開削工法等となる布設替え工法と非開削工法となる更生工法の施工上の 特長を考慮し行う。 更生工法の経済性の検討では、その特性等から「表 2.3 調査判定基準(案)」に基づき、事 前の対処が必要な劣化項目が存在するため各工法で必要な事前処理を検討する。そのうち、浸入
水については、調査判定基準(案)のランクb以上で、自立管で硬化不足の原因となる場合があ り、複合管では、充填材の空洞化の原因となる場合があるため事前の止水工事が必要となる場合 がある。また、取付け管の突き出し、油脂の付着、樹木根侵入およびモルタル付着等の劣化が確 認された場合には、施工不良等を懸念し、事前に処理を行うことになるためこれらを考慮し経済 性の比較を行う。 また、取付け管の劣化状況や頻度等から取付け管の多くを布設替え工法で対処する場合に は、取付け管の工事費を含めた全体的な比較検討を更生工法と布設替え工法とで行うことが 必要となる。なお、整備費用の算定においては、現場条件、仮排水の施工性等を考慮して 概算費用を算定する必要がある。 図 2.2 布設替え・更生工法の検討プロセスの例 スタート 劣化等の状況から 明らかに更生工法が適用でき ないと判断される 更生後の流下能力を 確保できない NO NO 社会的影響等により 非開削での施工が適する YES 更生工法が総合的な 経済性に優れる YES 更生工法 布設替え YES YES NO NO [既設管の状況] [流下能力の確保] [現場条件] [経済性] スタート 劣化等の状況から 明らかに更生工法が適用でき ないと判断される 更生後の流下能力を 確保できない NO NO 社会的影響等により 非開削での施工が適する YES 更生工法が総合的な 経済性に優れる YES 更生工法 布設替え YES YES NO NO [既設管の状況] [流下能力の確保] [現場条件] [経済性]
(参考)更生工法 更生工法は更生後の管構造の違いなどから、自立管、複合管および鞘管などに分類される。マ ンホール間の1スパン全体を対象とし、既設管きょを撤去することなく更生するものであり、自 立管、複合管および鞘管の特徴については、次のとおりである。 ①自立管 自立管は、更生材単独で自立できるだけの強度を発揮させ、新設管と同等以上の耐荷能力お よび耐久性を有するものである。施工方法上の分類として、工場または現場で樹脂等を配合し、 既設管きょ内部に硬化させる反転工法、形成工法等がある。 ②複合管 複合管は、既設管きょと更生材が構造的に一体となって、新設管と同等以上の耐荷能力およ び耐久性を有するものである。これには、製管材を既設管きょ内部で製管し、既設管きょとの 間隙にモルタル等の裏込め材を充填注入する製管工法がある。 ③鞘管 鞘管は、工場製品を更生材として使用するものであり、材料に日本工業規格(JIS)や(社) 日本下水道協会規格(JSWAS)等の基準が定められ、仕上がり後の信頼性が高い。施工方法上の 分類としては鞘管工法であり、既設管きょより小さな管径で製作された管きょ(新管)を牽引 挿入し、間隙に充填材を注入することで管を構築するものである。断面形状が維持されており、 物理的に管きょが挿入できる程度の破損であれば施工可能である。
(コスト改善額の算定例) ここに示す算定例は、布設替えと更生工法の期待される使用年数を標準耐用年数の 50 年として 比較するケースである。期待される使用年数の設定においては、各自治体において検討し、説明 根拠を明確にしておく必要がある。 ○対象管路:診断結果より、スパン単位の対策が必要と診断された管路 ○検討ケース:ケース1 布設替えにより更新 ケース2 更生工法により長寿命化対策を実施 ○費用比較条件 z 1スパン 30m(小口径管) z 期待される使用年数: ケース1 標準耐用年数の 50 年 ケース2 標準耐用年数の 50 年 z 布設替えと更生工法:整備単価 ケース1:当該自治体の実績より 12 万円/m:360 万円 ケース2:当該自治体の実績より 10 万円/m:300 万円 (現場条件、仮排水の施工性等を考慮して概算費用を算定する) z 維持管理費:当該自治体の実績より 300 円/m/年:9,000 円/年 表 2.10 費用の比較例 項 目 評価期間 累積費用 年平均費用 評価 ケース1 50 405 8.1 - ケース2 100 750 7.5 ○ 注.更新から更新までの長さを1サイクルとし、評価期間はその長さを評価開始時点からずらして評価する。 更生工法により長寿命化対策を実施する場合、評価期間は 50 年+50 年=100 年となる 図 2.3 費用の比較イメージ
○ライフサイクルコスト改善額の算定 z 毎年度の改善額:8.1-7.5=0.6 万円/年 z 社会的割引率4%で割り戻したライフサイクルコスト改善額 0.6+0.6/(1.04)1+……+0.6/(1.04)99≒15.3 万円 ○下水道長寿命化支援制度の要件への合致について z 長寿命化対策実施時点における管きょの使用年数 50 年≧処分制限期間 20 年;OK z 長寿命化対策実施後の管きょの使用年数 50 年≧処分制限期間 20 年;OK z 設置から更新までの管きょの使用年数 100 年≧標準耐用年数 50 年;OK
第3章 処理場・ポンプ場 第1節 基本的考え方 3.1 基本的な考え方および検討フロー 処理場等設備の検討にあたっては、情報の収集・整理を行い、設備の特性等を把握した上で、 設備ごとに管理方法等から長寿命化対策検討設備の選定及び調査判定項目を整理し、調査を行う。 調査結果に基づき、健全度評価を行い、改築の必要性を判断する。 長寿命化対策の検討にあたっては、経済性等を総合的に勘案し決定する。 【解説】 処理場等設備の長寿命化計画の検討フローを図 3.1 に示す。 排水区域の拡張、対象降雨の確率年の向上等により計画流量等の増加に伴う設備の増設或い は能力増強及び高度処理化等は、改築ではなく設置として扱われることから、下水道長寿命化 計画は不要である。 対象設備の選定にあたっては、設備の経過年数や機能面での重要性等を考慮する。 選定された対象施設・設備について、設備情報の収集・整理を行い、設備の特性等を把握し た上で、管理方法(状態監視保全、時間計画保全、事後保全)や部品供給状況等から長寿命化 対策検討設備の選定を行い、設備単位或いは主要部品単位での調査判定項目を整理し、調査を 行う。 調査結果に基づき、設備単位或いは主要部品単位の健全度を評価し、改築の必要性を判断す る。 改築が必要であると判断された長寿命化対策検討対象設備については、ライフサイクル コストの比較を行い、設備単位の対策(更新)を行うか、主要部品単位の対策(長寿命 化対策)を行うかを決定する。改築が必要であると判断された長寿命化対策検討対象外設 備については、設備単位の対策(更新)を行う。 また、対策の検討にあたっては、設備単位の対策検討に加え、設備群の対策検討を行 い、経済性のみならず、省エネルギー、省資源化、効率化等求められる機能を総合的に 勘案し決定する。 なお、土木・建築施設については、今後、知見を集約して検討していくものとするが、当面は、 「コンクリート標準示方書 維持管理編(2001 年制定)」((社)土木学会)、「建築物の耐久計画に 関する考え方」((社)日本建築学会 昭和 63 年)、「改訂/建築物のライフサイクルコスト」((財) 建築保全センター 平成 12 年)、「公共建築物の保存・活用ガイドライン」((財)建築保全センタ ー 平成 14 年)などを参照されたい。
※1 主要部品とは、処分制限期間以上の継続使用が期待でき、設備全体の長寿命化に寄与する部品を指す。 ※2 設備単位とは、「下水道施設の改築について」(平成 15 年 6 月 19 付け国都下事第 77 号国土交通省都市・地域整備局下水道 部下水道事業課長通知)に定める小分類を指す。 ※3 設備群とは、除塵設備、除砂設備、汚泥脱水設備等、まとまった処理機能を発揮するために必要な設備の集合体(電気設 備も含む)を指す。 ※4 下水道長寿命化支援制度の要件(使用年数と標準耐用年数との関係等)に合致していることを確認する必要がある。 図 3.1 下水道長寿命化計画の検討フロー(処理場等設備) 情報システム (データベース) 清掃・修繕等の実施 日常・定期点検の実施 (日常的な維持管理) 下 水 道 長 寿 命 化 計 画 の 策 定 対象設備の選定 長寿命化対策 検討設備の選定 【設備単位の対策検討】 設備群※3の対策検討(省エネ・省資源・効率化等の機能検証) 対策の検討 調査と調査判定項目 (主要部品単位※1) ・点検・取替履歴等の収集・整理 ・調査判定項目の設定 ・主要部品単位の調査 調査と調査判定項目 (設備単位※2) ・点検・取替履歴等の収集・整理 ・調査判定項目の設定 ・設備単位の調査 診断(健全度評価) (主要部品及び設備単位) 診断(健全度評価) (設備単位) 維持 又は 修繕 維持 又は 修繕 改築 不要 改築 不要 改築必要 改築必要 LCC比較 更 新 長寿命化対策 更 新 (3.2.1節) (3.2.2節) (3.2.3節) (3.3節) (3.2.3節) (3.3節) (3.4節) 設備情報 工事情報 (基本情報) 対象外 対象 ※4
第2節 調査 3.2.1 対象設備の選定 調査に先立ち、設備の経過年数、機能面での重要性等を勘案して「対象設備の選定」を行う。 【解説】 対象設備の選定にあたっては、処理場あるいはポンプ場全体について、既存の施設設計図、工 事完成図書、施設台帳等をベースに施設・設備リストの作成を行う必要がある。 なお、複数の処理場、ポンプ場を有する地方公共団体の場合には、供用開始からの経過年数や、 処理場の規模等を考慮し、優先順位をつけ、調査を実施していくことも検討する。 また、処理場やポンプ場を構成する施設・設備の数は膨大であり、必要に応じて、対象範囲を 絞って、調査を行うこととすることもできる。その場合には、設備の経過年数や機能面での重要 性等を考慮して絞り込む。
3.2.2 長寿命化対策検討対象設備の選定 調査に先立ち、各設備の管理方法や部品供給状況等に基づき、長寿命化対策検討対象設備の選 定を行う。 【解説】 まず、各設備の特性を把握し、状態監視保全、時間計画保全、事後保全の3つに分類する。次 に、状態監視保全および時間計画保全に該当する設備について、部品入手が可能かどうか確認す る。 基本的には、状態監視保全に該当する設備を長寿命化対策検討対象設備とし、時間計画保全お よび事後保全に該当する設備を長寿命化対策検討対象外設備とする。ただし、状態監視保全に該 当する設備であっても、部品入手ができない場合は長寿命化対策検討対象外設備とし、時間計画 保全に該当する設備であっても、長寿命化対策により耐用年数の延伸化が図れ、ライフサイクル コストが安価になる可能性がある場合は長寿命化対策検討設備とする。 なお、状態監視保全に該当する設備であっても、設置からの年数が著しく経過し、明らかに状 態が悪く、機能回復が困難な設備については長寿命化対策の検討対象外とすることができる。 表 3.1 管理方法の例 状態監視保全 時間計画保全 保 全 方 法 施設・設備の状態に応じて保全を行う 施設・設備の状態を問わず、一定期間 ごとに保全を行う 故障・異常の発生後に更新を行う。 ・劣化の予兆が測れるものに適用 ・劣化の予兆が測れないものに適用 ・法で定期保全が義務付けられている ものに適用 特 徴 ・予兆を把握するための情報が多く必要 ・費用が高くなる可能性がある ・点検作業が少なくてすむ ・費用が安くなることが多い 健全度 イメージ ・処理機能への影響が小さいもの(応急 措置が可能なもの)に適用 ・予算への影響が小さいものに適用 ・処理機能への影響が大きいもの(応急措置が困難なもの)に適用 ・予算への影響が大きいものに適用 ・安全性の確保が必要なものに適用 適用の 考え方 予防保全 事後保全(更新型) 健全度 年数 管理基準値 年数 年数 健全度 健全度 機能限界値 5年 5年 5年 5年 5年 故障 3年 5年 6年 状態監視保全 時間計画保全 保 全 方 法 施設・設備の状態に応じて保全を行う 施設・設備の状態を問わず、一定期間 ごとに保全を行う 故障・異常の発生後に更新を行う。 ・劣化の予兆が測れるものに適用 ・劣化の予兆が測れないものに適用 ・法で定期保全が義務付けられている ものに適用 特 徴 ・予兆を把握するための情報が多く必要 ・費用が高くなる可能性がある ・点検作業が少なくてすむ ・費用が安くなることが多い 健全度 イメージ ・処理機能への影響が小さいもの(応急 措置が可能なもの)に適用 ・予算への影響が小さいものに適用 ・処理機能への影響が大きいもの(応急措置が困難なもの)に適用 ・予算への影響が大きいものに適用 ・安全性の確保が必要なものに適用 適用の 考え方 予防保全 事後保全(更新型) 健全度 年数 管理基準値 年数 年数 健全度 健全度 機能限界値 5年 5年 5年 5年 5年 故障 3年 5年 6年 長寿命 化検討 対象 ・基本的に長寿命化対策検討対象設備 ・基本的に長寿命化対策検討対象外設備
設備の管理方法の分類については、効率的な事業執行の観点から建設コストを一つの目安にし て分類を行う。すなわち、建設コストの大きい一部の機器を重点的に管理することによって、大 きな効果を得ることが予想でき、処理場運営の人的な軽減にも寄与することができる。 また、費用面では大きくないものの、重要性が高い設備についても、重点的な管理が必要とな る。 一方で、電気設備等については、重要な設備であっても、劣化状況の判断がしにくいものが多 く、ある一定年数が経過した段階で、定期的な措置を講じていくような方策が有効な場合もある。 このような特性を踏まえて、設備の管理方法を分類する必要がある。表 3.2 に、主な設備に関 する管理方法の区分例を示す。 表 3.2 設備の管理方法の区分の主な例※1 予防保全 状態監視保全 時間計画保全 事後保全※2 機械 自動除塵機、沈砂かき揚げ機 ポンプ本体、汚泥かき寄せ機 送風機本体、散気装置 濃縮機、脱水機、焼却炉 など 堰、弁 脱臭装置 など 電気 制御電源及び計装用電源設備 など 受変電設備 自家発電設備 監視制御設備 負荷設備 など 計測設備 など ※1:上表での例示の有無を問わず、設備の特性や、環境条件、使用状態などに応じて、管理方法を分類することが必要。 ※2:事後保全については、予備機の有無や、運転時における設備の重要性を考慮することが必要。
3.2.3 調査と調査判定項目 個々の設備について、その特性等に応じて、調査判定項目を設定し、設備あるいは主要部品の 健全度を把握するための調査を実施する。 【解説】 調査判定項目は、設備単位あるいは主要部品単位の状態を調査し、その健全度を評価するため に設定する項目である。処理場、ポンプ場を構成する設備は多種多様であり、それぞれの特性や 長寿命化対策対象設備かどうか等に応じて、調査判定項目を設定する必要がある。 調査判定項目の設定にあたっては、長寿命化対策検討対象設備は、原則として主要部品単位で、 長寿命化対策検討対象外設備は、設備単位で設定する。 また、項目については日常点検や月例点検などの点検項目、巻末の参考資料-1 および表 3.3 の参考文献等を参考に設定する。表 3.4 は、機械・電気設備における、主な調査判定項目を示し たものである。 調査にあたっては、日常点検や月例点検などの点検情報や主要部品の取替履歴等を整理すると 共に、現地調査を実施することを基本とする。 健全度の把握には、対象物の写真や、点検で得られた維持管理情報等を判定材料とするため、 維持管理情報の資料収集が必要となる。 現地調査では、槽内確認や、設備を運転停止しての確認等が必要となることがあり、処理場の 運営に影響を及ぼすことがある。このため、別途、点検計画書を立案し、維持管理担当者と連携 を図る必要がある。 事前準備が整えば、現地調査を行い、取りまとめとして資料整理を行う。また、対象リストと 現地設備の整合をとりつつ、写真撮影を行うことも必要となる。
表 3.3 調査項目の設定、評価のための主な参考文献例 区 分 文献名 出版元 機 械 日本工業規格(JIS) 設備管理技術事典 下水道維持管理指針 効率的な改築事業計画策定技術資料 【下水道主要設備機能診断】 (株)産業技術サービスセンター(2003 年版) (社)日本下水道協会(2003 年版) (財)下水道新技術推進機構(2005 年 8 月) 電 気 受変電設備保守点検の要点(改訂版) 非常用発電設備保全マニュアル 下水道維持管理指針 効率的な改築事業計画策定技術資料 【下水道主要設備機能診断】 (社)日本電気工業会(平成 19 年 6 月) (社)日本内熱力発電設備協会(平成 14 年 10 月) (社)日本下水道協会(2003 年版) (財)下水道新技術推進機構(2005 年 8 月) 表 3.4 機械・電気設備調査判定項目(例) 機械・電気設備 ・振動 ・温度 ・摩耗 ・異音 ・電流値 ・圧力 ・絶縁抵抗値 ・発錆、腐食 ・変形、亀裂、損傷 ・漏れ ・目詰まり ・動作状態(単独、連携) 調 査 判 定 項 目 ・経過年数 など
第3節 診断(健全度評価) 3.3 診断(健全度評価) 調査判定項目ごとに判定基準を設定し、判定基準と比較・検討を行うことにより、現在の健全 度を評価し、改築の必要性を判断する。 【解説】 (1)健全度 劣化状況を数値化し改築の必要性を判断するための指標として、本指針では、健全度を使用す る。表 3.5 に設備単位の健全度の定義の例を、表 3.6 に主要部品単位の健全度の定義の例を示す。 (2)健全度評価 健全度の評価にあたっては、その方法や基準を明確にし、判定者による差異が無いようにする。 また、判定基準は、同種の対象物であっても、能力、材質、形式、環境等により異なる場合が あるため、個別の調査判定項目ごとに、判定基準を設定する必要がある。 設備単位の健全度評価は、設定した調査判定項目と判定内容から、目視等により現在の状態を 調査判定区分に従い評価する。このとき、調査判定項目別に評価された判定結果を用いて、設備 単位における劣化状況を総合的に評価し、健全度を算出する。(表 3.7 参照) 次に、得られた健全度から措置方法を決定する。(表 3.5 参照)。 主要部品単位の健全度評価は、主要部品ごとに設定した調査判定項目と判定内容から、目視等 により主要部品における現在の状態を調査判定区分に従い評価し、その判定結果を用いて、主要 部品単位における劣化状況を総合的に評価し、健全度を算出する。(表 3.8 参照) 次に、得られた健全度から措置方法を決定する。(表 3.6 参照)
表 3.5 設備単位の健全度の例 判定区分 運転状態 措置方法 5 設置当初の状態で、運転上、機能上問題ない。 措置は不要。 4 設備として安定運転ができ、機能上問題ないが、劣化の兆 候が現れ始めた状態。 措置は不要。部品交換等 3 設備として劣化が進行しているが、機能は確保できる状 態。機能回復が可能。 部品交換等の長寿命化対策 により機能回復する。 2 設備として機能が発揮できない状態。 機能回復が困難。 精密点検や設備の更新等、 大きな措置が必要。 1 動かない。機能停止。 設備の更新等、大きな措置 が必要。 表 3.6 主要部品単位の健全度の例 判定区分 運転状態 措置方法 5 部品として設置当初の状態で、運転上、機能上問題ない。 措置は不要。 4 部品の機能上問題ないが、劣化の兆候が現れ始めた状態。 措置は不要。要観察。 3 部品として劣化が進行しているが、部品の機能は確保でき る状態。機能回復が可能。 部分補修により機能回復す る。 2 部品として機能が発揮できない状態で、設備としての機能 への影響がでている。機能回復が困難。 交換が必要。 1 著しい劣化。 設備の機能停止。 ただちに交換が必要。