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このガイドラインについて 近年 EU IUU 漁業規則 2010 年 1 月から適用 や米国 水産物輸入監視制度 2018 年 1 月から適用 をはじめとして 水産物の輸入にあたり漁獲 収獲 陸揚げ段階ま でのトレーサビリティを求める制度が世界的に設けられてきています 本書 輸出のための水産物トレー

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輸出のための水産物トレーサビリティ導入

ガイドライン

平成 30 年 6 月公表(初版)

平成 30 年 12 月改訂(第 2 版)

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目 次

このガイドラインについて

1 はじめに

... 1

1.1 水産物の輸出におけるトレーサビリティの必要性 ... 1

1.2 トレーサビリティとは ... 2

1.3 このガイドラインの趣旨と構成 ... 4

1.4 このガイドラインの品目とサプライチェーンの範囲 ... 5

1.5 本ガイドラインの用語の定義 ... 6

2 各国等の制度が求める内容

... 8

2.1 EU 加盟国に輸出する水産物を扱う方へ:EU/IUU 漁業規則 ... 8

2.2 米国に輸出する水産物を扱う方へ:SIMP ... 15

2.3 輸出するマグロ類等を扱う方へ:マグロ類等の証明制度 ... 22

2.4 その他の制度 ... 26

3 各国等の制度に対応するための取組

... 28

3.1 漁獲(収獲)・陸揚げ段階の事業者が記録すべき情報 ... 28

3.2 事業者間の情報や書類の提供 ... 32

3.3 各事業者における識別と対応付け ... 35

3.4 各事業者における記録の保存 ... 44

【巻末参考】漁獲(収穫)・陸揚げ情報の電子データによる提供 ... 46

近年、EU・IUU 漁業規則(2010 年 1 月から適用)や米国・水産物輸入監視制度(2018 年 1 月から適用)をはじめとして、水産物の輸入にあたり漁獲(収獲)・陸揚げ段階ま でのトレーサビリティを求める制度が世界的に設けられてきています。 本書「輸出のための水産物トレーサビリティ導入ガイドライン」は、これらの制度に 対応し、日本からの水産物の輸出を維持・拡大できるよう、漁獲・収獲から輸出までの サプライチェーンの各事業者が取り組むべきトレーサビリティに関わる事項をまとめた ものです。

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1 はじめに

1.1 水産物の輸出におけるトレーサビリティの必要性 欧州連合(EU)加盟国や米国に輸出される水産物の一部及びクロマグロなど国際的に管 理されている一部の魚種については、その製品が IUU 漁業(Illegal(違法)・Unreported (無報告)・Unregulated(無規制)で行われる漁業の略称)由来ではなく、また加工・流 通段階の表示や情報のごまかしもないことを、輸入国の政府機関等が確認可能とする制度が 設けられています。これらの制度はいずれも、水産資源の持続可能性にとって大きな脅威と なる IUU 漁業を防止・廃絶することを目的としています。 これらの制度に対応し日本から輸出するためには、輸出製品の元になった水産物について、 「いつ・どこで・だれが漁獲したか」、「いつ・どこで陸揚げしたか」(養殖水産物の場合は、 「どこで・だれが養殖し、いつ・どこで収獲されたか」)、「誰から誰に製品が流通したか」 などの情報を、漁獲(養殖においては収穫)から輸出までの各事業者が記録し、輸出先国の 輸入業者又は日本の政府機関に提供することが必要になっています。つまりこれらの水産物 については、輸出段階から漁獲(収獲)・陸揚げ段階まで遡ることができるトレーサビリテ ィの確保と情報提供が必要です。 トレーサビリティを確保することは食品安全上の観点からも重要なことですが、みずから の扱う水産物を輸出できるようにするため、このガイドラインに示すように、各事業者が求 められた情報を提供できるようにあらかじめ準備しておくことが必要です。

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2 1.2 トレーサビリティとは トレーサビリティ(traceability)は、trace(追跡)と ability(可能性、能力)の2つの 単語を合わせた言葉です。食品のトレーサビリティとは、生産・流通過程を通じて食品の移 動を把握できることを意味します。 食品の生産・加工・流通の各事業者が、日ごろから水産物を取り扱った記録を残すことに より、その製品がいつ、どこで、誰によって生産・加工され、どの経路で流通したかを、調 べることができます。 多くの食品の場合、その記録を使って調査をするのは、食中毒など健康に影響を与える事 故や、法令違反などの問題や疑問が生じたときです。 輸出する水産物においては、1.1 で述べたように、その水産物が IUU 漁業由来でないこ とを証明する手段としてトレーサビリティが求められるようになりました。図 1.1 に示すよ うに、輸出を可能にするために、それぞれの制度の求めに応じ、事業者間で履歴情報を伝達 する必要があります。 図 1.1 輸出する水産物の基本的なトレーサビリティの仕組み

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※HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point 危害要因分析に基づく重要管理点) コラム HACCP※とトレーサビリティの関係 履歴を記録し、後で確認できるようにする点において、HACCP はトレーサビリティと似ています。 HACCP は、食品安全の確保のため、CCP(重要管理点)を設定し、継続的にモニタリング結果の記録を残 します。HACCP の CCP における記録の目的は、CCP の管理が適切に行われていたかを確認できるように しておくことです。 一方、トレーサビリティは、食品の移動の記録を残すことにより、予測しづらい問題や疑問が生じたと き、食品の回収・原因究明や、水産物の場合には IUU 漁業由来の水産物ではないことの確認にも役立ちま す。したがって、ある事業者が HACCP を実施しているからといって、トレーサビリティが確保されてい ることにはなりません。 コラム 水産エコラベルとトレーサビリティの関係 1.1:HACCP※とトレーサビリティの関係 MSC、MEL などの水産エコラベルは、生態系や資源の持続性に配慮して生産された水産物の商品に 認証マークを付与し、消費者に持続可能な漁業・養殖業に由来する商品を選択する機会を提供する民間 の制度です。商品にエコラベルを付与するためには、まず、第三者の認証機関が漁業・養殖業を審査し これを認証する必要があります。また、その水産物が商品になるまでの加工流通段階で非認証水産物と 混入が生じないよう適正に管理されているかも審査し、これを認証する必要があります。この加工流通 段階での適正な管理を加工流通行程管理(Chain of Custody; CoC)と呼び、その認証を CoC 認証と 呼びます。 水産エコラベルの CoC 認証を取得するためには、加工流通行程において商品を追跡可能であること が求められます。各エコラベルの CoC 認証が求める具体的内容は、各エコラベルで設定され、それに 基づき認証機関が判断して認証します。 このように、本ガイドラインの加工・流通段階の事業者に求めるトレーサビリティの取組と、CoC 認 証を取得するために求められる事業者の取組とは共通点があります。

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4 1.3 このガイドラインの趣旨と構成 水産物の輸出に当たり証明書や情報を求める制度は、輸出先国や魚種により様々な目的の ものがあります1が、このガイドラインではそのうち、表 1.1 に示すような、水産資源の持 続的利用や IUU 漁業の防止・廃絶等を目的とし、漁獲証明書等を求める制度を取り上げま す。これらの制度に対応するには、漁業者等が把握している漁獲(収獲)・陸揚げ段階の情 報が、輸出業者に至るまで提供されることが必要です。 そこでこのガイドラインには、EU・米国の制度はもちろん、今後類似の制度が他の国で 定められた場合にもスムーズに対応し、日本からの水産物の輸出を維持・拡大できるよう、 各事業者が取り組むべきトレーサビリティに関わる事項をまとめました。 まずそれらの制度の概要と対象品目を示した上で、各制度が求める漁獲(収獲)・陸揚げ 情報の内容や、提出すべき書類や情報について説明します(「2 各国等の制度が求める内 容」)。さらに、漁獲(収獲)・陸揚げから輸出までの各段階の事業者が取り組むべき、記録 の作成・保存や、事業者間の情報提供について説明します(「3 各国等の制度に対応するた めの取組」)。 表 1.1 漁獲(収獲)・陸揚げ情報や書類提出を求める主な制度 制 度 対象の水産物 EU の IUU 漁業規則 全ての水産物(養殖水産物・淡水水産物・一部の 貝類等を除く)とその加工品 米国の水産物輸入監視制度(SIMP) マグロ類(クロマグロ、ビンナガ、メバチ、キハ ダ)、カツオ、サメ類など特定の魚種(養殖含む) とその加工品 地域漁業管理機関の漁獲・統計証明制度 クロマグロ、メバチマグロ、メカジキ、ミナミマ グロ、メロ 韓国の漁獲証明制度 サンマ、大西洋産のニベ科の特定魚種

(Pseudotolithus elongates と Pseudotolithus typus)

1 水産物の輸出のために必要な手続や証明書等全般については、こちらを御覧ください。

水産庁 web サイト「水産物輸出に係る手続きについて」 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/export/exporttetsuzuki.html

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5 1.4 このガイドラインの品目とサプライチェーンの範囲 1.4.1 品目の範囲 このガイドラインが対象とする品目の範囲は、食用として輸出される可能性のある水産物 (水産加工品を含む。)であって、輸出に際しトレーサビリティの確保が求められるものと して、EU/IUU 漁業規則や米国 SIMP 等の対象になり得る品目です(各制度の対象魚種・製 品については「2 各国等の制度が求める内容」を参照のこと)。 1.4.2 サプライチェーンの範囲 天然漁獲物の場合は、漁獲から輸出までが本ガイドラインの対象です。 養殖水産物の場合は、養殖場における収獲から輸出までが本ガイドラインの対象です。た だし、クロマグロ養殖など魚種により、幼稚魚の漁獲又は孵化の段階の情報が必要な場合が あります2。 水産物を、加工せずに輸出する場合と、加工してから輸出する場合の両方が対象となりま す。 2 p31 の表 3.2 を参照。

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1.5 本ガイドラインの用語の定義

食品のトレーサビリティ

生産、加工及び流通の特定の一つ又は複数の段階を通じて、食品の移動を把握できること 注)Codex 委員会総会(2004 年 6~7 月)で合意された下記の訳。

the ability to follow the movement of a food through specified stage(s) of production, processing and distribution

ロット ほぼ同一の条件下において生産・加工又は包装された原料・半製品・製品のまとまり 生産、加工及び流通の各段階や製品によって何をロットとするかは異なる。 (水産物の)識別 ロットや個体・個別製品を特定できること 具体的には、識別単位(ひとまとめにして管理する単位)を定め、その単位となるロットや個 別製品に、ロット名など固有の識別記号を付けることによって、識別が可能となる。 識別記号 識別するための記号 ID ともいう。 対応づけ(紐づけ、リンク) 「ものともの」や「ものと事業者」などの対応関係を分かるようにすること 具体的には、入荷品(原料)とその入荷先、原料と製品、製品と出荷先といった対応関係が分 かるようにすること。 産地市場荷受・漁協 水産物の産地市場の卸売業者(以下、産地市場荷受)、又は漁業協同組合(以下、漁協) 事業者 水産物の生産、加工、流通の担い手 漁業者(養殖業者を含む)、産地市場荷受・漁協、卸売業者(仲買業者を含む)、製造・加工業 者、輸出業者、輸入業者など。

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7 漁 獲 海面漁業及び内水面漁業による水産物の採捕 養殖水産物の収獲を含まない。英語では catch。 養 殖 海面、内水面、又は陸上に設けられた設備において、水産動植物(種苗を含む)を集約的に 育成し、収獲すること 英語では aquaculture。 収 獲 養殖水産物を取り入れること 英語では harvest(漁獲と収獲の両方を含めてこの語を使う場合がある)。 陸揚げ 港における船から岸壁への水産物の最初の移動 英語では landing。 アルファベットの略語

IUU 漁業 Illegal, Unreported, and Unregulated (IUU) Fishing

違法、無報告、無規制漁業

SIMP Seafood Import Monitoring Program

水産物輸入監視制度

ICCAT The International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas

大西洋まぐろ類保存国際委員会

RFMO Regional Fisheries Management Organization

地域漁業管理機関:漁業における保存管理措置を確立する権限を持つ、 政府間の漁業の機関。適切な場合には取決めも含む。

eBCD electronic Bluefin Tuna Catch Documents

クロマグロの電子漁獲記録

CoC Chain of Custody

加工流通行程管理

MSC Marine Stewardship Council

海洋管理協議会

MEL Marine Eco-Label Japan

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2 各国等の制度が求める内容

2 各国等の制度が求める内容

2.1 EU 加盟国に輸出する水産物を扱う方へ:EU/IUU 漁業規則 2.1.1 EU/IUU 漁業規則の概要 EU の IUU 漁業規則は、IUU 漁業を防止、抑止及び廃絶することを目指し、欧州理事会が 2008 年に定めた規則です。2010 年 1 月から、輸入する水産品に「漁獲証明書(catch certificate)」を付帯させることを要求しています。漁獲証明書は、その水産品の原料にな った漁獲物が、適用される法律や国際的なルールを遵守して漁獲されたことを、漁船の旗国 の政府機関が認証する書類です。 日本の漁船が漁獲した水産物(水産加工品を含む)のEUへの輸出については、日本の水 産庁が漁獲証明書を発行します。水産庁は輸出業者からの申請を受け、関係する書類を審査 の上、認証します。 外国の漁船の漁獲物を日本で加工した後に EU に輸出する場合には、当該漁船の旗国が発 行する漁獲証明書と、日本の水産庁が発行する「加工証明書」の両方が必要になります。

● EU/DG MARE ”The EU rules to combat illegal fishing (IUU)”

https://ec.europa.eu/fisheries/cfp/illegal_fishing/info_en/

規制を担当する EU 海事漁業局の web サイトです。

● 水産庁 web サイト

「EU の IUU 漁業規則について ( EU's IUU Regulation (1005 / 2008) )」

http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/eu/ 日本における EU 向け漁獲証明書の発行機関・水産庁による web サイトです。 IUU 漁業規則(規則 No.1005/2008)の和訳も公開されています。 EU/IUU 漁業規則についての情報 1.1:HACCP※とトレーサビリティの 関係

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2.1.2 対象となる品目・魚種

EU/IUU 漁業規則の対象となる品目や魚種は、HS 条約の品目表第 3 類並びに 1604 及び 1605 に分類される全ての水産製品です。ただし、その分類のうち対象とならない品目が定 められており、表 2.1 のとおりです。

対象とならない品目の詳細は、EU 規則 EC) No 86/20103の ANNEX I を参照してくださ い。 表 2.1 EU/IUU 漁業規則の対象外の品目 分 類 EU/IUU 漁業規則の対象外の品目 1.魚並びに甲殻類、軟体 動物及びその他の水棲無 脊椎動物 (HS 3類) (1)生きた観賞用の魚(HS030110) (2)稚魚又は幼生を養殖して生産された養殖水産物 (3)淡水で漁獲された水産物 (4)魚及び水棲無脊椎動物の粉、ミール並びにペレット(食 用に適するものに限る。) (HS030510,030619,030629,030799) (5)カキ、ホタテガイ、イガイ及び巻き貝 (HS030710,030721,030729,030731,030739,030760) (6)その他の水棲無脊椎動物(甲殻類、一部のイカ等を除く) (HS030791,030799) 2.肉、魚又は甲殻類、 軟体動物若しくはその他 の水棲無脊椎動物の調製 品 (HS 16 類) (1)稚魚又は幼生を養殖して生産された養殖水産物を原料と する調製品 (2)淡水で漁獲された水産物の調製品 (3)カキ、ホタテガイ、イガイ及び巻き貝の調製品 (4)その他の水棲無脊椎動物(甲殻類、軟体動物を除く)の 調製品 注 1)欧州委員会規則 No 86/2010 of 29 January 2010 を基に作成。 2)HS は、HS 条約の品目表において定められた HS と数桁の数字で表記された番号をいう。 3 欧州委員会規則 No 86/2010 of 29 January 2010 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1508151972258&uri=CELEX:32010R00 86

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10 2.1.3 漁獲・陸揚げ情報等に基づく漁獲証明書の申請 輸出業者は、EU 向け漁獲証明書の様式(図 2.1)に漁獲・陸揚げ情報を記載し添付書類 とともに水産庁に提出し、漁獲証明書を受けます。したがって輸出業者は、漁獲・陸揚げ段 階の事業者から漁獲・陸揚げ情報を収集することが必要です。 漁獲・陸揚げ段階の事業者の記録に基づいて記載すべき情報項目は表 2.2 のとおりです。 表 2.2 EU 向け漁獲証明書に含まれる漁獲・陸揚げ段階の情報項目 分 類 情報項目 備 考 漁船の情報 漁船名 漁船登録番号 漁業許可(又は免許)の名称(種類)、 番号 母港又は国内漁業根拠地 コールサイン(所有している場合) IMO/Lloyd’s 番号(所有している場合) その他の情報 インマルサット番号、FAX 番号、 電話番号、電子メールアドレス 水産製品の 説明 水産製品の原料の魚種名 漁獲日又は期間 漁獲水域 FAO 漁獲統計海区の番号など。EU 要領(p13 の脚注 4)別紙3を参照。 陸揚げ港 陸揚げ日又は期間 推定原魚重量(kg) その漁船がそのときに陸揚げした当 該魚種の、推定原魚重量全体 陸揚げ予定の推定重量、又は陸揚げ 後の検証された重量(kg)(該当する 場合) その漁船がそのときに陸揚げした当 該魚種の、陸揚げ重量全体。漁船が EU 漁港に陸揚げする場合は漁船で の推定重量を記載する必要がある が、それ以外の場合は陸揚げ後に計 測された重量。 保存管理措置 当該漁船に適用される水産製品の 原料種に関する保存管理措置 P13 を参照

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11 日本で加工された場合は、さらに、表 2.3 に示す項目を証明書に記載する必要があります。 ただし、製品名などいつも変わらない情報項目については、必ずしも加工・製造の都度記録 する必要はありません。 表 2.3 EU 向け漁獲証明書に含まれる加工段階の情報項目 分 類 情報項目 水産製品の説明 水産製品名 製品加工形態 原料種の加工歩留まり(%) 原料種以外の主な原材料名及びその推定総重量(kg) EU に水産物(海藻等の一部水産物を除く。)を輸出するに当たっては、水産加工施設について、EU が 求める HACCP システムを導入し厚生労働省(都道府県等保健所)又は水産庁による認定を受ける必要が あります。また、EU は生産から輸出までフードチェーン全体で管理を行うことを求めており、輸出に当 たっては、水産加工施設の認定のほか、その原料となる水産物を生産する漁船や養殖場(水産物が市場 施設で取り扱われる場合はその施設も)は都道府県等による登録を受ける必要があります。 コラム EU の加工施設等の認定制度

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EU 向け漁獲証明書の日本の様式は図 2.1 のとおりです。

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13 注)この図は、漁獲・陸揚げの段階に関わる項目を中心に紹介しており、後半部分(6.洋上転載の申 告、7.港湾区域内転載の申告、8.輸出者の署名捺印、9.輸送の詳細、10.輸入業者の申告、11. 輸入管理機関)を省いています。様式全体については、以下の記入要領記載の様式をご覧ください。 ● 水産庁「EUのIUU漁業規則に基づく漁獲証明書及び加工証明書様式の記入要領」 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/eu/attach/pdf/index-3.pdf 輸出業者は、漁獲証明書の発給申請のために、以下の書類を提出します。(水産庁が定め た「EUのIUU漁業規則に基づく漁獲証明書及び加工証明書の発給に関する取扱要領」4 (以下、EU 要領)に従います。) ・漁獲証明書の様式(EU 要領別紙3)に必要事項を記入したもの ・発給申請書(EU 要領別紙4) 加えて、表 2.4 の添付書類が必要です。 4 「EU の IUU 漁業規則に基づく漁獲証明書及び加工証明書の発給に関する取扱要領」 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/eu/attach/pdf/index-1.pdf

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14 表 2.4 EU 向け漁獲証明書の発給申請に添付して提出する書類 書 類 書類提供の依頼先 備 考 ① 漁業許可証、漁業免許証又は免許漁 業原簿謄本の写し 漁業者(又は所属漁協) ②【都道府県の所管漁業のみ必要】都道 府県の所管漁業の確認報告書 (EU 要領別紙6) 漁業者の都道府県の水 産物輸出担当課 ③ 船舶検査証書及び漁船原簿謄本の写 し 漁業者(又は所属漁協。 なお漁船原簿謄本は第 三者でも都道府県知事 に請求できる) 船舶検 査証書の写しについ て は、我が国沿岸 12 海里以内で操 業する国内総トン数 20 トン未 満の船舶に係るものを除く。 ④ 対EU輸出水産食品の登録された冷 凍船若しくは登録漁船又は認定施設で あると確認できる書類 当該漁業者又は認定施 設 ⑤ E U 向 け 輸 出 製 品 の イ ン ボ イ ス (INVOICE)の写し ( 輸 出 業 者 自 身 が 作 成) 提出予定のものでも可。ただし、 審査終了後に訂正等があった場 合は訂正したものを水産庁に再 提出。 ⑥ 水産製品の売買関係書類の写し 仕入れ先の事業者 (必要な場合には委託 先倉庫業者) 売人・買人双方の名称、売買年 月日及 び数量が確認できる 書 類。漁業者から輸出者までの間 の全て。 ⑦ 【国外陸揚げ又は転載の場合のみ必 要】漁獲物等の国外陸揚げ又は転載の 農林水産大臣許可書の写し並びに届出 書の写し 国外陸揚げや転載をし た漁業者 ⑧ 【漁獲証明書様式に記載した陸揚げ重 量と輸出製品重量の数値にかい離があ り、EUの加盟国の税関当局に対し説明 が必要な場合】 日本産原料種の加工に係る説明書類 ( 輸 出 業 者 自 身 が 作 成) 和文及び英文で作成すること。 ⑨【代理申請を行う場合】 代理申請者委任状 (委任者が作成) ⑩【水産庁担当官が必要とする場合のみ】 漁獲証明書に記載された内容を確認す るためのその他の書類 ( 輸 出 業 者 自 身 が 作 成) 申請内容を補足するための理由 書又は経緯説明書等 注)「EU 要領」に基づいて作成。

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2.2 米国に輸出する水産物を扱う方へ:SIMP 2.2.1 米国 SIMP の概要

米国の水産物輸入監視制度(Seafood Import Monitoring Program:以下 SIMP)は、 IUU 漁業由来や表示偽装された水産物が米国の市場に流入することを防止するために定め られた制度です。米国商務省海洋大気庁(NOAA)により 2016 年 12 月に最終規則が定め られ、2.2.2 に示す品目を対象に、2018 年 1 月から施行されました。 EU の漁獲証明制度とは異なり、輸出国政府機関から証明書を入手する必要はありません。 ただし、米国の輸入業者は、所定の形式により、漁獲・陸揚げ情報を含む電子データを、米 国関税国境保護局(CBP)が管理する国際貿易データシステム(ITDS)に登録する必要があ ります。したがって、輸出国の業者は、漁獲(収獲)・陸揚げ情報を米国の輸入業者に提供 する必要が生じます(これについては 2.2.3 で解説します)。 また、米国の輸入業者は、米国への輸入から陸揚げ・収獲まで遡ることができる書類を備 える必要があります。したがって、輸出国の業者は、そのために必要な情報を、米国の輸入 業者に提供する必要が生じます(これについては、2.2.4 で解説します)。

● 米国 NOAA ”IUU Fishing and Seafood Fraud Web Portal”

http://www.iuufishing.noaa.gov/ 以下は、規制を担当する米国 NOAA により日本語訳された主要資料の URL です。 ・米国水産物輸入監視制度の概要 http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/SIMP.FactSheet.Japanese.pdf?ver=2017-10-19-165351-127・ ・米国水産物輸入監視制度の遵守案内(Q&A) http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/SIMP.ComplianceGuide.Japanese.pdf?ver=2017-10-19-165 429-173 ・水産物輸入監視制度(SIMP) http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/SIMP.PowerPoint.Japanese.pdf?ver=2017-10-19-165703-333 ・漁獲証明書の書式:データ要素と電子報告の様式とその理由 http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/SIMP.ModelCatchCertificate.Japanese.pdf?ver=2017-10-19-165216-640 ・一括した漁獲証明書の書式:データ要素と電子報告の様式とその理由 http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/SIMP.ModelAggregatedCatchForm.Japanese.pdf?ver=2017-10-19-165147 -187 ● SIMP 最終規則の和訳(一般社団法人 食品需給研究センター) http://www.fmric.or.jp/fishtrace/SIMP_final_jp170420.pdf 米国SIMPについての情報源

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2.2.2 対象となる魚種と製品の形態

対象魚種

SIMP の対象魚種は以下のとおりです。

アワビ(Abalone)、タイセイヨウダラ(Atlantic Cod)、マダラ(Pacific Cod)、ブル ークラブ(Blue Crab)、タラバガニ(Red King Crab)、シイラ(Dolphinfish)、ハタ 類(Grouper)、レッドスナッパー(Red Snapper)、ナマコ類(Sea Cucumber)、エ ビ類(Shrimps)、サメ類(Sharks)、メカジキ(Swordfish)、ビンナガマグロ(Albacore)、 メバチマグロ(Bigeye)、カツオ(Skipjack)、キハダマグロ(Yellowfin)、クロマグロ (Bluefin) このうちアワビ(Abalone)とエビ類(Shrimps)は、2018 年 12 月 31 日から適用され ます。 対象魚種の詳細は、種の学名が掲載された以下のリンク先の表で調べることができます。 http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/SIMP.MandatoryFullMessageSetSpecies .3Alpha%20Codes.pdf?ver=2017-07-10-190426-070 対象となる製品形態 生鮮、冷凍、缶詰、袋詰め、又は魚種及び漁獲・収獲情報を特定できる方法(商品の表示 から特定できるものを含む)で調製されたもの。 対象とならない形態は、魚油、すり身、ソース、棒状フライ原料、つみれ、かまぼこ、 ねり加工品、及び製品を構成する魚種又は漁獲・収獲情報を特定することが技術的又は経済 的に不可能な水産製品です。 対象となる水産物であるかは、米国が輸入品に用いる HTS コードにより判別できます。 NMFS SIM Program – Harmonized Tariff Schedule Code

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17 2.2.3 漁獲(収獲)・陸揚げ情報の提供 米国の輸入業者が国際貿易データシステムに登録するために必要な情報項目のうち、漁獲 (収獲)・陸揚げ段階の記録に基づいて情報提供すべき項目は表 2.5 のとおりです。 なお、SIMP では、加工・流通・輸出等の段階の履歴情報については、データでの提供を 求められていません。 表 2.5 SIMP が求める漁獲(収獲)・陸揚げ情報 情報項目 必要 備考 情報項目の英語表記 セクション1 - 天然漁獲と養殖の両方に適用 漁獲記録識別番号 任意 Catch Document Identifier

天然/養殖の別 必須 天然:WC。養殖:AQ Wild Harvest or Farm Raised

セクション 2 - 天然漁獲に適用

漁獲した漁船の旗国 必須 日本なら JP Flag State of vessel 漁獲した漁船の名称 必須 ※1 Name of Harvesting Vessel 漁獲した漁船のコード(登 録、文書、又は免許番号) 任意 ※1 IMO 番号を有している場合は、 IMO 番号を記載すること。(そ の際は「IMO」と記載し、この 後 に 番 号を 記 載す るこ と 。) IMO 番号を有しない場合は、日 本の漁船登録番号を記載する こと。

Unique Vessel Identifier (registration, documentation, or license number) 漁業の免許・承認 任意 ※1 漁業の免許・承認を有している 場合は必須 Fishing Permit or Authorization 漁獲水域 必須 日本の管轄機関等に漁獲報告 の義務がある場合、その報告で 用いている水域名。報告義務が ない場合には、その地域で意味 のある記述。 Catch Area 漁具 必須 Fishing Gear セクション 3 – 養殖に適用 養殖施設を管轄する州 必須 都道府県 State of Jurisdiction of Aquaculture Facility 養殖施設の許可・承認 任意 ※1 Facility License or Authorization

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養殖施設の名称と所在地 必須 ※1

Name and Address of Aquaculture Facility セクション 4 - 天然漁獲と養殖の両方に適用 陸揚げ受領人、加工業者、又 は購買者の会社名と連絡先 必須 天然の場合は陸揚げ先事業者の名称。養殖の場合は養殖業者 の出荷先事業者。 Company Name of Landing Recipient, Processor or Buying Entity and Contact Information 陸揚げ先・出荷先の施設や船 舶 必須 上記の施設名・船舶名など。 Facility or Vessel Landed/Delivered To 収獲日 必須 ※2 通常、天然漁獲においては陸揚 げ日、養殖においては養殖施設 からの出荷日が該当。 Harvest Date 陸揚げ港又は出荷先の場所 必須 ※2

Landing Port or Delivery Location

魚種名と魚種コード

必須

魚種名は地方名でも学名でも よ い 。 魚 種 コ ー ド は FAO 3-Alpha Species Codes (ASFIS)※3

Species Name and ASFIS Code

陸揚げ/収獲段階の重量 必須 その漁船がそのときに陸揚げ したその魚種の総重量。

Total Weight of Product at Landing/Harvest 陸揚げ時の水産物の形態 必須 ラウンド・ドレス等 Product Form at Landing

注)米国 NOAA の以下の web ページに掲載された”Model Form: Catch Certificate”(「漁獲証明書の書 式」)を参考に作成。

http://www.iuufishing.noaa.gov/RecommendationsandActions/RECOMMENDATION1415/Final RuleTraceability.aspx

※1 複数の小規模漁船(総容積トン 20 トン以下、若しくは全長 12 メートル以下)が同一魚種を同一 日に同一場所で陸揚げした場合は、「統合漁獲報告書」(aggregated catch report)により報告するこ とができる。「統合漁獲報告書」の場合には、各漁船の名称や個別の陸揚げ重量が不要となり、その日 に陸揚げをした漁船の数と、統合した陸揚げ重量を報告する。 複数の養殖場から同一魚種を同一日に同一施設に入荷する場合で、1日の入荷量が 1,000kg 以下にも、 「統合漁獲報告書」により報告することができる。その場合は、各養殖場の名称や個別の収獲重量の 報告が不要となり、その日の入荷先の養殖業者数と、統合した収獲重量を報告する。 ※2 洋上で漁船から運搬船等に積み替える場合は、積替日や運搬船名 ※3 FAO が漁業・養殖業に関連する魚種にアルファベット 3 文字を割り当てたコード。 以下からダウンロードできる。 http://www.fao.org/fishery/collection/asfis/en

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図 2.2 NOAA が示した漁獲(収獲)・陸揚げ段階の記録様式の例

出典)米国 NOAA の以下の web サイトに掲載された”Model Form: Catch Certificate”(「漁獲証明書の 書式」)にある日本語訳の 7 ページ。

http://www.iuufishing.noaa.gov/RecommendationsandActions/RECOMMENDATION1415/F inalRuleTraceability.aspx

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20 2.2.4 米国の輸入業者に提供する記録 米国の輸入業者は、以下の情報を含む記録を保存し、NOAA(商務省海洋大気庁)による 査察を受ける際に提供することが必要です。5 ●陸揚げから輸出までの流通経路の各事業者(加工業者・流通業者等)の情報 ●輸入から陸揚げ・収獲まで遡るのに必要な加工流通行程管理(Chain of Custody)の 情報 輸入業者が査察官に説明を求められたとき、登録した輸入品について、それらの記録をた どって陸揚げ・収獲段階を特定できることが重要です。輸入業者の担当者が説明することが できるならば、日本語で記載されていても構いません。

米国 NOAA が所管する類似の制度として、ドルフィンセイフ認証(dolphin-Safe Certification) があります。マグロ類の漁獲の際に、イルカを死亡させたり負傷させたりしていない場合、そのマ グロ類を原料として製造された製品(ツナ缶など)に認証マークを添付できるようにするプログラ ムです。SIMP とほぼ同様の漁獲・陸揚げ情報の所定の様式への記載や、船長による署名などが求め られます。輸出をする上でドルフィンセイフ認証を受けるかは任意ですが、米国輸入業者には認証 書の取得が義務づけられているため、本認証が無ければ実質的に輸出できません。ただし、生鮮品 は対象外です。 また同じく NOAA が所管する新しい制度として、海産哺乳類保護法(MMPA)に基づく規制があ ります。米国が定める基準を超えて海産哺乳類を混獲する漁業に由来する水産物及び水産加工品の 輸入を禁止するものです。2017 年 1 月に施行されましたが、施行後 5 年間の免除期間があり、現 在、NOAA は、全ての輸出国に対し、混獲に関するデータの提出を求めています。 5 SIMP 最終規則では、次のように述べられています。 「登録輸入者は、米国への輸入時から収獲時まで遡って追跡するのに十分な、魚介類又は魚介類製品の 加工流通行程管理(Chain Of Custody)に関する情報、及び魚介類又は魚介類製品の管理者(積み替え 業者、加工業者、貯蔵施設、流通業者等)各々を特定した情報を含む記録を保持する必要がある。」(SIMP 最終規則 第 300.324 条水産物トレーサビリティプログラム(e)) コラム ドルフィンセイフ認証制度と海洋哺乳類保護法による輸入規制

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21 図 2.3 は、NOAA が示した加工業者による加工流通行程管理の記録様式のモデルの和訳 です。一枚の様式に、受領ロットの重量・識別番号・形態と、最終製品のロットの重量・識 別番号・形態を記すようになっています。また、「参照した個別漁獲文書識別番号」を記す 欄も設けられています。 図 2.3 NOAA が示した加工段階の記録様式の例

出典)米国 NOAA の以下の web サイトに掲載された”Model Form: Catch Certificate”(「漁獲証明書の 書式」)の日本語訳の 9 ページ。

http://www.iuufishing.noaa.gov/RecommendationsandActions/RECOMMENDATION1415/Fin alRuleTraceability.aspx

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22 2.3 輸出するマグロ類等を扱う方へ:マグロ類等の証明制度 2.3.1 マグロ類の証明制度の概要 クロマグロをはじめとする一部のマグロ類等の輸出のためには、RFMO の規則に基づき輸 出に当たり政府機関が確認した証明書の添付が必要です。日本から輸出するために必要な証 明書を発行する手続は、水産庁によって魚種ごとに定められており6、申請にあたって提出 することが必要な書類や、その様式が指定されています。 2.3.2 対象となる品目・魚種 対象魚種は、クロマグロ、メバチマグロ、メカジキ、ミナミマグロ、メロです。 丸、エラ腹抜き、ドレス、フィレといった魚肉は対象ですが、魚肉以外の部分(頭、目、 卵、内臓、尾等)は対象外です。 以下では、水産庁が定めた「輸出向けくろまぐろ漁獲証明書及びくろまぐろ再輸出証明書 の確認要領」(以下「くろまぐろ要領」という。)に基づき、日本の漁船が漁獲した太平洋ク ロマグロを例にとって説明します。 大西洋クロマグロや養殖クロマグロ、その他の魚種における証明書発行のための手続につ いては、水産庁の web サイト6に掲載されたそれぞれの要領をご覧ください。 6水産庁「マグロ類の輸出手続きについて」 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/exporttuna/tunatuna.html

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23 2.3.3 漁獲(収獲)・陸揚げ情報の提供 水産庁から証明書の発行を受けるためには、以下の漁獲段階の情報と署名が必要です。 ・当該クロマグロの数量(重量) ・漁法 ・漁獲海域 ・漁獲時期 ・漁船名及び漁船登録番号(定置漁業により漁獲された場合は当該定置漁業の免許番 号) ・船長又は船主の名称 ・当該船長又は船主の署名(定置漁業により漁獲された場合は、当該定置漁業の免許 を受けている者の名称及び署名) 輸出業者は、これらの情報の記載と署名のされた書類を漁獲段階の事業者に作成し、提出 してもらう必要があります。様式は自由ですが、図 2.4 はその見本です。 図 2.4 「輸出の対象となるくろまぐろの起源が確認できる書類」見本 平成20年5月23日 くろまぐろ水揚げ報告書 1.数量: 100Kg 2.漁法: 延縄 3.漁獲海域:太平洋(○県○沖) 4.漁獲時期:平成20年5月23日 5.漁船名:第一水産丸 6.漁船登録番号:TK0000 7.許可番号等: 第○○号 船長または船主の名称、住所及び捺印 東京都千代田区霞ヶ関1-2-1 水産養殖(株) 代表 水産 太郎 印

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24 2.3.4 漁獲証明書の発給を受けるために提出する書類 輸出業者は、クロマグロの漁獲証明書の発給申請のために、くろまぐろ要領のとおり、以 下の書類を水産庁に提出します。 ① くろまぐろ漁獲証明書(図 2.5。くろまぐろ要領様式第5号) ② くろまぐろ漁獲証明書確認申請書(くろまぐろ要領様式第7号) ③ 添付資料(表 2.6 の書類) 図 2.5 太平洋クロマグロの漁獲証明書の見本

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25 表 2.6 太平洋クロマグロの漁獲証明書の発給申請に添付して提出する書類 書類 書類提供の依頼先 備考 ②輸出の対象となるくろまぐろの売買関 係書類の写し 仕入れ先の事業者 売人・買人双方の名称、売買年月日及び数 量が確認できる書類。漁業者から輸出者ま での間の全ての写し ③輸出の対象となるくろまぐろの起源が 確認できる書類 漁業者(又は所属漁 協) 2.3.3 のとおり ④当該くろまぐろの漁獲に用いられた漁 船等に関する操業許可等の実態が確認で きる書類 漁業者(又は所属漁 協) 農林水産大臣の指定漁業、特定大臣許可漁 業にあっては当該許可証の写し、都道府県 知事許可漁業にあっては当該許可証の写 し、沿岸まぐろ漁業にあっては当該沿岸ま ぐろ漁業の承認証の写し、定置漁業にあっ ては当該定置漁業の免許証の写し、その他 の漁法にあっては当該漁法について確認 できる書類 ⑤【証明書発行機関の担当官が必要とする 場合のみ】漁獲証明書に記載された内容を 確認するために必要とする書類 輸出業者自身が作成 (又は漁業者、仕入 れ先の事業者) 例:申請内容を補足するための理由書、経 緯説明書等 ⑥【代理申請を行う場合のみ】確認申請の 委任を行ったことを証明する書類 委任者(輸出業者) 注)②~⑥の番号は、くろまぐろ要領5(1)の書類の番号に対応。

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26 2.4 その他の制度 2.4.1 韓国のサンマ等の漁獲証明制度 制度の概要 韓国に船舶により生鮮・冷凍サンマ等を輸出する際は、韓国側から漁獲証明書の添付が 求められています(平成 29 年 6 月 30 日から)。 対象となる品目・魚種(①と②は大西洋産ニベ科の魚種、③はサンマ) ① Pseudotolithus elongatus

(Korean name : 긴가이석태/English name : Bobo croakers ) ② Pseudotolithus typus

(Korean name : 영상가이석태/English name : Longneck croakers ) ③ Cololabis saira

(Korean name : 꽁치/English name : saury)

漁獲証明書の作成の手続 日本の漁船が漁獲したサンマについては、日本の水産庁が漁獲証明書を発行します。 本件の漁獲証明書が必要な場合には、水産庁の web サイトにある「韓国向けサンマの 輸出に係る漁獲証明書について」7に記載された連絡先に問い合わせてください。 7 ・水産庁「韓国向けサンマの輸出に係る漁獲証明書について」 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/export/attach/pdf/export_korea-1.pdf ・韓国政府から WTO への通報 https://docs.wto.org/dol2fe/Pages/FE_Search/ExportFile.aspx?id=234229&filename=q/G/L IC/N2KOR2.pdf

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27 Q 「製品を輸出したいので、仕入先に情報提供をお願いしましたが、『記録された情報がなく、情報提 供できない』と言っています」 A 次回以降のために、仕入先の事業者にこのガイドライン(特に次の 3.1 や 3.4)を示し、記録を作 成・保存することを促しましょう。 Q 「仕入先が漁獲・陸揚げ情報を持っているのに、情報提供してくれません」 A 本ガイドライン(特に 2)を示し、輸出先国が漁獲・陸揚げ情報を求めていることを説明し、対 応をお願いしましょう。 もし仕入先が「情報提供にコストがかかるため、情報提供をしたくない」という事情の場合には、 より低コストで済む方法や、コストの分担について協議するのも一つの方法です。 Q&A

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3 各国等の制度に対応するための取組

Q&A どの制度に対応する場合にも共通して重要な、漁獲・陸揚げから輸出に至るまでの各段階 の事業者によるトレーサビリティ確保のための共通の取組について説明します。 3.1 漁獲(収獲)・陸揚げ段階の事業者が記録すべき情報 天然水産物の場合、漁業者や産地市場荷受・漁協など陸揚げ段階の事業者が漁獲・陸揚げ 情報として記録すべき情報項目は、表 3.1 のとおりです。 養殖水産物の場合、養殖や陸揚げ・締めなどを行う事業者が記録すべき情報項目は、表 3.2 のとおりです。 同一の漁業者にとって常に変わらない情報(例:漁船登録番号、漁業の免許・承認、漁具・ 漁法など)は、必ずしも漁獲・陸揚げの都度記録する必要はありません。 輸出が見込まれる品目・魚種については、出荷に併せこれらの情報を提供したり、輸出業 者からこれらの情報を提供するよう依頼を受けた場合を想定し、足りない情報がないか、確 認しましょう。足りない情報がある場合は、追加して記録するよう、手順や様式を整えまし ょう。その他の品目・魚種についても、依頼があった場合の備えとして、共通の取組を理解 しておくことが望まれます。 Q 漁業者自らが記録を作成しなくても、産地市場荷受・漁協からもらう「仕切書」を保存する だけでもよいですか? A 漁獲水域、漁具・漁法、漁獲日といった情報は、漁業者にしか分からない情報であり、漁業 者が記録するのが基本です。 ただし、沿岸での小規模な海面漁業・内水面漁業のように、1航海が1日・1晩のみなど 短期間であって、漁獲する水域と漁具・漁法がいつも同じであり、産地市場等に直ちに陸揚 げし出荷する場合には、「出荷記録」(例えば産地市場荷受・漁協の発行する仕切書)があれ ば、漁業者自らが記録をしなくても十分な場合があります。

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29 表 3.1 漁獲・陸揚げ段階の事業者が輸出のために記録すべき情報項目(天然水産物の場合) 情報項目 必要性 備考 EU/IUU 米国 SIMP クロマグロ 漁獲した漁船 ◎ ◎ ◎ 漁船登録番号 ◎ ○※1 ◎ 漁業の免許・承認 ◎ ○※2 ◎ 漁獲水域 ◎ ◎ ◎ 免許・承認された水域で操業された旨が 分かるよう水域名を記載。 漁具・漁法 ◎ ◎ 漁獲日又は期間 ◎ ◎ 陸揚げ先事業者とその連絡先 ◎ 陸揚げ先の産地市場荷受・漁協等の名 称とその連絡先 陸揚げ先・出荷先の施設や船舶 ◎ 陸揚げ日又は期間 ◎ ◎※3 陸揚げ港(又は出荷場所) ◎ ◎※3 魚種名 ◎ ◎ (固定) 魚種を特定できる名称 推定原魚重量 ◎ 陸揚げ段階の重量 ◎ ◎ ◎ 当該漁船が当該日(又は期間)に陸揚 げした当該魚種の陸揚げ時点の重量。 ただしクロマグロの場合は、当該魚種の 合計重量ではなく証明の対象となる魚 体の重量でもよい。 陸揚げ時の水産物の形態 ◎ ラウンド・ドレス等の別 凡例 ◎:必須。○:任意。

※1 IMO 番号を有している場合は、IMO 番号を記載すること。(その際は「IMO」と記載し、この後に 番号を記載すること)IMO 番号を有しない場合は、日本の漁船登録番号を記載すること。 ※2 漁業の免許・承認を有している場合は必須 ※3 洋上で漁船から運搬船等に積み替える場合は、その日や運搬船名 注1)マグロ類の漁獲証明制度については、クロマグロ以外の魚種も内容はおおむね共通していますが、 適切な記入のためには各魚種の要領を参照してください。 注2)この表からは、一つの制度でしか求められておらず、かつ漁船・陸揚げ段階の業者にとって漁獲・ 陸揚げの都度記録する必要がないと考えられる項目を省いています。具体的には以下の項目です。 EU/IUU:漁船の母港、漁船のコールサイン(所有している場合)、漁船の IMO/Lloyd’s 番号(所有し ている場合)、漁船のその他の情報(所有している場合。インマルサット番号、FAX 番号、 電話番号、電子メールアドレス) 米国 SIMP:漁獲記録識別番号、養殖・天然の別、漁船の旗国。

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30 Q&A Q 1つの漁船から同じ日に陸揚げされた同じ魚種の水産物が、複数のロットに分けて販売され た場合、「漁獲・陸揚げ情報」の重量は、取引したロットの重量でよいですか? A EU/IUU 漁業規則及び米国 SIMP のための「推定原魚重量」「陸揚げ段階の重量」は、1漁 船から同じ日(又は期間)に陸揚げされたその魚種の合計重量である必要があります。その 漁船に由来する同一の魚種で他のロットで販売された場合には、それらの重量も合わせた合 計値を、重量として提供します。 Q 複数の魚種が混ざったままの状態で取引される場合があります。その場合は、魚種ごとの重 量が分かりません。「漁獲・陸揚げ情報」の魚種ごとの重量を、どのように定めたらよいですか。 A 2で述べた制度に対応して輸出する上では、産地市場荷受・漁協の段階で魚種ごとに選別し 計量するなどによりその魚種の重量を明らかにする必要があります。 Q 小規模かつ複数の漁船が同じ日・同じ漁港に陸揚げし、一まとめにして販売した場合、各漁 船の「漁獲・陸揚げ情報」を提供することが必要ですか。 A 各漁船の漁獲・陸揚げ情報を提供するのが基本です。ただし、一定の条件を満たす場合、個 別の漁船の情報など一部の情報が免除される仕組みがあります。 EU/IUU の場合、以下の要件のいずれかを満たす漁船の場合、小規模漁船とみなされ、簡 易漁獲証明書様式を使うことができ、その場合は漁獲年月日・陸揚げ年月日、漁船の船長や 船主による署名などが不要です。各漁船の名称や陸揚げ重量を併記する必要があります。 ① 牽引漁具を搭載していない全長12m未満の漁船 ② 牽引漁具を搭載している全長8m未満の漁船 ③ 甲板上に構造物がない漁船 ③ 国際総トン数20トン未満の漁船 米国 SIMP の場合、各漁船がいずれも小型漁船(総容積トン数 20 トン以下、又は全長 12 メートル以下)である場合には、統合漁獲報告書で報告することができ、各漁船の名称や個 別漁船の漁獲数量は不要です。ただし、陸揚げ重量の合計と、入荷先数(漁船が入荷先であ る場合には、その日に陸揚げし入荷先となった漁船の数)が必要です。表 2.5 の「※1」も 参照してください。

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31 表 3.2 養殖・収獲(陸揚げ・締めなど)を行う事業者が輸出のために記録すべき情報項目 (養殖水産物の場合) 情報項目 必要性 備考 米国 SIMP クロマグロ 幼稚魚を漁獲した漁船 ◎※1,2 幼稚魚を漁獲した漁船のコード ◎※1,2 幼稚魚を漁獲した漁船の免許・承認 ◎※1 幼稚魚の漁獲水域 ◎※1,2 幼稚魚漁獲の漁具・漁法 ◎※1,2 幼稚魚の漁獲日又は期間 ◎※1,2 養殖施設の管轄範囲 ◎ ◎※2 都道府県名 養殖施設の許可・承認 〇 ◎ クロマグロにおいては漁業権者及び免許番号 養殖施設の名称と所在地 ◎ ◎※2 養殖業者の販売先の名称とその連絡先 ◎ ◎ 養殖業者の出荷先の施設や船舶 ◎ 収獲日又は期間 ◎ ◎※2 SIMP においては養殖施設からの出荷日 出荷先の場所 ◎ 魚種名 ◎ ( ク ロ マ グ ロ) 収獲段階の重量 ◎ ◎ 当該養殖業者が当該日(又は期間)に陸揚げ した当該魚種の収獲時点の重量。ただしクロマ グロの場合は、当該魚種の合計重量ではなく、 証明の対象となる魚体の重量でもよい。 収獲時の水産物の形態 ◎ ラウンド・ドレス等の別 凡例 ◎:必須。 〇:任意。 ※1 養殖であっても天然の幼稚魚を育成する場合は、幼稚魚が我が国周辺海域で漁獲されたことが確認 できる書類が必要(完全養殖の場合は不要)。 ※2 くろまぐろ要領では、養殖は「水揚げ報告書」等の署名入りの書類に記載することが必要。 ※3 EU の IUU 漁業規則は、稚魚又は幼生を養殖して生産された養殖水産物及び当該養殖水産物を原料 とする調製品は対象外のため、この表には掲載していない。

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32 3.2 事業者間の情報や書類の提供 3.2.1 漁獲(収穫)・陸揚げ情報の提供 情報提供は、水産物を取引した事業者の間で順に行うのが基本です。 どのようなタイミング(出荷の都度提供する、問合せを受けたら提供する、など)で、ど のような手段(書類を渡す、電子メールで送る、など)で輸出業者に提供するのか、あらか じめ事業者間で相談して決めておきましょう。 なお、情報を提供する漁業者、産地市場荷受・漁協、養殖業者等の協力をスムーズに得ら れるよう、輸出業者等があらかじめ各国等の制度の求めについて説明するとともに、それら の制度に対応し情報提供を行う意思があるか確認することも有効と考えられます。 方法の例1)いつも使っている伝票による情報提供 いつも使っている伝票に、漁獲(収獲)・陸揚げ情報を記載する方法です。その日売り渡 す水産物が輸出することとなる場合に備え、情報を記録し、伝票に記すことになります。 新たな書類を用意する必要がない一方で、伝票に金額が記載されている場合には、第三者 にそのまま提供しづらい、などの問題点があります。 方法の例2)伝票とは別に書類を発行 伝票とは別の様式を用意し、漁獲(収獲)・陸揚げ情報を提供する方法です。 輸出業者等から、その水産物を輸出するので情報を提供してほしいと要望を受けた場合に のみ書類を発行し情報提供することができます。 方法の例3)電子データによる提供 漁獲(収獲)・陸揚げ情報を、出荷の都度、又は問合せを受けてから、電子データとして 次の段階の事業者へ提供する方法です。(詳しくは、「【巻末参考】漁獲(収穫)・陸揚げ情報 の電子データによる提供」で説明します。)

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33 3.2.2 各国等への制度に対応した情報の提供 各制度では、漁獲(収獲)・陸揚げ情報のほか、書類や記録も求められています。必要な 書類・記録の種類は制度ごとに定められています(2.1.3、2.2.4、2.3.4 参照)。陸揚げ・ 収獲から輸出業者の前までのサプライチェーンの各段階の事業者は、輸出業者の求めに対応 し、書類や記録を提供します。 表 3.3 漁獲(収獲)・陸揚げ情報を求める制度と提供方法 制度 漁獲(収獲)・陸揚げ段階の情報提供する主体と提供相手、提供形式 EU/IUU 漁業規則 ・日本側の輸出業者が、漁獲・陸揚げ情報を記載した書面により、漁獲証明を国 (水産庁)に申請。発給された証明書をEUの輸入業者(EU 向けの製品を製 造する第三国に輸出する場合は、その加工業者を通じて EU の輸入業者)へ提 供。 ・EU の輸入業者が証明書(書面)を輸入国の関係当局に提出。 米国/SIMP ・米国側の輸入業者が、漁獲(収獲)・陸揚げ情報を含むデータを、米国関税・ 国境取締局が定める電子データにより、ACE(米国関税・国境取締局が管理す るコンピュータシステム)に登録。 (輸出国の業者が米国の輸入業者に対して提供する漁獲・陸揚げ情報の形式につ いては、SIMP による定めはないが、米国当局によってモデル(Model Catch Certificate)が示されている。2.2.3 参照) マグロ等の漁獲・統 計証明制度 ・日本側の輸出業者が、漁獲・陸揚げ情報が記載された漁業者等による書類を添 えて、書面により国(水産庁)に申請。発給された証明書を輸入国の輸入業者 へ提供。 ・輸入国の輸入業者が証明書(書面)を輸入国の関係当局に提出。 ・大西洋クロマグロに関しては、ICCAT によるクロマグロの電子漁獲記録シス テム(eBCD システム)を通じて申請し、水産庁から認証を受ける方式に移行 中(正当な理由により eBCD システムの利用が困難な場合を除く)。

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34 漁獲証明書が必要な場合(EU 向け及びマグロ類) EU/IUU 漁業規則においては、輸出業者が所定の様式にこれらの情報を記載し、そこに日 本の証明機関である水産庁が署名や捺印をして輸出業者に返します。輸出業者はそれを EU の輸入業者(EU 向けの製品を製造する第三国に輸出する場合は、その加工業者を通じて EU の輸入業者)に提供することになります。 EU 向けの漁獲証明書とマグロ類の漁獲証明書の発給申請に必要な添付書類は、輸出に先 立って、申請時に発給申請書に添えて提出する必要があります。漁獲(収獲)や陸揚げの段 階の事業者でなければ作成・提供できない書類もあることから、事業者間の連携が不可欠で す。 特に生鮮で輸出する場合は、添付書類の提供が遅れると輸出自体が遅れてしまいますので、 迅速に書類をそろえることができるよう、事業者間の協力が求められます。 米国向けの場合 米国 SIMP のための CoC 記録は、制度上、輸入手続をする前までに米国の輸入業者が所 持していればよいことになっています。輸入手続に間に合うよう、事業者間で記録を提供し ます。 また、制度上、書面である必要はありません(PDF 等の送信でも構いません)。米国の輸 入業者は漁獲(収獲)・陸揚げ情報を電子データにより米国関税・国境取締局の情報システ ムに登録するので、米国の輸入業者は、輸出国の事業者から電子データによる情報提供を受 けることを望むと考えられます。

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35 3.3 各事業者における識別と対応付け 3.3.1 識別と対応付けの必要性 水産物は、漁獲(収獲)・陸揚げされてから製品となって輸出されるまでの間に、選別、 下処理、凍結・解凍、製造・加工といった行程を経ます。それらの行程において、複数の原 料の単位が統合される場合や、逆に一まとめになっていた原料の単位が複数の単位に分割さ れる場合もあります(図 3.1)。 2で説明した制度はいずれも、輸出する製品が由来する陸揚げ・収獲の情報だけでなく、 記録に基づき「確かにその陸揚げ・収獲に由来している」と説明できることを求めています。 各制度は、輸出国における具体的な取組手法までは定めていませんが、その説明を可能にす る基本的な方法が、「識別」と「対応付け」です。 以下、識別単位を「ロット」、識別記号を「ロット名」と呼んで説明します。 図 3.1 漁獲・陸揚げした水産物が製品となり輸出されるまでのものの流れ(例) 日本の漁船 産地市場 荷受・漁協 輸入業者 仲買業者、 冷凍業者など 製造・加工業者 輸出業者 外国の漁船 輸出先国 外国の出荷者 卸売業者

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36 Q&A 8 NOAA の web サイトで公開されている。 http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/NMFS_ModelCatchForm.pdf 9 ICCAT による 2011 年の勧告(11-20)の Part1 第 9 項による。 https://www.iccat.int/Documents/Recs/compendiopdf-e/2011-20-e.pdf Q 牛肉や加工食品と違い、生鮮の水産物に固有の記号をつけて流通させるのは難しいのではあ りませんか。 A 確かに日本国内では、加工品にロット名などの記号(製造所固有記号や日付表示の組合せ が識別記号の役割を兼ねる場合もあります)の容器・包装への表示が普及している一方で、 生鮮の水産物の容器・包装への識別記号の付与は、あまり普及していませんが、図 3.3 のよ うに取引の単位を特定できる番号を記載した伝票を提供しているならば、この番号を識別記 号として利用することができます。 Q 漁獲(収獲)・陸揚げ情報や漁獲証明書にもロット名を記載すべきですか。 A 漁獲(収獲)・陸揚げ情報にロット名を記載することは、輸出する上で必須というわけでは ありませんが、モノと情報の対応付けを容易にし、情報を整理・検索するのにも役立つので、 よい方法です。

米国 SIMP では、NOAA は輸出国の事業者に対して示した雛型 Model Catch Certificate8

において、固有の識別記号を割り当てることを推奨しています。

漁獲証明書には、EU 向け・クロマグロ用いずれも、ロット名を記載する欄はありません。 その一方で、証明書の固有番号を記します。

クロマグロの漁獲証明制度においては、漁獲記録(Bluefin Catch Document)に固有の 識別番号を割り当てることが定められています9

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37 3.3.2 漁業者と産地市場荷受・漁協などの出荷先における識別と対応付け(漁獲された水産物) 漁業者の取組 漁業者は、漁獲し陸揚げした水産物を卸売業者等へ出荷するほか、産地市場荷受・漁協等 に出荷する場合がありますが、通常、その場合には産地市場荷受・漁協等が取引の単位ごと に、魚種名や重量を記録しており、漁業者は漁船名(又は漁業者名)・日付・品名・荷受業 者・数量が記載された「仕切書」等の名称の伝票を受け取っています。 このような場合、漁獲し陸揚げした水産物は、取引の単位として識別されていると言えま す(図 3.2 の F1 や F2)。 図 3.2 海面漁業及び産地市場荷受・漁協等における識別と対応づけ 漁獲物 F1 陸揚げ 漁獲 漁業者 A1 F2 A3 F1 産地市場荷受・漁協等 F2 A3

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38 産地市場荷受・漁協等における識別 産地市場荷受・漁協等では、販売した単位ごとに、「仕切書」「販売明細書」「販売目録」 といった伝票に記載し、漁船(荷主)と買受人(仲買業者、加工業者)に渡しています。 図 3.3 は、ある産地市場荷受・漁協が買受人に渡している「販売目録」(例)です。 こうした伝票に通常1行で記載される単位を、ロットとします。ここでは「産地市場ロッ ト」と呼びます。 「荷受業者名(又は事業者コード)+取引年月日+札番号」の組合せを、トレーサビリテ ィのためのロット名として使うことができます。 函詰め等された水産物の場合には、その函等に、ロット名を表示することで対応すること が考えられます。一つの大きなロットを出荷先の事業者が手配したトラック1~数台分に積 んで運ぶ場合には、伝票にロット名を記載して伝えることも可能です。 産地市場荷受・漁協等は、この産地市場ロットに表 3.1 の項目を対応付け、買受人へ情報 提供します(ただし EU/IUU と米国 SIMP の場合、陸揚げ重量は、その漁船がそのときに陸 揚げした同じ魚種の重量全体であることに注意が必要です)。 図 3.3 産地市場荷受・漁協が発行し、買受人に渡している「販売目録」(例) 買受人 発行日** No.***

○○○ 殿

取引日 品名 船名 規格・ 品質 号数 個数 数量 単価 金額 産地・ 漁場 札番号 ***** ○○ **○丸 ** ** * * **** **** ○○産 *** ***** ○○ **○丸 ** ** * * **** **** ○○産 *** ***** ○○ **○丸 ** ** * * **** **** ○○産 *** ***** ○○ **○丸 ** ** * * **** **** ○○産 *** ***** ○○ **○丸 ** ** * * **** **** ○○産 *** 小計 * **** ○○○○○○○○ 消費税 **** 〒…   TEL… FAX… 総合計 ** ****

販売目録

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39 大間漁業協同組合(青森県大間町)は、組合員が一本釣りや延縄により漁獲したクロマグロを陸 揚げし、東京・築地をはじめとする消費地市場に出荷しています。消費地市場の仲卸業者が仕入れ たクロマグロは解体され、一部がアメリカ、アジアなど諸外国に航空便で輸出されています。 大間漁協は、地元で漁獲したクロマグロを「大間まぐろ」として地域団体 商標登録した平成 19 年から、魚体 30kg 以上の全てのクロマグロ1本ごと に、「管理番号」の入ったラベルを貼付しています。管理番号は、商標登録 以来の通し番号です。魚体のホホにラベルを貼付するほか、漁協から消費地 市場に出荷する箱や出荷伝票にも、管理番号を記載しています。 大間漁協は1本ごとに、管理番号、陸揚げ日、重量、漁業者名、漁具、出 荷日、出荷先名等を記載した台帳「まぐろ管理表」を備えています。したがって、流通先の業者か ら問合せを受けたときには、管理番号さえわかれば、そのマグロの漁獲・陸揚げ情報とともに、そ のマグロが確かに「大間まぐろ」であると伝えることができます。 コラム 【取組事例】陸揚げされたクロマグロの識別

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40 3.3.3 養殖・収獲段階における識別と対応付け(養殖水産物) 養殖生産し、活魚・活貝を出荷する場合 養殖業者が養殖した水産物を活魚・活貝として出荷する場合には、同じ養殖施設から、同 じ日・同じ相手に出荷した、同じ魚種の水産物のまとまりを1つのロットとします(ここで は養殖出荷ロットと呼びます)。 水産物そのものにロット名を表示するのが困難であれば、伝票にロット名を記します。 養殖・収獲段階の事業者は出荷業者・加工業者等に対し、この養殖出荷ロットごとに、表 3.2 の項目を情報提供することとなります。 図 3.4 養殖業における識別と対応付け:活魚・活貝の出荷 養殖業者が製品にした上で出荷する場合 養殖業者が締めや殻剥きなどの処理をし、タンクに入れたり、函詰めした製品にするなど して次の事業者に出荷する場合には、同じ養殖施設から、同じ日・同じ相手に出荷した、同 じ魚種の水産物のまとまりを1つのロットとします。 養殖・収獲段階の事業者は、出荷業者・加工業者等に対し、この養殖出荷ロットごとに、 表 3.2 の項目を情報提供することとなります。 図 3.5 養殖業における識別と対応付け:製品の出荷 養殖出荷ロット A1 養殖 養殖業者の施設 A1 出荷業者、加工業者など 生簀な ど 活出荷 A2 A2 養殖出荷ロット 養殖 養殖業者の施設 出荷業者、加工業者など 生簀な ど 製品 A3 A4 A3 A4 締め

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41 A1 製造ロット 入荷ロット B1 A2 B2 A3 出荷 入荷 事業者 入荷品の識別 入荷先 B1 B2 出荷先 製造などの行程 入荷 記録 製造記録 出荷記録 A3 製品の識別 入荷ロットと入荷先 の対応付け 3.3.4 製造・加工業者や卸売業(仲買業者を含む)における識別と対応付け 図 3.6 各事業者が行う識別と対応付け 入荷品の識別と、入荷先との対応付け 各事業者は、入荷先のロットを引き継いで「入荷ロット」とします。その入荷ロットに新 たにロット名を割り当てます(入荷品の識別)。又は入荷先が定めたロット名をそのまま利 用することもできます。そして、そのロットをどこから仕入れたか記録します(入荷ロット と入荷先の対応付け)。 製品の識別(製品を製造・加工した場合等)、入荷ロットと製造ロットの対応付け 製品を製造・加工した事業者は、その製品のロット(製造ロットと呼びます)を定め、ロ ット名を割り当てます。ロット名を表示するのが困難であれば、出荷先に渡す伝票にロット 名を記載します(製品の識別)。選別や函詰めにより、ロットが変わる場合も同じです(そ のロットを「選別・函詰めロット」と呼びます)。 また、新しいロット(製造ロットなど)に対応する元のロット(入荷ロットなど)を対応 付けて記録します(製造業者ならば「入荷ロットと製造ロットの対応付け」。卸売業による 選別・函詰めの場合には「入荷ロットと選別・函詰めロットの対応付け」)。 入荷ロットと製造ロット の対応付け 製造ロットと出荷先 の対応付け

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