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3 各国等の制度に対応するための取組

3.1 漁獲(収獲)・陸揚げ段階の事業者が記録すべき情報

天然水産物の場合、漁業者や産地市場荷受・漁協など陸揚げ段階の事業者が漁獲・陸揚げ 情報として記録すべき情報項目は、表 3.1 のとおりです。

養殖水産物の場合、養殖や陸揚げ・締めなどを行う事業者が記録すべき情報項目は、表 3.2 のとおりです。

同一の漁業者にとって常に変わらない情報(例:漁船登録番号、漁業の免許・承認、漁具・

漁法など)は、必ずしも漁獲・陸揚げの都度記録する必要はありません。

輸出が見込まれる品目・魚種については、出荷に併せこれらの情報を提供したり、輸出業 者からこれらの情報を提供するよう依頼を受けた場合を想定し、足りない情報がないか、確 認しましょう。足りない情報がある場合は、追加して記録するよう、手順や様式を整えまし ょう。その他の品目・魚種についても、依頼があった場合の備えとして、共通の取組を理解 しておくことが望まれます。

Q 漁業者自らが記録を作成しなくても、産地市場荷受・漁協からもらう「仕切書」を保存する だけでもよいですか?

A 漁獲水域、漁具・漁法、漁獲日といった情報は、漁業者にしか分からない情報であり、漁業 者が記録するのが基本です。

ただし、沿岸での小規模な海面漁業・内水面漁業のように、1航海が1日・1晩のみなど 短期間であって、漁獲する水域と漁具・漁法がいつも同じであり、産地市場等に直ちに陸揚 げし出荷する場合には、「出荷記録」(例えば産地市場荷受・漁協の発行する仕切書)があれ ば、漁業者自らが記録をしなくても十分な場合があります。

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表 3.1 漁獲・陸揚げ段階の事業者が輸出のために記録すべき情報項目(天然水産物の場合)

情報項目 必要性

EU/IUU 米国 SIMP クロマグロ 備考

漁獲した漁船

漁船登録番号 ○※1

漁業の免許・承認 ○※2

漁獲水域 免許・承認された水域で操業された旨が

分かるよう水域名を記載。

漁具・漁法

漁獲日又は期間

陸揚げ先事業者とその連絡先 陸揚げ先の産地市場荷受・漁協等の名

称とその連絡先 陸揚げ先・出荷先の施設や船舶

陸揚げ日又は期間 ◎※3

陸揚げ港(又は出荷場所) ◎※3

魚種名 (固定) 魚種を特定できる名称

推定原魚重量

陸揚げ段階の重量

当該漁船が当該日(又は期間)に陸揚 げした当該魚種の陸揚げ時点の重量。

ただしクロマグロの場合は、当該魚種の 合計重量ではなく証明の対象となる魚 体の重量でもよい。

陸揚げ時の水産物の形態 ラウンド・ドレス等の別

凡例 ◎:必須。○:任意。

※1 IMO 番号を有している場合は、IMO 番号を記載すること。(その際は「IMO」と記載し、この後に 番号を記載すること)IMO 番号を有しない場合は、日本の漁船登録番号を記載すること。

※2 漁業の免許・承認を有している場合は必須

※3 洋上で漁船から運搬船等に積み替える場合は、その日や運搬船名

注1)マグロ類の漁獲証明制度については、クロマグロ以外の魚種も内容はおおむね共通していますが、

適切な記入のためには各魚種の要領を参照してください。

注2)この表からは、一つの制度でしか求められておらず、かつ漁船・陸揚げ段階の業者にとって漁獲・

陸揚げの都度記録する必要がないと考えられる項目を省いています。具体的には以下の項目です。

EU/IUU:漁船の母港、漁船のコールサイン(所有している場合)、漁船の IMO/Lloyd’s 番号(所有し ている場合)、漁船のその他の情報(所有している場合。インマルサット番号、FAX 番号、

電話番号、電子メールアドレス)

米国 SIMP:漁獲記録識別番号、養殖・天然の別、漁船の旗国。

30 Q&A

Q 1つの漁船から同じ日に陸揚げされた同じ魚種の水産物が、複数のロットに分けて販売され た場合、「漁獲・陸揚げ情報」の重量は、取引したロットの重量でよいですか?

A EU/IUU 漁業規則及び米国 SIMP のための「推定原魚重量」「陸揚げ段階の重量」は、1漁 船から同じ日(又は期間)に陸揚げされたその魚種の合計重量である必要があります。その 漁船に由来する同一の魚種で他のロットで販売された場合には、それらの重量も合わせた合 計値を、重量として提供します。

Q 複数の魚種が混ざったままの状態で取引される場合があります。その場合は、魚種ごとの重 量が分かりません。「漁獲・陸揚げ情報」の魚種ごとの重量を、どのように定めたらよいですか。

A 2で述べた制度に対応して輸出する上では、産地市場荷受・漁協の段階で魚種ごとに選別し 計量するなどによりその魚種の重量を明らかにする必要があります。

Q 小規模かつ複数の漁船が同じ日・同じ漁港に陸揚げし、一まとめにして販売した場合、各漁 船の「漁獲・陸揚げ情報」を提供することが必要ですか。

A 各漁船の漁獲・陸揚げ情報を提供するのが基本です。ただし、一定の条件を満たす場合、個 別の漁船の情報など一部の情報が免除される仕組みがあります。

EU/IUU の場合、以下の要件のいずれかを満たす漁船の場合、小規模漁船とみなされ、簡 易漁獲証明書様式を使うことができ、その場合は漁獲年月日・陸揚げ年月日、漁船の船長や 船主による署名などが不要です。各漁船の名称や陸揚げ重量を併記する必要があります。

① 牽引漁具を搭載していない全長12m未満の漁船

② 牽引漁具を搭載している全長8m未満の漁船

③ 甲板上に構造物がない漁船

国際総トン数20トン未満の漁船

米国 SIMP の場合、各漁船がいずれも小型漁船(総容積トン数 20 トン以下、又は全長 12 メートル以下)である場合には、統合漁獲報告書で報告することができ、各漁船の名称や個 別漁船の漁獲数量は不要です。ただし、陸揚げ重量の合計と、入荷先数(漁船が入荷先であ る場合には、その日に陸揚げし入荷先となった漁船の数)が必要です。表 2.5 の「※1」も 参照してください。

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表 3.2 養殖・収獲(陸揚げ・締めなど)を行う事業者が輸出のために記録すべき情報項目

(養殖水産物の場合)

情報項目 必要性

米国 SIMP クロマグロ 備考 幼稚魚を漁獲した漁船 ◎※1,2 幼稚魚を漁獲した漁船のコード ◎※1,2 幼稚魚を漁獲した漁船の免許・承認 ◎※1

幼稚魚の漁獲水域 ◎※1,2

幼稚魚漁獲の漁具・漁法 ◎※1,2 幼稚魚の漁獲日又は期間 ◎※1,2

養殖施設の管轄範囲 ◎※2 都道府県名

養殖施設の許可・承認 クロマグロにおいては漁業権者及び免許番号

養殖施設の名称と所在地 ◎※2

養殖業者の販売先の名称とその連絡先 ◎ 養殖業者の出荷先の施設や船舶

収獲日又は期間 ◎※2 SIMP においては養殖施設からの出荷日

出荷先の場所

魚種名 ( ク ロ マ グ

ロ)

収獲段階の重量

当該養殖業者が当該日(又は期間)に陸揚げ した当該魚種の収獲時点の重量。ただしクロマ グロの場合は、当該魚種の合計重量ではなく、

証明の対象となる魚体の重量でもよい。

収獲時の水産物の形態 ラウンド・ドレス等の別

凡例 ◎:必須。 〇:任意。

※1 養殖であっても天然の幼稚魚を育成する場合は、幼稚魚が我が国周辺海域で漁獲されたことが確認 できる書類が必要(完全養殖の場合は不要)。

※2 くろまぐろ要領では、養殖は「水揚げ報告書」等の署名入りの書類に記載することが必要。

※3 EU の IUU 漁業規則は、稚魚又は幼生を養殖して生産された養殖水産物及び当該養殖水産物を原料 とする調製品は対象外のため、この表には掲載していない。

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3.2 事業者間の情報や書類の提供

3.2.1 漁獲(収穫)・陸揚げ情報の提供

情報提供は、水産物を取引した事業者の間で順に行うのが基本です。

どのようなタイミング(出荷の都度提供する、問合せを受けたら提供する、など)で、ど のような手段(書類を渡す、電子メールで送る、など)で輸出業者に提供するのか、あらか じめ事業者間で相談して決めておきましょう。

なお、情報を提供する漁業者、産地市場荷受・漁協、養殖業者等の協力をスムーズに得ら れるよう、輸出業者等があらかじめ各国等の制度の求めについて説明するとともに、それら の制度に対応し情報提供を行う意思があるか確認することも有効と考えられます。

方法の例1)いつも使っている伝票による情報提供

いつも使っている伝票に、漁獲(収獲)・陸揚げ情報を記載する方法です。その日売り渡 す水産物が輸出することとなる場合に備え、情報を記録し、伝票に記すことになります。

新たな書類を用意する必要がない一方で、伝票に金額が記載されている場合には、第三者 にそのまま提供しづらい、などの問題点があります。

方法の例2)伝票とは別に書類を発行

伝票とは別の様式を用意し、漁獲(収獲)・陸揚げ情報を提供する方法です。

輸出業者等から、その水産物を輸出するので情報を提供してほしいと要望を受けた場合に のみ書類を発行し情報提供することができます。

方法の例3)電子データによる提供

漁獲(収獲)・陸揚げ情報を、出荷の都度、又は問合せを受けてから、電子データとして 次の段階の事業者へ提供する方法です。(詳しくは、「【巻末参考】漁獲(収穫)・陸揚げ情報 の電子データによる提供」で説明します。)

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