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DSpace at My University: 英語教育リレー随想 10号(2010.11) 「若者よ、海外に出よ」

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英語教育リレーエッセイ 2010-November 東條加寿子 ―「若者よ、海外に出よ」― 2010 年のノーベル化学賞を日本人研究者二人が受賞した。このうち、アメリカパデュー 大学で研究生活を続ける根岸英一さんが受賞記念の座談会の中で、「若者よ、海外に出よ」 と述べたことは記憶に新しい。根岸さんは、「たとえ海外で成功しなくとも、一定期間日本 を外側からみるという体験は、何にもまして重要なはず」と続けて、若者の奮起を促して いる。 根岸さんが若者に送るエールに反して、最近の若者は内向きである。文部科学省等によ ると、日本から海外に留学する学生(高校生以下を除く)は、1983 年の 18,066 人から 2004 年にピークの 82,945 人を記録したが、その後は減少が続き 2007 年は 75,156 人に留まって いる。産経新聞(2010 年 7 月 22 日、朝刊)は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)によ る海外留学学生数の調査結果(2009 年)を紹介し、日本は調査対象 57 カ国・地域中、41 位に低迷していること述べている。また、米国の国際教育研究所がまとめた 2008~2009 年 の米国への留学者数は、日本が前年比 14%減の 29,264 人だったのに対し、中国は 21%増 の 98,510 人、韓国は 9%増の 75,065 人だったことを報じ、中国や韓国の米国留学者数の躍 進に比べて、日本の米国留学者数が著しい減少傾向にあるとしている。同紙は続いて、海 外赴任を希望する若手社員・職員の激減を嘆く大手商社の役員や外務省幹部の声を紹介し、 若者の内向き志向は社会のグローバル化が進む中で日本の将来にかかわる深刻な問題であ ると述べている。 なぜ、日本の若者は内向きなのか。根岸氏も指摘しているように「日本はすごく居心地 がいい社会」であるのかもしれない。日本では、企業活動にしても学術研究にしても一定 レベルは国内で完結できる環境があり、わざわざ海外に出なくてもという考えになってし まう。海外に出る必然性が低い上に、海外で必要となる英語力も十分でないというわけで ある。 一方、今年になって楽天やファーストリーテーリングが相次いで社内の英語公用語化を 発表し、最も新しいところでは 10 月 27 日にシャープが研究開発部門で英語を社内公用語 化する方針を固めたことを発表した。経済のグローバル化の中、国際競争力をもって事業 を国際展開するためには共通語は「英語」でなければならないという判断である。 ここで社内英語公用化の動向と若者の内向き志向傾向を突き合わせてみると、両者はあ まりにも不整合である。若者は志において外に向かっていないにもかかわらず、時代は世 界を活動の場としなければ勝ち抜けないと叫んでいる。大いなる皮肉、大いなる矛盾であ る。その一方で両者はいずれも「日本人の英語」の問題が大きく関わっており、そのこと はとりもなおさず、英語教育の現場にいる私たちの問題である。 昨今の英語教育の議論ではコミュニケーション能力の育成が叫ばれているが、授業の中

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でコミュニケーションをプラグマティックに扱いすぎていないか。英語でコミュニケーシ ョンすることができれば、いろんな国の人との議論によっていろんな考え方が学べる、日 本を外から見ることができる、自分の力を最大限に試してみることができる。英語でコミ ュニケーションすることの一歩先への想像力を涵養する授業をしたいものである。ボーダ レスな情報化時代では時空を超えて膨大な情報が行き交い、国境を越えなくても情報を取 得して擬似体験をすることができる。しかしその利便性によって、実際に自分で体験した いという憧れや志が希薄になってはならない。「若者よ、海外に出よ。」その志に資する英 語教育であれ。

参照

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