5 章 第三次地雷除去機材整備計画
5.1 案件概要 1. 背景
カンボジア国内の地方部には内戦時に埋設された地雷が400 から 600 万個、不発弾が 240 万
個以上存在すると推定されている。2000 年から 2001 年にかけてカナダの支援を受け実施され た全国地雷・不発弾汚染状況調査(National Level One Survey, L1S)によると、2002 年時点でも
カンボジアの1,366 か村、カンボジアの国土の約 2.5 パーセントにあたる 425,169 ヘクタールが 汚染地域となっている。 1991 年の内戦終結から 10 年以上経過した今なお、特に地方部において地雷・不発弾による 被害が発生しており、2000 年以降も年間数百人が犠牲となっている。住民の安全な生活を確保 し、地方部への帰還、再定住を促進するためにも地雷・不発弾除去処理問題の解決はカンボジ ア国の緊急課題のひとつとなっている。
この課題に対応するため、1992 年にカンボジア地雷対策センター (Cambodian Mine Action
Centre, CMAC)が設立された1。2000 年に設立されたカンボジア地雷対策・被害者支援機構
(Cambodian Mine Action and Victim Assistance Authority, CMAA)の調整の元、CMAC はカンボ ジア軍及び非政府組織(NGO)とともに埋設地雷・不発弾の調査及び除去活動の主要な担い手 となっている。 このような背景の下、カンボジア国は「地雷除去活動支援機材整備計画」を策定し、我が国 に対して必要機材の調達に係る無償資金協力を要請してきた。これを受けて我が国は 2000 年 までに第一次(1999 年(E/N)、4.7 億円)第二次(2000 年(E/N)、3.3 億円)と二度に渡り地 雷除去活動機材整備計画を実施し、調達された機材は CMAC の主力機材として活用されてい る。 地雷除去活動の結果、地雷による被害者数は年々減少傾向にあったが、2000 年代始めにかけ て CMAC では財政難と地雷除去機材の老朽化による作業効率の低下が問題となった。そのた め、カンボジア国政府は老朽化した機材の更新及び地雷除去をより効率的かつ安全に行うため の機材整備のための資金について、2000 年 7 月に無償資金協力による支援を要請してきた。本 案件はこの要請を受け、2003 年に第三次地雷除去活動機材整備計画として実施されたものであ る。 2. 協力内容 老朽化した CMAC の機材の更新、及び地雷除去をより効率的かつ安全に行うための機材の 調達を行う。
1 CMAC は 1992 年時点では国連カンボジア暫定統治機構(United Nations Transitional Authority in Cambodia, UNTAC)内の地 雷除去訓練所として設立され、翌1993 年に UNTAC より権限委譲、1995 年に首相直轄の独立機関となった。
(注)本案件は外務省評価案件であり、外部の専門家によるプロジェクト・レベル事後評価を実施したものです。(本評価結果は外務省のホーム ページにて公開されている2007年度の無償資金協力におけるプロジェクト・レベル事後評価報告書(カンボジア)に掲載されています。)
3. 期待される効果 (1)テントの設置による宿泊地とサイト間の移動時間の短縮 (2)地雷探知機の導入による地雷除去作業の効率化 (3)地雷防護具着用による安全性の向上 (4)無線機・移動車両の導入による連絡・移動・運搬機能の向上 (5)コンピューター・発電機の設置によるデータ分析作業の効率化と促進 (6)車両整備工具による車両の安全性向上 4. 裨益効果 (1)国民の安全な環境の保障 (2)土地なし農民の再定住の促進 (3)農村部の社会経済環境の向上 5. 実施機関
カンボジア地雷対策センター (Cambodian Mine Action Centre, CMAC)
6. 協力にかかる実施経緯 簡易機材案件調査:平成13 年(2001)11 月 17 日- 12 月 5 日 E/N 署名日:平成 14 年 (2002) 6 月 13 日(E/N 供与限度額:7.98 億円) 引渡式: 平成 15 年 (2003) 4 月 10 日 完了日(研修終了日): 平成 15 年 (2003) 10 月 11 日(機材) 平成15 年 (2003) 10 月 3 日(潅木除去機) 7. 施設・設備の概要 主要機材の概要は下表に示す通り。 表5.1.1 第三次地雷除去活動機材整備計画 主要機材の概要 機材名 機材名 数量 (Lot 1)
1 テント New Pipe Tent 2x4 special/ Takashima & Co., Ltd. 116 sets 2 VHF トランシーバー VX-160V/ Vertex Standard Co., Ltd. 200 units 3 発電機350KVA DCA-400SPKII/ Denyo Co., Ltd. 1 unit 4 発電機250KVA DCA-300SPKII/ Denyo Co., Ltd. 1 unit 5 発電機10KVA DCA-13SPY/ Denyo Co., Ltd. 6 units 6 PPE ベスト ASAD2000/ Cambodian Demining Workshop 700 psc 7 PPE バイザー Cambodian Demining Workshop 2000 psc 8 トラック&トレーラー EXZ81K/ Isuzu Motors Ltd. 2 units 9 ワークショップ機材 BF-0102, BF-0201, BF-0305/ Maruma Technica
Co., Ltd.
10 デスクトップコンピューター 1
EVO D380M/ Hewlett Packard Company (Compaq)
16 units 11 デスクトップコンピューター
2
EVO W4000/ Hewlett Packard Company (Compaq)
3 units 12 データベースサーバー TC 3100/ Hewlett Packard Company 1 unit 13 ノート型コンピューター EVO N1000V/ Hewlett Packard Company 5 units 14 プリンター1 LaserJet 1220/ Hewlett Packard Company 5 units 15 プリンター2 Laser Jet 8550dn/ Hewlett Packard Company 1 unit 16 デジタルカメラ Coolpix 2500/ Nikon Corporation 8 units 17 無停電電源装置 Silcon 20KHB3/ American Power Conversion
Corporation
2 units 18 コンピューター周辺機器 10/100 LAN CasrdBus PC Card etc./ 3Com
Corporation
1 set 19 ペンプロッター GX3100T-51/ Graphtec Corporation 1 set 20 デジタイザー KD5000/ Graphtec Corporation 1set 21 ソフトウェア Auto CAD 2002/ Autodesc Inc. 1 set (Lot 2)
1 ピックアップトラック Toyota Motor Corporation 28 units (Lot 3)
1 地雷探知機 F1A4-J/ Minelab Electronics Pty. Limited 400 units (Lot 4)
1 潅木除去機 ZX160LC/ BM307-SG16/ Yamanashi Hitachi Construction Machinery Co., Ltd
8 units
出所:平成14 年度カンボジア王国「第三次地雷除去活動機材整備計画」完了届 平成 15 年 12 月
8. 調達業者
簡易機材案件調査実施コンサルタント:財団法人 日本国際協力システム 調達業者:伊藤忠商事株式会社(Lot 1, Lot 3)、豊田通商株式会社(Lot 2, Lot 4)
5.2 案件の評価 1. 案件の妥当性 (1) カンボジア政府の政策との整合性 カンボジアは1999 年に対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)に批准している。同条約は「自 国の管理下にある地雷敷設地域の対人地雷を遅くとも 10 年以内に廃棄、または廃棄を確保す る」ことを目標としており、カンボジアは 2009 年までに対人地雷の廃棄を確保することを求 められている。 2000 年の国連サミットでのミレニアム宣言に基づく「ミレニアム開発目標」においては、各 国共通の8 分野における目標に加え、カンボジアは 9 番目の目標として地雷・不発弾の除去及
び被害者支援を加えている。具体的には、’Cambodian Millennium Development Goals Report 2003’ において、以下の上位目標を挙げている。
1) 2012 年までに地雷・不発弾の汚染影響をゼロ(zero impact)にする
2) 2025 年までに地雷・不発弾による非人道的・社会経済的影響を排除する2
その後、2003 年には「国家地雷活動戦略プラン(National Mine Action Strategy)」が策定され、
「2012 年までに犠牲者ゼロ、2015 年までに汚染影響ゼロ」の国家目標の元、5 カ年計画を策定
している3。
以上を勘案すると、本案件は案件計画時において地雷除去に関連するカンボジア側の総合的 な方針・ニーズに合致していたと判断することができる。
(2) 我が国の援助方針との整合性、及び他ドナーの支援との協調
E/N 署名時における我が国 ODA の基本文書である政府開発援助(ODA)大綱は、基礎生活
分野への支援を5 項目の重点項目のひとつとして挙げている。カンボジアにおいては埋設され た地雷及び不発弾が農業振興やインフラ整備の妨げとなっており、持続的な経済成長と安定し た社会の実現のためには地雷問題への包括的支援が必要である。よって、地雷除去を安全かつ 効率的に行うための機材整備を行う本案件は我が国ODA 大綱で示された重要項目に合致して いると判断できる。 さらに、我が国は地雷問題への取り組みとして、1997 年 3 月に「対人地雷に関する東京会議」 を開催し、「犠牲者ゼロ」を目標とする国際協力の指針として「東京ガイドライン」をとりま とめている4。また、1999 年 8 月に策定された我が国 ODA 中期政策は重点課題のひとつとして、 「戦争・災害と開発」を取り上げ、対人地雷除去・犠牲者支援の具体的な支援の方策として、 以下を示している。 1) 除去作業関連機材の供与等を通じる対人地雷除去を支援する 2) 救急医療・リハビリ体制の強化を図る 3) 被災者の社会復帰・職業訓練等を通じる地雷被災者の支援を行う 4) 他の援助国・国際機関や NGO との協力を重視する 本案件はこうした我が国の地雷問題への取り組みの一環であり、我が国 ODA の方針にも整 合していることから、妥当であったと判断できる。
CMAC への他ドナーの支援としては、国連開発計画 (United Nations Development Program, UNDP)、国連児童基金(United Nations Children’s Fund, UNICEF)といった国連機関、日本、米
国、ドイツ等の二国間援助、さらにNGO による支援が行われており、CMAC 収入に占める各 ドナーの支援は例年 90 パーセント以上に達している。プロジェクト単位での支援、あるいは ドイツのようにひとつの地域支部の運営自体を支援する他ドナーに対し、我が国の無償資金協 力は機材整備に特化していることが特徴的である。 2 カンボジア政府は 1)については、達成可能性を「困難」、2)については「可能」と予測している。2005 年 10 月に発表さ れた’Achieving the Cambodia Millennium Development Goal – 2005 Update’ によると、CMAA は 1)について 2015 年までの 達成を目指すとし、期限を再設定している。
3 CMAC では「2010 年までに 3,500 の高度汚染村を‘汚染影響ゼロ’(Impact Free)」を目標として定めている。 4 1997 年 11 月にこのガイドラインを実現する一環として、我が国はこの分野で 1998 年から 5 年間を目途に 100 億円程度の
表5.2.1 CMAC 収入における他ドナー支援の内訳(US$, 2002-2006) (US$) 2002 2003 2004 2005 2006 UNDP 6,112,248.61 5,148,453.32 4,265,581.88 3,083,760.49 3,450,000.00 UNICEF 151,913.58 31,959.83 26,824.83 78,186.05 63,012.57 小計 6,264,162.19 5,180,413.15 4,292,406.71 3,161,946.54 3,513,012.57 日本 235,003.00 1,061,061.00 1,574,275.86 2,578,745.00 1,743,060.00 米国 830,209.00 1,220,626.50 1,377,699.75 1,631,602.27 1,883,819.80 独 835,885.00 509,371.00 824,143.00 831,239.18 1,038,000.00 スウェーデン 0.00 8,792.11 0.00 22,943.19 0.00 小計 1,901,097.00 2,799,850.61 3,776,118.61 5,064,529.64 4,664,879.80 NPA 842,309.60 902,511.40 916,309.00 699,771.40 720,421.88 CARE 210,104.79 135,627.00 36,902.54 104,079.60 192,933.00 HI 68,978.00 262,271.72 203,089.49 0.00 0.00 SCN 0.00 0.00 0.00 224,786.00 0.00 JMAS 16,363.72 28,821.28 125,351.13 129,436.67 319,598.00 小計 1,137,756.11 1,329,231.40 1,281,652.16 1,158,073.67 1,232,952.88 225,978.67 193,697.08 75,579.65 244,668.30 214,367.00 85,072.87 -10,923.09 44,153.50 357,528.82 437,446.75 9,614,066.84 9,492,269.15 9,469,910.63 9,986,746.97 10,062,659.00 カ国政府 その他 合計 UN 二国間 NGO
注1: NPA: Norwegian People's Aid(ただし実質はオランダ政府の支援), CARE: Care International, HI: Handicap International, SCN: Save the Children Norway, JMAS: Japan Mine Action Service
注2: 「その他」: 一部処理活動、関連社会開発事業を支援する NGO も含む(ピースボート等) 出所:CMAC 日本は無償資金協力による支援に加え、UNDP 信託基金5への参加、草の根・人間の安全保障 無償資金協力、JICA による専門家派遣等、複数のスキームを活用し CMAC への支援を行って いる。本案件に関連し実施された我が国による関連協力は以下のとおりである。 資金協力 1. 無償資金協力 (1) 一般無償 第一次地雷除去活動機材整備計画 (1998) 4.7 億円 第二次地雷除去活動整備計画 (2000) 3.3 億円 第四次地雷除去活動整備計画 (2004) 17.61 億円 (2) 研究支援無償 地雷除去機・地雷探知機の研究開発に係る現地試験 (2005) 4.16 億円 (3) 草の根・人間の安全保障無償(対人地雷草の根無償) (1999-2006) 累計 9.94 億円 2. UNDP 信託基金への拠出 (1999-2005) 累計 14 億円(11,526,000 ドル) 3. ASEAN 統合基金への拠出 (2006) 技術協力 1. 長期専門家: 2000 年以降延べ 4 名 5 UNDP 信託基金は約 20 カ国の拠出金により運営されている地雷対策に特化した信託基金。以前は CMAC の収入の約 6 割を占め、使途は地雷・不発弾除去活動経費や本部、地方支部事務所経費等、比較的柔軟であった。しかし、2006 年以 降、UNDP ではより結果を重視した支援とすべく、競争による地雷除去機関選定への転換を検討している。日本はアセア ン支援を目的とする日本・アセアン統合基金の設置を契機に2005 年で UNDP 信託基金への拠出を停止し、2006 年以降は 日本・アセアン統合基金を通した支援を行っている。
「維持・輸送技術アドバイザー」2000 年 5 月-2002 年 5 月 「維持・輸送技術アドバイザー」2002 年 12 月-2006 年 12 月 「情報システム上級アドバイザー」2000 年 3 月-2005 年 3 月 「組織運営主席アドバイザー」2006 年 4 月-2008 年 4 月 2. 短期専門家: 1999 年 1 名 「情報システム上級アドバイザー」1999 年 6 月-1999 年 12 月 3. 機材供与 2003 年度、2006 年度フォローアップ協力(機材供与) 累計 8000 万円 2. 施設/機材の適切性・効率性 本案件の実施に先立ち、2001 年 11 月から 12 月にかけて簡易機材案件調査が実施された。案 件実施段階においては、為替変動による機材調達費の増加からスペアパーツの数量を削減した こと、潅木除去機の入札条件変更(刈り取り試験の実施を追加)によるコンサルタント報酬を 見直したことの二点を除いては、簡易機材案件調査で決定された仕様・数量の通り機材が調達 された。 2007 年 11 月時点において、本案件で調達された機材は全て有効に使用されていることが確 認出来ている。スペアパーツの調達に関連した問題点が数点存在するものの、おおむね適切な 選択・投入がなされたと評価できる。本案件により調達された機材とその使用状況は以下に示 すとおり。 (1) テント(116 張)
テントは各地域支部(District Unit, DU)に配布され、地雷除去活動現場近くに設営し宿舎と して使用されるなど、有効に活用されている。 (2) 地雷探知機 (400 台) 本案件により導入された地雷探知機はおおむね有効に利用されている。コンポンチュナンの トレーニングセンターに配属されている維持管理・修理のスタッフが中心となり整備・修理が 行われているが、故障した場合、スペアパーツ調達が困難であるために修理できない場合もあ り、今後の予算措置等対応が求められる。(自立発展性の項目を参照のこと) (3) 4WD ピックアップトラック(28 台) 本案件で導入された28 台すべてが稼動中。配置先にもよるが、CMAC のピックアップトラ ックは年間8000-10,000km を走行しており、有効に活用されている。性能について関係者から 高い評価を受けている。なお、CMAC では車輌等について修理不能、または修理に高額な費用 がかかる(2,500-4,000 ドルの出費が繰り返される見込み)機材については、価格競争を経て一 般または政府機関に売却し、収入計上している。ただし、日本の無償資金協力(第一期-第四期) による車輌については、すべて使用されており売却されたものはない。
(4) 無線機 (200 台) 主に地雷除去作業中の連絡に使用されている。ただし、本 案件で調達された無線機の性能に対する関係者の評価は高 いものの、日本製でバッテリーの現地調達が難しく、また周 波数の関係により警察との無線連絡に使用できないという 問題点が指摘された。適切な選択であるのか再度検討する必 要がある。(自立発展性の項目を参照のこと) (5) 発電機 地雷除去作業地、地雷除去部隊の宿舎、地方での地雷危険 啓蒙活動等に活用されている。 (6) 地雷用防護用具(PPE バイザー2000 個、PPE ベスト 700 着) すべて有効に活用されているが、毎日着用するものである ため耐用期間は比較的短く(バイザーで約 1 年)、既に耐用期間を過ぎたものも多い。ベスト については、外装が破損しても内部緩衝材が使用可能であれば、修理して使用している。 (7) 潅木除去機 (8 台) 本案件で導入された8 台全てが稼動している。 重機の平均的な年間稼動時間は 1200 時間程度と 考えられるところ、CMAC の潅木除去機は年間 1800 時間から 2000 時間稼動しており、十分に活 用されていると判断できる。製造メーカーによる 技術支援も受けている。しかしながら、カンボジ ア国内でのスペアパーツ調達が困難であり、かつ スペアパーツが高価であるとの問題を抱えている (自立発展性の項目を参照のこと)。 なお、我が国無償資金協力による支援機材のう ち、第一次地雷除去活動機材整備計画で調達した 4 台の潅木除去機については、導入から 10 年近く経過しすでに老朽化している。しかし、現在 でも地雷除去に関連した社会開発用の作業や工事に使用されていることからも、機材が良好な 整備を受け、有効に活用されていることが見て取れる。 (8) トラックトレーラ(2 台) 本案件で導入された2 台共に稼動中。 本案件で調達されたバイザー、ベスト、 地雷探知機 バッタンバン州の地雷除去現場で稼動する潅木除 去機
(9) 車輌整備工場用工具 中央整備工場にて活用されている。 (10) コンピューター、プリンター、周辺機器 本部、トレーニングセンター等に配置され、落雷などにより故障中の機器もあるものの、お おむね活用されている。これら機器はすべて本部のインベントリーにて管理されている。地方 に配置された機材は必要な場合プノンペンに送られ、修理が行われている。 なお、2007 年までに我が国は CMAC に対して本案件を含め四次にわたり地雷除去機材整備 の支援を行い、下表に示すとおり、現在の CMAC の主要機材の多くが我が国の支援によるも のである。 表5.2.2 CMAC 保有の主要機材の現況と日本支援機材 フェーズ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 主要 EN (年度) 1998 2000 2002 2004 機材 調達時期 2000.2~5 2001.4 2003.5 2005.4 潅木除去機 4 8 14 26 27 ブルドーザー 2 2 2 ピックアップトラック 11 28 45 84 169 ステーションワゴン 13 21 34 83 救急車 8 12 20 21 カーゴトラック(4t) 50 50 152 トラックトレーラ 2 2 2 6 6 モーターバイク(125cc) 51 51 100 地雷探知機 (F1A4) 200 400 600 1,200 2,377 日本 無償資金 協力 CMAC 所有総数 出所:CMAC 3. 効果の発現状況(有効性) (1) テントの設置による宿泊地とサイト間の移動時間の短縮 地雷除去作業地域は広範にわたるため、CMAC では地雷除去部隊の派遣現場近くにテントを設営 し、作業期間中の宿舎としている。CMAC 本部に よると、我が国無償資金協力によるテント及び発 電機の導入により、現在ではほぼすべての地雷除 去部隊について宿泊地をサイトから車で 30 分以 内の場所に設営することが可能となっている。 地雷除去部隊の宿舎として利用されているテント
(2) 地雷探知機の導入による地雷除去作業の効率化 2001 年度以降、1000 万平方メートル 前後で推移していた CMAC による地 雷除去面積は 2003 年から現在に至る まで増加し、2006 年度には 2571 万平 方メートルの実績を残している。我が 国の無償資金協力による支援のみを反 映 し た 数 字 で は な い も の の 、 現 在 CMAC が保有する地雷探知機のうち、 最も数の多い F1A4 型機については 2300 台中 1200 台、F1A4 UXO 型機に ついては 24 台のすべてが我が国によ る支援機材である6ことを考慮すると、 本案件で調達した地雷探知機が地雷除 去作業の効率化に寄与し、結果、年間地雷除去面積の大幅な拡大に貢献していると推定するこ とができる。また、潅木除去機の導入は地雷除去作業の効率化に大きく貢献していると現地関 係者は評価している。 (3) 地雷防護具着用による安全性の向上 過去数年間、CMAC での地雷除去作業員による事故は数件しか発生していない。この良好な 結果には我が国無償資金協力による支援機材も間接的ながら貢献しているものと考えられる。 しかしながら、2006 年 1 月にはバッタンバン州で対戦車地雷を除去しようとした作業員が 7 名死亡する重篤な事故が発生している。この事故の被害者は後述する住民参加型地雷除去活動 (Community Based Demining, CBD)の作業員であった。この事故の発生までは CBD 作業部隊の 小隊長 、次長、班長といった指揮的立場までトレーニングを受けた地元住民が担っていたが、 CMAC ではこの事故以降、指揮的立場に就く者はすべて CMAC 正規職員とするなど、事故防 止のための標準作業手順(Standard Operational Procedure, SOP)の見直しを行った。
(4) 無線機・移動車両の導入による連絡・移動・運搬機能の向上 地雷除去対象地の中にはアクセス条件の悪い地域も多いため、無線機・移動車輌は業務遂行 上必要不可欠である。本案件により導入された機材がすべて活用されていることから、連絡・ 移動・運搬機能を向上させていると判断できる。 (5) コンピューター・発電機の設置によるデータ分析作業の効率化と促進 コンピューター・発電機及び周辺機器は CMAC 本部及びトレーニングセンターに配置され た。各機材の稼動時間や走行距離、整備状況を含む機材インベントリー、地雷除去作業員等の 6 ただし、第一次-第四次地雷除去活動機材整備計画を含む 除去面積(㎡) 対人・対戦車 地雷(個) 不発弾(発) 0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 20,000,000 25,000,000 30,000,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (除去面積 ㎡) 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 (地雷・不発弾数) 出所:CMAC 図5.2.1 CMAC の地雷除去活動実績(2001-2006)
データは CMAC 本部により管理され、必要に応じて直ぐに参照できる状態である。本案件で 調達された機材はデータ分析作業の効率化、データ管理・分析体制の促進に貢献していると評 価できる。発電機については、地雷除去作業現場や地雷除去部隊の宿舎設営地、また地方のコ ミュニティ啓蒙活動などの機会でも活用されている。 (6) 車両整備工具による車両の安全性向上 本案件により調達された車輌整備工具はバッタンバン の中央整備工場(Central Workshop, CW)等に配備された。 これら車輌整備工具の調達に加え、2005 年の第四次無償 資金協力によるCW の施設拡充後には、それまで外注し ていた重機の整備もCMAC が独自に実施することができ るようになった。以前は修理等の対応について、約半数 が外注されていたが、現在は全体の7 割程度まで CMAC 内部で対応できている。 車輌・重機ごとに定期点検・整備の種類及び頻度が規 定されており、その規定に基づき点検・整備・修理が実 施されている。よって、本案件によって調達された工具 類も安全性の向上に寄与していると推測することができ る。 4. インパクト(上位目標への影響等) 本案件の簡易機材案件調査報告書において明確な上位目標の設定はされていないものの、以 下のインパクトが発現していると想定される。 (1) 国民の安全な環境の保障 右図に見られるとおり、1990 年代ま で年間数千人が地雷・不発弾の犠牲とな っていたのに対し、2000 年以降は死者 数が1000 人を切り、減少傾向にある。 これは地雷除去面積の拡大に反比例し ていることから、地雷・不発弾除去活動 はカンボジア国における国民の安全な 生活環境の保障に直結していると考え ることが出来る。よって、本案件による 地雷除去機材の支援は、国民の安全な環 境の保障という正のインパクトをもた らしていると考えることができる。 中央整備工場で潅木除去機の修理を行う 技術者 地雷・不発弾に よる死者数 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 地雷・不発弾死 者数(人) 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 地雷・不発弾 処理面積(ha) CMAC カンボジア軍
HALO (NGO) MAG (NGO) 地雷・不発弾による死者数
出所:CMVIS、CMAA
図 5.2.2 カンボジア国内の地雷・不発弾による死者数と地雷除
(2) 土地なし農民の再定住の促進 カンボジア国においては、土地なし農民の再定住は最重要課題のひとつとなっているが、特 に地方部において地雷・不発弾の存在が再定住を阻む要因となっている。 2005 年度及び 2006 年度の CMAA の年間活動報告書では、各年とも地雷除去済用地のうち約 60 パーセントの土地が農地及び再定住用地(またはその双方を兼ねる土地)であると報告され ている7。従って、2005 年度には約 2500 ヘクタール、2006 年度には約 3000 ヘクタールの安全 な農地及び再定住用地が発生したこととなる。 以上から、本案件による地雷除去機材支援は地雷除去活動の拡大を通じて、カンボジア国に おける土地なし農民の再定住の促進に間接的に貢献していると推測することができる。 2005 その他 10% インフラ 12% 道路 16% 再定住/ 農地 15% 再定住 15% 農地 32% 2006 農地 31% 再定住 14% インフラ 12% その他 16% 道路 14% 再定住/ 農地 13% 出所:CMAA 図5.2.3 カンボジアにおける地雷・不発弾除去後の土地利用(2005, 2006) 地雷除去と再定住 2007年7月にCMACによる地雷除去活動が始まったバッ タンバン州ラタナック・モンドゥル郡の地雷除去活動現場 では、地雷汚染地域であるのにも関わらず数年前から再定 住が始まったため、既に4件の地雷事故が発生し、二人が 死亡している。2007年11月までの4ヶ月間に約12ヘクタ ールの地雷除去が完了したが、この間に対人地雷 44 個、 不発弾25個、10万個以上の金属片が発見・除去されてい る 。2008年3月にはこの地域37ヘクタール全体の地雷除 去活動が完了する予定である。 現在地雷除去活動が行われている現場に隣接した住宅に 住む女性は、「私自身地雷の事故を見たことがあり、今ま では3人の子供を庭の外に出すこともできなかった。でも これからは安心できる。嬉しい。」と語った。 バッタンバン州ラタナック・モンドゥル郡 の地雷除去現場近隣の家族 7 カンボジア国の地雷除去対象地はコミューンレベル会議、郡レベルワークショップ、州レベル計画作成という地方自治体 での採択プロセスを経て、CMAA、CMAC を始めとする地雷除去機関、軍、警察、関連省庁の関与を得て毎年決定され る。コミューンレベルでの要請段階から、地雷除去後の土地利用は決定しており、この土地利用も考慮した上で優先順位 が付されている。
(3) 農村部の社会経済環境の向上
CMAC では 2004 年 7 月から地元住民に地雷除去作業員として参画してもらう住民参加型地 雷除去活動(Community Based Demining, CBD)を活動の一環に組み込んでいる。本案件により
調達された地雷探知機やベスト、バイザーはこのCBD 活動においても活用されている。 CMAC の通常の地雷除去活動においては、前年度のうちに翌年の地雷除去優先地域を州レベ ルまで含んだ協議により決定している。これに対し、住民参加型地雷除去活動はコミュニティ の優先順位に基づき、近隣の CBD 部隊が地雷除去活動をすぐ行うことができるという機動性 の高さを特徴としている。 また、現金収入を得る機会が限られている農村地域での雇用創出も特筆すべき事項である。 2005 年に 2 部隊が活動を開始し、2007 年にはバッタンバン、バンテアイミアンチェイ、プレ アヴィヒアの各州で計5 部隊、約 150 人が地雷除去作業員として活動している。また、地雷除 去作業員を募集する際には、地雷被害者の家族、寡婦、土地のない貧困家庭から優先的に募集 し、全体の六割程度まで女性を雇用している。CMAC のこの活動は農村部の社会経済環境の向 上に正のインパクトをもたらしていると推察できる。 バッタンバン州・カムリエン郡タサエンコミューンにおける住民参加型地雷除去活動 カンボジア・タイ国境近くに位置するバッタンバン州カムリエン郡は地雷による高度汚染地域であ る。カムリエン郡タサエンコミューン(人口約5000人)では2006年からCMACによる住民参加型 地雷除去活動が開始された 。 現在、タサエンコミューンでは三個小隊、約99名が住民参加型地雷除去活動に従事している。三個 小隊で活動しても、地雷の完全除去にはあと12年かかると「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」 は2006年に試算している。 住民参加型地雷除去部隊は小隊長 1名、次長1名、班長 2名、地雷除去作業員24名、医療要員1 名、運転手1名、雑用・交代要員3名の33名で構成され、小隊長、次長及び班長はCMAC職員であ る。地雷除去作業員は家族の中に地雷被害者がいること、貧困層であること等を基準にCMACによ り選考される。作業手順(Standard Operational Procedure、SOP)が読めることが必須条件であるた め、最低限の読み書きができることを登用の条件としているが、登用される地雷除去作業員候補は 小学校卒業程度の学歴であることが多い。 候補として推薦を受けた者はコンポンチャム州のCMACトレーニングセンターで2ヶ月に及ぶ訓練 を受講する。CMAC では住民参加型地雷除去作業員のバックグラウンドも考慮した上で訓練カリキ ュラムを開発している。訓練生は終了試験に合格すると地雷除去作業員として地元の小隊で働くこ とができる。
タサエンコミューンでは労働人口の約99パーセ ントが農業従事者であり、現金収入の機会は非常 に限られている。農園で労務提供をしても1日1 ドル程度のところ、地雷除去作業員として勤務し た場合、月70ドル以上の収入を得ることができ る。トレーニングセンターで終了試験に合格した ばかりのタサエンコミューン出身の若い女性は、 「今までは農業をしていたが、家族を支えること ができるように、地雷除去作業員として早く働け るようになりたい」と話す。 CMAC トレーニングセンター(コンポンチュナン州) で地雷除去作業のトレーニングを受けるカムリエン 郡の女性達 他方、負のインパクトについては、地雷除去活動前に環境影響評価等を行なわないままに樹 木等を伐採していることから、農民らの生活に必要な薪炭さえ残らないなどの苦情が寄せられ たことが挙げられた。現時点では、カンボジア側には地雷除去活動に際しての環境影響評価実 施に関する規定はない。特に、潅木除去機の利用については、その土地にある草木をすべて除 去してしまうことからやりすぎであると疑問視する声もあるが、CMAC では対象地の地形・植 生などの自然条件や汚染状況、汚染の種類を考慮した上で、従来の地雷除去部隊(人力での下 草除去)、潅木除去機部隊(潅木除去機による下草除去)、地雷探知犬部隊といった異なる地雷 除去部隊から最適な部隊及び方策を採用し、負のインパクトを最小限に抑える努力をしている。 5. 自立発展性・さらなる改善の余地 (1) 組織
CMAC は長官(Director General)、副長官(Deputy Director General)の元に地雷除去作業員を
含め約2200 名を擁する。主な施設としてはプノンペンの本部に加え、地域支部(District Unit) が 6 箇所(バンテアイミアンチェイ、バッタンバン、パイリン、コンポントム、プルサット、 シアムリアップ)、コンポンチュナンのトレーニングセンター、バッタンバンの中央整備工場、 シアムリアップの研修・研究開発センターがある。CMAC では人道的、開発事業のための総合 的な地雷対策を使命としており、地雷・不発弾の処理に加え、地雷情報の収集・調査、地雷・ 不発弾の危険回避教育及び地雷除去に関する訓練を実施している。 地雷除去作業員を含む CMAC の技術担当職員はコンポンチュナンのトレーニングセンター での研修により育成されている。トレーニングセンターでは現在年間約50 講座、1000 人前後 の研修を行っている。講座の種類は多岐にわたり、更にそれぞれに入門、中級、上級、指導者 育成等数レベルの講座が開設されている。 人材育成に関しては、CMAC 設立当初はドナーからの専門家派遣等の技術支援に多くを頼っ ていたものの、現在ではトレーニングセンターでの教官の多くを CMAC 職員が担うなど独自 での養成が可能となっており、既に自立発展が可能な段階に達していると判断される。 また、カンボジアは地雷除去活動を開始して既に 20 年近く経過していることから、現在で は地雷問題を扱う国連機関や国際機関の活動にも積極的に関与している。CMAC は CMAA と
ともにその活動の一端を担っており、2006 年には内戦終結後のスーダンに CMAC から 135 名 の地雷除去隊員を派遣するなど、国外での地雷除去活動にも貢献した。 (2) 維持管理体制 機材の維持管理体制については、車輌・重機等については維持管理体制が確立し、車輌・重 機の状態もおおむね良好であることから、維持管理体制がよく機能していると判断できる。し かし本案件により導入された機材のうち、潅木除去機、地雷探知機、無線機等の高額・特殊機 材のスペアパーツ調達・補充の問題が発生しており、今後必要な予算の確保等、努力が必要で ある。 潅木除去機 潅木除去機のスペアパーツには現地調達が不可 能なものが幾つかあるが、中でもアーム先端回転 部分の歯(ビット)は硬度の高い特殊な金属製で あり、現地調達が不可能である。本案件及び2005 年の第四次地雷除去機材整備計画実施の際にスペ アパーツも同時に調達され、また2003 年度・2006 年度の JICA フォローアップ協力でもビットが追 加供与されたが、2007 年 11 月には在庫が払底して いる。2007 年 11 月時点での CMAC の潅木除去機 保有台数27 台に対し、年間 800 個から 2,000 個の ビットが消費されている。 地雷探知機 CMAC の調査によると、CMAC 所有の 2488 台の各種地雷探知機のうち、961 台(総数の約 38 パーセント)が使用できない状態で保管されて いる。最も数の多い F1A4 型機については、2377 台中948 台が保管中である。このうち約 430 台(45 パーセント)は更新の必要があるが、約520 台(55 パーセント)についてはスペアパーツがあれば修 理可能と考えられている。なお、CMAC では今ま での経験から地雷探知機の耐用年数は約 5 年と考 えている。 表5.2.3 CMAC 保有地雷探知機の現況
注:DU: Demining Unit, TC: Training Centre, HQ: Headquarter, CW: Central Workshop *使用不可の F1A4 型機 948 台中、247 台が日本の無償資金協力により導入されたもの。 出所:CMAC 無線機 潅木除去機アーム先端部 破損した潅木除去機のビット部分 現況 機種 DU TC/HQ Total TC CW Total Minelab F1A4 1,381 48 1,429 948 0 *948 1,200 2,377
Minelab F1A4 UXO 21 2 23 1 0 1 24 24 Minelab F3 10 3 13 0 0 0 0 13 Bomb Locator EL1303A1 4 0 4 8 0 8 0 12 Ebinger UPEX 740M 54 4 58 4 0 4 48 62 使用中 使用不可 総計 日本無償資金 協力 (第1-4次)
日本製の無線機が導入されたが、バッテリーが現地調達できないため使用できないものがあ る。無線機の性能については CMAC 関係者から高く評価されているが、運用面で地雷除去活 動には警察との協力が必要であるのに対し、この無線機では周波数の関係上、警察との無線通 信ができないという問題もある。 (3) 財政 2002 年以降の CMAC の収入の内訳を見ると、収入の約 98 パーセントが我が国を含むドナー からの支援である。また、複数年度に渡るコミットメントばかりではないため、CMAC 自体が 毎年、次年度の収入の予測がつかないまま運営せざるを得ない状況にある。このような状況下、 上記のスペアパーツ調達の問題については CMAC のみの努力によって解決することは非常に 困難であると予想される。 今後の自立発展性を確保するためには、特定の地域の地雷除去活動に対する支援という形を 取ることが多い他ドナーのプロジェクトにおいても、必要と予測されるスペアパーツをプロジ ェクト予算で調達するなどの工夫が必要であると考えられる。各国からの今後の継続的な支援 も求められるが、同時にカンボジア政府による予算措置も含め、財政面での今後の取り組みに 更なる努力、工夫が必要である。 0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 12,000,000 2002 2003 2004 2005 2006 US$ その他 カンボジア政府 NGO 二国間(日本を除く) 日本 UN(UNDP,UNICEF) 出所:CMAC 図5.2.4 CMAC 収入の内訳(2002-2006) 6. 広報効果(ビジビリティ) 日本からの供与機材にはすべて日本の無償資金協力による支援であることを示す ODA マー クが張られている。地雷除去現場自体には特に表示はないものの、現場の車両、除去機材、テ ント等の多くに見られるこうしたODA マークにより、カンボジア政府関係者、CMAC スタッ フのみならず、地元の裨益者にも日本の貢献は認知されている。また、本案件調達完了後の引 渡式には首相も列席し、現地でも大きく報道された。 その他のCMAC による広報活動としては、近年プノンペンの CMAC 本部に設置されたミュ ージアムホールがある。小規模ではあるが、CMAC の活動の写真パネル、発見・除去された地
雷、不発弾等が展示されており、希望があれば一般の見学者にも公開している。また、同様の 試みがシアムリアップの第六地域支部(District Unit 6, DU6)でも開始されたところである。さ
らにCMAC 本部においては、JICA 専門家により日本語で CMAC の活動、実績を紹介するパン
フレットが作成されており、日本からの見学者やドナー関係者に配布されている。 無償資金協力により整備された機材にはCMAC のロゴと共に ODA マークが張られている 7. 被援助国による評価等 他ドナーによる支援は特定地域の地雷除去活動を対象としたプロジェクト単位のものが多 いのに対し、我が国は 2000 年以来無償資金協力によって地雷除去活動に不可欠な機材を継続 的に適切なタイミングで提供してきたとして、CMAC 及び CMAA から高い評価を得ている。 また、機材整備に加え、JICA 専門家の派遣により様々な分野から CMAC の能力向上に貢献し、 整備された機材と相乗効果を上げてきたことについても CMAC 関係者から多数の謝辞が寄せ られている。 外交効果の側面からも、我が国は本案件を始めとする一般無償資金協力による地雷探知機材 整備のみならず、日本NGO 連携無償資金協力8、草の根・人間の安全保障無償資金協力やUNDP への拠出等、様々なスキームを活用しながらカンボジアの地雷除去活動に貢献してきたことは 明らかであり、両国の友好関係の維持・強化に貢献してきたと考えられる。 8. 教訓と提言 安全な地雷除去のためには適切な機材が不可欠であるが、我が国は 2000 年以降、継続的に 機材支援を行ってきた唯一の国である。また、機材の支援のみならず、JICA 専門家の派遣に より機材維持管理、情報管理、組織運営等様々な分野から人的な支援を行うことで CMAC の 総合的な能力向上に貢献し、結果として無償資金協力による支援機材も有効に活用されている。 これは異なるスキームの併用による相乗効果の好例であり、今後の案件実施に際しても参考と すべき点である。 また、2007 年までに数例、CMAC の職員がアフリカ地域の地雷汚染国で地雷除去活動に従 事した例がある。CMAC は 20 年近く地雷・不発弾処理に経験を積んでおり、軍隊以外では世 界的にも数少ない組織である。日本の南南協力のスキーム等の活用により、今までの経験から
8 ODA による日本の NGO 支援を強化するため、日本の NGO を対象とした草の根無償資金協力及び NGO 緊急活動支援無償 を統合し、2002 年に「日本 NGO 支援無償資金協力」として開始された。NGO との連携・協力を一層促進していくとの 観点から、平成19 年度から「日本 NGO 連携無償資金協力」へと名称が変更された。
蓄積された技術、知見を他の地雷・不発弾汚染国に波及していくことも今後可能であると考え られる。 CMAC の抱える問題としては、本案件で調達した機材の中でも潅木除去機、地雷探知機など の高額・特殊機材について、CMAC 独自でのスペアパーツ調達が財政的に困難であることが挙 げられる。プロジェクト支援を行う他ドナーにおいては、制度上スペアパーツをプロジェクト 予算に計上することに制約のあるドナーも多い。我が国無償資金協力の実施にあたっては、機 材本体と共に一定数のスペアパーツも調達されており、さらに JICA のフォローアップ協力で もスペアパーツが調達されている。CMAC の財政困難を考慮した上で、支援機材が有効に活用 されるよう日本側が積極的に支援を行ってきたことは明らかであり、評価できる。 しかしながら、本案件で調達された機材を今後も有効に活用していくためには、政府による 予算措置も含め、カンボジア側の取り組みに更なる努力、工夫が望まれる。