公益社団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2013年度後期 在宅医療助成完了報告書 <テーマ> 認知症における食の行動心理徴候の対応の普及と、市民・介護職員向け認知・嚥下遠隔指 導システムの開発 〜地域食支援医療者マップと市民向け食の問題行動の質問相談窓口の開設〜 <申請者> 大石善也 2013年度後期 <提出年月日> 2015年2月27日 <研究の背景と目的> 認知症は、高齢者の 4 人に1人が予備軍と言われ推計400万人が関わる一般的な病気 である。今後の高齢化社会への移行を考えると、生活習慣病を上回る数が予想され社会全体 で支える体制を築いていかなければならない。特に認知症の周辺症状と言われる「行動心理 徴候(以下、BPSD と記載)」を市民・介護職員等と共に理解し対応することが必要と言われ ている。 この BPSD に関しては、コミュニケーションとしての関係性への対応は、近年広く普及し てきているが、「食事に関する BPSD(以下、食の BPSD と記載」への対応を解説した情報は ほとんど見当たらない。 三大介護と言われる「食事・入浴・排泄」の中で、食事は1日に3度あるために、介護職 員人件費の25%が食事の準備と食事介助と言われている。その中でも「口を開けない・噛 まないで口に溜め込む・飲み込まない」という認知症特有の食行動に対して、どのように対 応したらよいか?という食行動対応が、家族や介護職員にとって最大の悩みであると言っ ても過言ではない。 そこで、認知症のステージごとの「食の BPSD」の内容と原因を調査することで、その具 体的な対応策を有識者で検討し、市民が人生の中で数多く関わる認知症の食支援(口腔ケ ア・栄養ケア)について、ホームページ上でその対応と遠隔指導を普及するとともに、相談 窓口と地域マップを開設したい。 <研究の計画・方法> 認知症の軌道は、軽度期・中等度期・重度期と分けられる。
軽度期は短期記憶の低下より、買い物や調理に障害が生じると伴に、口腔(セルフケア) や栄養状態の問題が出始める時期である。そして中等度期から、過食・異食・盗食・拒食な ど介護の山場での特有な問題行動や、咀嚼パターンや食物認識が低下していく。さらに身体 症状が発現する認知症重度期から、咀嚼・嚥下力の低下と伴に、口を開けない・噛まないで 溜め込む・飲み込まないという介護関係者を大きく悩ませる問題が起こり、窒息・誤嚥・低 栄養という期間を経て肺炎を伴う終末期に至る。 近年の認知症高齢者への胃瘻の見直し論は重要であるが、「終末期まで、美味しく形ある 食材を楽しみながら口から食べて人生を全うする」という胃瘻見直しまでの過程も QOL と いう観点から考えると同等に社会的意義が高い。 そこで、認知症利用者の食事介助・栄養ケアを15年間行ってきた、口腔ケアグループの 経験を集積し、認知症のステージ別に、介護と医療がどのような介入方法を考え、多職種で どのような食事介助を共通統一すれば良いのか?という問題に対して、経験(一部 VTR 検 証)をもとに、新たな医療と介護の食の連携を集約する。またこれらの情報と伴に、介護負 担の少ない口腔ケア(市民・介護職員向け)の動画等を利用して、一般向けホームページ上 にて認知・嚥下の遠隔指導システムの開発を行う。 具体的な成果物としては ① 食支援遠隔指導(ホームページからの遠隔相談サポート) 構成:フェイスシート・ヒアリング・問診表・情報整理欄・指示箋・動画選択欄 ② 認知症ステージ別食の BPSD 対策シート(評価から情報共有までの指針) ③ 市民向け簡易口腔ケアと在宅栄養指導の動画画面 ④ 市民向け食支援の質問相談窓口メールの開設 ⑤ 食支援認定医療者の全国マッピング ⑥ 認知症者に対して、五感を刺激し咀嚼を促す介護食レシピ さらに、ホームページ上にて市民・介護職員からのメール相談窓口を設置し、質問や相談 に応じるとともに、(社)全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会内部にて、在宅療養支援歯科 診療所連絡会認定研修を受けた全国の歯科医療機関・食支援グループのマッピングを表示 することにより地域の点と点を繋ぐ地域支援システムを構築する。 公益社団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成による
<ホームページ アドレス> http://www.zaitakushika.jp/ <画面構造> 1 お問い合わせ 訪問歯科診療に関する問い合わせ・質問等の「お問い合わせフォーム」と認知症を 2 3 4 5 6 1 7 8
2 HDC とは (社)全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会の沿革や説明と、HDC 在歯連(全国在宅療 養支援歯科診療所連絡会)の目的と説明が記載されています。 3 訪問歯科診療 治療・口腔ケア・摂食嚥下リハビリに関する説明が記載されております。 4 おしらせ 5 在宅療養支援歯科診療所連絡会 食支援認定士リスト HDC 在歯連の6ヵ月認定コースを受講した研修者を記載しております。
6 よくある質問 今後、視聴者からの質問を UP していきます。 7 認知症における食の行動心理徴候の対応(別紙添付 PDF) 8 摂食嚥下障害における介護従事者の対応 ① 咀嚼とは 食物を噛み砕いてペースト状の塊を作り、味わいながら飲みこみやすい食物の塊を 作ることを「咀嚼」と呼びます。義歯が入っていない、唾液が少ない、口腔に麻痺 がある方は、食物の塊を作ることができず、かつ上手にノドに食物を送り込むこと が出来ないために機会的に誤嚥(誤って肺に食物が入ること)する場合もあります
② 誤嚥とは ・食べている時にむせがある誤嚥とむせがない誤嚥について説明します。 ・誤嚥の3D CG にて視覚的に理解しましょう。 ③ 睡眠中の誤嚥 口から食べていない胃瘻の方にも口腔ケアが必要である理由を説明します。 ④ 食事介助のポイント 食事介助の基本を説明します ⑤ 口腔ケアの基本手順 ・用意するケア用品を説明します ・口腔ケアの手順を説明します ・粘膜ブラシの使用法を説明します ⑥ 介護食の作り方 ・誤嚥しにくく、おいしい「おかゆ」の作り方を説明します ・軟飯の作り方を説明します ・お茶ゼリーの作り方を説明します ・レシピ
アルツハイマー型認知症とは、40-90 歳での発症で脳卒中様の発症がみられず 記憶と認知機能がゆっくりと進行性に悪化し、意識障害がなく、原因となる全 身・脳疾患がない場合の認知症です。多くは、時間⇒場所⇒人の順番で記憶が 低下し、並行してとりつくろい・短期記憶・エピソード記憶※などが起こり、 さらに失語・失行・実行機能障害※の経過をたどり約 10 年で死に至る疾患です。 @ HDC 認知症食支援対策チーム ※エピソード記憶:個人的に体験された出来事についての記憶 ※実行機能障害 :目的をもった一連の行動を自立して成し遂げること(料理の味付けなど) ○ 認知症の方をお世話するときの心がまえ 進行の度合いにより認知症状の現れ方は人さまざまであり、日常生活場面を 含めた個別的な対応となりますが、認知症だからといって特別な疾患が無けれ ば、特別な食事は必要ありません。またアルツハイマー型認知症では、終末期 に至るまで嚥下機能は比較的保たれています。 認知症の場合、汚したり食べるのに時間がかかったりしても叱ったりせず対 等に接して、一緒に楽しく食事のお世話をする心構えが大切です。この食の問 題を解決するためには「どんな人が認知症になったのか?」までをさかのぼっ て考えることが重要です。 ○ 食べる前の準備 覚醒 点灯・窓を開け太陽の光や爽やかな空気を部屋に入れる。 顔・首・手を暖かいタオル(水で絞ったタオルを電子レンジで1分チン)を使 いリラックスしたり、軽く肩もみなどを行いながら声かけで覚醒を促してみ ましょう。⇒食事中の傾眠からの覚醒にも利用できます。 認知症者への声かけの特徴 指示をしないで誘導する声かけ☞○○してください〜というような声かけ をしないようにしましょう 「起きましょう。さあ座りますよ。あちらへどうぞ。食べさせたい食品を指 さして、こちらをどうぞ」というような声かけを心がけましょう。 ポジショニング 深く腰掛け足底が床に全面着地し、椅子とテーブルの位置関係を調節するこ とで、肘の位置とテーブルの関係を調整します。そして、左右前後の傾斜も クッションなどを利用して確認し、食事内容がよく見えるようにしましょう。 HDC Institute of (社)全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会 All Rights Reserved.
食の BPSD
(記憶・失語・失認・失行・実行機能障害に伴う食の行動心理徴候)アルツハイマー型認知症(AD)
:認知症に気づいた時期 :歩行困難になった時期 この 2 点の時期が分かれば現在の患者さんの認知 症のステージ(現在の軌道の位置)が分かります
対処法
食事前
対処法
食事中
対処法
特異的行動
軽度(2-3 年) 中等度(4-5 年) 重度(2-3 年) 症状 記銘力低下 失認・失行(着衣・構成) 失禁・歩行障害 失見当識(時間) 失語・実行機能障害 寝たきり・無言・無動 口腔の 口腔保清 口腔保清困難 誤嚥性肺炎リスク 問題 歯科受診困難 咬合崩壊過程(咀嚼力) 咬合崩壊 義歯管理困難 義歯着脱困難 義歯使用困難(咀嚼力) 摂食の 記憶障害(食事) 記憶障害(食べ方) 食形態の低下(混乱) 問題 食具使用の記憶 失認(食物の判別) 窒息・誤嚥・低栄養 失行(咀嚼・嚥下) 食事介助困難 ※見当識:今いる場所がどこであるか、または今は何月何日、何曜日であるのかなどの場所 や時間を 認識する精神作用のことです。さらに自分のことや周囲の人達のこともこれに含まれます。 重度期における三大食事介助困難(口を開けない・噛まない・飲み込まない) の改善と、最後まで形ある食材を摂取しソフトランデイングしながら胃瘻を見 直すためには、早期からの口腔ケアの介入と、咀嚼の維持を含めた末期までの 口腔管理がとても重要となります。 また、栄養や歯科という一職種完結対応ではなく、家族や介護職を含めた多 職種連携が必須です。
軽度
中等度
重度
認知症の経過と食の BPSD
① 水分介助 ☞スプーン 1 杯程度の水分やゼリーなどを交互嚥下させることで、嚥下後に 残留した食物残渣を一緒にまとめて嚥下を促します。(食物⇒水分⇒食物) ② 移しかえ ☞食べ物を移し変えている場合は、盛り付けや配膳などをしているつもりの ため、集中しているので口元は開きません。声かけして気分転換を図り、 目が合ったところで再度食事を促してみます。 ③ 飲み込みの促し ☞口に溜め込む場合は、唇をすぼめた状態で下顎が少し下がっています。 声かけをしても、うなずきだけで発語はありません。 ☞唇に空の湯呑や、空のスプーン等を押し当て「今飲んだよ」「今食べたよ」 など刺激を与えて、飲み込みを促します。 ☞湯呑を唇に当て口すぼめの状態を促すと、舌の動きが出てきたり口に 溜まった水分を嚥下する場合があります。 ☞さらに口が膨らんだままで、食べ物が溜まった場合は、歯と頬の間に 溜まった食塊を箸で前方にかき出すと、口が開き食べ始めます。 ☞冷たいスプーンを舌の中央に置き、舌を押すなどの刺激を与えるとモグ モグする場合があります。 ☞それでも無理な場合は、洗口などで食物残渣や粘った唾液を取り出し、 口をキレイにします。 ④ むせないように ☞口へ運ぶスピード、咀嚼の回数、嚥下してから介助など、よく観察し、 本人の呼吸やリズムに合わせて介助しましょう。 ☞朝食の始まりは、窒息の発生が多い時間帯です。 ⑤ 食事中に義歯が外れた場合 ☞義歯が落ちても、義歯である認知がなく戻せられない場合は、お箸で上の 義歯の上あごの部分を押さえて正常位置に定められ、リセットできれば食事 を続行しましょう。 ⑥ 食事介助中止の目安(補助栄養の検討)
食事介助
☞傾眠が強く集中力が途切れる ☞水分を入れても嚥下反射が起きない ☞口唇を触ってもモグモグした運動が起きない ☞むせ、咳き込みが続く (むせた時は一呼吸以上間を置く←残留物の誤嚥 に注意) ☞時間がかかりすぎる (40 分以上) ☞呼吸の乱れがある ⑦ 認知症者が安全に食べている目安 ・ 笑顔で食べていて、食欲のある方は、ほぼ問題がないと考えて良いです。 HDC Institute of (社)全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会 All Rights Reserved.
① 過食(目の前にある物など、四六時中食べ物を欲する) ☞話しかける 「今、おじいちゃんの食事を分けて作っているので待って下さい」「今日は もうたくさん食べたから、明日にしましょう」など言ってもわからないと 思わないで、話しかけることは大切です。 ☞一時しのぎをする おやつや軽い食べ物を用意しておき食べ物を求められたら、「これを食 べて待っていてください」と少しだけ食べものを渡し、食事まで待って もらう。 ☞食べ物以外のことに関心を向ける(気をそらす) 食事はお年寄りの最大の楽しみ。他に関心が向かないと、食事だけを楽 しみにしてしまいます。散歩をしたり、興味のあることに気を向かせま しょう。 ☞量を減らして、回数を増やす 一度に食べる量を少なくし、何度も分けて食べられるようにしてみまし ょう。 ② 被害妄想 食事を作る人が料理に毒や虫を入れたと思って、食事を口にしないケースな ど。 ☞一番信頼している人と一緒に食事をしてもう。「食べても大丈夫」という ことを示してあげれば、安心して食べることがあります。 興奮をした時に手で食事をつかんで投げ捨てる ☞別皿に少しずつ入れて被害を少なくするなど工夫をする。心を落ち着か せる話し方や楽しそうな話題を増やし、時間がかかってもイライラしな いように心がけましょう。 ③ 盗食 食卓の隣に座っている人の料理をとって食べる。夜中に台所でコソコソ食べ るなど ☞周りにいる人が盗られないように気をつける ☞冷蔵庫や棚などから盗み食いする場合、手の届くところに食べ物をおか ないこと。食べ物の入っているところにカギをかけます(冷蔵庫に鎖を かける場合もあります)。 ④ 異食
特異な食行動への対応
食べ物を認識することができなくなり、土や花(観葉植物)、洗剤など、異 物を口にしてしまう。石鹸やポータブルトイレのそばの消臭剤を飲むケース はよくあります。 ☞目につくところに置かない 目につくところ、手が届く場所に置かないこと、これしか方法はありませ ん。できるだけ目より上に置くようにし、 危険物のある台所や浴室には入 れないようにドアにカギをかけます。特に危険なものは、必ずカギのかか る棚などにしまいます。 いずれにせよ、そばについている人が気をつけていることが一番です。 ☞対応は早急に 口に入れたことに気がつけば、すぐに対処します。指をかまれてケガをし ないように、手近にあるタオルなどを指に巻き、グッと口に突っ込んで吐 き出させます。その後、口の中を洗います。危険物の場合は、すぐに主治 医に連絡しましょう。 ⑤ 拒食(食べる行為を忘れる。体の不調を言い表せずに食べないこともある) ☞好物を出してみる 好きな食べ物子供の頃の思い出の郷土料理など、好きなものなら食べるこ とがある。 ☞食べられるときに食べたいものを食べる 食事は1日3回だと決めず、口に入るものを食べられるときに食べてもら う。 ☞栄養補助食品を活用 拒食の状態が長く続けば、高カロリー食品などを使うのもひとつの方法。 ☞目先を変えて 盛り付けや食事の演出を変える。料理の味付けや調理法を変えてみます。 HDC Institute of (社)全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会 All Rights Reserved.
<食事開始時> 症状 食 べ 物 へ 手 を 伸 ば す な ど の 摂 食 動 作 が 全 く見られない 口を開けよう としない 口へ食べ物を 入れようとす ると舌で押し 出す 食事意欲の 低下 首を振り拒否 顔をそむける 意図的な吐き 出し しゃべり続け て食べない 考えられること ・認知障害、記憶障害 ・食べることに気がついて いない ・食べて良いのか解らず 待っている ・食卓に沢山の物が置かれ ることによる混乱 ・食事であることを認識し ていない ・口腔失行 ・口腔運動機能の障害 ・義歯不適合や口内炎 口腔内の痛み ・食べたくない事の意思 ・内臓機能の低下 ・脱水 ・心理的な要因 ・食事であることを認識し ていない ・食べたくない意思表示 ・食形態があっていない ・義歯不適合や口内炎 口腔内の痛み ・食べることに気がついて いない 対処法 ・食べることに関するいろいろな言葉を使う (声かけ:おみそ汁・おつゆ・おつけなど) ・食べる構えをアシストしてみる スプーンや箸を見せる(視覚刺激) 食具を持たせる 茶碗や箸を持たせ食べる構えをつくる ・一口だけを介助する(お茶や食品) ・好きな食べ物で五感を刺激してみる ・食卓の上を整理 ・使い慣れた食器にする(マイ箸・マイ茶碗) ・利き手に食具をもう一方の手に食器を持ってもらい 構えを作ったり、本人の手に援助者の手を添えて食 べ物を口に運ぶまでをアシスト ・好みのものを一口味わってもらったり少量を口唇 付けてなめてもらう事で認知を助ける (お茶や味のはっきりとしたもの) ・食感や温度(温かい・冷たい)や濃い味で刺激する ・食事形態を変える ・1 食の盛り付け量を変える ・好物を少し提供 ・補助栄養の活用と医師への相談 ・介助する方向を変えてみる ・介助者を変えてみる ・思い切って一食抜いてみる ・食事形態の調整 ・時間を変えて再度同じように食事 ・歯科連携にて口内の診察を受ける ・食べ物に目線を合わせる ・話しながら飲み込むことは誤嚥の危険性が高いため 無理に食べさせない ・認識するまで辛抱強く待つ
対処法
食事前
<食事中にスムーズに進まない場合> 症状 食事時間に 覚醒しない 食事中に寝る 食事以外の刺 激に注意が向 き食事が中断 (集中力が 途切れる) 食べこぼしが 多い 時間がかかる むせることに よる摂食中断 一口量の目安 考えられること ・睡眠覚醒リズムの乱れ ・食事以外に刺激があるも のがあると、その刺激に 注意が向く ・記憶障害や失行がある ために食事中であること を忘れ再び食べられない ・さらに食事時間が長くな ると注意を持続できない ・加齢や麻痺による機能 低下 (口元で捕らえられない) (口を閉じる力が弱い) ・不適切な食卓、自助具 ・姿勢の乱れ ・大きいものや硬い物が 噛み切れない ・いつまでも噛んでいる、 ため込む ・食欲低下・意欲低下 ・姿勢の崩れ ・不適切な食形態 ・香辛.塩味.酸味 ・疲労 ・嚥下機能低下 ・話しかけたことによる ・介助のペースが合わない ・食べる準備ができてない ・介助者の問題点 対処法 ・覚醒を促す(温かいタオルでふく・肩をもむ) ・食事時間を検討する(食事時間は 30 分が目安) ・昼夜逆転・薬剤による影響など多職種連携 ・食事を中断する刺激を除去する (テレビを消すなど) ・同じ摂食ペースの人と食卓を共にする ・今度は○○を食べましょうかなど声をかける ・食事に関心を向ける ・おいしそうですね。良い香りですよ。と声かけて 関心を食事に向ける ・食べ物がバラバラにならないようにまとめる ・手づかみできるおにぎりなど (小さく作る、沢山作らない) ・適切な食具、姿勢にする ・取り込みが上手くいかない人はスプーンを上口唇に つけて動きを引き出してとりこませる。 ・食事形態を合わす ・少量で高カロリー食品を利用する ・食事回数を増やす ・味の濃いものと薄いものを交互に食べさせる ・甘いものとしょっぱいものを組み合わせる ・ポジショニングに注意、姿勢が崩れたら整える、 椅子などの検討 ・水分に増粘剤などを用いる ・味付けの工夫、好みの食物に変更 ・嚥下体操などによる嚥下反射誘発 ・嚥下を確認した上で次の一口介助 ・自分で食べる事ができるように支援 ※ 嚥下機能については事前にスクリーニングが必要 ・噛み終わってから飲み込むまでの時間が 5 秒程度 ・噛みながら口角から出てこない量(口の中で食べ物 を転がすことができないとあふれる) ・飲み込む時の表情が険しいなら量が多い
対処法
食事中
<特徴的な食行動> 症状 一品食い 手づかみで食 べる 食 べ 物 以 外 を つかむ 食 べ る ペ ー ス や 量 を 調 整 で きない あ る だ け 食 べ る 何度も食べる 食 事 の 途 中 で 立ち去る 捕食できない 噛まない (咀嚼の促し) 考えられること ・空間認知の障害 ・情報処理能力の低下 ・視野機能(色別機能低下) ・姿勢の崩れや食卓の高さ の不適 ・前頭側頭型認知症の特徴 (常同行動) ・道具を使って食べるのが 面倒 (食べたいのにうまく 食べられずじれったい 思いをする) ・失行により道具をうまく 使えない ・情報処理能力の低下 ・視野機能(色別機能低下) ・前頭側頭型認知症の特徴 (脱抑制) ・元々食べるペースが早い ・記憶障害 ・薬の副作用による興奮 ・排泄したいなど落ち着い て座っている状態でない ・前頭側頭型認知症の特徴 (脱抑制) ・口腔失行 対処法 ・ここにもありますよ!と声かけを行う ・箸の向く器に食べ物を移動させる ・お茶碗のご飯の上に、おかずをのせる ・配食方法の工夫(丼、ワンプレート、コース式など) ・食器と食べ物の工夫(色別) ・白内障の治療 ・食べる人の目線の視点を確認 ・自助具の工夫 ・食べ方や持ち方のモデリング ・持ち方のみ介助(食事部分アシスト) ・手に持って食べられる食事の調理 一口サイズのおにぎりやバナナを用意する サンドイッチなどにしてみる ・食器はシンプルで模様の少ないものを選ぶ ・使い慣れた食器を使う(マイ箸・マイ茶碗) ・小さなサイズのスプーンや食器や小さいサイズの 食べ物へ変更 ・ペースが早くなった時の声かけ ・噛み応えのある物と提供する ・どんどん入れる人は小分けする ・エネルギーの少ない物を提供する ・否定せずに応える(上手に別の関心事に向ける) ・薬の副作用がないか確認 ・落ち着いて座っていられない ・理由(排泄、食べたくない等)をアセスメントし対応 ・動きながらでも手に持って食べることのできる食事 ・その人の生活リズムに合わせた食事時間を設定 ・取り込みが上手くいかない人はスプーンを上口唇に つけて動きを引き出してとりこませる。 ・口にためたら、赤ちゃんせんべいなどのひとかけら を口唇に挟んで咬む動作を引き出す ・はじめに、水分を含み噛みやすい食品を介助して 運動機能を刺激する
対処法
特異的行動
軽度認知症・認知症軽度(2-3年)⇒口腔ケア管理の必要性 症状 :ものわすれ・とりつくろい 短期記憶力や記銘力(新しい体験を保存する能力)の低下 見当識障害(時間) 食事の準備:□買い物(購入食材や家にある食材の記憶低下)や金銭・時間の 管理ができなくなる □家事や食事の段取りができなくなる □調理の手順の健忘 □電気、ガス管理や調理機器使用困難 □食後のかたづけ(お皿を元に戻すなど)ができなくなる 摂食の問題:□食事をしたかどうかの記憶低下 □食具使用法の記憶低下 口腔の問題:□歯磨きをしたかどうかの記憶低下 □歯磨きを上手に行う能力の低下 □歯科受診困難 □ブクブク洗口が上手にできなくなる 義歯の問題:□義歯の自己管理(清掃)困難 □義歯保管場所の記憶障害⇒義歯紛失 ☞ 本人の嗜好・食環境・習慣(クセ)など早期からの情報収集が必要 ☞ 認知症軽度の時期は、本人の自覚からの「取り繕い」があり外部は 気付かない場合もある 認知症中等度(4-5年)⇒口腔ケア管理と介入の必要性 症状 :個性の喪失と重度記憶障害・顕著な関係性の障害 (介護の山場) 即時記憶力の低下・長期記憶の低下・見当識障害(時間⇒場所⇒ 人の順に低下します) ⇒徘徊・会話不成立・人格保持低下(前頭葉症状)・記憶喪失・ 意思疎通困難 ⇒日常使っている洗面所やトイレや風呂場などを忘れる
軽度
中等度
実行機能障害・失語・失認・失行 ⇒着衣の着脱や入浴などが困難になる・自己の要求の伝達困難 摂食の問題:□食事場所・介助者・食事内容が変わると食事困難 □食べたいものを伝えられない □覚醒しにくい □集中力の低下 □拒食 □異食 □盗食 □過食(食事を繰り返し要求:体重増加) □被害妄想(毒や虫が食材に入っている) □食事の途中で立ち去る □随意運動の想起困難(座ったままで食べない) □早食い(ペーシング) □食事パターン(食べ方)の低下 □箸やスプーンは持てるが、食物をすくうことや一口の捕食が できなくなる □食具や柄物の器の認識・選択ができない □手づかみで食べる □一品食べ □移しかえ □自立摂食の困難(食具使用・食材選択)・食物や食具をうまく 使えない ☞食事誘導困難⇒食事見守り・食事アシスト・食事介助の必要性 栄養の問題:□適切摂取量の低下 □栄養量とバランスの低下 □水分摂取量の低下 口腔の問題:□歯磨きの場所(洗面所)の記憶障害 □歯磨きの仕方の実行機能障害 □口腔内や義歯の不調や痛みを伝えられない □洗口のブクブクができない □嗽の水を飲んでしまう □吐き出さない □咀嚼・嚥下が上手にできなくなる □窒息・誤嚥リスクの増加 □咬合の崩壊⇒咀嚼力低下 □食形態低下 □歯科治療困難
義歯の問題:□義歯の認識低下 □義歯着脱困難⇒介護力(状態に応じた介入が必要) □義歯の不具合を表現できない □義歯が外れる ⇒捨てる、隠す(身近な人が気付かないと放置される) □新義歯を使いこなすことができなくなる(巧緻性の低下) ☞関係性の障害に配慮し口腔ケアとセットで歯科治療を行う ことが望ましい 介護の山場である中等度期に、口腔・栄養の重要性とその後の後期におとずれ る「身体症状や、認知症の食べる問題」を家族が理解できるように上手に説明 しましょう。 認知症重度(2-4年)⇒終末期までの介入の必要性 症状 :自立困難(日常生活を送ることができなくなる) 失禁・歩行障害・寝たきり・無動・無言・覚醒・ 経口摂取困難⇒胃瘻の検討 自発性がなくなる・意思疎通不可・体力低下・易感染 ⇒ソフトランデイング 身体状況の変調(排泄・睡眠) 「情や快不快」など感情は最期まで保たれる 摂食の問題:□食事随意運動の欠落⇒食事アシスト・全介助 □食物・食器・食具の視覚認識欠落⇒食べることを想起できない □じっと座ったままで摂食動作が全く見られない □食形態の低下による混乱 □食事介助困難 □食べこぼし □口へ食物を入れようとすると舌で押し出す □むせ・咳き込みによる食事中断 □水分を入れても嚥下が起きない □経口摂取の維持困難 □呼吸が乱れる
重度
□傾眠が強く集中力が途切れる □食事に時間がかる(口を開けない・噛まない・飲み込まない) ⇒まずい(美味しい)・嫌い(好き)・不快(快)という要因を 早期から食支援(あるいは情報共有)で個別対応しましょう ☞改善には認知症以前や初期からの本人の習慣・食環境・嗜好に 配慮した五感を刺激する摂食想起が必要 ☞食事介助の統一性 栄養の問題:低栄養・脱水 口腔の問題:咀嚼・嚥下機能低下⇒窒息・誤嚥・肺炎 失禁・歩行(移乗)困難時期から咀嚼運動が低下し、いわゆる 開閉運動となり軟食へ変更。 ただし必要以上に食形態を落とさないことが特に重要 □口内認知(溜め込み・噛まない・吐き出す)の欠落 □洗口困難 □口腔清掃状態悪化 □口腔自浄作用低下 □口腔乾燥症 義歯の問題:□義歯の適合(食事中に義歯が外れる) □義歯使用能力の低下 □入院等の義歯未使用期間からの回復困難 □状況や時期により義歯を外す場合も検討しなければならない □義歯なしでの食事摂取における食支援方法と口腔ケアの検討 ☞適切な介護と歯科の介入があれば、義歯使用を習慣化でき 終末期まで形ある食材を経口摂取できる