日本認知・行動療法学会 第44回大会
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-ワークショップ概要
WS-01 発達障害ある子/ない子の学校適応・不登校への
包括的アプローチ:不登校ゼロの秘訣
小野 昌彦
明治学院大学心理学部
1989年当時の筑波大学心身障害学系小林重雄研究室
において、演者らは系統的な不登校支援システム構築
を目的とする研究を開始しました。当時の課題は、神
経症以外の発現メカニズムによる不登校に対する問題
解決要請でした。この問題に対して演者らは、多様な
不登校発現メカニズムを解明する行動アセスメントを
備えた積極的アプローチを提案しました。その後、演
者らは、この積極的アプローチを多様なタイプの不登
校支援に適用し、およそ30年後、これらの研究成果に
よって構築した行動論的包括的支援アプローチ(小
野,2017)を提案しました。
また、演者は全国各地の市町教育委員会の不登校対
策スーパーバイザーを務めてきました。この対策で
は、教育委員会、学校側のご協力により学校現場にお
ける行動アセスメントが可能となり、学校関連の不登
校発現前条件、不登校維持条件等の分析、介入が可能
となりました。「教師のための問題行動解決10ステッ
プ」を適用した効果的な不登校予防及び再発防止と再
登校支援を並行して実施した結果、学校・町単位で不
登校ゼロ、数市で不登校半減という成果を上げること
ができました。これらの結果から、市単位で不登校を
減少させるためには、再登校支援、不登校再発防止、
不登校未然防止の 3 つのことを同時に実施しなければ
ならないことがわかりました。現在演者は、発達障害
のある児童生徒も対象として、さらに効果的な包括的
支援アプローチを開発すべく、不安、学力、体力、社
会性に関する客観的評価方法と技法選択基準の導入を
検討しています。本ワークショップでは、まず、前述
の不登校への取り組みを紹介して「不登校は学校復帰
できる」ことを実感していただきます。次に、行動論
的包括的支援アプローチ(小野,2017)と「教師のた
めの問題行動解決10ステップ」を適用した事例演習を
実施し、不登校状態を変える方法を習得していただく
予定です。
WS-02 感情調節困難の理解と支援:弁証法的行動療法、トラウマ理論などから学ぶ
遊佐 安一郎
長谷川メンタルヘルス研究所
境界性パーソナリティ障害、双極性障害、物質関連
障害、摂食障害、神経発達障害など、その感情反応の
強烈さ、そしてそのために問題の改善が頻繁に阻害さ
れる傾向が高いこともあり、「治療困難」と呼ばれる
ことが多い障害(問題、困難)を抱える人の特徴とし
て、感情調節の困難さがある。21世紀に入り、感情調
節(調整)不全に対する認知行動療法的アプローチが
発展してきている。その代表的なものとしてLinehan,
M.による弁証法的行動療法(DBT)は、その効果に関
する多くのエビデンスがあるために、欧米では保険診
療の対象として普及してきている。しかしDBTが包括
的で複雑であり、その実践には高度の訓練と技術を必
要とするためもあり、日本ではほとんど普及が進んで
いない状態だと思われる。
このワークショップでは、弁証法的行動療法などを
応用して、演者が精神科診断名に縛られず、感情調節
困難と呼ぶ人たちの困難を理解するための枠組みを提
案し、日本において実行可能であろうと思われる支援
の工夫の一端を報告してみたいと思う。
時間の制限から、今回扱うテーマは、
● 弁証法的行動療法の生物社会理論とその臨床的活
用
● 弁証法的行動療法の 3 大戦略(承認戦略、問題解
決戦略、弁証法的戦略)のうち、特に承認につい
て演者なりの解釈も含め、その理解と実践のため
の練習訓練のヒント、そして承認的環境の育成の
重要性について
●承認の体験的理解のためのワーク
● トラウマの脳科学的理解の発展と弁証法的行動療
法の関係について