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旦
「ザリガニの博憮誌一里川学入門」
ザリガニといえば,巨大なハサミに武骨なから
だ,子供たちのアイドルでもあり,最も身近な甲
殻類ともいえるのではないだろうか?私も子供の
頃からの遊び相手であり,また息子も夢中である .
思えば私が甲殻類の研究に取り組んでいる一端に
は,こういった幼少期の体験が根付いているのか
も知れない .
C A N C E R
読 者 諸 氏 は い か が だ ろ う
か?
さて,本書はそういったザリガニを多角的な角
度で観察,解体,解説 し た , ザ リガニ づ く し の 本
である . ザリガニについて書かれた本は意外に多
く , 国 会 回 書 館 の 検 索 エ ン ジ ン で は120件もヒ ッ
トする. しかし学術的な立場にたって書かれたも
のはほとんどなく,大多数は子供向けの児童書な
のである.著者の川井氏は,ザリガニにとりつか
れた童心のまま研究活動に入られたピュアなセン
スの持ち主であり,氏の書かれたご研究論文は,
ど れ も 自 然 史 研 究 と し て の 基 本 的 な ポ イ ン ト を
しつかり捕えられ,今ある問題点を実に明瞭に解
決されたものばかりである.本書は,著者が本学
会 の 機 関 誌
C A N C E R
や
Crustacean Research
に
掲載した報文も含めた,これまでのご研究の集大
成であり (「あとがき」には遺言めいた記述まで
あるが,まだまだこれから甲殻類学会での活躍が
期待される! ), こ れ1冊 で , 身 近 で あ り な が ら
実はエイ リアン的な存在であるザリガニと いう生
物に対する理解がグッと高まる.
本 書 は 3部構成で,「I章 . 里川の環境とザリ
ガニ」,「
II
章 ザ リ ガ ニ の 履 歴 書 」 , 「 皿 章 身 近
な水辺環境を守る」からなっている.国内外のザ
リガニ 類の生態や分布,最新の学説やそれに対す
川井唯史著
東海大学出版会
2007年 2月刊A 5変, 166 pp +カラーロ絵9 pp
1SBN978-4-486-0l 754-7 3200円 (税ぬき )
る著者の考え,里川 の環境とニホンザリガニの保
全活動など,難しくなりがちな内容を ,読み手の
立場で丁寧に,興味深く解説されている .本書に
は92点の挿入図が掲載されているが,その3分の
lは著者の学術論文からの引用である.この点も
著者の集大成とし て の 色 が で て い る ま た , 著者
のザリガニヘの入れ込み様はすさまじく,寄生生
物のヒルミミズや , ミズカビ病にまで話が発展し
ている. もちろんそれらはザリガニ研究において
は必要不可欠な領域で,本書のなかでも非常に重
要なキー とな っている.
あとがき「ザリガニ先生,水辺で語る」は実に
泣ける.個人研究を進める に当 たり,良き先輩 ,
友人,良き本との出逢いは,かけがえのない宝で
あることを力説されているからであり,これが氏
の実体験に基づいているため気持ちがス トレ ー ト
に伝わり, しかも誠に説得力がある .私や川井氏
もそうだが,本学会にはアマチュア ・個人単位で
甲殻類を研究している方が多い . そんな私たちは
日頃の研究活性が低下しがちであるが,本書を読
む事によって,研究活力が蘇る思いであった.こ
んどの休日にはタモ網をもって,子供と一緒に相
模川にでかけてみようと思う.
齋藤暢宏 (株 式 会 社 水 土 舎)