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「ザリガニの博物誌-里川学入門」, 川井唯史著, 東海大学出版会, 2007年2月刊, A5変, 166pp+カラー口絵9pp, ISBN978-4-486-01754-7, 3200円(税ぬき)

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「ザリガニの博憮誌一里川学入門」

ザリガニといえば,巨大なハサミに武骨なから だ,子供たちのアイドルでもあり,最も身近な甲 殻類ともいえるのではないだろうか?私も子供の 頃からの遊び相手であり,また息子も夢中である . 思えば私が甲殻類の研究に取り組んでいる一端に は,こういった幼少期の体験が根付いているのか も知れない .

C A N C E R

読 者 諸 氏 は い か が だ ろ う か? さて,本書はそういったザリガニを多角的な角 度で観察,解体,解説 し た , ザ リガニ づ く し の 本 である . ザリガニについて書かれた本は意外に多 く , 国 会 回 書 館 の 検 索 エ ン ジ ン で は120件もヒ ッ トする. しかし学術的な立場にたって書かれたも のはほとんどなく,大多数は子供向けの児童書な のである.著者の川井氏は,ザリガニにとりつか れた童心のまま研究活動に入られたピュアなセン スの持ち主であり,氏の書かれたご研究論文は, ど れ も 自 然 史 研 究 と し て の 基 本 的 な ポ イ ン ト を しつかり捕えられ,今ある問題点を実に明瞭に解 決されたものばかりである.本書は,著者が本学 会 の 機 関 誌

C A N C E R

Crustacean Research

に 掲載した報文も含めた,これまでのご研究の集大 成であり (「あとがき」には遺言めいた記述まで あるが,まだまだこれから甲殻類学会での活躍が 期待される! ), こ れ1冊 で , 身 近 で あ り な が ら 実はエイ リアン的な存在であるザリガニと いう生 物に対する理解がグッと高まる. 本 書 は 3部構成で,「I章 . 里川の環境とザリ ガニ」,「

II

章 ザ リ ガ ニ の 履 歴 書 」 , 「 皿 章 身 近 な水辺環境を守る」からなっている.国内外のザ リガニ 類の生態や分布,最新の学説やそれに対す

川井唯史著

東海大学出版会 2007年 2月刊A 5変, 166 pp +カラーロ絵9 pp 1SBN978-4-486-0l 754-7 3200円 (税ぬき ) る著者の考え,里川 の環境とニホンザリガニの保 全活動など,難しくなりがちな内容を ,読み手の 立場で丁寧に,興味深く解説されている .本書に は92点の挿入図が掲載されているが,その3分の lは著者の学術論文からの引用である.この点も 著者の集大成とし て の 色 が で て い る ま た , 著者 のザリガニヘの入れ込み様はすさまじく,寄生生 物のヒルミミズや , ミズカビ病にまで話が発展し ている. もちろんそれらはザリガニ研究において は必要不可欠な領域で,本書のなかでも非常に重 要なキー とな っている. あとがき「ザリガニ先生,水辺で語る」は実に 泣ける.個人研究を進める に当 たり,良き先輩 , 友人,良き本との出逢いは,かけがえのない宝で あることを力説されているからであり,これが氏 の実体験に基づいているため気持ちがス トレ ー ト に伝わり, しかも誠に説得力がある .私や川井氏 もそうだが,本学会にはアマチュア ・個人単位で 甲殻類を研究している方が多い . そんな私たちは 日頃の研究活性が低下しがちであるが,本書を読 む事によって,研究活力が蘇る思いであった.こ んどの休日にはタモ網をもって,子供と一緒に相 模川にでかけてみようと思う. 齋藤暢宏 (株 式 会 社 水 土 舎)

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