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(三好敬之)論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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(三好敬之)論文内容の要旨

主 論 文

Successful induction of human chemically induced liver progenitors with small molecules from damaged liver

障害肝から小分子化合物を用いて化学的に誘導した肝前駆細胞の作成

三好敬之、日高匡章、宮本大輔、堺 裕輔、村上俊介、YU HUANG、原 貴信、

曽山明彦、金高賢悟、落谷孝広、江口 晋

(Journal of Gastroenterology・in press)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:江口 晋教授)

緒 言

急性肝障害や肝硬変の治療には同所性肝移植が行われているが、ドナー不足が大きな 問題である 。 小分 子 化合物によ って誘 導 されるヒト 化学的 肝 前駆細胞( human chmically induced liver progenitors;hCLiPs)は、移植片拒絶反応やドナー不足と いった肝細胞移植に関わる問題を克服できる可能性がある。しかし、肝移植の適応と なるほどの障害肝から分離した成熟肝細胞(MH)から hCLiPs を誘導可能か否かにつ いて検討した研究はない。

対象と方法

当科の患者 86 名の障害肝を含む外科的切除肝から肝組織を採取し,コラゲナーゼ灌 流法により肝細胞を分離した.この 86 人のうち 33 人から分離した肝細胞を Y-27632,

A-83-01 および CHIR99021 を含む YAC 培地で培養し,hCLiPs を誘導し,その機能を評 価した.肝組織の線維化は METAVIRE スコアを用いて評価を行った。

結 果

肝線維化の程度に関わらず、成熟肝細胞を分離することができた(生存率 F0,1: 87.2%

± 13.2%、F2,3: 87.8 ± 13.1%、 F4: 86.3 ± 4.2%)(F0,1 n=17, F2,3 n=25, F4 n=6)

(F0,1 17.9x105/g、F2,3 20.7 x105/g, F4 22.7x105/g)。Child-Pugh 分類での比較で は、有意な差はなかったが、分離細胞数および生存率は Child-Pugh 分類で重症であ るほど減少する傾向が認められた (分離細胞数 A:19.4x105/g、B:16.0 x105/g, FC:10.4x105/g)(生存率 A:87.2% ± 13.3%、B:79.5 ± 21.9%、C:72.8 ± 14.6%)。 YAC 培地で 14 日間培養した MH は免疫染色で EpCAM 陽性細胞であった。培養した細胞

(2)

を Real-time PCR で解析すると、MH マーカー(ALB、HNF4α、G6PC、CYP1A2)の発現 は、誘導前の MH よりも hCLiPs の方が低かった。一方で肝前駆細胞マーカー(EpCAM、

SOX9、CK19、CD133)は MH よりも hCLiPs で高い発現を示すことが明らかとなった。

またマイクロアレイ解析で 28,497 個の遺伝子を用いて hCLiPs を網羅的に解析したと ころ、iPS 細胞や肝芽細胞と類似し、成熟肝細胞とは異なる性質を持っていた。hCLiPs を肝細胞に分化誘導すると、MH マーカー(ALB、HNF4α、G6PC)やアルブミンの合成・

分泌が回復し、肝細胞の代謝に関わる遺伝子(MDR2,BESP1)の発現が上昇した。

考 察

硬変肝からの肝細胞分離では METAVIR スコアで F4 に分類される高度の硬変肝からも MH の分離が可能であった。肝線維化の程度では分離細胞数および生存率に差はなかっ たが、Child-Pugh 分類で比較したところ、有意ではないものの肝機能の低下に伴いと もに減少する傾向が認められた。これは、肝臓の慢性炎症に伴う線維化により、肝臓 内の肝細胞が相対的に減少し、分離前の肝細胞の総数が減少したためと考えられる。

硬変肝から分離した成熟肝細胞を YAC 培地で培養し得られた hCLiPs は、各種肝前駆 細胞マーカーが陽性で肝前駆細胞としての特徴を有し、十分な増殖能も有していた。

さらに hCLiPs は肝細胞への分化誘導に伴ってアルブミン分泌能が上昇し、代謝関連 トランスポーターの遺伝子も増強された。以上の結果からは肝移植の適応となるほど の重度の硬変肝からも成熟肝細胞は分離でき、その成熟肝細胞を hCLiPs に誘導でき ることが示された。また誘導した hCLiPs を肝細胞へ分化誘導することで、アルブミ ン合成能を保持しており、hCLiPs を自家移植できる可能性も示唆された。患者自身の 肝細胞に由来する hCLiPs を用いることで、同種 MH 移植よりも移植細胞の生着率が高 くなる可能性がある。また、培養が比較的容易であることから肝硬変患者から採取、

培養した hCLiP を、同様の患者に他家移植することで、肝移植への橋渡し療法として 利用できる可能性がある。hCLiP 移植については、悪性形質の獲得の危険性も考慮さ れるが、勝田、落谷らの研究で、MH に分化した移植ラット CLiPs を再分離してラット MH と比較したところ、同一の遺伝子発現が認められ、CLiPs の発癌性は否定的と考え られた。また,hCLiPs は保存や培養が比較的容易であるため、創薬研究のための新規 細胞源となり得ることを勝田らは報告している.

結 語

硬変肝からヒト肝細胞を分離することができた。さらに、硬変肝から分離した肝細胞 から hCLiPs を得ることができ、in vitro で MH に分化可能であった。自家移植が可能 となる hCLiPs は、将来肝硬変を修復できる可能性が示唆された。

(備考)※2000 字以内で記述。A4 版。

参照

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