Roles of the Wada Test and Functional Magnetic Resonance Imaging in Identifying the
Language‑dominant Hemisphere among Patients with Gliomas Located near Speech Areas
著者名 石川 達也
発行年 2017‑05‑19
URL http://doi.org/10.20780/00032083
主 論 文 の 要 約
Roles of the Wada Test and Functional Magnetic Resonance Imaging in Identifying the Language -dominant Hemisphere among Patients with Gliomas Located near Speech Areas ( 言 語 野 近 傍 悪 性 脳 腫 瘍 へ の Wada テ ス ト 、
functional MRI に よ る 言 語 優 位 半 球 同 定 の 有 効 性 ) 東 京 女 子 医 科 大 学 脳 神 経 外 科 学 教 室
( 指 導 : 川 俣 貴 一 教 授 ) 石 川 達 也 Neurol Med Chir (Tokyo) 57 28 〜 34 (2017) に 掲 載
【 目 的 】
言 語 野 近 傍 の 悪 性 神 経 膠 腫 で は 、 言 語 優 位 半 球 の 決 定 が 重 要 で あ る 。 非 言 語 優 位 半 球 で あ れ ば 、 全 身 麻 酔 下 で の 拡 大 摘 出 術 が 可 能 で あ る が 、 言 語 優 位 半 球 で は 、 覚 醒 手 術 が 必 要 と な る 。 今 回 、 我 々 は 言 語 野 近 傍 の 悪 性 神 経 膠 腫 に 関 し て 、 Wada テ ス ト 及 び fMRI に よ る 言 語 優 位 半 球 同 定 を 行 い 、 Wada テ ス ト を 省 略 が 可 能 か を 検 証 し た 。
【 対 象 お よ び 方 法 】
対 象 は 手 術 を 行 っ た 言 語 野 近 傍 の 悪 性 神 経 膠 腫 74 例 と し た 。 男 性 48 例 、 年 齢 は 13~ 70 歳( 平 均 42.7 歳 )で あ っ た 。Wada テ ス ト は 左 右 各 々 の 内 頚 動 脈 に チ オ ペ ン タ ー ル ナ ト リ ウ ム 12.5mg-25mg を 注 入 し 、 半 身 麻 痺 に 先 立 っ て 言 語 停 止 を 認 め た 側 を 言 語 優 位 半 球 と 定 め た 。 fMRI は verb generation task( 言 葉 に だ さ な い し り と り ) を 行 い 、 SPM ( Statistical parametric Mapping ) 99 で 解 析 し た 。
【 結 果 】
Wada テ ス ト は 74 例 中 73 例 (98.6%)で 言 語 優 位 半 球 を 同 定 で き た 。 同 定 不 能 1 例 は 傾 眠 で あ っ た 。Wada テ ス ト で 言 語 野 を 同 定 し 、覚 醒 手 術 を 行 っ た 34 例( 左
31 例 、右 3 例 )は 全 例 で 術 野 に 言 語 野 を 確 認 で き た 。 一 方 、fMRI は 74 例 中 53 例( 71.6% )で 言 語 優 位 半 球 を 同 定 で き た が 、判 定 不 能 が 21 例( 28.4% )で あ り 、 そ れ ら は Wada テ ス ト で 全 例 判 別 可 能 で あ っ た 。 Wada test と fMRI で 結 果 が 合 致 し な か っ た 症 例 が 5 例( 8.6% )あ り 、そ の う ち 3 例( 5.2 % )は 優 位 半 球 が 異 な っ た 。さ ら に 3 例 中 2 例 (2.7 % ) は 、言 語 優 位 半 球 側 を 非 優 位 半 球 と 判 定 す る
「 対 側 の 偽 陽 性 」 例 で あ っ た 。 合 併 症 は 、 Wada test で 4 例 ( 5.4% ) に 痙 攣 発 作 を 認 め た 。
【 考 察 】
fMRI は 、時 に 言 語 優 位 半 球 の 同 定 が 困 難 な こ と が あ り 、我 々 の 結 果 で も 判 定 不 能 が 28.4 % で あ っ た 。 原 因 と し て は 、 脳 腫 瘍 自 体 に お け る autoregulation の 消 失 、 脳 浮 腫 や 静 脈 還 流 障 害 に よ る 血 流 障 害 、 腫 瘍 に よ る 神 経 細 胞 の 障 害 な ど が 挙 げ ら れ る 。fMRI の 精 度 を 上 げ る に は 、タ ス ク の 組 み 合 わ せ や MEG な ど 他 の モ ダ リ テ ィ ー の 併 用 が 有 用 で あ る 。 ま た 判 定 率 と は 別 に 、 精 度 の 問 題 が あ り 、 今 回 の 我 々 の 結 果 で は 、 左 病 変 で 左 優 位 半 球 症 例 を 右 優 位 半 球 と 判 定 す る 「 対 側 の 偽 陽 性 」例 が あ っ た 。Wada テ ス ト で は 全 例 術 野 に 言 語 領 域 を 確 認 す る こ と が で き 、fMRI の よ う な「 対 側 の 偽 陽 性 」例 は な か っ た 。Wada テ ス ト の 唯 一 の 問 題 点 は 侵 襲 的 な 点 で あ る が 、少 な く と も 左 病 変 で fMRI で 右 優 位 半 球 と 診 断 さ れ た 場 合 や fMRI の 結 果 が 明 確 で な い 症 例 に 関 し て は wada テ ス ト が 必 要 で あ る と 考 え ら れ た 。
【 結 論 】
fMRI で 言 語 優 位 半 球 を 明 確 に 同 定 で き れ ば 、Wada テ ス ト は 省 略 で き る 。し か し な が ら 、 fMRI で は 「 対 側 の 偽 陽 性 」 の 可 能 性 が あ り 、 左 病 変 で fMRI で 右 優 位 半 球 と 判 定 さ れ た 場 合 な ど で は Wada テ ス ト に よ る 確 認 が 必 要 で あ る 。