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6 章 結 論

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Academic year: 2022

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6 章 結 論

本 論 文 は 、 イ オ ン 注 入 を 用 い た 複 合 型 表 層 改 質 技 術 を 開 発 し 、 表 層 改 質 お よ び 薄 膜 作 製 に 用 い た も の で あ り 、 成 膜 条 件 が 表 層 の 構 造 お よ び 特 性 に 及 ぼ す 効 果 に つ い て 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て 行 っ た 研 究 を ま と め た も の で あ る 。

以 下 に 、 本 研 究 か ら 得 ら れ た 結 果 を 要 約 す る 。

第 3 章 で は 、 基 材 に イ オ ン ビ ー ム を 照 射 し な が ら 金 属 の 蒸 着 を 行 う イ オ ン ビ ー ム ア シ ス ト 蒸 着 (IBAD) 法 に よ り 硬 質 膜 で あ る Ti, Cr, Ta, Nb, Si の 窒 化 膜 を 作 製 し 、 成 膜 パ ラ メ ー タ で あ る 窒 素 イ オ ン の エ ネ ル ギ ー 、イ オ ン 電 流 量 、蒸 着 速 度 を 種 々 変 更 し 、 薄 膜 の 組 成 、 化 学 結 合 状 態 、 窒 素 と 金 属 の 固 溶 体 の 生 成 状 況 、 窒 化 物 の 生 成 状 況 な ど に つ い て 明 ら か に し た 。 ま た 、 薄 膜 の 特 性 と し て 、 膜 の 緻 密 さ を 反 映 す る 環 境 遮 断 性 に つ い て 調 べ た 。

そ の 結 果 、チ タ ン は 窒 素 と の 親 和 力 が 高 い た め に 、広 い 成 膜 条 件 下 でTiNが 生 成 し 、 結 晶 配 向 性 は イ オ ン ビ ー ム の エ ネ ル ギ ー と 量 に よ り 影 響 を 受 け 、 イ オ ン ビ ー ム 照 射 に よ り<200>優 先 と な る 。 窒 化 ク ロ ム 薄 膜 は 基 板 加 熱 に よ り 結 晶 化 が 進 行 し 、 イ オ ン ビ ー ム 照 射 に よ り<200>配 向 性 と な る 。 こ れ ら の 配 向 性 は イ オ ン ビ ー ム に 対 す る 散 乱 断 面 積 に よ り 説 明 さ れ た 。 窒 化 タ ン タ ル 薄 膜 は 条 件 に よ り Ta3N5, TaN, Ta2N, Ta-N 固 溶 体 と 変 化 し 、IBAD 法 は 低 温 プ ロ セ ス で あ る た め 、Ta-N 固 溶 体 は 過 飽 和 に N を 固 溶 す る 。 作 製 し た 窒 化 タ ン タ ル 薄 膜 の 全 て に つ い て 、 結 晶 系 に 関 わ ら ず 電 気 抵 抗 の 温 度 係 数 は 負 で あ り 、−80 ppm K-1と い う 小 さ い 値 が 得 ら れ た 。 窒 化 ニ オ ブ 薄 膜 で は 、 NbN, Nb2N お よ び N を 過 飽 和 に 固 溶 し た Nb-N固 溶 体 が 観 察 さ れ た 。 窒 化 ケ イ 素 薄 膜 で は 、 何 れ の 作 製 条 件 に お い て も 非 晶 質 膜 で あ り 、 温 度 約 1200 Kま で は 酸 化 が 起 こ ら ず 安 定 で あ る 。

薄 膜 の 環 境 遮 断 性 、 す な わ ち 膜 中 の 欠 陥 に つ い て 硫 酸 水 溶 液 中 で の サ イ ク リ ッ ク ボ ル タ ン メ ト リ ー 測 定 に よ り 検 討 し た 結 果 、Cr-N 系 膜 以 外 は 何 れ の 膜 も 環 境 遮 断 性 を 有 し て い る が 、 特 に 輸 送 比 2 で 作 製 し た 窒 化 ニ オ ブ 薄 膜 が 最 も 優 れ て い た 。

第 4 章 で は イ オ ン ビ ー ム ア シ ス ト プ ラ ズ マ CVD(IB-PCVD) 法 の 開 発 と そ れ を 用 い た 二 酸 化 ケ イ 素 薄 膜 作 製 に 関 す る 研 究 成 果 を 述 べ た 。 高 真 空 プ ロ セ ス で あ る イ オ ン ビ ー ム 技 術 を 比 較 的 高 真 空 プ ロ セ ス で あ る 電 子 サ イ ク ロ ト ロ ン 共 鳴 を 用 い た

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ECRPCVDと 複 合 す る こ と に よ り 、イ オ ン ビ ー ム と PCVDの 特 徴 を 組 み 合 わ せ た 新 し い 方 法 を 開 発 し た 。 こ の 方 法 は 、 基 材 に CVD に よ り 薄 膜 を 作 製 し な が ら イ オ ン ビ ー ム を 照 射 す る も の で あ り 、 薄 膜 の 組 成 、 構 造 の 制 御 お よ び 密 着 力 の 改 善 を 可 能 に す る も の で あ る 。 本 方 法 を 用 い て 、 酸 素 イ オ ン ビ ー ム を 照 射 し な が ら モ ノ シ ラ ン ガ ス お よ び 二 酸 化 炭 素 ガ ス か ら 密 着 性 お よ び 熱 安 定 性 に 優 れ た 二 酸 化 ケ イ 素 薄 膜 を 作 製 し た 。

第 5 章 で は 、PSII 法 に 関 す る 装 置 開 発 お よ び そ れ を 用 い た イ オ ン 注 入 、DLC 膜 作 製 に 関 す る 研 究 結 果 を 述 べ た 。 先 ず 、 内 部 ア ン テ ナ ICP 放 電 を 用 い た PSII 法 に よ り 窒 素 イ オ ン 注 入 が 3 次 元 立 体 物 に 対 し 可 能 で あ る こ と を 示 し 、 チ タ ン 基 板 お よ び ス テ ン レ ス 鋼 基 板 に 対 し 窒 素 イ オ ン 注 入 に よ り 窒 化 物 が 生 成 す る こ と を 示 し た 。 こ の 方 法 に よ り 、 表 面 硬 化 法 と し て 産 業 で 一 般 的 と な っ て い る プ ラ ズ マ 窒 化 あ る い は イ オ ン 窒 化 の 処 理 温 度 を 下 げ る こ と が で き る 。次 に 、ア セ チ レ ン ガ ス を 用 い た 内 部 ア ン テ ナ ICP 放 電 に よ り 表 面 粗 さ 0.17 nm 程 度 、 硬 度 17 GPa 程 度 の 非 常 に 平 滑 な DLC 膜 が 立 体 物 全 面 に コ ー テ ィ ン グ で き る こ と が 示 さ れ た 。 さ ら に 、 ア ン テ ナ 等 の 励 起 源 を 必 要 と し な い 新 し い PSII 法 を 開 発 し た 。 こ の 方 法 は 基 材 に 印 加 し た バ イ ア ス 電 圧 に よ り 発 生 し た プ ラ ズ マ を 用 い る も の で 、 プ ラ ズ マ 密 度 を 上 げ る た め に パ ル ス 電 圧 と DC 電 圧 を 重 畳 し て 用 い て い る 。 基 材 の 周 囲 の み に プ ラ ズ マ が 発 生 す る た め 、DC 電 圧 を 上 げ る こ と に よ り DLC 膜 の 生 成 速 度 は 上 昇 し 、DC電 圧−4 kVと パ ル ス 電 圧−14 kV を 重 畳 す る こ と に よ り 1.3 μm h-1の 高 速 成 膜 が 可 能 と な っ た 。 ま た こ の 方 法 は 、 ア ン テ ナ を 用 い た 時 に 問 題 と な る チ ャ ン バ ー 内 で の 炭 素 粉 末 の 発 生 が な い こ と 、 そ の ま ま 大 面 積 基 材 に 適 用 で き る こ と が 特 徴 で あ る 。こ の 方 法 に よ り 17 μm の 清 浄 な 表 面 を 持 っ た DLC 厚 膜 を 作 製 し た 。 さ ら に 、 パ ル ス 電 圧 条 件 が DLC 膜 の 生 成 速 度 、 表 面 粗 さ 、 化 学 構 造 あ る い は 摩 擦 係 数 に 及 ぼ す 効 果 に つ い て 明 ら か に し た 。

次 に 、PSII 法 と マ グ ネ ト ロ ン ス パ ッ タ 法 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ リ 、DLC 膜 に 金 属 元 素 を 添 加 す る こ と が で き る ス パ ッ タ ソ ー ス PSII 装 置 を 開 発 し た 。 こ の 方 法 を 用 い る と 、 簡 便 に 金 属 イ オ ン 注 入 を 行 う こ と が で き 、 ニ ッ ケ ル イ オ ン 注 入 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。 金 属 元 素 を 添 加 し た DLC 膜 と し て 、Ti, W, Ta, Mo, Nb, Fe, Co, Niを 広 濃 度 範 囲 に 含 む DLC 膜 を 作 製 し 、 炭 化 物 の 生 成 状 況 な ど 構 造 と 特 性 に つ い て 明 ら か に し た 。 金 属 元 素 添 加 に よ り 電 気 抵 抗 が 大 き く 減 少 し 、11 at.%の Mo を 含 有 す る DLC膜 に つ い て 摩 擦 係 数 が 最 小 と な っ た 。

管 内 壁 面 へ の イ オ ン 注 入 は 従 来 の イ オ ン 注 入 法 で は 非 常 に 困 難 で あ っ た が 、 本 研 究

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に お い て ECR 放 電 に よ り 管 内 部 で プ ラ ズ マ を 発 生 さ せ 、 管 に パ ル ス 電 圧 を 印 加 す る こ と に よ り 内 壁 面 へ の イ オ ン 注 入 が 可 能 な PSII 法 を 開 発 し た 。 こ れ を 用 い て 、 内 径 30 mm、 長 さ 1 m の ス テ ン レ ス 鋼 管 内 壁 面 へ の イ オ ン 注 入 お よ び DLC 膜 作 製 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。さ ら に 、内 径 サ ブ mm オ ー ダ ー の 細 管 内 壁 へ の イ オ ン 注 入 お よ び DLC 膜 作 製 が 可 能 な 装 置 を 開 発 し 、 内 径 0.5 mm, 長 さ 20 mm の 細 管 内 壁 に DLC 膜 コ ー テ ィ ン グ が 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。

チ タ ニ ウ ム テ ト ラ イ ソ プ ロ ポ キ シ ド を 用 い て 、 光 触 媒 で あ る ア ナ タ ー ゼ 型 二 酸 化 チ タ ン を PSII 法 で 作 製 し 、 主 と し て 光 触 媒 特 性 に つ い て 調 べ 、 従 来 か ら の ゾ ル ー ゲ ル 法 に よ る 膜 と 同 程 度 の 特 性 を 持 つ 密 着 性 に 優 れ た 膜 が 作 製 で き る こ と を 明 ら か に し た 。

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謝 辞

本研究を遂行するにあたり、終始熱心なご指導・ご鞭撻を賜りました長崎大学大学院生産科学 研究科 藤山寛教授 に心より感謝の意を表します。

本論文をまとめるに際し、ご討論とご教示をいただいた長崎大学工学部材料工学科 江頭誠教授、

羽坂雅之教授 ならびに 清水康博教授 に深く感謝の意を表します。

また、本研究を進めるにあたっては、長崎県工業技術センター 馬場恒明博士 の懇切なるご指 導をいただきました。心より感謝いたします。

さらに、研究結果に関して有益なご助言とご討論をいただいた(独)産業技術総合研究所中部セン ター 宮川草児博士、宮川佳子博士 ならびに 中尾節男博士、(独)理化学研究所 岩木正哉博士、

ハイデルベルク大学G. K. Wolf教授、ダムシュタット工科大学W. Ensinger教授、アウグスブル グ大学J. Lindner博士、デュガプール工科大学S. K. Chattopadhyay博士 に心よりお礼を申し 上げます。

久留米工業大学 蓮山寛機教授、元科学技術庁金属材料技術研究所 武井厚博士、日本工業大学 渡部修一教授、福岡大学 長田純夫教授、宇野電子㈱ 宇野英昭社長ならびに 宇野喜美子氏 から は常に暖かいご支援をいただきました。深く感謝申し上げます。

参照

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