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(1)

DPF 再生のためのポスト噴射に起因した

オイル希釈メカニズムの研究

Analysis of Oil Dilution Mechanism Due to Post-injection for DPF Regeneration

松岡 正紘*1 Masahiro MATSUOKA 伊藤 貴之*2 Takayuki ITO 北村 高明*2 Takaaki KITAMURA Abstract

Diesel engines equipped with a DPF system have a significant problem regarding oil dilution caused by post injection during DPF regeneration. In this paper, first the measurement of the oil dilution rate using a carbon balance (CB) method was established. Then, in order to clarify the detailed mechanism of oil dilution, the effects of injection pattern and fuel properties on oil dilution and fuel evaporation in the crankcase were experimentally investigated. The experimental results show that split injection is effective to reduce the oil dilution, especially at high ambient gas temperatures, although the effect becomes smaller by decreasing the ambient gas temperature. Furthermore, the fuel components strongly affect the fuel evaporation rate in the diluted oil.

1. まえがき 排出ガス規制の強化に伴い,ディーゼル車に対 するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF) の装着が進んでいる.DPF に捕集された PM の燃 焼除去には,筒内ポスト噴射や排気管噴射によっ て DPF 上流に配した酸化触媒(DOC)に燃料を供 給し,その発熱を利用する方法が主流である. しかし,筒内ポスト噴射や排気管噴射による DOC への燃料供給には昇温以外の好ましくない 影響も存在しており,例えば,筒内ポスト噴射に よる燃料供給では,燃料の一部がエンジンオイル に混入し,オイル希釈が起きてしまうことがある. オイル希釈は,潤滑不足などエンジン性能低下を 生じ,長期的な使用ではエンジンの損傷など大き な問題を引き起こす原因となり得る. 本研究では,これらのリスク回避のため,筒内 ポスト噴射時のオイル希釈率推定モデルを構築す ることを目的とし,ポスト噴射の壁面付着,ピス トンリングによるかき落し,クランクケース内の 燃料蒸発等のメカニズム解明に取り組んでいる. 本報では,当該オイル希釈メカニズムを明らか にするため,カーボンバランス法を用いたリアル タイムでのオイル希釈率の計測法を構築し,ポス ト噴射パターンや供試燃料をパラメータとして, ポスト噴射によるオイル希釈および通常運転時の オイルからの燃料蒸発メカニズムついて詳細に調 べた. 2. 実験装置および実験方法 2. 1 カーボンバランス法を用いたオイル希釈率 計測法 オイル中に混入した燃料量は,ガスクロマトグ ラフィ(以下,GC)法1)により,燃料由来の炭化水 素成分量を分析することで求められるが,この方 法は分析に時間を要するなどの課題もある.そこ で,本研究では,Nanjundaswamy ら2)の研究を 参考に,リアルタイムでオイル希釈量が測定可能 なカーボンバランス法を用いた計測方法を試みた. 単位時間あたりにオイル中に混入する燃料量は, 燃費計で測定されるエンジン供給燃料流量と排出 ガスの組成および流量から算出されるカーボンバ ランス(以下,CB)法3)ベースの燃料流量の差とし て求められる.本研究では,これをオイル希釈速 JARI Research Journal 20160707* 【研究速報】

*1 一般財団法人日本自動車研究所 エネルギ環境研究部

*2 一般財団法人日本自動車研究所 エネルギ環境研究部 博士

(工学)

(2)

度と定義し,オイル中に混入した燃料の質量割合 (オイル希釈率)を計測した.オイル希釈速度が正 の値のときはオイル希釈が,逆に負の値はオイル 希釈よりもオイルからの燃料蒸発が支配的である ことを意味する. CB 法による燃料流量の算出にあたっては,式 (1)を用いた. (1) A/F 1 Q

Qfuel,exhaust gas,exhaust

ここで,Qfuel,exhaust は排出ガス組成と排出ガス 流量から求まる燃料流量[g/s],Qgas, exhaustは排出 ガス流量[g/s],A/F は空燃比[-]を表す. 本研究で用いた実験装置の概略をFig. 1 に示す. CB 法による燃料流量の算出に必要な排出ガス流 量の測定には超音波式の排出ガス流量計,CO, CO2,THC 濃度計測には排出ガス分析計(CO, CO2:NDIR,THC:HFID)を用い,エンジンへ の供給燃料流量はコリオリ式燃費計を用いた. U

U

Exhaust gas analyzer Fuel tank L4 2.0L

Diesel engine Dynamometer

DOC DPF

(Ultrasonic flowmeters)

Exhaust gas flow meter Fuel flow meter

(Coriolis flowmeter)

Air

Air temperature and humidity controller

Fig. 1 Schematic of experimental apparatus

供試機関の主要諸元をTable. 1 に示す.供試機 関は,ボア径86 mm,ストローク長 86 mm の 4 ストローク直列 4 気筒ディーゼルエンジンであ る.燃料噴射装置はコモンレール方式である.供 試燃料はJIS2 号軽油(JIS#2)とし,エンジンオイ ルには純正の低アッシュオイル(DH-1,SAE 0W-30)を用いた.また,オイル交換時にはあらか じめ重量を計測したエンジンオイル(約 4.0 L)を 供試した.後処理装置はDOC+DPF である. なお,CB 法と同時に GC 法によるオイル希釈 率計測も実施し,両者の比較によりCB 法の計測 精度を確認した.

Table 1 Engine specifications

Displacement

Engine type 4-stroke 4-Inline cylinder direct injection diesel engine Bore× Stroke (mm) 86× 86

(cm3) 1998

Compression ratio 15.8 Max. Engine output (kW/rpm) 94 /3400 Max. Torque (Nm/rpm) 310/1600-2200 After treatment system DOC + DPF

ポスト噴射時のエンジン運転条件は,アイドル (1000 rpm-9 Nm),60 km/h 定常運転相当(1600 rpm-40 Nm) , 100 km/h 定 常 運 転 相 当 (1600 rpm-70 Nm)とし,噴射タイミングや噴射回数の 異なるポスト噴射を実施した.なお,各条件にお け るポ スト噴 射総 量は DOC 後端面の温度が 650℃に昇温する量とした.また,オイルパンか らの燃料蒸発の影響を最小化するため,実験毎に エンジンオイルを新油に交換した. 2. 2 ポスト噴射パターンの影響調査 100 km/h 定常運転においてポスト噴射パターン がオイル希釈に及ぼす影響を調査した.本実験に おけるポスト噴射パターンをFig. 2 に示す.エン ジン制御は,排出ガス温度昇温を行わない場合 (Normal)と行う場合(Elevated temp.)の 2 条件と した.Elevated temp.条件では,吸気絞りとメイ ン噴射のリタードを実施しており,Normal 条件 と比較すると,排気温度が100 K 程度上昇する. また,パターンⅡおよびパターンⅤにおいて分割 Elevated temp. Elevated temp. Elevated temp. 110 110 130 110 110 110 130 90 40 (5mm3/st) 40 (5mm3/st) Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. Pilot+Main injection Early post injection Late post injection Pattern 50:50 50:50 Sum of Qpost 10.3 mm3/st 9.6 mm3/st 14.6 mm3/st 5.4 mm3/st 4.6 mm3/st 17.3 mm3/st Normal Normal Normal

Fig. 2 Post injection patterns for the investigated operation

(3)

ポスト噴射をする際は燃料噴射量を50:50 とし, パ タ ー ン Ⅲ お よ び パ タ ー ン Ⅵ で の 上 死 点 後 40CA における Early ポスト噴射量は 5 mm3/st で固定とした. 2. 3 クランクケースからの燃料蒸発現象の把握 1) 燃料蒸発速度の計測 オイル中に混入した軽油成分のうち,軽質分に ついてはエンジン運転条件によっては,オイル中 から選択的に蒸発することが考えられる.本研究 では,単位時間あたりのオイル中の燃料重量減少 量を燃料蒸発速度と定義し,エンジン運転条件お よびオイル希釈率が燃料蒸発速度に及ぼす影響を 調べた. 燃 料 蒸 発速 度 の 計測を 行 う 際 は, 上 死 点後 120CA のLateポスト噴射によりオイル希釈を行 い,希釈率が5,10,15 wt%となるようにポスト 噴射運転時間を調整した.蒸発速度を評価するエ ンジン運転条件は,低速・低負荷から高速・高負 荷の最大9 条件とした.蒸発速度は,蒸発運転開 始前および運転開始90分後のオイル希釈率を GC 法によって測定することで,90 分間の平均速度と して求めた.なお,燃料蒸発速度に影響を及ぼす 因子を調べるため,オイルパン温度やブローバイ ガス質量流量の計測も行った. 2) 蒸発燃料成分の分析 燃料蒸発に及ぼす燃料成分の影響を調べるため, JIS#2,軽質軽油(LC),および重質軽油(HC)をあ らかじめエンジンオイル中に 10 wt%混合した希 釈オイルを用いて,燃料蒸発速度を計測した. 供試燃料の燃料性状をTable. 2 に示す.これら の燃料は蒸留特性が大きく異なる特徴を有する. LC は灯油留分が混合されているため低沸点成分 が多く,一方,HC は重油留分が混合されている ため高沸点成分が多い.なお,燃料蒸発成分を評 価する際のエンジン運転条件はクランクシャフト のかき乱し等により比較的顕著な燃料蒸発が期待 できる高速条件(2800 rpm-70 Nm および 2800 rpm-250 Nm)とした. また,軽油中の各成分の蒸発挙動を明らかにす るため,蒸発運転前後のオイルに含まれる C9 か ら C19 の軽油ノルマルパラフィン濃度測定を GC×MS 分析により定量分析した.

Table 2 Fuel properties for evaporation test JIS#2 LC HC Test method

Density@15℃ g/cm3 0.8326 0.8160 0.8543 JIS K2249

Kinematic viscosity@40℃ mm2/s 3.004 1.535 5.110 JIS K2283

Cetane number ― 54.1 43.2 45.4 JIS K2280

IBP ℃ 172.5 155.5 257.0 10% ℃ 209.5 176.0 273.0 50% ℃ 279.0 205.0 292.5 90% ℃ 336.5 311.0 352.0 EP ℃ 359.5 344.0 383.0 Mono-Arom. 15.3 24.9 33.5 Di-Arom. 2.3 3.9 3.9 Tri-Arom. 0.4 0.4 1.9 Olef. 0.3 0.1 0.3 Sat. 81.7 70.7 60.4

Sulfur mass ppm 7 3 6 JIS K2541-6

Hydrocarbon

composition vol% JPI-5S-49-2007

Test fuel Distillation JIS K2254 3. 結果および考察 3. 1 カーボンバランス法を用いたオイル希釈率 計測法 Fig. 3 に,100 km/h 定常運転において,上死点 後90CA で Late ポスト噴射を行った際のエンジ ン供給燃料流量,CB 法より算出される燃料流量 およびオイル希釈量の時間変化を示す.エンジン へ供給される燃料流量とCB 法より算出される燃 料流量の差がオイル希釈速度であり,その累積で あるオイル希釈量はポスト噴射中にほぼ一定の傾 きで増加する. 0 10 20 30 40 2500 3000 3500 4000 4500 0 100 200 300 400 500 600

Time after start of post injection [s]

F u e l f lo w r a te [ g /h r] O il d il u ti o n [ g ]

Fuel flow meter

CB

Oil dilution 100km/h, Post inj. at 90CA ATDC

Fig. 3 Temporal change in fuel mass in crankcase

Fig. 4 に,エンジン運転条件およびポスト噴射 タイミング,噴射回数を変化させ,オイル希釈速 度を0~15 wt%/hr の範囲で振った際の CB 法お よびGC 法によるオイル希釈測定結果の比較を示 す.CB 法と GC 法で高い相関が得られており, CB 法を用いることでオイル希釈量のリアルタイ ム計測が可能となった.

(4)

0 5 10 15 20 25 0 5 10 15 20 25 C B m e th o d [ w t% /h r] GC method [wt%/hr]

Fig. 4 Correlation of oil dilution rate between GC

3 .2 ポスト噴射パターンの影響調査 Fig. 5 に,100 km/h 定常運転において,Fig. 2 に示したポスト噴射パターンがオイル希釈速度に 及ぼす影響を調べた結果を示す.これから,噴射 パターンおよびエンジン制御によってオイル希釈 速度が大きく変化し,Elevated temp.条件にて Late ポストを分割するパターンⅤが最もオイル 希釈が少ない結果であった. 0 50 100 150 200 250 D il u ti o n r ate [g /h r]

Post injection pattern

Normal Elevated temp.

Double +Early Late Double +Early single Late single 1600rpm-70Nm(100km cruise)

Fig. 5 Oil dilution for each post injection patterns

Fig. 6 に,各条件における Late ポスト噴射時の 筒 内 平 均 温 度( 分 割 噴 射 の 場 合 は 上 死 点 後 110CA)とオイル希釈速度の関係を示す.Normal 条件の上死点後110CA でのシングルポスト噴射 時(パターンⅠ,900 K)を基準として,Early ポス ト 噴 射 を 追加 し た パター ン Ⅲ で は筒 内 温 度が 1000 K 程度に上昇し,オイル希釈速度が低下す る.さらに,Elevated temp.条件のパターンⅣで は,1300 K にまで筒内温度が上昇し,オイル希 釈速度が顕著に低下する.これらのオイル希釈低 減は,Late ポスト噴射時の噴霧周囲のガス温度が 上昇することにより噴霧の気化が促進され,液相 状態で壁面に到達する燃料量が低下することに起 因すると考えられる.また,分割噴射を行ったパ ターンⅡ,パターンⅤについては,1 噴射あたり の燃料量が減少することで,シングル噴射よりも 噴霧の貫徹力が低下し,燃料の壁面付着量が低減 することで,オイル希釈速度が低下すると考えら れる4) 0 50 100 150 200 250 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 D il u ti o n [g /s] Tcyl[K] Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ. D il u ti o n r ate [g/hr] Tcyl [K] Normal Late post (110) Normal Early+Late post (40+110) Elevated temp. Double late post

(110+130) Normal

Double late post (110+130) Elevated temp. Late post (110) Elevated temp. Early+Late post (40+90)

Fig. 6 Effect of post injection pattern on oil dilution

一方,Elevated temp.条件で,Early ポスト噴 射も併用したパターンⅥでは他のパターンと比較 して,筒内平均温度の上昇に対するオイル希釈量 の低減代が小さい.Fig. 2 に示す各パターンでの 総ポスト噴射量に着目すると,パターンⅥでは Early ポスト噴射の 5 mm3/st を差し引いた Late ポスト噴射量が他のパターンに比べて多い.この ため,ポスト噴射期間が長く,壁面付着量が増加 するため,筒内温度が上昇するにも関わらず,オ イル希釈速度の低下は少ないものと考えられる. 各ポスト噴射パターンにおける熱発生率履歴を Fig. 7 に示す.オイル希釈率の低減代が少なかっ たパターンⅥでは,上死点後90CA の Late ポス ト噴射後に明確な熱発生が見られていることが分 かる.筒内で燃焼した場合,DOC までに熱損失 による温度低下が生じるため,DPF を 650℃まで 昇温するためのポスト噴射燃料量が増加したもの と考えられる. Fig. 8 に各ポスト噴射パターンにおける DPF 再生時の正味燃料消費率とオイル希釈速度の関係 を 示 す . メ イ ン 噴 射 リ タ ー ド を 行 っ て い る Elevated temp.条件では,メイン燃焼の燃料消費 率は増加するものの,ポスト噴射量は少量となる

(5)

ため,サイクルあたりの燃料消費率が低く,オイ ル希釈速度も小さい.ただし,パターンⅥのよう に Late ポスト噴射燃料が燃焼する場合には燃料 消費率が極端に悪化する. 定常運転において,オイル希釈と燃料消費率の 同時低減を可能とするポスト噴射ストラテジーと して,①排出ガス温度昇温運転(吸気絞り,メイン 噴射リタード)を行い,②ポスト噴射燃料が燃えな いタイミングで,③分割噴射することが効果的で あることが明らかとなった.ただし,低車速を含 む過渡運転では,DOC の失活を防ぐために Early ポスト噴射で排気温度を昇温する必要があり,上 述のストラテジーの適用は一定速の運転に制限さ れる.

Ⅰ.

Ⅱ.

Ⅲ.

Ⅳ.

Ⅴ.

Ⅵ.

Early Early

Fig. 7 Effect of post injection patterns on ROHR

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 D il u ti o n [g /h r] BSFC [g/kWh] Normal late post

(110) Elevated temp.early+late post (40+90) Elevated temp. double late PI (110+130) Elevated temp. late post (110) Normal double late post

(110+130) Normal early+late post (40+110) D il u ti o n r ate [g /h r] BSFC [g/kWh] Ⅰ. Ⅱ. Ⅲ. Ⅳ. Ⅴ. Ⅵ.

Fig. 8 Effect of post injection patterns on BSFC and oil dilution

一方,低負荷運転時など筒内平均温度が低い場 合には,燃料蒸発が進まず,分割ポスト噴射によ るオイル希釈低減効果が得にくい可能性が懸念さ れる.そこで,分割噴射によるオイル希釈低減効 果と筒内温度の関係を把握するため,エンジン回 転数1600 rpm 条件下で負荷調整により筒内温度 をスイープしながら,ポスト噴射の分割によるオ イル希釈低減効果を調べた. Fig. 9 にポスト噴射時の筒内平均温度と分割噴 射によるオイル希釈低減効果の関係を示す.ポス ト噴射量は5 mm3/st,10 mm3/st の 2 通りとした. ポスト噴射時期はシングル噴射の場合は上死点後 100CA,ダブル噴射の場合は上死点後 100CA と115CA とし,ダブル噴射の噴射量比は 50:50 とした.分割噴射によるオイル希釈低減効果は, シングル噴射時とダブル噴射時のオイル希釈率の 比を用いて評価した.分割噴射によるオイル希釈 低減効果は筒内平均温度が高くなるにつれて大き くなり,筒内平均温度が低い場合には分割噴射に よるオイル希釈低減効果は小さい.また,ポスト 噴射量が少ない5 mm3/st 条件の方が,分割によ るオイル希釈低減効果が大きい. このように,ポスト噴射の分割によるオイル希 釈低減効果は,噴射時の温度の影響を強く受け, 筒内温度の低い低負荷や減速での燃料カット時に は効果が小さいと考えられる. 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 500 700 900 1100 1300 1500 R a ti o o f O il d il u ti o n (D o u b le p o s t / S in g le p o s t) Tcyl [K] 10mm3/st 5mm3/st m o re e ff e c ti v e

+

R a ti o o f o il d il u ti o n 1600rpm-Load sweep

Fig. 9 Effect of double post injection on oil dilution

3. 3 クランクケース内の燃料蒸発現象の把握 1) 燃料蒸発速度の計測

エンジン負荷,回転速度を変化させた際の燃料

蒸発速度をFig. 10 に示す.燃料蒸発速度はエン

(6)

荷運転で大きく,低速・低負荷運転で小さくなる 傾向がみられる.また,高オイル希釈率ほど燃料 蒸発速度も大きい結果となった. 0 10 20 30 Oil dilution10wt% Evaporation rate [g/h] T o rq u e [ N m ] Engine speed [rpm]

Fig. 10 Effect of engine operating condition on fuel evaporation rate Fig. 11 および Fig. 12 に,オイルパン温度,ブ ローバイガス質量流量およびオイル希釈率が燃料 蒸発速度に及ぼす影響を示す.これから,燃料蒸 発速度は特にオイルパン温度とオイル希釈率の影 響を強く受けることが明らかとなった.ただし, 本実験は,エンジン回転数や負荷などの各種パラ メータと,オイルパン温度を独立して制御できて おらず,クランクケース内のオイルミスト飛散量 など,燃料蒸発に寄与すると考えられる影響因子 を十分に捉えきれていない可能性がある.希釈オ イルからの燃料蒸発メカニズムを明らかにするた めには,今後,オイルパン温度の制御を独立して 行い,燃料蒸発に及ぼす各種因子について詳細に 調査を行う必要がある. 0 10 20 30 40 85 90 95 100 105 110 115 E v a p o ra ti o n r a te [ g /h ]

Oil sump temp. [℃ ]

15wt% 10wt% 5wt% R2=0.91 (10wt%) Ev a p o ra ti o n r a te [g /h r]

Fig.11 Correlation between evaporation rate and oil sump temperature

0 10 20 30 40 20 30 40 50 60 E v a p o ra ti o n r a te [ g /h ]

Blowby flow rate [g/min] 15wt% 10wt% 5wt% R2=0.73 (10wt%) Ev a p o ra ti o n r a te [g /h r]

Fig.12 Correlation between evaporation rate and blowby flow rate

2) 蒸発燃料成分の分析 蒸発する燃料成分を把握するため,JIS#2 をあ らかじめ 10 wt%混合した希釈オイルを用いて蒸 発運転を行い,運転前後におけるオイル中の軽油 ノルマルパラフィン量を分析した.分析結果を Fig. 13 に示す.蒸発運転により消失した炭化水素 成分はC9 から C12 の軽質成分が主体である様子 が確認できる. Before After (2800rpm×250Nm) C17 C16 C15 C14 C13 C12 C11 C10 C9 C9-C12

Fig. 13 Chromatogram of fuel component in oil before and after evaporation operation (JIS#2, 10wt%)

次に,燃料蒸発現象における燃料の蒸留特性の 影響を明らかにするため,オイルに予め混合する 供試燃料をLC および HC とした場合についての 燃料蒸発速度およびオイル中の燃料成分量の変化 を調べた. Fig. 14 に各供試燃料の 10%留出温度と燃料蒸 発速度の関係を示す.なお,Fig. 14 には,JIS#2 を用いてポスト噴射によってオイル希釈を行った 場合の燃料蒸発速度も併記した.燃料蒸発速度は, 10%留出温度が低く,燃料中の軽質成分の比率が 高い燃料ほど大となる傾向を示す.また,同じ JIS#2 でも,燃料をあらかじめエンジンオイル中

(7)

に混合した場合とポスト噴射によりオイル希釈し た場合では,後者の方が燃料蒸発速度が小さい. 0 30 60 90 120 150 150 200 250 300 E v a p o ra ti o n r a te [ g /h ] 10% distillation temp. [℃ ]

( )

( )

LC JIS#2 HC □ 2800rpm×250Nm ▲ 2800rpm×70Nm post inj. Ev a p o ra ti o n r a te [g /h r] 0 30 60 90 120 150 150 200 250 300 E v a p o ra ti o n r a te [ g /h ] 10% distillation temp. [℃ ]

Fig. 14 Relationship between T10 and fuel evaporation rate

Fig. 15 にポスト噴射により希釈されたオイル 中の燃料成分(燃料を 100%とする)における各ノ ルマルパラフィンの残存率の分布を示す.ポスト 噴射燃料は,筒内において高温雰囲気にさらされ, 軽質成分の一部が蒸発するため,オイルに混入す る時点で軽質成分の割合が少なくなる.そのため, 予め燃料をオイルに混合した場合よりも燃料蒸発 速度が低下したものと考えられる.また,エンジ ン負荷によりオイルに混入する燃料成分の分布が 異なり,低負荷の方が低沸点成分が多い様子が分 かる. 0 20 40 60 80 100 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 A b u n d a n c e [ % ]

Carbon number of n-paraffins [-] ● 1600rpm×70Nm

(post inj.120CA) ◆1600rpm×250Nm

(post inj.120CA)

JIS#2

Fig. 15 Abundance of diesel fuel (n-paraffins) in crankcase after oil dilution operation

Fig. 16 に,各供試燃料における蒸発運転中のオ イル中燃料成分の残存率(蒸発前を 100%とする) の時間変化を示す.供試燃料によらず,蒸発運転 開始後の早い段階からC9 から C12 程度の軽質成 分が選択的に蒸発し,C19 程度の重質成分の蒸発 はほとんどみられない.そのため,蒸発運転を続 けると,オイル中にC19 程度の重質成分の割合が 増加していくことが推察される. 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 A b u n d a n c e [ % ]

Time after start of evaporation operation [min]

C9 C10 C11 C12 C13 C14 C15 C16 C17-C19 JIS#2-10wt% 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 A b u n d a n c e [ % ]

Time after start of evaporation operation [min]

LC-10wt% C9 C10 C11 C12 C13 C14 C15 C16 C17-C19 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 A b u n d a n c e [ % ]

Time after start of evaporation operation [min]

HC-10wt% C9 C10 C11 C12 C13 C14 C15 C16 C17-C19 2800rpm-250Nm

Fig. 16 Temporal change in abundance of diesel fuel

(n-paraffins) in crankcase during fuel evaporation operation 4. まとめ 本研究により,ポスト噴射によるオイル希釈メ カニズムおよび燃料蒸発メカニズムに関して以下 の新たな知見を得た. 【オイル希釈計測法について】 1) オイル希釈率の計測方法として,カーボンバ ランス法を用いたリアルタイム計測法を確 立した.

(8)

【オイル希釈メカニズムについて】 2) ポスト噴射によるオイル希釈と燃料消費率の 同時低減には,排出ガス温度昇温運転を行い, ポスト噴射燃料が燃焼しないタイミングで 分割噴射することが有効である. 3) 筒内温度が低い条件においては,ポスト噴射 燃料の蒸発が緩慢となるため,ポスト噴射の 分割によるオイル希釈低減効果は小さい. 4) ポスト噴射によりオイルに混入する燃料は, 軽質成分が一部蒸発した燃料であり,エンジ ン負荷により混入する燃料成分が異なる. 【燃料蒸発について】 5) 燃料蒸発速度は,オイルパン温度とオイル希 釈率の影響を強く受ける. 6) 燃料蒸発時は C9 から C12 程度の軽質成分が 選択的に蒸発し,C19 程度の重質成分はほと んど蒸発しない. 参考文献 1) 公益社団法人 石油学会:石油学会規格-エンジン油の 軽油希釈率試験方法- JPI-5S-23-2011 (2011) 2) H.Nanjundaswamy et al., : A Novel Approach in

Determining Oil Dilution Level on a DPF Equipped Vehicle as a Result of Regeneration, 2009 DEER Conference (2009)

3) 細井賢三,:排気組成から得られる情報 -空気過剰率,

重量排出率及び燃料消費率の算出-,日本自動車研究

所研究資料第1 号(1991)

4) Matthias Budde, et al,:Simulation and Optical

Analysis of Oil Dilution in Diesel, SAE 2011-01-1844 (2011)

Fig. 2    Post injection patterns for the investigated  operation
Table 2    Fuel properties for evaporation test  JIS#2 LC HC Test method
Fig. 4    Correlation of oil dilution rate between GC
Fig. 8    Effect of post injection patterns on    BSFC and oil dilution
+3

参照

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