子どもの自尊感情の影響の要因としての 家庭教育と親の言葉かけ
-中日比較-
教科・領域教育専攻 国際教育コース SU Weibin
一、研究背景
子どもが国の未来であるということは、どの 国にも言えるだろう。どのように子どもを育る かということや子どもを教育したりすることは、
世界的な大きな課題でもある。教育問題は社会 や国の発展に対して大きな影響を与えるため、
世界的に注目され、多くの国が教育を優先的に 発展させることを提唱している。
今、日本の社会は、安心して子どもを産み育 てることが困難になりつつある。都市化、核家 族化、少子化、そして共働き世帯の一般化によ り、子どもを取り巻く家庭や地域社会が大きく 変化している。かつて、子どもを産み、育てて きた家庭、家庭を支えてきた地域社会の子育 ち・子育て機能が大きく低下している。 一方、
中国では経済が危速に発展している中にあって、
多くの人はスピードを追い求めている。子ども を教育するとき、親は子どもにスピードを要求 する。また、おとなの金銭に対する欲望の増加、
あるいは窮屈な生活のため、親が自分で子ども を育てないことも少なくな1, '大方の親が子ど もを祖父母に、あるいは「託児所」に預けてい る。その結果、子どもは親との絆が出来ていな Il 'また、子どもが親の言うことを聞かず、親 引期系に深い問題が生じている。親はその原因 に気づくことができず、 子どもを怒鳴ったり、
言語の暴力をしたりするなどの間違った教育方
指導教員 石 村 雅 雄
法を行っている。その結果、さまざまな深刻な 社会問題が生じている。例えば‘一]「語の暴力、体 罰、いじめ、不登校、子どもの犯罪などである。
李ロ013)では、ほとんどの犯人の与り切教育 に問題が存在すると考えていると述べている。
親の不適当な早期教育の原因で、子どもの性格 が不健全に成長することが少なくないとしてい る。また、人の心の問題は子どもの時期に発生 しており、それを心の底に押さえ込んでしまっ ていて、それが後年爆発するきらいがあるとし た。また、甲期教育のうち、最も重要なのは家 庭教育である。子どもが生まれてから、6 歳ま での時期に、最も重要な場所は家庭である。生 まれたての子どもは何も知らず、すべての身の 回りのことに好奇しを持っている。その時期に 家庭環境の中にいる人たちが子どもに影響を与 えると思われる。親は-番の代表者であり、親 の言葉かけが子どもの心に影響を与え、子ども の自尊感情の発達に影響を与えると考えられる。
二、研究目的
本和‘には、中国の社会的背景と日本の社会的 背景の違いにより、親が行った家庭教育の違い に着目して分析を行う。また、中国では、ネッ トでの言語の暴力と拠ITIの言語の暴力に関する 研究はあるものの、親の言葉かけと子どもの心 の発達に関する研究がいまだ少なし、 よって、
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本稿では、①現在の中国の家庭教育と日本の家 庭教育が文化によってどの程度異なるのか、② 中国で児童期の親の言葉かけが子どもの自蜘惑 情の形成にどのような影響を与えるか、以E二 点を検討し、明らかにすることを目的とする。
三、研究方法
本稿では中国の家庭教育と日本の家庭教育に 関する文献調査を行い、資料を収集し、中日に おける家庭教育の状況と異同をI幽量する。
また、巾国でアンケート調査を行い、中国で の子どもの自尊感情と家庭教育と親の言葉かけ の関係を分析する。
その上で、親の言葉かけがどのように違うか を中日比較し、分析する。
四、考察
1,中国の児童期の親の言葉かけと子どもの自 朝曹清との関連
(1)言葉かけの種類と内容
子どもの特陛に関する「ポジティブ」な言葉 かけは、具体的な場面での「受容的」な言葉か けを高めていたことが示された。 ・方、 子ども の特陛に関する「ネガティブ」な言葉かけは、
具体的な場面での「否定的」な言葉かけに有意 な正の影響を与え、「受容的」な言葉かけに有意 な負の影響を与えるという結果が見られた。
(2)言葉かけと自尊感情
児童期の親の「ポジティブ」な言葉かけは、
子どもの「自蜘雷清」を高め,「ネガティブ」な 言葉かけは「自抱惑情」を低下させていた。し かし、具体的な場面における「受容的」な言葉 かけと「否I葺自」な言葉かけはいずれも「自尊 感清」に影響していなかった。パス係数を比較 すると,「自親惑情」には「ポジティブ」な‘i“葉
かけと「ネガティブ」な言葉かけの多さの影響 がほぼ同じであった。
2,中日比較
児童期の親の具体的な場面での言葉かけにつ いて、日木語版)司変と比較すると、中国語版尺 度は2因子で構成されている。中国の児童期の 親の具体的な場面での言葉かけの次元を「受容 的」、「否定的」の2 因子と同定した。一方、日 本における具体的な場面での言葉かけの次元は
「受容的」、「否ス甘自」、「感言物の3 因子で説明 されていた。このことから、「受容的」因子と「否 定的」因子は中国と日本の両文化に共通してい るものであることが確認できたと同時に、感謝 という気持ちを表す言葉の捉え方は中国人が受 容的な意味で受け入れることが推測される。す なわち、中国の親の具伽’1勺な場面での言葉かけ の要素を構成するものは、日本文化と共通する 側面と中国文化特有の側面があると考えられる。
さらに、中国では、「否伯均」な言葉かけは「自 蜘聾清」と「受容的」な言葉かけとの有意な負 の相関があった(r=・.215.pく.05; r =-.227.
p <.01)。一方、日木では、森下らロ015)の 研究によると、「否定的」な言葉かけは「自蜘惑 情」と「受容的」な言葉かけと相関がなかった。
このことから、「否定的」な言葉かけと「受容的」
な言葉かけおよび「自蜘歯請」の関連について、
中日両国の間に差があることがわかった。
五、今後の課題
今後はより中国の事情に相応して【具体的場 面】の設定を考案する必要がある。大規模な調 査を行う必要がある。より有効な中日比較を行 うためには,両国の聞で対象者を一定レベルに 備えるEで,同じ尺度を使って調査する必要が あると考えられる。
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