事故データの見方 読み方 考え方(10)高齢期の事故 なぜ、男女はかくも違うのか(5)
著者 吉田 信彌
雑誌名 人と車
巻 44
号 2
ページ 38‑41
発行年 2008‑02‑01
URL http://id.nii.ac.jp/1204/00000465/
故データ
商館周の事館 恕 ぜ
︑ 男 女 肱 か く も 遭
一 う のか⑥
自転車事故の解読は厄介だ
自転車事故の統計は厄介である︒
矛盾するような点が多く︑一筋縄で
bLS
ミ 俗h
Lねカ右し s
︒
高齢期の自転車による死者数と負
傷者数の年次鮮移を前号{
一月号)
でグラフに示した︒
それ
によ
ると
︑
男性は死者数も負俗者数も減少傾向
にあ
るが
︑ル
久性
の白
山者
数は
明加
し
てい
た
︒つまり︑自伝市引放件数の
刑減
傾向
は︑
品川
齢期
の見
性と
女性
と
で以対向きであるそして︑死打数と
負師荷数でも迎いがあった︒それゆ
えに桜雑だが︑今りではそれが高齢
期だけではないこと金示し︑自転市
問題の厄介さを認減していただく︒
方
方
東北学院大学教養学部教擾
吉田信覇
一 自
転 車 の 負 傷 者 数 は 女 性 優 位
一犬棒仮説ではわり切れ芯い国ー
と国
2
は︑人口十万人当たりの自転車操舵中の死者数と負備者数
とを年齢を区分して示した平成十八
年の統計である︒ここで注目してほ
しいのは︑成人期から高齢期の初期
(いわゆる大人の時期)の死者数と
負侮者数の男交差である死者数(図1)
のほ
うは
男性
のほ
うが
ん然
性よ
り
多いのに対し︑負傷行数{図2)は
' K 性のほうが多いこれはヂ成ト八
年にかぎらない近年の傾向である︒
n
転市
山戸
般の
年次
推移
では
︑ル
然性
の負俗持数はほぼすべての年齢制
で予成仁ハ年までは増加傾向にあっ
たe負侮者数の噌加傾向と図2の成 人火性の負傷行数が同年齢の男性を
k
回ることの開山をさかすとき︑犬棒仮説はタ性のほうが男性より自転車に乗る僚会が多いからだ︑と見当をつける 3女性は自動車免許保有率が男性より低い︒買い物などでいわ
ゆる
﹁ママチャリ﹄に乗る機会が多
いので︑女性の負傷者数が多いと説
明するのが犬倖仮説であるa
しか
し︑
自転車に乗る機会が女性のほうが多
いの
なら
ば︑
死荷
数も
ん然
性の
ほう
が
目性より多くなるはずである死行
数と負傷語教の出火反転にえ搾仮説
はとまどってしまう
品八
彬似
A
をさらにとまどわせるのは︑
年齢
口円
分の
七十
ι
段以七︑あるいはじト成以
k
というu m M
齢の医分
では︑負傷者数はこ転して見性のほ
( 38 ) 人と・ 20UM ,2
(人) 5.0
"1
20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70
¥ 5 I ¥ 5 5 ¥ 1 5 J j 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 般 歳 貴 重 歳 歳 歳 歳 歳 続 殺 成 人口10万人当たりの自転車鎌舵中死者数 (平成18年)
日石 τ 五 7
71
mM
愈
図1. 4.0
2.0
0.0 1.0 3.0
(人)
500.0 ・司T
・男 日女
』ーーーーー‑ーーーーーーーーー」
400.0
, ̲ 一 一 一 一 一
うが女性を上
回る
ことである︒
それ
は昭和六十一年から今日まで変わら
な い
(一月号
・ 函
2) ︒死者数も減
少傾向にあるとはいえ︑男性のほう
が多 い
全文搾仮説を段くならば︑最
高齢段附だけは男性のほうが女性よ
り
n
転市に乗る機会が多い︑と主張することになるはたして︑そのよう
300.0 200.0 100.0
乃緩
以上
13 16 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70
L ¥̲ I ¥ I ¥ I ¥ I ¥ 5 I j 15 19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 般 般 歳 般 歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳 綾
人口10万人当たりの自転車操舵中負傷者数 (平 成18年) 6
歳以
下
図2.
7 1
M M
綾
0.0
な事実の裏づけはとれるだろうか︒
犬棒仮説がなかなかの切れもので
あることは前号(一月号)と前々号
( ト
二月
号) で紹 介し たが
︑自 転市 平
に関しては切れ味が鈍る内自転曜は
それたけ厄介なのである
歩行者事故との対比
飲酒は決定的な要因か
成人 則の 歩行 中の 死者 数と 白山 同行
数は両点とも男性のほうが女性を上
凶った︒
その
一関に飲酒のむ無をあ
げた{ト一月号て飲酒する機会の
多い成人男性が歩行中に死亡し怪我
をすることが女性より多いと考え
た ︒その考えを自転車に適用できる
だろうか︒自転車操舵中の死者数が
男性のほうに多いのは︑酔って自転
車に乗るからで︑昼間のママチャリ
なら負傷だけですむ︒
この解釈は
一
見通りそうではあるが︑どうであろ
うか
︒見性が夜に僻って自転車事故に潤
うた めに .先 お数 が多 いの なら
︑ね 偏
#打数も多くなるのではないだろう
か︒
ただ し︑ 死者 と負 向者 の数 が任 倒
的に巡うので︑先の解釈が成り立た
ないことはないしかし︑いまとき柑
を飲む行き制りに白転事を使うだろ
うか
︒飲滴が男性の死者数の多さを
( 39 )
人と軍 2問)8‑;2
2.0 (人)
男.6貴重以下 ーや 一 女・6歳以下 男・7‑12歳 一号一 女・ 7‑12歳
. .+..
. . .・... 1.0
‑・...男・13‑15歳
‑‑0一 女・ 13‑15歳 一ι・一 男・16‑19歳
a B
昭 昭 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 立 平 平 平 平 平 平 平 和 和 利 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 61 6263元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年図3.人口10万当たりの自転車操舵中死者数の年次錐移 0.0
一+一 女・16‑19歳
説明するようには私には思えない ︒
このように歩行者の事故統計をう
まく説明できた原理も自転車には通
じな
い
︒自転車の事故統計の解釈は
難し
い
︒さらに解釈だけでなく︑統
計そのものに問題があるのが自転車
であ
る ︒
自転車の統計の塑度は自動車と同
じレベルにはない︒自動車では自動
車の台数当たり︑走行距離当たり︑
そして免許人口当たりの事故の発生
惑を算出し︑それをもとに考察がで
きた
︒しかし︑自転車ではそうはい
カな
b自動車の車検制度に相当するもの
がない自転車では︑いったい何台の
自転車が全国にあるのかがわからな
い︒販売台数の集計はあるが︑販売
台数と実際に路上で動く実働台数は
異なる︒比較的安価な自転車は簡単
に放寵されてしまう︒
販売
され
ても
︑
放置されて使われない自転車の台数
がどれくらいあるのかの見当がつき
にく
い
︒
特定の道路での通行台数も把握し
にく
い
︒自動車では交通量を計測す る装置も調査方法も確立しているのに︑自転車に関しては方法も情報も不十分である ︒
免許制の自動車では免許保有者の
数を把握できるのに︑自転車のほう
はどれだけの利用人口があるのかが
唆昧である︒そこで︑本連載のよう
に︑自転車は誰もが利用できると想
定し︑人口当たりの死者数と負傷者
数との統計をもとに自転車事故の増
減を論じるのが通例である︒実際の
自転車利用者の人数と利用方法につ
いての統計がほしいところである︒
そのような統計の限界を考慮しつ
つ自転車の事故統計を再度点検して
みよう︒
発達段階と男女差
中高校生の且転車事故
国1と図
2
に戻り︑年齢を追って男女差をみていこう ︒
O
歳から十二成までの子供の時期には死者数も負傷者数も男児のほう
が女児より多い︒それが中学生(十三
歳から十五歳)︑そして高校生が多
くを占める十六躍から十九歳と長じ
るにつれて︑男女差が小さくなる︒
この男女差の変化は歩行者事故で
も同様であることは十一周号でも指 摘した ︒中学生や高校生の生活では
交通事故に迎うのは通学時が主とな
る ︒男女の聞で事故に遭遇する機会
が均質佑することが事故統計上の男
女差縮小の理由と私はみる︒
この
点
では犬棒仮説をとる︒
図ー
と図2は平成十八年の統計で
ある
︒二
十歳未満の年齢の男女差を
点検するために︑それぞれの年次推
移を図3と図
4
に示
した
︒
自転車操舵中の死者数(図3)
は ︑
男児(黒マlク)のほうが女児(白
抜き
マ
1
ク)を上回ることと年次の変動が少ないことが特徴である︒昭
和六十一年以降の年次推移は増加傾
向にはない︒多少の変動はあるが人
口十万人当たり一・
O
人を大きくは超えない範聞での変動である︒
これに対して負傷者数のほうは︑
六歳以下の幼児以外は平成十六年
まで年々増加である(図41高齢者
の年次推移は前号(一月号
・ 図 に2)
示したが︑高齢者は人円十万人当た
りで
二百人を超えない範閉での変動
であったことを確認していただきた
い︒
今考
の
図
4
では
︑十
六歳
から
十九
践は男女とも昭和六十一年の時点で
約二百人である︒それ以降車近まで
に倍以上に増加してきた ︒高校生の
( 40 )
人と皇居 2
∞
8‑2. ...・・ 男・ 7‑12費量
一 骨 一 女・7‑12歳 男.13‑15歳 一心一女・ 13‑15歳
・
・企・・ 男・ 16‑19歳
~一女. 16‑19歳
‑
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~争に了 .ro~
一 一
‑司ーー̲
. ̲ ‑
I.
J、、・‑.‑'‑./ .‑、i(人) 500.0
400.0
300.0
200̲0
100.0
嘗『
昭 昭 昭 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 平 竿 平 平 平 和 幸 日 和 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 成 61 62 63元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年
図4.人口10万当たりの自転車縁舵中負傷者数の年;欠錐移 0.0
自転車の負傷者発生率は男女とも他
のどの年齢よりも高い水準にある︒
自転車教静の機を逸す?
高校生の中でもとくに一年生の死
傷者数が多いと指摘したのが︑子ど
もの交通事故を調べた交通事故総合
分析センターの大山光春
Z
である︒彼は同時に自転車事故の都道府県で
の差が大きいことも指摘した︒
一年 生の 多い 理由 は︑
彼らが高校
入学以前に十分に自転車に慣れてい
ないまま︑そして安全教育も不十分
なまま長い距離を自転車で通学する
ようになるからではないか︑と私は
推測する ︒仙台市の中学校は自転車
通学を禁止する傾向にある︒禁止は
最高の事故防止策であるし︑自転車
躍場のトラブルを避けるにも有効で
ある ︒中学校からすればそれが最善
の策ということだろうが︑自転率に
乗る機会が少なくなれば︑交通ルー
ルやマナーを学習する機会も減る︒
そのつけは︑高校生になってからの
事故となってしまうのではないだろ
うか︒
学校の方針には地域差もある
︒ 一
例を挙げれば︑島根県松江市や静 馬県高崎市などでは︑自転車通学の中学生にヘルメットを着用させている︒しかし︑その中学生たちも高校
生になるとヘルメットの着用を止め
てし
まう
︒
ヘルメットを着用する地域と着用
しない地域の中学生の自転車事故の
発生率を比較してみたいところであ
る︒ところが︑双方の地域の自転車
利用者の人数や頻度をそろえて比較
しようとしても︑そこに統計の精度
の壁が立ちはだかる ︒地域差は存在
するのだろうが︑それを統計的に検
証するのは窓外と難しいのである︒
地域を越えて共通にいえることが
一つある︒小中高の連携がよくとれ
た一貫した自転車教育が行われてい
ないことであるc体系だった教育が
実施されていないことが︑その後の
成人期や高齢期の事故に影響を及ぼ
すか
もし
れな
いが
︑地
峨菱
︑年
齢差
︑
男女差︑さらに死者と負傷者の傾向
の違いなど統計は錯綜している︒そ
れらを総合して考えなければならな
いか
ら︑
自転
車は
厄介
であ
る︒
(よ
しだ
・しんや)
文献 (1 )大 山光 春﹁ 子ど もを 交通 事欽 から 守る
﹂﹃ 月
刊交
﹄ 通
︑ 二OO
七年
三月
号︑
七七
頁i
八四
葉(
東
京法令出版)
( 41 )
2008‑2 人と譲