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合理的意思決定能力の育成と消費者教育

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社会系教科教育学会『社会系教科教育学研究』第10号 1998 (pp.83-90)

合理的意志決定能力の育成と消費者教育

Development of the Ability of Rational Decision Making and Consumer Education

武 田 寿 博 (出雲市立第三中学校) I はじめに 中学校社会科における消費者教育は,直接的に は,公民的分野の経済単元で行う。現行の学習指 導要領は,山根栄次氏が指摘するように1),消費 者の立場を中心とした経済学習の展開を求めてい る。また,匚消費者保護」という観点からの記述 もなされている。 消費者教育においては,従来から,匚自立した 消費者の育成」や匚意志決定能力の育成」の必要 性が指摘されている2)。また,昭和61年に出され た厂国民生活審議会消費者政策部会」の答申では, 匚消費者の自主的かっ合理的な判断・行動の重要 性」について述べている。では,社会科における 消費者教育は,具体的に,どのような授業展開が 望ましいのであろうか。 消費者教育の授業実践事例をみると,消費者被 害に遭った人を共感的に理解させることのみで授 業を終わったり,消費者被害に遭わないための知 識の伝達を中心に授業を展開しているものがある。 このような授業は,対症療法的な域を脱していず, このような授業展開から,転移力のある知識の獲 得は難しいと言わざるを得ない。また,意志決定 能力の育成に関しても,その理論と方法が,授業 レベルで具体的に示されたものは少ない。 社会科の目標は匚社会認識を通して市民的資質 を育成する」ことであるOそして,市民的資質の 中核となるものは厂合理的意志決定能力」であ る。社会科における消費者教育においては,消費 に関する社会事象を因果関係的に把握するととも に,合理的な意志決定能力を育成する必要があ る。 本研究では,まず,消費に関する現代社会の諸 問題と消費者主権について考察する。また,近年, 盛んに議論されている「 ̄規制緩和問題」が,消費 者教育において,合理的意志決定能力を育成する 教材として有効であることを述べる。その後,中 学校社会科公民的分野経済単元の消費者教育の授 業モデルを提案する。この授業モデルは,経済学 の研究成果を基盤とした因果関係的知識の獲得を 目指すものである。また,合理的意志決定能力育 成場面では,「規制緩和問題」を具体的事例とし て扱う。 n 消費をめぐる現代社会の諸問題と消費者主権 1.消費をめぐる現代社会の諸問題の解明 厂消費者問題」は様々な形で現在も発生し続け ている。 1992年の国民生活センターへの相談件数 は,「 ̄契約(解約)」に関するものが最も多く,全 体の約50%を占めている。以下,匚品質・機能・ 役務品質」匚販売方法」「 ̄安全・衛生」の順となっ ている3)。 しかし,限られた時間の中で,これら の個々の内容全てを扱って授業を組み立てること は不可能である。したがって,匚消費をめぐる現 代社会の諸問題」を,経済学(特に,消費経済学 と環境経済学o)の研究成果を基盤として解明し, 問題の所在を明確化する必要がある。このことに より,消費をめぐる諸問題の科学的因果関係的把 握が可能となる。 筆者は,消費に関する現代社会の諸問題を, 「個人的消費問題」と匚社会的消費問題」に分け て捉えているo「個人的消費問題」とは,消費者 による商品の購買過程あるいは使用過程で発生す る不公正な価格,不当表示,不公正な取引,安全 性・有害性の問題等の厂消費者保護」を中心とし −83−

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た内容を指す。一方,匚社会的消費問題」とは, 消費活動によって引き起こされる社会的諸問題を 指す。地球環境問題や都市生活型公害等の,いわ ゆる「環境問題」がこれにあたる。また,南北問 題にかかわる内容や規制緩和問題も「社会的消費 問題」として扱う5)。 (1)個人的消費問題 「消費者問題は20世紀の社会問題である」とい われているO産業革命以降,急速に生産者と消費 者の分離が行われたが,現在のような,生活用品 のほとんどを購入するという形の消費者の出現は 20世紀になってからのことである。 商品の技術的高度化と寡占市場の成立によ り,消費者は個々の商品情報を的確に収集するこ とが不可能となった。発生する消費者問題の内容 や傾向は時代によって異なるが,それらの原因の ひとつとしては,消費者が生産者と情報に関して 対等な立場に立ち得ないということが指摘でき る。 消費者が商品を選択する際には,多くの場合, 「価格」と匚質」を選択基準とする6‰「価格」 に関しては,「表示」があるために容易に判断で きるが,「質」に関しての的確な判断は難しい。 近年は,「質」に関しての表示の工夫がなされて いるが,それでも消費者が,生産者と同等の情報 や判断力を持つことは難しいのである。これが, 消費財市場と生産財市場を異なるものにしている 原因のひとつであるO 消費者は匚質」の判断の拠りどころとして, 「ブランド」を頼りにする。生産者は,「ブラン ドイメージ」を確立するために,「宣伝広告」を 行う。 J.K.ガルブレイスは,生産者が,宣伝や販 売術によって,消費者の欲望をつくり出そうとす ることを指摘している。このような「依存効果」 は,消費者の非合理的な購買活動を促す。また, 消トレー費者の非ジ戸合理な購」・買活や匚誇示動としては効果」も指,「デモされン ている。 現代社会においては,消費者の立場が生産者に 対して,相対的に弱いものになっている。このよ うな現「消者のを考える」がと「消費,急の者への情報のとな。また提供」 −84 上記の内容は,消費者教育において扱うべき重要 な柱のひとつとなる。 (2)社会的消費問題 /近年,消費者自身が自己の消費生活の在り方に ついて再考を迫られる問題が発生している。環境 問題である。特に,「都市生活型公害」といわれ るものは,産業形態のみならず,我々のライフス タイルとかかわる問題である。 また,「炭素税」「課徴金」「リサイクル経費の 負担」等,消費者に地球環境保護のための経済的 負担を求める議論も行われている。特に「リサイ クル」は,単なる道徳的な問題として捉えきれな いものである。近年,静脈産業育成の必要性が指 摘されているが,リサイクル業者は,経営上,様々 な問題をかかえているのが現状である。 地球環境問題の深刻化とともに,求められる消 費者像が変わりつつある。これは,従来の「守ら れる消費者」から,経済社会の主体としての「 ̄自 立した消費者」への転換の必要性を示すものであ る。 消費者は,常に「商品購入」を通じて意志決定 の場に立たされている。商品選択の際の意志決定 は,匚社会の眼」7)をともなう必要がある。この ことに対しては,「人間の非合理的な購買行動」 を論拠とした反論も成り立つであろう。確かに, 商品選択・購入にあたっては,個人の嗜好が「選 択の根拠」となされることが多い。 しかし,「個 人の嗜好」のみが選択の根拠でありっづけるなら ば,消費に関する様々な社会問題の解決には至ら ないし,消費者教育を行う意味もない。消費者教 育において環境問題を扱い,科学的因果関係的知 識を基盤とした授業設計を行うことは,今後ます ます重要になる。 2.消費者主権 前項では,消費をめぐる現代社会の諸問題 について,「個人的消費問題」と「社会的消費 問題」に分けて簡単に述べた。授業においては, これらの内容をひとつの中心概念のもとに構 造化して展開する必要がある。その中心とな る概念が「消費者主権」である。 「’価格メカニズム」の理論にしたがえば,我々 が生活している資本主義経済においては,各

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自勝手な判断で経済活動を遂行していれば, 自ずと消費者が必要とす,るものが生産される ことになる。逆にいえば,消費者が必要としな いものを生産しても消費者は購入しないわけ だから,その商品は自然と淘汰されることに なる。これが「消費者主権」の基本原理であ る。 しかし市場経済には,「市場の失敗」といわ れる現象も存在する8)。消費者運動は,このよ うな現象の一部を補完するための重要な役割 を果たしてきた。また, 1960年代に登場した 「コンシューマリズム」9)の思想は,「個人的消 費問題」を解決するための方向性を示してい る。わが国においても, 1995年7月から「製造 物責枉法(PL法)」が施行されたが,これは 「売手責任主義」の考え方を取り入れたもので あり,「コンシューマリズム」の思想に合致し たものである。 また,「グリーンコンシューマリズム」も, 「コンシューマリズム」の思想の延長線上にあ るが,その基本となっているのは「消費者主権」 の考え方である。すなわち,消費者が,汚染の 少ない商品に有利になるように購買活動を行 うことにより,生産者の提供する商品が環境 にやさしいものとなり,そのことが地球環境 問題の解決につながる,というものである。 授業において「消費者主権」の概念を中心に 授業設計を行えば,消費に関しての科学的因 果関係的知識の獲得が可能となり,「消費をめ ぐる現代社会の諸問題」を総合的に扱うこと ができる。このことは,消費に関しての論理批 判的な思考力を育成することにもつながる。 また,「コンシューマリズム」「グリーンコン シューマリズム」に関する知識も獲得するこ とができる。 「自立した消費者の育成」は,経済学の研究 成果を基盤とした授業設計を行うことにより 可能となる。 m 消費者主権と規制緩和問題 消費者教育における合理的意志決定能力の 育成は,匚社会的消費問題」の具体的内容を教 材として授業設計を行うことにより可能とな る。本項では,匚規制緩和問題」を事例とした 合理的意志決定能力の育成について検討す る。 1.規制緩和問題 近年,厂消費者重視の政策」や匚景気の刺激 策」のひとつとして,規制緩和の必要性が指摘 されているOまた海外からも,わが国の規制緩 和の一層の推進が求められている。 しかし規 制緩和は,経済的諳状況を好転させる万能薬 ではない。規制緩和には匚痛み」がともなう。 匚価格メカニズム」が有効に機能するために は,市場において自由競争が行われている必 要かおる。規制緩和は市場における自由競争 を促進させる。 匚価格メカニズム」の理論にし たがえば,規制緩和は,消費者の効用を高める 効果があると考えられる。しかし,規制緩和に よる一時的な失業者の増大は避けられそうに ない。このようなことから,規制緩和について は今も様々な議論がなされている。規制緩和 問題は,21世紀を迎えた後も議論が続けられる 問題である。 2.規制緩和問題の教材としての有効性 規制緩和問題は,合理的意志決定能力を育 成する教材として有効であるOしかし,規制緩 和の対象となる業種は多岐にわたるため,授 業においては,生徒の体験を含むと考えられ るものを選択し,学年段階にあった論題を設 定する必要がある。 規制緩和問題が合理的意志決定能力育成の ための教材として有効である理由として,第 一に,この問題が様々な価値の対立を含みう る問題であるという点を挙げることができる。 しかも,設定する厂論題」によって,生徒の反 応は非常に多様なものとなる。いわゆる「総論 賛成,各論反対」という現象が表出するのであ る。生徒達は,それぞれの持つ様々な体験と, それまでに習得した匚消費者主権」等に関する 知識を総動員して匚選択の根拠」を考え,意志 決定を行う。この問題は,自分自身の家庭生活 や将来の進路と直接的に関係する問題である ため,表面的な意志決定を避けることができ −85−

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る。 第二の理由として,匚論題としての適切さ」 を挙げることができる。選択の根拠をともなっ た意志決定(価値判断)は,事実判断を基盤と して為される。合理的意志決定を行う際に社 会的論争問題を扱うことは,匚事実」に関する 調べ活動を可能にし,社会認識を深めるのに 効果的である。しかし,合理的意志決定能力を 育成する際に扱う「 ̄論題」は,一定の条件を備 えることが必要となる。その条件とは,「恒常 的な社会問題」厂身近な地域の問題」匚生徒の体 験を含みうる問題」である回。 規制緩和問題は21世紀になってからも議論 が続けられる問題であり,消費者主権の実現 と関連させて,「恒常的な社会問題」として位 置づけることができるOまたこの問題は,匚身 近な地域の問題」として扱うことも可能であ り,匚生徒の体験を含みうる問題」ともなり得 る。 第三に,多様な視点からの調べ学習が可能 である点を挙げることができる。規制緩和の 必要性が指摘されるようになった原因として は,「わが国の閉塞的な経済状況」厂冷戦の終 結」匚経済発展の状況に見合った国民の生活実 感の不足」匚海外からの市場開放要求」等,様々 なものかおる。規制緩和問題は,わが国の経済 状況やその歴史的経過,政府の政策等の国内 の視点のみならず,国際経済の視点の獲得も 可能にする。また論題によっては,社会的弱者 の視点や地域の文化に関する視点の獲得も可 能となる。このような様々な視点から匚事実の 分析的検討」を行い,これらの内容を総合的に 吟味すれば,多様な匚未来予測」が可能となり, 生徒は,選択の根拠をともなった,合理的な意 志決定を行うことができる。 人ひとりの合理的意志決定能力を育成する必 要がある。また,本稿nで示した内容から,以 下のような「消費者教育の視点」を設定するこ とができる。 ①消費者主権の意識化 ②消費の環境への影響 ③消費者の環境保護に対する責務 ④消費者保護に関する法律の知識 ⑤消費に関する情報の活用 』 授業設計においては,これらの内容を組み込ん だものを作成する必要がある。以上のことを踏ま えノ本研究では,岩田一彦氏の匚概念探求・価値 分析型社会科」の理論により11),授業モデルを作 成し,提案する。なお,本授業モデルでは,厂社 会的消費問題」に関しては,匚リサイクルの問題」 を扱っている。 2.授業設計の実際 (1)小単元 経済社会における消費と消費者 主権(中学校社会科公民的分野) (2)小単元の指導計画(全14時間)

IV 

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−86

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小 単元 の主 な問 いと目 標 時 段  階 主  な  問  い 目      標 資  料 1 情 報 の収 集 1 ・ 1 ヶ月 の 消 費 計 画 を 立 て よ う。 ・ 消 費 生 活 は, 限 ら れ た 経 費 の 中 で 様 々 な 工 夫 の もと に営 ま れ て い る こ と を 知 る。 ( 興 味 ・ 関心 の 喚 起 ) 1 ヶ月 の家 計 の収 支 項 目 と 金 額 の資 料 1 情 報 の収 集 2 ・ 消 費量 の増 減 は, 商 品 価 格 に ど のよ う な 影 響 を 与 え る の か 。 ・ 消 費 量 と 商 品 価 格 の変 化 と の関 係 が 説 明 で き る 。 ・ 消 費 活 動 が 経 済 動 向 に 影 響 を 与 え る こ と に 関 し て , 興 味 や 関 心 を 持 つ こ と が で き る。 農 産 物 の 入 荷 量 と 価 格 の変 化 を 示 し た 資 料 1 情 報 の 分類 ・ 比 較 学 習 問 題 の 発 見 ・ 把 握 予 想 の 提 示 ・ 消 費 に 関 し て, ど のよ う な 社 会 問 題 が 発 生 し て い る の だ ろ う か。 【 単 元 の中 核 と な る問 いI ・ 消 費 動 向 は, 理 論 的 に は , 経 済 に 影 響 を 与 え 得 る に も か か わ ら ず, 消 費 に 関 し て の 様 々 な 社 会 問 題 が 発 生 し て い る と い う 事 実 を 知 り, そ の 内 容 が 指 摘 で き る 。 】 消 費 者 被 害 に 関 す る 資 料 環 境 問 題 に関 す る 資 料 | な ぜ , 消 費 に 関 し て 様 々 な 社 会 問 題 が 発 生 し て い る のか ・ 一 人 ひ と り が予 想 を す る こ と が で き る。 ・ グ ル ープ で の話 し 合 い に 参 加 し, 仮説 を 設 定 す る こ と が で き るo 4 仮 説 の 設 定 ・ 検証 ≪ 予 想 さ れる 主 な 仮 説 ≫ a 消 費 者 は 商 品 に 関 して よ く知 ら な い し, 先 の こ と を 考 え て買 い 物 を し な い か ら。 b 消 費 者 は 守 ら れて い な い し , 生 産 者 の方 が立 場 が 強 い か ら。 c政 府 が 経 済 成 長 を 優 先 し た か ら。 d ゴ ミ は, 生 活 して い る と 必 ず 出 る し , 消 費 者 は , 環 境 の こ と を 考 え て 生 活 し て い な い か ら。 ・ 商 品 の 技 術 的 高 度 化, 寡 占市 場 の 成 立 等 に よ り , 消 費 者 は相 対 的 に 弱 い 立 場 に立 だ さ れ て い る こ と が 消 費 者 の「 依 存 効 果 」 等 と 関 連 さ せ て 説 明 で き る。 ・ 消 費 者 運 動 の 意 義 や 「 売 手 責 任 主 義 」 の考 え 方 が 説 明 で き る。 ・ 近 年 の流 通業 界 の動 き か ら, 消 費 者 の経 済 へ の 影 響 力 につ い て 説 明 で き る。 ・ リ サ イ ク ル は, 経 済 的, 技 術 的 に 様 々 な 問 題を か か え て い る こ と が 説 明 で き る。 商 品 の選 択 基 準 に 関 す る資 料 P L 法 関 係資 料 規 制 緩 和 問 題 に つ い て 記 述 し た 資 料 ゴ ミ の排 出 量 の推 移 を 示 し た 資 料 古 紙 回 収業 者 の経 営 実 態 に 関 す る資 料 1 検 証 結 果 の 発 表 ・ 様 々 な 工 夫 の も と に, グ ル ープ ご と に , わ か り や す く 発表 す る 。 1 ま と め ・ 応 用 ・ 新 し い 問 い の発 見 ・ 消 費 に 関 し て 様 々 な 社 会 問 題 が 発 生 し て い る 原 因 につ い て ま と め よ う。 ・ 経 済 的 , 歴 史 的 , 政 治 的, 環 境 経 済 的 側 面 を ふ ま え て , 総 合 的 に説 明 で き る。 −87 −

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【 単 元 の 中 核 と な る問 い 皿】 | 消 費 者 主 催 が 実 現 す る た め に は ど の よ う な 条 件 が必 要 か 3 価 値論 争 問 題 の設 定 事 実 の 分 析 的 検討 【 単 元 の 中 核 と な る問 い Ⅲ 】 大 店 法 に関 す る 資 料 ア メ リ カ か ら の 市 場 開 放 要 求 に 関 す る 資 料 出 雲 市 消 費 者 の 会 会 長 の言 葉 | 消 費 者 主 権を 実 現 す る た め に は ど の よ う な 政 策 が 望 まし い の か 論 題   出 雲 市 に お い て も大 店 法 関 連 の規 制 緩 和 を 行 う べ き で あ る ・ 規 制 緩 和 や 大 店 法 は ど の よ う な も の か 。 ま た そ の こ と に関 し て ど のよ う な 主 張 が な さ れ て い る の か。 ・ 出 雲 市 の小 売 形 態 は ど の よ う に変 化 し て き た の か。 ・ 出 雲 市 の 都 市 計 画 は ど う な っ て い る の か 。 ま た, 商 店 街 保 護 の 政 策 は ど う な っ て い る の か 。 ・ 論 題 に 関 す る事 実 を 様 々 な 視点 か ら 捉 え, 調 べ る。 そ し て , 既 習 事 項 と 関 連 さ せて , 論 題 に関 す る 事 実 を 把 握 す る。 ・ 規 制 緩 和 問 題 や 大 店 法 に関 し て の 様 々 な 主 張 内 容 を 知 る。 ・ 大 店 法 の規 制 緩 和 に よ り , 高 齢 者 や身 体 障 害 者 等 の 社 会 的 弱 者 の 生 活 に マ イ ナ ス の 影 響 が 及 ぶ可 能 性 が あ る こ と が予 測 で き る。 1 未 来 予 測 ・ 大 店 法 の 規 制 緩 和 を 進 め た 場 合 と そ う で な い場 合 につ い て, 出 雲 市 の 未 来 の姿 を 予 測 し よ う。 ・ 多 様 な 視 点 か ら 未 来 予 測 を 行 う 。 ・ 既 習 事 項 を 踏 ま え, 明 確 な 理 由 を と もな っ た 未来 予 測 を 行 う。 1 議 論 意 志 決 定 ・ 論 題 に 関 し て の 自 分 の 考 え を , 理 由 を 加 え て 発 表 し よ う。 ・ ワ ー ク シ ート へ の記 入 ・ 明 確 な 理 由 を と もな っ た 意志 決 定 内 容 の発 表 を す る 。 ・ 他 者 の意 見 を し っ か り 聞 く。 消 費 者 教 育 に お い て 扱 う 中 心 概 念 は 「 消 費 者 主 権」 で あ る 。 し か し 「 消 費 者 主 権 」 そ の も の につ い て 教 師 が 一 方 的 に説 明 し て も, 生 徒 は, 言 葉 を 覚 え る の み で 理 解 に は 達 し な い。 し た が っ て 授 業 に お いて は, 「 消 費 者 主 権 」 の 概 念 を 獲 得 さ せ る た め , 消 費 に 関 し て の 具 体 的 な 社 会 事 象 を 示 し , そ れ を 因 果 関 係 的 に把 握 さ せ る 必 要 が あ る。 授 業 モ デ ル 中 の 「 単 元 の 中 核 と な る 問 いI 」 は, こ の よ う な考 え 方 の も と に 設 定 し た 。 「 単 元 の 中 核 と な る 問 い H 」 は, 消 費 者 主 権 を 実 現 す る た め の 条 件 に つ い て 考 え さ せ る も ので あ る。 こ の 問 い の 答 え を 考 え る 過 程 で , こ れ まで の 学 習 内 容 が総 合 的 に 吟 味 さ れ, 「 消 費 者 主 権 」 に 関して の概念 の獲得 が可能 とな る。 ま たこの問 い は, 「単 元 の中核 とな る問 いⅢ」 を導 く もので あ る。 合理 的意志 決定能力 育成場 面( 価値分 析過 程) で は,「 出雲 市 にお いて も大 店法 関連 の規制緩 和 を行 うべ きで あ る」 とい う論 題を設 定 した。 これ は, 「 単元 の中核 とな る問 いⅢ」 の内容 を, 「 論 題 の条 件」 を 満 た す よ う に具 体化 し た もの で あ るO 合理 的意志 決定 を行 うた めには,論 題 に関 する 事実 と未来予 測 の内容を, で きるだ,け豊 かな もの に する必要 があ る。 こ のた め, 本研究 で は, 「 事 実 の分析的 検討」 と「未来予 測」 の段 階で, 佐伯

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胖氏のいう,「包囲型」,と「湧き出し型」の視点 活動を取り入れた1‰このことにより,論題に関 する事実を,経済,歴史,政治等の視点から,詳 細に検討することができる。また,未来予測の場 面では,出雲市の大規模小売店や中小の小売店, 出雲市の経済,労働者,高齢者等の各視点からの 予測が可能となる。このような複数の視点からの アプローチは,匚事実の分析的検討」と「未来予 測」の場面での「思考の往復運動」を発生させ, 双方の内容を豊かなものにする効果がある。 消費者教育で扱う内容は多岐にわたる。しかし, 経済学の研究成果を基盤として,「消費者主権」 に関する概念的知識を中心に授業設計を行えば, 消費に関する現代社会の諸問題の内容が明確にな り,消費に関する社会事象を因果関係的に把握す ることができる。また授業過程に,「社会的消費 問題」を扱った「合理的意志決定能力育成場面」 を設定するごとにより,「消費者主権」を中心と した消費に関する社会認識をさらに深めることが できる。このような授業設計により,「自立した 消費者」の育成が可能となる。 V おわりに 本研究では,消費に関する現代社会の諸問題と 消費者主権に関しての考察を行い,厂消費者主権」 の概念的知識を中心とした消費者教育の社会科授 業モデルを提案した。また,合理的意志決定能力 を育成する消費者教育の具体的教材として,匚規 制緩和問題」が有効であることを示した。今後の 課題は,本授業モデルを実践・検討し,合理的意 志決定能力を育成する消費者教育の授業理論を発 展させることである。 [注] 1)山根栄次著『 厂経済の仕組み』がわかる社会 科授業』,明治図書, 1990.3, p.119. 2)消費者教育における意志決定能力育成の必要 性については,今井光映氏や中原秀樹氏も指 摘しているOまた「日本消費者教育学会」の 著書にも同様の指摘がある。 今井光映・中原秀樹著『消費者教育論』,有 斐閣フックス, 1994工 ― 89 3)川端良子「消費者保護と相談・処理」,日本 消費者教育学会編『新・消費者保護論』,光 生館, 1997.2, p. 116. 4)猪瀬武則氏によれば,環境経済学は「物質代 謝アプローチ」「環境資源論アプローチ」「外 部不経済アプローチ」「社会的費用アプロー チ」「経済体制論アプローチ丁の5つに類型 化されるという。筆者は,「消費に関しての 社会問題(社会的論争問題)」を通しての合 理的意志決定能力の育成を目指している。し たがって本研究で扱う環境経済学の対象は, 「エントロピー」や匚持続可能な開発」に関 連したものである。 猪瀬武則「経済的意思決定能力を育成する環 境学習の授業構成」,日本社会科教育学会 (社会科教育研究J No.70, 1994.3所収。 5)三宅耕三氏は,筆者が分けた「個人的消費問 題」と「社会的消費問題」を,「取引問題と しての消費者問題」と「 ̄生活問題としての消 費者問題」と呼んでいる。小谷正守氏は,環 境問題を含めた消費に関する問題を「個人的 消費」として分類している。また,辻本興慰 氏は,消費に関する問題として環境問題を扱 うことの必要性を述べているO筆者は,個人 に関する消費問題と社会(世界)を視野に入 れた消費問題とに分ける方が,授業において 扱いやすいと考え,このような分類を行うこ ととした。 三宅耕三「消費者問題の発生」,杉田淳子他 著『消費生活概論』,建ぱく社, 1995.12, p. 137. 小谷正守「消費経済学の学際的体系と課題」, 日本消費経済学会編『消費経済学総論一生活 科学のニュー・フロンティアー』,税務経理 協会, 1996.4 , p.46. 辻本興慰「消費者主権経済の確立を目指し て」,前掲書, p.136. 6)井原哲夫著『消費者の経済学』,東洋経済新 聞社, 1986.11, p.42. 7)佐伯胖氏はこの言葉を用い,匚社会の眼」を ともなった指摘し,消費活動を例にあげて具体的に記述「個人的決定」の必要性について

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している。       12)佐伯胖氏は,「包囲型」の視点活動とは, 佐伯胖著『「決め方」の論理一社会的決定へ    『ひとつの認識対象のまわりを,くまなく, の招待−』,東京大学出版会, 1996.3, pp.      すき間なく,連続的に包囲する動かし方」で 309-310.       あるとし,「湧き出し型」の視点活動は, 8)鳥越良光氏と辻本興慰氏は,消費者主権が成    「『モノになる』ことによって,そのモノ自 立する条件について,市場の透明性,商品知     体の活動として次々と視点を発生させ,湧き 識の対称性,市場参入の自由,価格による完     出させることである。」と述べている。 全競争状態等を挙げている。      佐伯胖著「イメージ化による知識と学習」, 鳥越良光「消費者問題への対応」,杉田淳子     東洋館出版社, 1992.12, pp.214-217. 他著『消費生活概論』,建ばく社, 1995.12, pp.149-150. 辻本興慰,前掲書(5), p,134. 9)呉世煌氏は,コンシューマリズムについて, 「コンシューマリズムとは,①消費者の権利・ 利益を自衛,または増進しようとする消費者 運動,②消費者保護の立場をとる政府の消費 者行政,消費者立法と司法による救済運動, ③企業が消費者援助という立場からする自主 規制活動および企業の社会的責任の一環とし ての消費者利益の尊重,④消費者の権利・利 益の擁護に献身的であるコンシューマリスト 達の理論的・実践的な指導など,4つの柱の もとに消費者の権利の確立と生活の質の高揚 をめざすもので,売手責任主義を志向する現 代消費社会の1つの方向を示す思想,運動ま たは指導原理である,といえよう。」と述べ ている。 呉世煌匚消費者運動と平衡力の形成」,日本 消費経活科済学学の会編ニュー『消費・フ経済ロンテ学総論ィアー,税 務経理協会, 1996.4, p.256. 10)岩田一彦氏は,論争問題の条件として,「過 去・現在・未来にわたって生じる問題」「子 どもの経験とつながっている問題」「地域に 見られる問題」を挙げている。 岩田一彦著『小学校社会科の授業分析』,東 京書籍, 1993.4, p.100. 11)岩田一彦氏の提唱する「概念探求・価値分析 型社会科」の理論は,前掲書とともに,『小 学校社会科の授業設定』(岩田一彦編著,東 京書籍, 1995.1.)にも詳しく記述されてい る。       −90

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