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博士(理学)Kerry Michael Swanson

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Academic year: 2021

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博士(理学)Kerry Michael Swanson

学 位 論 文 題 名

Ecology, taphonomy and evolution of marlne  benthic ostracods in the South West Pacific

(南 西太 平洋 の海 生底 生貝 形虫 の生態・夕フォノミーと進化)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  貝 形 虫 類 の 分 布 は 種 毎 に 生 息 環 境 が 限 ら れ 、 地 域 性 に 富 ん で い る の で 、 化 石 群 集 の 解 析 は 古 環 境 復 元 に き わ め て 有 効 で あ る 。 学 位 申 請 者 は 過 去25年 以 上 に わ た り 、 南 西 太 平 洋 海 域 に お け る 現 生 貝 形 虫 の 分 類 と 生 態 及 び 生 物 地 理 を 研 究 し て き た 。 こ れ ま で の 研 究 ば 計 38編 の 論 文 と し て 報 告 し た が 、 分 類学 、生 態学 とタ フォ ノミ ー、 進化 の3つ の分 野に わた る。

  分 類 学 に 関 す る 研 究 結 果 iま 8編 の 論 文 に 公 表 し て お り 、 5つ の 新 属   (Jacobella,Microceratina,Microxestoleberis,Pseudocyther,WaiparaCymeriS)、

1新 亜 種 ( PseudocymereくPlenocythere) ) 、49新 種 を 記 載 し た 。 こ の う ち 、 南 島 の 下 部 中 新 統 か ら 記 載 し た Waiparacytheris属 は ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 周 辺 の 多 く の 海 域 で 潮 間 帯 に 生 息 す る こ と を 発 見 し 、 軟 体 部 の 特 徴 か ら 、 こ の 特 異 な 属 が Hemicythermae亜 科 に 所 属 す る こ と を 明 ら か に し た 。 従 来 、 生 物 学 者 と 古 生 物 学 者 は 、 そ れ ぞ れ 軟 体 部 と 殻 の 特 徴 を 分 類 の 拠 り 所 と し て き て お り 、 両 者 に 共 通 す る 貝 形 虫 の 分 類 体 系 が 存 在 し な か っ た 。 申 請 者 は 、 多 く の 現 生 種 に つ い て 、 殻 と 軟 体 部 の 形 態 的 特 徴 を 合 わ せ て 研 究 す る こ と に よ り 、 貝 形 虫 の 統 一 さ れ た 分 類 基 準 の 確 立 に 重 要 な 知 見 を も た ら し た 。   .   ま た 、 南 西 太 平 洋 海 域 に お け る 約500種 の 産 出 を 確 認 し て 、 主 要 な タ ク サ の 生 物 地 理 を あ き ら か に し た 。 ま た 、 従 来 古 生 物 学 者 が グ ロ ー バ ル に 分 布 す る と 考 え て き たCytherella属 の 各 種 は 、 そ れ ぞ れ が 複 数 の 種 の 混 合 し た も の で あ り 、 新 た に 細 分 さ れ た 各 々 の 種 は 、 そ れ ぞ れ 異 な る 環 境 に 適 応 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。 元 来 、 進 化 に 伴 う 殻 の 形 態 変 化 は 保 守 的 で あ り 、 相 当 異 な る 進 化 レ ベ ル に あ る 種 間 に お い て も 殻 の 特 徴 に は 大 き な 変 化 が 認 め ら れ な い 。 し か し 、 申 請 者 は 殻 と 軟 体 部 を 併 せ て 研 究 す る こ と に よ り 、 異 種 の 殻 間 で の 細 か い 形 態 的 特 徴 を 識 別 し 、 化 石 を 用 い た 古 環 境 復 元 に 大 き な 可 能 性

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を見いだした。さらに、殻の微細構造を電子顕微鏡で詳しく観察し、殻の溶 解程度の時系列変化が、安定炭素同位対比と同調した変化を示すことを見い だして、この溶解レベルが透光帯における基礎生産カの指標となることを発 見した。さらに、元来浅海性であった貝形虫が、寒冷底層水の形成に伴って、

古第三紀の後期に深海ヘ進出し得た理由を説明した。

  Punciidae 科は、Homibrook(1949) がニュージーランド近海の陸棚斜面の堆 積物から殻を発見して記載して以来、西太平洋各地の表層堆積物から殻だけ が見っかっていた。この科はきわめて原始的な殻形態を持っており、貝形虫 の進化を知る上で軟体部の発見が重要な意味を持っと考えられた。このため、

この仲間の軟体部を残した標本の発見は貝形虫研究者にとって最大目標のー っ と さ れ 、 35 年 間 にわ たっ て 世界 中で 探 索が 行わ れ てい た。 申 請者 は Punciidae 科 Manawa 属の生きた標本をニュージーランド北島の浅海(水深6m) から発見し(Swanson ,1985) 、新種Manawa staceyi として記載した(Swanson ,

1989) 。さらに、個体発生の各ステージの殻を採集して、本種の個体発生に

伴う殻構造の変化を完全に解明した。本種は、ステージ3 までは単一殻を持

っが、 ステージ 4 ー 5 で殻に切り込みができて蝶番構造が形成される。この

ような、個体発生の途中における殻構造の根本的変化は、45 ,OOO 種に及ぶ既

知の貝形虫夕クサのどれにも見られない特異なものであり、甲殻類全体の進

化を考える上できわめて重要な発見である。

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学位論文審査の要旨 主 査    教 授    岡 田 副 査    教 授    小 泉 副 査    教 授    馬 渡 副 査    教 授    池 谷      学 位 論 文 題 名

尚武      駿介

仙之(静岡大学大学院理工学研究科)

Ecology, taphonomy and evolution of marine  benthic ostracods in the South West Pacific

( 南西太平洋 の海生底 生貝形虫 の生態・ 夕フォノ ミーと進 化)

  貝形虫 類の分布 は種毎に 生息環境 が限られ 、地域性 に富んでい るので、現生種の生物地 理の情 報に基づ く化石群 集の解析 は、古環 境復元に きわめて有 効である。しかし、従来、

生物学 者と古生 物学者は 、それぞ れ軟体部 と殻の特 徴を分類の 拠り所としてきており、両 者に共 通する貝 形虫の分 類体系が 存在しな かった。 申請者は、 多くの現生種について、殻 と軟体 部の形態 的特徴を 合わせて 研究する ことによ り、貝形虫 の統一された分類基準の確 立 に重 要 な知見 をもたら した。こ の新しい分 類基準に 基づぃて 、本研究 では、5つ の新属   (Jacobella,Microceratina,Microxestoleberis,Pseudocythere,Waiparacytheris)、1新亜種 (Pseudocythere (Plenocythere))、49新種 を記載し た。また 、申請者は、長年にわたって 南 西太 平 洋 海域 に おけ る 現 生貝 形 虫 の分 類 と生 態 及 ぴ生 物 地理 を 研究 し、約500種 の産 出を確 認して、 主要なタ クサの生 態学的特 性を明ら かにすると ともに、古環境解析に貢献 す る多 く の 重要 な 知見 を も たら し た 。このう ち、ニュ ージーラ ンド南島 の下部中 新統か ら記載 したWaiparacy廿1eds属 は、ニュ ージーランド周辺の多くの海域で潮間帯に生息する ことを 発見し、 軟体部の 特徴から 、この特 異な属がHemicymeriJlae亜科に所属することを 明らか にした。 また、従 来古生物 学者がグローバルに分布すると考えてきたC皿1ereua属の 各種は 、それぞ れが複数 の種の混 合したも のであり 、新たに細 分された各々の種は、それ ぞれ異なる環境に適応していることを明らかにした。

  元来、 進化に伴 う殻の形 態変化は 保守的で あり、相 当異なる進 化レベルにある種間にお いても 殻の特徴 には大き な変化が 認められ ない。し かし、申請 者は殻と軟体部を併せて研 究する ことによ り、異種 の殻間で の細かい 形態的特 徴を識別し 、化石を用いた古環境復元 に大き な可能性 を見いだ した。さ らに、殻 の微細構 造を電子顕 微鏡で詳しく観察し、殻の 溶解程 度の時系 列変化が 、安定炭 素同位対 比と同調 した変化を 示すことを見いだして、こ の溶解 レベルが 透光帯に おける基 礎生産カ の指標と なることを 発見した。さらに、元来浅 海性で あった貝 形虫が、 寒冷な底 層水の形 成に伴っ て、古第三 紀後期に深海ヘ進出し得た 理由を説明した。

  Punc耐ae科は 、Homibrookが1949年に ニュージ ーランド 近海の陸棚 斜面の堆 積物から 殻

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を発見して記載して以来、西太平洋各地の表層堆積物から殻だけが見っかっていた。この 科はきわめて原始的を殻形態を持っており、貝形虫の進化を知る上で軟体部の発見が重要 を意味を持っと考えられた。このため、この仲間の軟体部を残した標本の発見は、貝形虫 研究者にとって最大目標のーっとされ、35年間にわたって世界中で探索が行われていた が、全く見っかっていなかった。申請者は、1985年にPunciidae科Manawa属の生きた標本 をニュージーランド北島の浅海(水深6m)から発見し、新種Manawa staceyiとして記載 した(Swanson,1989)。さらに、個体発生の各ステージの殻を採集して、本種の個体発生に 伴う殻構造の変化を完全に解明した。本種は、ステージ3までは単一殻を持つが、ステー ジ4ー5で殻に切り込みができて蝶番構造が形成される。このような、個体発生の途中に おける殻構造の根本的変化は、45,000種に及ぶ既知の貝形虫夕クサのどれにも見られない 特異なものであり、甲殻類の進化を考える上できわめて重要な発見として、世界中の貝形 虫研究者から衝撃的な大発見として賞賛されている。

  このように、著者は、過去25年間にわたって南西太平洋における底生貝形虫の生物地 理・生態とタフオノミーを研究してきており、多大な研究成果を計38編の学術論文とし て発表している。特に、Manawa属の個体発生の完全解明は、貝形虫さらには甲殻類全体 の系統進化を考える上で画期的な大発見であり、分類学・進化学と古海洋学の発展に貢献 をするところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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