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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 杉 本 真 由 美

    学 位 論文 題 名

    Genomic analysis of hereditary myopathy of diaphragmatic muscles in Holstein‑Friesian cattle   (ホル スタイン種 牛における 遺伝性横隔 膜筋症のゲ ノム解析)

学位論文内容の要旨

  ホルスタイ ン種牛にお ける遺伝性 横隔膜筋症(Hereditary myopathy of diaphragmatlcmuscles;HMDM)は4〜7歳に発症し、鼓張症および呼吸器不全を 主徴とする常染色体性劣性遺伝病であり、横隔膜筋における筋変性及びコア様 構造が病理学的特徴である。ヒトにおける多くの遺伝性筋症のうち、このコア 様構造を伴う疾患としてはdesmm−relatedmyopauly(DRM)が知られている。

DRMは心筋 および骨格筋に存在するコアにdesminが蓄積する常染色体性優性 遺伝病であり、desmin遺伝子の変異やdesminの折り畳み構造を整える働きを 持つchapemneである甜phaIB−cづs伽lin遺伝子の変異によって発症する。HMDM の原因遺伝子の同定は、横隔膜筋におけるコ.ア様構造の出現と筋線維の変性に 関する分子的ヌカニズムの解明に手がかりを与える。

  HMDMの原因遺伝 子を同定す るために、12頭の発症牛を含む26頭の家系に ついて1200個のマイク口サテライトマーカーを用いて連鎖解析を行った。そ の結果、第23番染色体にあるHea.t―shockprotein70(Hsp70)遺伝子の1っが欠 損すること によりHMDMを発 症すること が判明した 。Hsp70は熱 などのスト レスを与えると発現が増える70kdの蛋白であり、主要なchaperoneのーつであ る。その遺 伝子は第23番 染色体のMHC領域にあり、9kbの非翻訳領域をはさ むH9PAJAとH嫐JBの2つの 遺 伝子 か らな る 。LongRIangePCRによ り、12頭 の発症牛はすべて9kbの非翻訳領域及びH 舛)AJBが欠損しており、DNAの解 析においては、鼠ゞ以JBの欠損によってHMDMを発症することが示唆された。

  次 に、mRNAお よび 蛋 白の 発 現に お いてHMDM発 症牛 と 正常 牛 のHsp70が どのように異なるか調べた。RT−PCRにより、発症牛において欠損していない Hsp70遺伝子H 舛)AJAのmRNAは正常に発現していることが確認された。しか し、Wbtemblottingおよび免疫染色により、発症牛においてはHsルO蛋白質量 が正常牛と比較して著しく減少していることが明らかになった。また、免疫沈

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降により正常牛の横隔膜筋ではグリコーゲンリン酸化酵素等の酵素がHsp70蛋 白と結合していることが示唆された。さらに、免疫染色により発症牛のコア様 構造にグリコーゲンリン酸化酵素が蓄積していることが判明した。以上のこと からHMDM発 症牛 の横 隔膜筋 ではHsp70蛋 白が 発現 してい ないため、Hsp70 により折り畳み構造が整えられて正常に機能すべき酵素が凝集することによっ て、コア様構造の出現が起こり、ひいては筋変性が引き起こされることが明ら かとなった。

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学位論 文審査の 要旨

     学位論文題名

    Genomic analysis of hereditary myopathy of   . diaphragmatic muscles in Holstein‑Friesian cattle

(ホルスタイン種牛における遺伝性横隔膜筋症のゲノム解析)

  ホル スタ イン 種牛に おけ る遺 伝性横隔膜筋症(Hereditary myopathy of diaphragmatic muscles; HMDM)は4■‑‑7歳に発症し、鼓張症およぴ呼吸器不 全を主徴とする常染色体性劣性遺伝病であり、横隔膜筋における筋変性および コア様構造が病理学的特徴である。

  HMDMの原 因遺 伝子を 同定 する ため に、12頭の 発症 牛を含 む26頭の家系 について1200個のマイクロサテライトマーカーを用いて連鎖解析を行った。

そ の結果、第23番染色体にあるHeat‑shock protein 70 (Hsp70)遺伝子の1 っ が欠 損す るこ とによ りHMDMを 発症することが判明した。Hsp70は熱など のストレスを与えると発現が増える70.kdの蛋白であり、主要なch aperone の ーつ であ る。 その遺 伝子 は第23番 染色体 のMHC領 域に あり 、9kbの非翻 訳 領 域 を は さ むHSPAIAとHSPAIBの2つの 遺 伝 子 か ら な る 。Long Range PCRに よ り 、12頭 の 発 症 牛 はす べ て9kbの 非 翻 訳 領 域 お よぴHSPAIBが 欠 損 し て お り 、DNAの 解 析 にお いて は、H.SPAIBの 欠損 によっ てHMDMを 発 症することが示唆された

  次 に 、m RNAお よ び 蛋 白 の発 現 に お い てHMDM発 症 牛 と 正常 牛のHsp70 がどのように異なるか調べた。RT‑ PCRにより、発症牛において欠損していな いHsp70遺伝子H.SPAIAのmRNAは正 常に発現していることが確認された。

しかし、ウエスタンブロットおよぴ免疫染色により、発症牛においてはHsp70 蛋白質量が正常牛と比較して著しく減少していることが明らかになった。ま た、免疫沈降により正常牛の横隔膜筋ではグリコーゲンリン酸化酵素等の酵素 がHsp70蛋白と結合していることが示唆された。さらに、免疫染色により発 症牛のコア様構造にグリコーゲンリン酸化酵素が蓄積していることが判明し た 。 以 上 の こ と か らHMDM発症牛 の横 隔膜 筋で はHsp70蛋白が 発現 して い ないため、Hsp70により折り畳み構造が整えられて正常に機能すべき酵素が凝 集することによって、コア様構造の出現が起こり、ひいては筋変性が引き起こ されることが明らかとなった。

夫 幸

睦 明

郁 芳

   

島 橋

葉 和

高 高

稲 苅

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

  本研究によって同定されたHMDMの原因遺伝子と発症の機序は、本症の診 断と摘発に多大な貢献を果たすものと期待される。よって、審査員一同は杉本 真由 美氏 が博 士(獣 医学 )の 学位を 受け る資 格を 有する ものと認めた。

参照

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