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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 鍛治原 寛

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 鍛治原 寛

審 査 委 員

主 査 伊藤 真一 ◯ 副 査 田中 秀平 ◯ 副 査 荒瀬 榮 ◯ 副 査 進藤 晴夫 ◯ 副 査 児玉 基一郎 ◯

題 目 Japanese yam mosaic virus (JYMV)弱毒系統を用いたヤマノイモモザイク 病の防除と JYMV の分子遺伝学的解析

審査結果の要旨(2,000字以内)

山口県のイチョウイモやジネンジョの栽培ほ場では、ヤマノイモモザイクウイルス(JYMV)に よるモザイク病が発生し、生産上の大きな生産阻害要因になっている。本論文において、著者は 本病の防除方法として JYMV の弱毒系統の利用法について検討するとともに、全国に分布する JYMV の遺伝的多様性を明らかにしている。また、感染の実態が不明であったヤマノイモマイルドモザ イクウイルス(YMMV)の高感度検出法を考案し、JYMV と YMMV の同時検出法を確立して、両ウイ ルスの感染実態調査を行った結果を述べている。

1.イチョウイモに感染する JYMV の弱毒ウイルスをイチョウイモ現地栽培ほ場より探索し、弱毒 ウイルス T-3 を分離した。露地ほ場において T-3 感染イチョウイモを 6 年間連続して栽培しても、

強毒ウイルスの感染はほとんど認められなかった。収穫イモは、T-3 ウイルスを保有していない イモと比較して、有意に大きく、高い収量性が認められた。

2. JYMV 弱毒ウイルスの干渉効果を利用したモザイク病の防除を、ジネンジョにおいても試み た。イチョウイモ由来の JYMV を低温処理することによって、JYMV 弱毒系統 YMO6 を作出した。YMO 6を感染させたジネンジョを、現地栽培ほ場で連続 3 年間栽培させた結果、YMO6 保有ジネンジョ では、強毒ウイルスの感染はほとんど認められなかった。これに対し、ウイルスフリーのジネン ジョでは、すべて栽培 1 年目で強毒ウイルスに感染した。このことは、YMO6 が高い干渉効果を有 することを示している。

(2)

YMO6を感染させた種苗を露地ほ場で栽培し、得られた担根体(イモ)について収量、総アスコ ルビン酸含量、および DPPH ラジカル活性を調べた。YMO6感染ジネンジョの担根体は、いずれの 値も YMO6を有していない慣行栽培区の担根体よりも高く、YMO6感染ジネンジョの担根体が品質 の面でも優れていることが判明した。

3.弱毒系統の干渉効果に関与すると思われる塩基配列を特定する目的で、JYMV の弱毒系統(T-3 および YMO6)と強毒系統 Y のゲノムの塩基配列を比較した。しかしながら、そのような塩基配列 を特定することはできなかった。

山口県内のジネンジョ栽培ほ場から得た JYMV の CP 領域(241 塩基)の比較した結果、山口県 内のジネンジョには少なくとも2種類の JYMV 系統(タイプ A とタイプ B)の JYMV が存在してい ることが分かった。これらの JYMV 系統は、イチョウイモの JYMV 強毒系統 Y とは異なっていた。

山口県を含む全国7県のジネンジョから採取した JYMV を用いて、CP 領域~3'UTR 領域(400 塩 基)の配列決定を行い、系統樹を作成した。この結果、JYMV は3つのグループ(I~III)に分け られた。山口県の JYMV 強毒系統(タイプ A とタイプ B)はグループ I に、弱毒系統(T-3 および YMO6)はグループ III に属していた。

4.YMO6を感染させた種苗(種イモ)を生産する際には、品質保証として①種苗に YMO6が確実 に含まれていること、②YMO6以外の JYMV が感染していないこと、の両方が要求される。これら の要求事項を調査するためには、種苗の生産過程で YMO6及び YMO6以外の感染を迅速に検出する 技術が必須となる。そこで、YMO6 のゲノム解析を行い、解析結果に基づいて YMO6と JYMV 強毒株 との間で塩基配列が異なる領域(NIb~CP領域)に注目し、この領域の IC-RT-PCR-RFLP 解析 によって YMO6 以外のヤマノイモモザイクウイルス感染の有無を判別する方法を確立した。この方 法を用いて、YMO6 と他の JYMV の判別が可能となった。

5. RT-PCR 法による JYMV と YMMV の同時検出法を検討した。プライマーは、JYMV 検出用に CP 領域 の 241bp、YMMV 用に CP 領域と NIb領域の 174bp が増幅できるものを設計した。これらプライマーを 用い、2007 年に県内の栽培ヤマノイモを対象に、同時検出法により JYMV と YMMV の感染状況を調査し た結果、ダイジョのすべてが YMMV の単独感染、イチョウイモとジネンジョのすべてが JYMV に感染し ていることが判明した。

本論文は、応用と基礎の両面から、ヤマノイモ類のモザイク病防除にアプローチした研究をま とめたものである。とくに、本研究で開発した技術によって、山口県のヤマノイモ類栽培現場の 最大課題であったモザイク病の問題が解決された点は極めて高く評価できる。審査委員一同は、

本論文を学位論文として十分な価値を持つものと判定した。

参照

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