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経営理念安全の確保が社業の基盤よいサービスと商品を社会に適正な価格で安定的に供給取引先のニーズに迅速 的確に対応社会的要請へ適応し環境に十分配慮株主 そして役職員へのリターン充実を目指し企業価値向上を志向 行動憲章 経営理念 を実現する具体策としてこの 行動憲章 を定める 飯野海運グループ ( 以下

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(1)

新 し い 価 値 を 創 造 し 、 未 来 へ と つ な ぎ ま す

経営報告書

2014

C S R & A n n u a l R e p o r t

飯 野 海 運 株 式 会 社

(2)

財務ハイライト 連結 -飯野海運 at a glance 部門別事業概況 設備の概況 運航船腹リスト 海運業の安全・環境についての施策 不動産業の安全・環境についての施策 マテリアルフロー 変わるもの、変わらないもの 船のこと、もっと知りたい! ステークホルダーからのコメント 第三者意見 従業員のために 社会貢献活動~東北復興ボランティアに参加して伝えたいこと コーポレート・ガバナンス 社会的責任と規範遵守 社外取締役メッセージ 会社概要 投資家情報 飯野海運株式会社 役員一覧 グループ組織体制 主要財務データ グループ事業の全体像 社長メッセージ - 中期経営計画「STEP FORWARD 2020」“攻めの展開へ”を策定

事業概況

安全・環境

特 集

コミュニケーション

社 会

経営管理体制

企業情報

目 次

経 営 理 念

安 全の確 保 が 社 業の基 盤

よいサービスと商 品を社 会に適 正な価 格で 安 定 的に供 給

取 引先のニーズに迅 速・的 確に対 応

社 会 的 要 請 へ 適 応し環 境に十 分 配 慮

株 主 、そして役 職 員へのリターン充 実を目指し企 業 価 値 向 上を志 向

行 動 憲 章

「経営理念」を実現する具体策としてこの「行動憲章」を定める。

飯野海運グループ(以下グループという)とその役職員は、

この憲章に従って行動する。

1. 安全の重視 グループ事業で使用する船舶およびオフィス・ビルにおける事故は人命・顧客財産の損傷、環境汚染等をもたらす危険性が 高く、安全を経営上の最優先課題とする。 2. 社会への貢献 ・公正、透明、自由な競争のもとで、質の高いサービスと商品を適正な価格で安定的に供給することを通じ、取引先の信頼と満 足を得ると同時に社会貢献を果たす。尚、この憲章で取引先とは、契約の相手先等グループ事業の関係先をいう。 ・社会の利益を損なうことがないよう、積極的に社会に貢献し、常に「世のため、人のため」を実践する。 3. 取引先の尊重 ・取引先との永い信頼関係はグループの繁栄をもたらす宝であり、役職員は応対の都度自分がグループを代表して信頼関係を 築いているという意識をもって行動する。 ・取引先を、代金を受け取る立場、あるいは支払う立場、あるいはその企業規模等で分け隔てることなく、どの取引先とも常 に対等の立場にたち誠心誠意かつ親切丁寧に応対する。また取引先のニーズに迅速、的確に対応し、取引先満足度の向上に 努める。 4. コンプライアンスと社会秩序の維持 ・この憲章でコンプライアンスとは、法令の遵守を含めた『社会的要請への適応』をいい、グループはそのための体制をグルー プ内に整備するよう努める。 ・役職員は、社会的要請を満たすため社会の規範および道徳律の趣旨を体して行動する。 ・事業活動を行う各国・地域においても同様に各法令・規則を遵守する。 ・役職員は上記に抵触する、あるいは抵触するおそれのある情報を知った場合は、飯野海運コンプライアンス委員会に直ちに 報告する。 ・社会秩序を尊重し、秩序や安全を脅かす反社会的勢力・団体とは一切かかわりを持ってはならない。 5. 差別の廃絶・人権の尊重 ・雇用、取引行為等において国籍、人種、宗教、年齢、性別その他不当な理由によって差別しない。 ・職場においては人権を尊重し働きやすい環境の整備に努める。 6. 環境の保護 グループの事業から生ずる環境への負荷を低減するため、内外の関連法規および国際ルールを遵守し、海洋、港湾、所有ビル 隣接地域の環境保全に努める。 7. 情報開示とコミュニケーション ・株主、取引先、従業員、地域社会等全てのステークホルダーの利益に配慮し、理解をうるため、十分なコミュニケーションを 行うよう努める。 ・グループに不利な情報も含め適切かつ遅滞なく情報を開示する。 ・個別取引先に関する情報、法人・個人を問わずプライバシーに属する事項は開示対象としない。 編集方針 当社グループでは、2009 年度から投資家向けの「アニュアルレポート」と、より幅広いステークホルダー向けの「安全・環境報告書」を 統合し、総合的な「経営報告書」として発行しています。本報告書では、当社グループの活動全体をバランスよく報告し、すべての ステークホルダーの皆さまにわかりやすくお伝えすることを目指しています。そのため、全体の内容を「事業概況」「経営管理体制」 「安全・環境」「社会」「コミュニケーション」「企業情報」のカテゴリーに分類して編集しています。なお、原則として本文中で「飯野 海運グループ」および「当社グループ」は飯野海運グループ全体(66社)、「飯野海運(株)」および「当社」は飯野海運株式会社単体を指し ます。また、報告書の構成は「GRI サステナビリティレポーティングガイドライン2006」を参考にしています。 本報告書に掲載されていない、より詳細な情報に関しては、以下の資料をご参照ください。どちらも当社ホームページでご覧いただけます。 将来見通しに関してのご注意 本報告書には、飯野海運グループの今後の計画、戦略、業績予想に関する記述が含まれています。これらは、本報告書の作成時点で把握 可能な情報に基づくもので、経済動向、市場環境、為替レート、税制などさまざまな要因により異なる結果となる可能性があります。 3 5 11 13 15 22 23 25 26 27 28 35 37 40 42 43 45 47 48 49 50 51 52 53 有価証券報告書、決算短信 http: //www. iino.co.jp/kaiun/ir/index.html 経営報告書【詳細報告編】  http: //www.iino.co.jp/kaiun/csr/report.html

(3)

財務ハイライト 連結 -飯野海運 at a glance 部門別事業概況 設備の概況 運航船腹リスト 海運業の安全・環境についての施策 不動産業の安全・環境についての施策 マテリアルフロー 変わるもの、変わらないもの 船のこと、もっと知りたい! ステークホルダーからのコメント 第三者意見 従業員のために 社会貢献活動~東北復興ボランティアに参加して伝えたいこと コーポレート・ガバナンス 社会的責任と規範遵守 社外取締役メッセージ 会社概要 投資家情報 飯野海運株式会社 役員一覧 グループ組織体制 主要財務データ グループ事業の全体像 社長メッセージ - 中期経営計画「STEP FORWARD 2020」“攻めの展開へ”を策定

事業概況

安全・環境

特 集

コミュニケーション

社 会

経営管理体制

企業情報

目 次

経 営 理 念

安 全の確 保 が 社 業の基 盤

よいサービスと商 品を社 会に適 正な価 格で 安 定 的に供 給

取 引先のニーズに迅 速・的 確に対 応

社 会 的 要 請 へ 適 応し環 境に十 分 配 慮

株 主 、そして役 職 員へのリターン充 実を目指し企 業 価 値 向 上を志 向

行 動 憲 章

「経営理念」を実現する具体策としてこの「行動憲章」を定める。

飯野海運グループ(以下グループという)とその役職員は、

この憲章に従って行動する。

1. 安全の重視 グループ事業で使用する船舶およびオフィス・ビルにおける事故は人命・顧客財産の損傷、環境汚染等をもたらす危険性が 高く、安全を経営上の最優先課題とする。 2. 社会への貢献 ・公正、透明、自由な競争のもとで、質の高いサービスと商品を適正な価格で安定的に供給することを通じ、取引先の信頼と満 足を得ると同時に社会貢献を果たす。尚、この憲章で取引先とは、契約の相手先等グループ事業の関係先をいう。 ・社会の利益を損なうことがないよう、積極的に社会に貢献し、常に「世のため、人のため」を実践する。 3. 取引先の尊重 ・取引先との永い信頼関係はグループの繁栄をもたらす宝であり、役職員は応対の都度自分がグループを代表して信頼関係を 築いているという意識をもって行動する。 ・取引先を、代金を受け取る立場、あるいは支払う立場、あるいはその企業規模等で分け隔てることなく、どの取引先とも常 に対等の立場にたち誠心誠意かつ親切丁寧に応対する。また取引先のニーズに迅速、的確に対応し、取引先満足度の向上に 努める。 4. コンプライアンスと社会秩序の維持 ・この憲章でコンプライアンスとは、法令の遵守を含めた『社会的要請への適応』をいい、グループはそのための体制をグルー プ内に整備するよう努める。 ・役職員は、社会的要請を満たすため社会の規範および道徳律の趣旨を体して行動する。 ・事業活動を行う各国・地域においても同様に各法令・規則を遵守する。 ・役職員は上記に抵触する、あるいは抵触するおそれのある情報を知った場合は、飯野海運コンプライアンス委員会に直ちに 報告する。 ・社会秩序を尊重し、秩序や安全を脅かす反社会的勢力・団体とは一切かかわりを持ってはならない。 5. 差別の廃絶・人権の尊重 ・雇用、取引行為等において国籍、人種、宗教、年齢、性別その他不当な理由によって差別しない。 ・職場においては人権を尊重し働きやすい環境の整備に努める。 6. 環境の保護 グループの事業から生ずる環境への負荷を低減するため、内外の関連法規および国際ルールを遵守し、海洋、港湾、所有ビル 隣接地域の環境保全に努める。 7. 情報開示とコミュニケーション ・株主、取引先、従業員、地域社会等全てのステークホルダーの利益に配慮し、理解をうるため、十分なコミュニケーションを 行うよう努める。 ・グループに不利な情報も含め適切かつ遅滞なく情報を開示する。 ・個別取引先に関する情報、法人・個人を問わずプライバシーに属する事項は開示対象としない。 編集方針 当社グループでは、2009 年度から投資家向けの「アニュアルレポート」と、より幅広いステークホルダー向けの「安全・環境報告書」を 統合し、総合的な「経営報告書」として発行しています。本報告書では、当社グループの活動全体をバランスよく報告し、すべての ステークホルダーの皆さまにわかりやすくお伝えすることを目指しています。そのため、全体の内容を「事業概況」「経営管理体制」 「安全・環境」「社会」「コミュニケーション」「企業情報」のカテゴリーに分類して編集しています。なお、原則として本文中で「飯野 海運グループ」および「当社グループ」は飯野海運グループ全体(66社)、「飯野海運(株)」および「当社」は飯野海運株式会社単体を指し ます。また、報告書の構成は「GRI サステナビリティレポーティングガイドライン2006」を参考にしています。 本報告書に掲載されていない、より詳細な情報に関しては、以下の資料をご参照ください。どちらも当社ホームページでご覧いただけます。 将来見通しに関してのご注意 本報告書には、飯野海運グループの今後の計画、戦略、業績予想に関する記述が含まれています。これらは、本報告書の作成時点で把握 可能な情報に基づくもので、経済動向、市場環境、為替レート、税制などさまざまな要因により異なる結果となる可能性があります。 3 5 11 13 15 22 23 25 26 27 28 35 37 40 42 43 45 47 48 49 50 51 52 53 有価証券報告書、決算短信 http: //www. iino.co.jp/kaiun/ir/index.html 経営報告書【詳細報告編】  http: //www.iino.co.jp/kaiun/csr/report.html 2 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4

(4)

イイノガストランスポート(株)

イイノガストランスポート(株)

〈専用船・不定期船部〉 Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

〈ケミカル船第一部〉 〈ケミカル船第二部〉 Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

この図は、当社グループが行っている事業と、それらを担当する 会社・部門、サービスの流れを図式化したものです。 凡例 外航海運業、内航・近海海運業セグメントで行う事業とその担当会社・部門 不動産業セグメントで行う事業とその担当会社・部門 当社グループの管理業務を担当する子会社 外航海運業、内航・近海海運業のサービスの流れ 不動産業のサービスの流れ

グループ事業の全体像

 1899 年、創業者である飯野寅吉が舞鶴港で曳船による石炭輸送をはじめたことを 原点とする当社グループは、現在では外航海運業と内航・近海海運業からなる海運業 と不動産業を主な事業としています。  海運業では、船舶の運航や所有(船舶貸渡業)、船舶管理業のほか、代理店業、船用品 販売業などを行っています。不動産業では、オフィスビルを中心とした不動産賃貸業、 ビル管理業、倉庫業、レンタルフォトスタジオ経営などを行っています。海運業、不動産 業のいずれにおいても、貨物の運送やビルの賃貸のみにとどまらず、船舶やビルの管理 などの関連する事業を一貫して行うことで、質の高いサービスを提供しています。  これからも、私たちは海と陸での事業を通じて、人々のくらしや産業を支え、社会へ 貢献していきたいと考えています。

ケミカルタンカー

ドライバルクキャリア

イイノガストランスポート(株)

Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

小型ガスキャリア

〈油槽船・ガス船部〉 〈ケミカル船第一部〉

オイルタンカー

〈油槽船・ガス船部〉

大型ガスキャリア

不動産賃貸業

〈不動産事業部〉 イイノホール(株) 合同船舶工業(株)

船用品販売業

イイノマリンサービス(株) 他

船舶管理業

Azalea Transport S.A. 他

船舶所有(船舶貸渡業)

泰邦マリン(株)

倉庫業

Iino Singapore Pte. Ltd. Iino UK Ltd.

海外事業所(代理店業)

イイノ・ビルテック(株)

ビル管理業

イイノエンタープライズ(株)

倉庫業

船用品販売業

フォトスタジオ

(株)イイノ・メディアプロ イイノマネジメントデータ(株) イイノビジネスサービス(株) 飯野システム(株)

管理部門

(5)

イイノガストランスポート(株)

イイノガストランスポート(株)

〈専用船・不定期船部〉 Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

〈ケミカル船第一部〉 〈ケミカル船第二部〉 Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

飯野海運(株)

飯野海運(株)

Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

この図は、当社グループが行っている事業と、それらを担当する 会社・部門、サービスの流れを図式化したものです。 凡例 外航海運業、内航・近海海運業セグメントで行う事業とその担当会社・部門 不動産業セグメントで行う事業とその担当会社・部門 当社グループの管理業務を担当する子会社 外航海運業、内航・近海海運業のサービスの流れ 不動産業のサービスの流れ

グループ事業の全体像

 1899 年、創業者である飯野寅吉が舞鶴港で曳船による石炭輸送をはじめたことを 原点とする当社グループは、現在では外航海運業と内航・近海海運業からなる海運業 と不動産業を主な事業としています。  海運業では、船舶の運航や所有(船舶貸渡業)、船舶管理業のほか、代理店業、船用品 販売業などを行っています。不動産業では、オフィスビルを中心とした不動産賃貸業、 ビル管理業、倉庫業、レンタルフォトスタジオ経営などを行っています。海運業、不動産 業のいずれにおいても、貨物の運送やビルの賃貸のみにとどまらず、船舶やビルの管理 などの関連する事業を一貫して行うことで、質の高いサービスを提供しています。  これからも、私たちは海と陸での事業を通じて、人々のくらしや産業を支え、社会へ 貢献していきたいと考えています。

ケミカルタンカー

ドライバルクキャリア

イイノガストランスポート(株)

Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

小型ガスキャリア

〈油槽船・ガス船部〉 〈ケミカル船第一部〉

オイルタンカー

〈油槽船・ガス船部〉

大型ガスキャリア

不動産賃貸業

〈不動産事業部〉 イイノホール(株) 合同船舶工業(株)

船用品販売業

イイノマリンサービス(株) 他

船舶管理業

Azalea Transport S.A. 他

船舶所有(船舶貸渡業)

泰邦マリン(株)

倉庫業

Iino Singapore Pte. Ltd. Iino UK Ltd.

海外事業所(代理店業)

イイノ・ビルテック(株)

ビル管理業

イイノエンタープライズ(株)

倉庫業

船用品販売業

フォトスタジオ

(株)イイノ・メディアプロ イイノマネジメントデータ(株) イイノビジネスサービス(株) 飯野システム(株)

管理部門

4 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4

(6)

中期経営計画

「STEP FORWARD 2020」

“攻めの展開へ”

を策定

社長メッセージ

飯野海運株式会社 代表取締役社長   飯 野 海 運グル ープは

2014

4

月、2020年に向けた グループ企業の一層の成長を目指し、

3

か年の中期経営 計画「

STEP FORWARD 2020

」 攻めの展開へ(計画期間:

2014

4月∼

2017

3

月)を発表しました。海運と不動 産を事業の核としつつ、当社グループがこれからどのよう にして永続的な成長を実現し、社会に貢献していくのか。 飯野海運株式会社社長へのインタビューを通して、ステーク ホルダーの皆さまに当社グループの今をお伝えします。

-

飯 野 海 運 は

2011

4

月 に 中 期 経 営 計 画「

I i n o s

Evolutionary Growth Plan to 2014

IEG14

)」を策定 しています。

3

か年の計画期間を終えたいま、

IEG14

をふり かえってみていかがですか。  

IEG14

を策定した

2011

年は、海運業においては、

1

ド ル

80

円前後の円高や、リーマンショック以前の好況期発 注船の大量竣工、世界経済の景気低迷による物流の減少 により需給ギャップが崩れ、市況の先行きが不透明な状 況下にありました。不動産業においても、オフィスビル賃 貸市況はテナント誘致競争の激化によって賃料水準が低 迷する中、当社グループ旗艦ビルである飯野ビルディン グの建替工事によって安定収益が減少するなど、当社グ ループを取り巻く事業環境は大変厳しいものでした。その ような環境で策定した

IEG14

はいわば「守りの計画」だっ たと言えるかもしれません。  

IEG14

では「

3

つの柱」を掲げ、その

1

つ目の柱として 「 ケミカル船事業の構造改革」をあげました。当社グルー プの主力であるケミカルタンカー事業のコスト改善に取 り組んだ結果、計画初年度の

2012

3

月期は、経常損失

5

億円、当期純損失

43

億円と、連結決算史上初の経常損 失を計上しました。  しかし、「 ケミカル船事業の構造改革」としてコスト面 で不経済船の減船と船型の大型化を進めつつ、復航の新 規数量輸送契約(

COA

)の獲得や新規航路開拓に努めた 結果、ケミカルタンカー事業の採算は

2012

3

月期を底 に収益はプラスに転じました。また、

2

つ目の柱「安定収 益基盤の強化」、

3

つ目の柱「新興国需要を取り込んだ中 小型船の事業展開」に沿って各部門が粘り強く取り組ん だ結果、

2013

3

月期から業績は回復し、この3年を振 り返ると当初掲げた目標をほぼ達成することができまし た。特別損失の計上で毀損した純資産も、この2年間の 業績の回復と、

2013

7

月に自己株式の処分を行ったこ とによりリーマンショック前の水準まで回復させることが でき、来るべき飛躍への足場を固めることができたので はないでしょうか。

(7)

中期経営計画

「STEP FORWARD 2020」

“攻めの展開へ”

を策定

社長メッセージ

飯野海運株式会社 代表取締役社長  しかしながら、コスト面中心の改革に注力した結果、将 来のさらなる成長に向けた新規案件への投資は抑制され た面もあります。

IEG14

で残された課題は、継続して新し い中期経営計画に盛りこんでいます。

-

新たに経営計画を策定するに当たり、どのような問題意 識で計画を作ったのでしょうか。  いま、世界はエネルギー物流の転換期にあると感じて います。例えばパナマ運河拡幅やシェールオイルやシェー ルガスに代表されるいわゆるシェール革命による物流の 変化や、積荷の変化、あるいは技術革新によるエネルギー ソースや輸送方法の変化などが考えられます。自分たちで 需要を作り出すことが難しい海運業にとって、環境の変化 にいち早く対応することが重要になります。  また、昨今ではファンドをはじめとした他産業からの船 主業への参入が増えてきています。燃料油価格の高止ま りや安全対策費用など、コストも上昇局面にあるなかで、 契約の短期化により安定収入は減少しています。その結 果、オペレーター間の競争も激化する一方です。私たちは 海運会社のあり方について絶えず考えていく必要があるの ではないでしょうか。  不動産業においても、

2020

年の東京オリンピック開催 が決定するという明るいニュースのなか、都心部のオフィ ス賃貸市況が回復基調となっている一方で、建築費の高騰 による物件開発のコストが上昇しています。都心では再開 発が進むなか、労働人口は今後減少が見込まれています。  このような環境下において、当社は海運業における中 東積み海上輸送サービスのさらなる強化のほか、シェー ル革命由来の物流の変化に対応するための海外展開を加 速します。また、不動産業ではターゲットエリア(飯野ビル ディング~ 汐留芝離宮ビルディング周辺のオフィス街)内 への資産の集約と、新規・再開発案件を通じた安定収益 力の向上を図ります。当社の得意分野を活かし、これから の競争力の強化と経営効率の向上を図るべく、新しい中 期経営計画「

STEP FORWARD 2020

」“ 攻めの展開へ ” を 策定しました。 6

(8)

-

新 中 期 経 営 計 画「

S T E P F O R WA R D 2 0 2 0

」では、 「 攻 め の 展 開 へ」をテ ー マ に 掲 げ、

3

つ の 重 点 強 化 策 と

5

つの基 盤 整 備 項目をあげています。

1

つ目の重 点 強 化策である「差 別 化による競 争 力 強 化」について教えて ください。  当社の独自ノウハウを活用し、

3

つの重点戦略事業を定 めました。まずは当社の主力であるケミカルタンカー事業 です。ケミカルタンカーにおいては、これまでの中東航路 のシェアを維持しつつ、大西洋航路への進出強化を視野 に入れています。特に北米・メキシコ湾岸積みの貨物の 取り込みを意識しつつ、中東に加え北米のサプライヤーを ターゲットとした国際展開を加速していきます。既存船の 代替と大西洋配船を目的としたケミカルタンカーの新規 投資もはじめています。  重点戦略その

2

はガスキャリア事業です。北米のシェー ル由来の

LNG

LPG

キャリア事業に取り組みます。シェー ルガスというと液化天然ガス=

LNG

に注目しがちですが、 液化石油ガス=

LPG

の輸送もあるのです。今年の初めに は、当社の大型

LPG

キャリア(

VLGC

)が北米産の

LPG

を日 本の電力、ガス会社向けに初めて輸送しました。電力、ガ ス会社との国際輸送ビジネスを強化し、安定収益部門のさ らなる強化を目指します。   最 後 にドライバ ルクキャリア事 業、とりわ けスモール ハンディの強化です。スモールハンディとは

2

万トンから

3

万トン台のドライバルクを運ぶ、船に荷役設備(クレー ン)を搭載した船舶のことなのですが、

IEG14

で拡充した スモールハンディ船隊において、鋼材・肥料を核とした中 東航路の収益性を強化するとともに、船型の大型化と合 積みによる採算性の向上を図ります。  これからは船隊整備のための新規投資を強化していき ますが、調達方法でも差別化したいと考えています。燃料 油価格が高止まりしている現状を勘案し、リプレースの際 には燃費性能の優れる省エネ船を積極的に採用する予定 です。当社の営業展開にあった船型を見極め、陳腐化す る資産を極力持たないことが重要です。また、市況下落 時に大きく収益が悪化することがないよう、短期用船を積 極的に活用していきます。  船舶管理技術も当社にとって大事な差別化要因です。 船舶管理の子会社であるイイノマリンサービス株式会社 では、現在アジア域、日本・韓国・フィリピンに拠点を置 き国際的な船舶管理のサポート体制を築いています。安 全 基 準 が 厳 格 化されている環 境 下で、海 技 の 伝 承をス ムーズに進め、これからも高品質なサービスを提供でき るよう、サポート体制を充実させます。 基 盤 整 備 項 目 情報共有の緊密化と 有効活用 リスク管理の 強化徹底 人事制度改革と 組織運営 グループ IT インテグレーション 安全の徹底と 環境負荷低減への取組

重 点 強 化 策

差別化による

競争力強化

国際ネットワーク

の強化

安定収益基盤の

更なる強化

「STEP FORWARD 2020」のコンセプト

STEP FORWARD

2020

“ 攻 め の 展 開 へ ”

計画名:『STEP FORWARD 2020』 テーマ:「攻めの展開へ」  期 間: 3年間(2014 年 4 月~ 2017 年 3 月) 重視する指標 : 営業利益 重点強化策

1. 差別化による競争力強化

2. 国際ネットワークの強化

3. 安定収益基盤の更なる強化

1. 情報共有の緊密化と有効活用

2. リスク管理の強化徹底

3. 人事制度改革と組織運営強化

4. グループ IT インテグレーション

5. 安全の徹底と環境負荷低減への取組

基盤整備項目

(9)

8 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4

-2

つ目の重点強化策「国際ネットワークの強化」につい て教えてください。  現在、当社の海外拠点は、営業の拠点として合弁事業を 含んで

5

拠点、船舶管理の拠点が

2

拠点あります。

1

つ目の 重点強化策「差別化による競争力強化」を実現するために は、海外拠点の拡充が必要です。特に、シェール革命による 北米・メキシコ湾岸積みの物流を見据え、米国拠点活動を 拡大・強化していく予定です。また、シンガポールを除いた 現在の海外拠点は情報収集が主な業務となっており、人員 も

1

2

名の事務所です。将来的には海外拠点でも運航が できるように、増強を図りたいと考えていますし、ケミカル やドライといった部門を越えて連携することで、全社一丸と なって海外への営業展開を加速させます。  そして、東南アジアやインドなどの新興国の成長の取り 込みです。これは

IEG14

でも目標に掲げていた継続課題 ですが、今後さらに力をいれて取り組んで行きたいと考 えています。

-3

つ目の重点強化策「安定収益基盤の更なる強化」に ついて教えてください。  今回の中期経営計画のテーマは「攻めの展開へ」とし ていますが、安定収益の積み上げもとても重要です。船 隊を拡 大し、市 況 のリスクを取っていくに は、ベ ースと なる安定収益を厚くする必要があるからです。当社の場 合、安定収益を考えるうえで不動産業の存在は欠かすこ とができません。

IEG14

の期間に、飯野ビルディングの 建 替えを 行 いました。最 新 鋭 の 設 備 を 備え、高 品 質 な サービスを提供することに努めた結果、おかげさまで満 床で開業することができ、順調に稼働しています。   飯 野 ビ ル ディング が 軌 道 に 乗った いま、不 動 産 業 に お ける新しい 展 開を考えていく時 期 になりました。そこ で「選 択と集 中 による収 益 基 盤 の 強 化」というスローガ ンのもと、ターゲットエリアへの所有不動産の集約を考 えています。既 存 ビル に つ いては 再 開 発 や 資 産 の 入 替 を検討し、不動産業のさらなる発展を目指します。  海運業においては「 エネルギー船」という観点から拡 充を進 めます。当 社 が 得 意としているオイル・ガス・ 一般炭などのエネルギー輸送において、国内石油元売、 電力、ガス会社とこれまで築いてきた信頼関係を強固に していくことを考えています。海 外 用 船 者との 新 規 事 業 にも挑戦したいですね。

-

続いて

5

つの基盤整備項目として定めている「情報共 有の緊 密 化と有 効 活 用」「リスク管 理の強 化 徹 底」「人 事 制度改革と組織運営強化」「グループ

IT

インテグレーショ ン」「安全の徹底と環境負荷低減への取組」について教え てください。  

3

つの重点強化策をいわば営業展開の方針とするなら ば、

5

つの基盤整備項目は、これらの重点強化策を達成す るための、社内のサポート体制の構築を目標として定め たものです。 ①情報共有の緊密化と有効活用  これまで当社は船の種類によって部門をわけて営業活 動を行っていました。一方で、ケミカルタンカーの分野で お付き合いがはじまったお客さまでも、ドライバルクキャ リアで輸送する貨物について、当社が提案できることがあ ります。そうした輸送需要に対して適切なソリューション を提供するため、部門を越えた営業活動を推進します。

(10)

16 △5 23 12 △43 49 68 60 49 69 59 58 85 72 70 100 85 84

IEG14 期間実績 STEP FORWARD 2020

営業利益 150億円 営業利益(右軸) 経常利益(右軸) 当期純利益又は損失(右軸) 売上高(左軸)

数値目標

200 △50 0 100 1,200 1,000 800 600 400 200 0 50 150 (億円) (億円) 2013 年 3 月期 2014 年3 月期 2015 年3 月期 2016 年3 月期 2017 年3 月期 2021 年 3 月期目標値 2012 年 3 月期 2013 年3 月期 2014 年3 月期 2015 年3 月期 2016 年3 月期 2017 年3 月期 2021 年 3 月期目標値 2012 年 3 月期  このたび組織変更を行い、

6

月からグループ・チーム制 から、部課制に移行します。その際に、エネルギー船の営 業強化を目的としてオイルタンカーとガスキャリアの部門 を統合しました。このように海外を含めた部門間の情報共 有を進めることで、お客さまによりよいサービスを提供し ていけるのではないかと考えています。 ②リスク管理の強化徹底  当社グループではグループ横断的なリスク管理を推進 するため、

2013

4

月にリスク管理委員会を設置し、リス クマネジメントの強化を図っています。外部環境がめまぐ るしく変化する現代において、リスク管理は避けて通るこ とはできません。  リスクの管理報告体制を強化することで、為替や市況な どのダウンサイドリスクをコントロールし、厳しい環境下に おいても目標営業利益を達成する方法を常に模索していく 必要があります。投資案件についても、リスク管理委員会 で審議することで、収益性やファイナンスといった総合的 な視点から評価を行います。投資と財務規律のバランスを 維持するうえで、リスク管理が効果を発揮するはずです。 ③人事制度改革と組織運営強化  海運会社は事業規模に比して従業員が少ないのが特徴 です。社員ひとりひとりのモチベーションを向上させ、チャ レンジ、成長できる企業風土を形成できればと思っていま す。グループ企業内の効率的な組織運営のため、関係会 社と本社、海外拠点と連携できるような組織のあり方につ いて検討します。 ④グループ

IT

インテグレーション  いまや

IT

は企業を運営するうえでの重要なインフラで す。作業を省力化し業務の迅速化を実現するためのツー ルとして、グループ内の

IT

の集約化を進めます。

IT

システ ムの再構築については社内にタスクフォースを設置し、グ ループ横断的に改善に取り組みます。 ⑤安全の徹底と環境負荷低減への取組   当 社 の 経 営 理 念 は「安 全 の 確 保 は 社 業 の 基 盤」とし、 「社会的要請へ適応し環境に十分配慮」すると定めてい ます。安全とは日々の積み重ねです。海運業、不動産業と もに予防保全管理と、事故対応訓練を常日頃から心がけ

(11)

10 ていくしかありません。当社は主な船舶資産・ビル資産 をグループ会社で一貫して保全・管理するようにしていま す。高品質なサービスを提供することが他社との差別化 にもつながります。  

2011

年に開業した飯野ビルディングは、環境性能に大 変優れており、環境面で多くの先進技術を取り入れまし た。海運業においても、国際ルールを厳守し、温室効果ガ スの削減や環境面での技術的対応に取り組みます。

-

ありがとうございました。最後に、ステークホルダー の皆さまに向けてひとことお願いいたします。   当 社 は 新 中 期 経 営 計 画 の 開 示 に先 立ち、経 営 理 念と 行動憲章の一部改定を行いました。そのなかで、コンプ ライアンスの概念を従来の法令遵守のみではなく、広く 社会的要請への適応と定義したうえで、全役職員の行動 規範として、またグループの体制整備の方針として明確 化しました。  

2014

7

月に当 社 は 創 業

115

周 年を迎えます。本 経 営 報 告 書で は「変わるもの、変わらな いもの」と題した 特集を組んでいます。当社の歴史をさかのぼりながら、 創 業 時 からの 事 業 の 変 遷と、変 わらな い 信 念をご 理 解 い た だ け れ ばと存じます。本 報 告 書 が 皆さまと当 社グ ル ープ の つ な がりを 一 層 深 めていくきっか けとな れ ば 幸いです。   今 後とも、ステークホ ルダーの 皆さまからのご 理 解、 ご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

(12)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

財務ハイライト 連 結

-事 業 概 況

※1 配当性向= 配当金総額 ÷ 当期純利益 ※2 ネット DE レシオ=(有利子負債-現金及び現金同等物)÷ 自己資本 [ 期末 ] 2009 年 3 月期 2010 年3 月期 2011 年3 月期 2012 年3 月期 2013 年3 月期 2014 年3 月期 860 49 23 12 2,127 472 22.0 11.66 468.86 4 34.3 2.71 945 119 113 56 1,758 534 30.2 51.54 497.64 15 28.9 1.77 770 41 22 2 1,807 527 28.9 1.69 489.78 12 711.8 1.83 745 24 11 7 1,848 529 28.3 6.13 490.04 6 97.9 1.87 780 16 △5 △43 2,098 458 21.6 △40.60 452.38 2 -2.75 売上高 営業利益   総資産額 純資産額 自己資本比率 1 株当たり純資産額 1 株当たり配当額 配当性向 ※1 ネット DE レシオ ※2 (億円) (億円) (億円) (億円) (億円) (億円) (%) (円) (円) (円) (%) 経常利益又は 経常損失(△) 当期純利益又は 当期純損失(△) 1 株当たり当期純利益 又は 1 株当たり 当期純損失(△) 967 68 60 49 2,253 586 25.9 45.77 525.39 8 18.0 1.94

(13)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 12 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4 40 20 △20 △40 △60 0 0 300 200 100 400 0 2,000 600 400 200 1,200 1,000 800 1,400 1,600 1,800 2,200 2,400 10 35 25 20 30 (億円) (%) 15 総資産額(左軸) 純資産額(左軸) 自己資本比率(右軸) 540.00 520.00 500.00 480.00 460.00 440.00 180 160 140 120 100 80 60 1.50 2.00 3.00 2.50 100.00 0 20.00 40.00 60.00 80.00 △60.0040.00 △20.00 (円) (円) 当期純利益 配当額

売上高・営業利益・経常利益又は損失・当期純利益又は損失

1,000 600 500 700 800 900 (億円) 営業利益(右軸) 売上高(左軸) 経常利益(右軸) 当期純利益(右軸) (億円)

総資産額・純資産額・自己資本比率

1 株当たり 当期純利益又は損失 / 配当額

1株当たり純資産額

ネットDE レシオ

09 年3月期 10 年3月期 11 年3月期 12 年3月期 09 年 3月期 10 年3月期 11 年3月期 12 年3月期 09年 3月期 10年3月期 11年3月期 12 年3月期 12 年 3月期 09年 3月期 10年3月期 11年3月期 09年 3月期 10年3月期 11年3月期 12 年3月期 497.64 489.78 1.77 1.83 1.87 2.75 490.04 452.38 21.6 21.6 28.3 28.3 30.2 28.9 945 770 745 780 458 534 1,758 527 1,807 529 458 534 1,758 527 1,807 529 1,848 2,098 15 2 12 6 △40.60 51.54 1.69 6.13 2 7 22 11 24 △435 16 56 113 119 41 22.0 22.0 472 472 2,127 25.9 25.9 586 586 2,253 860 967 12 23 49 60 49 68 14 年3月期 13 年3月期 14 年 3月期 14 年3月期 4 11.66 8 45.77 14 年 3月期 468.86 525.39 2.71 1.94 14 年 3月期 13 年 3月期 13 年3月期 13 年 3月期 13 年3月期

(14)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 営業利益 内航・近海海運業 30 万載貨重量トン級の大型原油タンカーをはじめ、中・小型原油タンカー、プロ ダクト(石油製品)タンカーなどからなる船隊を運航しています。運航船の多くは 中長 期の用船 契約に基づき、世界中に広がる航 路で原油や石油製品を輸送して います。 ステンレスタンクを有するケミカルタンカー、メタノール専用船など、業界でも最大 級の船隊を擁しています。石油化学製品輸送に要求される高度な船舶管理ノウハウ を駆使して、全世界にわたる航路で石油化学製品、植物油、メタノールなどを輸送し ています。特に中東からアジア向けの石油化学製品の輸送量は、トップクラスのシェ アを誇っています。 冷凍式の大型ガスキャリアを中心とした船隊で、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガ ス(LNG)などを輸送しています。LPG キャリアは、中長期契約に基づき、主に極東 向け輸送に携わるとともに、アンモニアなど石油化学ガスの輸送にも取り組んでい ます。LNG キャリアでは、日本向けおよび三国間の輸送プロジェクトへの共同参画 をしています。また、LNG キャリアの船舶管理業務も行っています。 大型~小型ドライバルクキャリア、木材チップ専用船といった多様な船種からなる船 隊により、石炭、鋼材、肥料、木材チップなどを輸送しています。石炭、木材チップ 輸送では、専用船を提供し、顧客の安定輸送体制の一翼を担うとともに、肥料輸送 では小型ドライバルクキャリアによるフレキシブルな輸送を提供するなど、貨物に よって異なる顧客ニーズにきめ細かく対応しています。 加圧式の小型ガスキャリアを中心とした船隊で、日本国内から東アジア、東南アジ アなどの近海水域にて、LNG、LPG といった燃料系ガスやプロピレン、塩ビモノマー などの石油化学ガスなどを輸送しています。LPG、石油化学ガスの国内輸送シェア は業界トップクラスであり、近海水域でも有数の運航規模を誇ります。また、国内 では数少ない内航 LNG キャリアを運航しています。 飯野ビルディングを含め、6 棟のオフィスビルを東京都心部に所有しています。それ らのオフィスビルの管理、運営、メンテナンスを一貫して行い、快適なオフィス空間 を提供しています。また、飯野ビルディング内に開業したイイノホール&カンファレ ンスセンターでは、多目的な利用ニーズに対応しています。 広尾と南青山でそれぞれレンタルフォトスタジオを運営しています。スタジオ運営 のほか、グラフィックデザインやレタッチ業務などのクリエイティブ部門も拡充さ せ、撮影・制作から納品まで一貫したサポートサービスを提供しています。 部門 売上高・営業利益(2014 年 3 月期) 売上高・営業利益推移(2009 年 3 月期~2014 年 3 月期) 事業 事業概要 (注) 各セグメントの売上高はセグメント間取引消去前の売上高を   記載しています。 (注) 各セグメントの売上高はセグメント間取引消去前の売上高を   記載しています。 (億円) 0 25 50 75 100 125 (億円) 0 10 20 30 40 50 (億円) 12 年 3月期 0 250 500 750 1,000 外航海運業 海運業 0 60 40 20 80 100 120 140(億円) 12 年 3月期 ※ 外航海運業 内航・近海海運業 海運業 ※ 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 12 年3月期 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 12 年3月期

不動産業

61.6%

内航・近海

海運業

11.8%

外航海運業

26.6%

※ 2011 年 3 月期より前年分を含めて 海運業を外航と   内航・近海のセグメントに分割しました。 売上高 売上高 営業利益 営業利益

内航・近海

海運業

9.0%

外航海運業

79.2%

不動産業

11.8%

売上高

海運業 不動産業

オイルタンカー

油槽船・ガス船部 ケミカル船第一部

ドライバルクキャリア

専用船・不定期船部 Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

不動産賃貸業

不動産事業部 イイノホール(株)

小型ガスキャリア

イイノガストランスポート(株) Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

ケミカルタンカー

ケミカル船第一部 ケミカル船第二部

Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

大型ガスキャリア

油槽船・ガス船部

フォトスタジオ

(株)イイノ・メディアプロ 876 876 5 3 78 77 78 640 614 112 31 11 629 640 614 112 31 11 629 3 55 52 53 74 55 52 9 14 7 7 53 74 14 年 3月期 14 年 3月期 77 670 670 14 年 3月期 14 年 3月期 13 年 3月期 13 年 3月期 13 年 3月期 13 年 3月期 113 40 113 3 66 87 766 766 114 42 114 8 18 18

飯野海運 at a glance

(15)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 営業利益 内航・近海海運業 30 万載貨重量トン級の大型原油タンカーをはじめ、中・小型原油タンカー、プロ ダクト(石油製品)タンカーなどからなる船隊を運航しています。運航船の多くは 中長 期の用船 契約に基づき、世界中に広がる航 路で原油や石油製品を輸送して います。 ステンレスタンクを有するケミカルタンカー、メタノール専用船など、業界でも最大 級の船隊を擁しています。石油化学製品輸送に要求される高度な船舶管理ノウハウ を駆使して、全世界にわたる航路で石油化学製品、植物油、メタノールなどを輸送し ています。特に中東からアジア向けの石油化学製品の輸送量は、トップクラスのシェ アを誇っています。 冷凍式の大型ガスキャリアを中心とした船隊で、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガ ス(LNG)などを輸送しています。LPG キャリアは、中長期契約に基づき、主に極東 向け輸送に携わるとともに、アンモニアなど石油化学ガスの輸送にも取り組んでい ます。LNG キャリアでは、日本向けおよび三国間の輸送プロジェクトへの共同参画 をしています。また、LNG キャリアの船舶管理業務も行っています。 大型~小型ドライバルクキャリア、木材チップ専用船といった多様な船種からなる船 隊により、石炭、鋼材、肥料、木材チップなどを輸送しています。石炭、木材チップ 輸送では、専用船を提供し、顧客の安定輸送体制の一翼を担うとともに、肥料輸送 では小型ドライバルクキャリアによるフレキシブルな輸送を提供するなど、貨物に よって異なる顧客ニーズにきめ細かく対応しています。 加圧式の小型ガスキャリアを中心とした船隊で、日本国内から東アジア、東南アジ アなどの近海水域にて、LNG、LPG といった燃料系ガスやプロピレン、塩ビモノマー などの石油化学ガスなどを輸送しています。LPG、石油化学ガスの国内輸送シェア は業界トップクラスであり、近海水域でも有数の運航規模を誇ります。また、国内 では数少ない内航 LNG キャリアを運航しています。 飯野ビルディングを含め、6 棟のオフィスビルを東京都心部に所有しています。それ らのオフィスビルの管理、運営、メンテナンスを一貫して行い、快適なオフィス空間 を提供しています。また、飯野ビルディング内に開業したイイノホール&カンファレ ンスセンターでは、多目的な利用ニーズに対応しています。 広尾と南青山でそれぞれレンタルフォトスタジオを運営しています。スタジオ運営 のほか、グラフィックデザインやレタッチ業務などのクリエイティブ部門も拡充さ せ、撮影・制作から納品まで一貫したサポートサービスを提供しています。 部門 売上高・営業利益(2014 年 3 月期) 売上高・営業利益推移(2009 年 3 月期~2014 年 3 月期) 事業 事業概要 (注) 各セグメントの売上高はセグメント間取引消去前の売上高を   記載しています。 (注) 各セグメントの売上高はセグメント間取引消去前の売上高を   記載しています。 (億円) 0 25 50 75 100 125 (億円) 0 10 20 30 40 50 (億円) 12 年 3月期 0 250 500 750 1,000 外航海運業 海運業 0 60 40 20 80 100 120 140(億円) 12 年 3月期 ※ 外航海運業 内航・近海海運業 海運業 ※ 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 12 年3月期 10年 3月期 11年3月期 09年 3月期 12 年3月期

不動産業

61.6%

内航・近海

海運業

11.8%

外航海運業

26.6%

※ 2011 年 3 月期より前年分を含めて 海運業を外航と   内航・近海のセグメントに分割しました。 売上高 売上高 営業利益 営業利益

内航・近海

海運業

9.0%

外航海運業

79.2%

不動産業

11.8%

売上高

海運業 不動産業

オイルタンカー

油槽船・ガス船部 ケミカル船第一部

ドライバルクキャリア

専用船・不定期船部 Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

不動産賃貸業

不動産事業部 イイノホール(株)

小型ガスキャリア

イイノガストランスポート(株) Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

ケミカルタンカー

ケミカル船第一部 ケミカル船第二部

Iino Shipping Asia Pte. Ltd.

大型ガスキャリア

油槽船・ガス船部

フォトスタジオ

(株)イイノ・メディアプロ 876 876 5 3 78 77 78 640 614 112 31 11 629 640 614 112 31 11 629 3 55 52 53 74 55 52 9 14 7 7 53 74 14 年 3月期 14 年 3月期 77 670 670 14 年 3月期 14 年 3月期 13 年 3月期 13 年 3月期 13 年 3月期 13 年 3月期 113 40 113 3 66 87 766 766 114 42 114 8 18 18 14 飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4

(16)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

2014 年 3 月期の事業について

オイルタンカー

 原油タンカー市況は、北半球での冬場需要期にお いては、悪天候に起因する遅延および原油価格差によ る南米・西アフリカからアジアへの長距離トレードの 増加などにより上昇しましたが、その他の時期には総 じて低調に推移しました。  当社グループでは大型オイルタンカー(

VLCC

3

隻 とパナマックスタンカー

1

隻を保有し、そのすべてを 中長期契約に投入しています。 ■

ガスキャリア

 

LPG

キャリアは、シェー ルガス由 来 の 米 国 産

LPG

の生産・輸出が活発化し、従来の中東偏重のトレー ドから船が分散し、また、インドを中心とした新興国 の旺盛な需要もあり、大型ガスキャリア(

VLGC

)の市 況は年度を通じて活況を呈しました。  当社グループは現在

4

隻の

VLGC

を保有しており、 その全船を日本の

LPG

元売会社と長期契約を結んで いますが、本年はそのうちの

1

隻が契約の更改期を 迎え、好調な市況にも支えられ有利な更改をすること ができました。また、さらに

1

隻の新造船を長期契約 のもとに決めることができ、ますます安定収益基盤が 強くなったと自負しています。  

L N G

キャリア 部 門 は、一 部 の 商 談 が

2015

3

月 期以降にずれ込むなか日本の電力・ガス会社向けの シェールガス輸送の商談に積極的に取り組みました が、残念ながら契約には至りませんでした。  複数隻商談のなかで当社の強みを強調できなかったこ とは大きな反省材料でありますが、

2015

3

月期以降の 商談に向けて今後も積極的に対応を図ってまいります。

これからの見通しについて

 

2014

6

月の組織変更で、オイルタンカー部門とガ スキャリア部門が統合し、「油槽船・ガス船部」となり ました。当社の海運業の安定収益基盤の要として、役 割を果たしてまいります。 ■

オイルタンカー

 国際エネルギー機関(

IEA

)の中期見通しでは、世 界のエネルギー需要は

2011

年から

2035

年までに約

30%

増加し、石油需要は

13%

増加すると予測されてい ます。原油タンカーにおいては新造船の竣工量も減少 していくと予想されていますので、市況は徐々に回復 していくものと考えます。  オイルタンカー部門は国内石油会社や商社のお客 さまを中心に安全を確保した良質なサ-ビスを提供 し、わが国への安全、安定輸送に貢献してまいります。 なお、市況変動の影響を最小限にするべく契約形態 は引き続き中長期契約を積み上げ、安定収益に貢献 していきます。 ■

ガスキャリア

 

LPG

キャリアは、しばらくは堅調な市況が予想され ます。シェールガスを中 心 にした 随 伴ガスの 供 給 が 今後も続き、

LPG

の価格の安定化が進むことから、需 要家にとって

LPG

が使いやすいガスになりつつある ことが大きな要因です。一方で、

VLGC

の投機的な発 注が続いており、大量の発注残があることが懸念材料 となっています。しかしながら、当社の得意分野であ り、かつ成長が期待される分野であることに変わりは なく、当社としては、用船者の輸送需要をしっかりつか み、足腰の強い舵取りが必要だと考えています。  

LNG

キャリアは今年度が正念場だと考えています。 各プロジェクトが本格的に進むのは今年度の中盤以 降と思われますが、大手がこの部門に投資を集中しよ うとしているなかで、ハードルは高いものの

1

隻ずつ 管理船を増やす努力をしていきます。そのためにも、

LPG

同様、お客さまのニーズをしっかりとらえ、飯野の 強みを発揮できる提案を行っていくことが必要だと考 えています。

部門別事業概況

油槽船・ガス船部

外航海運業

(17)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 20,000 5,000 0 10,000 15,000 2011 年 4 月 2011 年10月 2012 年4 月 2012 年10月 2013 年4 月 2013 年10 月 2014 年4 月 ( $ / 日 ) ドライバルクキャリア用船料(パナマックス型 太平洋水域) ドライバルクキャリア用船料(パナマックス型 太平洋水域) 16

2014 年 3 月期の事業について

 

2014

3

月期の専用船・不定期船を取り巻く環境は、 前半は非常に市況が低迷し厳しい状況でしたが、後半に 入り好転するという展開でした。  また、リーマンショック以降低迷の続いていた新造船 需要に火がつき、特に海外勢の投機的な発注が進んだ一 年でした。  輸送契約の面では、安定収益源であった専用船が2隻 契約満了となり、リーマンショック以前に締結した高採算 の数量輸送契約も順次満了して、市況に左右されるポー ションが多く苦戦を強いられました。  このような環境のなか、期中に新たな専用船契約と既 存船の契約延長を果たし、また、数量輸送契約も積極的 に獲得したことで、採算の向上を図ることができたと考え ています。一方、船隊整備の面では、競争力のある船価 でハンディサイズの調達を中心に行いました。当社のハ ンディサイズは肥料輸送および中東向け鋼材を中心に配 船していますが、昨今カーゴサイズの大型化が進んでき ており、従来より一回り大きく燃費の良い船型へ順次入れ 替えを進めています。  今後も、この傾向は変わらないと考えており、船価動向 を見ながらリプレースを中心に整備をしていきます。

これからの見通しについて

 今年度のドライバルクキャリアの市況は比較的堅調 なものと予測しています。  一方で、新造船の発注意欲は引き続き旺盛で、国 内の造船所の新造船商談は

2017

年以降へと移ってお り、船価も上昇傾向となっています。また、昨今石炭 火力発電所の新設の計画が各地で発表されており、 今後も根強い需要が期待されています。  このような環境のなか、専用船・不定期船部は安定 収益源の専用船事業と、各種の貨物の組み合わせを 効率配船することによって採算向上を目指す不定期 船事業を核にしていくことに変わりはありませんが、 今年度は積極的に海外に進出してより効率を上げるこ とが重要と考えています。  また、船隊整備に関しては、昨年度同様リプレース を中心にしたハンディサイズの大型化・省エネ化を進 めていくことに変わりはありませんが、新規の石炭輸 送需要を取り込むためにも、また、今後の専用船商談 に備える意味でも、ポストパナマックス型を中心にし た整備を再開したいと考えています。

専 用 船

不 定 期 船 部

外航海運業 油槽船・ガス船部および専用船・不定期船部 担当取締役 近光護

(18)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

ケミカル船第一部・第二部

2014 年 3 月期の事業について

 ケミカルタンカー全般において、中国、インドおよ び 南 米 の 新 興 国 経 済 の 停 滞 により世 界 的 に 石 油 化 学製品の需要が伸びず、中国の旧正月前の駆込み需 要など一時的に市況が賑わう場面はありましたが運 賃 相 場を底 上 げ するまで の 勢 い は なく、期 初より変 動の少ない低調な市況が続きました。  またプロダクト(石 油 製 品)タンカー市 況 は、米 国 シェールオイル増産による米国からの石油製品輸出 の増加などの理由から、一時的に回復が見られる局 面もありました が、年 間を通しては 総じて軟 調 な 市 況が続きました。  このような環境のなか、定期用船事業ではケミカ ルタンカー およびプロダクトタンカーともに 支 配 船 腹を中・長期用船契約に投入し安定的な収益を確保 することができました。米 国オペレ ーターとの 合 弁 事 業 は 大 西 洋 域 内を中 心 に数 量 輸 送 契 約を維 持 す るとともにスポット貨 物も取り込 み 安 定した 輸 送 数 量を確保することができました。  ケミカルタンカーの自主運航においては、主要航 路である中東積みアジアおよび欧州向け輸送では、 往復航海ともに数量輸送契約の割合を高めた結果、 安定的な輸送数量を確保することができました。  また南米配船も計画どおりの航海数を実施し、南 米 からアジアへ の 航 海も満 船とすることができまし た。一時的に輸送需要が高まった局面では、船舶を 市場から短期的に調達し収益の確保に努めました。    

2014

3

月末 時 点 で の 船 隊 構 成 は ケミカ ルタン カー

44

隻、プロダクトタンカー

1

隻で、当 社グル ー プの連結売上高の

40

%以上を占めています。リーマ ンショック後の石油化学製品の海上荷動きの鈍化と 新 造 船 の 竣 工 により、厳しい 市 況 が 続きました。そ のため、前中期経営計画「

IEG14

」では構造改革を掲 げ、

3

年 の 時 間をか けて収 入と費 用 の 両 面 から基 盤 整備を行ってきました。その結果として、新しい中期 経 営 計 画 に お ける攻 め の 展 開 へと転 換 する足 場 を 固めることができたと考えています。

ケミカルタンカー部門の新体制

 

2014

6

月の 組 織 変 更 により、ケミカルタンカー 部 門 は「 ケミカル 船 第 一 部」と「 ケミカル 船 第 二 部」 の二部門体制になりました。  ケミカル船第一部は東京本社における定期用船事 業と米 国オペレ ーターとの 合 弁 事 業を担 当します。 また、ケミカルタンカーとのシナジー効果が期待でき るプロダクトタンカーについても、これからはケミカ ル船第一部で担当します。ケミカル船第二部では、シ ンガポールで行っている自主運航を担当します。  

2014

4

月 に 公 表 さ れ た 中 期 経 営 計 画「

S T E P

FOR WARD 2020

」の

2020

年のありたき姿には、「 ケ ミカルタンカー事 業で は、市 場で のプレゼンスを高 め、ワールドワイドプレーヤーとしての地位の確立を 目指します。」とあります。当社のケミカル船隊は、中 東から極東の航路においてトップシェアを維持してお りますが、これからは、中東のシェアを保ちながらも、 シェール由来の北米・メキシコ湾岸積みの貨物を積 極 的 に 取りこみ、大 西 洋 航 路 にも進 出してまいりま す。シェール革命というと

LNG

のイメージがあります が、北米では今後エチレンプラントやメタノールプラ ントの建設が予定されており、石油化学製品の物流 もうまれます。これらの 物 流 の 変 化 に対 応 するた め には、海外提携先との連携の強化や、海外拠点の拡 充が求められます。  ケミカルタンカー部門は、当社グループのなかで も最もグローバルな部門であり、運航船の集荷業務 と運 航 業 務 はシンガ ポールで 行っています。シンガ ポールでは日本人と外国人がほぼ半々の割合で在籍

(19)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 18 外航海運業 しており、コミュニケーションはすべて英語で行って います。また、米国の合弁会社にも人員を配置してい ます。合弁会社との連携を強化していくとともに、当 社米国拠点の拡充を進め、大西洋への進出を本格化 してまいります。  シンガ ポ ー ルで 運 航している船 舶 は 現 在

30

隻 程 度ですが、今後は船隊をさらに拡充する必要がある と考えています。その第

1

弾として、リーマンショック 以降凍結していたケミカルタンカーへの投資を先般 再開し、

35,000DW T

型の省エネ船を発注いたしまし た。これからも既存船の代替や大西洋配船用を含め、 社船と用船のバランスを勘案しつつ船隊の整備を進 めてまいります。

これからの見通しについて

 ケミカルタンカー全般について、今年度は新造船の 竣工量は依然少なく、一方シェールガスの普及に伴い 米国発の石油化学製品の輸送需要は増加すると予想 されており、船腹の需給バランスはタイト化する見通 しで運賃市況も回復に転ずると予想されております。  プロダクトタンカーについては欧州、日本や豪州で は製油所の閉鎖に伴い石油製品の輸入量増加が、ま た北米や中東からは輸出量の増加が見込まれ、長距 離輸送の増加とあいまって今後運賃市況が回復するこ とが期待されております。  ケミカル船第一部と第二部では、定期用船事業、北 米オペレーターとの合弁事業および中東航路をベー スにしたケミカルタンカー自営事業を営業の

3

本柱と して、引き続きお客さまのニーズに対応し、安全で良 質なサービスを提供してまいります。主力のケミカル タンカー事業の優位性を維持・拡大することで安定収 益を確保しつつ、プロダクトタンカーとの両立も視野 に入れて新規航路の開拓と商権の拡大を図り、さらな る収益拡大を目指してまいります。 2011 年 4 月 2011 年10月 2012 年4 月 2012 年10月 2013 年4 月 2013 年10 月 2014 年4 月 中東積み / 極東揚げ 中東積み / 欧州揚げ ($/トン) ケミカルタンカー運賃率(10,000トン積み) ケミカルタンカー運賃率(10,000トン積み) 100 0 20 40 60 80 ケミカル船第一部およびケミカル船第二部担当取締役 小薗江隆一

(20)

経 営 管 理 体 制 事 業 概 況 企 業 情 報 特 集 安 全 ・ 環 境 社 会 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

不動産事業部

2014 年 3 月期の事業について

 東京都心五区のオフィスビル賃貸市況は

2014

3

月に入り空室率が

7

%を切り、賃料も鍋底から脱し既存 ビルで

16,000

円台前半

/

坪、新築ビルで

28,000

/

坪 近くまで戻すなど上昇傾向が顕在化してきました。  当社の旗艦ビルである飯野ビルディングはⅠ期工事 完了による竣工から

2

年半が経ちましたが、満床にて 安定稼働しています。飯野ビルディングは時代を先取り した設計コンセプトと最先端の技術により環境に優し く安全で快適なオフィス空間を創出することを目指して 建替えられましたが、その性能が社会からも認められ、 空気調和・衛生工学会賞技術賞ほか数々の輝かしい賞 (次ページ脚注参照)をいただきました。実際の

CO

2 排出量も当初計画を上回って削減されており、テナント の皆さまの高い意識のおかげと感謝しています。ビル オーナーとしても温度と湿度をそれぞれ個別に管理す るなど最新の空調設備をフル活用しながら快適性も維 持する 「我慢しない省エネ」 をモットーに日々の管理・ 運営を行っています。  その他の既存オフィスビルにおいても、ビル管理会 社であるイイノ・ビルテック株式会社と連携したきめこ まかなサービスの提供を心掛けており、

2014

4

1

日時点のグループ所有全

6

棟の平均空室率は

0.2% (

前 年比

4.5%

改善

)

となりました。

飯野ビルディングⅡ期工事について

 飯野ビルディングの北側、日比谷公園との間の敷地 で施工中のⅡ期工事は、

2014

11

月のグランドオー プンを目指して順調に進んでいます。この工事が完成 すると、地下

1

階部分に東京地下鉄霞ケ関駅と飯野ビ ルディングを直結する通路が開通します。通路の両側 では新たな飲食店

7

店舗(地上

1

階にも

1

店舗)の出 店作業が着々と進んでおり、現在のイイノダイニング

13

店舗に加えてバリエーション豊かな飲食店街が誕生 します。  地上部分の公開空地は「イイノの森」としてオープン します。広さ約

2,000

平方メートルの土地になだらかな 丘を配し、中高木だけで

32

種・

160

余本の樹木を植え て新たな森を造る計画です。樹木の選定に当たっては 広葉樹を中心に日本の潜在的な自然植生を意識しま した。例えば

16

本程植える桜の品種も日本古来の江 戸彼岸桜や山桜とし、岐阜県高山市からは臥龍桜・荘 川桜といった由緒ある桜の株を譲っていただき植樹 する予定です。緑豊かで活力溢れる木々が

CO

2を吸収 し、爽やかな空気の流れる憩いの場となるでしょう。ま た森の中には新進気鋭の芸術家2名の驚きと感動を 呼ぶアート作品を配置します。どのような作品なのか、 是非ご期待ください。  さらに新しい取り組みとして、

5

月から飯野ビルディ ングの防災センター屋上では日本ミツバチの養蜂をは じめました。今後の展開を楽しみにしています。

これからの見通しについて

 昨今における国内各企業の決算内容の改善が伝え られています。

4

月以降の消費税増税のマイナス影響 が一時的なものとなり

2020

年の東京オリンピックに 向けて景気の拡大が続くとすれば、東京におけるオ フィス移転の動きは今後も継続すると思われます。賃 貸マーケットも広く安全で快適な高品質ビルとそうで ないビルの

2

極化が進むと考えられます。少子高齢化 の進行による労働力人口の減少や、東京オリンピック などによる公共事業の増加に伴う建築費の上昇で今 後民間の新築オフィスビルの供給に一定のブレーキ がかかるとすれば、高品質ビルの賃料はある程度堅 調に推移するのではないかと考えています。  当部としてもサービスレ ベルのさらなる向上に努 めつつ、将来のオフィスビル需要をしっかりと見極め、 チャンスがあれば資産の入れ替えなども検討していき たいと考えています。 不動産業

参照

関連したドキュメント

  

2 当会社は、会社法第427 条第1項の規定により、取 締役(業務執行取締役等で ある者を除く。)との間

によれば、東京証券取引所に上場する内国会社(2,103 社)のうち、回答企業(1,363

Hopt, Richard Nowak & Gerard Van Solinge (eds.), Corporate Boards in Law and Practice: A Comparative Analysis in Europe

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当協会に対する 指定代表者名 代表取締役.. 支店営業所等

代表取締役CEO 金島弘樹 問合せ先:06-6105-0315